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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011331
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】スクリュードライバ
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B25B21/00 530Z
B25B21/00 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113252
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 剛
(57)【要約】
【課題】潤滑剤の飛散を抑制すること。
【解決手段】スクリュードライバは、ハウジングと、モータと、ハウジングの内側に配置され、モータにより回転軸を中心に回転されるクラッチカムと、クラッチカムよりも前方に配置され、クラッチカムに設けられた駆動カム部に対向する従動カム部及び先端工具が装着されるロッド部を有し、駆動カム部と従動カム部とが接触又は離隔するようにハウジングに前後方向に移動可能に支持されるスピンドルと、ハウジングの内側において駆動カム部及び従動カム部よりも径方向外側に配置されるスリーブと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
モータと、
前記ハウジングの内側に配置され、前記モータにより回転軸を中心に回転されるクラッチカムと、
前記クラッチカムよりも前方に配置され、前記クラッチカムに設けられた駆動カム部に対向する従動カム部及び先端工具が装着されるロッド部を有し、前記駆動カム部と前記従動カム部とが接触又は離隔するように前記ハウジングに前後方向に移動可能に支持されるスピンドルと、
前記ハウジングの内側において前記駆動カム部及び前記従動カム部よりも径方向外側に配置されるスリーブと、を備える、
スクリュードライバ。
【請求項2】
前記クラッチカムは、前記回転軸の周囲に配置されるカムリング部を有し、
前記駆動カム部は、前記カムリング部の前面から前方に突出するように設けられ、
前記スピンドルは、前記ロッド部の後端部に設けられるフランジ部を有し、
前記従動カム部は、前記フランジ部の後面から後方に突出するように設けられ、
前記スリーブは、前記カムリング部及び前記フランジ部のそれぞれに支持される、
請求項1に記載のスクリュードライバ。
【請求項3】
前記フランジ部の外周部に配置され、前記スリーブに接触する前側Oリングを備える、
請求項2に記載のスクリュードライバ。
【請求項4】
前記カムリング部の外周部に配置され、前記スリーブに接触する後側Oリングを備える、
請求項3に記載のスクリュードライバ。
【請求項5】
前記スピンドルが前進位置に配置されている状態で、前記駆動カム部と前記従動カム部とが離隔し、
前記スピンドルが前記前進位置よりも後方の後退位置に配置されている状態で、前記駆動カム部と前記従動カム部とが接触可能であり、
前記スピンドルが前進位置に配置されている状態で、前記クラッチカムの回転力が前記スリーブを介して前記スピンドルに伝達される、
請求項3又は請求項4に記載のスクリュードライバ。
【請求項6】
前記スピンドルは、前記スリーブを介して伝達された前記クラッチカムの回転力により回転しながら前記後退位置に向かって移動する、
請求項5に記載のスクリュードライバ。
【請求項7】
前記スピンドルは、前記スリーブと前記前側Oリングとの摩擦により回転する、
請求項6に記載のスクリュードライバ。
【請求項8】
前記ハウジングに支持され、前記スピンドルが前進位置に配置されている状態で前記スピンドルの回転を阻止するブレーキ部材を備える、
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のスクリュードライバ。
【請求項9】
前記スピンドルは、前記フランジ部の前面から前方に突出する前側カム部を有し、
前記ブレーキ部材は、前記ハウジングに支持されるブレーキリング部と、前記スピンドルが前進位置に配置されている状態で前記前側カム部に接触するブレーキカム部と、を有する、
請求項8に記載のスクリュードライバ。
【請求項10】
前記スピンドルが前記前進位置から前記前進位置と前記後退位置との間の中間位置に移動したときに、前記ブレーキ部材による前記回転の阻止が解除され、前記スピンドルの回転が開始される、
請求項9に記載のスクリュードライバ。
【請求項11】
少なくとも一部が前記クラッチカムよりも後方に配置され、前記モータにより前記回転軸を中心に回転する駆動ギヤを備え、
前記クラッチカムは、前記駆動ギヤに支持され、
前記スリーブは、前記カムリング部及び前記フランジ部のそれぞれの周囲に配置される円筒部と、前記駆動ギヤの前面に接触するストッパ部と、を有する、
請求項2から請求項10のいずれか一項に記載のスクリュードライバ。
【請求項12】
前記クラッチカムは、前記カムリング部の後面に設けられたカムボール溝を有し、
前記カムボール溝は、前記回転軸に直交する面内において円弧状であり、
前記カムボール溝の少なくとも一部は、前後方向に傾斜し、
前記カムボール溝に配置されるボールを備え、
前記クラッチカムは、前記ボールを介して前記駆動ギヤに結合され、
前記駆動カム部と前記従動カム部とが接触したときに、前記クラッチカムが前方に移動する、
請求項11に記載のスクリュードライバ。
【請求項13】
前記スリーブよりも径方向内側に配置され、前記クラッチカムを後方に付勢するコンプレッションスプリングを備え、
前記駆動カム部及び前記従動カム部を介して伝達された前記クラッチカムの回転力により回転する前記スピンドルに掛かるトルクが低下したときに、前記コンプレッションスプリングによりクラッチカムが後方に移動して、前記駆動カム部と前記従動カム部とが離隔する、
請求項12に記載のスクリュードライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、スクリュードライバに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュードライバに係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなねじ締め機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5382430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スクリュードライバは、クラッチ機構を有する。クラッチ機構にグリスのような潤滑剤が塗布される。潤滑剤が周囲に飛散すると、クラッチ機構において潤滑剤が減少する可能性がある。クラッチ機構において潤滑剤が減少すると、クラッチ機構の摩耗が促進され、スクリュードライバの寿命が短くなる可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、潤滑剤の飛散を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、スクリュードライバを開示する。スクリュードライバは、ハウジングと、モータと、ハウジングの内側に配置されるクラッチカムと、クラッチカムよりも前方に配置されるスピンドルと、を備えてもよい。クラッチカムは、モータにより回転軸を中心に回転されてもよい。スピンドルは、クラッチカムに設けられた駆動カム部に対向する従動カム部及び先端工具が装着されるロッド部を有してもよい。スピンドルは、駆動カム部と従動カム部とが接触又は離隔するようにハウジングに前後方向に移動可能に支持されてもよい。スクリュードライバは、ハウジングの内側において駆動カム部及び従動カム部よりも径方向外側に配置されるスリーブと、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、潤滑剤の飛散が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るスクリュードライバを示す前方からの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るスクリュードライバを示す後方からの斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るスクリュードライバを示す側面図である。
図4図4は、実施形態に係るスクリュードライバを示す縦断面図である。
図5図5は、実施形態に係るスクリュードライバの一部を拡大した縦断面図である。
図6図6は、実施形態に係るスクリュードライバを示す横断面図である。
図7図7は、実施形態に係るスクリュードライバの一部を拡大した横断面図である。
図8図8は、実施形態に係る動力伝達機構を示す前方からの分解斜視図である。
図9図9は、実施形態に係る動力伝達機構を示す後方からの分解斜視図である。
図10図10は、実施形態に係るクラッチ機構及びカムスリーブを示す前方からの分解斜視図である。
図11図11は、実施形態に係るクラッチ機構及びカムスリーブを示す後方からの分解斜視図である。
図12図12は、実施形態に係るクラッチカムを後方から見た図である。
図13図13は、実施形態に係るクラッチ機構及びカムスリーブを示す縦断面図である。
図14図14は、実施形態に係るスピンドルロック機構を示す前方からの分解斜視図である。
図15図15は、実施形態に係るスピンドルロック機構を示す後方からの分解斜視図である。
図16図16は、実施形態に係る中間シャフトを示す前方からの斜視図である。
図17図17は、実施形態に係る中間シャフトを示す側面図である。
図18図18は、実施形態に係る中間シャフトを前方から見た図である。
図19図19は、実施形態に係るスピンドルを示す後方からの斜視図である。
図20図20は、実施形態に係るスピンドルを示す側面図である。
図21図21は、実施形態に係るスピンドルを示す縦断面図である。
図22図22は、実施形態に係るスピンドルの断面図である。
図23図23は、ロータが正転され、押し込み動作が実施されていないときのスクリュードライバの一部を示す断面図である。
図24図24は、図23のB部分の拡大図である。
図25図25は、図24のH-H線断面矢視図である。
図26図26は、図25のC部分の拡大図である。
図27図27は、ロータが正転され、押し込み動作が実施されたときのスクリュードライバの一部を示す断面図である。
図28図28は、図27のB部分の拡大図である。
図29図29は、図28のH-H線断面矢視図である。
図30図30は、図29のC部分の拡大図である。
図31図31は、ロータが逆転され、押し込み動作が実施されていないときのスクリュードライバの一部を示す断面図である。
図32図32は、図31のB部分の拡大図である。
図33図33は、図31のH-H線断面矢視図である。
図34図34は、図33のC部分の拡大図である。
図35図35は、ロータが逆転され、押し込み動作が実施されているときのスクリュードライバの一部を示す断面図である。
図36図36は、図35のB部分の拡大図である。
図37図37は、図36のH-H線断面矢視図である。
図38図38は、図37のC部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、ハウジングと、モータと、ハウジングの内側に配置されるクラッチカムと、クラッチカムよりも前方に配置されるスピンドルと、を備えてもよい。クラッチカムは、モータにより回転軸を中心に回転されてもよい。スピンドルは、クラッチカムに設けられた駆動カム部に対向する従動カム部及び先端工具が装着されるロッド部を有してもよい。スピンドルは、駆動カム部と従動カム部とが接触又は離隔するようにハウジングに前後方向に移動可能に支持されてもよい。スクリュードライバは、ハウジングの内側において駆動カム部及び従動カム部よりも径方向外側に配置されるスリーブを備えてもよい。
【0010】
上記の構成では、ハウジングの内側においてクラッチ機構の駆動カム部及び従動カム部よりも径方向外側にスリーブが配置されるので、駆動カム部及び従動カム部に塗布されたグリスのような潤滑剤がスリーブの周囲に飛散することが抑制される。これにより、駆動カム部及び従動カム部に潤滑剤が塗布された状態が維持され、クラッチ機構において潤滑剤が減少することが抑制される。そのため、駆動カム部及び従動カム部の摩耗が抑制され、スクリュードライバの寿命が短くなることが抑制される。また、スリーブにより、駆動カム部と従動カム部とが接触したときの騒音がスクリュードライバの周囲に伝達されることが抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、クラッチカムは、回転軸の周囲に配置されるカムリング部を有してもよい。駆動カム部は、カムリング部の前面から前方に突出するように設けられてもよい。スピンドルは、ロッド部の後端部に設けられるフランジ部を有してもよい。従動カム部は、フランジ部の後面から後方に突出するように設けられてもよい。スリーブは、カムリング部及びフランジ部のそれぞれに支持されてもよい。
【0012】
