(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113332
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置
(51)【国際特許分類】
G04F 5/02 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
G04F5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018230
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】長倉 史佳
(57)【要約】
【課題】機械式メトロノームのゼンマイを巻き上げる場合において巻き上げの際に指に痛みを感じにくく、巻き上げが行いやすくなる機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置を提供する。
【解決手段】機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置には取付部1とハンドル部2を備え、これを機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げつまみ4に取り付けることにより巻き上げの際の指の痛みや回しにくさを解消することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式メトロノームのゼンマイを巻き上げるための補助装置であって、
機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げつまみへ取り付ける取付部と、
前記取付部の一端側に設けられるハンドル部と、
から成ることを特徴とする機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置。
【請求項2】
前記取付部と前記ハンドル部とが分離可能に構成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置。
【請求項3】
前記取付部が機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げつまみを挟み込めるように分割されていることを特徴とする、
請求項1に記載の機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置。
【請求項4】
前記ハンドル部の形状がクランク形状であることを特徴とする、
請求項1及び請求項2に記載の機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置。
【請求項5】
前記ハンドル部のゼンマイ巻き上げつまみの回転軸を中心としたハンドルの外形寸法の半径が、
機械式メトロノームを設置する面からゼンマイ巻き上げつまみの回転軸までの距離以下である、
ことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は楽器練習の際に用いられる機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、楽器練習用の機械式メトロノームにおいて、使用する前やゼンマイがすべて解きほぐれた際に当該装置に備えられているゼンマイ巻き上げつまみを用いて、ゼンマイを巻き上げるメトロノームが開示されている。(特許文献1)
しかし、通常の機械式メトロノームには主に金属製で板状の小さなゼンマイ巻き上げつまみが備えられているが、巻き上げの際にゼンマイ巻き上げつまみが指に食い込んで痛みを感じたり、子供や力の弱い人には巻き上げがしにくいという問題があった。
【0003】
また、ゼンマイ巻き上げつまみを手でつかんでゼンマイを巻き上げる場合、手首の可動回転角度の概ね180度であることと、巻き上げつまみの形状との兼ね合いで、巻き上げは通常180度ずつ巻き上げることになるが、頻繁に手首を大きく回転させ且つ、何度も操作することにより疲れを感じるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置を用いることで肉体的な苦痛を与えることなくゼンマイを巻き上げることができ、また、弱い力でもゼンマイの巻き上げが容易にできる機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決手段として請求項1に記載した発明は機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げつまみに対応した形状の取付部と、前記取付部の一端側に設けられる円盤状のハンドル部を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は前記取付部とハンドル部とが分離可能に構成されていることを特徴とする機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置。
【0008】
請求項3に記載した発明は前記取付部が機械式メトロノームのぜんまい巻き上げつまみを挟み込めるように分割されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は前記ハンドル部がクランク形状であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載した発明は前記ハンドル部がゼンマイ巻き上げつまみの回転軸を中心としたハンドルの外形寸法の半径が機械式メトロノームを設置する面からゼンマイ巻き上げつまみの回転軸までの距離以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によればゼンマイ巻き上げつまみの形状に応じた取付部を設けることにより、ゼンマイ巻き上げつまみに機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置を取り付けることができ、ハンドル部を手で回転させることにより既設のゼンマイ巻き上げつまみでゼンマイを巻き上げるより軽い力で巻き上げることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば取付部とハンドル部とが分離でき、自在に着脱できるため、収納や保管する際に邪魔でなくなる。
