(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113294
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240815BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20240815BHJP
B65G 43/02 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B65G1/00 501F
B65G1/04 505
B65G43/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018177
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 直哉
【テーマコード(参考)】
3F022
3F027
【Fターム(参考)】
3F022AA05
3F022CC05
3F022DD05
3F022EE02
3F022FF01
3F022HH04
3F022JJ12
3F022KK01
3F022MM05
3F022MM40
3F022MM57
3F022MM66
3F022MM70
3F022NN40
3F022PP03
3F022PP06
3F027BA02
3F027CA03
3F027EA09
3F027FA12
3F027FA15
(57)【要約】
【課題】コンベヤを破損させることなく物品の偏荷重を検出することができる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置1は、入庫コンベヤ2の端部位置EPに配置され、物品Aの偏荷重を検出する。検出装置1は、物品Aを搬送方向D1に搬送する入庫コンベヤ2と、入庫コンベヤ2の内側に配置され、第1低位置1LPから搬送面2aより高い第1高位置1HPまで上昇可能な支持部材31と、支持部材31の両外側に配置された補助部材32と、支持部材31によって持ち上げられた物品Aの横方向D2における傾きを検出可能な傾き検出手段47と、を備える。補助部材32は、第1高位置1HPまで持ち上げられて傾いた物品Aを補助部材32により支持することで物品Aの入庫コンベヤ2に対する接触を防止可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤの所定位置に配置され、前記コンベヤにより支持される物品の偏荷重を検出する検出装置であって、
前記物品を支持する搬送面を有し、前記物品を第1方向に搬送する前記コンベヤと、
前記所定位置において、前記コンベヤの内側において前記第1方向と直交する第2方向に離間して配置され、前記搬送面より低い第1低位置から前記搬送面より高い第1高位置まで上昇可能な支持部材と、
前記所定位置において、前記支持部材の両外側に配置され、前記搬送面より低い第2低位置から前記搬送面より高く且つ前記第1高位置より低い第2高位置まで上昇可能な補助部材と、
前記支持部材によって持ち上げられた前記物品の前記第2方向における傾きを検出可能な傾き検出手段と、を備え、
前記補助部材は、前記支持部材によって前記第1高位置まで持ち上げられて傾いた前記物品を前記第2高位置に位置する補助部材により支持することで前記物品の前記コンベヤに対する接触を防止可能である、検出装置。
【請求項2】
前記支持部材と前記補助部材を一緒に上昇及び下降させるリフタを更に備える、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記傾き検出手段は、前記支持部材の前記第2方向における両外側に配置されて前記物品の前記第2方向に離間する底面の2箇所までの距離をそれぞれ計測可能な一対の測距センサを有し、持ち上げられた前記物品における前記2箇所までの距離に基づいて前記物品の傾きを検出する、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記傾き検出手段は、前記支持部材の前記第2方向における何れか一方の外側に配置されて前記物品の底面の1箇所までの距離を計測可能な1つの測距センサを有し、前記搬送面に対する前記第1高位置の高さと、持ち上げられた前記物品における前記距離に基づいて前記物品の傾きを検出する、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記傾き検出手段は、前記