上記の構成では、駆動カム部及び従動カム部のそれぞれは、カムリング部とフランジ部とスリーブとにより画定される閉鎖空間の内側に配置される。そのため、駆動カム部及び従動カム部に塗布された潤滑剤がスリーブの周囲に飛散することが効果的に抑制される。また、スリーブにより、駆動カム部と従動カム部とが接触したときの騒音がスクリュードライバの周囲に伝達されることが効果的に抑制される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、フランジ部の外周部に配置され、スリーブに接触する前側Oリングを備えてもよい。
【0014】
上記の構成では、スリーブとフランジ部との境界が前側Oリングでシールされる。これにより、駆動カム部及び従動カム部に塗布された潤滑剤がスリーブの周囲に飛散することが効果的に抑制される。また、駆動カム部と従動カム部とが接触したときの騒音がスクリュードライバの周囲に伝達されることが効果的に抑制される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、カムリング部の外周部に配置され、スリーブに接触する後側Oリングを備えてもよい。
【0016】
上記の構成では、スリーブとカムリング部との境界が後側Oリングでシールされる。これにより、駆動カム部及び従動カム部に塗布された潤滑剤がスリーブの周囲に飛散することが効果的に抑制される。また、駆動カム部と従動カム部とが接触したときの騒音がスクリュードライバの周囲に伝達されることが効果的に抑制される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スピンドルが前進位置に配置されている状態で、駆動カム部と従動カム部とが離隔してもよい。スピンドルが前進位置よりも後方の後退位置に配置されている状態で、駆動カム部と従動カム部とが接触可能でもよい。スピンドルが前進位置に配置されている状態で、クラッチカムの回転力がスリーブを介してスピンドルに伝達されてもよい。
【0018】
上記の構成では、スリーブがカムリング部及びフランジ部のそれぞれに支持されるので、クラッチカムが回転した場合、スリーブとカムリング部との摩擦及びスリーブとフランジ部との摩擦により、クラッチカムの回転力がスリーブを介してスピンドルに伝達される。前側Oリングが配置される場合、スリーブと前側Oリングとの摩擦により、クラッチカムの回転力がスリーブ及び前側Oリングを介してスピンドルに伝達される。スピンドルは、スリーブと前側Oリングとの摩擦により回転する。後側Oリングが配置される場合、スリーブと後側Oリングとの摩擦により、クラッチカムの回転力が後側Oリング及びスリーブを介してスピンドルに伝達される。スピンドルは、スリーブと後側Oリングとの摩擦により回転する。後側Oリング及び前側Oリングの両方が配置される場合、スリーブと後側Oリングとの摩擦及びスリーブと前側Oリングとの摩擦により、クラッチカムの回転力が後側Oリング、スリーブ、及び前側Oリングを介してスピンドルに伝達される。スピンドルは、スリーブと後側Oリングとの摩擦、及びスリーブと前側Oリングとの摩擦により回転する。クラッチカムの回転力が摩擦によりスピンドルに伝達されるので、駆動カム部と従動カム部とが離隔している状態で、スピンドルは、クラッチカムの回転速度よりも低い回転速度で回転する。これにより、スピンドルは、クラッチカムの回転速度よりも低い回転速度で回転しながら後退位置に向かって移動することができる。スピンドルは、スリーブを介して伝達されたクラッチカムの回転力により回転しながら後退位置に向かって移動するので、スピンドルが回転せずに後退位置に向かって移動する場合に比べて、駆動カム部と従動カム部とが接触するときのクラッチカムとスピンドルとの相対回転速度が低くなる。そのため、駆動カム部と従動カム部とが接触するときの衝撃が小さくなる。したがって、駆動カム部と従動カム部との接触による騒音の発生が抑制される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、ハウジングに支持され、スピンドルが前進位置に配置されている状態でスピンドルの回転を阻止するブレーキ部材を備えてもよい。
【0020】
上記の構成では、スピンドルが前進位置に配置されている状態で、クラッチカムの回転力がスリーブを介してスピンドルに伝達されても、ブレーキ部材により、スピンドルの回転が阻止される。スピンドルの不必要な回転が抑制されるので、作業者は、例えば先端工具をねじの十字溝に挿入する作業を円滑に実施することができる。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スピンドルは、フランジ部の前面から前方に突出する前側カム部を有してもよい。ブレーキ部材は、ハウジングに支持されるブレーキリング部と、スピンドルが前進位置に配置されている状態で前側カム部に接触するブレーキカム部と、を有してもよい。
【0022】
上記の構成では、フランジ部の前側カム部とブレーキ部材のブレーキカム部との接触により、スピンドルの回転が阻止される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スピンドルが前進位置から前進位置と後退位置との間の中間位置に移動したときに、ブレーキ部材による回転の阻止が解除され、スピンドルの回転が開始されてもよい。
【0024】
上記の構成では、スピンドルが後退位置に移動する前の中間位置において、スピンドルの回転が開始される。スピンドルが中間位置から後退位置に移動するときにはスピンドルが回転しているので、駆動カム部と従動カム部とが接触するときのクラッチカムとスピンドルとの相対回転速度が低くなる。そのため、駆動カム部と従動カム部とが接触するときの衝撃が小さくなる。したがって、駆動カム部と従動カム部との接触による騒音の発生が抑制される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、少なくとも一部がクラッチカムよりも後方に配置され、モータにより回転軸を中心に回転する駆動ギヤを備えてもよい。クラッチカムは、駆動ギヤに支持されてもよい。スリーブは、カムリング部及びフランジ部のそれぞれの周囲に配置される円筒部と、駆動ギヤの前面に接触するストッパ部と、を有してもよい。
【0026】
上記の構成では、スピンドルが前進位置から後退位置に移動した場合、例えばスリーブと前側Oリングとの摩擦により、スリーブがスピンドルと一緒に後方に移動する可能性がある。スリーブは、駆動ギヤの前面に接触するストッパ部を有するので、スピンドルが後方に移動しても、スリーブがスピンドルと一緒に後方に移動することが抑制される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、クラッチカムは、カムリング部の後面に設けられたカムボール溝を有してもよい。カムボール溝は、回転軸に直交する面内において円弧状でもよい。カムボール溝の少なくとも一部は、前後方向に傾斜してもよい。スクリュードライバは、カムボール溝に配置されるボールを備えてもよい。クラッチカムは、ボールを介して駆動ギヤに結合されてもよい。駆動カム部と従動カム部とが接触したときに、クラッチカムが前方に移動してもよい。
【0028】
上記の構成では、スピンドルが前進位置に配置され駆動カム部と従動カム部とが離隔している状態で、クラッチカムは、駆動ギヤと一緒に回転することができる。スピンドルが前進位置から後退位置に移動して駆動カム部と従動カム部とが接触したとき、クラッチカムはスピンドルから回転方向の抵抗力を受け、その結果、ボールがカムボール溝を転がって、駆動ギヤとクラッチカムとがボールを介して相対回転する。カムボール溝の少なくとも一部が前後方向に傾斜しているので、駆動ギヤとクラッチカムとがボールを介して相対回転することにより、クラッチカムは前方に移動することができる。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スクリュードライバは、スリーブよりも径方向内側に配置され、クラッチカムを後方に付勢するコンプレッションスプリングを備えてもよい。駆動カム部及び従動カム部を介して伝達されたクラッチカムの回転力により回転するスピンドルに掛かるトルクが低下したときに、コンプレッションスプリングによりクラッチカムが後方に移動して、駆動カム部と従動カム部とが離隔してもよい。
【0030】
上記の構成では、スクリュードライバによるねじ締め作業の初期においては、先端工具を介してスピンドルが後方に押し込まれ、スピンドルが前進位置から後退位置に移動する。スピンドルが前進位置から後退位置に移動することにより、駆動カム部と従動カム部とが接触して、クラッチカムは前方に移動する。スクリュードライバによるねじ締め作業の終期においては、先端工具を介してスピンドルに掛かるトルクが低下するので、駆動カム部と従動カム部との接触力が低下する。駆動カム部と従動カム部との接触力が低下すると、コンプレッションスプリングによりクラッチカムが後方に移動する。これにより、駆動カム部と従動カム部とが離隔し、スピンドルの回転が停止する。
【0031】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0032】
実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、スクリュードライバ1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。実施形態において、スクリュードライバ1は、回転軸CXを中心に回転するスピンドル9を有する。
【0033】
実施形態においては、回転軸CXに平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸CXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸CXの放射方向を適宜、径方向、と称する。
【0034】
軸方向においてスクリュードライバ1の中心から規定の方向に離隔する方向又は位置を適宜、軸方向一方側、と称し、軸方向一方側の反対側を適宜、軸方向他方側、と称する。周方向において規定の方向を適宜、周方向一方側、と称し、周方向一方側の反対側を適宜、周方向他方側、と称する。径方向において回転軸AXから離隔する方向又は位置を適宜、径方向外側、と称し、径方向外側の反対側を適宜、径方向内側、と称する。
【0035】
実施形態において、軸方向と前後方向とは、一致する。軸方向一方側が前方とみなされてもよい。軸方向他方側が後方とみなされてもよい。
【0036】
[スクリュードライバ]
図1は、実施形態に係るスクリュードライバ1を示す前方からの斜視図である。図2は、実施形態に係るスクリュードライバ1を示す後方からの斜視図である。図3は、実施形態に係るスクリュードライバ1を示す側面図である。図4は、実施形態に係るスクリュードライバ1を示す縦断面図である。図5は、実施形態に係るスクリュードライバ1の一部を拡大した縦断面図である。図6は、実施形態に係るスクリュードライバ1を示す横断面図である。図7は、実施形態に係るスクリュードライバ1の一部を拡大した横断面図である。
【0037】
スクリュードライバ1は、本体ハウジング2と、ギヤハウジング3と、フック4と、バッテリ装着部5と、モータ6と、ファン7と、動力伝達機構8と、スピンドル9と、ブレーキ部材82と、工具保持機構10と、ロックリング11と、アジャストスリーブ12と、ゴムキャップ13と、トリガレバー14と、ロックボタン15と、正逆転切換レバー16と、ライト17と、スイッチプレート18と、プッシュドライブ機構19と、コントローラ20とを備える。
【0038】
本体ハウジング2は、スクリュードライバ1の構成要素の少なくとも一部を収容する。本体ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。本体ハウジング2は、左側ハウジング2Lと、左側ハウジング2Lよりも右方に配置される右側ハウジング2Rとを含む。左側ハウジング2Lと右側ハウジング2Rとは、複数のねじ2Sにより固定される。
【0039】
本体ハウジング2は、モータ収容部21と、ハンドル部22と、バッテリ保持部23と、連結部24と含む。
【0040】
モータ収容部21は、モータ6及び動力伝達機構8の少なくとも一部を収容する。モータ収容部21は、筒状である。モータ収容部21は、前後方向に延びる。
【0041】
ハンドル部22は、作業者に握られる。ハンドル部22は、上下方向に延びるグリップ部22Aと、グリップ部22Aの上部から前方に延びる連結部22Bとを有する。連結部22Bの前端部は、モータ収容部21の後端部の上部に繋がる。
【0042】
バッテリ保持部23は、バッテリ装着部5を介してバッテリパック25を保持する。バッテリ保持部23は、コントローラ20を収容する。グリップ部22Aの下端部は、バッテリ保持部23の後部に繋がる。
【0043】
連結部24は、モータ収容部21の下部とバッテリ保持部23の前部とを繋ぐように配置される。
【0044】
モータ収容部21の後部と、連結部24と、バッテリ保持部23と、ハンドル部22とにより、本体ハウジング2のループ部が形成される。
【0045】
モータ収容部21に吸気口26及び排気口27が設けられる。吸気口26は、モータ収容部21の左部及び右部のそれぞれに設けられる。排気口27は、モータ収容部21の下部に設けられる。本体ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口26を介して本体ハウジング2の内部空間に流入する。本体ハウジング2の内部空間の空気は、排気口27を介して本体ハウジング2の外部空間に流出する。