【0013】
請求項3の発明によれば取付部を例えば2分割し、ゼンマイ巻き上げつまみを挟み込むような構造とすることでゼンマイ巻き上げつまみを差し込んで取り付けた場合よりもさらに堅牢な取り付けが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明によればハンドル部をクランク形状とすることで素早い巻き上げが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明によればゼンマイ巻き上げつまみの回転軸を中心としたハンドルの外形寸法の半径が機械式メトロノームを設置する面からゼンマイ巻き上げつまみの回転軸までの距離以下であることにより、機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置を取り付けたときに接地面に接触しないので、メトロノームを動作させる際に機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置を取り付けたままで使うことができる。また、取り付けたままの収納も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置の正面図である。
【
図2】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置の側面図である。
【
図3】本発明に係る一般的な機械式メトロノームに備えられるゼンマイ巻き上げつまみの例である。
【
図4】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置のゼンマイ巻き上げつまみへの取り付け方法を示す実施形態の側面図である。
【
図5】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置の取付部1とハンドル部2を分離した様子を示した正面図である。
【
図6】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置をゼンマイ巻き上げつまみに取り付けた状態でハンドル部2を分離した様子を示した正面図である。
【
図7】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置の取付部1を硬質な材料とし、ハンドル部2を軟質な材料として構成した実施形態を示した正面図である。
【
図8】本発明に係る一般的な機械式メトロノームに備えられるゼンマイ巻き上げつまみの別の形状の例である。
【
図9】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置の取付部1を軟質な材料とし、ハンドル部2を硬質な材料として構成した実施形態を示した正面図である。
【
図10】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置を2つに分割して巻き上げつまみを挟み込む構造の実施形態を示した側面図である。
【
図11】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置のハンドル部2を球体の形状にした際の実施形態を示した正面図である。
【
図12】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置のハンドル部2を星型の形状にした際の実施形態を示した正面図である。
【
図13】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置のハンドル部2を星型の形状にした際の実施形態を示した側面図である。
【
図14】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置のハンドル部2をクランクの形状にした際の実施形態を示した正面図である。
【
図15】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げ装置のハンドル部2をクランクの形状にした際の実施形態を示した側面図である。
【
図16】本発明に係る機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げつまみの回転軸の中心から接地面までの距離を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1、
図2に本発明の機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置の基本的な構造を示す。機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置(以下、補助装置)は取付部1と取付部1の一端側に設けられるハンドル部2から構成される。取付部1は機械式メトロノームのゼンマイを巻き上げるためのゼンマイ巻き上げつまみ4を差し込んで固定ができる取付穴3を備える。取付穴3の形状は
図3、
図8に示す一般的なゼンマイ巻き上げつまみ4の形状に対応した形状で、
図4に示すようにゼンマイ巻き上げつまみ4に被せるように補助装置を取り付けるものである。
【0018】