補助部材と前記物品との接触を検知可能なセンサであり、前記補助部材と前記物品との接触を検知することで前記物品の傾きを検出する、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記第2方向における外側支持端点の離間距離を前記物品の形状又は重量に応じて変更可能である、請求項1又は2に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンベヤで搬送される物品の偏荷重を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品をパレットにより保持し、パレットを搬送装置で搬送する技術が知られている。例えば特許文献1に記載される装置は、タイヤ保管倉庫等に適用され、パレット上におけるタイヤの動きを規制しつつ、タイヤの姿勢を段積み状態に転換する。これにより、タイヤ同士のずれを抑制し、段積みされたタイヤを容易に搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の装置によれば、クレーンのチャックがタイヤ群に挿入できない等の不具合を回避し、タイヤ群の搬出作業の効率化が図られる。一方、コンベヤで物品を搬送する場合に、搬送方向に直交する横方向において物品の偏荷重が発生すると、クレーンによる搬送又は移載における不具合につながる虞がある。そこで、物品の偏荷重を検出する検出装置が求められている。また物品の偏荷重を検出する際に、物品を支持するコンベヤを破損させないことも重要である。
【0005】
本開示は、コンベヤを破損させることなく物品の偏荷重を検出することができる検出装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、コンベヤの所定位置に配置され、コンベヤにより支持される物品の偏荷重を検出する検出装置であって、物品を支持する搬送面を有し、物品を第1方向に搬送するコンベヤと、所定位置において、コンベヤの内側において第1方向と直交する第2方向に離間して配置され、搬送面より低い第1低位置から搬送面より高い第1高位置まで上昇可能な支持部材と、所定位置において、支持部材の両外側に配置され、搬送面より低い第2低位置から搬送面より高く且つ第1高位置より低い第2高位置まで上昇可能な補助部材と、支持部材によって持ち上げられた物品の第2方向における傾きを検出可能な傾き検出手段と、を備え、補助部材は、支持部材によって第1高位置まで持ち上げられて傾いた物品を第2高位置に位置する補助部材により支持することで物品のコンベヤに対する接触を防止可能である。
【0007】
この検出装置によれば、傾き検出手段によって、支持部材によって持ち上げられた物品の第2方向における傾きが検出される。補助部材により、傾いた物品が支持され、物品のコンベヤへの接触が防止される。これにより、コンベヤを破損させることなく物品の偏荷重を検出することができる。
【0008】
検出装置が、支持部材と補助部材を一緒に上昇及び下降させるリフタを更に備えてもよい。この場合、共通の(1台の)リフタによって、支持部材と補助部材の上昇及び下降を行うことができ、構成が簡素化される。
【0009】
傾き検出手段は、支持部材の第2方向における両外側に配置されて物品の第2方向に離間する底面の2箇所までの距離をそれぞれ計測可能な一対の測距センサを有し、持ち上げられた物品における2箇所までの距離に基づいて物品の傾きを検出してもよい。この場合、物品が第2方向における何れの側に傾いた場合でも、物品の偏荷重を簡易かつ確実に検出することができる。
【0010】
傾き検出手段は、支持部材の第2方向における何れか一方の外側に配置されて物品の底面の1箇所までの距離を計測可能な1つの測距センサを有し、搬送面に対する第1高位置の高さと、持ち上げられた物品における距離に基づいて物品の傾きを検出してもよい。この場合、1つの測距センサのみで物品の偏荷重を検出することができる。
【0011】
傾き検出手段は、補助部材と物品との接触を検知可能なセンサであり、補助部材と物品との接触を検知することで物品の傾きを検出してもよい。この場合、補助部材自体が、傾いた物品との接触を検知するので、少ない部品数で物品の偏荷重を検出することができる。
【0012】
