(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113338
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ゲーム提供装置、ゲーム提供方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/42 20140101AFI20240815BHJP
A63F 13/533 20140101ALI20240815BHJP
A63F 13/30 20140101ALI20240815BHJP
G09B 9/00 20060101ALN20240815BHJP
【FI】
A63F13/42
A63F13/533
A63F13/30
G09B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018238
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】久保 佑介
(72)【発明者】
【氏名】山本 粋士
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】和田 歩波
(72)【発明者】
【氏名】笠井 もなみ
(72)【発明者】
【氏名】塚越 愛深
(57)【要約】
【課題】対象者のICTスキルを効果的に高める。
【解決手段】ゲーム提供装置において、対象者により操作を実行する対象である対象システムから現在の状況を示す情報を取得し、当該状況において前記対象者が取り得る行動のリストを生成する情報取得部と、前記リストに基づいて、ゲームの中で前記対象者が取り得る1以上の行動を示す選択肢を前記対象者に表示し、前記対象者により選択された行動を示す行動情報を受信するゲーム提供部と、前記行動情報を出力する行動出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者により操作を実行する対象である対象システムから現在の状況を示す情報を取得し、当該状況において前記対象者が取り得る行動のリストを生成する情報取得部と、
前記リストに基づいて、ゲームの中で前記対象者が取り得る1以上の行動を示す選択肢を前記対象者に表示し、前記対象者により選択された行動を示す行動情報を受信するゲーム提供部と、
前記行動情報を出力する行動出力部と
を備えるゲーム提供装置。
【請求項2】
前記ゲーム提供部は、前記対象者が前記ゲームを行うために用いる端末に対して前記ゲームを提供し、前記状況に応じて前記ゲームを進行させる
請求項1に記載のゲーム提供装置。
【請求項3】
前記行動出力部は、前記対象システムの実行環境に対して前記行動情報を入力する
請求項1に記載のゲーム提供装置。
【請求項4】
前記ゲーム提供部は、前記対象システムから取得された情報に基づいて、前記ゲームにおけるコレクション要素の表示を行う
請求項1に記載のゲーム提供装置。
【請求項5】
コンピュータが実行するゲーム提供方法であって、
対象者により操作を実行する対象である対象システムから現在の状況を示す情報を取得し、当該状況において前記対象者が取り得る行動のリストを生成する情報取得ステップと、
前記リストに基づいて、ゲームの中で前記対象者が取り得る1以上の行動を示す選択肢を前記対象者に表示し、前記対象者により選択された行動を示す行動情報を受信するゲーム提供ステップと、
前記行動情報を出力する行動出力ステップと
を備えるゲーム提供方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のゲーム提供装置における各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者のICTスキルを向上させるための技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICT(Information and Communication Technology)が発展し、ICTを用いた様々なサービスが提供されている。ICTを用いたサービスとして例えばWebアプリケーション等がある。
【0003】
