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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113327
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】絶縁カバー付き圧着端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/70 20060101AFI20240815BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20240815BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H01R4/70 B
H02G15/08
H02G1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018222
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】水田 博隆
(72)【発明者】
【氏名】松本 早也香
【テーマコード(参考)】
5G355
5G375
【Fターム(参考)】
5G355BA08
5G355BA11
5G355BA14
5G355CA02
5G355CA06
5G375AA02
5G375BA21
5G375CA13
5G375CA14
5G375CB06
5G375CC07
5G375DA04
5G375DA36
5G375DB24
5G375DB31
5G375DB32
5G375DB35
(57)【要約】
【課題】端子の電線接続部と電線の心線とを強固にかしめて圧着でき、一体の絶縁カバーで電線接続部を絶縁でき、さらに、電線接続部への絶縁カバーの装着作業の作業性を向上できる、絶縁カバー付き圧着端子を提供する。
【解決手段】端子11の電線接続部13は、電線100の心線100aにかしめられて圧着される。絶縁カバー12の第1及び第2の半割部分(15、16)は、ヒンジ部17で連結され、電線接続部13を覆って閉じられて筒状となる。第1の半割部分15は、電線接続部13が嵌め込まれて装着される。第2の半割部分16は、第1の半割部分15に開閉自在に設けられる。第1及び第2の半割部分(15、16)が閉じられた状態で第1及び第2の半割部分(15、16)の一方の係合部18と他方の被係合部19とが係合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と前記端子に取り付けられる絶縁カバーとを有し、電線の先端部の心線に圧着される絶縁カバー付き圧着端子であって、
前記端子は、筒状に設けられて、前記電線の前記心線に対してかしめられることで圧着されて接続される電線接続部を備え、
前記絶縁カバーは、互いに組み合わされて閉じられることで筒状に形成されるように構成されるとともに、前記電線接続部の長さよりも長く延びて前記電線接続部を覆うように構成された第1の半割部分および第2の半割部分と、前記第1の半割部分および前記第2の半割部分を連結するヒンジ部と、を備え、
前記第1の半割部分は、前記電線接続部が嵌め込まれることで前記電線接続部に装着されるように構成され、前記第2の半割部分は、前記第1の半割部分に対して開閉自在に設けられ、
前記第1の半割部分および前記第2の半割部分の一方には係合部が設けられ、前記第1の半割部分および前記第2の半割部分の他方には前記係合部が係合する被係合部が設けられ、前記第1の半割部分と前記第2の半割部分とが閉じられた状態で、前記係合部と前記被係合部とが係合することを特徴とする、絶縁カバー付き圧着端子。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁カバー付き圧着端子であって、
前記第1の半割部分と前記第2の半割部分と前記ヒンジ部とは、前記第1の半割部分と前記第2の半割部分とが互いに組み合わされた状態で筒状に延びる方向に亘って同一形状で延びるように構成されていることを特徴とする、絶縁カバー付き圧着端子。
【請求項3】
請求項1または請求項2項に記載の絶縁カバー付き圧着端子であって、
前記係合部および前記被係合部は、前記第1の半割部分と前記第2の半割部分とが互いに組み合わされた状態で筒状に延びる方向の全長に亘って設けられていることを特徴とする、絶縁カバー付き圧着端子。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の絶縁カバー付き圧着端子であって、
前記係合部は、前記被係合部に対してそれぞれ係合可能な複数の係合爪を有しており、
前記係合部は、複数の前記係合爪のいずれかで前記被係合部に係合することで、前記被係合部に対して複数の係合位置で選択的に係合可能に設けられていることを特徴とする、絶縁カバー付き圧着端子。
【請求項5】
請求項1または請求項2項に記載の絶縁カバー付き圧着端子であって、
前記第1の半割部分の内周面の円弧状の断面の中心角が、前記第2の半割部分の内周面の円弧状の断面の中心角よりも大きく設定されていることを特徴とする、絶縁カバー付き圧着端子。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の絶縁カバー付き圧着端子であって、
前記端子を複数有し、
前記絶縁カバーは、複数の前記端子に対応して、互いに組み合わされることで筒状に形成される前記第1の半割部分および前記第2の半割部分の組み合わせを複数対備え、
複数の前記第1の半割部分は、直列に連結されていることを特徴とする、絶縁カバー付き圧着端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子と端子に取り付けられる絶縁カバーとを有し、電線の先端部の心線に圧着される絶縁カバー付き圧着端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電線の先端部の心線に圧着される圧着端子として、端子と端子に取り付けられる絶縁カバーとを有した絶縁カバー付き圧着端子が用いられている。絶縁カバー付き圧着端子では、端子に取り付けられた絶縁カバーによって、端子における電線の心線に圧着される部分の絶縁が図られる。端子における電線の心線に圧着される部分を絶縁するための絶縁カバーが設けられた絶縁カバー付き圧着端子として、例えば、特許文献1、2に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1においては、端子としての圧着端子43と、圧着端子43に取り付けられる絶縁カバーとしての筒状の絶縁被覆部47とを有した絶縁カバー付き圧着端子が開示されている。特許文献1の絶縁カバー付き圧着端子においては、圧着端子43における電線の先端部の心線にかしめられることで圧着される筒状のカシメ部45に筒状の絶縁被覆部47が絶縁カバーとして装着される。
【0004】
特許文献1に開示された絶縁カバー付き圧着端子においては、圧着端子43における筒状のカシメ部45は、筒状の絶縁被覆部47に圧入されている。電線がカシメ部45に圧着される際には、筒状の絶縁被覆部47に圧入された状態の筒状のカシメ部45に対して電線の先端部の心線が挿入される。そして、絶縁被覆部47に圧入されているカシメ部45に電線の心線が挿入された後、絶縁被覆部47とカシメ部45とが同時にかしめられることで、圧着端子43のカシメ部45が電線の先端部の心線に圧着されて接続される。
【0005】
特許文献2においては、端子5と端子5に取り付けられる絶縁カバーとしての筒状のチューブ9とを有した絶縁カバー付き圧着端子が開示されている。特許文献2の絶縁カバー付き圧着端子においては、端子5における電線1の先端部の心線(導体3)にかしめられることで圧着される筒状の電線接続部8に熱収縮チューブとして設けられた筒状のチューブ9が絶縁カバーとして装着される。
【0006】
特許文献2に開示された絶縁カバー付き圧着端子においては、端子5と電線1との接続の際には、端子5と電線1とが接続される前に、まず、筒状のチューブ9に電線1が挿通され、電線1の周囲にチューブ9が取り付けられる。次いで、端子5における筒状の電線接続部8に電線1の心線が挿入され、電線接続部8がかしめられる。電線1の心線が挿入された電線接続部8がかしめられることで、端子5の電線接続部8が電線1の先端部の心線に圧着されて接続される。そして、端子5の電線接続部8が電線1の心線に圧着された後に、熱収縮チューブとしてのチューブ9が、電線1の周囲で電線接続部8の位置まで移動させられ、電線接続部8に対して被せられる。この状態で、チューブ9の熱収縮が行われ、チューブ9が、電線接続部8に装着される。これにより、チューブ9によって、端子5における電線1の心線に圧着される部分である電線接続部8の絶縁が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-129288号公報
【特許文献2】特開2000-299142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された絶縁カバー付き圧着端子によると、絶縁被覆部47に圧入されているカシメ部45に電線の心線が挿入された後、絶縁被覆部47とカシメ部45とが同時にかしめられることで、圧着端子43のカシメ部45が電線の先端部の心線に圧着されて接続される。これにより、カシメ部45と電線の心線とを強固にかしめて圧着しようとすると、絶縁カバーである絶縁被覆部47を破損してしまうことになる。とくに、筒状のカシメ部45を内側に大きく凹ませるように変形させてカシメ部45と電線の心線とを強固にかしめて圧着しようとすると、絶縁被覆部47の破損を招いてしまうことになる。このため、端子における電線の心線にかしめられて圧着される部分である電線接続部と電線の先端部の心線とを強固にかしめて圧着することが難しいという問題がある。
【0009】
特許文献2に開示された絶縁カバー付き圧着端子によると、電線接続部8にチューブ9が取り付けられる前の状態において、電線接続部8に電線1の心線が挿入されて、電線接続部8と電線1の心線とがかしめられる。このため、電線接続部8と電線1の心線とを強固にかしめて圧着することができる。しかし、特許文献2の絶縁カバー付き圧着端子によると、まず、端子5と電線1との接続の前に熱収縮チューブとしてのチューブ9を電線1の周囲に取り付ける必要がある。そして、端子5の電線接続部8と電線1の心線とをかしめて圧着した後に、チューブ9を電線1の周囲で電線接続部8の位置まで移動させて電線接続部8に対して被せ、チューブ9の熱収縮を行う必要がある。このため、電線1の心線にかしめられて圧着される電線接続部8に絶縁カバーとしてのチューブ9を装着する作業の作業性が低下してしまうという問題がある。
【0010】
また、端子における電線の心線にかしめられて圧着される電線接続部を絶縁するために端子に取り付けられる絶縁カバーは、電線接続部に装着される際の作業性の低下を抑制するとともに部品点数の増大を抑制する観点から、一体に設けられていることが望ましい。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、端子における電線接続部と電線の先端部の心線とを強固にかしめて圧着できるとともに、一体に設けられた絶縁カバーによって電線接続部を絶縁でき、さらに、電線接続部に絶縁カバーを装着する作業の作業性を向上させることができる、絶縁カバー付き圧着端子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記課題を解決するために、本発明のある局面に係る絶縁カバー付き圧着端子は、端子と前記端子に取り付けられる絶縁カバーとを有し、電線の先端部の心線に圧着される絶縁カバー付き圧着端子に関する。そして、本発明のある局面に係る絶縁カバー付き圧着端子は、前記端子は、筒状に設けられて、前記電線の前記心線に対してかしめられることで圧着されて接続される電線接続部を備え、前記絶縁カバーは、互いに組み合わされて閉じられることで筒状に形成されるように構成されるとともに、前記電線接続部の長さよりも長く延びて前記電線接続部を覆うように構成された第1の半割部分および第2の半割部分と、前記第1の半割部分および前記第2の半割部分を連結するヒンジ部と、を備え、前記第1の半割部分は、前記電線接続部が嵌め込まれることで前記電線接続部に装着されるように構成され、前記第2の半割部分は、前記第1の半割部分に対して開閉自在に設けられ、前記第1の半割部分および前記第2の半割部分の一方には係合部が設けられ、前記第1の半割部分および前記第2の半割部分の他方には前記係合部が係合する被係合部が設けられ、前記第1の半割部分と前記第2の半割部分とが閉じられた状態で、前記係合部と前記被係合部とが係合することを特徴とする。
【0013】