支持部材は、第2方向における外側支持端点の離間距離を物品の形状又は重量に応じて変更可能であってもよい。この場合、物品の形状又は重量に応じた適切な偏荷重の検出が可能である。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、コンベヤを破損させることなく物品の偏荷重を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る検出装置が適用された搬送システムを概略的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、コンベヤの所定位置に配置された検出装置の平面図である。
【
図4】
図4は、検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)は、それぞれ、物品の一例における平面図、正面図、及び側面図である。
【
図6】
図6は、
図2及び
図3の検出装置において物品が持ち上げられた状態を示す側面図である。
【
図7】
図7(a)は物品の偏荷重について説明するための図であり、
図7(b)は測距センサによる傾き検出を説明するための図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、変形例に係る検出装置において単一の測距センサによる傾き検出を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面においては、説明の便宜上、実施形態に係る各構成が縮尺を適宜に変更して表現される。いくつかの図面にはXYZ直交座標系が併記される。以下の説明では、説明の容易のためにこの座標系が参照される。
【0016】
まず
図1を参照して、本実施形態に係る検出装置1が適用される搬送システムSについて説明する。
図1に示されるように、搬送システムSは、例えば、保管棚200aに物品Aを保管する自動倉庫200と、自動倉庫200へ物品Aを入庫させるための搬送装置である入庫コンベヤ2と、自動倉庫200から物品Aを出庫させるための搬送装置である出庫コンベヤ3と、複数の運搬車100とを備える。搬送システムSは、例えば建屋(不図示)内に設置される。なお、搬送システムSの一部(ステーション及び/又はコンベア等)が建屋の外部に設置されてもよい。
【0017】
自動倉庫200は、物品Aを格納する保管棚200a(ラックとも呼ばれる)、入庫装置4、出庫装置5、及び軌道に沿って走行するスタッカクレーン10等を有する。各コンベヤは、建屋内の倉庫又はステーションのレイアウトに応じて適宜に設置される。搬送システムSに備わる各種コンベヤは、物品Aを搬送可能である。
【0018】
運搬車100のそれぞれは、例えばフォークリフトである。また
図5(a)~(c)に示されるように、物品Aは、例えば、パレットBと、パレットB上に積載された1つ又は複数のタイヤT等を含む。パレットBに積載される荷物は、タイヤTに限られない。パレットBの大きさ及び形状、ならびに、パレットBに積載される荷物の大きさ、形状及び種類は、特に限定されない。
【0019】
図1、
図5(b)及び
図5(c)に示されるように、検出装置1では、物品Aの横方向D2において生じる偏荷重が検出される。運搬車100は、作業者によって運転されて、倉庫内を移動しながら物品Aを運搬する。物品AのパレットBの支持台(本体)には、周囲の何れの方向(側方)からもフォークリフトのフォークを挿入可能なように、フォーク穴Ba,Ba及びフォーク穴Bb,Bbが設けられている。いずれのフォーク穴を用いて物品Aが運搬されてもよいが、物品Aにおける搬送方向(第1方向)D1が、入庫コンベヤ2の搬送方向(図示Y方向)に一致する(対応する)ように、入庫コンベヤ2の端部位置(所定位置)EPに物品Aが載置される。入庫コンベヤ2の端部位置EPに対して、物品Aを運搬する運搬車100が何れの方向からアクセスしてもよい。
【0020】
た
図5(a)~(c)に示されるように、物品Aでは、少なくとも、搬送方向D1に直交する横方向(第2方向)D2において、タイヤT(荷物)の位置等に起因して、偏荷重が生じ得る。パレットBの積載面には、例えば、タイヤTの搬送方向D1における位置決め機構Bc(受け面又はガイド部材等)が設けられてもよい。パレットBの外枠が、タイヤTの搬送方向D1における位置を規制してもよい。ただし搬送方向D1における位置決め機構又は位置規制機構は必須ではない。一方、パレットB上において、横方向D2には、タイヤは自由に置かれ得る。1つのタイヤTが積載される場合も、複数のタイヤTが横方向D2に並べられる場合も、複数のタイヤT全体の重心は、横方向D2に変わり得る。パレットBの重心は中心線又は中心面C上に位置するが(
