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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113344
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】穴明け装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/382 20140101AFI20240815BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20240815BHJP
   B23K 26/16 20060101ALI20240815BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240815BHJP
【FI】
B23K26/382
B23K26/10
B23K26/16
B23K26/00 M
B23K26/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018250
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000233332
【氏名又は名称】ビアメカニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖
(72)【発明者】
【氏名】小山内 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】市川 健一
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD11
4E168CA00
4E168FC01
4E168HA01
4E168HA08
4E168KA15
(57)【要約】
【課題】穴明け加工の位置精度が低下することの防止を図ることが可能な穴明け装置を提供すること。
【解決手段】穴明け装置(1)は、ワーク(W)を穴明け加工する穴明け部と、ワーク(W)を設置する設置面(42s)に対して穴明け部の反対側に配置され、穴明け部により穴明け加工された際の粉塵が排出される排出室(43)を有する設置台と、排出室(43)の粉塵を吸引して集塵する集塵機(20)と、排出室(43)に接続され、排出室(43)に空気を流入する流入状態と排出室に対して空気の流入を遮断する遮断状態とに切換え可能な空気流入弁(70)と、を備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを穴明け加工する穴明け部と、
ワークを設置する設置面と、前記設置面に対して前記穴明け部の反対側に配置され、前記穴明け部により穴明け加工された際の粉塵が排出される排出室と、を有する設置台と、
前記排出室の粉塵を吸引して集塵する集塵機と、
前記排出室に接続され、前記排出室に空気を流入する流入状態と前記排出室に対して空気の流入を遮断する遮断状態とに切換え可能な空気流入弁と、を備えた、
ことを特徴とする穴明け装置。
【請求項2】
前記排出室の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサにより検出された前記排出室の圧力が所定圧となるように前記空気流入弁を制御する制御部と、を備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の穴明け装置。
【請求項3】
前記排出室の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサにより検出された前記排出室の圧力が所定圧以下である場合に報知を行う制御部と、を備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の穴明け装置。
【請求項4】
