(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113304
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】スマートカードガイド構造
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20240815BHJP
G06K 13/063 20060101ALI20240815BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20240815BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
G06F1/16 312W
G06F1/16 312E
G06K13/063 C
G06K7/00 021
G06K7/00 056
G06K7/10 224
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018189
(22)【出願日】2023-02-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲塚▼崎 遥
【テーマコード(参考)】
5B023
【Fターム(参考)】
5B023EA05
(57)【要約】
【課題】構造がシンプルでスマートカードの挿入動作をスムーズに行うことできる、機器への組み込みが容易なスマートカードガイド構造を提供する。
【解決手段】スマートカードガイド構造は、スマートカードの第1面に設けられたカード端子と接触して少なくともスマートカードから情報を読み取るコネクタを第1基板面に備える基板の第1基板面に対して隙間を空けて対向配置され、第1基板面に沿ってコネクタに向かって挿入されるスマートカードの第1面の逆側である第2面をガイドしてカード端子をコネクタに接触させる第1ガイド部を備える第1部材と、第1ガイド部に対向位置され、挿入されるスマートカードの第2面が第1ガイド部に向かうようにスマートカードの第1面をガイドするスロープ形状の第2ガイド部を、基板の第1基板面の逆側である第2基板面を支持する金属部材にインサート成形される樹脂部材の一部として形成した第2部材と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートカードの第1面に設けられたカード端子と接触して少なくとも前記スマートカードから情報を読み取るコネクタを第1基板面に備える基板の前記第1基板面に対して隙間を空けて対向配置され、前記第1基板面に沿って前記コネクタに向かって挿入される前記スマートカードの前記第1面の逆側である第2面をガイドして前記カード端子を前記コネクタに接触させる第1ガイド部を備える第1部材と、
前記第1ガイド部に対向位置され、挿入される前記スマートカードの前記第2面が前記第1ガイド部に向かうように前記スマートカードの前記第1面をガイドするスロープ形状の第2ガイド部を、前記基板の前記第1基板面の逆側である第2基板面を支持する金属部材にインサート成形される樹脂部材の一部として形成した第2部材と、
を備える、スマートカードガイド構造。
【請求項2】
前記樹脂部材は、前記第2部材の周縁領域に配置されるアンテナの電波を透過させる電波透過領域を形成する部材である、請求項1に記載のスマートカードガイド構造。
【請求項3】
前記第1部材は、当該第1部材の端部と対向配置される前記第2部材の端部とによって前記スマートカードの挿入口を形成するとともに、前記電波透過領域に対応する位置に前記アンテナを支持するアンテナ支持領域を備える、請求項2に記載のスマートカードガイド構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スマートカードガイド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノートブック型パーソナルコンピュータ等の携帯型の情報処理装置において、利用者の認証等を行う手段として、スマートカード(チップカード、IC(integrated circuit)カードともいう)を用いた技術が実用化されている。例えば、接触型のスマートカードの場合、カード表面に平たい金属端子を備え、読取装置側のコネクタ(プローブ端子)に金属端子を接触させることにより通電し、回路駆動用の電力供給と信号(情報)の送受信を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スマートカードの読取装置は、特許文献1に示されるように、携帯型の情報処理装置に対して、外部接続される機器として構成される場合もあるが、携帯型の情報処理装置に内蔵される場合も考えられる。スマートカードの読取装置を携帯型の情報処理装置に内蔵する場合、小型化や薄型化が要求される。そのため、スマートカードの挿入スペースが必要最小限となる傾向があり、読取装置内部でスマートカードが引っかかったり、傷が付いたりしないようにするため読取装置の構造、特にスマートカードのガイド構造が複雑になってしまうという問題がある。
