(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113329
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】成形品製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 39/28 20060101AFI20240815BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20240815BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B29C39/28
B29C33/12
B29C39/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018226
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100187791
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晃志郎
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】山口 尚志
【テーマコード(参考)】
4F202
4F204
【Fターム(参考)】
4F202AA45
4F202AD03
4F202AD05
4F202AG28
4F202AH17
4F202AM33
4F202AR07
4F202AR12
4F202CA01
4F202CA30
4F202CB01
4F202CB12
4F202CK32
4F202CK42
4F202CM31
4F202CQ01
4F204AA45
4F204AC05
4F204AD03
4F204AH17
4F204AM33
4F204EA03
4F204EB01
4F204EB12
4F204EF27
4F204EK17
4F204EK24
(57)【要約】
【課題】ゴム及びゴム以外の部材で構成される成形品を成形する際に、容易にバリ除去が可能となる成形品製造方法を提供すること。
【解決手段】成形型1を用いて、ゴム及びゴム以外の部材10で構成する成形品の製造方法であって、成形型1は、ゴム成形用キャビティー4と、ゴムバリ15を形成するゴムバリ形成用溝5と、ゴム成形用キャビティー4とゴムバリ形成用溝5とを連結するゴムバリ破断部形成用溝7を備える。また、成形型1は、ゴム成形用キャビティー4と、ゴムバリ15を形成する複数のゴムバリ形成用溝5と、複数のゴムバリ形成用溝5を互いに連結するゴムバリ連結用溝6を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形型を用いて、ゴム及びゴム以外の部材で構成する成形品の製造方法であって、
前記成形型は、
ゴム成形用キャビティーと、
ゴムバリを形成するゴムバリ形成用溝と、
前記ゴム成形用キャビティーと前記ゴムバリ形成用溝とを連結するゴムバリ破断部形成用溝を備える成形品製造方法。
【請求項2】
成形型を用いて、ゴム及びゴム以外の部材で構成する成形品の製造方法であって、
前記成形型は、
ゴム成形用キャビティーと、
ゴムバリを形成する複数のゴムバリ形成用溝と、
複数の前記ゴムバリ形成用溝を互いに連結するゴムバリ連結用溝を備える成形品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム及びゴム以外の部材で構成される成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム成形品において、バリを処理しやすいゴム成形型、又はゴム成形品製造方法が提案されている。例えば、特許文献1に記載のゴム型物は、一部にゴム成形領域を設けたインサート部材を金型内に挿置し、該インサート部材のゴム成形領域と非成形領域の境界に沿ってインサート部材ないし金型面に、金型に設けたゴム材注入ゲートを囲んで内外に二重環状に突壁を設けて、型閉鎖時に内側の円形閉鎖空間とこれの外周に沿う外側の環状閉鎖空間とを形成し、かつ上記円形閉鎖空間と環状閉鎖空間を周方向の一箇所で連通せしめる連通路を設けるとともに、上記環状閉鎖空間の容量を、上記連通路を経て侵入するゴム材の容量よりも大きく設定したものである。
【0003】