ICTを用いてサービスを提供する側、及びICTを用いて提供されるサービスを利用する側のいずれにおいても、高いICTスキルを持つことが望ましい。例えば、ICTを用いてネットワークサービスを提供する企業などにおいて、機器への設定を適切に行ったり、機器への不正なアクセスに対して適切に対応したりするために、ICTスキルを高めておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術において、例えば、実際の機器を模擬したシミュレータ(シミュレーションソフト)を用いて、対象者のICTスキルを高める試みが知られている。しかし、シミュレータを使用する場合、対象者は、実際の機器を扱う場合と同じ体験しか得られず、ICTスキルを向上させる過程での楽しみがない。そのため、ICTスキルを高める効果が低い。シミュレータを使用する場合、特に対象者が初心者である場合には、ICTスキルを高める効果が低い。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、対象者のICTスキルを効果的に高めることを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術によれば、対象者により操作を実行する対象である対象システムから現在の状況を示す情報を取得し、当該状況において前記対象者が取り得る行動のリストを生成する情報取得部と、
前記リストに基づいて、ゲームの中で前記対象者が取り得る1以上の行動を示す選択肢を前記対象者に表示し、前記対象者により選択された行動を示す行動情報を受信するゲーム提供部と、
前記行動情報を出力する行動出力部と
を備えるゲーム提供装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、対象者のICTスキルを効果的に高めることを可能とする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る技術の概念を説明するための図である。
【
図2】実施例1におけるシステムの全体構成例を示す図である。
【
図3】ゲーム提供装置200の構成例を示す図である。
【
図4】実施例1におけるシステムの動作例を説明するための図である。
【
図5】実施例1におけるシステムの動作例を説明するための図である。
【
図6】実施例1におけるシステムの動作例を説明するための図である。
【
図7】実施例2におけるシステムの全体構成例を示す図である。
【
図8】実施例2におけるシステムの動作例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
【0011】
以下、ICTスキルを向上させたい人を「対象者」と呼ぶことにする。また、本実施の形態に係る技術により向上できるものはICTスキルに限らず、ICTスキル以外のスキルを向上させることも可能である。
【0012】
(実施の形態に係る技術の概念)
本実施の形態では、ゲーミフィケーションを取り入れることにより、対象者のICTスキルを向上させることとしている。ゲーミフィケーションとは、例えば、コンピュータゲームのゲームデザイン要素などをゲーム以外の物事に応用することである。
【0013】
図1を参照して、本実施の形態に係る技術の概念を説明する。
図1に示すように、現実世界(IT)とゲーム世界が存在する。現実世界(IT)は、対象者が実際に操作する対象のシステム1及び実行環境4が存在する世界である。システム1は、例えばネットワーク機器、サーバ等である。実行環境4は例えば、システム1を操作するための端末である。
【0014】
ゲーム世界は、ゲーム2と、スキル向上を図るプレイヤ3(対象者)が存在する世界である。より具体的には、ゲーム2は、ゲームを提供するサーバ等であり、プレイヤ3は、対象者がゲームを実行するために操作する端末(あるいは端末と対象者)である。
【0015】
図1を参照して動作を説明する。S1(ステップ1)において、システム1は、自身(システム1)の状況をゲーム2に伝える。例えば、システム1がNW機器であり、NW機器への設定のスキルを向上させたいような状況を想定した場合、S1において、現時点でのNW機器における設定の状態(あるコマンドが実行された状態など)がゲーム2に伝えられる。
【0016】
S2において、ゲーム2は、システム1から通知された状況に応じて、プレイヤ3(対象者)により選択可能な1以上の行動を抽出する。上記のNW機器の例においては、S2において、例えば、ゲーム2は、既に実行されたコマンドに続いて入力すべきコマンドを抽出する。
【0017】
S3において、ゲーム2は、ゲーム(例えばRPG)の中の選択肢として、行動の候補をプレイヤ3(具体的には端末)に送信し、当該候補は端末上に表示される。なお、プレイヤの成長に伴って選択肢が増加するようにしてもよい。
【0018】
対象者(プレイヤ3)は、表示される複数の候補から行動を選択する(S4)。ここでの例では、S5において、対象者は、実行環境4に対して、自身で選択した行動を、実際に手を動かして実行する。例えば、対象者は、NW機器に対する選択したコマンドを入力し、実行する(S6)。この行動により、システム1の状況が変化する(S7)。