【0046】
ギヤハウジング3は、動力伝達機構8の少なくとも一部を収容する。ギヤハウジング3は、スピンドル9の少なくとも一部を収容する。ギヤハウジング3の少なくとも一部は、本体ハウジング2よりも前方に配置される。
【0047】
ギヤハウジング3は、後側ハウジング31と、前側ハウジング32とを含む。前側ハウジング32の少なくとも一部は、後側ハウジング31よりも前方に配置される。後側ハウジング31の少なくとも一部は、モータ収容部21の前部の内側に配置される。前側ハウジング32は、モータ収容部21よりも前方に配置される。
【0048】
後側ハウジング31は、プレート部31Aと、プレート部31Aの上部から後方に窪む凹部31Bと、プレート部31Aの下部から後方に突出する筒部31Cとを有する。前側ハウジング32は、プレート部32Aと、プレート部32Aから前方に突出する筒状部32Bとを有する。
【0049】
ギヤハウジング3は、モータ収容部21の前部に固定される。モータ収容部21の前部と後側ハウジング31のプレート部31Aと前側ハウジング32のプレート部32Aとは、3本のねじ3Sにより固定される。プレート部31Aとプレート部32Aとの間にシールリング3Cが配置される。
【0050】
フック4は、所定の対象に掛けられる。フック4は、例えば作業者の衣服の少なくとも一部又は作業者のベルトに掛けられる。フック4は、ねじ4Sによりバッテリ保持部23の左部に固定される。また、バッテリ保持部23の後部にハンドストラップ28が取り付けられる。ハンドストラップ28は、作業者に保持される。
【0051】
バッテリ装着部5に、バッテリパック25が装着される。バッテリ装着部5は、バッテリ保持部23の下部に配置される。バッテリパック25は、バッテリ装着部5に着脱可能である。バッテリパック25は、スクリュードライバ1の電源として機能する。バッテリパック25は、バッテリ保持部23の前方からバッテリ装着部5に挿入されることにより、バッテリ装着部5に装着される。バッテリパック25は、バッテリ装着部5から前方に抜去されることにより、バッテリ装着部5から外される。バッテリパック25は、二次電池を含む。実施形態において、バッテリパック25は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部5に装着されることにより、バッテリパック25は、スクリュードライバ1に電力を供給することができる。モータ6は、バッテリパック25から供給される電力に基づいて駆動する。コントローラ20及びスイッチプレート18のそれぞれは、バッテリパック25から供給される電力に基づいて作動する。
【0052】
モータ6は、スクリュードライバ1の動力源である。モータ6は、バッテリパック25から供給される電力に基づいて駆動する電動モータである。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、ステータ33と、ロータ34とを有する。ステータ33は、モータ収容部21に支持される。ロータ34の少なくとも一部は、ステータ33の内側に配置される。ロータ34は、ステータ33に対して回転する。ロータ34は、前後方向に延びる回転軸AXを中心に回転する。
【0053】
ステータ33は、ステータコア35と、後側インシュレータ36Rと、前側インシュレータ36Fと、コイル37とを有する。
【0054】
ステータコア35は、ロータ34よりも回転軸AXの径方向外側に配置される。ステータコア35は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア35は、筒状である。ステータコア35は、コイル37を支持する複数のティースを有する。
【0055】
後側インシュレータ36Rは、ステータコア35の後部に固定される。前側インシュレータ36Fは、ステータコア35の前部に固定される。後側インシュレータ36R及び前側インシュレータ36Fのそれぞれは、合成樹脂製の電気絶縁部材である。後側インシュレータ36Rは、ステータコア35のティースの表面の一部を覆うように配置される。前側インシュレータ36Fは、ステータコア35のティースの表面の一部を覆うように配置される。
【0056】
コイル37は、後側インシュレータ36R及び前側インシュレータ36Fを介してステータコア35に装着される。コイル37は、複数配置される。コイル37は、後側インシュレータ36R及び前側インシュレータ36Fを介してステータコア35のティースの周囲に配置される。ステータコア35とコイル37とは、後側インシュレータ36R及び前側インシュレータ36Fにより電気的に絶縁される。複数のコイル37は、短絡部材38を介して相互に接続される。バッテリパック25からの電流は、コントローラ20、不図示のリード線、及び後側インシュレータ36Rの下部に固定されたコネクタ39を介して、コイル37に供給される。コネクタ39は、ねじ39Sにより後側インシュレータ36Rの下部に固定される。
【0057】
ロータ34は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ34は、ロータコア40と、ロータシャフト41と、ロータ磁石42とを有する。
【0058】
ロータコア40及びロータシャフト41のそれぞれは、鋼製である。ロータシャフト41は、ロータコア40に固定される。ロータコア40は、円筒状である。ロータシャフト41は、ロータコア40よりも径方向内側に配置される。ロータシャフト41の前部は、ロータコア40の前端面から前方に突出する。ロータシャフト41の後部は、ロータコア40の後端面から後方に突出する。
【0059】
ロータ磁石42は、ロータコア40に固定される。ロータ磁石42は、ロータコア40の内部に配置される。ロータ磁石42は、ロータコア40に設けられた磁石孔に配置される。
【0060】
ロータコア40の前端面に対向するようにスリーブ29が配置される。スリーブ29は、ロータコア40及びロータシャフト41のそれぞれに固定される。スリーブ29は、ロータ34の回転バランスを調整するために設けられる。
【0061】
後側インシュレータ36Rに回転センサ基板43が取り付けられる。回転センサ基板43は、ねじ43Sにより後側インシュレータ36Rに固定される。回転センサ基板43は、環状の回路基板と、回路基板に支持される磁気センサとを有する。回転センサ基板43の少なくとも一部は、ロータ磁石42に対向する。磁気センサは、ロータ磁石42の位置を検出することにより、ロータ34の回転方向の位置を検出する。磁気センサの検出信号は、不図示のリード線を介して、コントローラ20に送信される。
【0062】
ロータシャフト41の後端部は、ロータベアリング44に回転可能に支持される。ロータシャフト41の前部は、ロータベアリング45に回転可能に支持される。ロータベアリング44及びロータベアリング45のそれぞれは、ボールベアリングである。ロータベアリング44は、モータ収容部21の内面の後部に設けられた凹部21Aに保持される。ロータベアリング44の内輪の前端部は、ロータシャフト41の後部に設けられた段部に接触する。これにより、ロータシャフト41に対してロータベアリング44が前後方向に相対移動することが抑制される。ロータベアリング45は、後側ハウジング31の筒部31Cに保持される。ロータベアリング45の内輪の後端部は、ロータシャフト41の前部に設けられた段部に接触する。ロータベアリング45の前方にはサークリップ46が配置される。サークリップ46は、ロータベアリング45の内輪の前端部に接触する。これにより、ロータシャフト41に対してロータベアリング45が前後方向に相対移動することが抑制される。ロータシャフト41の前端部は、筒部31Cの前端部に設けられた開口を介して前側ハウジング32の内側に配置される。
【0063】
ロータシャフト41の前端部にピニオンギヤ47が固定される。ピニオンギヤ47は、動力伝達機構8の少なくとも一部に連結される。ロータシャフト41は、ピニオンギヤ47を介して動力伝達機構8に連結される。
【0064】
ファン7は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン7は、ステータ33よりも前方に配置される。ファン7は、ロータベアリング45とステータ33との間に配置される。ファン7は、ロータベアリング45とステータ33との間のロータシャフト41に固定される。本体ハウジング2は、ファン7の周囲に配置されるファンケース部2Aを有する。ファン7は、ロータ34の回転により回転する。ロータシャフト41が回転することにより、ファン7は、ロータシャフト41と一緒に回転する。ファン7の回転により、本体ハウジング2の外部空間の空気が、吸気口26を介して本体ハウジング2の内部空間に流入する。本体ハウジング2の内部空間に流入した空気は、本体ハウジング2の内部空間を流通することにより、モータ6を冷却する。本体ハウジング2の内部空間を流通した空気は、ファン7の回転により、排気口27を介して本体ハウジング2の外部空間に流出する。
【0065】
動力伝達機構8は、モータ6の回転力をスピンドル9に伝達する。動力伝達機構8は、ロータシャフト41の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル9を回転させる。実施形態において、動力伝達機構8は、モータ6の正転時においてモータ6の回転力をスピンドル9に伝達するクラッチ機構8Aと、モータ6の逆転時においてモータ6の回転力をスピンドル9に伝達するスピンドルロック機構8Bとを有する。
【0066】
図8は、実施形態に係る動力伝達機構8を示す前方からの分解斜視図である。図9は、実施形態に係る動力伝達機構8を示す後方からの分解斜視図である。図10は、実施形態に係るクラッチ機構8A及びスリーブ76を示す前方からの分解斜視図である。図11は、実施形態に係るクラッチ機構8A及びスリーブ76を示す後方からの分解斜視図である。図12は、実施形態に係るクラッチカム72を後方から見た図である。図13は、実施形態に係るクラッチ機構8A及びスリーブ76を示す縦断面図である。図14は、実施形態に係るスピンドルロック機構8Bを示す前方からの分解斜視図である。図15は、実施形態に係るスピンドルロック機構8Bを示す後方からの分解斜視図である。図16は、実施形態に係る中間シャフト74を示す前方からの斜視図である。図17は、実施形態に係る中間シャフト74を示す側面図である。図18は、実施形態に係る中間シャフト74を前方から見た図である。
【0067】
動力伝達機構8は、駆動ギヤ71と、クラッチカム72と、ボール73と、中間シャフト74と、コンプレッションスプリング75と、スリーブ76と、後側Oリング77と、前側Oリング78と、ロックピン79と、スリーブ80と、コンプレッションスプリング81とを有する。
【0068】
クラッチ機構8Aは、ボール73を介して駆動ギヤ71に結合されるクラッチカム72と、スピンドル9を前方に付勢するコンプレッションスプリング75とを含む。駆動ギヤ71、クラッチカム72、及びコンプレッションスプリング75は、ギヤハウジング3の内側に配置される。
【0069】
スピンドルロック機構8Bは、駆動ギヤ71に結合される中間シャフト74と、中間シャフト74の周囲に配置される複数のロックピン79と、ロックピン79の前端部に接触するように配置されるスリーブ80と、スリーブ80を介してロックピン79を後方に付勢するコンプレッションスプリング81とを有する。中間シャフト74、ロックピン79、スリーブ80、及びコンプレッションスプリング81は、ギヤハウジング3の内側に配置される。
【0070】
駆動ギヤ71は、ピニオンギヤ47に噛み合う。駆動ギヤ71は、ヘリカルギヤである。駆動ギヤ71は、ピニオンギヤ47よりも上方に配置される。モータ6のロータシャフト41の回転により、ピニオンギヤ47は、回転軸AXを中心に回転する。ピニオンギヤ47の回転より、駆動ギヤ71は、回転軸CXを中心に回転する。駆動ギヤ71は、リング部71Aと、リング部71Aの外周部に設けられピニオンギヤ47に噛み合うギヤ部71Bと、リング部71Aの前面から前方に突出しクラッチカム72が結合される筒状部71Cを有する。駆動ギヤ71は、後側ハウジング31に収容される。
【0071】
クラッチカム72は、複数のボール73を介して駆動ギヤ71に結合される。駆動ギヤ71の少なくとも一部は、クラッチカム72よりも後方に配置される。クラッチカム72は、複数のボール73を介して駆動ギヤ71に支持される。駆動ギヤ71は、クラッチカム72の後方からクラッチカム72を支持する。駆動ギヤ71の回転により、クラッチカム72は、回転軸CXを中心に回転する。クラッチカム72は、回転軸CXの周囲に配置されるカムリング部72Aと、カムリング部72Aの外周部に設けられたリング溝72Bと、カムリング部72Aの前面から前方に突出するように設けられた駆動カム部72Cと、カムリング部72Aの後面に設けられ、ボール73が配置されるカムボール溝72Dとを有する。
【0072】