この構成によると、端子に取り付けられる絶縁カバーは、互いに組み合わされて閉じられることで筒状に形成される第1の半割部分と第2の半割部分とを有し、第1の半割部分に筒状の電線接続部が嵌め込まれることで第1の半割部分が電線接続部に装着されている。そして、電線接続部に第1の半割部分が装着された状態で、電線の先端部の心線を筒状の電線接続部に挿入し、電線接続部をかしめることで、電線接続部と電線の先端部の心線とをかしめて圧着することができる。このため、電線接続部を絶縁カバーで全周に亘って覆った状態で絶縁カバーごと電線接続部をかしめる必要がなく、電線接続部をかしめる際に絶縁カバーの破損を生じることがない。したがって、筒状の電線接続部を内側に大きく凹ませるように変形させて電線接続部と電線の先端部の心線とを強固にかしめて圧着することができる。
【0014】
そして、上記の構成によると、電線接続部と電線の先端部の心線とをかしめて圧着した後に、第1の半割部分と第2の半割部分とが組み合わされるように閉じられて筒状に形成される。このとき、第1の半割部分および第2の半割部分は、電線接続部の長さよりも長く延びて電線接続部を覆うため、電線接続部の全周が全長に亘って覆われた状態となる。さらに、第1の半割部分と第2の半割部分とが電線接続部の外周の全体を覆って筒状に閉じられた状態で、第1の半割部分および第2の半割部分の一方の係合部と他方の被係合部とが係合される。これにより、第1の半割部分と第2の半割部分とが、電線接続部を筒状に覆った状態で一体に結合され、電線の心線に圧着された電線接続部が絶縁された状態が維持されることになる。また、開閉されるように操作される第1の半割部分と第2の半割部分とは、ヒンジ部で連結され、一体に設けられている。よって、上記の構成によると、一体に設けられた絶縁カバーによって電線接続部を絶縁することができる。
【0015】
また、上記の構成によると、第1の半割部分に筒状の電線接続部が嵌め込まれて第1の半割部分が電線接続部に装着された状態で、電線の心線を電線接続部に挿入して電線接続部をかしめて電線の心線と電線接続部とを圧着することができる。そして、電線接続部と電線の心線とをかしめて圧着した後に、第1の半割部分と第2の半割部分とを閉じて筒状にして係合させることで、電線接続部を覆って絶縁した状態で、電線接続部に絶縁カバーを容易に装着することができる。したがって、電線接続部に絶縁カバーを装着する作業の作業性を向上させることができる。すなわち、特許文献2に開示されたような熱収縮チューブとしてのチューブ9を装着するときのような煩雑な作業は不要であり、電線接続部に絶縁カバーを装着する作業の作業性を向上させることができる。
【0016】
したがって、上記の構成によると、端子における電線接続部と電線の先端部の心線とを強固にかしめて圧着できるとともに、一体に設けられた絶縁カバーによって電線接続部を絶縁でき、さらに、電線接続部に絶縁カバーを装着する作業の作業性を向上させることができる、絶縁カバー付き圧着端子を提供することができる。
【0017】
(2)前記第1の半割部分と前記第2の半割部分と前記ヒンジ部とは、前記第1の半割部分と前記第2の半割部分とが互いに組み合わされた状態で筒状に延びる方向に亘って同一形状で延びるように構成されていてもよい。
【0018】
この構成によると、第1の半割部分と第2の半割部分とヒンジ部とが、第1の半割部分と第2の半割部分とが組み合わされて筒状に延びる方向に亘って同一形状で延びるように構成されているため、第1の半割部分と第2の半割部分とヒンジ部とを押出成形で同時に成形することができる。よって、上記の構成によると、電線接続部と電線の心線とを強固にかしめて圧着できるとともに電線接続部に絶縁カバーを装着する作業の作業性を向上できる絶縁カバー付き圧着端子における絶縁カバーの成形を効率よく行うことができる。
【0019】
(3)前記係合部および前記被係合部は、前記第1の半割部分と前記第2の半割部分とが互いに組み合わされた状態で筒状に延びる方向の全長に亘って設けられていてもよい。
【0020】
この構成によると、第1の半割部分および第2の半割部分の一方の係合部と他方の被係合部とが、第1の半割部分と第2の半割部分とが組み合わされて筒状に延びる方向の全長に亘って設けられているため、筒状に閉じた状態の第1の半割部分と第2の半割部分とを強固に結合させることができる。
【0021】
(4)前記係合部は、前記被係合部に対してそれぞれ係合可能な複数の係合爪を有しており、前記係合部は、複数の前記係合爪のいずれかで前記被係合部に係合することで、前記被係合部に対して複数の係合位置で選択的に係合可能に設けられていてもよい。
【0022】
この構成によると、係合部は、複数の係合爪が設けられ、被係合部に対して複数の位置で選択的に係合可能に設けられる。このため、第1の半割部分と第2の半割部分とを筒状に閉じた状態における径寸法を複数段階に調整することができる。これにより、電線の心線にかしめられた電線接続部の変形量に応じて、第1および第2の半割部分を筒状に閉じた状態での径寸法を調整することができる。
【0023】
(5)前記第1の半割部分の内周面の円弧状の断面の中心角が、前記第2の半割部分の内周面の円弧状の断面の中心角よりも大きく設定されていてもよい。
【0024】
この構成によると、閉じられた状態で筒状に形成される第1の半割部分および第2の半割部分のうち、第1の半割部分の内周面を180度以上に亘って円弧状に広がるように設定することができる。すなわち、電線接続部と電線の心線との圧着前の状態で電線接続部が嵌め込まれて電線接続部に装着される第1の半割部分の内周面を180度以上に亘って円弧状に広がるように設定することができる。このため、電線接続部が第1の半割部分に対してより強固に嵌め込まれた状態で第1の半割部分が電線接続部に装着される。これにより、電線の心線との圧着前に第1の半割部分が電線接続部に装着された状態において第1の半割部分が電線接続部から脱落してしまうことを好適に防止することができる。
【0025】
(6)前記絶縁カバー付き圧着端子は、前記端子を複数有し、前記絶縁カバーは、複数の前記端子に対応して、互いに組み合わされることで筒状に形成される前記第1の半割部分および前記第2の半割部分の組み合わせを複数対備え、複数の前記第1の半割部分は、直列に連結されていてもよい。
【0026】
この構成によると、端子が複数備えられ、第1および第2の半割部分の組み合わせも複数備えられることで、複数の電線に接続される絶縁カバー付き圧着端子を構成することができる。さらに、複数対の第1および第2の半割部分の組み合わせにおける複数の第1の半割部分が直列に連結されているため、複数の電線に接続される絶縁カバー付き圧着端子における絶縁カバーを一体に設けることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、端子における電線接続部と電線の先端部の心線とを強固にかしめて圧着できるとともに、一体に設けられた絶縁カバーによって電線接続部を絶縁でき、さらに、電線接続部に絶縁カバーを装着する作業の作業性を向上させることができる、絶縁カバー付き圧着端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係る絶縁カバー付き圧着端子の斜視図である。
図2図1に示す絶縁カバー付き圧着端子の側面図である。
図3図1に示す絶縁カバー付き圧着端子における端子に電線の心線が挿入された状態を示す斜視図である。
図4図1に示す絶縁カバー付き圧着端子における端子と電線の心線とが圧着された状態を示す斜視図である。
図5】端子と電線の心線とが圧着された状態の絶縁カバー付き圧着端子の断面図である。
図6図1に示す絶縁カバー付き圧着端子と電線とが接続された状態を示す斜視図である。
図7】電線に接続された絶縁カバー付き圧着端子が端子台に接続された状態を示す平面図である。
図8図1に示す絶縁カバー付き圧着端子における絶縁カバーを示す正面図である。
図9図9(A)および図9(B)は、絶縁カバー付き圧着端子における係合部と被係合部とが異なる係合位置で係合した状態を示す斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る絶縁カバー付き圧着端子を示す斜視図である。
図11図10に示す絶縁カバー付き圧着端子の正面図である。
図12図10に示す絶縁カバー付き圧着端子と電線とが接続された状態を示す斜視図である。
図13】第2実施形態における第1の変形例に係る絶縁カバー付き圧着端子を示す正面図である。
図14】第2実施形態における第2の変形例に係る絶縁カバー付き圧着端子を示す正面図である。
図15】本発明の第3実施形態に係る絶縁カバー付き圧着端子を示す斜視図である。
図16図15に示す絶縁カバー付き圧着端子と電線とが接続された状態を示す平面図である。
図17図15に示す絶縁カバー付き圧着端子と電線とが接続された状態を示す平面図であって、絶縁カバー付き圧着端子の端子への電線の心線の挿入形態についての他の例を示す図である。
図18】本発明の第4実施形態に係る絶縁カバー付き圧着端子を示す斜視図である。
図19図18に示す絶縁カバー付き圧着端子と電線とが接続された状態を示す平面図である。
図20】本発明の第5実施形態に係る絶縁カバー付き圧着端子を示す平面図である。
図21図20に示す絶縁カバー付き圧着端子と電線とが接続された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、端子と前記端子に取り付けられる絶縁カバーとを有し、電線の先端部の心線にかしめられて圧着される絶縁カバー付き圧着端子として、種々の用途に広く適用することができるものである。以下、本発明の第1乃至第5実施形態に係る絶縁カバー付き圧着端子(1~5)について説明する。
【0030】
なお、以下の説明では、説明の便宜上、図面において両端矢印で示すように、絶縁カバー付き圧着端子(1~5)における前後方向、上下方向、および左右方向を定義する。前後方向は、絶縁カバー付き圧着端子(1~5)の長手方向と平行な方向として構成される。また、前後方向は、絶縁カバー付き圧着端子(1~5)と電線とが接続された状態で絶縁カバー付き圧着端子(1~5)に接続された電線が絶縁カバー付き圧着端子(1~5)から引き出される方向と平行な方向も構成している。上下方向および左右方向は、前後方向に垂直な方向として構成され、上下方向と左右方向とは互いに垂直な方向として構成される。なお、上下方向は、絶縁カバー付き圧着端子(1~5)が電線の先端部の心線に対してかしめられて圧着される際に絶縁カバー付き圧着端子(1~5)がかしめられる方向と平行な方向として構成されている。
【0031】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る絶縁カバー付き圧着端子1の斜視図である。図2は、絶縁カバー付き圧着端子1の側面図である。図3は、絶縁カバー付き圧着端子1における端子11に電線100の心線100aが挿入された状態を示す斜視図である。図4は、絶縁カバー付き圧着端子1における端子11と電線100の心線100aとが圧着された状態を示す斜視図である。図5は、端子1と電線100の心線100aとが圧着された状態の絶縁カバー付き圧着端子1の断面図である。図6は、絶縁カバー付き圧着端子1と電線100とが接続された状態を示す斜視図である。なお、図3図4および図6では、電線100については、絶縁カバー付き圧着端子1に接続される端部側の部分を示しており、電線100における絶縁カバー付き圧着端子1に接続される側と反対側の端部については、断面図で示している。また、図5に示す断面図では、絶縁カバー付き圧着端子1の端子11に電線100の心線100aが圧着された位置における断面を示している。
【0032】
図1乃至図6を参照して、絶縁カバー付き圧着端子1は、端子11と端子11に取り付けられる絶縁カバー12とを有し、電線100の先端部の心線100aに圧着されるように構成されている。
【0033】
図1乃至図6を参照して、端子11は、導電性を有する金属材料で形成され、電線100に対して電気的に接続される要素として構成されている。端子11は、電線接続部13と相手側接続部14とを有している。端子11は、電線接続部13と相手側接続部14とが、一体に設けられている。電線接続部13と相手側接続部14とは、前後方向に沿って直列に並んで一体に設けられており、電線接続部13と相手側接続部14とが並ぶ方向が、端子11の長手方向を構成している。
【0034】
電線接続部13は、筒状に設けられており、電線100の心線100aに対してかしめられることで圧着されて接続される部分として設けられている。電線接続部13は、本実施形態では、円筒状に設けられており、円形断面で前後方向に沿って円筒状に延びるように設けられている。電線接続部13は、金属製の矩形の板状の要素が円筒状に折り曲げられることで形成されている。板状の要素が円筒状に折り曲げられることで電線接続部13が形成されるため、電線接続部13には、前後方向に沿って直線状に延びる継ぎ目13aが形成されている。
【0035】
円筒状に設けられた電線接続部13には、電線接続部13を前後方向に沿って貫通する心線挿入孔13bが設けられている。心線挿入孔13bには、電線100の先端部の心線100aが挿入される。端子11は、電線接続部13の心線挿入孔13bに電線100の先端部の心線100aが挿入された状態で、電線100と接続される。
【0036】