これによれば、注入ゲートより円形閉鎖空間内に注入されたゴム材は該空間内のエアを巻き込みつつこれを満たし、エアとともに連通路を経て空間内へ侵入する。ゴム材の侵入量は上記空間の容積よりも小さいから、ゴム材と共に至ったエアは空間の残った容積中に放出される。エアベントが不要であるから、この部分のバリは生じない、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるゴム型物は以下の課題がある。注入ゲートより円形閉鎖空間内に注入されたゴム材は該空間内のエアを巻き込みつつこれを満たし、エアとともに連通路を経て空間内へ侵入する。このため、空間に侵入した余分なゴム材が、インサート部材の内周に接合されたゴム膜に繋がったままのゴムバリとなる。ゴムバリは空間内に留まるため容易に取り除けない場合が想定され、ゴムバリを取り除く手間が必要であるという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、ゴム及びゴム以外の部材で構成される成形品を成形する際に、容易にバリ除去が可能となる成形品製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に係る成形品製造方法は、成形型を用いて、ゴム及びゴム以外の部材で構成する成形品の製造方法であって、前記成形型は、ゴム成形用キャビティーと、ゴムバリを形成するゴムバリ形成用溝と、前記ゴム成形用キャビティーと前記ゴムバリ形成用溝とを連結するゴムバリ破断部形成用溝を備える。
【0008】
これによれば、成形品製造方法によって成形される成形品は、ゴムバリ形成用溝にゴムバリが形成され、ゴム成形用キャビティーに形成された成形ゴムは、ゴムバリ破断部形成用溝に形成されたバリ破断部にておいて、ゴムバリと分離可能である。よって、成形品とゴムバリを容易に分離することができる。
【0009】
本発明の第二の態様に係る成形品製造方法は、成形型を用いて、ゴム及びゴム以外の部材で構成する成形品の製造方法であって、前記成形型は、ゴム成形用キャビティーと、ゴムバリを形成する複数のゴムバリ形成用溝と、複数の前記ゴムバリ形成用溝を互いに連結するゴムバリ連結用溝を備える。
【0010】
これによれば、成形品製造方法によって成形される成形品は、複数のゴムバリ形成用溝を互いに連結するゴムバリ連結用溝により、ゴムバリとゴムバリとの間に連結ゴムバリが形成される。よって、ゴムバリは一体的に形成されるので、成形品とゴムバリとを分離しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る成形型1のうち、第一型2を第二型3の側から見た平面図である。
【
図2】
図1における断面I-Iを示す断面図であり、第一型2、第二型3、中芯14、及びゴム以外の部材10であるインサート部材10aを合わせて示した図である。
【
図5】
図2に対して、第二型3、中芯14、及び第一型2から順に成形品11を離型する状態を示す図である。
【
図6】本発明の成形型1によって成形された、成形品11とゴムバリ15と連結ゴムバリ16、及びバリ破断部17を説明する斜視図である。
【
図7】ゴム以外の部材10の一例であるインサート部材10aを示す斜視図である。
【
図8】本発明によって成形された成形品11とゴムバリ15等とが分離した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明を具現化した成形型1、及び成形品製造方法を説明する。なお、発明を実施するための形態、及び参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。本発明はこれらに限定されるものではない。図面に記載されている構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0013】
本発明に係る成形品製造方法は、成形型1を用いて、ゴム及びゴム以外の部材10で構成する成形品11の製造方法である。例としてゴムは材料であり、ゴム以外の部材10は金属或いは金属以外の材料によるインサート部材10aである。
【0014】
<第一態様の成形品製造方法の説明>
本発明の第一の態様に係る成形品製造方法を説明する。
図1から
図4までに示すように、本発明の第一の態様に係る成形品製造方法に用いる成形型1は、ゴム成形用キャビティー4と、ゴムバリ15を形成するゴムバリ形成用溝5と、ゴム成形用キャビティー4とゴムバリ形成用溝5とを連結するゴムバリ破断部形成用溝7を備える。
【0015】
ゴムバリ形成用溝5は、成形品11の成形ゴム8以外の部分で強制的にゴムバリ15を形成するための溝である。ゴムバリ破断部形成用溝7は、後述するように成形ゴム8とゴムバリ15とを破断して分離するためのバリ破断部17を形成するための溝である。