図5は補助装置の取付部1とハンドル部2とを分離した様子を示したものである。取付部1とハンドル部2とは例えばはめ合い可能に構成されることで着脱可能な構造を備えており、例えばメトロノームを保管場所に収納する際に
図6に示すように取付部1とハンドル部2を分離させ、取付部1を機械式メトロノームのゼンマイ巻き上げつまみ4に残置したまま収納することにより、収納に必要なスペースを小さくすることが可能となる。
【0019】
図7は補助装置の取付部1に例えばアルミやステンレスなどの金属部材またはプラスチックを用い、ハンドル部2に例えばゴムのような弾性部材を用いて構成した際の様子を示したものである。取付部1に硬質な材料を用い且つ、取付穴3の形状を特定のメーカーのゼンマイ巻き上げつまみ4と完全に対応した形状とすることでゼンマイ巻き上げつまみ4と取付部1とを堅牢に結合させることができる。また、ハンドル部2に弾性部材用いることで補助装置を手で操作する際の当たりが柔らかくなり、使い心地の向上が可能である。
【0020】
図9は補助装置の取付部1に例えばゴムのような弾性部材を用い、ハンドル部2に金属部材またはプラスチックを用いて構成した際の様子を示したものである。
図3、
図8に示すようにメーカーによってゼンマイ巻き上げつまみ4の形状は概ね同様な形状、大きさ、構造であるが厳密には異なる場合が多い。そのような場合、
図9に示すように取付部1に軟質な材料を用いることで多少の形状の違いがあっても弾性部材の柔軟性や伸縮性により形状の違いを吸収でき、多くのメーカーのゼンマイ巻き上げつまみ4に対応することが可能となる。
【0021】
図10は補助装置をゼンマイ巻き上げつまみ4を挟み込めるように2つに分割した構造を示す図である。ゼンマイ巻き上げつまみ4の形状に対応した凹みを、分割したそれぞれの取付部1に設ける、または分割した一方の側にゼンマイ巻き上げつまみ4の形状に対応した凹みを設ける、ことにより、ゼンマイ巻き上げつまみ4と補助装置とをより確実に結合させることが可能となる。分割した補助装置はネジ止めや嵌合などにより締結して一体化させたうえで使用する。
【0022】
このとき取付部1とハンドル部2とが一体的に設けられていたとすればハンドル部2を含めて分割できるようにすればよいし、ハンドル部2が分離できるように構成されている場合は取付部1のみを分割可能としてもよい。
【0023】
図11は補助装置のハンドル部2を球体ハンドル部11に示すように球体とした際の様子を示す図である。
図1に示すような基本的な構造の円盤形状の場合は手でつかんでハンドルを回す動作を行うが、球体とすることでよりしっかりと握り込むことができる。これにより、手が小さな子供や力の弱い人にとってはハンドルを回す際の力を加えやすくなる。また、どの角度からも握ることができ、ハンドルの操作性を向上させることが可能である。
【0024】
図12、
図13は補助装置のハンドル部2を多角形例えば星型に形成した場合を示す図である。
図12、13では例として星型のハンドルを示しているが蛇口の取っ手のような三角形や花や動物といった異型の形状であっても良い。このように円盤以外の形状とすることにより、ハンドルを操作する際の持ちやすさを向上させることができる。また、ハンドルの形状を本図のような星型や可愛らしい形状とすることにより、小さな子どもたちが親しみやすいものにすることができる。また、ハンドル部2においてゼンマイ巻き上げつまみ4の回転軸に直交する平面12を設け、その面にロゴマークやキャラクターを印刷したりラベルとして貼付することにより意匠性を付加することが可能となる。
【0025】
図14。
図15は補助装置のハンドル部2をクランク形状とした際の様子を示す図である。クランクアーム14はゼンマイ巻き上げつまみの回転軸に対して直交する向きで設置され、アームの端部にはゼンマイ巻き上げつまみの回転軸と平行になるように設置されたクランク持ち手15を備える。クランク形状とすることにより、
図1、
図11、
図12のようなハンドル形状のものよりも素早くゼンマイの巻き上げが可能となる。
【0026】
本発明の実施形態に示す補助装置は、ゼンマイ巻き上げつまみ4の回転に伴って回転する。換言すると、補助装置はゼンマイ巻き上げつまみ4の回転軸を中心として回転する。この時、補助装置はその外形に基づいた回転半径で回転する。
【0027】
図16にメトロノームを設置する面と、ゼンマイ巻き上げつまみ4の回転軸中心までの距離の関係を示す。補助装置が回転する回転半径を、機械式メトロノームを設置する面からゼンマイ巻き上げつまみ4の回転軸中心までの距離以下であるようにしてもよい。すなわち
図16に示す距離17よりも小さくなるような形状に補助具の大きさを設定してもよい。
【0028】
例えばハンドル部2の回転半径が補助装置の最大回転半径である場合には、ハンドル部2の回転半径が距離17よりも小さくなるようにハンドル部2の外形を設定すればよい。このようにすれば機械式メトロノームに補助装置を取り付けたときにハンドル部2が接地面に接触しないので、メトロノームを動作させる際に補助装置をとりつけたままで使うことができる。また、ゼンマイを巻き上げる際の動作もより容易となる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 取付部
2 ハンドル部
3 取付穴
4 ゼンマイ巻き上げつまみ
5 硬質な材料の取付部
6 軟質な材料のハンドル部
7 一般的なゼンマイ巻き上げつまみの別形状の例
8 軟質な材料の取付部
9 硬質な材料のハンドル部
10 分割された機械式メトロノームゼンマイ巻き上げ補助装置
11 球体のハンドル部
12 ゼンマイ巻き上げつまみの回転軸に直交する平面
13 多角形(星型)のハンドル部
14 クランクアーム
15 クランク持ち手
16 メトロノームの設置面
17 ゼンマイ巻き上げつまみの回転軸と接地面の距離