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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113348
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ロータ、及び、航空機
(51)【国際特許分類】
   B64C 27/48 20060101AFI20240815BHJP
   B64C 11/06 20060101ALI20240815BHJP
   B64U 10/16 20230101ALI20240815BHJP
   B64U 30/291 20230101ALI20240815BHJP
【FI】
B64C27/48
B64C11/06
B64U10/16
B64U30/291
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018263
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】磯 智之
(72)【発明者】
【氏名】石塚 勇二
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リフトスラストを目標値に到達させるまでの時間を短縮でき、リフトスラストの制御応答性を向上する。
【解決手段】回転可能なハブ28と、ブレード26と、前記ブレード26と前記ハブ28とを連結する複数の連結部材と、を備え、ロータは、回転可能なハブ28と、ブレード26と、ブレードとハブとを連結する2本の第1連結部材38、第2連結部材40と、を備え、第1連結部材38、第2連結部材40の長手方向は、ハブの回転軌跡の接線方向に沿っており、第1連結部材38と第2連結部材40とは、回転軌跡の径方向において互いに離間する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なハブと、
ブレードと、
前記ブレードと前記ハブとを連結する複数の連結部材と、
を備え、
前記連結部材の長手方向は、前記ハブの回転軌跡の接線方向に沿っており、
複数の前記連結部材のうちの第1連結部材と、複数の前記連結部材のうちの第2連結部材とは、前記回転軌跡の径方向において互いに離間する、ロータ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータにおいて、
前記連結部材と前記ブレードとの間に球面滑り軸受を備える、ロータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロータにおいて、
フェザリング軸線を中心として前記ブレードを回動させるリンクを備え、
前記リンクは、前記第1連結部材と前記第2連結部材との間において前記ブレードに取り付けられる、ロータ。
【請求項4】
請求項1に記載のロータにおいて、
複数の前記ブレードを備え、
前記ハブは、互いに分離可能な複数の部分ハブを含み、
複数の前記ブレードの各々と、複数の前記部分ハブの各々とが前記連結部材により連結され、
前記連結部材と前記ブレードとの間に球面滑り軸受を備える、ロータ。
【請求項5】
請求項1に記載のロータを備える、航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、及び、航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、航空機のロータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10518867号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術では、ブレードとハブとが1本のピンにより連結されるため、ブレードはフラッピング軸線を中心に回動可能である。ブレードのフラッピングにより、ロータのスラストが変動する。そのため、ロータの回転数、ブレードのピッチ角度を変えてスラストを制御しようとしても、フラッピングによってスラストが変動するため、スラスト制御の応答性が低い課題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、ロータであって、前記ロータは、回転可能なハブと、ブレードと、前記ブレードと前記ハブとを連結する複数の連結部材と、を備え、前記連結部材の長手方向は、前記ハブの回転軌跡の接線方向に沿っており、複数の前記連結部材のうちの第1連結部材と、複数の前記連結部材のうちの第2連結部材とは、前記回転軌跡の径方向において互いに離間する。
【0007】
本発明の第2の態様は、航空機であって、上記第1の態様のロータを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、スラストの応答性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、航空機の模式図である。