なお、図3を参照して、電線接続部13の心線挿入孔13bに心線100aが挿入された状態で端子11に接続される電線100は、心線100aと被覆100bとを有して構成されている。心線100aは、例えば、複数の金属線が束ねられる状態で設けられて導体として構成される。被覆100bは、絶縁性を有する樹脂材料で設けられて心線100aの周囲を囲む樹脂製の被覆として構成されている。そして、電線100は、その先端部における被覆100bが切除されて剥がされることにより、先端部において心線100aが外部に露出した部分が設けられる。そして、電線100の先端部で外部に露出した心線100aが、電線接続部13の心線挿入孔13bに挿入され、電線100が端子11に接続される。
【0037】
電線接続部13の心線挿入孔13bに電線100の先端部の心線100aが挿入されると、次いで、電線接続部13がかしめられることで電線100の心線100aと電線接続部13とが圧着される。図4および図5を参照して、電線接続部13の心線挿入孔13bに挿入された電線100の先端部の心線100aと電線接続部13とがかしめられて圧着される際には、筒状の電線接続部13は、上下方向に沿って押し潰されるようにして変形させられる。これにより、筒状の電線接続部13が内側に凹むように変形され、電線接続部13の心線挿入孔13bに挿入された電線100の心線100aと電線接続部13とが強固にかしめられて圧着されて接続される。
【0038】
図1乃至図6を参照して、相手側接続部14は、電線100が端子11を介して電気的に接続される相手側の接続対象に対して接続される部分として設けられている。図7は、電線100に接続された絶縁カバー付き圧着端子1が端子台101に接続された状態を示す平面図である。相手側接続部14は、例えば、相手側の接続対象としての端子台101に対して接続される部分として設けられている。
【0039】
相手側接続部14は、前後方向および左右方向に沿った面に沿って板状に広がるとともにリング状に形成された部分として設けられている。相手側接続部14は、電線接続部13と一体に結合されている。より具体的には、相手側接続部14は、リング状に延びる部分の外周の一部において電線接続部13の後端部と一体に結合している。相手側接続部14は、ネジ102を用いて端子台101に固定されることで、端子台101に接続されるように構成されている。相手側接続部14には、端子台101に接続される際にネジ102が挿通される貫通孔14aが設けられている。
【0040】
なお、図7を参照して、端子台101は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されたハウジング103と、導電性を有する金属材料で形成されてハウジング103に取り付けられた金属プレート104とを有している。金属プレート104には、ネジ102のネジ軸(図示省略)が貫通する貫通孔(図示省略)が設けられている。また、ハウジング103には、金属プレート104を貫通したネジ102のネジ軸が螺合するネジ孔(図示省略)が設けられている。
【0041】
電線100に接続された絶縁カバー付き圧着端子1が端子台101に接続される際には、相手側接続部14が金属プレート104に配置され、相手側接続部14の上にワッシャー105が重ねて配置される。ワッシャー105には、相手側接続部14の貫通孔14aに対応する貫通孔(図示省略)が設けられている。プレート104に相手側接続部14とワッシャー105とが重ねて配置された状態で、ワッシャー105の貫通孔と相手側接続部14の貫通孔14aとにネジ102のネジ軸が挿通される。ワッシャー105と相手側接続部14の貫通孔14aとに挿通されたネジ102のネジ軸は、金属プレート104の貫通孔を貫通してハウジング103のネジ孔に螺合する。ネジ102がハウジング103のネジ孔に螺合することで、相手側接続部14が端子台101に固定されて接続される。これにより、相手側接続部14と端子台101の金属プレート104とが電気的に接続される。
【0042】
なお、図7では、複数の電線100にそれぞれ接続された複数の絶縁カバー付き圧着端子1が端子台101に接続された状態を例示している。端子台101における各金属プレート104には、電線100に接続された絶縁カバー付き圧着端子1が一対で接続される。これにより、端子台101の各金属プレート104を介して、1つの電線100に接続された絶縁カバー付き圧着端子1と他の1つの電線100に接続された絶縁カバー付き圧着端子1とが電気的に接続されている。
【0043】
図8は、絶縁カバー付き圧着端子1における絶縁カバー12を示す正面図である。図1乃至図6図8を参照して、絶縁カバー12は、絶縁性を有する樹脂材料で形成され、端子11に取り付けられている。絶縁カバー12は、端子11の電線接続部13の周囲を覆って絶縁するためのカバー部材として設けられている。そして、絶縁カバー12は、第1の半割部分15および第2の半割部分16と、第1の半割部分15および第2の半割部分16を連結するヒンジ部17とを備えて構成されている。
【0044】
第1の半割部分15は、円弧状に延びる断面形状で前後方向に亘って半円筒状に延びる形状に形成されている。また、第2の半割部分16も、円弧状に延びる断面形状で前後方向に亘って半円筒状に延びる形状に形成されている。そして、第1の半割部分15および第2の半割部分16は、互いに組み合わされて閉じられることで筒状に形成されるように構成されている。なお、本実施形態では、第1の半割部分15および第2の半割部分16は、互いに組み合わされて閉じられることで円筒状に形成されるように構成されている。
【0045】
第1の半割部分15および第2の半割部分16を連結するヒンジ部17は、可撓性を有し、第1の半割部分15と第2の半割部分16とを開閉自在な状態で連結するように構成されている。ヒンジ部17の一端部は、第1の半割部分15の外周に結合しており、ヒンジ部17の他端部は、第2の半割部分16の外周に結合している。そして、第1の半割部分15と第2の半割部分16とは、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが開いた状態と閉じた状態とのいずれの状態においても、ヒンジ部17を介して一体に連結されている。なお、図1乃至図5図8では、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが開いた状態が図示されている。一方、図6では、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが互いに組み合わされて閉じられることで筒状に形成された状態が図示されている。
【0046】
また、第1の半割部分15および第2の半割部分16は、閉じられて筒状に形成された状態で、端子11の電線接続部13を内側に収納するように構成されている。第1の半割部分15および第2の半割部分16は、前後方向の長さが、電線接続部13の前後方向の長さよりも長く延びるように形成されている。そして、第1の半割部分15および第2の半割部分16は、閉じられて筒状に形成された状態で、電線接続部13の長さよりも長く延びて電線接続部13の外周を全周に亘って且つ前後方向の全長に亘って覆うように構成されている。
【0047】
また、第1の半割部分15は、電線接続部13が嵌め込まれることで電線接続部13に装着されるように構成されている。そして、第2の半割部分16は、第1の半割部分15に対して開閉自在に設けられる。なお、第1の半割部分15の内周面の径寸法は、電線接続部13の外周面の径寸法に対応する寸法に設定されている。そして、第2の半割部分16の内周面の径寸法も、電線接続部13の外周面の径寸法に対応する寸法に設定されている。さらに、第1の半割部分15の内周面の円弧状の断面の中心角が、第2の半割部分16の内周面の円弧状の断面の中心角よりも大きく設定されている。このため、第1の半割部分15に電線接続部13が嵌め込まれた状態では、第1の半割部分15が電線接続部13から脱落することなく電線接続部13を保持した状態で、第1の半割部分15が電線接続部13に装着される。
【0048】
図1乃至図6図8を参照して、第1の半割部分15および第2の半割部分16の一方には係合部18が設けられ、第1の半割部分15および第2の半割部分16の他方には係合部18が係合する被係合部19が設けられている。なお、本実施形態では、第2の半割部分16に係合部18が設けられ、第1の半割部分15に被係合部19が設けられている。第2の半割部分16に設けられた係合部18と第1の半割部分15に設けられた被係合部19とは、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが閉じられた状態で、互いに係合するように構成されている。
【0049】
第1の半割部分15に設けられた被係合部19は、半円筒状の第1の半割部分15において前後方向に沿って延びる一対の縁部分(15a、15b)のうちの一方の縁部分15aに沿って全長に亘って設けられている。なお、半円筒状の第1の半割部分15において前後方向に沿って延びる一対の縁部分(15a、15b)のうちの他方の縁部分15bの近傍には、ヒンジ部17が連結されている。すなわち、被係合部19は、半円筒状の第1の半割部分15において前後方向に沿って延びる一対の縁部分(15a、15b)のうち、ヒンジ部17が近傍で連結されている他方の縁部分15bとは反対側でヒンジ部17から離れている側の一方の縁部分15aに沿って全長に亘って設けられている。
【0050】
また、被係合部19は、第1の半割部分15における前後方向に延びる一方の縁部分15aにおいて、半円筒状の第1の半割部分15における外周から外側に向かって突出する爪状に設けられている。また、第1の半割部分15の外周から外側に突出する爪状の被係合部19は、前後方向に垂直ないずれの断面においても同一の断面形状で爪状に突出して設けられ、第1の半割部分15における前後方向に延びる一方の縁部分15aの全長に亘って設けられている。
【0051】
第2の半割部分16に設けられた係合部18は、半円筒状の第2の半割部分16において前後方向に沿って延びる一対の縁部分(16a、16b)のうちの一方の縁部分16aに沿って全長に亘って設けられている。なお、半円筒状の第2の半割部分16において前後方向に沿って延びる一対の縁部分(16a、16b)のうちの他方の縁部分16bの近傍には、ヒンジ部17が連結されている。すなわち、係合部18は、半円筒状の第2の半割部分16において前後方向に沿って延びる一対の縁部分(16a、16b)のうち、ヒンジ部17が近傍で連結されている他方の縁部分16bとは反対側でヒンジ部17から離れている側の一方の縁部分16aに沿って全長に亘って設けられている。
【0052】
また、第2の半割部分16の一方の縁部分16aに設けられた係合部18は、第1の半割部分15の一方の縁部分15aに設けられた被係合部19に対してそれぞれ係合可能な複数の係合爪(18a、18b)を有している。すなわち、係合部18は、係合爪18aにおいて被係合部19と係合可能であり、係合爪18bにおいても被係合部19と係合可能に設けられている。
【0053】
係合爪18aおよび係合爪18bは、いずれも、第2の半割部分16における前後方向に延びる一方の縁部分16aにおいて、半円筒状の第2の半割部分16における内周から内側に向かって突出する爪状に設けられている。係合爪18aが被係合部19と係合する際には、係合爪18aは、被係合部19における爪状に突出した部分と互いに嵌り合うようにして係合する。同様に、係合爪18bが被係合部19と係合する際には、係合爪18bは、被係合部19における爪状に突出した部分と互いに嵌り合うようにして係合する。また、第2の半割部分16の内周から内側に突出する爪状の係合爪(18a、18b)は、前後方向に垂直ないずれの断面においても同一の断面形状で爪状に突出して設けられ、第2の半割部分16における前後方向に延びる一方の縁部分16aの全長に亘って設けられている。
【0054】
また、係合爪18aおよび係合爪18bは、第2の半割部分16における前後方向に延びる一方の縁部分16aの内周において、周方向に並んで設けられている。係合爪18aは、第2の半割部分16の一方の縁部分16aの内周において、係合爪18bよりも周方向における内側に設けられている。係合爪18bは、第2の半割部分16の一方の縁部分16aの内周において、係合爪18aよりも周方向における外側に設けられている。そして、係合爪18aと係合爪18bとは、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが閉じた状態において、互いに独立して選択的に被係合部19に係合可能に設けられている。このため、係合部18は、複数の係合爪(18a、18b)のいずれかで被係合部19に係合することで、被係合部19に対して複数の係合位置で選択的に係合可能に設けられている。
【0055】
なお、図9(A)および図9(B)は、係合部18と被係合部19とが異なる係合位置で係合した状態を示す斜視図である。図9(A)は、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが閉じた状態において、係合部18が、係合爪18aにおいて被係合部19に係合した状態を示している。図9(B)は、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが閉じた状態において、係合部18が、係合爪18bにおいて被係合部19に係合した状態を示している。