【0019】
上記の動作が繰り返し行われることで、対象者はゲームを楽しむ感覚で、システム1に対するICTスキルを向上させることができる。
【0020】
以下、より具体的な例として、実施例1と実施例2を説明する。実施例1と実施例2はいずれも、ICTスキルの一例として、セキュリティスキルを向上させるための実施例である。
【0021】
(実施例1)
実施例1では、「ゲーム世界」でのゲームとして、RPG(Role-Playing Game)形式のゲームを用いることを想定しているが、RPGに限定されるわけではない。より具体的には、当該ゲームは、セキュリティにおける一連のオペレーションをRPGのストーリーに落とし込んだゲームである。
【0022】
向上を目指すセキュリティスキルの例として、Webアプリケーションのハッキングのスキル、Active Directoryのハッキングのスキル、マルウェアの封じ込めのスキルなどがあるが、実施例1は、Webアプリケーションのハッキングのスキル向上を想定した例を説明する。
【0023】
より具体的には、ペネトレーションテストと呼ばれる手法のスキルを向上させることを想定している。ペネトレーションテストとは、対象とするシステムに侵入できるかどうかを、実際に使われる攻撃を駆使して確認するテスト手法である。この手法により、Webサーバなどの設定やパスワードの強度などのセキュリティ強度を客観的に評価することが可能である。
【0024】
実施例1において、「現実世界」においてペネトレーションのために実行すべき一連のオペレーションの中で収集する情報や技術を、「ゲーム世界」におけるコレクション要素として落とし込むこととしている。
【0025】
コレクション要素とは、RPGにおいて収集するアイテムなどのことである。何かを集める行為は、ゲームに夢中になるための重要な要素の一つである。
【0026】
ペネトレーションテストで用いる攻撃テクニックとしては例えば、MITRE ATT&CKなどのナレッジベースの技術を使用することができる。また、収集する情報は、例えば、IPアドレス、ホスト名、ユーザ名、ユーザパスワードなどの情報である。
【0027】
<システム構成例>
図2を参照して、実施例1におけるスキル向上システムの全体構成例を示す。
図2に示すように、実施例1におけるスキル向上システムは、対象システムであるWebサーバ100、ゲーム提供装置200、ゲーム端末20、実行環境端末10を備え、これらがネットワーク300に接続される構成を備える。
【0028】
Webサーバ100は、Webアプリケーションを提供するサーバである。ゲーム提供装置200は、ゲームを提供する装置である。Webサーバ100とゲーム提供装置200はいずれも、1つ又は複数のコンピュータにより実現される。当該コンピュータはクラウド上の仮想マシンであってもよい。
【0029】
ゲーム端末20は、対象者が、ゲーム提供装置200により提供されるゲームを行うために使用する端末である。実行環境端末10は、対象者がWebサーバ100に対するペネトレーションを行うために使用する端末である。ゲーム端末20と実行環境端末10はいずれも、コンピュータの構成を含む装置である。
【0030】
なお、「ゲーム端末20と実行環境端末10」が1つの端末であってもよい。また、ゲーム提供装置200の機能がゲーム端末20内に含まれていてもよいし、ゲーム提供装置200がゲーム端末20を兼ねてもよい。
【0031】
ネットワーク300は、データ通信を行うことができるネットワークであればどのようなネットワークであってもよい。
【0032】
図3に、ゲーム提供装置200の構成例を示す。
図3に示すように、ゲーム提供装置200は、ゲーム提供部210、情報取得部220、及び行動出力部230を有する。
【0033】
ゲーム提供部210は、ゲーム端末20に対してゲームを提供する。情報取得部220は、Webサーバ100及び実行環境端末10から情報を取得する。なお、「Webサーバ100及び実行環境端末10」をまとめて対象システムと呼んでもよい。
【0034】
行動出力部230は、実行環境端末10に対して行動を出力する。なお、情報取得部220を「ゲーム向けインタフェース」と呼んでもよい。また、行動出力部230を「実行環境向けインタフェース」と呼んでもよい。
【0035】
<動作例>
図4~
図6を参照して、実施例1におけるスキル向上システムの動作例を説明する。動作例の説明では、情報の流れに基づき、
図3に示した構成を
図4のように記載して説明を行う。
【0036】
図5のS10において、情報取得部220は、Webサーバ100(対象システム)から当該Webサーバ100の情報を取得する。また、S11において、情報取得部220は、実行環境端末10から実行環境の情報を取得する。