図7(a)参照)、タイヤT(荷物)の重心が横方向D2に変わることにより、物品Aの全体に偏荷重が生じ得る。
【0021】
自動倉庫200では、スタッカクレーン10のスライドフォーク(図示せず)が、横方向D2に直交する方向(すなわち搬送方向D1に沿った方向)から挿入され、物品Aの移載が行われる。すなわち、
図5(b)に示されるフォーク穴Baを用いて、物品Aが移載される。過剰な偏荷重が生じている場合、スタッカクレーン10のスライドフォークを用いた移載に支障が生じ得る。そこで本実施形態では、入庫コンベヤ2の端部位置EPに、検出装置1が組み込まれている。以下、検出装置1について説明する。
【0022】
検出装置1は、入庫コンベヤ2の端部位置EPに配置される。なお、検出装置1が配置される所定位置は、端部位置EPに限られず、何れかのコンベヤにおける途中位置であってもよい。検出装置1は、入庫コンベヤ2における搬送に物理的に干渉しないように設置される。検出装置1は、入庫コンベヤ2により支持される物品Aの偏荷重を検出する。物品Aは、入庫コンベヤ2の搬送面2a上に載った状態で搬送される。
【0023】
図2及び
図3に示されるように、入庫コンベヤ2は、Y方向に延びる(平行に延びる)一対の搬送レール21を有する。搬送レール21のチェーン搬送部21aの上面によって物品Aを支持する搬送面2aが形成されている。入庫コンベヤ2のチェーン搬送部21a(搬送面2a)には、物品Aの底面X(本実施形態ではパレットBの底面に相当)が接触する。搬送レール21の外側方には、適宜の位置に横方向D2(X方向)における物品Aの導入を案内する複数のガイド部22が設けられている。
【0024】
検出装置1は、X方向に延びると共にY方向に離間する一対のベースビーム23を有している。検出装置1は、端部位置EPにおいて、一対の平行な支持部材31及び一対の平行な補助部材32を備える。一対の支持部材31は、入庫コンベヤ2の内側において、すなわち搬送レール21の内側において、X方向に離間して配置されている。ここでX方向は横方向D2に対応する。一対の補助部材32は、端部位置EPにおいて、一対の支持部材31の両外側に配置されている。補助部材32も、X方向に離間して配置されており、その横方向D2の間隔は、支持部材31における横方向D2の間隔よりも大きい。一対の補助部材32の外側支持端点の離間距離は、昇降フレーム24の全長よりも小さく、搬送レール21の間隔よりも小さい。支持部材31及び補助部材32のそれぞれは、例えば断面矩形状の鋼材などからなる。支持部材31及び補助部材32の材質及び断面形状は、物品Aを支持し得る所定の強度が満たされていれば、特に限定されない。
【0025】
偏荷重の検出が開始される前の通常状態では、一対の支持部材31の上面は、第1低位置1LPに位置する。また通常状態では、一対の補助部材32の上面は第2低位置2LPに位置する。一対の支持部材31は、例えば水平な一対の昇降フレーム24上に一体に設けられており、一対の支持部材31の上面の位置は常に等しい。また一対の補助部材32は、例えば水平な一対の昇降フレーム24上に一体に設けられており、一対の補助部材32の上面の位置は常に等しい。
【0026】
検出装置1は、一対の支持部材31と一対の補助部材32を一緒に上昇及び下降させるリフタ25を備える。リフタ25は、例えば、Y方向に離間して設置された一対の昇降フレーム24と、昇降フレーム24の下面の四隅の位置に設けられた接触部24aに接触する4つの昇降用カム26と、4つの昇降用カム26の何れか1つの回転軸27を回転させる昇降モータ28と、を有する。一対の昇降フレーム24は、例えば、ベースビーム23等に設けられた案内フレーム等により、上下方向(Z方向)に案内されて移動できるよう、入庫コンベヤ2に対して取り付けられている。4つの昇降用カム26は、平行に延びる(Y方向に延びる)2本の回転軸27と、回転軸27の昇降モータ28とは反対側に設けられたリンク機構29とによって、同期回転できるように構成されている。円盤状の各昇降用カム26に対して各回転軸27が所定の偏心した位置に位置するよう、昇降用カム26に回転軸27が取り付けられている(挿通されている)。2本の回転軸及びリンク機構29は、入庫コンベヤ2の固定部分(フレーム等)に取り付けられるか、又は支持されている。昇降モータ28は、ベースビーム23等に対して固定される。
【0027】