【0056】
係合爪18aは、第2の半割部分16の一方の縁部分16aの内周において、係合爪18bよりも周方向における内側に設けられている。このため、図9(A)に示すように、係合部18が係合爪18aにおいて被係合部19に係合する際には、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが筒状に閉じられた状態の径寸法は相対的に小さい設定となる。例えば、電線100の径寸法が相対的に小さく、電線100の心線100aにかしめられた電線接続部13の変形量が大きい場合、係合部18を係合爪18aにおいて被係合部19に係合させることができる。これにより、電線接続部13の変形量に応じて、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが筒状に閉じられた状態の径寸法を相対的に小さくする設定にすることができる。一方、係合爪18bは、第2の半割部分16の一方の縁部分16aの内周において、係合爪18aよりも周方向における外側に設けられている。このため、図9(B)に示すように、係合部18が係合爪18bにおいて被係合部19に係合する際には、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが筒状に閉じられた状態の径寸法は相対的に大きい設定となる。例えば、電線100の径寸法が相対的に大きく、電線100の心線100aにかしめられた電線接続部13の変形量が小さい場合、係合部18を係合爪18bにおいて被係合部19に係合させることができる。これにより、電線接続部13の変形量に応じて、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが筒状に閉じられた状態の径寸法を相対的に大きくする設定にすることができる。
【0057】
また、第1の半割部分15に設けられた被係合部19は、半円筒状の第1の半割部分15において前後方向に沿って延びる一方の縁部分15aに沿って全長に亘って設けられている。そして、第2の半割部分16に設けられた係合部18は、半円筒状の第2の半割部分16において前後方向に沿って延びる一方の縁部分16aに沿って全長に亘って設けられている。さらに、第1の半割部分15と第2の半割部分16とは、互いに組み合わされた状態で前後方向に筒状に延びるように構成されている。このため、係合部18および被係合部19は、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが互いに組み合わされた状態で筒状に延びる方向の全長に亘って設けられている。
【0058】
また、前後方向に沿って半円筒状に延びる第1の半割部分15は、前後方向に垂直ないずれの断面においても同一の形状で、前後方向に延びるように形成されている。そして、第1の半割部分15に設けられる被係合部19も、前後方向に垂直ないずれの断面においても同一の形状で、前後方向に延びるように形成されている。また、前後方向に沿って半円筒状に延びる第2の半割部分16は、前後方向に垂直ないずれの断面においても同一の形状で、前後方向に延びるように形成されている。そして、第2の半割部分16に設けられる係合部18も、前後方向に垂直ないずれの断面においても同一の形状で、前後方向に延びるように形成されている。さらに、第1の半割部分15と第2の半割部分16とを連結するヒンジ部17も、前後方向に垂直ないずれの断面においても同一の形状で、前後方向に延びるように形成されている。このため、第1の半割部分15と第2の半割部分16とヒンジ部17とは、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが互いに組み合わされた状態で筒状に延びる前後方向に亘って同一形状で延びるように構成されている。
【0059】
上述した絶縁カバー付き圧着端子1は、電線100と接続される前の状態では、図1および図2に示すように、絶縁カバー12の第1の半割部分15に端子11の電線接続部13が嵌め込まれることで第1の半割部分15が端子11に装着された状態で準備される。また、絶縁カバー12において第1の半割部分15に対して第2の半割部分16が開いた状態で、絶縁カバー付き圧着端子1が準備される。
【0060】
図3を参照して、絶縁カバー付き圧着端子1と電線100とが接続される際には、まず、電線100の先端部の心線100aが、絶縁カバー12の第1の半割部分15に嵌め込まれた端子11の電線接続部13の心線挿入孔13bに挿入される。電線接続部13に電線100の心線100aが挿入されると、次いで、図4および図5に示すように、電線接続部13が内側に凹むように押し潰されてかしめられることで、電線100の心線100aと電線接続部13とが圧着される。
【0061】
電線接続部13がかしめられて電線接続部13と電線100の心線100aとが圧着されると、次いで、図6に示すように、絶縁カバー12の第1の半割部分15と第2の半割部分16とが互いに組み合わされて閉じられる。閉じられた第1の半割部分15と第2の半割部分16とは円筒状を形成し、円筒状に形成された第1の半割部分15および第2の半割部分16が、電線100の心線100aに圧着された電線接続部13を前後方向の全長に亘って覆った状態となる。
【0062】
そして、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが閉じられた状態で、第1の半割部分15に設けられた被係合部19と第2の半割部分16に設けられた係合部18とが係合される。係合部18と被係合部19とが係合することで、電線100の心線100aに圧着された電線接続部13が第1の半割部分15と第2の半割部分16とで覆われて絶縁された状態が維持されることになる。これにより、絶縁カバー付き圧着端子1と電線100との接続が完了する。
【0063】
なお、電線100が接続された絶縁カバー付き圧着端子1は、端子台101に接続される。端子台101には、電線100に接続された絶縁カバー付き圧着端子1が複数接続される。そして、端子台101に接続された複数の絶縁カバー付き圧着端子1は、並んで配置されることになる。しかし、電線100の心線100aに圧着された電線接続部13は、絶縁カバー12で全体が覆われて絶縁されている。このため、並んで配置されて隣り合う絶縁カバー付き圧着端子1同士において、電線100の心線100aに圧着された電線接続部13が電気的に接触してしまうことが防止されることになる。
【0064】
(第1実施形態の作用効果)
第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1によると、端子11に取り付けられる絶縁カバー12は、互いに組み合わされて閉じられることで筒状に形成される第1の半割部分15と第2の半割部分16とを有し、第1の半割部分15に筒状の電線接続部13が嵌め込まれることで第1の半割部分15が電線接続部13に装着されている。そして、電線接続部13に第1の半割部分15が装着された状態で、電線100の先端部の心線100aを筒状の電線接続部13に挿入し、電線接続部13をかしめることで、電線接続部13と電線100の先端部の心線100aとをかしめて圧着することができる。このため、電線接続部13を絶縁カバー12で全周に亘って覆った状態で絶縁カバー12ごと電線接続部13をかしめる必要がなく、電線接続部13をかしめる際に絶縁カバー12の破損を生じることがない。したがって、筒状の電線接続部13を内側に大きく凹ませるように変形させて電線接続部13と電線100の先端部の心線100aとを強固にかしめて圧着することができる。
【0065】
そして、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1によると、電線接続部13と電線100の先端部の心線100aとをかしめて圧着した後に、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが組み合わされるように閉じられて筒状に形成される。このとき、第1の半割部分15および第2の半割部分16は、電線接続部13の長さよりも長く延びて電線接続部13を覆うため、電線接続部13の全周が全長に亘って覆われた状態となる。さらに、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが電線接続部13の外周の全体を覆って筒状に閉じられた状態で、第2の半割部分16に設けられた係合部18と第1の半割部分15に設けられた被係合部19とが係合される。これにより、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが、電線接続部13を筒状に覆った状態で一体に結合され、電線100の心線100aに圧着された電線接続部13が絶縁された状態が維持されることになる。また、開閉されるように操作される第1の半割部分15と第2の半割部分16とは、ヒンジ部17で連結され、一体に設けられている。よって、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1によると、一体に設けられた絶縁カバー12によって電線接続部13を絶縁することができる。
【0066】
また、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1によると、第1の半割部分15に筒状の電線接続部13が嵌め込まれて第1の半割部分15が電線接続部13に装着された状態で、電線100の心線100aを電線接続部13に挿入して電線接続部13をかしめて電線100の心線100aと電線接続部13とを圧着することができる。そして、電線接続部13と電線100の心線100aとをかしめて圧着した後に、第1の半割部分15と第2の半割部分16とを閉じて筒状にして係合させることで、電線接続部13を覆って絶縁した状態で、電線接続部13に絶縁カバー12を容易に装着することができる。したがって、電線接続部13に絶縁カバー12を装着する作業の作業性を向上させることができる。すなわち、特許文献2に開示されたような熱収縮チューブとしてのチューブ9を装着するときのような煩雑な作業は不要であり、電線接続部13に絶縁カバー12を装着する作業の作業性を向上させることができる。
【0067】
したがって、第1実施形態によると、端子11における電線接続部13と電線100の先端部の心線100aとを強固にかしめて圧着できるとともに、一体に設けられた絶縁カバー12によって電線接続部13を絶縁でき、さらに、電線接続部13に絶縁カバー12を装着する作業の作業性を向上させることができる、絶縁カバー付き圧着端子1を提供することができる。
【0068】
また、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1によると、第1の半割部分15と第2の半割部分16とヒンジ部17とが、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが組み合わされて筒状に延びる前後方向に亘って同一形状で延びるように構成されている。このため、第1の半割部分15と第2の半割部分16とヒンジ部17とを押出成形で同時に成形することができる。よって、第1実施形態によると、電線接続部13と電線100の心線100aとを強固にかしめて圧着できるとともに電線接続部13に絶縁カバー12を装着する作業の作業性を向上できる絶縁カバー付き圧着端子1における絶縁カバー12の成形を効率よく行うことができる。
【0069】
また、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1によると、第1の半割部分15に設けられた被係合部19と第2の半割部分16に設けられた係合部18とが、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが組み合わされて筒状に延びる方向の全長に亘って設けられている。このため、第1実施形態によると、筒状に閉じた状態の第1の半割部分15と第2の半割部分16とを強固に結合させることができる。
【0070】
また、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1によると、係合部18は、複数の係合爪(18a、18b)が設けられ、被係合部19に対して複数の位置で選択的に係合可能に設けられる。このため、第1の半割部分15と第2の半割部分16とを筒状に閉じた状態における径寸法を複数段階に調整することができる。これにより、電線100の心線100aにかしめられた電線接続部13の変形量に応じて、第1の半割部分15および第2の半割部分16を筒状に閉じた状態での径寸法を調整することができる。
【0071】