実施形態において、ボール73は、3つ設けられる。カムボール溝72Dは、カムリング部72Aの後部に3つ設けられる。回転軸CXに直交する面内において、3つのカムボール溝72Dのそれぞれは、円弧状である。図13に示すように、カムボール溝72Dの少なくとも一部は、前後方向に傾斜する。カムボール溝72Dは、回転軸CXを囲むように設けられる。1つのカムボール溝72Dに1つのボール73が配置される。
【0073】
駆動ギヤ71の筒状部71Cには、ボール73が配置されるギヤボール溝71Dが設けられる。ギヤボール溝71Dは、筒状部71Cの外周面に3つ設けられる。回転軸CXに直交する面内において、3つのギヤボール溝71Dのそれぞれは、円弧状である。ギヤボール溝71Dは、回転軸CXを囲むように設けられる。1つのギヤボール溝71Dに1つのボール73が配置される。
【0074】
中間シャフト74は、駆動ギヤ71に固定される。中間シャフト74の後部は、駆動ギヤ71の中央部に設けられた開口に挿入される。中間シャフト74の後端部は、シャフトベアリング62に回転可能に支持される。シャフトベアリング62は、ボールベアリングである。シャフトベアリング62は、後側ハウジング31の凹部31Bに保持される。クラッチカム72は、中間シャフト74の周囲に配置される。中間シャフト74の前端部は、スピンドル9の収容孔9Dの内側に配置される。
【0075】
中間シャフト74は、ロッド55が配置される貫通孔74Aを有する。また、中間シャフト74は、シャフトベアリング62に保持されるベアリング保持部74Bと、駆動ギヤ71が固定されるギヤ固定部74Cと、コンプレッションスプリング75の内側に配置される中間部74Dと、ロックピン79を支持するピン支持部74Eと、スリーブ80を支持するスリーブ支持部74Fとを有する。ギヤ固定部74Cは、ベアリング保持部74Bよりも前方に配置される。中間部74Dは、ギヤ固定部74Cよりも前方に配置される。ピン支持部74Eは、中間部74Dよりも前方に配置される。スリーブ支持部74Fは、ピン支持部74Eよりも前方に配置される。ピン支持部74Eの外径は、中間部74Dの外径よりも小さい。
【0076】
中間部74Dとピン支持部74Eとの境界に段差が設けられる。中間部74Dとピン支持部74Eとの境界にストップ面74Gが設けられる。ストップ面74Gは、ピン支持部74Eの後端部に配置される。ストップ面74Gは、前方を向く。ロックピン79は、ピン支持部74Eの外周面に接触するように配置される。ロックピン79の後端面は、ストップ面74Gに対向する。
【0077】
ピン支持部74Eに凸部74Hが設けられる。凸部74Hは、ピン支持部74Eの外周面から径方向外側に突出するように設けられる。凸部74Hは、前後方向に長い。凸部74Hは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。実施形態において、凸部74Hは、周方向に等間隔で3つ設けられる。ロックピン79は、相互に隣り合う一対の凸部74Hの間に配置される。ロックピン79は、3本設けられる。
【0078】
図18に示すように、相互に隣り合う一対の凸部74Hの間のピン支持部74Eの外周面に隆起部74Mが設けられる。隆起部74Mは、ピン支持部74Eの外周面の後部に設けられる。また、相互に隣り合う一対の凸部74Hの間において、ピン支持部74Eに、小径部74Jと大径部74Kとが設けられる。相互に隣り合う一対の凸部74Hの間において、回転軸CXと大径部74Kの外周面との径方向の距離LKは、回転軸CXと小径部74Jの外周面との径方向の距離よりも大きい。距離LKは、大径部74Kにおけるピン支持部74Eの外径を示す。距離LJは、小径部74Jにおけるピン支持部74Eの外径を示す。ピン支持部74Eの外径は、小径部74Jから大径部74Kに向かって徐々に大きくなる。大径部74Kに配置されるロックピン79は、大径部74Kに配置されるロックピン79よりも、径方向外側に配置される。ロックピン79は、周方向において小径部74Jから大径部74Kに移動することにより、径方向において外側に移動する。
【0079】
コンプレッションスプリング75は、中間シャフト74の周囲に配置される。コンプレッションスプリング75は、スリーブ76よりも径方向内側に配置される。コンプレッションスプリング75の後端部は、クラッチカム72の前面に接触する。コンプレッションスプリング75の前端部は、スピンドル9の後面に接触する。実施形態において、スピンドル9の後面に円環状の溝9Kが設けられる。コンプレッションスプリング75の前端部は、溝9Kの内側に配置される。コンプレッションスプリング75は、クラッチカム72を後方に付勢する。コンプレッションスプリング75は、スピンドル9を前方に付勢する。
【0080】
スリーブ76は、中間シャフト74を囲むように配置される。スリーブ76は、クラッチカム72のカムリング部72A及びスピンドル9のフランジ部9Bのそれぞれを囲むように配置される。スリーブ76は、クラッチカム72のカムリング部72A及びスピンドル9のフランジ部9Bのそれぞれに支持される。スリーブ76は、円筒部76Aと、円筒部76Aの外周面の後端部から径方向外側に突出するストッパ部76Bとを有する。円筒部76Aは、クラッチカム72のカムリング部72A及びスピンドル9のフランジ部9Bのそれぞれの周囲に配置される。ストッパ部76Bは、駆動ギヤ71のギヤ部71Bの前面に接触する。ストッパ部76Bの後面がギヤ部71Bの前面に接触することにより、スリーブ76が駆動ギヤ71に対して後方に移動することが抑制される。図5及び図7に示すように、スリーブ76の前端部の周囲にOリング64が配置される。
【0081】
後側Oリング77は、クラッチカム72に装着される。後側Oリング77は、カムリング部72Aの外周部に配置される。後側Oリング77は、カムリング部72Aの外周部に設けられたリング溝72Bの内側に配置される。
【0082】
前側Oリング78は、スピンドル9に装着される。前側Oリング78は、フランジ部9Bの外周部に配置される。前側Oリング78は、フランジ部9Bの外周部に設けられたリング溝9Hの内側に配置される。
【0083】
後側Oリング77及び前側Oリング78のそれぞれは、スリーブ76に接触する。後側Oリング77は、スリーブ76の内周面の後部に接触する。前側Oリング78は、スリーブ76の内周面の前部に接触する。
【0084】
ロックピン79は、中間シャフト74に支持される。ロックピン79は、中間シャフト74の周囲に4本配置される。
【0085】
スリーブ80は、収容孔9Dの内側においてロックピン79の前方に配置される。スリーブ80の後面は、ロックピン79の前端面に接触する。スリーブ80は、中間シャフト74に対してスピンドル9が前後方向に移動するときの芯出し部材として機能する。スリーブ80は、中間シャフト74を支持する滑り軸受として機能する。スリーブ80の内周面にグリス供給用の凹部80Aが形成される。
【0086】
コンプレッションスプリング81は、収容孔9Dの内側においてスリーブ80の前面とスピンドル9の支持面9Eとの間に配置される。コンプレッションスプリング81の前端部は、スピンドル9の収容孔9Dの前部に配置される支持面9Eに接続される。コンプレッションスプリング81の後端部は、スリーブ80の前面に接続される。コンプレッションスプリング81は、ロックピン79の後端面がストップ面74Gに押し付けられるようにロックピン79が後方に付勢する。
【0087】
スピンドル9は、モータ6の回転力により回転する。スピンドル9の少なくとも一部は、動力伝達機構8よりも前方に配置される。スピンドル9は、クラッチカム72よりも前方に配置される。スピンドル9は、回転軸CXを中心に回転する。モータ6の回転軸AXとスピンドル9の回転軸CXとは、異なる。回転軸AXと回転軸CXとは、平行である。スピンドル9は、ロータ34により回転する。スピンドル9は、動力伝達機構8により伝達されたロータ34の回転力により回転する。スピンドル9は、先端工具であるドライバビット30を保持した状態で回転する。
【0088】
図19は、実施形態に係るスピンドル9を示す後方からの斜視図である。図20は、実施形態に係るスピンドル9を示す側面図である。図21は、実施形態に係るスピンドル9を示す縦断面図である。図22は、実施形態に係るスピンドル9の断面図であり、図20のA-A線断面矢視図に相当する。
【0089】
スピンドル9は、ロッド部9Aと、フランジ部9Bと、ビット保持孔9Cと、収容孔9Dとを有する。ロッド部9Aは、前後方向に延びるように配置される。フランジ部9Bは、ロッド部9Aの後部に設けられる。フランジ部9Bは、ロッド部9Aの後端部に設けられる。フランジ部9Bは、ロッド部9Aの後端部から径方向外側に突出する。ビット保持孔9Cは、ロッド部9Aの前端面から後方に延びるように設けられる。ドライバビット30は、ロッド部9Aに装着される。ドライバビット30は、ビット保持孔9Cの前方からビット保持孔9Cに挿入される。回転軸CXに直交するビット保持孔9Cの断面は、正六角形である。収容孔9Dは、スピンドル9の後端面から前方に延びるように設けられる。収容孔9Dの前端部に支持面9Eが設けられる。支持面9Eは、後方を向く。収容孔9Dにより、スピンドル9の後部に筒状部9Pが設けられる。ロッド部9Aの周囲にオイルシール63が配置される。オイルシール63は、前側ハウジング32の筒状部32Bに保持される。
【0090】
スピンドル9は、スピンドルベアリング48に回転可能に支持される。スピンドルベアリング48は、スライドベアリングである。スピンドルベアリング48は、前側ハウジング32に保持される。スピンドルベアリング48の外周面には、サークリップ61が配置される溝48Aが設けられる。サークリップ61の少なくとも一部は、前側ハウジング32に保持される。サークリップ61により、スピンドルベアリング48と前側ハウジング32との前後方向の相対移動が抑制される。スピンドル9は、スピンドルベアリング48に回転可能に支持されるとともに、前側ハウジング32に対して前後方向に移動可能に支持される。スピンドル9は、スピンドルベアリング48を介してギヤハウジング3に前後方向に移動可能に支持される。スピンドル9は、前進位置と、前進位置よりも後方の後退位置との間を前後方向に移動可能である。
【0091】
スピンドル9は、クラッチカム72に設けられた駆動カム部72Cに対向する従動カム部9Gを有する。従動カム部9Gは、スピンドル9の後面に設けられる。従動カム部9Gは、フランジ部9Bの後面から後方に突出するように設けられる。クラッチカム72の駆動カム部72Cとスピンドル9の従動カム部9Gとは、対向する。スピンドル9は、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触又は離隔するように、スピンドルベアリング48を介してギヤハウジング3に前後方向に移動可能に支持される。スピンドル9が前進位置に配置されている状態で、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔する。スピンドル9が後退位置に配置されている状態で、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触可能な状態になる。スリーブ76は、ギヤハウジング3の内側において駆動カム部72C及び従動カム部9Gよりも径方向外側に配置される。
【0092】
ブレーキ部材82は、スピンドル9が前進位置に配置されている状態でスピンドル9の回転を阻止する。ブレーキ部材82は、スピンドル9の不必要な回転を抑制する。ブレーキ部材82は、前側ハウジング32に支持される。ブレーキ部材82は、スピンドルベアリング48の周囲に配置される。サークリップ61は、ブレーキ部材82と前側ハウジング32の一部との間に配置される。ブレーキ部材82は、スピンドル9のフランジ部9Bに対向する。スピンドル9は、フランジ部9Bの前面から前方に突出する前側カム部9Jを有する。
【0093】
ブレーキ部材82は、前側ハウジング32に支持されるブレーキリング部82Aと、ブレーキリング部82Aの外周部の一部に設けられた凹部82Bと、ブレーキリング部82Aの後面から後方に突出するブレーキカム部82Cとを有する。前側ハウジング32の内面に設けられている凸部がブレーキ部材82の凹部82Bに配置される。これにより、前側ハウジング32とブレーキ部材82との相対回転が抑制される。スピンドル9のフランジ部9Bの前面に前側カム部9Jが設けられる。スピンドル9が前進位置に配置されている状態でブレーキ部材82のブレーキカム部82Cとスピンドル9の前側カム部9Jに接触する、スピンドル9の回転が阻止される。
【0094】
工具保持機構10は、ビット保持孔9Cに挿入されたドライバビット30を保持する。工具保持機構10は、スピンドル9の外周面とビット保持孔9Cの内周面とを繋ぐ貫通孔9Fに配置されるボール49と、ボール49よりも回転軸CXの径方向外側に配置されるリーフスプリング50とを含む。ボール49は、リーフスプリング50より径方向内側に押圧される。ボール49の少なくとも一部がドライバビット30に設けられている凹部30Aに配置されることにより、ビット保持孔9Cからドライバビット30が抜けることが抑制される。
【0095】