昇降モータ28の駆動により、リフタ25は、各昇降用カム26を同期回転させて昇降フレーム24を押し上げる。一対の昇降フレーム24上に固定された一対の支持部材31、及び、昇降フレーム24上に固定された一対の補助部材32が、昇降フレーム24の上昇に伴って上昇する。また昇降モータ28の駆動により、リフタ25は、各昇降用カム26を同期回転させて昇降フレーム24を下降させる。一対の支持部材31及び一対の補助部材32が、昇降フレーム24の下降に伴って重力により下降する。なお、リフタ25における昇降機構は、上記とは異なる別の公知の機構を備えてもよい。カム機構及び/又はリンク機構が用いられずに、他の機械要素によって支持部材31及び補助部材32の昇降が実現されてもよい。
【0028】
一対の支持部材31は、入庫コンベヤ2の搬送面2aより低い第1低位置1LPから、搬送面2aより高い第1高位置1HPまで上昇可能である。言い換えれば、一対の支持部材31は、入庫コンベヤ2の搬送面2aより低い第1低位置1LPと、搬送面2aより高い第1高位置1HPとにそれぞれ位置する(停止する)ように昇降可能である。同様に、一対の補助部材32は、入庫コンベヤ2の搬送面2aより低い第2低位置2LPから、搬送面2aより高い第2高位置2HPまで上昇可能である。言い換えれば、一対の補助部材32は、入庫コンベヤ2の搬送面2aより低い第2低位置2LPと、搬送面2aより高い第2高位置2HPとにそれぞれ位置する(停止する)ように昇降可能である。第1低位置1LPは第2低位置2LPより高い。第1高位置1HPは第2高位置2HPより高い。支持部材31のZ方向(上下方向)におけるストロークは、昇降用カム26の直径等によって決まっているが、支持部材31が第1高位置1HPにおいて物品Aを持ち上げることができる値に設定されている。当該ストロークは、後述する上昇量ΔHに等しい。
【0029】
また
図7(b)に示されるように、一方の(図示左側の)支持部材31の外側支持端点と、一方の(図示左側の)補助部材32の外側支持端点とを結ぶ仮想の平面は、一方のチェーン搬送部21a(搬送面2a)の上方を通り、搬送面2aには交わらない。他方の(図示右側の)支持部材31の外側支持端点と、他方の(図示右側の)補助部材32の外側支持端点とを結ぶ仮想の平面は、他方のチェーン搬送部21a(搬送面2a)の上方を通り、搬送面2aには交わらない。
【0030】
検出装置1において、一対の補助部材32は、一対の支持部材31によって第1高位置1HPまで物品Aが持ち上げられて傾いた場合に、物品Aを第2高位置2HPに位置する横方向D2の何れか一方(左又は右)の補助部材32により支持する。この状態で、物品Aは、横方向D2の何れか一方(左又は右)の支持部材31及び補助部材32によって支持され、且つ、チェーン搬送部21a(搬送面2a)には接触しない。したがって、一対の補助部材32は、物品Aの入庫コンベヤ2に対する接触を防止可能である。
【0031】
図4に示されるように、検出装置1は、一対の支持部材31によって持ち上げられた物品Aの横方向D2における傾きを検出可能な傾き検出手段47を備える。傾き検出手段47について、以下説明する。検出装置1は、入庫コンベヤ2に設けられた載置センサ36と、上記した昇降モータ28と、補助部材32と搬送レール21との間に設けられた例えば一対の測距センサ33と、上記した昇降モータ28と、物品Aの傾きを検出して偏荷重が許容範囲内に収まるか否かを判定する制御・判定部40と、制御・判定部40における判定結果等を表示するディスプレイ50とを備える。
【0032】
制御・判定部40は、昇降モータ28を制御する昇降制御部41と、測距センサ33からの測距信号を取得する測距信号取得部42と、物品Aの傾きを検出する傾き検出部43と、偏荷重が許容範囲内に収まるか否かを判定する偏荷重判定部44と、判定結果を出力する出力部45とを有する。制御・判定部40は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(ReadOnly Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる電子制御ユニットである。
【0033】
図2及び
