(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113311
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、記録装置、クリーニング方法
(51)【国際特許分類】
B65H 5/00 20060101AFI20240815BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B65H5/00 B
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018198
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小口 武
(72)【発明者】
【氏名】細川 達也
(72)【発明者】
【氏名】塩原 浩
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 知明
【テーマコード(参考)】
2C056
3F101
【Fターム(参考)】
2C056HA29
3F101AB01
3F101AB07
3F101AB19
3F101LA01
3F101LA07
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】ローラー及び対向部材のダメージを低減しつつ、ローラーをクリーニングすることができる媒体搬送装置、記録装置、クリーニング方法を提供する。
【解決手段】第1ローラー52fと、第1ローラー52fと対向する第1対向部材53fと、によって媒体19を搬送する媒体搬送装置であって、第1ローラー52fと第1対向部材53fとを相対的に離間及び接触させる第1変位部55fと、制御部と、を備え、制御部は、第1ローラー52fと第1対向部材53fとを離間させた状態で、第1ローラー52fを回転させるクリーニング動作を実行可能である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラーと、前記ローラーと対向する対向部材と、によって媒体を搬送する媒体搬送装置であって、
前記ローラーと前記対向部材とを相対的に離間及び接触させる変位部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記ローラーと前記対向部材とを離間させた状態で、前記ローラーを回転させるクリーニング動作を実行可能であることを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記媒体を搬送する際に、前記ローラーを搬送速度で回転させ、
前記クリーニング動作の際に、前記ローラーを前記搬送速度よりも高速で回転させることを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記ローラーの表面には、目の方向が揃った複数の溝が形成されており、
前記制御部は、前記クリーニング動作の際に、前記ローラーを前記溝の底が前記溝の口より先行する方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記クリーニング動作の際に、前記ローラーを停止或いは正転方向と反対の逆転方向に回転させた状態から、前記正転方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記対向部材は、前記媒体に対して点接触可能な複数の歯を周面に有する歯付きローラーであることを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記ローラーを第1ローラーとし、
前記対向部材を第1対向部材とし、
前記変位部を第1変位部とし、
前記クリーニング動作を第1クリーニング動作としたとき、
前記第1ローラーと前記第1対向部材とによって前記媒体を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部よりも搬送方向の下流に設けられ、第2ローラーと第2対向部材とによって前記媒体を搬送する第2搬送部と、
前記第2ローラーと前記第2対向部材とを相対的に離間及び接触させる第2変位部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2ローラーと前記第2対向部材とを離間させた状態で、前記第2ローラーを回転させる第2クリーニング動作を、前記第1クリーニング動作とは異なるタイミングで実行することを特徴とする請求項1~請求項5のうち何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2搬送部によって前記媒体を搬送しているときに、前記第1クリーニング動作を実行することを特徴とする請求項6に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記搬送方向において、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間の所定位置における搬送の遅れを検知可能であり、
前記所定位置で搬送の遅れを検知したとき、前記第1クリーニング動作を実行することを特徴とする請求項6に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
請求項1~請求項5のうち何れか一項に記載の媒体搬送装置と、
前記媒体搬送装置によって搬送される前記媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、
を備え、
前記ローラーは、前記記録部によって記録される前の前記媒体を搬送することを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項6に記載の媒体搬送装置と、
前記媒体搬送装置によって搬送される前記媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、
を備え、
前記第1ローラーは、前記記録部によって記録される前の前記媒体を搬送することを特徴とする記録装置。
【請求項11】
対向部材に接触可能なローラーが、前記対向部材との間に媒体を挟んで回転することで該媒体を搬送することと、
前記ローラーと前記対向部材を相対的に離間させることと、
前記ローラーと前記対向部材を離間させた状態で、前記ローラーを回転させるクリーニング動作を実行することと、
を含むことを特徴とするクリーニング方法。
【請求項12】
前記ローラーを第1ローラーとし、前記対向部材を第1対向部材とし、前記クリーニング動作を第1クリーニング動作としたとき、
前記第1対向部材よりも搬送方向の下流に設けられる第2対向部材に接触可能な第2ローラーが、前記第2対向部材との間に前記媒体を挟んで回転することで該媒体を搬送することと、
前記第2ローラーと前記第2対向部材を相対的に離間させることと、
前記第2ローラーと前記第2対向部材を離間させた状態で、前記第2ローラーを回転させる第2クリーニング動作を、前記第1クリーニング動作とは異なるタイミングで実行することと、
を含むことを特徴とする請求項11に記載のクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置、記録装置、クリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、媒体の一例であるシート部材にヘッドから液体の一例であるインクを吐出して印刷する記録装置の一例であるプリンターがある。プリンターは、ローラーの一例であるフィードローラーと、対向部材の一例である分離ローラーと、を備える。プリンターは、印刷終了後にフィードローラーを回転させることにより、ローラーに付着した紙粉を除去するクリーニングを行う。プリンターは、フィードローラーを分離ローラーに接する状態で回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ローラーを対向部材に接する状態で回転させると、ローラー及び対向部材は、摩耗したり、傷付いたりする虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する媒体搬送装置は、ローラーと、前記ローラーと対向する対向部材と、によって媒体を搬送する媒体搬送装置であって、前記ローラーと前記対向部材とを相対的に離間及び接触させる変位部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記ローラーと前記対向部材とを離間させた状態で、前記ローラーを回転させるクリーニング動作を実行可能である。
【0006】
上記課題を解決する記録装置は、上記構成の媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置によって搬送される前記媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、を備え、前記ローラーは、前記記録部によって記録される前の前記媒体を搬送する。