【0005】
従って、本発明が解決する課題の一例は、スマートカードの読取装置を携帯型の情報処理装置等の機器に内蔵する場合に、その構造が複雑になることなく、スマートカードの挿入動作をよりスムーズに行うことできるとともに、機器への組み込みを容易に行うことができるスマートカードガイド構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様に係るスマートカードガイド構造は、スマートカードの第1面に設けられたカード端子と接触して少なくとも前記スマートカードから情報を読み取るコネクタを第1基板面に備える基板の前記第1基板面に対して隙間を空けて対向配置され、前記第1基板面に沿って前記コネクタに向かって挿入される前記スマートカードの前記第1面の逆側である第2面をガイドして前記カード端子を前記コネクタに接触させる第1ガイド部を備える第1部材と、前記第1ガイド部に対向位置され、挿入される前記スマートカードの前記第2面が前記第1ガイド部に向かうように前記スマートカードの前記第1面をガイドするスロープ形状の第2ガイド部を、前記基板の前記第1基板面の逆側である第2基板面を支持する金属部材にインサート成形される樹脂部材の一部として形成した第2部材と、を備える。
【0007】
また、前記樹脂部材は、例えば、前記第2部材の周縁領域に配置されるアンテナの電波を透過させる電波透過領域を形成する部材であってもよい。
【0008】
また、前記第1部材は、例えば、当該第1部材の端部と対向配置される前記第2部材の端部とによって前記スマートカードの挿入口を形成するとともに、前記電波透過領域に対応する位置に前記アンテナを支持するアンテナ支持領域を備えてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、ガイド機構を2部材で構成することによって、ガイド構造のシンプル化、つまり、各部材の形状のシンプル化が図れる。その結果、スマートカードの誘導空間のシンプル化が可能になり、スマートカードの挿入動作をよりスムーズに実現することができる。また、第2ガイド部を既存の金属部材にインサート成形することにより形成するので、スマートカードガイド構造を情報処理装置等に組み付ける場合の利用スペースの節約や組付け容易性の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるスマートカードガイド構造を搭載する情報処理装置(ノートブック型パーソナルコンピュータ)を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかるスマートカードガイド構造において、第1部材と第2部材を組み合わせた状態を示す例示的かつ模式的な部分断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるスマートカードガイド構造を構成する第1部材の外面側を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかるスマートカードガイド構造を構成する第1部材の内面側を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかるスマートカードガイド構造を構成する第2部材を示す例示的かつ模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかるスマートカードガイド構造を構成する第2部材におけるアンテナの配置状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6の第2部材において、A-A線に沿って断面をとった場合の例示的かつ模式的な部分断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかるスマートカードガイド構造において、スマートカードを挿入した状態を示す例示的かつ模式的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0012】
図1は、実施形態にかかる実施形態にかかるスマートカードガイド構造10を搭載する情報処理装置Mを示す例示的かつ模式的な斜視図である。情報処理装置Mは、例えば、ノートブック型パーソナルコンピュータ)である。情報処理装置Mの側面M1には、例えば、正規利用者であることを認証するためにスマートカード12を情報処理装置Mに内蔵された読取装置(不図示)に矢印Y方向に挿入するためのスロットS(挿入口)が設けされている。情報処理装置Mの側面M1には、スロットSの他、イヤホーンマイクの端子H、外部機器の接続端子C1,C2,C3,C4、インジケータL等が配置されている。なお、側面M1における各構成の配置は、一例であり、配置される部材(スロットや端子、インジケータ等)の種類や数、配置は、情報処理装置Mの機種やグレードによって適宜変更可能である。
