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  • 特開-エスカレータベルト用クリーナ 図1
  • 特開-エスカレータベルト用クリーナ 図2
  • 特開-エスカレータベルト用クリーナ 図3
  • 特開-エスカレータベルト用クリーナ 図4A
  • 特開-エスカレータベルト用クリーナ 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113319
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】エスカレータベルト用クリーナ
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/02 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
B66B31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018208
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】594118442
【氏名又は名称】石田インダストリ有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】石田 泰士
(72)【発明者】
【氏名】石田 善久
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321HA23
3F321HA25
(57)【要約】
【課題】安全機構を備える様々なエスカレータに対して種類を増やすことなく使用することができるエスカレータベルト用クリーナを提案する。
【解決手段】エスカレータベルト用クリーナ1は、割筒状になる外枠部2と外枠部2の内側に設けられる拭取部3とを備え、外枠部2をエスカレータE1のベルトE2に装着して拭取部3をベルトE2に接触させるものであって、一端部4aが外枠部2に保持されて他端部4bがエスカレータE1におけるベルト送出側に設けられたエスカレータ係合部E5に係合する延出部4を備える。
【選択図】図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
割筒状になる外枠部と当該外枠部の内側に設けられる拭取部とを備え、当該外枠部をエスカレータのベルトに装着して当該拭取部を当該ベルトに接触させるエスカレータベルト用クリーナであって、
一端部が前記外枠部に保持されて他端部が前記エスカレータにおけるベルト送出側に設けられたエスカレータ係合部に係合する延出部を備えるエスカレータベルト用クリーナ。
【請求項2】
前記エスカレータ係合部は、雄型面ファスナー及び雌型面ファスナーの何れか一方であり、
前記延出部は、雄型面ファスナー及び雌型面ファスナーの何れか他方である、請求項1に記載のエスカレータベルト用クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータのベルトに装着してこのベルトの清掃を行うエスカレータベルト用クリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、運転されているエスカレータのベルトに装着して使用されるエスカレータベルト用クリーナが既知である。例えば特許文献1には、割筒状になる外枠部と外枠部の内側に設けられる拭取部とを備え、外枠部をベルトに装着すると拭取部がベルトに接触するように構成したエスカレータベルト用クリーナが示されている。このようなエスカレータベルト用クリーナは、エスカレータにおけるベルト進入側のインレットに接触した状態で用いられる。すなわちベルトが移動した際、クリーナは、外枠部による弾性力やベルトに接触する拭取部の摩擦力によってベルトとともに移動しようとする一方、ベルト進入側のインレットに接触するとその進行が妨げられるため、ベルトはクリーナに対して相対的に移動することになり、接触する拭取部によってベルトを自動的に清掃することができる。
【0003】
ところで特許文献1に記載されているように、近年エスカレータには、ベルトによる衣服や人体等の巻き込み事故を防止するため、ベルト進入側のインレットにスイッチを設けた安全機構が設けられている。この安全機構によれば、仮に衣服等がベルトに巻き込まれることがあっても、巻き込まれた衣服等によって上記のスイッチが押圧されて、エスカレータを停止させることができる。
【0004】