【0016】
図2及び
図3に示すように、成形型1は、第一型2と第二型3、さらに中芯14を備える。第一型2及び第二型3は、パーティングラインPLを挟んで相対的に接離可能であり、中芯14は第一型2と第二型3との間に挟まれる。中芯14は、成形ゴム8のアンダーカット部の形成に使用される。中芯14は、図示しないタイバーに連結され、タイバーによって第一型2と第二型3への着脱が行われる。
図2から
図5までに示す例では、第一型2が下型であり、第二型3が上型である。
【0017】
図7に示すように、ゴム以外の部材10の例として、インサート部材10aは開口部9を有する。インサート部材10aは、自動車のペダルに使用される部材であり、本発明の成形品製造方法によって、
図8に示すように開口部9から成形ゴム8の一部が突出するように形成される。インサート部材10aは、上面13が外観上に現れる所謂意匠面となる。
【0018】
図2から
図4までに示すように、ゴム成形用キャビティー4は開口部9に臨み、ゴムバリ形成用溝5のうちの第一バリ形成用溝5aは、開口部9の周縁において連続して形成され、ゴムバリ破断部形成用溝7を介してゴム成形用キャビティー4に連結される。ゴムバリ破断部形成用溝7は、ゴム成形用キャビティー4と開口部9との境界部において、第一バリ形成用溝5aよりも浅く、さらに径方向に短く形成される。
【0019】
図3及び
図4に示すように、第一バリ形成用溝5aは、ゴムバリ破断部形成用溝7を挟んで半円状の断面形状に形成される。なお、第一バリ形成用溝5aの断面形状は、他に台形、二等辺三角形、その他の形状に形成される場合があり、特定の形状に限らない。ゴム成形用キャビティー4に注入されたゴム材料は、開口部9から第一型2の側へ移行するとともに開口部9の径方向へ広がろうとする。そのとき、ゴム材料は一旦ゴムバリ破断部形成用溝7において流動が抑制され、さらに第一バリ形成用溝5aがゴム溜まりとなって径方向への移動が堰き止められる。
【0020】
なお、
図1等に示すように、第一バリ形成用溝5a、ゴムバリ破断部形成用溝7、後述する第二バリ形成用溝5b及びゴムバリ連結用溝6の符号は代表的な部分にのみ付しているが、該当する箇所は同様の符号が相当する。
【0021】
次に、ゴムバリ形成用溝5等に形成されるゴムバリ15について説明する。
図6及び
図8に示すように、本発明の成形品製造方法によって成形品11が成形されると、ゴムバリ形成用溝5にはゴムバリ15が形成され、ゴムバリ連結用溝6には連結ゴムバリ16が形成され、ゴムバリ破断部形成用溝7にはバリ破断部17が形成される。
【0022】
具体的には、第一バリ形成用溝5aは、開口部9の径方向に沿って所定の幅を有し、所定の深さに形成される。第一バリ形成用溝5aに形成された第一ゴムバリ15aは、インサート部材10aの開口部9の周縁において、所定の厚みと径方向に所定の幅を有して連続して形成される。第一ゴムバリ15aは、成形後に第一型2から成形品11が離型されるときに破断が生じない強度を有することが望ましい。
【0023】
図2及び
図3に示すように、ゴム成形用キャビティー4は、開口部9において第一型2の側へ突出するように形成され、成形ゴム8は第一型2の側に突出して成形される。
図3及び
図4に示すように、バリ破断部17は、第一ゴムバリ15aと成形ゴム8とを連続的に繋ぎ、第一ゴムバリ15aよりも薄く、さらに径方向に短く形成される。バリ破断部17は、第一ゴムバリ15aよりも十分に薄くかつ径方向に短く形成され、第一型2から成形品11を離型するときに、容易に破断する程度の薄さ及び径方向に短く形成されることが望ましい。
【0024】
<第一態様の成形品製造方法の効果>
以上説明した本発明の第一の態様に係る成形品製造方法によれば、以下の効果を奏する。成形品製造方法によって成形される成形品11は、ゴムバリ形成用溝5にゴムバリ15が形成される。
図3等に示すように、ゴム成形用キャビティー4に形成された成形ゴム8は、ゴムバリ破断部形成用溝7に形成されたバリ破断部17にておいて、ゴムバリ15と分離可能である。よって、本発明の第一の態様に係る成形品製造方法によれば、成形品11とゴムバリ15を容易に分離することができる。
【0025】
また、
図2から