【0007】
上記課題を解決するクリーニング方法は、対向部材に接触可能なローラーが、前記対向部材との間に媒体を挟んで回転することで該媒体を搬送することと、前記ローラーと前記対向部材を相対的に離間させることと、前記ローラーと前記対向部材を離間させた状態で、前記ローラーを回転させるクリーニング動作を実行することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】第1クリーニング動作を行う第1搬送部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、媒体搬送装置、記録装置を備える記録システム、媒体搬送方法、クリーニング方法の一実施形態を、図面を参照して説明する。図面では、記録システム11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。
【0010】
<記録システム>
図1に示すように、記録システム11は、記録装置13と、中間装置14と、後処理装置15と、を備えてもよい。記録装置13、中間装置14、及び後処理装置15は、互いに隣接して設けられてもよい。
【0011】
記録装置13は、1以上の媒体収容部17を備えてもよい。媒体収容部17は、複数の媒体19を積層状態で収容可能である。
記録システム11は、1以上のスタッカーを備えてもよい。例えば、記録装置13は、第1スタッカー21及び第2スタッカー22を備えてもよい。例えば、後処理装置15は、第3スタッカー23を備えてもよい。第1スタッカー21~第3スタッカー23は、それぞれ記録された媒体19を受ける。
【0012】
記録装置13は、例えば、媒体19に液体の一例であるインクを吐出することによって、画像を記録するインクジェット式のプリンターである。
中間装置14は、記録装置13において記録された媒体19を後処理装置15に送る。
【0013】
後処理装置15は、記録装置13によって記録された媒体19に対して後処理を行う。後処理装置15は、後処理部25を備える。後処理部25は、例えば、複数の媒体19をステープルで綴じるステープラー処理を行ってもよい。後処理部25は、媒体19に穴を開けるパンチ処理、媒体19を部単位でずらして排出するシフト処理などを行ってもよい。
【0014】
記録システム11は、1以上の制御部27を備えてもよい。制御部27は、記録装置13、中間装置14、及び後処理装置15のうち少なくとも1つの装置が備えてもよい。制御部27は、記録システム11もしくは制御部27が設けられた装置における各機構の駆動を統括的に制御する。制御部27は、記録システム11もしくは制御部27が設けられた装置で実行される各種動作を制御する。
【0015】
制御部27は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0016】
<記録装置、媒体搬送装置>
図2に示すように、記録装置13は、媒体搬送装置29と、記録部30と、メンテナンス部31と、を備えてもよい。媒体搬送装置29は、制御部27を備える。
【0017】
媒体搬送装置29は、媒体19が搬送される搬送経路33を備えてもよい。図面では、搬送経路33を一点鎖線で示す。本実施形態では、媒体19が搬送される方向を搬送方向Dともいう。搬送方向Dは、搬送経路33に沿う方向である。本実施形態において、上流とは搬送方向Dの上流であり、下流とは搬送方向Dの下流である。
【0018】
搬送経路33は、供給経路34、排出経路35、反転経路36を含んでもよい。
供給経路34は、記録前の媒体19が通る経路である。供給経路34は、媒体収容部17と記録部30とを結ぶ経路である。
【0019】
排出経路35は、記録された媒体19が通る経路である。排出経路35は、記録部30と、例えば第1スタッカー21とを結ぶ経路である。排出経路35は、第2スタッカー22、中間装置14、もしくは後処理装置15に繋がる経路であってもよい。
【0020】
反転経路36は、片面に記録された媒体19を記録部30より上流に戻す経路である。反転経路36を搬送される媒体19は、先に記録された表面が下を向くように反転する。記録部30より上流に戻された媒体19は、記録されていない裏面が記録部30と対向して記録される。すなわち、記録装置13は、媒体19の両面に記録可能であってもよい。
【0021】
記録部30は、媒体搬送装置29によって搬送される媒体19に記録を行う。記録部30は、媒体19に液体を吐出する吐出部38を備えてもよい。吐出部38は、液体を吐出する複数のノズル39を有してもよい。記録部30は、液体を吐出して記録を行ってもよい。
【0022】
媒体搬送装置29は、無端状の搬送ベルト41と、一対のプーリー42と、を備えてもよい。搬送ベルト41は、一対のプーリー42に掛け渡される。搬送ベルト41は、搬送経路33を挟んで記録部30と対向する。搬送ベルト41は、媒体19の一部を平坦な状態に支持する。搬送ベルト41は、媒体19を吸着した状態で回転することで、媒体19を搬送する。
【0023】
搬送ベルト41は、一方のプーリー42を中心として回転することにより、
図2に実線で示す支持位置と、
図2に二点鎖線で示す退避位置との間を移動可能に設けられる。支持位置は、媒体19を支持して記録部30に対向させる位置である。退避位置は、記録部30から離れる位置である。
【0024】
メンテナンス部31は、搬送ベルト41が退避位置に位置する状態で移動可能に設けられてもよい。メンテナンス部31は、記録部30に対向もしくは接触する位置に移動することで、記録部30のメンテナンスを行ってもよい。制御部27は、メンテナンス部31を制御することで、記録部30のメンテナンスを実行可能である。
【0025】
メンテナンス部31は、記録部30のメンテナンスとして、例えばフラッシングを行ってもよい。フラッシングとは、滴状の液体をノズル39から飛ばすように吐出させるメンテナンスである。メンテナンス部31は、フラッシングに伴ってノズル39から吐出される液体を受容してもよい。フラッシングは、例えば、記録前、記録中、記録後などに実行される。
【0026】
媒体搬送装置29は、給送ローラー44と、分離部45と、搬送部46と、検出部47と、を備えてもよい。媒体搬送装置29は、給送ローラー44、分離部45、搬送部46、及び検出部47を、それぞれ複数備えてもよい。給送ローラー44と分離部45は、媒体収容部17と同数設けられてもよい。給送ローラー44、分離部45、搬送部46、及び検出部47は、それぞれ搬送経路33に沿って設けられる。
【0027】
給送ローラー44は、媒体収容部17に収容された媒体19に接する状態で回転することにより、媒体19を搬送経路33に送り出す。給送ローラー44は、搬送経路33の上流端に位置する。
【0028】
分離部45は、ローラーの一例である分離駆動ローラー49と、対向部材の一例である分離従動ローラー50と、を有してもよい。分離駆動ローラー49と分離従動ローラー50は、間に媒体19がない状態では互いに接触する。
【0029】
分離従動ローラー50は、例えばトルクリミッターによって、回転負荷が付与されている。分離部45が複数の媒体19を挟む場合、分離駆動ローラー49が駆動回転することに対し、分離従動ローラー50が従動回転しにくくなる。これにより分離部45は、給送ローラー44によって送り出された媒体19を1枚ずつ分離する。媒体搬送装置29は、分離駆動ローラー49と、分離従動ローラー50と、によって媒体19を搬送する。
【0030】
搬送部46は、ローラーの一例である搬送駆動ローラー52と、対向部材の一例である搬送従動ローラー53と、を有してもよい。搬送駆動ローラー52と搬送従動ローラー53は、間に媒体19がない状態では互いに接触する。
【0031】
搬送駆動ローラー52と搬送従動ローラー53は、媒体19を挟んだ状態で搬送駆動ローラー52が回転することにより、媒体19を搬送する。媒体搬送装置29は、搬送駆動ローラー52と、搬送従動ローラー53と、によって媒体19を搬送する。
【0032】
媒体搬送装置29は、変位部55を備えてもよい。媒体搬送装置29は、複数の変位部55を備えてもよい。変位部55は、分離駆動ローラー49と分離従動ローラー50とを相対的に離間及び接触させてもよい。変位部55は、分離駆動ローラー49と分離従動ローラー50の少なくとも一方を移動させてもよい。分離従動ローラー50は、分離駆動ローラー49に対向する。
【0033】
変位部55は、搬送駆動ローラー52と搬送従動ローラー53とを相対的に離間及び接触させてもよい。変位部55は、搬送駆動ローラー52と搬送従動ローラー53の少なくとも一方を移動させてもよい。搬送従動ローラー53は、搬送駆動ローラー52に対向する。
【0034】
複数の搬送従動ローラー53のうち、例えば供給経路34に設けられる搬送従動ローラー53は、棒状であってもよい。棒状の搬送従動ローラー53を用いることで、記録前の媒体19を安定して搬送することができる。
【0035】