一方、このような安全機構を備えるエスカレータに上記のようなクリーナを装着すると、エスカレータの運転に伴ってクリーナがベルト進入側のインレットに接触するため、その際にスイッチがクリーナで押圧されてエスカレータが停止してしまうことがあった。このため従前は、特許文献1に記載されているような外枠体移動阻止用接片をクリーナに設け、この接片がインレットにおけるスイッチを避けた部分に接触するように構成し、これにより安全機構を備えるエスカレータにおいてもクリーナが使用できるように工夫している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平05-027424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこのようなスイッチは、エスカレータの機種によって設置場所がまちまちである。このため従前は、特許文献1の如きクリーナをエスカレータの機種毎に準備したり、上記の接片に代わるアタッチメントをエスカレータの機種に応じて準備し、クリーナとともに機種に応じたアタッチメントを用いたりすることによって対応していた。しかし、エスカレータの機種は多いため、準備するクリーナやアタッチメントの種類が増えることになる。また新たにエスカレータが開発されると、それに応じたクリーナやアタッチメントを開発しなければならない。
【0007】
このような点に鑑み、本発明は、安全機構を備える様々なエスカレータに対して種類を増やすことなく使用することができるエスカレータベルト用クリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、割筒状になる外枠部と当該外枠部の内側に設けられる拭取部とを備え、当該外枠部をエスカレータのベルトに装着して当該拭取部を当該ベルトに接触させるエスカレータベルト用クリーナであって、一端部が前記外枠部に保持されて他端部が前記エスカレータにおけるベルト送出側に設けられたエスカレータ係合部に係合する延出部を備えるエスカレータベルト用クリーナである。
【0009】
このようなエスカレータベルト用クリーナにおいて、前記エスカレータ係合部は、雄型面ファスナー及び雌型面ファスナーの何れか一方であり、前記延出部は、雄型面ファスナー及び雌型面ファスナーの何れか他方であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエスカレータベルト用クリーナは、上記のような延出部を備えていて、エスカレータにおけるベルト送出側に装着して使用することができる。すなわち本発明のエスカレータベルト用クリーナは、ベルト進入側のインレットに設けられたスイッチに接触することがないため、安全機構を備える様々なエスカレータに対して種類を増やすことなく使用することができる。またベルト送出側に装着できることから、ベルト送出側のインレットから送り出されたベルトを直ちに清掃することができるため、エスカレータの乗降者はより衛生的にエスカレータを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るエスカレータベルト用クリーナの一実施形態における正面図である。
図2図1に示したエスカレータベルト用クリーナの側面図である。
図3図1に示したエスカレータベルト用クリーナの平面図である。
図4A図1に示したエスカレータベルト用クリーナが使用されるエスカレータの一例を示した図である。
図4B図4AにおけるA部の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るエスカレータベルト用クリーナの一実施形態について説明する。なお、添付図面に示した図は模式的なものであり、各部分の厚みや幅、各部分同士の比率等は、実際に実施されるものとは異なる場合がある。
【0013】
図1は、本発明に係るエスカレータベルト用クリーナの一実施形態を示している。本実施形態のエスカレータベルト用クリーナ(以下、「クリーナ1」と称する)は、図1図3に示すように外枠部2と拭取部3と延出部4を備えている。
【0014】
外枠部2は、割筒状になる外枠壁5を備えている。図1に示すように、本実施形態の外枠壁5は、側面5aに対して天面5bと底面5cの長さが長くなる横長楕円筒状であって、底面5cの一部が切り取られた形状で形作られている。なお、図4A図4Bに示すようにクリーナ1をエスカレータE1の手摺りとなるベルトE2に装着した状態において、天面5bは下方に位置し、底面5cは上方に位置する。本実施形態の外枠壁5は、同形状になる2つの部材を軸線方向に直列状に連結させたものであって、それらの間には溝6が設けられている。
【0015】
外枠壁5の外側における側面5aから底面5cにかけての部位には、横断面形状が略三角形状(頂点を円弧状に丸めた略三角形状)になる補強リブ7が設けられている。補強リブ7は左右それぞれに2個、合計4個設けられている。また底面5cにおける切り取られた部分の両縁部には、横断面形状が円形になる補強リブ8が設けられている。
【0016】
外枠壁5の内側には、天面5bと対向するように設けられた平板状の支持壁9が設けられている。支持壁9は、外枠壁5から垂下される2個の連結壁10を介して外枠壁5と連結している。
【0017】
また外枠壁5と支持壁9における軸線方向外側に位置する端部には、内側に向けて突出する突起11が設けられている。本実施形態の突起11は、図1に示すように外枠壁5の左右それぞれに2個、及び支持壁9の左右それぞれに1個設けられている。また突起11は、外枠壁5と支持壁9における軸線方向外側に位置する反対側の端部にも同様の配置で設けられている。
【0018】
そして溝6には、外枠部2を内側に向けて付勢するスプリング12が設けられている。
【0019】