ロックリング11は、ゴムキャップ13の前端面からのドライバビット30の突出量の調整のために作業者により操作される。ロックリング11は、前側ハウジング32の筒状部32Bの周囲に配置される。ロックリング11は、前側ハウジング32に対して回転することができる。ロックリング11は、回転されることにより、前側ハウジング32に対して前後方向に移動する。筒状部32Bの外周面にねじ山32Cが形成され、ロックリング11の内周面にねじ溝11Aが形成される。ロックリング11が回転されることにより、筒状部32Bの外周面のねじ山32Cとロックリング11の内周面のねじ溝11Aとが相対回転する。これにより、ロックリング11は、回転しながら前後方向に移動する。ロックリング11が一方向に回転されると、ドライバビット30の突出量が多くなる。ロックリング11が他方向に回転されると、ドライバビット30の突出量が少なくなる。ロックリング11と筒状部32Bとの間にリーフスプリング51が配置される。リーフスプリング51は、回転されるロックリング11にクリック感を与える。
【0096】
アジャストスリーブ12は、ロックリング11に着脱可能に装着される。アジャストスリーブ12は、Oリング52を介してロックリング11に装着される。アジャストスリーブ12は、ロックリング11よりも前方においてスピンドル9の周囲に配置される。アジャストスリーブ12は、実質的に筒状である。アジャストスリーブ12は、前方に向かって縮径するテーパ状である。アジャストスリーブ12は、ロックリング11の回転によりロックリング11と一緒に前後方向に移動する。
【0097】
ゴムキャップ13は、アジャストスリーブ12の前端部に装着される。ゴムキャップ13は、カップワッシャ53を介してアジャストスリーブ12の前端部に固定される。ゴムキャップ13は、スピンドル9に装着されたドライバビット30の周囲に配置される。スクリュードライバ1を用いるねじ締め作業において、ゴムキャップ13は、被加工材に接触する。ゴムキャップ13により、被加工材が傷付くことが抑制される。
【0098】
ビット保持孔9Cに挿入され、工具保持機構10に保持されたドライバビット30の前端部は、ゴムキャップ13の前端部よりも前方に配置される。被加工材に対するねじの締め付け深さを調整する場合、作業者は、ロックリング11を回転して、ロックリング11を前後方向に移動させる。ロックリング11が前後方向に移動することにより、ロックリング11と一緒にアジャストスリーブ12及びゴムキャップ13が前後方向に移動する。これにより、ゴムキャップ13の前端面からのドライバビット30の突出量が調整される。ゴムキャップ13の前端面からのドライバビット30の突出量が調整されることにより、被加工材に対するねじの締め付け深さが調整される。
【0099】
トリガレバー14は、モータ6を起動するために作業者に操作される。トリガレバー14は、グリップ部22Aに設けられる。トリガレバー14は、グリップ部22Aの上部の前部から前方に突出する。トリガレバー14の後方にスイッチ54が配置される。スイッチ54は、グリップ部22Aに収容される。トリガレバー14は、スイッチ54に接続される。トリガレバー14が後方に移動するように引き操作されることにより、スイッチ54からコントローラ20に操作信号が出力される。コントローラ20は、スイッチ54からの操作信号に基づいて、モータ6を駆動する。トリガレバー14の操作が解除されることにより、モータ6が停止される。
【0100】
ロックボタン15は、トリガレバー14が引き操作された状態を維持するために作業者に操作される。ロックボタン15は、グリップ部22Aの左部の上部に設けられる。トリガレバー14が引き操作された状態でロックボタン15が押されることにより、作業者がトリガレバー14を離しても、トリガレバー14が引き操作された状態が維持され、モータ6の駆動が維持される。
【0101】
正逆転切換レバー16は、モータ6の回転方向を切り換えるために作業者に操作される。正逆転切換レバー16は、連結部22Bに設けられる。正逆転切換レバー16が操作されることにより、モータ6の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル9の回転方向が切り換えられる。正逆転切換レバー16が中立位置に配置された場合、トリガレバー14を操作することができない。
【0102】
ライト17は、照明光を射出する。ライト17は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む。ライト17は、連結部24の下部の前部に配置される。ライト17は、スピンドル9の前方を照明光で照明する。
【0103】
スイッチプレート18は、作業者に操作されるモード切換ボタン18Aを有する。スイッチプレート18は、バッテリ保持部23に設けられる。スイッチプレート18は、グリップ部22Aの下端部と連結部24の下端部との間のバッテリ保持部23の上面に設けられる。作業者によりモード切換ボタン18Aが操作されることにより、モータ6の動作モードが切り換えられる。実施形態において、モータ6の動作モードは、通常モードと、プッシュドライブモードとを含む。通常モードとは、トリガレバー14の引き操作によりモータ6が起動する動作モードをいう。プッシュドライブモードとは、トリガレバー14が引き操作されてもモータ6は直ちに駆動せず、ドライバビット30とともにスピンドル9が前進位置から後方に移動したことが検出されてからモータ6が起動する動作モードをいう。作業者は、モード切換ボタン18Aを操作して、通常モード及びプッシュドライブモードのいずれか一方のスクリュードライバ1の動作モードを設定することができる。
【0104】
プッシュドライブ機構19は、モータ6の動作モードがプッシュドライブモードに設定された場合において、ドライバビット30とともにスピンドル9が前進位置から後方に移動したことが検出されるように作動する。
【0105】
プッシュドライブ機構19は、ロッド55と、シール56と、レバー57と、トーションスプリング58と、磁石59と、モードセンサ基板60とを有する。
【0106】
ロッド55は、中間シャフト74に設けられた貫通孔74Aの内側に配置される。貫通孔74Aは、中間シャフト74の前端面と後端面とを貫通するように形成される。貫通孔74Aは、中間シャフト74の中心軸を含むように形成される。ロッド55は、中間シャフト74に対して前後方向に相対移動する。ロッド55の前端部は、スピンドル9の支持面9Eに接触する。ロッド55の後端部は、後側ハウジング31の凹部31Bに設けられた開口を介して凹部31Bよりも後方に突出する。
【0107】
シール56は、ロッド55の外周面と中間シャフト74の貫通孔74Aの内周面との境界をシールする。シール56は、ロッド55の周囲に配置される。シール56は、筒状である。シール56は、中間シャフト74の内周面に固定される。シール56は、ロッド55を前後方向にガイドするガイド部材として機能する。
【0108】
レバー57は、本体ハウジング2に回動可能に支持される。本体ハウジング2は、レバー57を回動可能に支持するピン部2Bを有する。レバー57の回動軸は、左右方向に延びる。レバー57は、ピン部2Bの周囲に配置される回動部57Aと、回動部57Aから下方に突出する第1突出部57Bと、回動部57Aから上方に突出する第2突出部57Cとを有する。第1突出部57Bは、ロッド55の後端部に対向するように配置される。第2突出部57Cは、モードセンサ基板60に対向するように配置される。スピンドル9が前進位置から後方に移動すると、ロッド55がスピンドル9に押されて後方に移動する。ロッド55が後方に移動することにより、第1突出部57Bがロッド55に押されて後方に移動する。ロッド55が後方に移動することにより、第1突出部57Bが後方に移動し、第2突出部57Cが前方に移動するように、レバー57が回動する。
【0109】
トーションスプリング58は、ピン部2Bに支持される。トーションスプリング58は、第1突出部57Bが前方に移動し、第2突出部57Cが後方に移動するように、レバー57に弾性力を与える。
【0110】
磁石59は、第2突出部57Cに固定される。
【0111】
モードセンサ基板60は、回路基板と、回路基板に支持される磁気センサとを有する。モードセンサ基板60の少なくとも一部は、第2突出部57Cに固定された磁石59に対向する。磁気センサは、磁石59の磁界の変化を検出することにより、レバー57の回動状態を検出する。磁気センサの検出信号は、不図示のリード線を介して、コントローラ20に送信される。モードセンサ基板60は、本体ハウジング2に設けられた支持リブ2Cに支持される。支持リブ2Cは、ファンケース部2Aの上方に配置される。
【0112】
通常モードにおいては、トリガレバー14が引き操作されることにより、モータ6が起動する。プッシュドライブモードにおいては、トリガレバー14が引き操作され、且つ、ロッド55が後方に移動して磁石59がモードセンサ基板60から離れるようにレバー57が回動することにより、モータ6が起動する。
【0113】
コントローラ20は、モータ6を制御する制御信号を出力する。コントローラ20は、バッテリ保持部23に収容される。コントローラ20は、モード切換ボタン18Aの操作により設定されたモータ6の動作モードに基づいて、モータ6を制御する。コントローラ20は、複数の電子部品が実装された回路基板20Aと、回路基板20Aを収容するケース20Bとを含む。回路基板20Aに実装される電子部品として、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ、トランジスタ、及び抵抗器が例示される。
【0114】
[クラッチ機構]
クラッチ機構8Aは、モータ6の正転時においてスピンドル9が後退位置に移動したときに、モータ6のロータ34の回転力をスピンドル9に伝達する。クラッチ機構8Aは、クラッチカム72に設けられた駆動カム部72Cと、駆動カム部72Cに対向するようにスピンドル9に設けられた従動カム部9Gとを含む。クラッチカム72は、中間シャフト74の周囲に配置される。クラッチカム72は、ボール73を介して駆動ギヤ71に結合される。また、クラッチ機構8Aは、クラッチカム72を後方に付勢し、スピンドル9を前方に付勢するコンプレッションスプリング75を有する。
【0115】
スリーブ76は、ギヤハウジング3の内側において駆動カム部72C及び従動カム部9Gよりも径方向外側に配置される。スリーブ76は、クラッチカム72のカムリング部72A及びスピンドル9のフランジ部9Bのそれぞれを囲むように配置される。スリーブ76の内周面の後部は、後側Oリング77に接触する。スリーブ76の内周面の前部は、前側Oリング78に接触する。スリーブ76のストッパ部76Bは、駆動ギヤ71のギヤ部71Bの前面に接触する。ストッパ部76Bの後面がギヤ部71Bの前面に接触することにより、スリーブ76が駆動ギヤ71に対して後方に移動することが抑制される。
【0116】
被加工材に対するねじ締め作業を実施する場合、モータ6のロータ34が正転するように正逆転切換レバー16が操作される。ビット保持孔9Cにドライバビット30が挿入され、ドライバビット30がロッド部9Aに装着された後、作業者は、ハンドル部22を握って、ドライバビット30の先端部を被加工材の表面に当接されたねじの頭部の十字溝に挿入する。次に、作業者は、トリガレバー14を引き操作する。通常モードにおいては、トリガレバー14が引き操作されることにより、モータ6が起動する。モータ6が起動し、ロータ34が正転すると、ロータシャフト41の回転がピニオンギヤ47を介して駆動ギヤ71に伝達される。モータ6により駆動ギヤ71が回転すると、ボール73を介して駆動ギヤ71に結合されているクラッチカム72が駆動ギヤ71と一緒に回転する。ボール73が周方向においてカムボール溝72Dの一端部に配置されることにより、駆動ギヤ71とクラッチカム72との相対回転が抑制される。また、中間シャフト74が駆動ギヤ71と一緒に回転する。
【0117】
スピンドル9が前進位置に配置されている場合、駆動ギヤ71が回転しても、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとは離隔しているため、クラッチカム72からスピンドル9に回転力は直接的には伝達されない。スピンドル9が前進位置に配置されている場合、クラッチカム72とスピンドル9とは、後側Oリング77、スリーブ76、及び前側Oリング78を介して連結される。そのため、クラッチカム72の回転力は、後側Oリング77、スリーブ76、及び前側Oリング78を介してスピンドル9に伝達される。スリーブ76と後側Oリング77との摩擦及びスリーブ76と前側Oリング78との摩擦により、クラッチカム72の回転力が後側Oリング77、スリーブ76、及び前側Oリング78を介してスピンドル9に伝達される。
【0118】
但し、スピンドル9が前進位置に配置されている状態で、クラッチカム72の回転力がスリーブ76を介してスピンドル9に伝達されても、前側カム部9Jとブレーキカム部82Cとが接触しているので、ブレーキ部材82により、スピンドル9の回転が阻止される。スピンドル9の不必要な回転が抑制されるので、作業者は、ドライバビット30の先端部をねじの頭部の十字溝に挿入する作業を円滑に実施することができる。
【0119】
駆動ギヤ71及びクラッチカム72が回転している状態で、作業者は、ハンドル部22を握って、スクリュードライバ1が被加工材に接近するようにスクリュードライバ1を押し込む押し込み動作を実施する。スクリュードライバ1の押し込み動作により、ドライバビット30とともにスピンドル9が、コンプレッションスプリング75の弾性力に抗して後方に移動する。
【0120】