搬送従動ローラー53は、媒体19に対して点接触可能な複数の歯を周面に有する歯付きローラーであってもよい。複数の搬送従動ローラー53のうち、例えば排出経路35と反転経路36に設けられる搬送従動ローラー53を歯付きローラーにしてもよい。特に本実施形態のようなインクジェット式のプリンターでは、ローラーへのインクの転写を抑制するために、直前に記録を行った面に接触するローラーを歯付きローラーにすることが望ましい。歯付きローラーにすることで媒体19との接触面積が小さくなるため、搬送による記録品質の低下を抑制できる。
【0036】
図3に示すように、連続して給送される2枚の媒体19を、第1媒体19fと第2媒体19sともいう。第1媒体19fは、先行して搬送される媒体19である。第2媒体19sは、第1媒体19fの次に搬送される媒体19である。
【0037】
図3には、複数の搬送部46のうち搬送方向Dに隣り合う2つと、複数の検出部47のうち搬送方向Dに隣り合う2つと、を図示する。2つの搬送部46と2つの検出部47は、搬送経路33のうち供給経路34、排出経路35、反転経路36の何れかの経路に位置するものであってもよいし、複数の経路に位置するものであってもよい。
【0038】
2つの搬送部46のうち、上流側を第1搬送部46f、下流側を第2搬送部46sともいう。第2搬送部46sは、第1搬送部46fよりも搬送方向Dの下流に設けられる。
2つの検出部47のうち、上流側を第1検出部47f、下流側を第2検出部47sともいう。第1検出部47fは、第2搬送部46sより上流に設けられる。第1検出部47fは、搬送方向Dにおいて第1搬送部46fと第2搬送部46sとの間に設けられる。第2検出部47sは、第2搬送部46sより下流に設けられる。
【0039】
第1搬送部46fが備える搬送駆動ローラー52を第1ローラー52f、搬送従動ローラー53を第1対向部材53fともいう。第1搬送部46fは、第1ローラー52fと第1対向部材53fとによって媒体19を搬送する。第1ローラー52fは、媒体19を搬送方向Dに搬送する。第1対向部材53fは、歯付きローラーであってもよい。
【0040】
第2搬送部46sが備える搬送駆動ローラー52を第2ローラー52s、搬送従動ローラー53を第2対向部材53sともいう。第2搬送部46sは、第2ローラー52sと第2対向部材53sとによって媒体19を搬送する。第2ローラー52sは、搬送方向Dにおける第1ローラー52fの下流で、媒体19を搬送方向Dに搬送する。第2対向部材53sは、第1対向部材53fよりも搬送方向Dの下流に設けられる。第2対向部材53sは、歯付きローラーであってもよい。
【0041】
第1ローラー52fと第2ローラー52sは、正転方向Dfと、正転方向Dfとは反対の逆転方向に回転可能であってもよい。第1ローラー52fと第2ローラー52sの表面には、目の方向が揃った複数の溝57が形成されていてもよい。
【0042】
溝57は、全周に形成されてもよい。溝57は、軸方向に亘って形成されてもよいし、軸方向に複数の溝57が形成されてもよい。溝57は、鱗状に形成されてもよい。溝57は、例えば研磨により形成することができる。溝57は、表面に対して斜めに形成される。溝57は、第1ローラー52fと第2ローラー52sが正転方向Dfに回転するとき、底58が口59より先行する。すなわち、正転方向Dfは、溝57の底58が溝57の口59より先行する方向である。正転方向Dfにおける底58の幅は、口59の幅より小さくてもよい。第1ローラー52fと第2ローラー52sは、正転方向Dfに回転することで媒体19を搬送方向Dに搬送する。
【0043】
第1ローラー52fと第1対向部材53fとを相対的に離間及び接触させる変位部55を第1変位部55fともいう。例えば第1変位部55fは、第1対向部材53fを移動させる。
【0044】
第2ローラー52sと第2対向部材53sとを相対的に離間及び接触させる変位部55を第2変位部55sともいう。例えば第2変位部55sは、第2対向部材53sを移動させる。
【0045】
<媒体搬送方法>
図3,
図4に示すように、制御部27は、第1ローラー52fと第2ローラー52sとを制御してもよい。制御部27は、第1ローラー52fが第1媒体19fを搬送するときは、第1ローラー52fを例えば第1時間t1まで第1速度V1で回転させる。制御部27は、第1ローラー52fを第1速度V1で回転させることにより第1媒体19fを搬送方向Dに搬送する。第1速度V1は、例えば記録部30による記録精度、記録された媒体19の乾燥に要する時間などに応じて設定してもよい。制御部27は、第1ローラー52fが第2媒体19sを搬送する第4時間t4以降も、第1ローラー52fを第1速度V1で回転させる。第1速度V1は、媒体19の搬送速度である。
【0046】
制御部27は、第2ローラー52sを制御する。制御部27は、第2ローラー52sが第1媒体19fを搬送するときは、第2ローラー52sを第1速度V1で回転させる。制御部27は、第2ローラー52sを第1速度V1で回転させることにより第2媒体19sを搬送方向Dに搬送する。制御部27は、第2ローラー52sが第2媒体19sを搬送するときも、第2ローラー52sを第1速度V1で回転させる。
【0047】
第1時間t1に第1媒体19fの後端が第1ローラー52fを通過すると、制御部27は、第1ローラー52fを第1速度V1よりも低速の第2速度V2に減速させる。なお、
図4では、第2速度V2が0より大きい速度になっているが、第2速度V2は0であってもよい。減速は、第1ローラー52fを駆動する図示しないモーターを停止させてもよいし、例えばクラッチにより駆動力の伝達を遮断してもよい。
【0048】
制御部27は、第1媒体19fの後端が第1ローラー52fよりも搬送方向Dの下流に位置し、且つ第2媒体19sの先端が第1ローラー52fよりも搬送方向Dの上流に位置するとき、第1ローラー52fを減速させる減速制御を実行可能である。制御部27は、第1媒体19fの後端が第1ローラー52fに位置する第1時間t1から、第2媒体19sの先端が第1ローラー52fに位置する第4時間t4の間で、第1ローラー52fの減速制御を実行可能である。制御部27は、第2ローラー52sが第1媒体19fを搬送しているとき、第1ローラー52fで減速制御を実行してもよい。このとき、第1変位部55fを備える場合は、第1変位部55fによって第1ローラー52fと第1対向部材53fとを離間させることで、第1媒体19fの後端が第1ローラー52fを通過するよりも前に、第1ローラー52fを減速しても良い。それによって、第1媒体19fと第2媒体19sとの距離Lに対して、減速時間Tdをより長く確保することができる。
【0049】
制御部27は、第1媒体19fの後端と第2媒体19sの先端との距離L及び第1速度V1に基づいて、減速制御を実行するか否かを決定してもよい。距離Lは、第1媒体19fの後端から第2媒体19sの先端までの搬送経路33の長さである。
【0050】
制御部27は、距離Lを第1速度V1で割ることで狭間時間Twを算出してもよい。狭間時間Twは、第1媒体19fが第1ローラー52fを通過する第1時間t1から、第2媒体19sが第1ローラー52fに到達する第4時間t4までの時間である。
【0051】
制御部27は、検出部47の検出結果に基づいて狭間時間Twを取得してもよい。例えば制御部27は、検出部47が第1媒体19fの後端を検出してから、第2媒体19sの先端を検出するまでの時間を狭間時間Twとしてもよい。
【0052】
図4に示すように、制御部27は、狭間時間Twから減速時間Tdと加速時間Taとを引いた低速時間Tlを算出してもよい。減速時間Tdは、第1ローラー52fを第1速度V1から第2速度V2に減速するのに要する時間である。第1ローラー52fは、第1時間t1から減速した場合、減速時間Tdが経過した後の第2時間t2に第2速度V2になる。制御部27は、第2時間t2から低速時間Tlが経過した第3時間t3になると、第1ローラー52fを加速させる。第3時間t3は、第4時間t4よりも加速時間Taだけ前の時間である。
【0053】
加速時間Taは、第1ローラー52fを第2速度V2から第1速度V1に戻すのに要する時間である。減速時間Tdと加速時間Taは、第1速度V1、第2速度V2、第1ローラー52fを駆動するためのモーターの特性、駆動力を伝達する伝達部の特性などによって決まる。ただし、それ以外の条件に基づいて、減速時間Tdと加速時間Taとを任意に設定しても良い。減速時間Tdと加速時間Taとを異ならせても良い。具体的には、第2速度V2に減速させた第1ローラー52fを第1速度V1に加速させる際に、第1速度V1から第2速度V2に減速させるときの加速度の絶対値より大きな加速度で加速させてもよい。
【0054】
例えば制御部27は、減速時間Tdと加速時間Taとの合計が、狭間時間Twより短い場合に、減速制御を実行してもよい。例えば制御部27は、低速時間Tlが予め設定した閾値時間より長い場合に、減速制御を実行してもよい。換言すると、制御部27は、第2速度V2になる低速時間Tlを、閾値時間だけ確保できない場合には、減速制御を実行しなくてもよい。
【0055】