図4までに示すように、成形品11は開口部9に臨んで成形ゴム8が形成され、開口部9周縁の第一バリ形成用溝5aに第一ゴムバリ15aが連続的に形成される。開口部9に形成された成形ゴム8と第一ゴムバリ15aとの間は、ゴムバリ破断部形成用溝7に形成されたバリ破断部17によって繋がった状態となる。バリ破断部17は、第一ゴムバリ15aよりも薄く、さらに径方向に短く形成される。よって、第一バリ形成用溝5aに形成される第一ゴムバリ15aは、ゴムバリ15が径方向へ広がるのを抑制する。
【0026】
また、成形品11は、成形後に成形型1から離型するときに、バリ破断部17を破断することで成形ゴム8と第一ゴムバリ15aとを容易に分離することができる。仮に、開口部9の周縁においてゴムバリ15が付着した状態で残存すると、バリ取り作業が必要となり、意匠面である上面13を傷つける恐れがある。これに対して、本発明の成形品製造方法によれば、第一ゴムバリ15aと成形ゴム8とが分離されるので、バリ取り作業の工数が低減され、上面13の損傷を低減できる。
【0027】
また、
図6及び
図8に示すように、第一ゴムバリ15aは、第一バリ形成用溝5aに覆われた状態で形成されるので、インサート部材10aの上面13よりも第一型2との密着性が高い。成形品11は、成形後に成形型1から離型するときに、バリ破断部17にて分離した第一ゴムバリ15aは第一型2に残存しやすい。よって、第一ゴムバリ15aはインサート部材10aの上面13には残存しにくいので、意匠面を傷つける恐れがあるバリ取り作業を低減することができる。
【0028】
<第二態様の成形品製造方法の説明>
次に、本発明の第二の態様に係る成形品製造方法を説明する。
図1から
図3までに示すように、第二の態様に係る成形品製造方法に用いる成形型1は、ゴム成形用キャビティー4と、ゴムバリ15を形成する複数のゴムバリ形成用溝5と、複数のゴムバリ形成用溝5を互いに連結するゴムバリ連結用溝6を備える。
【0029】
図2及び
図3に示すように、ゴムバリ形成用溝5のうちの第二バリ形成用溝5bは、第一型2に形成され、パーティングラインPLから離間した位置でゴム以外の部材10を取り巻くように連続して形成される。
図2等に示す例では、第二バリ形成用溝5bは、第一型2と入れ子2aとの間に挟まれた状態で形成される。なお、入れ子2aを用いずに、第一型2に第二バリ形成用溝5bを形成してもよい。
【0030】
図1等に示すように、ゴムバリ連結用溝6は、第一バリ形成用溝5aと第二バリ形成用溝5bとを連結する第一バリ連結用溝6aと、隣接する第一バリ形成用溝5a同士を連結する第二バリ連結用溝6bを備える。
図1に示す例では、ゴムバリ連結用溝6が主に図示の縦方向に形成される。これは、インサート部材10aのへアラインに沿って形成されるためであり、ゴムバリ連結用溝6が図示の横方向に形成されてもよい。
【0031】
また、例として、ゴムバリ連結用溝6は第一バリ形成用溝5aと同様の深さと幅で形成される。
図6及び
図8に示すように、成形品11が成形されると、ゴムバリ連結用溝6に連結ゴムバリ16が形成される。第一バリ連結用溝6aには第一連結ゴムバリ16aが形成され、第二バリ連結用溝6bには第二連結ゴムバリ16bが形成される。連結ゴムバリ16は、成形後に第一型2から成形品11が離型されるときに、破断が生じない強度を有することが望ましい。
【0032】
なお、以上の説明では、本発明の第一の態様に係る成形型1の構成と、第二の態様に係る成形型1の構成を別々に説明したが、双方を合わせ持つ構成でもよい。この場合、ゴムバリ形成用溝5とゴムバリ連結用溝6とゴムバリ破断部形成用溝7とが繋がる。よって、ゴム成形用キャビティー4にゴム材料が注入されると、ゴムバリ15と連結ゴムバリ16とバリ破断部17とが一体的に形成される。
【0033】
<第二態様の成形品製造方法の効果>
以上説明した本発明の第二の態様に係る成形品製造方法によれば、以下の効果を奏する。成形品製造方法によって成形される成形品11は、複数のゴムバリ形成用溝5を互いに連結するゴムバリ連結用溝6により、ゴムバリ15とゴムバリ15との間に連結ゴムバリ16が形成される。よって、ゴムバリ15は一体的に形成されるので、成形品11とゴムバリ15とを分離しやすい。
【0034】
また、第二バリ形成用溝5bに形成された第二ゴムバリ15bは、第一型2のパーティングラインPLから離間した位置において、ゴム以外の部材10であるインサート部材10aを取り巻くように連続して形成される。よって、成形品11を第二型3から離型し、中芯14を取り外し、さらに第一型2から離型すると、第二ゴムバリ15bは成形品11との間に剪断力が発生して成形品11から分離し、第一型2に残存しやすい。
【0035】
図6及び