【0037】
取得するWebサーバ100の情報は、例えば、「新たなファイルを作成」したという状態の情報である。取得する実行環境の情報は、例えば、「観測したシステム(Webサーバ100)の空きポート」の情報である。
【0038】
情報取得部220は、S10、S11で取得した情報に基づき、現在の状況において取り得る行動のリスト(選択肢)を生成する。S12において、情報取得部220は、S10、S11で取得した情報と当該リストとをゲーム提供部210に送信する。
【0039】
現在の状況において取り得る行動の選択肢は、例えば、「(1)システムの空きポートを調べる、(2)Webサーバのディレクトリを調査する」といったものである。なお、この選択肢は、実行環境端末10がWebサーバ100の情報を何も観測できていない場合を想定している。
【0040】
ゲーム提供部210は、S12で情報取得部220から受け取った情報をゲームに反映させる。例えば、ゲーム提供部210は、ペネトレーションテストが進んだことを示すように、ゲームのステージが進める。また、例えば、ゲーム提供部210は、空きポート情報などの今まで対象者(ゲームの中のキャラクタ等)が持っていなかった情報を観測したこと(収集したこと)を示すように、収集したコレクション要素を表示する。情報が反映されたゲームの画面が、ゲーム提供部210からゲーム端末20に表示される。
【0041】
S13において、ゲーム提供部210は、現状況で取り得る1つ以上の行動をゲームの選択肢としてゲーム端末20に送信する。ゲーム端末20に送信する取り得る行動の選択肢は、例えば、「(1)システムの空きポートを調べますか?、(2)Webサーバのディレクトリを調査しますか?」といったものである。
【0042】
図6のS14において、ゲーム端末20上でゲームを行っている対象者は、ゲーム端末20に表示されている行動の選択肢から行動を選ぶ。どの行動が選択されたかの情報はゲーム端末20からゲーム提供部210に通知される。
【0043】
ゲーム提供部210は、ゲームの中で、対象者が選択した行動に対する具体的な実行例(コマンドサンプルなど)をゲーム端末20に送信する。ゲーム端末20には当該実行例が表示される。
【0044】
対象者は、ゲーム端末20上で、選択した行動に沿った行動(コマンドの入力->実行など))を実施する。
【0045】
ゲーム提供部210は、ゲーム端末20からの行動情報により、対象者が行動をゲーム上で実施したことを検知すると、S15において、対象者の行動情報(実行したコマンド文など)を行動出力部230に通知する。S16において、行動出力部230は、実行環境端末10に対して、行動情報(実行したコマンド文など)を入力する。
【0046】
なお、上記のように対象者が選択した行動の入力(実行)をゲームのUI上で行うことは一例である。対象者は、ゲーム上で選択した行動を、実行環境端末10で入力(実行)してもよい。
【0047】
S16で行動情報を受け取った実行環境端末10は、S17において、実際にWebサーバ100に対して行動を実行する。例えば、ポートスキャンをかけるなどの行動を実行する。この行動によって、対象システム(Webサーバ100)と実行環境の状況が変化する(S18、S19)。その後、S10に戻る。
【0048】
システム(Webサーバ100)の状況変化として、例えば、ポートスキャンによってアクセスログが記録されることなどがある。また、実行環境の状況変化として、例えば、対象システム(Webサーバ100)のポートの情報が取得されることなどがある。
【0049】
上記の処理は繰り返し行われることで、例えば、対象者はコレクション要素を集めるなどして楽しみながらペネトレーションテストを学ぶことができ、スキルを向上させることができる。
【0050】
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2では、「ゲーム世界」のゲームとして、対戦型ストラテジーゲームを用いることを想定している。
【0051】
より具体的には、TLPT(Threat Led Penetration Test)(「脅威ベースのペネトレーションテスト」)に係るスキル向上を図ることとし、「現実世界」において実行されることが想定される攻撃側と防御側の一連のオペレーションを、「ゲーム世界」におけるストラテジーゲームに落とし込むこととしている。
【0052】
すなわち、対象者として、攻撃側対象者と防御側対象者が存在し、これら対象者間におけるターン制で行動選択と行動の実行を繰り返す。実際の行動をゲーミフィケーションに落とし込むという部分は実施例1でのRPGと同じである。以下、実施例1と異なる点を主に説明する。