拭取部3は、弾性を有するスポンジ、不織布、綿等で形成されたクッションと、このクッションの外側に設けられた紙等の補強材とを積層させ、これを門型に折り曲げたものである。拭取部3は、図1に示すように門型になるように折り曲げた状態で外枠部2の内側に取り付けられる。この状態において、上述した突起11は、拭取部3の軸線方向外側に位置するため、外枠部2から拭取部3が不用意に抜け出すことを防止することができる。
【0020】
延出部4は、一端部4aが外枠部2に保持されて外側に延出されるものであって、他端部4bは、後述するエスカレータ係合部E5に係合するように構成されている。本実施形態の延出部4は、帯状に形作られた面ファスナー(エスカレータ係合部E5は後述するように雄型面ファスナーであるため、延出部4は雌型面ファスナーを使用している)であって、一端部4aには両面テープが設けられ、この両面テープによって外枠部2に固着されている。また本実施形態において延出部4は、一端部4aを2つに分離させ、分離した2つの一端部4aの間に補強リブ7が位置するようにして外枠部2に固着されている。延出部4は、外枠部2の左右両側に設けられている。
【0021】
このような構成になるクリーナ1は、図4Aに示したエスカレータE1のベルトE2に対し、外枠部2の切り欠きを広げるようにしてベルトE2に差し込み、拭取部3における支持壁9に対向する部分がベルトE2の表面に接触し、拭取部3における左右部分がベルトE2の側面に接触する状態で装着される。またクリーナ1は、図4Bに示すようにベルト送出側インレットE3の近傍においてベルトE2に装着される。ここでエスカレータE1には、例えばベルト送出側インレットE3が取り付けられている基部E4に対して、エスカレータ係合部E5が設けられている。本実施形態におけるエスカレータ係合部E5は、面ファスナー(雄型面ファスナー)であって、両面テープによって基部E4に固着されている。なおエスカレータ係合部E5は、基部E4の左右両側に設けられている。そして左右の延出部4の他端部4bを、左右のエスカレータ係合部E5に係合させることにより、クリーナ1のエスカレータE1への装着が完了する。
【0022】
このようにして取り付けたクリーナ1は、エスカレータE1を運転してベルトE2がベルト送出側インレットE3から送り出される状態においても、エスカレータ係合部E5に係合した延出部4によってベルトE2とともに移動することがない。すなわち、クリーナ1に対してベルトE2が相対的に移動するため、接触する拭取部3によってベルトE2を自動的に清掃することができる。またクリーナ1は、ベルトE2の送出側に装着されているため、ベルトE2の新入側に設けられた安全機構のスイッチに接触することがない。従って、スイッチの場所が異なる様々なエスカレータE1に対しても、同一のクリーナ1を使用することができる。更にクリーナ1は、ベルトE2の送出側に装着されていることから、エスカレータE1が運転している間、常にベルト送出側インレットE3から離れる力を受けている。すなわち、ベルト送出側インレットE3に安全機構のスイッチが設けられている場合でも、クリーナ1がスイッチに接触することがない。またクリーナ1は、ベルト送出側インレットE3の近傍に装着されていて、送り出されたベルトE2を直ちに清掃することができるため、エスカレータE1の乗降者はより衛生的にエスカレータを利用することができる。
【0023】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0024】
例えば図示したクリーナ1は一例に過ぎず、その形状は図示したものに限られない。また延出部4は、図示した帯状のものでもよいし、紐状のものでもよい。また延出部4は、硬質の棒状になるものでもよい。また延出部4を外枠部2に保持させる手段も、上記のような固着によるものに限られず、例えば外枠部2に挟み込むようにしてもよいし、外枠部2に突起を設けるとともに延出部4の一端部4aに穴(輪)を設け、この穴を突起に引っ掛けるようにしてもよい。また本実施形態では延出部4の全体を雄型面ファスナーで構成したが、雄型面ファスナーは延出部4の他端部4bのみでもよい。また延出部4を雄型面ファスナーで構成し、エスカレータ係合部E5を雌型面ファスナーで構成してもよい。延出部4の他端部4bとエスカレータ係合部E5は面ファスナーに限られず、例えばエスカレータ係合部E5として突起を設け、延出部4の他端部4bにはこの突起が挿入される穴を設けてもよい。また延出部4の他端部4bとエスカレータ係合部E5の何れか一方を雄型のスナップボタンとし、何れか他方を雌型のスナップボタンとしてもよい。
【0025】
延出部4は、外枠壁5の側面5aに保持されるものに限られず、天面5bや底面5cで保持されるものでもよい。また延出部4は、1本でも3本以上でもよい。なお、送り出されるベルトE2に対してクリーナ1の姿勢を安定させるべく、図示したようにベルトE2が送り出される向きに沿って延出部4が延出されていることがより好ましい。またベルトE2が送り出される際のクリーナ1の左右の傾きを抑制するべく、延出部4は外枠部2に対して左右の同じ場所に設けることがより好ましい。
【符号の説明】
【0026】
1:クリーナ
2:外枠部
3:拭取部
4:延出部
4a:一端部
4b:他端部
E1:エスカレータ
E2:ベルト
E5:エスカレータ係合部
図1
図2
図3
図4A
図4B