また、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1によると、第1の半割部分15の内周面の円弧状の断面の中心角が、第2の半割部分16の内周面の円弧状の断面の中心角よりも大きく設定されている。このため、絶縁カバー付き圧着端子1によると、閉じられた状態で筒状に形成される第1の半割部分15および第2の半割部分16のうち、第1の半割部分15の内周面を180度以上に亘って円弧状に広がるように設定することができる。すなわち、電線接続部13と電線100の心線100aとの圧着前の状態で電線接続部13が嵌め込まれて電線接続部13に装着される第1の半割部分15の内周面を180度以上に亘って円弧状に広がるように設定することができる。このため、電線接続部13が第1の半割部分15に対してより強固に嵌め込まれた状態で第1の半割部分15が電線接続部13に装着される。これにより、電線100の心線100aとの圧着前に第1の半割部分15が電線接続部13に装着された状態において第1の半割部分15が電線接続部13から脱落してしまうことを好適に防止することができる。
【0072】
(第1実施形態の変形例)
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
【0073】
前述の第1実施形態では、端子11の電線接続部13が円筒状に形成されている形態を例示したが、この通りでなくてもよい。電線接続部13は筒状に設けられていればよく、例えば、楕円筒状に設けられていてもよい。また、前述の第1実施形態では、互いに閉じられることで筒状に形成される絶縁カバー12の第1の半割部分15および第2の半割部分16が、閉じられた状態で円筒状に形成される形態を例示したが、この通りでなくてもよい。第1の半割部分15および第2の半割部分16は、閉じられた状態で筒状に形成されればよく、電線接続部13の形状に応じて種々変更されてもよい。例えば、電線接続部13が楕円筒状の場合は、第1の半割部分15および第2の半割部分16は、閉じられた状態で楕円筒状に形成されてもよい。
【0074】
前述の第1実施形態では、第1の半割部分15において被係合部19が設けられ、第2の半割部分16において複数の係合爪(18a、18b)を有する係合部18が設けられた形態を例示したが、この通りでなくてもよい。第1の半割部分15において複数の係合爪(18a、18b)を有する係合部18が設けられ、第2の半割部分16において被係合部19が設けられた形態が実施されてもよい。また、前述の第1実施形態では、係合部18が、2つの係合爪(18a、18b)を有する形態を例示したが、この通りでなくてもよい。係合部18が、1つの係合爪を有する形態、或いは、係合部18が、3つ以上の係合爪を有する形態が実施されてもよい。
【0075】
前述の第1実施形態では、係合部18および被係合部19が、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが互いに組み合わされた状態で筒状に延びる方向の全長に亘って設けられている形態を例示したが、この通りでなくてもよい。係合部18および被係合部19が、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが互いに組み合わされた状態で筒状に延びる方向における一部の領域に亘って設けられている形態が実施されてもよい。
【0076】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係る絶縁カバー付き圧着端子2を示す斜視図である。図11は、絶縁カバー付き圧着端子2の正面図である。図12は、絶縁カバー付き圧着端子2と電線100とが接続された状態を示す斜視図である。絶縁カバー付き圧着端子2は、絶縁カバー付き圧着端子2が端子11を複数有し、絶縁カバー付き圧着端子2の絶縁カバー20が第1の半割部分15および第2の半割部分16の組み合わせを複数対備える点を除いて、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1と同様に構成されている。なお、以下の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成あるいは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、あるいは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0077】
図10乃至図12を参照して、第2実施形態の絶縁カバー付き圧着端子2は、端子11を複数有しており、複数の電線100と接続されるように構成されている。そして、絶縁カバー付き圧着端子2の絶縁カバー20は、複数の端子11に対応して、互いに組み合わされることで筒状に形成される第1の半割部分15および第2の半割部分16の組み合わせを複数対備えて構成されている。なお、第2実施形態では、端子11を2つ備えた絶縁カバー付き圧着端子2を例示している。また、絶縁カバー付き圧着端子2の絶縁カバー20として、2つの端子11に対応して、第1の半割部分15および第2の半割部分16の組み合わせを2対備えた形態を例示している。
【0078】
絶縁カバー付き圧着端子2においては、複数の端子11は、絶縁カバー20が装着された状態で、左右方向に並んで配置されている。そして、左右方向に並ぶ複数の端子11は、絶縁カバー20に装着された状態で、互いに平行に前後方向に沿って端子11の長手方向が延びて配置されている。
【0079】
絶縁カバー20は、複数の端子11に対応して、第1の半割部分15および第2の半割部分16の組み合わせを複数対備えている。このため、絶縁カバー20は、第1の半割部分15を複数備えるとともに、第2の半割部分16を複数備えている。本実施形態では、絶縁カバー20は、第1の半割部分15を2つ備えるとともに、第2の半割部分16を2つ備えている。各第1の半割部分15には、各端子11の電線接続部13が嵌め込まれており、これにより、各端子11の電線接続部13に各第1の半割部分15が装着されている。
【0080】
また、絶縁カバー20は、複数の第1の半割部分15を左右方向に沿って連結する連結部21を有している。このため、絶縁カバー20に備えられる複数の第1の半割部分15は、連結部21によって、左右方向に沿って直列に連結されている。なお、本実施形態では、絶縁カバー20においては、第1の半割部分15は2つ備えられており、2つの半割部分15を連結する連結部21が1つ設けられている。
【0081】
2つの第1の半割部分15を連結する連結部21は、可撓性を有し、連結部21で連結された第1の半割部分15同士の間の左右方向の距離を調整可能に設けられている。なお、連結部21の一端部は、2つの第1の半割部分15のうちの一方の第1の半割部分15の外周に一体に結合しており、連結部21の他端部は、2つの第1の半割部分15のうちの他方の第1の半割部分15の外周に一体に結合している。また、一方の第1の半割部分15は、2つの第2の半割部分16のうちの一方の第2の半割部分16にヒンジ部17を介して一体に連結されている。そして、他方の第1の半割部分15は、2つの第2の半割部分16のうちの他方の第2の半割部分16にヒンジ部17を介して一体に連結されている。このため、2つの第1の半割部分15および2つの第2の半割部分16は、連結部21および2つのヒンジ部17を介して一体に設けられている。これにより、複数の電線100と接続される絶縁カバー付き圧着端子2における絶縁カバー20は、一体に設けられている。
【0082】
また、絶縁カバー20は、複数の第1の半割部分15と複数の第2の半割部分16と複数のヒンジ部17と連結部21とが、複数の第1の半割部分15のそれぞれと複数の第2の半割部分16のそれぞれとが組み合わされて筒状に延びる前後方向に亘って同一形状で延びるように構成されている。このため、複数の第1の半割部分15と複数の第2の半割部分16と複数のヒンジ部17と連結部21とを押出成形で同時に成形することができる。
【0083】
上述した絶縁カバー付き圧着端子2は、複数の電線100と接続される前の状態では、図10および図11に示すように、絶縁カバー20における各第1の半割部分15に各端子11の電線接続部13が嵌め込まれることで各第1の半割部分15が各端子11に装着された状態で準備される。また、絶縁カバー20において各第1の半割部分15に対して各第2の半割部分16が開いた状態で、絶縁カバー付き圧着端子2が準備される。
【0084】
絶縁カバー付き圧着端子2と複数の電線100とが接続される際には、まず、各電線100の先端部の心線100aが、絶縁カバー20の各第1の半割部分15に嵌め込まれた各端子11の電線接続部13の心線挿入孔13bに挿入される。各電線接続部13に各電線100の心線100aが挿入されると、次いで、各電線接続部13が内側に凹むように押し潰されてかしめられることで、各電線100の心線100aと各電線接続部13とが圧着される。
【0085】
各電線接続部13がかしめられて各電線接続部13と各電線100の心線100aとが圧着されると、次いで、図12に示すように、絶縁カバー20の各第1の半割部分15と各第2の半割部分16とが互いに組み合わされて閉じられる。閉じられた各第1の半割部分15と各第2の半割部分16とは円筒状を形成し、円筒状に形成された各第1の半割部分15および各第2の半割部分16が、各電線100の心線100aに圧着された各電線接続部13を前後方向の全長に亘って覆った状態となる。
【0086】
そして、各第1の半割部分15と各第2の半割部分16とが閉じられた状態で、各第1の半割部分15に設けられた被係合部19と各第2の半割部分16に設けられた係合部18とが係合される。各係合部18と各被係合部19とが係合することで、各電線100の心線100aに圧着された各電線接続部13が各第1の半割部分15および各第2の半割部分16で覆われて絶縁された状態が維持されることになる。これにより、絶縁カバー付き圧着端子2と複数の電線100との接続が完了する。
【0087】
第2実施形態の絶縁カバー付き圧着端子2は、端子11と、ヒンジ部17で連結された第1の半割部分15および第2の半割部分16とを有しており、第1実施形態と同様の構成を備えている。このため、第2実施形態の絶縁カバー付き圧着端子2によると、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、第2実施形態によると、端子11における電線接続部13と電線100の先端部の心線100aとを強固にかしめて圧着できるとともに、一体に設けられた絶縁カバー20によって電線接続部13を絶縁でき、さらに、電線接続部13に絶縁カバー20を装着する作業の作業性を向上させることができる、絶縁カバー付き圧着端子2を提供することができる。
【0088】
また、第2実施形態によると、端子11が複数備えられ、第1および第2の半割部分(15、16)の組み合わせも複数備えられることで、複数の電線100に接続される絶縁カバー付き圧着端子2を構成することができる。さらに、複数対の第1および第2の半割部分(15、16)の組み合わせにおける複数の第1の半割部分15が直列に連結されているため、複数の電線100に接続される絶縁カバー付き圧着端子2における絶縁カバー20を一体に設けることができる。
【0089】
また、第2実施形態によると、複数対の第1および第2の半割部分(15、16)の組み合わせにおける複数の第1の半割部分15が、連結部21を介して直列に連結されている。そして、連結部21は、可撓性を有し、第1の半割部分15同士の間の左右方向の距離を調整可能に設けられている。このため、絶縁カバー付き圧着端子2において第1の半割部分15が装着される端子11同士の間隔を調整することができる。これにより、例えば、絶縁カバー付き圧着端子2を端子台101に接続する場合に、端子台101における金属プレート104の配置間隔の仕様に応じて端子11の位置を容易に調整することができる。
【0090】
(第2実施形態の変形例)
以上、本発明の第2実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
【0091】
前述の第2実施形態では、絶縁カバー付き圧着端子2が、複数の端子11として2つの端子11を有し、絶縁カバー付き圧着端子2の絶縁カバー20が、複数対の第1および第2の半割部分(15、16)の組み合わせとして2対の第1および第2の半割部分(15、16)の組み合わせを備えた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。絶縁カバー付き圧着端子が3つ以上の端子11を有し、絶縁カバー付き圧着端子の絶縁カバーが、3対以上の第1および第2の半割部分(15、16)の組み合わせを備えた形態が実施されてもよい。
【0092】
図13は、第2実施形態における第1の変形例に係る絶縁カバー付き圧着端子2Aを示す正面図である。図14は、第2実施形態における第2の変形例に係る絶縁カバー付き圧着端子2Bを示す正面図である。図13および図14を参照し、絶縁カバー付き圧着端子(2A、2B)が3つの端子11を有し、絶縁カバー付き圧着端子(2A、2B)の絶縁カバー(20A、20B)が、第1および第2の半割部分(15、16)の組み合わせを3対備えた形態の変形例について説明する。
【0093】
図13を参照して、第2実施形態における第1の変形例に係る絶縁カバー付き圧着端子2Aは、3つの端子11と絶縁カバー20Aとを有し、絶縁カバー20Aが第1の半割部分15および第2の半割部分16の組み合わせを3対備えている。
【0094】