【0053】
<システム構成例>
図7に、実施例2におけるスキル向上システムの全体構成例を示す。
図7に示すように、実施例2におけるスキル向上システムにおいて、攻撃側対象者が使用する攻撃側ゲーム端末20-1と、防御側対象者が使用する防御側ゲーム端末20-2とが備えられる。また、攻撃側対象者が使用する攻撃側実行環境端末10-1と、防御側対象者が使用する防御側実行環境端末10-2とが備えられる。これらの点を除いて、実施例1と実施例2とでシステム構成は同じである。なお、攻撃側実行環境端末10-1と防御側実行環境端末10-2は同一の端末であってもよい。
【0054】
実施例2におけるゲーム提供装置200の構成は、実施例1におけるゲーム提供装置200の構成と同じであり、
図3に示したとおりである。なお、実施例2でのゲーム提供部210は、攻防の様子及び防御の様子を表現したゲームをゲーム端末に提供する。攻撃の様子の例として、例えば、あるサーバが乗っ取られたことが、ゲームにおける城が落ちたこととして表現される。防御の様子の例として、例えば、攻撃者がマルウェアをサーバにインストールしようとする動作を阻止したことが、城を守ったこととして表現される。
【0055】
<動作例>
図8を参照して、実施例2におけるスキル向上システムの動作例を説明する。実施例2では、攻撃側と防御側が同時ではなくターン制で交互に行動の選択などを行う。それ以外については、基本的な処理の流れは実施例1と実施例2とで同じであることから、実施例1で用いたステップ番号を用いて説明する。
【0056】
情報取得部220は、Webサーバ100(対象システム)から当該Webサーバ100の情報を取得する。また、S11において、情報取得部220は、実行環境端末10から実行環境の情報を取得する。
【0057】
情報取得部220は、S10、S11で取得した情報に基づき、現在の状況において取り得る行動の選択肢(リスト)を生成する。実施例2では、次のターンが攻撃側か防御側かに応じて、現状況で取り得る行動選択肢(リスト)を分けて生成する。
【0058】
S12において、情報取得部220は、S10、S11で取得した情報と当該リストとをゲーム提供部210に送信する。
【0059】
S13において、ゲーム提供部210は、現状況で取り得る1つ以上の行動をゲームの選択肢として、現在のターンに従って、攻撃側ゲーム端末20-1又は防御側ゲーム端末20-2に送信する。
【0060】
S14において、攻撃側ゲーム端末20-1又は防御側ゲーム端末20-2上でゲームを行っている攻撃側対象者又は防御側対象者は、攻撃側ゲーム端末20-1又は防御側ゲーム端末20-2に表示されている行動の選択肢から行動を選ぶ。どの行動が選択されたかの情報は該当のゲーム端末からゲーム提供部210に通知される。
【0061】
ゲーム提供部210は、ゲームの中で、対象者が選択した行動に対する具体的な実行例(コマンドサンプルなど)を、現在のターンのゲーム端末20に送信する。当該ゲーム端末20には当該実行例が表示される。対象者は、ゲーム端末20上で、選択した行動に沿った行動(コマンドの入力->実行など))を実施する。
【0062】
ゲーム提供部210は、現在のターンのゲーム端末20からの行動情報により、対象者が行動をゲーム上で実施したことを検知すると、S15において、対象者の行動情報(実行したコマンド文など)を行動出力部230に通知する。S16において、行動出力部230は、現在のターンに従って、攻撃側実行環境端末10-1又は防御側実行環境端末10-2に対して、行動情報(実行したコマンド文など)を入力する。つまり、行動出力部230は、攻撃側か防御側かのターンに応じて、行動を振り分けることができる。
【0063】
S16で行動情報を受け取った攻撃側実行環境端末10-1又は防御側実行環境端末10-2は、S17において、実際にWebサーバ100に対して行動を実行する。この行動によって、システム(Webサーバ100)と実行環境の状況が変化する(S18、S19)。その後、S10に戻る。
【0064】
(ハードウェア構成例)
本実施の形態で説明したいずれの装置(対象システム、Webサーバ、ゲーム提供装置、ゲーム端末、実行環境端末)も、例えば、コンピュータにプログラムを実行させることにより実現できる。このコンピュータは、物理的なコンピュータであってもよいし、クラウド上の仮想マシンであってもよい。
【0065】
すなわち、当該装置は、コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ等のハードウェア資源を用いて、当該装置で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0066】