制御部27は、記録の条件に基づいて減速制御を実行するか否かを決定してもよい。例えば、精度の高い記録を行う場合は、精度の低い記録を行う場合に比べて第1速度V1を遅くしてもよい。制御部27は、精度の高い記録を行う場合に減速制御を実行してもよい。例えば、媒体19の両面に記録を行う場合は、片面に記録を行う場合に比べて距離Lを長くしてもよい。制御部27は、媒体19の両面に記録を行う場合に減速制御を実行し、片面に記録を行う場合には減速制御を実行しなくてもよい。例えば、高速モードで記録を行う場合は、低速モードに比べて距離Lを短くしてもよい。制御部27は、低速モードの場合に減速制御を実行し、高速モードの場合には減速制御を実行しなくてもよい。
【0056】
制御部27は、メンテナンスの実施に基づいて減速制御を実行するか否かを決定してもよい。第1媒体19fに記録した後、第2媒体19sに記録する前に記録部30のメンテナンスを実施する場合、第2媒体19sを給送するタイミングを遅らせてもよい。すなわち、メンテナンスを実行する場合は、メンテナンスを実施しない場合に比べて距離Lおよび狭間時間Twを長くしてもよい。制御部27は、第1媒体19fと第2媒体19sへの記録の合間にメンテナンスを実施する場合、第1媒体19fと第2媒体19sの間に位置するローラーの減速制御を実行してもよい。
【0057】
制御部27は、後処理の条件に基づいて、減速制御を実行するか否かを決定してもよい。第1媒体19fと第2媒体19sに後処理を実施する場合、第2媒体19sを給送するタイミングを遅らせてもよい。すなわち、後処理を実行する場合は、後処理を実施しない場合に比べて距離Lおよび狭間時間Twを長くしてもよい。制御部27は、第1媒体19fと第2媒体19sへの記録の合間に後処理を実施する場合、第1媒体19fと第2媒体19sの間に位置するローラーの減速制御を実行してもよい。
【0058】
制御部27は、複数の記録の条件を考慮して減速制御を実行するか否かを決定してもよい。制御部27は、メンテナンス及び後処理の内容を考慮して減速制御を実行するか否かを決定してもよい。制御部27は、記録の条件、メンテナンスの実施、後処理の条件のうち、少なくとも1つを組み合わせることで、減速制御を実行するか否かを決定してもよい。
【0059】
減速制御は、第1減速制御と、第2減速制御と、を含んでもよい。制御部27は、距離L及び第1速度V1に基づいて、第1減速制御を実行するか、第2減速制御を実行するかを決定してもよい。具体的には、制御部27は、距離L及び第1速度V1に基づいて算出した狭間時間Twを用いて、実行する減速制御を決定してもよい。
【0060】
第1減速制御は、第2速度V2が0より大きい。第2減速制御は、第2速度V2が0である。すなわち、第2減速制御において、制御部27は、第1ローラー52fを停止させてもよい。第2減速制御の第2減速時間は、第1減速制御の第1減速時間より長い。第2減速制御の第2加速時間は、第1減速制御の第1加速時間より長い。制御部27は、第2減速時間と第2加速時間との合計が、狭間時間Twより短い場合に、第2減速制御を実行してもよい。制御部27は、第2減速時間と第2加速時間との合計が狭間時間Tw以上であって、第1減速時間と第1加速時間との合計が狭間時間Twより短い場合に、第1減速制御を実行してもよい。
【0061】
第1減速制御は、第2速度V2を複数段階に変更可能であってもよい。例えば第2速度V2は、ユーザーが設定してもよい。
第1減速制御は、第2速度V2を無段階に変更可能であってもよい。例えば減速時間Tdと加速時間Taが同じ場合、制御部27は、狭間時間Twから低速時間Tlを引いた時間の半分を減速時間Tdに設定してもよい。低速時間Tlは0であってもよい。制御部27は、減速時間Tdが経過した後に減速を中止し、さらに低速時間Tlが経過した後に第1ローラー52fを加速させてもよい。第2速度V2は、減速時間Tdが経過したときの速度であってもよい。
【0062】
図5に示すように、制御部27は、第3時間t3以降の加速時間Taを減速時間Tdより短くしてもよい。制御部27は、第1ローラー52fの加速を、第4時間t4より前に終わらせてもよい。制御部27は、第2速度V2に減速させた第1ローラー52fを第1速度V1に加速させる際に、第1速度V1から第2速度V2に減速させるときの加速度の絶対値より大きな加速度で加速させてもよい。
【0063】
制御部27は、第1時間t1から第4時間t4までの狭間時間Twの間に、減速制御と増速制御を実行してもよい。例えば制御部27は、減速制御を実行した後であって、第2媒体19sの先端が第1ローラー52fよりも搬送方向Dの上流に位置する第3時間t3に、第1ローラー52fを第1速度V1よりも高速の第3速度V3で回転させる増速制御を実行可能である。
【0064】
<クリーニング動作>
図2に示すように、制御部27は、分離部45と搬送部46のうち、少なくとも一方のクリーニング動作を実行可能である。搬送駆動ローラー52及び分離駆動ローラー49は、紙粉、埃などの
図7に示す異物61が付着すると、媒体19に対して滑ってしまうことがある。滑りが生じると、媒体19の搬送に遅れが生じてしまう。特に、搬送駆動ローラー52及び分離駆動ローラー49が溝57を有する場合、異物61が堆積しやすい。そのため、媒体搬送装置29は、クリーニング動作を実行することで、搬送駆動ローラー52と分離駆動ローラー49の少なくとも一方に付着した異物61の除去を行う。
【0065】
制御部27は、分離駆動ローラー49と分離従動ローラー50とを離間させた状態で分離駆動ローラー49を回転させるクリーニング動作を実行してもよい。分離駆動ローラー49は、記録部30によって記録される前の媒体19を搬送する。
【0066】
制御部27は、搬送駆動ローラー52と搬送従動ローラー53とを離間させた状態で、搬送駆動ローラー52を回転させるクリーニング動作を実行してもよい。制御部27は、一部の搬送部46についてクリーニング動作を実行してもよい。例えば制御部27は、供給経路34に設けられる搬送部46についてクリーニング動作を実行してもよい。供給経路34の搬送駆動ローラー52は、記録部30によって記録される前の媒体19を搬送する。
【0067】
以下では、搬送部46のクリーニング動作について説明する。
制御部27は、媒体19を搬送する際に、搬送駆動ローラー52を搬送速度の一例である第1速度V1で回転させる。クリーニング動作の際に、制御部27は、搬送駆動ローラー52を第1速度V1よりも高速の第3速度V3で回転させてもよい。
【0068】
図6に示すように、制御部27は、第1搬送部46fの第1クリーニング動作と、第2搬送部46sのクリーニング動作と、を実行可能であってもよい。制御部27は、第1クリーニング動作と、第2クリーニング動作を、それぞれ異なるタイミングで実行してもよい。制御部27は、媒体19が第1搬送部46fを通過した後に、第1搬送部46fのクリーニング動作を実行してもよい。制御部27は、第2搬送部46sによって媒体19を搬送しているときに、第1クリーニング動作を実行してもよい。
【0069】
第1クリーニング動作は、第1ローラー52fと第1対向部材53fとを離間させた状態で、第1ローラー52fを回転させる。第2クリーニング動作は、第2ローラー52sと第2対向部材53sとを離間させた状態で、第2ローラー52sを回転させる。
【0070】
制御部27は、クリーニング動作の際に、第1ローラー52fと第2ローラー52sを正転方向Dfに回転させる。すなわち、制御部27は、溝57の底58が溝57の口59より先行するように第1ローラー52fと第2ローラー52sを回転させる。第1ローラー52fと第2ローラー52sが回転すると、第1ローラー52fと第2ローラー52sにそれぞれ付着した異物61は、異物61にはたらく遠心力により第1ローラー52fと第2ローラー52sから離れる。
【0071】
制御部27は、第1クリーニング動作の際に、第1ローラー52fを減速させた状態から、正転方向Dfに回転させてもよい。すなわち、制御部27は、
図5に示すように、減速制御の後で増速制御を実施することで、クリーニング動作としてもよい。このとき、第2速度V2が0である第2減速制御の後で増速制御を実施することで、クリーニング動作としてもよい。制御部27は、第1クリーニング動作の際に、第1ローラー52fを停止させた状態から、正転方向Dfに回転させてもよい。制御部27は、第1ローラー52fを逆転方向に回転させた状態から、正転方向Dfに回転させてもよい。
【0072】
図7に示すように、底58と口59を結ぶ溝57の側壁のうち、正転方向Dfの後に位置する部分を後壁63、前に位置する部分を前壁64ともいう。後壁63の正転方向Dfに対する傾斜は、前壁64の正転方向Dfに対する傾斜より緩やかであってもよい。
【0073】
第1ローラー52fを停止もしくは逆転方向に回転させた状態から正転方向Dfに回転させると、異物61には慣性力がはたらく。
図7では、異物61にはたらく慣性力を白抜き矢印で示す。異物61にはたらく慣性力の方向は、正転方向Dfとは反対の方向である。慣性力がはたらく方向に対する後壁63の傾斜は、前壁64の傾斜に比べて小さい。そのため、例えば正転方向Dfに回転する第1ローラー52fを逆転方向に回転させる場合に比べ、溝57に付着した異物61は、遠心力および慣性力の働きにより第1ローラー52fから離れやすくなる。