絶縁カバー20Aは、第1および第2の半割部分(15、16)の組み合わせを3対備えている。このため、絶縁カバー20Aは、第1の半割部分15を3つ備え、第2の半割部分16を3つ備えている。そして絶縁カバー20Aに備えられる3つの第1の半割部分15は、連結部21を介して、左右方向に沿って直列に連結されている。このため、絶縁カバー20においては、連結部21は2つ設けられており、左右方向において隣り合う第1の半割部分15同士が、連結部21によって連結されている。
【0095】
図13に示す第1の変形例によると、3本の電線100に接続できる絶縁カバー付き圧着端子2Aを構成することができる。さらに、3本の電線100に接続される絶縁カバー付き圧着端子2における絶縁カバー20を一体に設けることができる。なお、第1の半割部分15を連結部21を介して直列に複数連結していくことで、3本の電線100に接続される絶縁カバー付き圧着端子2Aに限らず、4本以上の電線100に接続される絶縁カバー付き圧着端子を実施することができる。
【0096】
図14を参照して、第2実施形態における第2の変形例に係る絶縁カバー付き圧着端子2Bは、3つの端子11と絶縁カバー20Bとを有し、絶縁カバー20Bが第1の半割部分15および第2の半割部分16の組み合わせを3対備えている。ただし、第2の変形例の絶縁カバー付き圧着端子2Bは、絶縁カバー20Bにおける3つの第1の半割部分15の連結形態と、第1の半割部分15および第2の半割部分16の連結形態とにおいて、第1の変形例の絶縁カバー付き圧着端子2Aとは構成が異なっている。
【0097】
絶縁カバー付き圧着端子2Bの絶縁カバー20Bは、3つの第1の半割部分15が、連結部21を介さずに左右方向に沿って直列に連結されている。より具体的には、絶縁カバー20Bにおいては、直列に並んで連結される第1の半割部分15は、左右方向において隣り合う第1の半割部分15に対して、外周の一部が一体に結合されることで連結されている。そして、左右方向に直列に並んで連結された3つの第1の半割部分15のうちで左右方向の一方の端部に配置された第1の半割部分15にのみ、被係合部19が設けられている。また、左右方向に直列に並んで連結された3つの第1の半割部分15のうちで左右方向の他方の端部に配置された第1の半割部分15のみが、第2の半割部分16に対してヒンジ部17を介して連結されている。
【0098】
また、絶縁カバー20Bにおいては、直列に連結された3つの第1の半割部分15と同様に、3つの第2の半割部分16も直列に連結されている。直列に並んで連結される3つの第2の半割部分16のそれぞれは、直列に連結される方向において隣り合う第2の半割部分16に対して、外周の一部が一体に結合されることで連結されている。そして、直列に並んで連結された3つの第2の半割部分16のうちで直列に並ぶ方向における一方の端部に配置された第2の半割部分16のみが、第1の半割部分15に対してヒンジ部17を介して連結されている。また、直列に並んで連結された3つの第2の半割部分16のうちで直列に並ぶ方向における他方の端部に配置された第2の半割部分16にのみ、係合部18が設けられている。
【0099】
絶縁カバー付き圧着端子2Bと3本の電線100とが接続される際には、まず、各電線100の先端部の心線100aが、絶縁カバー20Bの各第1の半割部分15に嵌め込まれた各端子11の電線接続部13の心線挿入孔13bに挿入される。各電線接続部13に各電線100の心線100aが挿入されると、次いで、各電線接続部13が内側に凹むように押し潰されてかしめられることで、各電線100の心線100aと各電線接続部13とが圧着される。
【0100】
各電線接続部13がかしめられて各電線接続部13と各電線100の心線100aとが圧着されると、直列に連結された3つの第1の半割部分15に対して、直列に連結された3つの第2の半割部分16が被せられるようにして閉じられる。これにより、3つの第1の半割部分15のそれぞれと3つの第2の半割部分16のそれぞれとが互いに組み合わされて閉じられて円筒状に形成される。こうして、円筒状に閉じられた各第1の半割部分15および各第2の半割部分16が、各電線100の心線100aに圧着された各電線接続部13を前後方向の全長に亘って覆った状態となる。
【0101】
そして、各第1の半割部分15と各第2の半割部分16とが閉じられた状態で、1つの第1の半割部分15に設けられた被係合部19と1つの第2の半割部分16に設けられた係合部18とが係合される。係合部18と被係合部19とが係合することで、各電線100の心線100aに圧着された各電線接続部13が各第1の半割部分15および各第2の半割部分16で覆われて絶縁された状態が維持されることになる。これにより、絶縁カバー付き圧着端子2Bと3本の電線100との接続が完了する。
【0102】
図14に示す第2の変形例に係る絶縁カバー付き圧着端子2Bによると、直列に連結される3つの第1の半割部分15が連結部21を介さずに連結されるため、3つの第1の半割部分15を近接してコンパクトに並べて配置することができる。このため、端子11における相手側接続部14の大きさが小さく、端子11を近接してコンパクトに並べて配置する必要がある場合に有用に用いることができる。なお、第1の半割部分15を直列に4つ以上連結するとともに、第2の半割部分16も直列に4つ以上連結する構成にすることで、4本以上の電線100に接続される絶縁カバー付き圧着端子を実施することができる。
【0103】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図15は、本発明の第3実施形態に係る絶縁カバー付き圧着端子3を示す斜視図である。図16は、絶縁カバー付き圧着端子3と電線100とが接続された状態を示す平面図である。絶縁カバー付き圧着端子3は、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1と同様に構成されるが、端子22において、リング状に形成された相手側接続部14が設けられておらず、端子22が複数の電線100に対して圧着される点において、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1とは異なっている。なお、以下の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成あるいは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、あるいは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0104】
図15および図16を参照して、第3実施形態の絶縁カバー付き圧着端子3は、端子22と絶縁カバー12とを有して構成されている。絶縁カバー付き圧着端子3の絶縁カバー12は、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1の絶縁カバー12と同様に構成される。しかし、絶縁カバー付き圧着端子3は、端子22の構成が、第1実施形態の絶縁カバー付き圧着端子1の端子11の構成とは異なっている。
【0105】
端子22は、導電性を有する金属材料で形成され、電線100に対して電気的に接続される要素として構成されている。端子22は、電線接続部23を有している。なお、端子22には、第1実施形態の端子11とは異なり、端子台101に接続するためのリング状の相手側接続部14は設けられていない。
【0106】
端子22の電線接続部23は、筒状に設けられており、電線100の心線100aに対してかしめられることで圧着されて接続される部分として設けられている。なお、第3実施形態では、端子22が電線接続部23のみで構成された形態を例示している。このため、第3実施形態の端子22の形状と電線接続部23の形状は同じ形状となる。
【0107】
電線接続部23は、第3実施形態では、円筒状に設けられており、円形断面で前後方向に沿って円筒状に延びるように設けられている。電線接続部23は、継ぎ目のない円筒状に形成されている。第3実施形態では、電線接続部23のみで構成された端子22の形態を例示しているため、継ぎ目のない円筒状の端子22が形成されることで、継ぎ目のない円筒状の電線接続部23も形成されることになる。継ぎ目のない円筒状の端子22は、例えば、円形断面で延びる金属管が長手方向と垂直に切断されて短い円筒状の部材として切り出されることで形成されている。
【0108】
また、円筒状に設けられた端子22の電線接続部23には、電線接続部23を前後方向に沿って貫通する心線挿入孔23aが設けられている。心線挿入孔23aには、電線100の先端部の心線100aが挿入される。端子22は、電線接続部23の心線挿入孔23aに電線100の先端部の心線100aが挿入された状態で、電線100と接続される。
【0109】
また、図16を参照して、端子22は、複数の電線100と接続されるように構成されている。なお、図16では、端子22が2本の電線100と接続された形態を例示している。端子22の電線接続部23の心線挿入孔23aは、前後方向に貫通しており、前後方向の両側で開口している。例えば、端子22によって2本の電線100が接続される際には、まず、一つの電線100の先端側の心線100aが心線挿入孔23aに対して前後方向における一方の開口から挿入される。そして、他の一つの電線100の先端側の心線100aが心線挿入孔23aに対して前後方向における他方の開口から挿入される。すなわち、端子22が2本の電線100と接続される際には、各電線100の先端側の心線100aが、電線接続部23の心線挿入孔23aに対して前後方向の両側からそれぞれ挿入される。
【0110】
なお、端子22が2本の電線100と接続される際における2本の電線100の端子22への挿入形態は上述の形態に限られなくてもよい。すなわち、上述の形態においては、各電線100の先端側の心線100aが、電線接続部23の心線挿入孔23aに対して前後方向の両側からそれぞれ挿入される形態を例示したが、この通りでなくてもよい。2本の電線100の先端側の心線100aのいずれもが、電線接続部23の心線挿入孔23aに対して前後方向における一方の開口から挿入されてもよい。この場合、1つの電線100の先端側の心線100aが心線挿入孔23aに対して前後方向における一方の開口から挿入され、他の一つの電線100の先端側の心線100aも心線挿入孔23aに対して前後方向における一方の開口から挿入される。
【0111】
また、上記の形態では、端子22が2本の電線100と接続される際における電線100の端子22への挿入形態を例示したが、端子22が3本以上の電線100と接続される形態が実施されてもよい。例えば、端子22が3本の電線100と接続される場合は、3本の電線100の先端側の心線100aのいずれもが、電線接続部23の心線挿入孔23aに対して前後方向における一方の開口から挿入されてもよい。あるいは、1本の電線100の先端側の心線100aが心線挿入孔23aに対して前後方向における一方の開口から挿入され、他の2本の電線100の先端側の心線100aが心線挿入孔23aに対して前後方向における他方の開口から挿入されてもよい。
【0112】
また、円筒状の電線接続部23は、絶縁カバー12の第1の半割部分15に嵌め込まれるように構成されている。電線接続部23が第1の半割部分15に嵌め込まれることで、第1の半割部分15が電線接続部23に装着される。なお、絶縁カバー12の第1の半割部分15および第2の半割部分16は、閉じられて筒状に形成された状態で、端子22の電線接続部23を内側に収納するように構成されている。第1の半割部分15および第2の半割部分16は、前後方向の長さが、電線接続部23の前後方向の長さよりも長く延びるように形成されている。そして、第1の半割部分15および第2の半割部分16は、閉じられて筒状に形成された状態で、電線接続部23の長さよりも長く延びて電線接続部23の外周を全周に亘って且つ前後方向の全長に亘って覆うように構成されている。
【0113】
上述した絶縁カバー付き圧着端子3は、複数の電線100と接続される前の状態では、図15に示すように、絶縁カバー12における第1の半割部分15に端子22の電線接続部23が嵌め込まれることで第1の半割部分15が端子22に装着された状態で準備される。また、絶縁カバー12において第1の半割部分15に対して第2の半割部分16が開いた状態で、絶縁カバー付き圧着端子3が準備される。
【0114】
例えば、絶縁カバー付き圧着端子3と2本の電線100とが接続される際には、まず、絶縁カバー12の第1の半割部分15に嵌め込まれた端子22の電線接続部23における心線挿入孔23aに対して、2本の電線100のそれぞれの先端側の心線100aが挿入される。このとき、2本の電線100のそれぞれの先端側の心線100aは、例えば、電線接続部23の前後方向の両側から心線挿入孔23aに挿入される。電線接続部23の前後方向の両側から心線挿入孔23aに挿入された2本の電線100の心線100aの先端部は、例えば、心線挿入孔23a内で対向した状態で配置される(図16を参照)。
【0115】