【0013】
図2は、実施形態にかかるスマートカードガイド構造10を構成する第1部材14と第2部材16とを組み合わせた状態を示す例示的かつ模式的な部分断面図である。つまり、本実施形態のスマートカードガイド構造10は、対向配置される第1部材14と第2部材16の2部材で構成される。
図1に示すように、スロットSから挿入されたスマートカード12は、スマートカードガイド構造10の内部に形成されたが誘導空間Saを通り、読取装置18Aに導かれる。なお、
図2において、読取装置18Aは、例えば、複数のコネクタ18(プローブ端子)を備えるチップ部品である。スマートカードガイド構造10によって、読取装置18Aに誘導されるスマートカード12は、例えば、接触型の認証用カードである。接触型のスマートカード12は、
図1に示されるように、カードの一方の面である第1面12aの表面に平たいカード端子12b(金属端子)を備える。スマートカード12は、読取装置18Aのコネクタ18にカード端子12bを接触させることにより通電され、回路駆動用の電力供給と信号(認証情報等)の送受信を行うことができる。
【0014】
第1部材14は、スマートカード12の第1面12aに設けられたカード端子12bと接触して少なくともスマートカード12から情報(例えば認証情報等)を読み取るコネクタ18を第1基板面20aに備える基板20の第1基板面20aに対して隙間を空けて対向配置される。このとき形成される隙間がスマートカード12を受け入れる誘導空間Saとなる。第1部材14は、第1基板面20aに沿ってコネクタ18に向かって挿入されるスマートカード12の第1面12aの逆側である第2面12c(
図1参照)をガイドして誘導することによりカード端子12bをコネクタ18に接触させる第1ガイド部14aを備える。第1部材14の形状の詳細は後述する。
【0015】
また、第2部材16は、第1ガイド部14aに対向位置される。第2部材16は、挿入されるスマートカード12の第2面12cが第1ガイド部14aに向かうようにスマートカード12の第1面12aをガイドするスロープ形状の第2ガイド部16aを、基板20の第1基板面20aの逆側である第2基板面20bを支持する金属部材(外装部品N)にインサート成形される樹脂部材16Aの一部として形成している。第2部材16の形状の詳細は後述する。
【0016】
以下、
図2に加え、
図3~
図8を用いて、スマートカードガイド構造10の構成を詳細に説明する。
図3は、スマートカードガイド構造10を構成する第1部材14の外面14F側(第1ガイド部14aの裏側)を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図4は、スマートカードガイド構造10を構成する第1部材14の内面14R側(第1ガイド部14a)を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図5は、スマートカードガイド構造10を構成する第2部材16を示す例示的かつ模式的な平面図である。
図6は、スマートカードガイド構造10を構成する第2部材16におけるアンテナの配置状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図7は、
図6の第2部材16において、A-A線に沿って断面をとった場合の例示的かつ模式的な部分断面図である。
図8は、スマートカードガイド構造10において、スマートカード12を挿入した状態を示す例示的かつ模式的な部分断面図である。
【0017】
なお、本実施形態において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。スマートカードガイド構造10のスロットSに挿入されるスマートカード12を基準にした場合、X軸は、平面視で略長方形形状のスマートカード12の短辺に沿う方向に設けられる。Y軸は、スマートカード12の長辺に沿う方向に設けられる。Z軸は、スマートカード12の厚み方向に沿って設けられる。また、スマートカードガイド構造10を基準にする場合、X軸は、スロットSの開口幅に沿う方向に設けられる。Y軸は、スマートカード12の挿入方向に沿う方向に設けられる。Z軸は、第1部材14と第2部材16との対向方向に沿って設けられる。さらに、本実施形態において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。
【0018】
図3、