スピンドル9が前進位置から前進位置と後退位置との間の中間位置に移動したときに、前側カム部9Jとブレーキカム部82Cとが離隔し、ブレーキ部材82によるスピンドル9の回転の阻止が解除される。スピンドル9が前進位置から中間位置に移動したときに、スピンドル9の回転が開始される。スピンドル9が中間位置に配置されている状態においては、前側カム部9Jとブレーキカム部82Cとが離隔し、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔している。スピンドル9が中間位置に配置されている状態においては、スピンドル9は、後側Oリング77、スリーブ76、及び前側Oリング78を介して伝達されたクラッチカム72の回転力により回転する。
【0121】
中間位置において、スピンドル9は、スリーブ76と後側Oリング77との摩擦、及びスリーブ76と前側Oリング78との摩擦により回転する。クラッチカム72の回転力が摩擦によりスピンドル9に伝達されるので、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔している状態で、スピンドル9は、クラッチカム72の回転速度よりも低い回転速度で回転する。これにより、スピンドル9は、クラッチカム72の回転速度よりも低い回転速度で回転しながら後退位置に向かって移動することができる。スピンドル9は、例えばクラッチカム72の回転速度の20%以上30%以下の回転速度で回転しながら後退位置に向かって移動する。
【0122】
スピンドル9が後退位置に移動すると、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触する。スピンドル9は、スリーブ76を介して伝達されたクラッチカム72の回転力により回転しながら後退位置に向かって移動するので、スピンドル9が回転せずに後退位置に向かって移動する場合に比べて、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触するときのクラッチカム72とスピンドル9との相対回転速度が低くなる。そのため、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触するときの衝撃が小さくなる。したがって、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとの接触による騒音の発生が抑制される。
【0123】
スピンドル9が前進位置から後退位置に移動して駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触したとき、クラッチカム72はスピンドル9から回転方向の抵抗力を受け、その結果、ボール73がギヤボール溝71Dとカムボール溝72Dとの間を転がって、駆動ギヤ71とクラッチカム72とがボール73を介して相対回転する。ボール73が周方向においてカムボール溝72Dの一端部から他端部に移動してカムボール溝72Dの他端部て停止することにより、駆動ギヤ71とクラッチカム72とは、一緒に回転することができる。図13に示すように、実施形態においては、カムボール溝72Dの少なくとも一部が前後方向に傾斜しているので、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触して、駆動ギヤ71とクラッチカム72とがボールを介して相対回転することにより、クラッチカム72が前方に移動する。
【0124】
クラッチカム72が前方に移動し、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触した状態でモータ6が駆動されることにより、スピンドル9は、駆動カム部72C及び従動カム部9Gを含むクラッチ機構8Aを介して伝達されたクラッチカム72の回転力により回転する。スピンドル9とともにドライバビット30が正転することにより、ねじが被加工材にねじ込まれる。
【0125】
ねじ締め作業において、作業者は、スクリュードライバ1の押込み動作を継続する。スリーブ76は、駆動ギヤ71の前面に接触するストッパ部76Bを有する。そのため、押込み動作によりスピンドル9が前進位置から後退位置に移動しても、スリーブ76がスピンドル9と一緒に後方に移動することが抑制される。
【0126】
ねじ締め作業の進行に伴ってスクリュードライバ1が被加工材に徐々に接近し、やがてゴムキャップ13の前端部が被加工材に接触する。ゴムキャップ13の前端部が被加工材に接触した後においては、ねじ締め作業の進行に伴って、スピンドル9が回転しながら前進する。ねじ締め作業の初期においては、ねじからドライバビット30を介してスピンドル9に掛かるトルクは大きいものの、ねじ締め作業の終期においては、ねじからドライバビット30を介してスピンドル9に掛かるトルクは低下する。ドライバビット30を介してスピンドル9に掛かるトルクが低下すると、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとの接触力が低下する。駆動カム部72Cと従動カム部9Gとの接触力が低下すると、コンプレッションスプリング75の付勢力によりクラッチカム72が後方に移動する。これにより、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔し、スピンドル9の回転が停止する。以上により、ねじ締め作業が終了する。
【0127】
駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔して、スピンドル9の回転が停止しても、トリガレバー14が引き操作されている間は、モータ6は駆動し続ける。トリガレバー14の操作が解除されることにより、モータ6が停止する。押込み動作が解除され、ドライバビット30がねじから離れると、スピンドル9は、コンプレッションスプリング75の付勢力により前進位置に戻る。スピンドル9が前進位置に戻ることにより、ブレーキ部材82のブレーキカム部82Cとスピンドル9の前側カム部9Jとが接触し、スピンドル9の不必要な回転が阻止される。
【0128】
なお、プッシュドライブモードにおいては、トリガレバー14が引き操作されただけでは、モータ6は起動しない。トリガレバー14が引き操作された状態で、スクリュードライバ1の押し込み動作によりスピンドル9が後方に移動すると、スピンドル9の支持面9Eに接触しているロッド55が後方に移動する。ロッド55が後方に移動すると、モードセンサ基板60から磁石59が離れるようにレバー57が回動する。コントローラ20は、モードセンサ基板60が検出した磁界の変化に基づいて、モータ6を起動させる。モータ6が起動することにより、クラッチカム72の回転が開始される。スピンドル9が中間位置に配置された状態においては、ブレーキカム部82Cと前側カム部9Jとが離隔し、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔した状態で、スピンドル9は、スリーブ76を介して伝達されたクラッチカム72の回転力により回転する。押込み動作の継続により、スピンドル9は、回転しながら後退位置に向かって移動する。スピンドル9が後退位置に移動して、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触することにより、スピンドル9は、駆動カム部72C及び従動カム部9Gを含むクラッチ機構8Aを介して伝達されたクラッチカム72の回転力により回転する。スピンドル9とともにドライバビット30が正転することにより、ねじが被加工材にねじ込まれる。
【0129】
ねじ締め作業の進行に伴ってスクリュードライバ1が被加工材に徐々に接近し、やがてゴムキャップ13の前端部が被加工材に接触する。ドライバビット30を介してスピンドル9に掛かるトルクが低下すると、コンプレッションスプリング75の付勢力によりクラッチカム72が後方に移動する。これにより、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔し、スピンドル9の回転が停止する。以上により、ねじ締め作業が終了する。
【0130】
ねじ締め作業が終了し、押込み動作が解除され、ドライバビット30がねじから離れると、スピンドル9は、コンプレッションスプリング75の付勢力により前進位置に戻る。スピンドル9が前進位置に戻ることにより、ブレーキ部材82のブレーキカム部82Cとスピンドル9の前側カム部9Jとが接触し、スピンドル9の不必要な回転が阻止される。
また、また、スピンドル9が前進位置に戻ることにより、トーションスプリング58の弾性力によって、モードセンサ基板60に磁石59が接近するようにレバー57が回動する。コントローラ20は、モードセンサ基板60が検出した磁界の変化に基づいて、モータ6を停止させる。
【0131】
[スピンドルロック機構]
スピンドルロック機構8Bは、モータ6の逆転時においてモータ6のロータ34の回転力をスピンドル9に伝達する。中間シャフト74の前部は、スピンドル9の収容孔9Dに収容される。中間シャフト74の後部は、駆動ギヤ71に結合される。中間シャフト74は、ロータ34により回転軸CXを中心に回転する。スピンドルロック機構8Bは、中間シャフト74とスピンドル9との境界に配置される。
【0132】
収容孔9Dに挿入される中間シャフト74の前部にピン支持部74Eが規定される。図18を参照して説明したように、ピン支持部74Eは、大径部74Kと、周方向において大径部74Kとは異なる位置に設けられた小径部74Jと、を有する。回転軸CXと大径部74Kの外周面との径方向の距離LKは、回転軸CXと小径部74Jの外周面との径方向の距離LJよりも大きい。
【0133】
スピンドルロック機構8Bは、ピン支持部74Eの周囲に配置されるロックピン79を有する。ロータ34の逆転時において、ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面とに挟み付けられる。ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面とに挟み付けられることにより、中間シャフト74とスピンドル9とは、ロックピン79によりロックされる。すなわち、ロックピン79は、中間シャフト74とスピンドル9とをロックして、中間シャフト74とスピンドル9との相対回転を阻止するくさびとして機能する。ロータ34の逆転時において、ロックピン79によりロックされた中間シャフト74とスピンドル9とは、相対回転せずに、一緒に回転する。ロータ34の逆転時において、ロックピン79のくさび効果により中間シャフト74とスピンドル9とが一緒に回転するので、駆動ギヤ71の回転が中間シャフト74及びロックピン79を含むスピンドルロック機構8Bを介してスピンドル9に伝達される。
【0134】
なお、ロータ34の正転時において、ロックピン79は、小径部74Jの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置される。ロータ34の正転時において、ロックピン79のくさび効果は発揮されない。ロータ34の正転時において、中間シャフト74とスピンドル9とは相対回転することができる。
【0135】
中間シャフト74は、ピン支持部74Eの後端部に配置され、ロックピン79の後端面に対向するストップ面74Gを有する。スピンドルロック機構8Bは、ロックピン79の後端面がストップ面74Gに押し付けられるようにロックピン79を後方に付勢するコンプレッションスプリング81を有する。
【0136】
また、スピンドルロック機構8Bは、ロックピン79の前端面に接触するスリーブ80を有する。コンプレッションスプリング81の後端部は、スリーブ80の前面に接続される。コンプレッションスプリング81の前端部は、収容孔9Dの前部に配置される支持面9Eに接続される。コンプレッションスプリング81は、スリーブ80を介してロックピン79を後方に付勢する。
【0137】
スピンドルロック機構8Bは、収容孔9Dの内周面に設けられ、ロックピン79の少なくとも一部が配置されるピン溝9Lを有する。ピン溝9Lは、前後方向に長い。ピン溝9Lの後端部は、収容孔9Dの後端部よりも前方に配置される。図22に示すように、ピン溝9Lは、収容孔9Dの内周面において周方向に複数設けられる。ピン溝9Lは、周方向に等間隔で複数設けられる。スピンドル9の後面において、溝9Kの径方向内側には筒部9Mが設けられる。筒部9Mの後端部の内周面は、後方に向かって径方向外側に傾斜する傾斜面9Nを含む。図5及び図7に示すように、コンプレッションスプリング75の前端部は、筒部9Mの周囲に配置される。
【0138】
ロックピン79は、小径部74Jの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置されることにより、ピン溝9Lから外れる。
【0139】
ロックピン79は、ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置された状態で、スピンドル9が前進位置に配置されたときに、ピン溝9Lから外れる。ピン支持部74Eの外周面の後部に隆起部74Mが設けられる。ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置された状態で、スピンドル9が前進位置に配置されるときに、隆起部74Mとロックピン79とが接触する。隆起部74Mとロックピン79の接触により、ロックピン79がピン溝9Lから外れるように径方向に移動する。