なお、電線接続部23の前後方向の両側から心線挿入孔23aに挿入される2本の電線100の心線100aは、その先端部が心線挿入孔23a内で対向した状態で配置されていなくてもよい。図17は、絶縁カバー付き圧着端子3と電線100とが接続された状態を示す平面図であって、絶縁カバー付き圧着端子3の端子22への電線100の心線100aの挿入形態についての他の例を示す図である。図17に示すように、電線接続部23の前後方向の両側から心線挿入孔23aに挿入された2本の電線100の心線100aが、心線挿入孔23a内において前後方向に垂直な方向において重なった状態で前後方向に沿って延びるように配置されてもよい。なお、図17では、電線接続部23の前後方向の両側から心線挿入孔23aに挿入された2本の電線100の心線100aが、心線挿入孔23a内において左右方向において重なった状態で前後方向に沿って延びるように配置された形態を例示している。このように、2本の電線100の心線100aは、心線挿入孔23a内において前後方向に垂直な方向において重なった状態で前後方向に沿って延びるように配置されてもよい。
【0116】
電線接続部23の心線挿入孔23aに前後方向の両側から各電線100の先端部の心線100aが挿入されると、次いで、電線接続部23がかしめられることで2本の電線100の心線100aと電線接続部23とが圧着される。電線接続部23の心線挿入孔23aに前後方向の両側からそれぞれ挿入された各電線100の先端部の心線100aと電線接続部23とがかしめられて圧着される際には、筒状の電線接続部23は、上下方向に沿って押し潰されるようにして変形させられる。これにより、筒状の電線接続部23が内側に凹むように変形され、電線接続部23の心線挿入孔23aに挿入された各電線100の心線100aと電線接続部23とが強固にかしめられて圧着されて接続される。
【0117】
電線接続部23がかしめられて電線接続部23と2本の電線100の心線100aとが圧着されると、次いで、図16あるいは図17に示すように、絶縁カバー12の第1の半割部分15と第2の半割部分16とが互いに組み合わされて閉じられる。閉じられた第1の半割部分15と第2の半割部分16とは円筒状を形成し、円筒状に形成された第1の半割部分15および第2の半割部分16が、2本の電線100の心線100aに圧着された電線接続部23を前後方向の全長に亘って覆った状態となる。
【0118】
そして、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが閉じられた状態で、第1の半割部分15に設けられた被係合部19と第2の半割部分16に設けられた係合部18とが係合される。係合部18と被係合部19とが係合することで、2本の電線100の心線100aに圧着された電線接続部23が第1の半割部分15および第2の半割部分16で覆われて絶縁された状態が維持されることになる。これにより、絶縁カバー付き圧着端子3と2本の電線100との接続が完了する。なお、絶縁カバー付き圧着端子3と2本の電線100とが接続されることで、2本の電線100が絶縁カバー付き圧着端子3を介して電気的に接続されることになる。
【0119】
第3実施形態の絶縁カバー付き圧着端子3は、筒状の電線接続部23を有する端子22と、ヒンジ部17で連結された第1の半割部分15および第2の半割部分16を備えた絶縁カバー12とを有しており、第1実施形態と同様の構成を備えている。このため、第3実施形態の絶縁カバー付き圧着端子3によると、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、第3実施形態によると、端子22における電線接続部23と電線100の先端部の心線100aとを強固にかしめて圧着できるとともに、一体に設けられた絶縁カバー12によって電線接続部23を絶縁でき、さらに、電線接続部23に絶縁カバー12を装着する作業の作業性を向上させることができる、絶縁カバー付き圧着端子3を提供することができる。
【0120】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図18は、本発明の第4実施形態に係る絶縁カバー付き圧着端子4を示す斜視図である。図19は、絶縁カバー付き圧着端子4と電線100とが接続された状態を示す平面図である。絶縁カバー付き圧着端子4は、第3実施形態の絶縁カバー付き圧着端子3と同様に構成されている。しかし、絶縁カバー付き圧着端子4は、絶縁カバー24における前後方向の一方の端部が閉鎖されるように構成されている点において、第3実施形態の絶縁カバー付き圧着端子3とは異なっている。なお、以下の説明においては、前述の第1実施形態および第3実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態および第3実施形態と同様の構成あるいは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、あるいは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0121】
図18および図19を参照して、第4実施形態の絶縁カバー付き圧着端子4は、端子22と絶縁カバー24とを有して構成されている。絶縁カバー付き圧着端子4の端子22は、第3実施形態の絶縁カバー付き圧着端子3の端子22と同様に構成される。絶縁カバー付き圧着端子4の絶縁カバー24も、第1および第3実施形態の絶縁カバー付き圧着端子(1、3)の絶縁カバー12と同様に構成されるが、一部の構成において、絶縁カバー12とは異なっている。
【0122】
絶縁カバー24における第1の半割部分15には、前後方向の一方の端部において、蓋部25aが設けられている。なお、本実施形態では、蓋部25aは、第1の半割部分15の後方の端部に設けられている。蓋部25aは、半円形の板状の部分として設けられ、半円筒状の第1の半割部分15の後方の端部を塞ぐように設けられており、蓋部25aと第1の半割部分15とは一体に結合されている。第1の半割部分15は、蓋部25aと一体に結合されて塞がれていることで、有底の半円筒状に形成されている。なお、絶縁カバー24の第1の半割部分15における前方の端部は、絶縁カバー12の第1の半割部分15と同様に、開放された状態となっている。
【0123】
絶縁カバー24における第2の半割部分16には、前後方向の一方の端部において、蓋部25bが設けられている。なお、本実施形態では、蓋部25bは、第2の半割部分16の後方の端部に設けられている。蓋部25bは、半円形の板状の部分として設けられ、半円筒状の第2の半割部分16の後方の端部を塞ぐように設けられており、蓋部25bと第2の半割部分16とは一体に結合されている。第2の半割部分16は、蓋部25bと一体に結合されて塞がれていることで、有底の半円筒状に形成されている。なお、絶縁カバー24の第2の半割部分16における前方の端部は、絶縁カバー12の第2の半割部分16と同様に、開放された状態となっている。
【0124】
絶縁カバー24の第1の半割部分15と第2の半割部分16とが閉じられると、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが組み合わされて筒状に形成される。そして、第1の半割部分15および第2の半割部分16が閉じられると、第1の半割部分15に設けられた蓋部25aおよび第2の半割部分16に設けられた蓋部25bも組み合わされて閉じられる。すなわち、第1および第2の半割部分(15、16)が閉じた状態では、半円形の蓋部25aと蓋部25bとが組み合わされて円形の蓋状に形成される。このため、第1の半割部分15と第2の半割部分16とが閉じられた状態では、絶縁カバー24は、前後方向の一方の端部が閉鎖された状態となる。すなわち、絶縁カバー24は、第1および第2の半割部分(15、16)が閉じられた状態では、蓋部(25a、25b)によって後方の端部が閉鎖され、有底の円筒状に形成される。
【0125】
上述した絶縁カバー付き圧着端子4は、2本の電線100と接続されるように構成されている。絶縁カバー付き圧着端子4は、2本の電線100と接続される前の状態では、図18に示すように、絶縁カバー24における第1の半割部分15に端子22の電線接続部23が嵌め込まれることで第1の半割部分15が端子22に装着された状態で準備される。また、絶縁カバー24において第1の半割部分15に対して第2の半割部分16が開いた状態で、絶縁カバー付き圧着端子4が準備される。
【0126】
絶縁カバー付き圧着端子4と2本の電線100とが接続される際には、接続の前に、まず、2本の電線100の先端側の心線100a同士が互いに撚られて連結される。先端側の心線100a同士が撚られて連結されることで、2本の電線100は、先端側で束ねられた状態となる。なお、絶縁カバー付き圧着端子4と2本の電線100とが接続された状態を示す図19では、2本の電線100の先端側の心線100aが撚られて連結された状態を破線で示している。
【0127】
2本の電線100の先端側の心線100aが連結されると、絶縁カバー24の第1の半割部分15に嵌め込まれた端子22の電線接続部23における心線挿入孔23aに対して、連結された2本の電線100の先端側の心線100aが、電線接続部23の前方から挿入される。電線接続部23の心線挿入孔23aに前方から2本の電線100の先端部の心線100aが挿入されると、次いで、電線接続部23がかしめられることで2本の電線100の心線100aと電線接続部23とが圧着される。電線接続部23の心線挿入孔23aに前方から挿入された2本の電線100の先端部の心線100aと電線接続部23とがかしめられて圧着される際には、筒状の電線接続部23は、上下方向に沿って押し潰されるようにして変形させられる。これにより、筒状の電線接続部23が内側に凹むように変形され、電線接続部23の心線挿入孔23aに挿入された2本の電線100の心線100aと電線接続部23とが強固にかしめられて圧着されて接続される。
【0128】
電線接続部23がかしめられて電線接続部23と2本の電線100の心線100aとが圧着されると、次いで、図19に示すように、絶縁カバー24の第1の半割部分15と第2の半割部分16とが互いに組み合わされて閉じられる。閉じられた第1の半割部分15と第2の半割部分16とは円筒状の形状を形成し、円筒状に形成された第1の半割部分15および第2の半割部分16が、2本の電線100の心線100aに圧着された電線接続部23を前後方向の全長に亘って覆った状態となる。また、2本の電線100の心線100aに圧着された電線接続部23は、第1の半割部分15に設けられた蓋部25aと第2の半割部分16に設けられた蓋部25bとが閉じられることで、後方側においても絶縁カバー24によって覆われた状態となる。
【0129】
第1の半割部分15および第2の半割部分16が閉じられ、さらに、蓋部25aおよび蓋部25bも閉じられた状態で、第1の半割部分15に設けられた被係合部19と第2の半割部分16に設けられた係合部18とが係合される。係合部18と被係合部19とが係合することで、2本の電線100の心線100aに圧着された電線接続部23が第1および第2の半割部分(15、16)と蓋部(25a、25b)とで覆われて絶縁された状態が維持されることになる。これにより、絶縁カバー付き圧着端子4と2本の電線100との接続が完了する。なお、絶縁カバー付き圧着端子4と2本の電線100とが接続された状態では、2本の電線100は、絶縁カバー付き圧着端子4から前方に引き出された状態で、互いに電気的に接続されている。
【0130】
第4実施形態の絶縁カバー付き圧着端子4は、筒状の電線接続部23を有する端子22と、ヒンジ部17で連結された第1の半割部分15および第2の半割部分16を備えた絶縁カバー24とを有しており、第1実施形態と同様の構成を備えている。このため、第4実施形態の絶縁カバー付き圧着端子4によると、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、第4実施形態によると、端子22における電線接続部23と電線100の先端部の心線100aとを強固にかしめて圧着できるとともに、一体に設けられた絶縁カバー24によって電線接続部23を絶縁でき、さらに、電線接続部23に絶縁カバー24を装着する作業の作業性を向上させることができる、絶縁カバー付き圧着端子4を提供することができる。
【0131】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図20は、本発明の第5実施形態に係る絶縁カバー付き圧着端子5を示す平面図である。図21は、絶縁カバー付き圧着端子5と電線100とが接続された状態を示す平面図である。絶縁カバー付き圧着端子5は、第4実施形態の絶縁カバー付き圧着端子4と同様に構成されている。しかし、絶縁カバー付き圧着端子5は、絶縁カバー26の形状において、第4実施形態の絶縁カバー付き圧着端子4とは異なっている。なお、以下の説明においては、前述の第1実施形態および第4実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態および第4実施形態と同様の構成あるいは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、あるいは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0132】