図4に示されるように、第1部材14は、例えば、樹脂材料等を用いた射出成形により形成可能な板状の部品である。上述したように、第1部材14の第1ガイド部14a(内面14R)は、スマートカード12の第2面12cと接触(ガイド)して、挿入されるスマートカード12の第1面12a側に配置されたカード端子12bをコネクタ18に接触させる。樹脂材料で構成される第1ガイド部14a(内面14R)は、扁平な面で形成されている。したがって、樹脂製のスマートカード12の第2面12cが接触(摺動)しながら挿入された場合でもスマートカード12の第2面12cが傷付く等の不都合を抑制することができる。なお、第1ガイド部14aは、スマートカード12の第2面12cと接触(摺動)しながらスマートカード12を誘導(ガイド)できればよく、例えば、Y方向に延び、X方向に間隔を置いて設けられる複数の凸条部で構成されてもよい。
【0019】
第1部材14は、
図4に示されるように、+X方向および-X方向の端部に、内面14RからZ方向に折り返されたスロット壁部Sh1,Sh2が形成されている。スロット壁部Sh1,Sh2は、第2部材16の一部と係合することによりスマートカード12の誘導空間Saを画成する。また、スロット壁部Sh1,Sh2の-Y方向の端部には、スロット画成部Sh1a,Sh2aが形成され、第2部材16の対応する端部と係合することによりスロットS(挿入口)を画成する。
【0020】
また、第1部材14の外面14Fには、情報処理装置Mに組付けられた場合に、他の部材、例えば、バッテリパック等を支持する際の補強リブ14bが形成されてもよい。また、第1部材14の外面14Fには、第2部材16における後述する電波透過領域に対応する位置にアンテナを支持するアンテナ支持領域14Eが形成されている。アンテナ支持領域14Eには、例えば、アンテナ支持ブラケット14Ea,14Ebが形成されている。アンテナ支持領域14Eは、第1部材14の一部であり、樹脂材料で形成されているので、支持するアンテナが送受信する電波の透過が可能であり、アンテナ性能を確保することができる。
【0021】
また、
図4に示されるように、第1部材14の内面14Rにおいて、スロットSの形成位置に対して+Y方向に反対側の位置には、X方向に延び、+Z方向に立ち上がる終端壁14dが形成されている。終端壁14dは、スマートカード12が誘導空間Saに挿入された場合に、スマートカード12の挿入先端部と当接して、挿入動作を制限するとともに、カード端子12bとコネクタ18とが接触位置を規定するストッパとして機能する。
【0022】
次に、
図5~
図7を参照して、情報処理装置M(例えば、ノートブック型パーソナルコンピュータ)の外装部品N(背面ケース16M)としても機能するスマートカードガイド構造10の第2部材16について説明する。第2部材16は、その大半が、金属部材で構成されるとともに、一部に樹脂部材16Aを含んでいる。第2部材16は、射出成形時にインサート品である(背面ケース16M:金属部材)とスマートカードガイド構造10の一部を構成する樹脂部材16Aが一体となるインサート成形によって作成可能である。ノートブック型パーソナルコンピュータ等の情報処理装置Mは、筐体剛性を確保するとともに、軽量化を要求される場合があり、例えば、マグネシウム合金等の軽量金属によって、外装部品Nが形成されることがある。また、ノートブック型パーソナルコンピュータ等の情報処理装置Mは、外部との通信を実現するために、アンテナを搭載する場合がある。この場合、通信品質を向上する目的や異なる通信規格に対応することを目的として複数のアンテナを搭載する場合がある。上述のように金属材料を外装部品N(例えば背面ケース16M)に採用する情報処理装置Mの場合、外装部品Nが電波を透過する必要があるため、アンテナ搭載領域は、電波を透過可能な部品、例えば樹脂部品で構成する場合がある。
図5に示す第2部材16(外装部品N)の場合、樹脂部材16Aをインサート成形によって形成した複数の電波透過領域22を備えている。第2部材16は、例えば、側面領域に第1電波透過領域22aを配置し、手前側に第2電波透過領域22b、第3電波透過領域22cを配置している。
図6は、第1電波透過領域22a、第2電波透過領域22b、第3電波透過領域22cに、それぞれ対応するアンテナ24として、第1アンテナ24a、第2アンテナ24b、第3アンテナ24cを配置した例である。各第1アンテナ24a、第2アンテナ24b、第3アンテナ24cは、同一の通信規格のアンテナでもよし、異なる通信規格のアンテナでもよい。また、アンテナ24(電波透過領域22)の数は一例であり、情報処理装置Mに要求される性能に応じて適宜増減してもよい。なお、背面ケース16Mの内面(部品実装面側)には、種々の部品を実装するための実装用リブや補強用リブ等が形成されている。また、後述するが、
図6では、図示を省略しているが、第1電波透過領域22aと、第1アンテナ24aとの間には第1部材14の一部が介在することになる。
【0023】