図3に示されるように、測距センサ33は、Y方向における略中央の位置で、且つ、平面視において回転軸27と搬送レール21との間に設置されている。各測距センサ33は、例えば搬送レール21等の入庫コンベヤ2の固定部分に固定される。測距センサ33は、例えばレーザセンサである。測距センサ33は、物品Aの底面Xに向けて、上方(鉛直方向上方)にレーザ光を出射し、その反射光を検出する。それにより、各測距センサ33は、底面Xにおける一方の被計測部Xaまでの距離Daと、底面Xにおける他方の被計測部Xbまでの距離Dbとを計測し、測距信号として、制御・判定部40に送信する。すなわち、一対の測距センサ33は、一対の支持部材31の横方向D2における両外側に配置されて物品Aの横方向D2に離間する底面の2箇所(被計測部Xa,Xb)までの距離をそれぞれ計測可能である。
【0034】
傾き検出手段47は、リフタ25により持ち上げられた物品Aにおける2箇所(被計測部Xa,Xb)までの距離Da,Dbに基づいて物品Aの傾きを検出する。傾き検出手段47は、上記した測距センサ33、測距信号取得部42、及び傾き検出部43を含んで構成される。傾き検出部43は、距離Da,Dbに基づいて物品Aの横方向D2における傾きを検出してもよいし、入力した距離Da,Dbそのものを物品Aの傾きとして用いてもよい。偏荷重判定部44は、例えば、許容し得る偏荷重の度合いに対応する距離の閾値を記憶している。偏荷重判定部44は、距離Da,Dbの何れか一方が閾値(規定値)以上である場合に、偏荷重が許容範囲を超えており、不合格(判定結果:否)である旨を判定する。閾値は、パレットBの撓み、パレットBの製作精度、リフタ25の停止精度及び組立精度等を加味して設定される。
【0035】
なお、変形例として、距離Da,Dbのうち何れか大きい方(高い位置にある被計測部Xa又はXbを計測した方)のみを判定に用いてもよい。又は、2つの測距センサ33による計測結果の差を算出し、この差に異常があった(閾値以上であった)場合に、偏荷重が許容範囲を超えていると判定されてもよい。
【0036】
検出装置1を備えた搬送システムSにおけるオペレーションについて説明する。運搬車100によってタイヤT等の荷物(保管対象物)を含む物品Aが運搬され、物品Aが入庫コンベヤ2の端部位置EPに載せられる。検出装置1の載置センサ36が物品Aの存在を検知すると、制御・判定部40の昇降制御部41は、リフタ25の昇降モータ28を制御して昇降フレーム24を上昇させる。なお、この際に、運搬車100がまだ後退していないのに誤って検出装置1による偏荷重の検出(リフタ25の作動)が始まらないよう、パレットBからフォークが退避したことを検出してインターロックをとる制御を行ってもよい。
【0037】
昇降フレーム24の上昇に伴い、一対の支持部材31は第1低位置1LPから第1高位置1HPへと、一対の補助部材32は第2低位置2LPから第2高位置2HPへと上昇する(
図6参照)。この間、一対の支持部材31が入庫コンベヤ2の搬送面2aのレベルを通過し、パレットB(物品A)は一対の支持部材31によって支持されて持ち上げられる。物品Aの底面Xは、搬送面2aから離れる。このとき、物品Aの横方向D2における所望の範囲に保管対象物の重心が位置していれば、物品Aの重心の位置は問題なく、底面Xが両方の支持部材31,31に接しているか、又は何れか片方の支持部材31から僅かに浮いている(このとき底面Xは補助部材32には接触しない)。その結果、傾き検出部43よって検出される傾きは問題なく、偏荷重判定部44によって、合格の判定がなされる。その後、入庫コンベヤ2及び入庫装置4によって物品Aが搬送されて入庫する。
【0038】
一方、もし物品Aの横方向D2における所望の範囲外に保管対象物の重心が位置していれば、物品A全体が傾き、底面Xは何れか片方の支持部材31から浮く(離れる)。傾き検出部43よって検出される傾きが閾値を上回ると、偏荷重判定部44によって、不合格の判定がなされる。このとき、底面Xは補助部材32には接触する場合もあるし、補助部材32に近接しているが接触しない場合もある。この状況は閾値の設定により変わり得る。
【0039】
出力部45は、不合格である旨の通知を出力し、ディスプレイ50にエラーを表示させ、「荷物が偏っています。位置を調整して載せ直してください。」といった旨の報知(表示又は音声案内)がなされる。リフタ25によって、昇降フレーム24が下降させられ、物品Aは再び入庫コンベヤ2上に乗る(
図3参照)。なお不合格の判定がなされた場合には、制御・判定部40又は他のコントローラは、入庫コンベヤ2の駆動を禁止して(又は異常停止させて)もよい。このようなエラーの報知に応じて、運搬車100が物品Aを入庫コンベヤ2から持ち去る。物品Aにおける偏荷重の矯正(修正)が、例えば別の場所で行われる。なお、入庫コンベヤ2上(端部位置EP)において、物品Aにおける偏荷重の矯正(修正)が行われてもよい。