図20および図21を参照して、第5実施形態の絶縁カバー付き圧着端子5は、端子22と絶縁カバー26とを有して構成されている。絶縁カバー付き圧着端子5の端子22は、第4実施形態の絶縁カバー付き圧着端子4の端子22と同様に構成されている。しかし、絶縁カバー付き圧着端子5は、絶縁カバー26の形状が、第4実施形態の絶縁カバー付き圧着端子4の絶縁カバー24の形状とは異なっている。
【0133】
絶縁カバー26は、互いに組み合わされて閉じられることで筒状に形成されるように構成されるとともに、端子22の電線接続部23の長さよりも長く延びて電線接続部23を覆うように構成される第1の半割部分27および第2の半割部分28を備えている。
【0134】
第1の半割部分27は、半円筒状に延びる半円筒部27aと、蓋部27bと、半円錐状部27cと、大径部27dとを有している。蓋部27bは、半円筒部27aの後方側で半円筒部27aと一体に結合されている。半円錐状部27cは、半円筒部27aの前方側で半円筒部27aと一体に結合されている。大径部27dは、半円錐状部27cの前方側で半円錐状部27cと一体に結合されている。このため、半円筒部27aと蓋部27bと半円錐状部27cと大径部27dとは一体に設けられており、後方側から前方側に亘って、蓋部27b、半円筒部27a、半円錐状部27c、および大径部27dの順番で直列に結合されている。また、第1の半割部分27において、蓋部27bから半円筒部27aと半円錐状部27cとを経て大径部27dへと至る内部空間は、前後方向に亘って連続した空間を構成している。
【0135】
半円筒状に形成された半円筒部27aは、円筒状の端子22の電線接続部23が嵌め込まれて電線接続部23に装着される部分として設けられている。蓋部27bは、半円筒部27aの後方側の端部と一体に結合され、半円筒部27aの後方側の端部を塞ぐように設けられている。なお、本実施形態では、蓋部27bは、半球状の形状をさらに半割した形状に形成されている。
【0136】
半円錐状部27cは、後方側から前方側に向かって半円錐状に拡径する部分として設けられ、後方側の端部において半円筒部27aの前方側の端部と一体に結合されている。半円錐状部27cは、後方側の端部の径寸法が半円筒部27aの前方側の端部と同じ径寸法となるように形成され、半円筒部27aと連通している。
【0137】
大径部27dは、半円筒部27aよりも大きな径寸法で半円筒状に延びる部分として設けられ、後方側の端部において半円錐状部27cの前方側の端部と一体に結合されている。大径部27dは、後方側の端部の径寸法が半円錐状部27cにおける拡径した前方側の端部と同じ径寸法となるように形成され、半円錐状部27cと連通している。大径部27dにおける前方側の端部は、前方側に開放されている。
【0138】
また、大径部27dには、被係合部19が設けられている。被係合部19は、大径部27dにおいて前後方向に沿って延びる一対の縁部分のうちの一方の縁部分に沿って設けられている。なお、第1の半割部分27においては、被係合部19は、第1および第4実施形態における第1の半割部分15とは異なり、前後方向の全長に亘ってではなく前後方向の一部において設けられている。すなわち、第1の半割部分27においては、被係合部19は、第1の半割部分27の前後方向の全長に亘ってではなく、第1の半割部分27の前後方向における一部である大径部27dにおいて設けられている。また、大径部27dにおいて前後方向に沿って延びる一対の縁部分のうちの他方の縁部分の近傍には、ヒンジ部17が連結されている。
【0139】
第2の半割部分28は、半円筒状に延びる半円筒部28aと、蓋部28bと、半円錐状部28cと、大径部28dとを有している。蓋部28bは、半円筒部28aの後方側で半円筒部28aと一体に結合されている。半円錐状部28cは、半円筒部28aの前方側で半円筒部28aと一体に結合されている。大径部28dは、半円錐状部28cの前方側で半円錐状部28cと一体に結合されている。このため、半円筒部28aと蓋部28bと半円錐状部28cと大径部28dとは一体に設けられており、後方側から前方側に亘って、蓋部28b、半円筒部28a、半円錐状部28c、および大径部28dの順番で直列に結合されている。また、第2の半割部分28において、蓋部28bから半円筒部28aと半円錐状部28cとを経て大径部28dへと至る内部空間は、前後方向に亘って連続した空間を構成している。
【0140】
半円筒状に形成された半円筒部28aは、第1の半割部分27と第2の半割部分28とが閉じられるときに第1の半割部分27の半円筒部27aに対して筒状に閉じられる部分として設けられている。第1の半割部分27の半円筒部27aと第2の半割部分28の半円筒部28aとが筒状に閉じられることで、半円筒部27aに嵌め込まれた状態の端子22の電線接続部23が、筒状に閉じられた半円筒部27aおよび半円筒部28aの内側に収納される。
【0141】
蓋部28bは、半円筒部28aの後方側の端部と一体に結合され、半円筒部28aの後方側の端部を塞ぐように設けられている。なお、本実施形態では、蓋部28bは、半球状の形状をさらに半割した形状に形成されている。蓋部28bは、第1の半割部分27と第2の半割部分28とが閉じられるときに第1の半割部分27の蓋部28bに対して閉じられるように構成されている。このため、第1および第2の半割部分(27、28)が閉じられた状態では、筒状に閉じられた半円筒部27aおよび半円筒部28aにおける後方側の端部が蓋部27bおよび蓋部28bによって閉鎖された状態となる。これにより、第1の半割部分27および第2の半割部分28が筒状に閉じられた状態では、絶縁カバー26は、前後方向の一方の端部が閉鎖された状態となる。すなわち、絶縁カバー26は、第1および第2の半割部分(27、28)が閉じられた状態では、蓋部(27b、28b)によって後方の端部が閉鎖され、有底の筒状に形成される。
【0142】
半円錐状部28cは、後方側から前方側に向かって半円錐状に拡径する部分として設けられ、後方側の端部において半円筒部28aの前方側の端部と一体に結合されている。半円錐状部27cは、後方側の端部の径寸法が半円筒部27aの前方側の端部と同じ径寸法となるように形成され、半円筒部27aと連通している。また、半円錐状部28cは、第1の半割部分27と第2の半割部分28とが閉じられるときに第1の半割部分27の半円錐状部27cに対して筒状に閉じられるように構成されている。
【0143】
大径部28dは、半円筒部28aよりも大きな径寸法で半円筒状に延びる部分として設けられ、後方側の端部において半円錐状部28cの前方側の端部と一体に結合されている。大径部28dは、後方側の端部の径寸法が半円錐状部28cにおける拡径した前方側の端部と同じ径寸法となるように形成され、半円錐状部28cと連通している。大径部28dにおける前方側の端部は、前方側に開放されている。また、大径部28dは、第1の半割部分27と第2の半割部分28とが閉じられるときに第1の半割部分27の大径部27dに対して筒状に閉じられるように構成されている。
【0144】
また、大径部28dには、係合部18が設けられている。係合部18は、大径部28dにおいて前後方向に沿って延びる一対の縁部分のうちの一方の縁部分に沿って設けられている。なお、第2の半割部分28においては、係合部18は、第1および第4実施形態における第2の半割部分16とは異なり、前後方向の全長に亘ってではなく前後方向の一部において設けられている。すなわち、第2の半割部分28においては、係合部18は、第2の半割部分28の前後方向の全長に亘ってではなく、第2の半割部分28の前後方向における一部である大径部28dにおいて設けられている。また、大径部28dにおいて前後方向に沿って延びる一対の縁部分のうちの他方の縁部分の近傍には、ヒンジ部17が連結されている。
【0145】
上述した絶縁カバー付き圧着端子5は、2本の電線100と接続されるように構成されている。絶縁カバー付き圧着端子5は、2本の電線100と接続される前の状態では、図20に示すように、絶縁カバー26の第1の半割部分27における半円筒部27aに端子22の電線接続部23が嵌め込まれることで第1の半割部分27が端子22に装着された状態で準備される。また、絶縁カバー26において第1の半割部分27に対して第2の半割部分28が開いた状態で、絶縁カバー付き圧着端子5が準備される。
【0146】
絶縁カバー付き圧着端子5と2本の電線100とが接続される際には、接続の前に、まず、2本の電線100の先端側の心線100a同士が互いに撚られて連結される。先端側の心線100a同士が撚られて連結されることで、2本の電線100は、先端側で束ねられた状態となる。2本の電線100の先端側の心線100aが連結されると、絶縁カバー26の第1の半割部分27の半円筒部27aに嵌め込まれた端子22の電線接続部23における心線挿入孔23aに対して、連結された2本の電線100の先端側の心線100aが、電線接続部23の前方から挿入される。電線接続部23の心線挿入孔23aに前方から2本の電線100の先端部の心線100aが挿入されると、次いで、電線接続部23がかしめられることで2本の電線100の心線100aと電線接続部23とが圧着される。電線接続部23の心線挿入孔23aに前方から挿入された2本の電線100の先端部の心線100aと電線接続部23とがかしめられて圧着される際には、筒状の電線接続部23は、上下方向に沿って押し潰されるようにして変形させられる。これにより、筒状の電線接続部23が内側に凹むように変形され、電線接続部23の心線挿入孔23aに挿入された2本の電線100の心線100aと電線接続部23aとが強固にかしめられて圧着されて接続される。
【0147】
電線接続部23がかしめられて電線接続部23と2本の電線100の心線100aとが圧着されると、次いで、図21に示すように、絶縁カバー26の第1の半割部分27と第2の半割部分28とが互いに組み合わされて閉じられる。閉じられた第1の半割部分27と第2の半割部分28とは筒状の形状を形成し、筒状に形成された第1の半割部分27および第2の半割部分28が、2本の電線100の心線100aに圧着された電線接続部23を前後方向の全長に亘って覆った状態となる。また、2本の電線100の心線100aに圧着された電線接続部23は、第1の半割部分27の蓋部27bと第2の半割部分28の蓋部28bとが閉じられることで、後方側においても絶縁カバー24によって覆われた状態となる。
【0148】
第1の半割部分27および第2の半割部分28が閉じられた状態で、第1の半割部分27の大径部27dに設けられた被係合部19と第2の半割部分28の大径部28dに設けられた係合部18とが係合される。係合部18と被係合部19とが係合することで、2本の電線100の心線100aに圧着された電線接続部23が第1および第2の半割部分(15、16)で覆われて絶縁された状態が維持されることになる。これにより、絶縁カバー付き圧着端子5と2本の電線100との接続が完了する。絶縁カバー付き圧着端子5と2本の電線100とが接続された状態では、2本の電線100は、絶縁カバー付き圧着端子5から前方に引き出された状態で、互いに電気的に接続されている。
【0149】
なお、絶縁カバー付き圧着端子5は、第1および第2の半割部分(27、28)が閉じた状態では、後方側で筒状に閉じた半円筒部(27a、28a)の径寸法よりも前方側で筒状に閉じた半円錐状部(27c、28c)および大径部(27d、28d)の径寸法の方が大きくなる。このため、電線100の径寸法が比較的大きい場合であっても、2本の電線100における先端側で露出した心線100aの部分に隣接している被覆100bの端部の部分も含めて、筒状に閉じた絶縁カバー26の内側に配置することができる。これにより、2本の電線100における先端側の心線100aに隣接している被覆100bの端部の部分の周囲も周方向に亘って絶縁カバー26で覆うことができる。
【0150】
第5実施形態の絶縁カバー付き圧着端子5は、筒状の電線接続部23を有する端子22と、ヒンジ部17で連結された第1の半割部分27および第2の半割部分28を備えた絶縁カバー26とを有しており、第1実施形態と同様の構成を備えている。このため、第5実施形態の絶縁カバー付き圧着端子5によると、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、第5実施形態によると、端子22における電線接続部23と電線100の先端部の心線100aとを強固にかしめて圧着できるとともに、一体に設けられた絶縁カバー26によって電線接続部23を絶縁でき、さらに、電線接続部23に絶縁カバー26を装着する作業の作業性を向上させることができる、絶縁カバー付き圧着端子5を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、端子と端子に取り付けられる絶縁カバーとを有し、電線の先端部の心線に圧着される絶縁カバー付き圧着端子として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0152】
1、1A、2、2A、2B、3、4、5 絶縁カバー付き圧着端子
11、22 端子
12、20、20A、20B、24、26 絶縁カバー
13、23 電線接続部
15、27 第1の半割部分
16、28 第2の半割部分
17 ヒンジ部
18 係合部
19 被係合部
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