【0074】
図6に示すように、第1検出部47fは、搬送方向Dにおいて、第1搬送部46fと第2搬送部46sとの間の所定位置の一例である第1位置P1の媒体19を検出する。制御部27は、第1検出部47fの検出結果に基づいて、第1位置P1における搬送の遅れを検知可能である。
【0075】
第2検出部47sは、搬送方向Dにおいて、第2搬送部46sより下流の第2位置P2の媒体19を検出する。制御部27は、第2検出部47sの検出結果に基づいて、第2位置P2における搬送の遅れを検知可能である。
【0076】
制御部27は、第1位置P1で搬送の遅れを検知したとき、第1クリーニング動作を実行してもよい。制御部27は、第2位置P2で搬送の遅れを検知したとき、第1位置P1と第2位置P2の間に位置する第2搬送部46sの第2クリーニング動作を実行してもよい。
【0077】
<クリーニング方法>
図3に示すように、第1ローラー52fは、第1対向部材53fとの間に媒体19を挟んで回転することで媒体19を搬送する。第1搬送部46fは、搬送した媒体19を第2搬送部46sに渡す。第2ローラー52sは、第2対向部材53sとの間に媒体19を挟んで回転することで媒体19を搬送する。
【0078】
図6に示すように、制御部27は、第1変位部55fを駆動して、第1ローラー52fと第1対向部材53fを相対的に離間させる。制御部27は、第1ローラー52fと第1対向部材53fを離間させた状態で、第1ローラー52fを回転させる第1クリーニング動作を実行する。第1クリーニング動作が終了すると、制御部27は、第1ローラー52fと第1対向部材53fとを接触させる。
【0079】
制御部27は、第2変位部55sを駆動して、第2ローラー52sと第2対向部材53sを相対的に離間させる。制御部27は、第2ローラー52sと第2対向部材53sを離間させた状態で、第2ローラー52sを回転させる第2クリーニング動作を実行する。第2クリーニング動作が終了すると、制御部27は、第2ローラー52sと第2対向部材53sとを接触させる。
【0080】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
制御部27は、複数の媒体19に記録を行う場合、媒体19と媒体19の間に位置する分離部45及び搬送部46について、減速制御もしくはクリーニング動作を実行してもよい。例えば、媒体19の搬送に遅れがない場合、制御部27は、減速制御を行ってもよい。例えば、媒体19の搬送に遅れが生じた場合、制御部27はクリーニング動作を実行してもよい。制御部27は、先のクリーニング動作から所定時間が経過した場合、もしくは先のクリーニング動作から所定枚数を搬送した場合にクリーニング動作を実行してもよい。
【0081】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)制御部27は、連続して搬送される第1媒体19fと第2媒体19sとの間で第1ローラー52fを減速させる。そのため、例えば複数の媒体19の搬送が終わるまで第1ローラー52fを第1速度V1で回転させる場合に比べ、消費電力を低減することができる。
【0082】
(1-2)制御部27は、媒体19間の距離Lと、第1速度V1に基づいて減速制御を実行するか否かを決定する。したがって、例えば、第1速度V1から第2速度V2に減速させる時間を確保できる場合に減速制御を実行することで、スループットの低下を抑制できる。
【0083】
(1-3)減速制御は、第1減速制御と第2減速制御を含む。すなわち、制御部27は、減速制御として、第1減速制御と、第2減速制御と、を実行可能である。第1減速制御は、第2速度V2が0より大きい。第2減速制御は、第2速度V2が0である。そのため、第1減速制御は、第2減速制御より短い時間でも実行することができる。第2減速制御は、第1減速制御より効果的に消費電力を低減できる。
【0084】
(1-4)制御部27は、媒体19同士の距離L及び第1速度V1に基づいて、第1減速制御と第2減速制御の何れを実行するかを決定する。したがって、制御部27は、媒体19の搬送に合わせて、第1ローラー52fの減速を適切に行うことができる。
【0085】
(1-5)第1減速制御は、第2速度V2を無段階に変更可能である。そのため、例えば離散的に第2速度V2を変更する場合に比べ、消費電力とスループットのバランスを取りやすくすることができる。
【0086】
(1-6)第1ローラー52fには、紙粉などの異物61が付着することがある。その点、第1ローラー52fの加速時の加速度は、減速時の加速度の絶対値より大きい。そのため、第1ローラー52fに付着した異物61にかかる慣性力を大きくすることができ、異物61を第1ローラー52fから離すことができる。
【0087】
(1-7)制御部27は、第1ローラー52fを第2速度V2から第3速度V3に加速させる。そのため、例えば第2速度V2から第1速度V1に第1ローラー52fを加速させる場合に比べ、第1ローラー52fに付着した異物61にかかる慣性力を大きくすることができ、異物61を第1ローラー52fから離すことができる。
【0088】
(1-8)制御部27は、第2ローラー52sが第1媒体19fを搬送しているとき、第1ローラー52fを減速する。そのため、第1ローラー52fと第2ローラー52sにより媒体19を搬送方向Dに搬送する場合にも、消費電力を低減することができる。
【0089】
(1-9)制御部27は、記録の条件に基づいて減速制御を実行するか否かを決定する。具体的には、例えば制御部27は、画質を優先する記録の場合は減速制御を実行し、速度を優先する記録の場合は減速制御を実行しないと決めてもよい。予め減速制御を実行する条件を設定しておくことで、減速制御を実行するか否かの決定を容易に行うことができる。
【0090】
(1-10)制御部27は、記録部30のメンテナンスの実施に基づいて減速制御を実行するか否かを決定する。具体的には、例えば第1媒体19fに記録してから第2媒体19sに記録するまでにメンテナンスを実施する場合は減速制御を実行し、メンテナンスを実施しない場合は減速制御を実行しないと決めてもよい。予め減速制御を実行する条件を設定しておくことで、減速制御を実行するか否かの決定を容易に行うことができる。
【0091】
(1-11)制御部27は、後処理の条件に基づいて減速制御を実行するか否かを決定する。具体的には、例えば制御部27は、後処理を行う場合は減速制御を実行し、後処理を行わない場合は減速制御を実行しないと決めてもよい。予め減速制御を実行する条件を設定しておくことで、減速制御を実行するか否かの決定を容易に行うことができる。
【0092】
(1-12)第1ローラー52fに付着した紙粉などの異物61は、第1ローラー52fの回転に伴う遠心力により、第1ローラー52fから離れる。第1ローラー52fは、第1対向部材53fと離間した状態で回転する。そのため、第1ローラー52f及び第1対向部材53fのダメージを低減しつつ、第1ローラー52fをクリーニングすることができる。
【0093】
(1-13)制御部27は、クリーニング動作の際に、媒体19を搬送するときの第1速度V1よりも高速で第1ローラー52fを回転させる。そのため、例えば、媒体19を搬送する第1速度V1と同じ速度で第1ローラー52fを回転させる場合に比べ、大きな遠心力で第1ローラー52fを効率よくクリーニングすることができる。
【0094】
(1-14)第1ローラー52fの表面には、複数の溝57が形成されるため、第1ローラー52fと媒体19との滑りを低減できる。複数の溝57は、目の方向が揃って形成されているため、目の方向に合わせて第1ローラー52fを回転させることで、異物61が溝57の奥に入り込んでしまう虞を低減できる。
【0095】
(1-15)クリーニング動作において、第1ローラー52fは、停止あるいは逆転方向に回転した状態から正転方向Dfに回転する。そのため、例えば正転方向Dfに回転する第1ローラー52fの回転速度を速くする場合に比べて、第1ローラー52fに付着した異物61にかかる慣性力を大きくすることができる。したがって、第1ローラー52fのクリーニングを効率よく行うことができる。
【0096】
(1-16)第1対向部材53fは、歯付きローラーである。第1ローラー52fが歯付きローラーに接触した状態で回転した場合、第1ローラー52fは大きく傷付いてしまう虞がある。しかし、第1ローラー52fは、歯付きローラーと離間した状態で回転するため、第1ローラー52fが受けるダメージを低減しつつ、第1ローラー52fをクリーニングすることができる。
【0097】
(1-17)例えば、第1クリーニング動作と第2クリーニング動作を同時に行う場合、動作音が大きくなる。その点、制御部27は、第2クリーニング動作を第1クリーニング動作とは異なるタイミングで行う。したがって、第1ローラー52f及び第2ローラー52sをクリーニングする動作音を低減できる。
【0098】