【0040】
物品Aにおける偏荷重の考え方について、
図7(a)を参照して説明する。
図7(a)に示されるように、例えば、パレットB上において荷物が片側に載せられていると仮定する。例えば、荷物の重心GWは、パレットBの重心GPを通る中心線又は中心面Cから左側に530mm偏っており、その結果として、パレットBと荷物における全体の重心GT(下向きの矢印で示される)はパレットBの中心線又は中心面Cから左側に400mm偏っている。一方、支持部材31の横方向D2における外側支持端点の離間距離Wは600mmであり、中心線又は中心面Cから、支持部材31によって物品Aが支持される外側支持端点までの距離は左右それぞれ300mmである。以上の数値は一例に過ぎない。離間距離Wの大きさは適宜に設定され得る。この状態で、全体の重心の位置(上記400mm)は、離間距離W600mmの半分である外側支持端点までの距離300mmを超えており、許容可能な偏荷重を超えていると判定される。例えばこの状態では、
図7(b)に示されるように、底面Xは補助部材32には接触する。
【0041】
本実施形態の検出装置1によれば、検出手段によって、一対の支持部材31によって持ち上げられた物品Aの横方向D2における傾きが検出される。一対の補助部材32の何れか一方により、傾いた物品Aが支持され、物品Aの入庫コンベヤ2への接触が防止される。これにより、入庫コンベヤ2を破損させることなく物品Aの偏荷重を検出することができる。また自動倉庫200においても、スタッカクレーン10のスライドフォークによる物品Aの移載が適切になされる。偏荷重の発生に起因する移載に関するトラブル等も未然に防止される。
【0042】
検出装置1が、一対の支持部材31と一対の補助部材32を一緒に上昇及び下降させるリフタ25を備える。共通の(1台の)リフタ25によって、支持部材31と補助部材32の上昇及び下降を行うことができ、構成が簡素化されている。
【0043】
傾き検出手段47は、一対の支持部材31の横方向D2における両外側に配置されて物品Aの横方向D2に離間する底面の2箇所(被計測部Xa,Xb)までの距離をそれぞれ計測可能な一対の測距センサ33を有する。傾き検出手段47は、リフタ25により持ち上げられた物品Aにおける2箇所(被計測部Xa,Xb)までの距離Da,Dbに基づいて物品Aの傾きを検出する。これにより、物品Aが横方向D2における何れの側に傾いた場合でも、物品Aの偏荷重を簡易かつ確実に検出することができる。
【0044】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、
図8(a)及び
図8(b)に示されるように、検出装置1は、上記実施形態とは異なり、単一の支持部材31を備える。傾き検出手段は、支持部材31の搬送方向D1(第2方向)における何れか一方の外側に配置されて物品Aの底面Xの1箇所(被計測部Xb)までの距離を計測可能な1つの測距センサ33を有してもよい。この場合、傾き検出手段は、搬送面2aに対する第1高位置1HPの上昇量ΔH(高さ)と、持ち上げられた物品Aにおける距離Dbに基づいて物品Aの傾きを検出する。例えば、傾き検出手段は、第1高位置1HPの高さに基準面を設定し、上昇量ΔH(高さ)と距離Dbを比較することで、物品Aの傾きを検出する。これにより、1つの測距センサ33のみで物品Aの偏荷重を検出することができる。
【0045】
また傾き検出手段は、一対の補助部材32と物品Aとの接触を検知可能なセンサを有してもよい。この場合、傾き検出手段は、一対の補助部材32のうち何れかの補助部材32と物品Aとの接触を検知することで物品Aの傾きを検出する。補助部材32自体が、傾いた物品Aとの接触を検知するので、少ない部品数で物品Aの偏荷重を検出することができる。
【0046】
一対の支持部材31は、横方向D2における外側支持端点の離間距離W(
図7(a)参照)を物品Aの形状又は重量に応じて変更可能であってもよい。その場合には、例えば、昇降フレーム24上において一対の支持部材31が平行な状態を保ったまま横方向D2にスライド移動及び固定できるよう、支持部材31と昇降フレーム24との間に横方向D2に延びるレールとアクチュータ等の駆動装置(移動装置)が設けられる。物品Aの想定重量が大きいほど、離間距離Wを大きくしてもよい。物品Aの形状が大きいほど、離間距離Wを大きくしてもよい。補助部材32の位置は、支持部材31の位置(横方向の位置と、上下方向の高さ)と搬送面2aの位置に応じて、入庫コンベヤ2を保護可能なように適宜に設定される。