前記穴明け部は、レーザ光を照射してワークを穴明け加工するレーザ照射器である、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の穴明け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを穴明け加工する穴明け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばプリント基板等のワークにレーザやドリル等で穴明けを行う穴明け装置においては、穴明け加工時にワークから粉塵(切粉)が発生する。発生した粉塵が十分に集塵されずに明けた穴に残ると、その後工程として行うメッキ工程で不良が生じる等、加工物の品質低下を招く虞がある。そのため、ワークを設置する設置面の下方に粉塵を排出する空間(排出室)を設け、その空間から配管を通して粉塵を吸引しつつ集塵機に集塵するものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-181800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のように、ワークを設置する設置面の下方に空間を設けて、その空間から粉塵を吸引するものでは、特にワークに穴明け加工が施される前では粉塵を吸引する吸引孔がワークで閉塞されているため、設置面ごとワークが下方に引っ張られて撓むことがある。このようにワークが撓んでしまうと、穴明け加工時におけるワークの位置がずれ、穴明け加工の位置精度が低下して、品質低下を招く虞があった。
【0005】
そこで本発明は、穴明け加工の位置精度が低下することの防止を図ることが可能な穴明け装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ワークを穴明け加工する穴明け部と、ワークを設置する設置面と、前記設置面に対して前記穴明け部の反対側に配置され、前記穴明け部により穴明け加工された際の粉塵が排出される排出室と、を有する設置台と、前記排出室の粉塵を吸引して集塵する集塵機と、前記排出室に接続され、前記排出室に空気を流入する流入状態と前記排出室に対して空気の流入を遮断する遮断状態とに切換え可能な空気流入弁と、を備えた、ことを特徴とする穴明け装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、穴明け加工の位置精度が低下することの防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る穴明け装置を模式的に示す上方視図である。
図2】本実施の形態に係る穴明け装置を模式的に示す断面図である。
図3】本実施の形態に係る穴明け装置の制御系を示すブロック図である。
図4】(a)は穴明け加工を開始する前の吸着テーブルを示す断面図、(b)は減圧室を減圧しつつエアリーク弁で空気をリークさせている状態の吸着テーブルを示す断面図、(c)は穴明け加工を進行させている状態の吸着テーブルを示す断面図である。
図5】従来の穴明け装置を模式的に示す上方視図である。
図6】従来の穴明け装置を模式的に示す断面図である。
図7】(a)は穴明け加工を開始する前の従来の吸着テーブルを示す断面図、(b)は減圧室を減圧している状態の従来の吸着テーブルを示す断面図、(c)は穴明け加工を開始した状態の従来の吸着テーブルを示す断面図、(d)は穴明け加工を進行させている状態の従来の吸着テーブルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態を図1乃至図4を用いて説明する。図1は本実施の形態に係る穴明け装置を模式的に示す上方視図、図2は本実施の形態に係る穴明け装置を模式的に示す断面図、図3は本実施の形態に係る穴明け装置の制御系を示すブロック図、図4(a)は穴明け加工を開始する前の吸着テーブルを示す断面図、図4(b)は減圧室を減圧しつつエアリーク弁で空気をリークさせている状態の吸着テーブルを示す断面図、図4(c)は穴明け加工を進行させている状態の吸着テーブルを示す断面図である。
【0010】
[穴明け装置の概略構成]
まず、穴明け装置1の概略構成を説明する。なお、図1及び図2に示す穴明け装置1は、レーザ光によりプリント基板等のワークに穴明け加工を行うレーザ加工装置であり、主に水平方向(X-Y方向)に移動可能な移動テーブル10と、切粉等の粉塵を集塵する機能に関する部分と、を示したものである。即ち、穴明け装置1は、図1及び図2では図示を省略したレーザ光を照射することでワークを穴明け加工する穴明け部或いはレーザ照射器としてのレーザユニット90(図3参照)と、移動テーブル10を水平方向に移動駆動するテーブル駆動部80(図3参照)と、を備えている。また、図示を省略したが、ワークWを移動テーブル10上の吸着テーブル40の上に搬入する搬入装置や、吸着テーブル40の上から加工後のワークWを搬出する搬出装置が、穴明け装置1に隣接して配置されている。
【0011】
詳細には、図1及び図2に示すように、穴明け装置1は、移動テーブル10と、その移動テーブル10の上方に設置された、設置台としての吸着テーブル40と、を備えている。また、穴明け装置1は、ワークWの切粉等の粉塵を集塵する集塵機20と、ワークWを吸着テーブル40の吸着させるブロワ30(図2参照)と、を備えている。