(1-18)第1クリーニング動作は、第2搬送部46sが媒体19を搬送しているときに実行される。第2搬送部46sは、第1搬送部46fより搬送方向Dの下流に設けられる。第1搬送部46fから第2搬送部46sに渡された媒体19は、第2搬送部46sにより搬送される。すなわち、第2搬送部46sにより媒体19が搬送されているとき、第1搬送部46fは、媒体19のニップを離すことができる。したがって、例えば第2搬送部46sが媒体19を搬送し終わった後で第1クリーニングを実行する場合に比べ、スループットを向上できる。
【0099】
(1-19)第1ローラー52fに異物61が付着すると、媒体19に対して第1ローラー52fが滑ってしまい、搬送に遅れが生じることがある。その点、制御部27は、第1位置P1で搬送の遅れを検知したとき、第1クリーニング動作を実行する。すなわち、制御部27は、第1位置P1より上流に位置する第1ローラー52fを回転させる。したがって、クリーニングが必要なローラーを選択してクリーニング動作を実行することができる。
【0100】
(1-20)遠心力による異物61の除去は、液体が付着した異物61に比べて、液体が付着していない異物61において効果が高い。その点、第1ローラー52fは、記録される前の媒体19を搬送するため、効果的に異物61を除去することができる。
【0101】
(1-21)第1ローラー52fを減速させることにより、例えば第1ローラー52fの速度を維持する場合に比べ、回転音などの騒音を低減することができる。
(1-22)第1ローラー52fが第1対向部材53fに接触した状態で回転すると、第1対向部材53fも一緒に回転するため、動作音が大きくなってしまう。その点、クリーニング動作は、第1ローラー52fが第1対向部材53fから離れた状態で回転するため、クリーニング動作に伴う動作音を抑制できる。
【0102】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0103】
・制御部27は、搬送方向Dにおいて最も下流に位置する搬送部46に減速制御を行ってもよい。制御部27は、搬送方向Dにおいて最も下流に位置する搬送部46のクリーニング動作を実行してもよい。すなわち、媒体搬送装置29は、第2ローラー52sを備えない構成としてもよい。
【0104】
・制御部27は、第1媒体19fが第2ローラー52sを通過した後に、第1ローラー52fの減速制御を実行してもよい。
・制御部27は、第1媒体19fが第2ローラー52sを通過した後に、第1ローラー52fのクリーニング動作を実行してもよい。
【0105】
・制御部27は、複数の搬送部46のうち一部の搬送部46について減速制御を実行してもよい。
・制御部27は、複数の搬送部46のうち一部の搬送部46についてクリーニング動作を実行してもよい。
【0106】
・ローラーの一例である給送ローラー44は、対向部材の一例である媒体収容部17に接触可能であってもよい。例えば媒体収容部17は、収容する媒体19を押し上げるホッパーを備えてもよい。媒体19を収容しない状態で、給送ローラー44は、ホッパーに接触可能であってもよい。変位部55は、給送ローラー44を移動させてもよい。制御部27は、給送ローラー44を媒体19及び媒体収容部17から離れた状態で回転させることで、給送ローラー44のクリーニングを行ってもよい。給送ローラー44は、第1ローラー52fの一例であり、分離駆動ローラー49は、第2ローラー52sの一例であってもよい。
【0107】
・変位部55は、第1ローラー52fを移動させてもよい。例えば、制御部27は、第2搬送部46sが媒体19を搬送する状態で、第1ローラー52fを媒体19から離れるように移動させると共に、第1ローラー52fの第1クリーニング動作を実行してもよい。制御部27は、媒体19の後端が第1ローラー52fより上流に位置する状態で第1クリーニング動作を実行してもよい。
【0108】
・制御部27は、媒体19を搬送する合間には、増速制御を実行しなくてもよい。
・制御部27は、第1速度V1から第2速度V2に減速させるときの加速度の絶対値と、第2速度V2から第3速度V3に加速させるときの加速度と、を同じにしてもよい。
【0109】
・分離従動ローラー50は、分離駆動ローラー49との間に媒体19を挟むパッドであってもよい。
・第1ローラー52fは、記録部30によって記録された媒体19を搬送してもよい。
【0110】
・制御部27は、複数の搬送部46において、同じタイミングでクリーニング動作を実行してもよい。制御部27は、第1クリーニング動作と第2クリーニング動作を同じタイミングで実行してもよい。
【0111】
・第1ローラー52f及び第2ローラー52sは、表面が滑らかに形成されてもよい。第1ローラー52f及び第2ローラー52sの表面には、溝57を形成しなくてもよい。
・制御部27は、第1ローラー52f及び第2ローラー52sを、逆転方向に回転させることで、クリーニング動作を行ってもよい。
【0112】
・制御部27は、第1速度V1で回転する第1ローラー52fを減速させた状態から、第3速度V3に加速することで、クリーニング動作を行ってもよい。すなわち、制御部27は、第1減速制御の後で増速制御を実施することで、クリーニング動作としてもよい。
【0113】
・制御部27は、クリーニング動作の際に、第1ローラー52fを第1速度V1で回転させてもよい。第1ローラー52fは、例えば停止した状態から第1速度V1への加速により、クリーニングされてもよい。
【0114】
・搬送部46を駆動するモーターにかかる負荷は、例えば搬送部46が媒体19を搬送する場合と、搬送部46が媒体19を挟まない場合と、で異なる。そのため、制御部27は、モーターにかかる負荷に基づいて、搬送される媒体19の遅れを検出してもよい。
【0115】
・媒体搬送装置29は、記録装置13に媒体19を供給する供給装置に設けられてもよい。媒体搬送装置29は、中間装置14に設けられてもよい。媒体搬送装置29は、後処理装置15に設けられてもよい。また、媒体搬送装置29は、スキャナや自動原稿搬送装置(ADF)などの画像読取装置に設けられてもよい。
【0116】
・記録装置13は、インクジェット式のプリンターに限らず、レーザープリンター、サーマルプリンター、ドットインパクトプリンター、デジタル印刷機などでもよい。
・記録装置は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりして記録を行う液体噴射装置であってもよい。液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体噴射装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する装置がある。液体噴射装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体噴射装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する装置であってもよい。液体噴射装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する装置であってもよい。
【0117】
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0118】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0119】
(A)媒体搬送装置は、媒体を搬送方向に搬送する第1ローラーと、前記第1ローラーを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1ローラーが第1媒体を搬送するときは、前記第1ローラーを第1速度で回転させ、前記第1媒体の後端が前記第1ローラーよりも前記搬送方向の下流に位置し、且つ前記第1媒体の次に搬送される第2媒体の先端が前記第1ローラーよりも前記搬送方向の上流に位置するとき、前記第1ローラーを前記第1速度よりも低速の第2速度に減速させる減速制御を実行可能である。この思想Aは、技術的に矛盾しない範囲で下記の思想と組み合わせることができる。
【0120】
この構成によれば、制御部は、連続して搬送される第1媒体と第2媒体との間で第1ローラーを減速させる。そのため、例えば複数の媒体の搬送が終わるまで第1ローラーを第1速度で回転させる場合に比べ、消費電力を低減することができる。
【0121】
(B)媒体搬送装置において、前記制御部は、前記第1媒体の後端と前記第2媒体の先端との距離及び前記第1速度に基づいて、前記減速制御を実行するか否かを決定してもよい。この思想Bは、上記思想Aと組み合わせてもよい。
【0122】
この構成によれば、制御部は、媒体間の距離と、第1速度に基づいて減速制御を実行するか否かを決定する。したがって、例えば、第1速度から第2速度に減速させる時間を確保できる場合に減速制御を実行することで、スループットの低下を抑制できる。
【0123】
(C)媒体搬送装置において、前記減速制御は、前記第2速度を0より大きい速度とする第1減速制御と、前記第2速度を0とする第2減速制御と、を含んでもよい。