【0047】
上記実施形態では、検出装置1が、一対の支持部材31と一対の補助部材32を一緒に上昇及び下降させるリフタ25を備える態様について説明したが、この態様に限られない。共通の(1台の)リフタではなく、支持部材の上昇及び下降を行う昇降装置(リフタ等)と、補助部材の上昇及び下降を行う昇降装置(リフタ等)が別々に設けられてもよい。一対の補助部材32に代えて、例えば一体の(単一の)補助部材が適用されてもよい。その場合、補助部材は、例えば平面視でC字状をなしており、支持部材の両外側に配置された一対の支持部を有する。
【0048】
ディスプレイ50が省略されてもよい。例えば、制御・判定部40から中央監視装置へ、又は、運搬車100に備わる若しくは作業者が所持する形態端末等へ、エラー信号が送信されてエラー報知(不合格の旨及び荷物の調整を行う旨の報知)がなされてもよい。
【0049】
入庫コンベヤ2において載置センサ36が省略され、載置センサ36に代えて、作業者による操作ボックス又はリモコンのボタン操作が行われてもよい。
【0050】
コンベヤは、チェーンコンベヤに限られない。例えば、ローラーコンベア(チェーンの代わりに複数のローラーを有するコンベア)が本開示の検出装置に適用されてもよい。
【0051】
本発明の対象となる物品は、上記実施形態の物品Aに限られない。物品は、コンテナ又はケース等の収納容器と、その収納容器に格納された荷物等とを含んでもよい。収納容器の大きさ及び形状、ならびに、収納容器に収納される荷物の大きさ、形状及び種類は、特に限定されない。
【0052】
本発明の一態様の構成要件は以下の通りに記載される。
[1]
コンベヤの所定位置に配置され、前記コンベヤにより支持される物品の偏荷重を検出する検出装置であって、
前記物品を支持する搬送面を有し、前記物品を第1方向に搬送する前記コンベヤと、
前記所定位置において、前記コンベヤの内側において前記第1方向と直交する第2方向に離間して配置され、前記搬送面より低い第1低位置から前記搬送面より高い第1高位置まで上昇可能な支持部材と、
前記所定位置において、前記支持部材の両外側に配置され、前記搬送面より低い第2低位置から前記搬送面より高く且つ前記第1高位置より低い第2高位置まで上昇可能な補助部材と、
前記支持部材によって持ち上げられた前記物品の前記第2方向における傾きを検出可能な傾き検出手段と、を備え、
前記補助部材は、前記支持部材によって前記第1高位置まで持ち上げられて傾いた前記物品を前記第2高位置に位置する補助部材により支持することで前記物品の前記コンベヤに対する接触を防止可能である、検出装置。
[2]
前記支持部材と前記補助部材を一緒に上昇及び下降させるリフタを更に備える、[1]に記載の検出装置。
[3]
前記傾き検出手段は、前記支持部材の前記第2方向における両外側に配置されて前記物品の前記第2方向に離間する底面の2箇所までの距離をそれぞれ計測可能な一対の測距センサを有し、持ち上げられた前記物品における前記2箇所までの距離に基づいて前記物品の傾きを検出する、[1]又は[2]に記載の検出装置。
[4]
前記傾き検出手段は、前記支持部材の前記第2方向における何れか一方の外側に配置されて前記物品の底面の1箇所までの距離を計測可能な1つの測距センサを有し、前記搬送面に対する前記第1高位置の高さと、持ち上げられた前記物品における前記距離に基づいて前記物品の傾きを検出する、[1]又は[2]に記載の検出装置。
[5]
前記傾き検出手段は、前記補助部材と前記物品との接触を検知可能なセンサであり、前記補助部材と前記物品との接触を検知することで前記物品の傾きを検出する、[1]又は[2]に記載の検出装置。
[6]
前記支持部材は、前記第2方向における離間距離を前記物品の形状又は重量に応じて変更可能である、[1]~[5]の何れか一つに記載の検出装置。
【符号の説明】
【0053】
1…検出装置、2…入庫コンベヤ、25…リフタ、28…昇降モータ、31…支持部材、32…補助部材、33…測距センサ、40…制御・判定部、43…傾き検出部、44…偏荷重判定部、47…傾き検出手段、A…物品、D1…搬送方向(第1方向)、D2…横方向(第2方向)、Da,Db…距離、EP…端部位置(所定位置)、1HP…第1高位置、2HP…第2高位置、1LP…第1低位置、2LP…第2低位置、X…底面、Xa,Xb…被計測部。