【0012】
移動テーブル10は、テーブル駆動部80(図3参照)により水平方向(X-Y方向)に移動可能に構成されていると共に、中空状に形成されていることで、内部に吸着室11を有している。その吸着室11には、配管31が接続されており、その配管31には、減圧機であるブロワ30が接続されている。
【0013】
吸着テーブル40は、大まかに、本体部41と、その本体部41の上方に固定された板状のワーク設置部42と、を有して構成されている。本体部41は、中空状に形成されていることで、内部において、板状のワーク設置部42によって上方が閉塞された排出室としての減圧室43を有している。ワーク設置部42の上面は、プリント基板等のワークWを設置する設置面としてのワーク設置面42sとなっている。即ち、減圧室43は、ワーク設置面42sに対してレーザユニット90の反対側に配置され、レーザユニット90により穴明け加工された際の粉塵が排出されるように構成されている。
【0014】
吸着テーブル40において、減圧室43の周囲には、ワーク設置部42、本体部41、移動テーブル10の上部を貫通するように形成された複数の吸着貫通孔12が配置されており、つまり、これら吸着貫通孔12は、ワーク設置部42のワーク設置面42sと吸着室11とを連通して、ワークWを吸引する吸引経路SP3を構成するように形成されている。
【0015】
また、吸着テーブル40において、ワーク設置部42には、ワークWに穴明けする位置と一致する位置に、複数の吸引孔42aが貫通形成されており、つまり、これら吸引孔42aは、ワーク設置面42sと減圧室43とを連通するように形成されている。そして、本体部41には、この減圧室43に連通する貫通孔44が形成されており、この貫通孔44には、ダクト部21の配管21Aが接続されている。
【0016】
さらに、吸着テーブル40には、本体部41に対して減圧室43の圧力を検出する圧力センサ60が取付けられている。即ち、本体部41には貫通孔45が形成されており、圧力センサ60は、貫通孔45を介して減圧室43の圧力を検出する。
【0017】
ダクト部21は、配管21Aと配管21Bとを分岐する形で有していると共に、集塵機20に接続されており、ワークWから穴明け加工時に生じる切粉等の粉塵を吸引する。詳細には、配管21Aは、上記減圧室43に接続されており、ワークWの切粉等の粉塵をワークWの下方から吸引孔42aを介して吸引する吸引経路SP1を形成している。また、配管21Bは、吸着テーブル40の上方(つまりワークWの上方)に対向配置された開口21Baまで延びており、ワークWの切粉等の粉塵をワークWの上方から開口21Baを介して吸引する吸引経路SP2を形成している。
【0018】
一方、本体部41には、減圧室43に連通する貫通孔46が形成されており、この貫通孔46には、後述の制御部100によって開閉弁71を開閉駆動させることで、減圧室43に空気を流入する流入状態と減圧室43に対して空気の流入を遮断する遮断状態とに切換え可能な空気流入弁としてのエアリーク弁70が接続されている。なお、エアリーク弁70の開閉弁71は、詳しくは後述するようにユーザが手動によって開閉操作できるように構成されていてもよい。
【0019】
[穴明け装置の制御系の構成]
ついで、穴明け装置1の制御系の構成について図3を用いて説明する。図3に示すように、穴明け装置1の制御装置としての制御部100には、各種の演算を実行するCPU101、CPU101の演算に用いるデータや演算結果のデータを一時的に保存するRAM102、プログラム等を記録するROM103等を備えて構成されている。この制御部100には、上記圧力センサ60からの信号が入力可能に接続されている。また、この制御部100には、上記エアリーク弁70,集塵機20、レーザユニット90、ブロワ30、テーブル駆動部80等が接続されており、つまり制御部100は、穴明け装置1の各種動作を制御可能に構成されている。そして、この制御部100には、画像を表示可能なモニタ110や音声を出力可能なスピーカ120が接続されており、制御部100によって演算された結果に基づき詳しくは後述するようにユーザに向けて報知等を行うことができる。
【0020】
[穴明け装置の動作]
(ワークの設置動作)