この構成によれば、減速制御は、第1減速制御と第2減速制御を含む。すなわち、制御部は、減速制御として、第1減速制御と、第2減速制御と、を実行可能である。第1減速制御は、第2速度が0より大きい。第2減速制御は、第2速度が0である。そのため、第1減速制御は、第2減速制御より短い時間でも実行することができる。第2減速制御は、第1減速制御より効果的に消費電力を低減できる。この思想Cは、上記思想A又は上記思想Bと組み合わせてもよい。
【0124】
(D)媒体搬送装置において、前記制御部は、前記第1媒体の後端と前記第2媒体の先端との距離及び前記第1速度に基づいて、前記第1減速制御を実行するか、前記第2減速制御を実行するかを決定してもよい。この思想Dは、上記思想Cと組み合わせてもよい。
【0125】
この構成によれば、制御部は、媒体同士の距離及び第1速度に基づいて、第1減速制御と第2減速制御の何れを実行するかを決定する。したがって、制御部は、媒体の搬送に合わせて、第1ローラーの減速を適切に行うことができる。
【0126】
(E)媒体搬送装置において、前記第1減速制御は、前記第2速度を無段階に変更可能であってもよい。この思想Eは、上記思想A又は上記思想Bと組み合わせてもよい。
この構成によれば、第1減速制御は、第2速度を無段階に変更可能である。そのため、例えば離散的に第2速度を変更する場合に比べ、消費電力とスループットのバランスを取りやすくすることができる。
【0127】
(F)媒体搬送装置において、前記制御部は、前記第2速度に減速させた前記第1ローラーを前記第1速度に加速させる際に、前記第1速度から前記第2速度に減速させるときの加速度の絶対値より大きな加速度で加速させてもよい。この思想Fは、上記思想A~上記思想Eのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0128】
第1ローラーには、紙粉などの異物が付着することがある。その点、この構成によれば、第1ローラーの加速時の加速度は、減速時の加速度の絶対値より大きい。そのため、第1ローラーに付着した異物にかかる慣性力を大きくすることができ、異物を第1ローラーから離すことができる。
【0129】
(G)媒体搬送装置において、前記制御部は、前記減速制御を実行した後であって、前記第2媒体の先端が前記第1ローラーよりも前記搬送方向の上流に位置するとき、前記第1ローラーを前記第1速度よりも高速の第3速度で回転させる増速制御を実行可能であってもよい。この思想Gは、上記思想A~上記思想Fのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0130】
この構成によれば、制御部は、第1ローラーを第2速度から第3速度に加速させる。そのため、例えば第2速度から第1速度に第1ローラーを加速させる場合に比べ、第1ローラーに付着した異物にかかる慣性力を大きくすることができ、異物を第1ローラーから離すことができる。
【0131】
(H)媒体搬送装置は、前記搬送方向における前記第1ローラーの下流で、前記媒体を前記搬送方向に搬送する第2ローラーをさらに備え、前記制御部は、前記第2ローラーをさらに制御し、前記第2ローラーが前記第1媒体を搬送しているとき、前記減速制御を実行してもよい。この思想Hは、上記思想A~上記思想Gのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0132】
この構成によれば、制御部は、第2ローラーが第1媒体を搬送しているとき、第1ローラーを減速する。そのため、第1ローラーと第2ローラーにより媒体を搬送方向に搬送する場合にも、消費電力を低減することができる。
【0133】
(I)記録装置は、上記構成の媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置によって搬送される前記媒体に記録を行う記録部と、を備え、前記制御部は、記録の条件に基づいて前記減速制御を実行するか否かを決定する。この思想Iは、上記思想A~上記思想Hのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0134】
この構成によれば、制御部は、記録の条件に基づいて減速制御を実行するか否かを決定する。具体的には、例えば制御部は、画質を優先する記録の場合は減速制御を実行し、速度を優先する記録の場合は減速制御を実行しないと決めてもよい。予め減速制御を実行する条件を設定しておくことで、減速制御を実行するか否かの決定を容易に行うことができる。
【0135】
(J)記録装置は、上記構成の媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置によって搬送される前記媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、を備え、前記制御部は、前記記録部のメンテナンスを実行可能であり、前記メンテナンスの実施に基づいて前記減速制御を実行するか否かを決定する。この思想Jは、上記思想A~上記思想Iのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0136】
この構成によれば、制御部は、記録部のメンテナンスの実施に基づいて減速制御を実行するか否かを決定する。具体的には、例えば第1媒体に記録してから第2媒体に記録するまでにメンテナンスを実施する場合は減速制御を実施し、メンテナンスを実施しない場合は減速制御を実行しないと決めてもよい。予め減速制御を実行する条件を設定しておくことで、減速制御を実行するか否かの決定を容易に行うことができる。
【0137】
(K)記録システムは、上記構成の媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置によって搬送される前記媒体に記録を行う記録部と、を有する記録装置と、前記記録装置によって記録された前記媒体に後処理を行う後処理装置と、を備え、前記制御部は、前記後処理の条件に基づいて、前記減速制御を実行するか否かを決定する。この思想Kは、上記思想A~上記思想Jのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0138】
この構成によれば、制御部は、後処理の条件に基づいて減速制御を実行するか否かを決定する。具体的には、例えば制御部は、後処理を行う場合は減速制御を実行し、後処理を行わない場合は減速制御を実行しないと決めてもよい。予め減速制御を実行する条件を設定しておくことで、減速制御を実行するか否かの決定を容易に行うことができる。
【0139】
(L)記録装置は、上記構成の媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置によって搬送される前記媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、を備える。この思想Lは、上記思想A~上記思想Hのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0140】
この構成によれば、上記媒体搬送装置と同様の効果を奏することができる。
(M)記録システムは、上記構成の記録装置と、前記記録装置によって記録された前記媒体に後処理を行う後処理装置と、を備える。この思想Mは、上記思想Lと組み合わせてもよい。
【0141】
この構成によれば、上記媒体搬送装置と同様の効果を奏することができる。
(N)媒体搬送方法は、第1ローラーを第1速度で回転させることにより第1媒体を搬送方向に搬送することと、前記第1媒体の後端が前記第1ローラーよりも前記搬送方向の下流に位置し、且つ前記第1媒体の次に搬送される第2媒体の先端が前記第1ローラーよりも前記搬送方向の上流に位置するとき、前記第1ローラーを前記第1速度よりも低速の第2速度に減速させることと、を含む。
【0142】
この方法によれば、上記媒体搬送装置と同様の効果を奏することができる。
(O)媒体搬送装置は、ローラーと、前記ローラーと対向する対向部材と、によって媒体を搬送する媒体搬送装置であって、前記ローラーと前記対向部材とを相対的に離間及び接触させる変位部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記ローラーと前記対向部材とを離間させた状態で、前記ローラーを回転させるクリーニング動作を実行可能である。この思想Oは、技術的に矛盾しない範囲で下記の思想と組み合わせることができる。
【0143】
ローラーに付着した紙粉などの異物は、ローラーの回転に伴う遠心力により、ローラーから離れる。この構成によれば、ローラーは、対向部材と離間した状態で回転する。そのため、ローラー及び対向部材のダメージを低減しつつ、ローラーをクリーニングすることができる。
【0144】
(P)媒体搬送装置において、前記制御部は、前記媒体を搬送する際に、前記ローラーを搬送速度で回転させ、前記クリーニング動作の際に、前記ローラーを前記搬送速度よりも高速で回転させてもよい。この思想Pは、上記思想Oと組み合わせてもよい。