図8に示すように、第二ゴムバリ15bは第一連結ゴムバリ16aによって第一ゴムバリ15aに繋がる。さらに、隣接する第一ゴムバリ15a同士は第二連結ゴムバリ16bによって繋がる。よって、ゴムバリ15及び連結ゴムバリ16は一体的に繋がった状態となり、第一型2に残存しやすい。
【0036】
また、以上説明した第一態様に係る成形品製造方法に用いる成形型1の構成と、第二態様に係る成形品製造方法に用いる成形型1の構成を合わせ持つ場合、成形品11を成形後に第一型2から離型すると、成形ゴム8はバリ破断部17において分離し、ゴムバリ15等が一体的に第一型2に残存する。よって、ゴムバリ15等が成形品11に残存することが抑制され、意匠面である上面13を傷つける恐れのあるバリ取りの処理を低減することができる。
【0037】
<製造工程の説明>
次に、成形型1を用いた成形品11の成形品製造方法における工程を説明する。成形品製造方法は、成形型1にゴム以外の部材10を装着して型締めを行なう第一工程を備える。次に、
図2の仮想線で示すゲート12から、ゴム成形用キャビティー4にゴム材料を注入し、ゴム材料を加硫成形する第二工程を備える。第二工程の後に、成形型1から成形品11を離型する第三工程を備える。第三工程の後は、ゴムバリ15、連結ゴムバリ16、及びバリ破断部17の少なくとも一部が成形品11から分離して成形型1に残存する。
【0038】
第一工程は、
図2に示すようにインサート部材10aを挟んで、第一型2と第二型3、及び中芯14が合わされて型締めされる。入れ子2aは、第一型2と一体的に形成されている。
図5に示すように、第三工程は、まず第一型2から第二型3を離型し、次に第一型2から中芯14と成形品11を取り外す。中芯14と成形品11とは、アンダーカットによる密着効果により、一体的に取り外される。このとき、開口部9における成形ゴム8と第一ゴムバリ15aとの間は、第一型2から成形品11を離型するときにバリ破断部17が破断して分離する。さらに、中芯14から成形品11を離型する。
【0039】
第三工程の後の状態を説明する。
図6及び
図8に示すように、第一ゴムバリ15aは、第一バリ形成用溝5aに覆われるように形成されるので、第一型2との接触面積が大きく離型抵抗が大きい。第一型2から成形品11を離型すると、第一ゴムバリ15aは第一型2の側に残存しやすい。
【0040】
図2から
図5までに示すように、第二バリ形成用溝5bにおいて、第二ゴムバリ15bは第一型2と入れ子2aとの境界部に形成される。第二工程において成形品11を第一型2から離型するとき、第二ゴムバリ15bは、成形品11との間でアンダーカット効果によって生じる剪断力が発生する。第二ゴムバリ15bは、第一型2と入れ子2aとに挟まれて保持されるので、成形品11から分離して第一型2に残存しやすい。
【0041】
さらに、インサート部材10aの周縁に形成される第一ゴムバリ15aは、第一連結ゴムバリ16aによって第二ゴムバリ15bと連結している。よって、第二工程において、成形品11を第一型2から離型するとき、ゴムバリ15、連結ゴムバリ16、及びバリ破断部17は、第一型2から成形品11を離型すると第一型2の側に残存しやすい。
【0042】
<製造工程による効果>
以上説明した成形品製造方法の製造工程によれば、以下の効果を奏する。成形品製造方法は、成形型1を用いて成形品11を成形することにより、ゴムバリ15の少なくとも一部が、第二工程において成形品11から分離するので、成形後にゴムバリ15を取り除く工数を低減することができる。
【0043】
さらに、第一態様の成形品製造方法に用いる成形型1の構成と、第二態様の成形品製造方法に用いる成形型1の構成とを合わせることにより、成形品11の周辺に形成されるゴムバリ15等は一体的に繋がり、第二工程において第一型2に残存させることができる。よって、成形品製造方法によれば、成形後にゴムバリ15等を取り除く工数を低減することができる。また、ゴムバリ15等を第一型2に残存させることができるので、成形品11に対して必要なバリ取り処理を低減することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 成形型
2 第一型
3 第二型
4 ゴム成形用キャビティー
5 ゴムバリ形成用溝
5a 第一バリ形成用溝
5b 第二バリ形成用溝
6 ゴムバリ連結用溝
6a 第一バリ連結用溝
6b 第二バリ連結用溝
7 ゴムバリ破断部形成用溝
10 部材
11 成形品
15 ゴムバリ
17 バリ破断部
PL パーティングライン