本実施形態の第2部材16である背面ケース16Mには、上述したように樹脂部材16Aがインサート成形されている。そこで、スマートカードガイド構造10の第2ガイド部16aが、樹脂部材16Aである電波透過領域22と、例えば一体的に整形されている。上述したように、第2ガイド部16aは、基板20の第1基板面20aの逆側である第2基板面20bを支持する金属部材(外装部品N、背面ケース16M)にインサート成形される樹脂部材16Aの一部として形成している。したがって、電波透過領域22の成形時に第2ガイド部16aの成形を容易に実施することができる。また、成形時に利用される金型は、樹脂部材16Aをインサート成形可能なように構成されているとともに、背面ケース16Mの全体を成形可能な大型のものが利用されている。したがって、既存の金型に樹脂部材16Aの一部として第2ガイド部16aを追加することは容易であり、第2ガイド部16aの成形を容易に実現することができる。また、第2ガイド部16aが成形された第2部材16の成形を既存の金型の改造で対応することが可能となり、金型作成コストの低減にも寄与することができる。
【0024】
図7は、
図6の第2部材16において、A-A線に沿って断面をとった場合の例示的かつ模式的な部分断面図である。第2部材16の第2ガイド部16aは、挿入されるスマートカード12の第2面12c(
図1参照)が、第2部材16と対向載置される第1部材14の第1ガイド部14aに向かうようにスマートカード12の第1面12aをガイドするようにスロープ形状になっている。具体的には、
図7に示されるように、第2ガイド部16aは、-Z方向の高さがスマートカード12の挿入方向であるY方向に向かうのに連れて徐々に高くなるように傾斜したスロープ16sになっている。つまり、スマートカード12がY方向に挿入される場合、カード挿入者の意図に関わらず、スマートカード12の挿入姿勢が第1部材14の第1ガイド部14a(内面14R)に向かうようにガイドされる。換言すれば、スマートカード12の挿入姿勢を、第2部材16から離間して第1ガイド部14aに接近するようにガイドする。その結果、スマートカードガイド構造10の誘導空間Saを移動するスマートカード12の挿入方向先端部(Y方向先端部)が、第2部材16に支持される基板20の端部や、読取装置18Aの端部等に接触すること(引っかかること)を抑制し、スマートカード12のカード端子12bを読取装置18Aのコネクタ18と接触する位置にスムーズに誘導することができる。
【0025】
また、
図7に示されるように、第2ガイド部16aは、例えば、X方向に所定間隔で分離された凸条部16aaで構成されている。つまり、第2ガイド部16aは、櫛型形状をとなっている。第2ガイド部16aを櫛型形状とすることで、スマートカード12が第1面12aと接触する面積を低減して挿入する際の摺動抵抗の軽減に寄与することができる。なお、各凸条部16aaのX方向の幅を適度に広くすることにより、凸条部16aaがスマートカード12の第1面12aと接触する際に、圧力が線状に集中することを軽減して、第1面12aに傷が付くことを抑制することにも寄与することができる。また、各凸条部16aaを離間させることにより、第2ガイド部16aを成形するための樹脂量を少なくすることができる。その結果、部品コストの軽減にも寄与することができる。なお、各凸条部16aaの幅や数は、スマートカード12における傷発生の有無や摺動抵抗の大きさ、成形時の樹脂の充填状態等を予め試験等により検討し、適宜決定することができる。なお、本実施形態の場合、
図5、
図7等に示されるように、電波透過領域22(第1電波透過領域22a)と第2ガイド部16aとが、複数のライナー16pで接続されている例を示しているが、電波透過領域22(第1電波透過領域22a)と第2ガイド部16aは、独立した状態でインサート成形されてもよい。また、ライナー16pの数は適宜変更可能である。また、ライナー16pは分離せずに、幅広の形状としてもよい。
【0026】
なお、
図7に示されるように、第2部材16において、
図4に示される第1部材14のスロット壁部Sh1,Sh2の-Y方向の端部と対応する部分には、X方向に延び、-Z方向に立ち上がるスロット画成壁16hが形成され、第1部材14の端部と係合することによりスロットSを画成する。
【0027】
上述のように構成される第1部材14と第2部材16とをZ方向に組み合わせることにより、周縁部にスロットSを備えるスマートカードガイド構造10が得られる。また、この場合、スマートカードガイド構造10を第1部材14と第2部材16との2部材の組み合わせにより構成することにより、スマートカードガイド構造10の構造をシンプル化することができるとともに、組み立てを容易に行うことができる。その結果、スマートカードガイド構造10(情報処理装置M)の歩留まりの向上にも寄与することができる。
【0028】