図9は、上記コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図9のコンピュータは、それぞれバスBSで相互に接続されているドライブ装置1000、補助記憶装置1002、メモリ装置1003、CPU1004、インタフェース装置1005、表示装置1006、入力装置1007、出力装置1008等を有する。なお、当該コンピュータは、更にGPUを備えてもよい。
【0067】
当該コンピュータでの処理を実現するプログラムは、例えば、CD-ROM又はメモリカード等の記録媒体1001によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体1001がドライブ装置1000にセットされると、プログラムが記録媒体1001からドライブ装置1000を介して補助記憶装置1002にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体1001より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置1002は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0068】
メモリ装置1003は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置1002からプログラムを読み出して格納する。CPU1004は、メモリ装置1003に格納されたプログラムに従って、当該装置に係る機能を実現する。インタフェース装置1005は、ネットワーク等に接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置1006はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置1007はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。出力装置1008は演算結果を出力する。
【0069】
(実施の形態の効果)
以上説明したとおり、本実施の形態に係る技術により、対象者のICTスキルを効果的に高めることが可能となる。
【0070】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0071】
<付記>
(付記項1)
対象者により操作を実行する対象である対象システムから現在の状況を示す情報を取得し、当該状況において前記対象者が取り得る行動のリストを生成する情報取得部と、
前記リストに基づいて、ゲームの中で前記対象者が取り得る1以上の行動を示す選択肢を前記対象者に表示し、前記対象者により選択された行動を示す行動情報を受信するゲーム提供部と、
前記行動情報を出力する行動出力部と
を備えるゲーム提供装置。
(付記項2)
前記ゲーム提供部は、前記対象者が前記ゲームを行うために用いる端末に対して前記ゲームを提供し、前記状況に応じて前記ゲームを進行させる
付記項1に記載のゲーム提供装置。
(付記項3)
前記行動出力部は、前記対象システムの実行環境に対して前記行動情報を入力する
付記項1又は2に記載のゲーム提供装置。
(付記項4)
前記ゲーム提供部は、前記対象システムから取得された情報に基づいて、前記ゲームにおけるコレクション要素の表示を行う
付記項1ないし3のうちいずれか1項に記載のゲーム提供装置。
(付記項5)
コンピュータが実行するゲーム提供方法であって、
対象者により操作を実行する対象である対象システムから現在の状況を示す情報を取得し、当該状況において前記対象者が取り得る行動のリストを生成する情報取得ステップと、
前記リストに基づいて、ゲームの中で前記対象者が取り得る1以上の行動を示す選択肢を前記対象者に表示し、前記対象者により選択された行動を示す行動情報を受信するゲーム提供ステップと、
前記行動情報を出力する行動出力ステップと
を備えるゲーム提供方法。
(付記項6)
コンピュータを、付記項1ないし4のうちいずれか1項に記載のゲーム提供装置における各部として機能させるためのプログラムを記憶した非一時的記憶媒体。
【0072】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 実行環境端末
20 ゲーム端末
100 Webサーバ
200 ゲーム提供装置
210 ゲーム提供部
220 情報取得部
230 行動出力部
300 ネットワーク
1000 ドライブ装置
1001 記録媒体
1002 補助記憶装置
1003 メモリ装置
1004 CPU
1005 インタフェース装置
1006 表示装置
1007 入力装置
1008 出力装置