【0145】
この構成によれば、制御部は、クリーニング動作の際に、媒体を搬送するときの速度よりも高速でローラーを回転させる。そのため、例えば、媒体を搬送する速度と同じ速度でローラーを回転させる場合に比べ、大きな遠心力でローラーを効率よくクリーニングすることができる。
【0146】
(Q)媒体搬送装置において、前記ローラーの表面には、目の方向が揃った複数の溝が形成されており、前記制御部は、前記クリーニング動作の際に、前記ローラーを前記溝の底が前記溝の口より先行する方向に回転させてもよい。この思想Qは、上記思想O又は上記思想Pと組み合わせてもよい。
【0147】
この構成によれば、ローラーの表面には、複数の溝が形成されるため、ローラーと媒体との滑りを低減できる。複数の溝は、目の方向が揃って形成されているため、目の方向に合わせてローラーを回転させることで、異物が溝の奥に入り込んでしまう虞を低減できる。
【0148】
(R)媒体搬送装置において、前記制御部は、前記クリーニング動作の際に、前記ローラーを停止或いは正転方向と反対の逆転方向に回転させた状態から、前記正転方向に回転させてもよい。この思想Rは、上記思想O~上記思想Qのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0149】
この構成によれば、クリーニング動作において、ローラーは、停止あるいは逆転方向に回転した状態から正転方向に回転する。そのため、例えば正転方向に回転するローラーの回転速度を速くする場合に比べて、ローラーに付着した異物にかかる慣性力を大きくすることができる。したがって、ローラーのクリーニングを効率よく行うことができる。
【0150】
(S)媒体搬送装置において、前記対向部材は、前記媒体に対して点接触可能な複数の歯を周面に有する歯付きローラーであってもよい。この思想Sは、上記思想O~上記思想Rのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0151】
この構成によれば、対向部材は、歯付きローラーである。ローラーが歯付きローラーに接触した状態で回転した場合、ローラーは大きく傷付いてしまう虞がある。しかし、ローラーは、歯付きローラーと離間した状態で回転するため、ローラーが受けるダメージを低減しつつ、ローラーをクリーニングすることができる。
【0152】
(T)媒体搬送装置は、前記ローラーを第1ローラーとし、前記対向部材を第1対向部材とし、前記変位部を第1変位部とし、前記クリーニング動作を第1クリーニング動作としたとき、前記第1ローラーと前記第1対向部材とによって前記媒体を搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部よりも搬送方向の下流に設けられ、第2ローラーと第2対向部材とによって前記媒体を搬送する第2搬送部と、前記第2ローラーと前記第2対向部材とを相対的に離間及び接触させる第2変位部と、を備え、前記制御部は、前記第2ローラーと前記第2対向部材とを離間させた状態で、前記第2ローラーを回転させる第2クリーニング動作を、前記第1クリーニング動作とは異なるタイミングで実行してもよい。この思想Tは、上記思想O~上記思想Sのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0153】
例えば、第1クリーニング動作と第2クリーニング動作を同時に行う場合、動作音が大きくなる。その点、この構成によれば、制御部は、第2クリーニング動作を第1クリーニング動作とは異なるタイミングで行う。したがって、第1ローラー及び第2ローラーをクリーニングする動作音を低減できる。
【0154】
(U)媒体搬送装置において、前記制御部は、前記第2搬送部によって前記媒体を搬送しているときに、前記第1クリーニング動作を実行してもよい。この思想Uは、上記思想Tと組み合わせてもよい。
【0155】
この構成によれば、第1クリーニング動作は、第2搬送部が媒体を搬送しているときに実行される。第2搬送部は、第1搬送部より搬送方向の下流に設けられる。第1搬送部から第2搬送部に渡された媒体は、第2搬送部により搬送される。すなわち、第2搬送部により媒体が搬送されているとき、第1搬送部は、媒体を離すことができる。したがって、例えば第2搬送部が媒体を搬送し終わった後で第1クリーニングを実行する場合に比べ、スループットを向上できる。
【0156】
(V)媒体搬送装置において、前記制御部は、前記搬送方向において、前記第1搬送部と前記第2搬送部との間の所定位置における搬送の遅れを検知可能であり、前記所定位置で搬送の遅れを検知したとき、前記第1クリーニング動作を実行してもよい。この思想Vは、上記思想T又は上記思想Uのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0157】
ローラーに異物が付着すると、媒体に対してローラーが滑ってしまい、搬送に遅れが生じることがある。その点、この構成によれば、制御部は、所定位置で搬送の遅れを検知したとき、第1クリーニング動作を実行する。すなわち、制御部は、所定位置より上流に位置する第1ローラーを回転させる。したがって、クリーニングが必要なローラーを選択してクリーニング動作を実行することができる。
【0158】
(W)記録装置は、上記構成の媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置によって搬送される前記媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、を備え、前記ローラーは、前記記録部によって記録される前の前記媒体を搬送する。この思想Wは、上記思想O~上記思想Sのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0159】
遠心力による異物の除去は、液体が付着した異物に比べて、液体が付着していない異物において効果が高い。その点、この構成によれば、ローラーは、記録される前の媒体を搬送するため、効果的に異物を除去することができる。
【0160】
(X)記録装置は、上記構成の媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置によって搬送される前記媒体に液体を吐出して記録を行う記録部と、を備え、前記第1ローラーは、前記記録部によって記録される前の前記媒体を搬送する。この思想Xは、上記思想T~上記思想Wのうち何れかと組み合わせてもよい。
【0161】
この構成によれば、上記記録装置と同様の効果を奏することができる。
(Y)クリーニング方法は、対向部材に接触可能なローラーが、前記対向部材との間に媒体を挟んで回転することで該媒体を搬送することと、前記ローラーと前記対向部材を相対的に離間させることと、前記ローラーと前記対向部材を離間させた状態で、前記ローラーを回転させるクリーニング動作を実行することと、を含む。この思想Yは、下記思想Zと組み合わせてもよい。
【0162】
この方法によれば、上記媒体搬送装置と同様の効果を奏することができる。
(Z)クリーニング方法は、前記ローラーを第1ローラーとし、前記対向部材を第1対向部材とし、前記クリーニング動作を第1クリーニング動作としたとき、前記第1対向部材よりも搬送方向の下流に設けられる第2対向部材に接触可能な第2ローラーが、前記第2対向部材との間に前記媒体を挟んで回転することで該媒体を搬送することと、前記第2ローラーと前記第2対向部材を相対的に離間させることと、前記第2ローラーと前記第2対向部材を離間させた状態で、前記第2ローラーを回転させる第2クリーニング動作を、前記第1クリーニング動作とは異なるタイミングで実行することと、を含んでもよい。
【0163】
この方法によれば、上記媒体搬送装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0164】
11…記録システム、13…記録装置、14…中間装置、15…後処理装置、17…媒体収容部、19…媒体、19f…第1媒体、19s…第2媒体、21…第1スタッカー、22…第2スタッカー、23…第3スタッカー、25…後処理部、27…制御部、29…媒体搬送装置、30…記録部、31…メンテナンス部、33…搬送経路、34…供給経路、35…排出経路、36…反転経路、38…吐出部、39…ノズル、41…搬送ベルト、42…プーリー、44…給送ローラー、45…分離部、46…搬送部、46f…第1搬送部、46s…第2搬送部、47…検出部、47f…第1検出部、47s…第2検出部、49…分離駆動ローラー、50…分離従動ローラー、52…搬送駆動ローラー、52f…第1ローラー、52s…第2ローラー、53…搬送従動ローラー、53f…第1対向部材、53s…第2対向部材、55…変位部、55f…第1変位部、55s…第2変位部、57…溝、58…底、59…口、61…異物、63…後壁、64…前壁、D…搬送方向、Df…正転方向、L…距離、P1…第1位置、P2…第2位置、Ta…加速時間、Td…減速時間、Tl…低速時間、Tw…狭間時間、V1…第1速度、V2…第2速度、V3…第3速度。