【0140】
ロックピン79は、ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置された状態で、スピンドル9が後退位置に移動したときに、ピン溝9Lに配置される。
【0141】
実施形態においては、ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置され、且つ、ピン溝9Lに配置されることにより、中間シャフト74とスピンドル9とがロックピン79によりロックされる。ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置されても、ピン溝9Lから外れた場合、中間シャフト74とスピンドル9とがロックされない。
【0142】
被加工材にねじを締め込むねじ締め作業を実施する場合、モータ6が正転される。被加工材からねじを外すねじ外し作業を実施する場合、モータ6が逆転される。ねじ締め作業及びねじ外し作業のそれぞれにおいて、ドライバビット30の先端部がねじの頭部の十字溝に挿入された状態で、スクリュードライバ1が被加工材に接近するようにスクリュードライバ1を押し込む押し込み動作が実施される。押し込み動作により、スピンドル9が前進位置から後退位置に移動する。実施形態において、スピンドルロック機構8Bは、スピンドル9が後退位置に移動したときに、ロータ34の回転力をスピンドル9に伝達する。すなわち、実施形態において、ロータ34の逆転時において押し込み動作によりスピンドル9が後退位置に移動したときに、中間シャフト74とスピンドル9とがロックピン79によりロックされる。
【0143】
図23は、ロータ34が正転され、押し込み動作が実施されていないときのスクリュードライバ1の一部を示す断面図である。図24は、図23のB部分の拡大図である。図25は、図24のH-H線断面矢視図である。図26は、図25のC部分の拡大図である。
【0144】
図27は、ロータ34が正転され、押し込み動作が実施されたときのスクリュードライバ1の一部を示す断面図である。図27において、ドライバビット30は押し込まれているものの、クラッチ機構8Aは結合されていない。図28は、図27のB部分の拡大図である。図29は、図28のH-H線断面矢視図である。図30は、図29のC部分の拡大図である。
【0145】
図31は、ロータ34が逆転され、押し込み動作が実施されていないときのスクリュードライバ1の一部を示す断面図である。図32は、図31のB部分の拡大図である。図33は、図31のH-H線断面矢視図である。図34は、図33のC部分の拡大図である。
【0146】
図35は、ロータ34が逆転され、押し込み動作が実施されたときのスクリュードライバ1の一部を示す断面図である。図35において、ドライバビット30は押し込まれているものの、クラッチ機構8Aは結合されていない。図36は、図35のB部分の拡大図である。図37は、図36のH-H線断面矢視図である。図38は、図37のC部分の拡大図である。
【0147】
図23から図26に示すように、ロータ34の正転時において、ロックピン79が小径部74Jの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置される。また、押し込み動作が実施されていないので、スピンドル9は前進位置に配置される。ロックピン79は、小径部74Jの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置されているときに、ピン溝9Lから外れる。ロックピン79が小径部74Jの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置され、ピン溝9Lから外れているので、中間シャフト74とスピンドル9とがロックされず、相対回転することができる。ロックピン79は、凸部74Hに接触する。中間シャフト74がスピンドル9の内側において正転すると、ロックピン79は、凸部74Hに押されながらスピンドル9の内側において回転軸CXの周囲を旋回する。
【0148】
図27から図30に示すように、ロータ34の正転時において、ロックピン79が小径部74Jの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置される。押し込み動作が実施されているので、スピンドル9は後退位置に配置される。ロックピン79は、小径部74Jの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置されているので、ピン溝9Lから外れる。ロックピン79が小径部74Jの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置され、ピン溝9Lから外れているので、中間シャフト74とスピンドル9とがロックされず、相対回転することができる。ロックピン79は、凸部74Hに接触する。中間シャフト74がスピンドル9の内側において正転すると、ロックピン79は、凸部74Hに押されながらスピンドル9の内側において回転軸CXの周囲を旋回する。
【0149】
図31から図34に示すように、ロータ34の逆転時において、ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置される。また、押し込み動作が実施されていないので、スピンドル9は前進位置に配置される。図32に示すように、ロックピン79の後端部は、収容孔9Dの後端部よりも後方に配置される。隆起部74Mとロックピン79の後端部との接触により、図32に示すように、ロックピン79がピン溝9Lから外れるように径方向に移動する。図32に示す例において、ロックピン79は、後方に向かって径方向外側に傾斜する。ロックピン79は、大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置されているものの、ピン溝9Lから外れているので、中間シャフト74とスピンドル9とがロックされず、相対回転することができる。ロータ34の逆転時において、押し込み動作が実施されていないときには、中間シャフト74とスピンドル9とがロックされないので、スピンドル9は回転しない。
【0150】
図35から図38に示すように、ロータ34の逆転時において、ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置される。また、押し込み動作が実施されているので、スピンドル9は後退位置に配置される。ロックピン79は、ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置された状態で、スピンドル9が後退位置に移動したときにピン溝9Lに配置される。ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置され、且つ、ピン溝9Lに配置されているので、中間シャフト74とスピンドル9とがロックされ、一緒に回転することができる。ロータ34の逆転時において、押し込み動作が実施されたときには、中間シャフト74とスピンドル9とが一緒に逆転する。これにより、ねじ外し作業が実施される。
【0151】
なお、スピンドル9が後退位置に配置されることにより、前後方向において駆動カム部72Cの位置と従動カム部9Gの少なくとも一部の位置とが重複する可能性がある。実施形態においては、前後方向において駆動カム部72Cの位置と従動カム部9Gの少なくとも一部の位置とが重複しても、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触しないように、中間シャフト74とスピンドル9とがロックされる。すなわち、前後方向において駆動カム部72Cの位置と従動カム部9Gの少なくとも一部の位置とが重複しても、周方向において駆動カム部72Cと従動カム部9Gとがずれた位置に配置されるように、中間シャフト74とスピンドル9とがロックされる。
【0152】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、スクリュードライバ1は、ギヤハウジング3と、モータ6と、ギヤハウジング3の内側に配置されるクラッチカム72と、クラッチカム72よりも前方に配置されるスピンドル9と、を備える。クラッチカム72は、モータ6により回転軸CXを中心に回転される。スピンドル9は、クラッチカム72に設けられた駆動カム部72Cに対向する従動カム部9G及びドライバビット30が装着されるロッド部9Aを有する。スピンドル9は、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触又は離隔するようにギヤハウジング3に前後方向に移動可能に支持される。スクリュードライバ1は、ギヤハウジング3の内側において駆動カム部72C及び従動カム部9Gよりも径方向外側に配置されるスリーブ76を備える。
【0153】
上記の構成では、ギヤハウジング3の内側においてクラッチ機構8Aの駆動カム部72C及び従動カム部9Gよりも径方向外側にスリーブ76が配置されるので、駆動カム部72C及び従動カム部9Gに塗布されたグリスのような潤滑剤がスリーブ76の周囲に飛散することが抑制される。これにより、駆動カム部72C及び従動カム部9Gに潤滑剤が塗布された状態が維持され、クラッチ機構8Aにおいて潤滑剤が減少することが抑制される。そのため、駆動カム部72C及び従動カム部9Gの摩耗が抑制され、スクリュードライバ1の寿命が短くなることが抑制される。また、スリーブ76により、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触したときの騒音がスクリュードライバ1の周囲に伝達されることが抑制される。
【0154】
実施形態において、クラッチカム72は、回転軸CXの周囲に配置されるカムリング部72Aを有する。駆動カム部72Cは、カムリング部72Aの前面から前方に突出するように設けられる。スピンドル9は、ロッド部9Aの後端部に設けられるフランジ部9Bを有する。従動カム部9Gは、フランジ部9Bの後面から後方に突出するように設けられる。スリーブ76は、カムリング部72A及びフランジ部9Bのそれぞれに支持される。
【0155】
上記の構成では、駆動カム部72C及び従動カム部9Gのそれぞれは、カムリング部72Aとフランジ部9Bとスリーブ76とにより画定される閉鎖空間の内側に配置される。そのため、駆動カム部72C及び従動カム部9Gに塗布された潤滑剤がスリーブ76の周囲に飛散することが効果的に抑制される。また、スリーブ76により、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触したときの騒音がスクリュードライバ1の周囲に伝達されることが効果的に抑制される。
【0156】
実施形態において、スクリュードライバ1は、フランジ部9Bの外周部に配置され、スリーブ76に接触する前側Oリング78を備える。
【0157】
上記の構成では、スリーブ76とフランジ部9Bとの境界が前側Oリング78でシールされる。これにより、駆動カム部72C及び従動カム部9Gに塗布された潤滑剤がスリーブ76の周囲に飛散することが効果的に抑制される。また、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触したときの騒音がスクリュードライバ1の周囲に伝達されることが効果的に抑制される。
【0158】
実施形態において、スクリュードライバ1は、カムリング部72Aの外周部に配置され、スリーブ76に接触する後側Oリング77を備える。
【0159】
上記の構成では、スリーブ76とカムリング部72Aとの境界が後側Oリング77でシールされる。これにより、駆動カム部72C及び従動カム部9Gに塗布された潤滑剤がスリーブ76の周囲に飛散することが効果的に抑制される。また、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触したときの騒音がスクリュードライバ1の周囲に伝達されることが効果的に抑制される。
【0160】
実施形態において、スピンドル9が前進位置に配置されている状態で、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔する。スピンドル9が前進位置よりも後方の後退位置に配置されている状態で、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触可能である。スピンドル9が前進位置に配置されている状態で、クラッチカム72の回転力がスリーブ76を介してスピンドル9に伝達される。
【0161】