続いて、本実施の形態に係る穴明け装置1の動作について図1乃至図3を用いて説明する。まず、穴明け加工前のワークWは、不図示の搬入装置によって吸着されつつ把持されて搬入され、ワーク設置部42のワーク設置面42sに載置される。図1及び図2に示すように、ワークWがワーク設置面42sに設置されると、制御部100は(図3参照)、ブロワ30を駆動して、配管31を介して吸着室11を真空状態に近づけていく。それにより、吸着貫通孔12を介してワークWがワーク設置面42sに対して吸着されて設置が完了される。なお、後述の穴明け加工の終了後は、ブロワ30の駆動を停止することでワークWのワーク設置面42sに対する吸着を解除する。そして、不図示の搬出装置によって穴明けされたワークWが把持されて搬出される。
【0021】
(穴明け加工動作)
上述のようにワークWがワーク設置面42sに吸着されて設置された状態となると、制御部100は(図3参照)、テーブル駆動部80を駆動して移動テーブル10を移動して、ワークWに穴明け加工を施す位置がレーザユニット90から照射するレーザ光LSの位置となるように位置決めする。また、制御部100は、集塵機20を駆動して、配管21Bを介してワークWの上方にある開口21Baから空気の吸い込みを開始すると共に、配管21Aを介して減圧室43の空気の吸い込みを開始し、減圧室43を減圧する。なお、この際、本実施の形態においては、エアリーク弁70によって減圧室43に空気の流入を開始するが、この説明の詳細については後述する。
【0022】
そして、レーザユニット90を制御してレーザ光をワークWに向けて照射し、ワークWに穴Whを形成する。この際、上述したようにワーク設置部42には、ワークWに穴明けする位置と一致する位置に吸引孔42aが貫通形成されているため、切粉等の粉塵が減圧室43に吸引され、さらに、回収ボックス50に向けて吸引されていくことになる。なお、このようにワークWに対する1箇所の穴明け加工を終えると、レーザ光LSの照射位置が次の穴明け加工を行う位置となるように移動テーブル10を移動してレーザ光の照射を行って次の穴明け加工を行う。この動作を繰り返し、全ての穴明け加工が終了すると、上述のようにワークWが不図示の搬出装置によって搬出されることになる。
【0023】
(従来の課題)
ここで、従来の穴明け装置201における課題を図5図6図7(a)、図7(b)、図7(c)、及び図7(d)を用いて説明する。図5は従来の穴明け装置を模式的に示す上方視図、図6は従来の穴明け装置を模式的に示す断面図、図7は(a)は穴明け加工を開始する前の従来の吸着テーブルを示す断面図、図7(b)は減圧室を減圧している状態の従来の吸着テーブルを示す断面図、図7(c)は穴明け加工を開始した状態の従来の吸着テーブルを示す断面図、図7(d)は穴明け加工を進行させている状態の従来の吸着テーブルを示す断面図である。なお、穴明け装置201において、本実施の形態に係る穴明け装置1と同様の部分には同符号を用い、その説明を省略する。
【0024】
図5及び図6に示すように、従来の穴明け装置201においては、減圧室43に空気を流入可能なエアリーク弁が配置されていない。このような従来の構成では、図7(a)に示すように、ワーク設置面42sにワークWを設置した後、図7(b)に示すように、集塵機20によって減圧室43の吸引を開始して減圧室43が減圧されると、吸引孔42aが穴明けされていないワークWにより閉塞されているため、板状のワーク設置部42がワークWと共に吸引されて、撓み量ΔHで撓んでしまう。このようにワークWが撓んだ状態で、図7(c)に示すように、レーザ光によりワークWに穴Whを形成する穴明け加工を施すと、特にレーザ光の焦点と穴明けするワークWとの距離に撓み量ΔHで差が生じるため、穴明け加工の位置精度が低下し、穴Whの形状が所望の形状とならない。その後、図7(d)に示すように、ワークWに穴Whが形成されると、その穴Whによって流入経路SP5が形成されて空気が減圧室43に流入するため、ワークWの撓みが解消されるが、ワークWが撓んだ状態で形成した穴Whと撓んでない状態で形成した穴Whとの形状にばらつきを生じてしまい、つまり穴明け加工を施したワークWの品質低下を招いてしまうという課題があった。
【0025】
(本実施の形態における穴明け加工時)
ついで、本実施の形態における穴明け加工時の動作について図4(a)、図4(b)、及び図4(c)を用いて説明する。図4(a)に示すように、ワーク設置面42sにワークWを設置した後、図4(b)に示すように、集塵機20によって減圧室43の吸引を開始して減圧室43が減圧される。この際、吸引孔42aが穴明けされていないワークWにより閉塞されているため、板状のワーク設置部42がワークWと共に吸引される。しかしながら、圧力センサ60(図1図3参照)が減圧室43の圧力を検出し、それを受けて制御部100は、減圧室43の圧力が所定圧以下となると、エアリーク弁70の開閉弁71を開いた開状態に切換えて流入経路SP4を形成し、つまり減圧室43に空気を流入する流入状態となるように制御する。また、制御部100は、減圧室43の圧力が所定圧以上となると、エアリーク弁70の開閉弁71を閉じた閉状態に切換えて流入経路SP4を遮断し、つまり減圧室43に対して空気の流入を遮断する遮断状態となるように制御する。このように制御部100は、減圧室43の圧力が所定圧(所定の負圧)となるように制御する。これにより、減圧室43の圧力は、板状のワーク設置部42及びワークWが撓まない程度の圧力に制御され、かつ穴明け加工によって生じた切粉等の粉塵は集塵機20に吸引経路SP1で吸引される圧力に制御される。