図8は、スマートカードガイド構造10において、スマートカード12を挿入した状態を示す例示的かつ模式的な部分断面図である。上述したように、スマートカード12をスロットSからY方向に誘導空間Saに挿入すると、スマートカード12の第1面12aが第2ガイド部16aの凸条部16aaに接触して、-Z方向に徐々に挿入姿勢が補正される。その結果、スマートカード12の第2面12cが、第1部材14の第1ガイド部14aの方向にガイドされる。つまり、スマートカード12は、Y方向へ挿入されるのに伴い、第2部材16から離間して第1部材14の第1ガイド部14aに接近する。その結果、スマートカードガイド構造10の誘導空間Saを移動するスマートカード12の挿入方向先端部が、第2部材16に支持される基板20の端部や、読取装置18Aの端部等に接触すること(引っかかること)を抑制することができる。そして、誘導空間SaをY方向に進むスマートカード12の先端は、第1部材14の終端壁14dに当接することにより、挿入動作が停止させられるとともに、スマートカード12のカード端子12bがコネクタ18と相対する位置に位置決めされ、両者の接触が実現され、必要な情報の送受が可能となる。
【0029】
上述した実施形態では、スマートカードガイド構造10を情報処理装置M(例えば、ノート型のパーソナルコンピュータ)に適用した例を示した。他の実施形態においては、他の電子機器に適用してもよく同様の効果を得ることができる。例えば、タブレットや携帯端末等のように筐体の小型化や薄型化が進められる機器において、スマートカードガイド構造10の実装が求まられる場合で、当該スマートカードガイド構造10のシンプル化やスマートカード12のスムーズな挿入動作を実現したい機器に本実施形態のスマートカードガイド構造10を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0030】
また、上述の実施形態では、第2ガイド部16aを、樹脂部材16Aとして第1アンテナ24aを配置するための第1電波透過領域22aと一体化する例を示した。他の実施形態では、スマートカードガイド構造10の搭載位置の近傍に設けられた他の部材用の樹脂部材と関連付けて、インサート成形するようにしてもよく、同様の効果を得ることができる。
【0031】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
10…スマートカードガイド構造、12…スマートカード、12a…第1面、12b…カード端子、12c…第2面、14…第1部材、14a…第1ガイド部、14E…アンテナ支持領域、16…第2部材、16A…樹脂部材、16a…第2ガイド部、18…コネクタ、18A…読取装置、20…基板、20a…第1基板面、20b…第2基板面、22…電波透過領域、24…アンテナ
【手続補正書】
【提出日】2023-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートカードの第1面に設けられたカード端子と接触して少なくとも前記スマートカードから情報を読み取るコネクタを第1基板面に備える基板の前記第1基板面に対して隙間を空けて対向配置され、前記第1基板面に沿って前記コネクタに向かって挿入される前記スマートカードの前記第1面の逆側である第2面をガイドして前記カード端子を前記コネクタに接触させる第1ガイド部を備える第1部材と、
前記第1ガイド部に対向位置され、挿入される前記スマートカードの前記第2面が前記第1ガイド部に向かうように前記スマートカードの前記第1面をガイドするスロープ形状の第2ガイド部を、前記基板の前記第1基板面の逆側である第2基板面を支持する金属部材にインサート成形される樹脂部材の一部として形成した第2部材と、
を備え、前記樹脂部材は、前記第2部材の周縁領域に配置されるアンテナの電波を透過させる電波透過領域を形成する部材である、スマートカードガイド構造。
【請求項2】
前記第1部材は、当該第1部材の端部と対向配置される前記第2部材の端部とによって前記スマートカードの挿入口を形成するとともに、前記電波透過領域に対応する位置に前記アンテナを支持するアンテナ支持領域を備える、請求項1に記載のスマートカードガイド構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の第一の態様に係るスマートカードガイド構造は、スマートカードの第1面に設けられたカード端子と接触して少なくとも前記スマートカードから情報を読み取るコネクタを第1基板面に備える基板の前記第1基板面に対して隙間を空けて対向配置され、前記第1基板面に沿って前記コネクタに向かって挿入される前記スマートカードの前記第1面の逆側である第2面をガイドして前記カード端子を前記コネクタに接触させる第1ガイド部を備える第1部材と、前記第1ガイド部に対向位置され、挿入される前記スマートカードの前記第2面が前記第1ガイド部に向かうように前記スマートカードの前記第1面をガイドするスロープ形状の第2ガイド部を、前記基板の前記第1基板面の逆側である第2基板面を支持する金属部材にインサート成形される樹脂部材の一部として形成した第2部材と、を備え、前記樹脂部材は、前記第2部材の周縁領域に配置されるアンテナの電波を透過させる電波透過領域を形成する部材である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】