上記の構成では、スリーブ76と後側Oリング77との摩擦及びスリーブ76と前側Oリング78との摩擦により、クラッチカム72の回転力が後側Oリング77、スリーブ76、及び前側Oリング78を介してスピンドル9に伝達される。スピンドル9は、スリーブ76と後側Oリング77との摩擦、及びスリーブ76と前側Oリング78との摩擦により回転する。クラッチカム72の回転力が摩擦によりスピンドル9に伝達されるので、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔している状態で、スピンドル9は、クラッチカム72の回転速度よりも低い回転速度で回転する。これにより、スピンドル9は、クラッチカム72の回転速度よりも低い回転速度で回転しながら後退位置に向かって移動することができる。スピンドル9は、スリーブ76を介して伝達されたクラッチカム72の回転力により回転しながら後退位置に向かって移動するので、スピンドル9が回転せずに後退位置に向かって移動する場合に比べて、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触するときのクラッチカム72とスピンドル9との相対回転速度が低くなる。そのため、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触するときの衝撃が小さくなる。したがって、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとの接触による騒音の発生が抑制される。
【0162】
実施形態において、スクリュードライバ1は、ギヤハウジング3に支持され、スピンドル9が前進位置に配置されている状態でスピンドル9の回転を阻止するブレーキ部材82を備える。
【0163】
上記の構成では、スピンドル9が前進位置に配置されている状態で、クラッチカム72の回転力がスリーブ76を介してスピンドル9に伝達されても、ブレーキ部材82により、スピンドル9の回転が阻止される。スピンドル9の不必要な回転が抑制されるので、作業者は、例えばドライバビット30の先端部をねじの頭部の十字溝に挿入する作業を円滑に実施することができる。
【0164】
実施形態において、スピンドル9は、フランジ部9Bの前面から前方に突出する前側カム部9Jを有する。ブレーキ部材82は、ギヤハウジング3に支持されるブレーキリング部82Aと、スピンドル9が前進位置に配置されている状態で前側カム部9Jに接触するブレーキカム部82Cと、を有する。
【0165】
上記の構成では、フランジ部9Bの前側カム部9Jとブレーキ部材82のブレーキカム部82Cとの接触により、スピンドル9の回転が阻止される。
【0166】
実施形態において、スピンドル9が前進位置から前進位置と後退位置との間の中間位置に移動したときに、ブレーキ部材82による回転の阻止が解除され、スピンドル9の回転が開始される。
【0167】
上記の構成では、スピンドル9が後退位置に移動する前の中間位置において、スピンドル9の回転が開始される。スピンドル9が中間位置から後退位置に移動するときにはスピンドル9が回転しているので、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触するときのクラッチカム72とスピンドル9との相対回転速度が低くなる。そのため、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触するときの衝撃が小さくなる。したがって、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとの接触による騒音の発生が抑制される。
【0168】
実施形態において、スクリュードライバ1は、少なくとも一部がクラッチカム72よりも後方に配置され、モータ6により回転軸CXを中心に回転する駆動ギヤ71を備える。クラッチカム72は、駆動ギヤ71に支持される。スリーブ76は、カムリング部72A及びフランジ部9Bのそれぞれの周囲に配置される円筒部76Aと、駆動ギヤ71の前面に接触するストッパ部76Bと、を有する。
【0169】
上記の構成では、スピンドル9が前進位置から後退位置に移動した場合、例えばスリーブ76と前側Oリング78との摩擦により、スリーブ76がスピンドル9と一緒に後方に移動する可能性がある。スリーブ76は、駆動ギヤ71の前面に接触するストッパ部76Bを有するので、スピンドル9が後方に移動しても、スリーブ76がスピンドル9と一緒に後方に移動することが抑制される。
【0170】
実施形態において、クラッチカム72は、カムリング部72Aの後面に設けられたカムボール溝72Dを有する。カムボール溝72Dは、回転軸CXに直交する面内において円弧状である。カムボール溝72Dの少なくとも一部は、前後方向に傾斜する。スクリュードライバ1は、カムボール溝72Dに配置されるボール73を備える。クラッチカム72は、ボール73を介して駆動ギヤ71に結合される。駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触したときに、クラッチカム72が前方に移動する。
【0171】
上記の構成では、スピンドル9が前進位置に配置され駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔している状態で、クラッチカム72は、駆動ギヤ71と一緒に回転することができる。スピンドル9が前進位置から後退位置に移動して駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触したとき、クラッチカム72はスピンドル9から回転方向の抵抗力を受け、その結果、ボール73がカムボール溝72Dを転がって、駆動ギヤ71とクラッチカム72とがボール73を介して相対回転する。カムボール溝72Dの少なくとも一部が前後方向に傾斜しているので、駆動ギヤ71とクラッチカム72とがボールを介して相対回転することにより、クラッチカム72は前方に移動することができる。
【0172】
実施形態において、スクリュードライバ1は、スリーブ76よりも径方向内側に配置され、クラッチカム72を後方に付勢するコンプレッションスプリング75を備える。駆動カム部72C及び従動カム部9Gを介して伝達されたクラッチカム72の回転力により回転するスピンドル9に掛かるトルクが低下したときに、コンプレッションスプリング75によりクラッチカム72が後方に移動して、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔する。
【0173】
上記の構成では、スクリュードライバ1によるねじ締め作業の初期においては、ドライバビット30を介してスピンドル9が後方に押し込まれ、スピンドル9が前進位置から後退位置に移動する。スピンドル9が前進位置から後退位置に移動することにより、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが接触して、クラッチカム72は前方に移動する。スクリュードライバ1によるねじ締め作業の終期においては、ドライバビット30を介してスピンドル9に掛かるトルクが低下するので、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとの接触力が低下する。駆動カム部72Cと従動カム部9Gとの接触力が低下すると、コンプレッションスプリング75によりクラッチカム72が後方に移動する。これにより、駆動カム部72Cと従動カム部9Gとが離隔し、スピンドル9の回転が停止する。
【0174】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、スリーブ76は、後側Oリング77に接触することとした。後側Oリング77は、省略されてもよい。スリーブ76の内周面の後端部は、クラッチカム72のカムリング部72Aに接触してもよい。また、スリーブ76の内周面の後端部は、カムリング部72Aに固定されてもよい。
【0175】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、スリーブ76は、前側Oリング78に接触することとした。前側Oリング78は、省略されてもよい。スリーブ76の内周面の前端部は、スピンドル9のフランジ部9Bに相対移動可能に接触してもよい。また、スリーブ76がシール部材により構成されてもよい。また、前側Oリング78の代わりにシール性の無い弾性体が配置されてもよい。
【0176】
上述の実施形態においては、ロータ34の逆転時においてスピンドル9が後退位置に移動したときに、中間シャフト74とスピンドル9とがロックされることとした。ロータ34の逆転時においてスピンドル9が前進位置に配置されているときに、中間シャフト74とスピンドル9とがロックされてもよい。すなわち、ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置された状態で、スピンドル9が前進位置に配置されているときに、ロックピン79がピン溝9Lに配置されてもよい。
【0177】
なお、上述の実施形態において、ピン溝9Lが設けられない場合、ロックピン79が大径部74Kの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置されることにより、中間シャフト74とスピンドル9とがロックピン79によりロックされ、ロックピン79が小径部74Jの外周面と収容孔9Dの内周面との間に配置されることにより、中間シャフト74とスピンドル9とがロックされないこととしてもよい。
【0178】
上述の実施形態においては、スピンドルロック機構8Bは、ロータ34により回転する中間シャフト74と、中間シャフト74の周囲に配置されるスピンドル9の筒状部9Pと、中間シャフト74の外周面と筒状部9Pの内周面との間に配置されるロックピン79と、筒状部9Pの内周面に設けられ、ロックピン79の少なくとも一部が配置されるピン溝9Lと、を有することとした。すなわち、スピンドルロック機構8Bは、中間シャフト74とスピンドル9の筒状部9Pとの境界に配置されることとした。スピンドルロック機構8Bは、ロータ34とスピンドル9との間に介在されていればよく、中間シャフト74とスピンドル9の筒状部9Pとの境界とは別の位置に配置されてもよい。例えば、モータ6のロータシャフト41の周囲に筒状部が配置され、その筒状部の内周面にピン溝が設けられ、ロータシャフト41の外周面と筒状部の内周面との間にロックピンが配置されてもよい。
【0179】
上述の実施形態において、スクリュードライバ1の電源は、バッテリパック25でなくてもよく、商用電源(交流電源)でもよい。
【符号の説明】
【0180】
1…スクリュードライバ、2…本体ハウジング、2A…ファンケース部、2B…ピン部、2C…支持リブ、2L…左側ハウジング、2R…右側ハウジング、2S…ねじ、3…ギヤハウジング、3C…シールリング、3S…ねじ、4…フック、4S…ねじ、5…バッテリ装着部、6…モータ、7…ファン、8…動力伝達機構、8A…クラッチ機構、8B…スピンドルロック機構、9…スピンドル、9A…ロッド部、9B…フランジ部、9C…ビット保持孔、9D…収容孔、9E…支持面、9F…貫通孔、9G…従動カム部、9H…リング溝、9J…前側カム部、9K…溝、9L…ピン溝、9M…筒部、9N…傾斜面、9P…筒状部、10…工具保持機構、11…ロックリング、11A…ねじ溝、12…アジャストスリーブ、13…ゴムキャップ、14…トリガレバー、15…ロックボタン、16…正逆転切換レバー、17…ライト、18…スイッチプレート、18A…モード切換ボタン、19…プッシュドライブ機構、20…コントローラ、20A…回路基板、20B…ケース、21…モータ収容部、21A…凹部、22…ハンドル部、22A…グリップ部、22B…連結部、23…バッテリ保持部、24…連結部、25…バッテリパック、26…吸気口、27…排気口、28…ハンドストラップ、29…スリーブ、30…ドライバビット、30A…凹部、31…後側ハウジング、31A…プレート部、31B…凹部、31C…筒部、32…前側ハウジング、32A…プレート部、32B…筒状部、32C…ねじ山、33…ステータ、34…ロータ、35…ステータコア、36F…前側インシュレータ、36R…後側インシュレータ、37…コイル、38…短絡部材、39…コネクタ、39S…ねじ、40…ロータコア、41…ロータシャフト、42…ロータ磁石、43…回転センサ基板、43S…ねじ、44…ロータベアリング、45…ロータベアリング、46…サークリップ、47…ピニオンギヤ、48…スピンドルベアリング、48A…溝、49…ボール、50…リーフスプリング、51…リーフスプリング、52…Oリング、53…カップワッシャ、54…スイッチ、55…ロッド、56…シール、57…レバー、57A…回動部、57B…第1突出部、57C…第2突出部、58…トーションスプリング、59…磁石、60…モードセンサ基板、61…サークリップ、62…シャフトベアリング、63…オイルシール、64…Oリング、71…駆動ギヤ、71A…リング部、71B…ギヤ部、71C…筒状部、71D…ギヤボール溝、72…クラッチカム、72A…カムリング部、72B…リング溝、72C…駆動カム部、72D…カムボール溝、73…ボール、74…中間シャフト、74A…貫通孔、74B…ベアリング保持部、74C…ギヤ固定部、74D…中間部、74E…ピン支持部、74F…スリーブ支持部、74G…ストップ面、74H…凸部、74J…小径部、74K…大径部、74M…隆起部、75…コンプレッションスプリング、76…スリーブ、76A…円筒部、76B…ストッパ部、77…後側Oリング、78…前側Oリング、79…ロックピン、80…スリーブ、80A…凹部、81…コンプレッションスプリング、82…ブレーキ部材、82A…ブレーキリング部、82B…凹部、82C…ブレーキカム部、AX…回転軸、CX…回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図11
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