【0026】
その後、図4(c)に示すように、ワークWに穴Whが形成されると、その穴Whによって空気が減圧室43に流入するが、制御部100によって、引き続き、減圧室43の圧力が所定圧(所定の負圧)となるように、開閉弁71が開状態と閉状態とに切換えられつつ制御される。
【0027】
(手動によりエアリーク弁を操作する場合)
ところで、本実施の形態においては、制御部100が圧力センサ60の検出結果に応じて自動的にエアリーク弁70の開閉弁71を開閉動作させるものを説明したが、これに限らず、ユーザが手動によってエアリーク弁70の開閉弁71を開閉操作するようにしても構わない。この場合、制御部100は、圧力センサ60により検出された減圧室43の圧力が所定圧以下となった場合に、例えばモニタ110やスピーカ120(図3参照)を用いてユーザに減圧室43の圧力が所定圧よりも低下していること(ワークWが撓むこと)を報知する。ユーザは、このような報知を受けて、開閉弁71を開く操作を行い、また、この報知が解消した場合に、開閉弁71を閉じる操作を行うことで、減圧室43の圧力は、板状のワーク設置部42及びワークWが撓まない程度の圧力で、かつ穴明け加工によって生じた切粉等の粉塵は集塵機20に吸引経路SP1で吸引される圧力に維持される。なお、例えばモニタ110やスピーカ120(図3参照)を用いてユーザに行う報知は、例えば「エアリーク弁を開いてください」や「エアリーク弁を閉じてください」のように、より直接的にエアリーク弁70の開閉弁71の操作を促すような報知であってもよい。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態に係る穴明け装置1では、穴明け加工時に、エアリーク弁70によって、減圧室43の圧力がワーク設置部42及びワークWが撓まない程度に、かつ粉塵は集塵機20に吸引される程度の圧力に維持することができるので、レーザ光によって穴明け加工する際に、レーザ光の焦点と穴明けするワークWとの距離にずれが生じず、穴明け加工の位置精度が低下することの防止を図ることができる。それにより、穴Whの形状が所望の形状となるように加工することができ、穴Whの形状にばらつきを生じることが防がれて、穴明け加工を施したワークWの品質低下の防止を図ることができる。
【0029】
[他の実施の形態の可能性]
なお、以上説明した本実施の形態においては、レーザ光によりワークに穴明け加工を行う穴明け装置について説明したが、これに限らず、ドリル等の工具で穴明け加工する穴明け装置であっても構わない。ドリル等の工具で穴明け加工する場合であっても、ドリル等の工具の位置とワークWとの位置にずれが生じず、穴明け加工の位置精度が低下することの防止を図ることができる。
【0030】
また、本実施の形態においては、移動テーブル10によってワークWの位置を移動するものを説明したが、これに限らず、レーザユニット(ドリル)をワークWに対して移動して穴明け加工するものであっても構わない。
【0031】
また、本実施の形態においては、ワークが板状のシートに形成されているものを説明したが、これに限らず、ウェブロール状に形成されたワークであっても構わない。
【0032】
また、本実施の形態においては、エアリーク弁70の開閉を制御部100により、又は手動により行うものを説明したが、これに限らず、例えばバネ等の付勢部材によって減圧室43が所定圧以下となると自動的に開き、所定圧以上となると自動的に閉じるように構成された開閉弁を用いても構わない。この場合は、圧力センサ60を設けなくても構わない。
【符号の説明】
【0033】
1…穴明け装置
20…集塵機
40…吸着テーブル(設置台)
42s…ワーク設置面(設置面)
43…減圧室(排出室)
60…圧力センサ
70…エアリーク弁(空気流入弁)
90…レーザユニット(穴明け部、レーザ照射器)
100…制御部
SP1…吸引経路
W…ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7