図2図2は、VTOLロータのハブとブレードとの連結部分を示す図である。
図3図3は、ハブとブレードとの連結方法を説明する図である。
図4図4は、ハブとブレードとの連結部分の拡大断面図である。
図5図5は、ブレードとリンクとの連結方法を説明する図である。
図6図6は、ブレードとリンクとの連結部分の拡大断面図である。
図7図7は、VTOLロータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1の実施形態〕
[航空機の構成]
図1は、航空機10の模式図である。本実施形態の航空機10は、電動垂直離着陸機(eVTOL機)である。航空機10は、8つのVTOLロータ12と、2つのクルーズロータ14とを有する。VTOLロータ12は、機体16を上方に移動させるリフトスラストを発生する。クルーズロータ14は、機体16を前方に移動させるクルーズスラストを発生する。
【0011】
航空機10は、機体16を有する。機体16は、コックピット、キャビン等を有する。パイロットは、コックピットに搭乗し、航空機10の操縦をする。搭乗者等は、キャビンに搭乗する。航空機10にはパイロットが搭乗せずに、航空機10が自動で操縦されてもよい。
【0012】
航空機10は、固定翼である前翼18及び後翼20を有する。機体16が対気速度を有する場合、前翼18及び後翼20においてリフトが発生する。
【0013】
前翼18及び後翼20の各々には、ブーム22Lとブーム22Rとが取り付けられる。ブーム22Lは機体16に対して左方に取り付けられ、ブーム22Rは機体16に対して右方に取り付けられる。ブーム22Lの長手方向及びブーム22Rの長手方向は、機体16の前後方向に沿う。
【0014】
図1におけるブーム22Lの形状及びブーム22Rの形状は、機体16の前後方向に直線的に延びる形状である。しかし、ブーム22L及びブーム22Rは、機体16の左右方向において外側に向かって凸の円弧状に形成されてもよい。
【0015】
前述のように、航空機10は、8つのVTOLロータ12を有する。8つのVTOLロータ12とは、ロータ12La、ロータ12Lb、ロータ12Lc、ロータ12Ld、ロータ12Ra、ロータ12Rb、ロータ12Rc及びロータ12Rdである。VTOLロータ12の各々は、本発明のロータに相当する。
【0016】
ロータ12La、ロータ12Lb、ロータ12Lc及びロータ12Ldは、ブーム22Lに取り付けられる。ロータ12Ra、ロータ12Rb、ロータ12Rc及びロータ12Rdは、ブーム22Rに取り付けられる。
【0017】
各VTOLロータ12のドライブシャフト24は、機体16の上下方向に延びる。各VTOLロータ12のドライブシャフト24は、上下方向に対して数度の角度(カント)が付けられていてもよい。
【0018】
各VTOLロータ12は、VTOLロータ12の回転数、及び、ブレード26のピッチ角度が調整されることにより、各VTOLロータ12のリフトスラストが制御される。各VTOLロータ12のリフトスラストが制御されることにより、機体16にロールモーメント、ピッチモーメント、及び、ヨーモーメントを作用させることが可能である。
【0019】
前述のように航空機10は、2つのクルーズロータ14を有する。2つのクルーズロータ14とは、ロータ14L及びロータ14Rである。ロータ14L及びロータ14Rは、機体16の後部に取り付けられる。
【0020】
各クルーズロータ14の不図示のドライブシャフトは、機体16の前後方向に延びる。各クルーズロータ14のドライブシャフトは、前後方向に対して数度の角度(カント)が付けられていてもよい。
【0021】
各クルーズロータ14は、クルーズロータ14の回転数、及び、ブレード26のピッチ角度が調整されることにより、各クルーズロータ14のクルーズスラストが制御される。
【0022】
[ロータの構造]
図2は、VTOLロータ12のハブ28とブレード26との連結部分を示す図である。図2は、ドライブシャフト24が延びる方向から見た図である。図3は、ハブ28とブレード26との連結方法を説明する図である。図4は、ハブ28とブレード26との連結部分の拡大断面図である。
【0023】
ハブ28は、ドライブシャフト24に取り付けられ、ドライブシャフト24とともに回転する。ハブ28は、5つのフォーク30を有する。各フォーク30は、U字形状に形成され、二股に分かれた第1アーム32及び第2アーム34を有する。ブレード26は、その翼根部36が第1アーム32と第2アーム34との間に挿入され、第1ノックボルト38と第2ノックボルト40とによりフォーク30に連結される。第1ノックボルト38は、本発明の連結部材及び第1連結部材に相当する。第2ノックボルト40は、本発明の連結部材及び第2連結部材に相当する。
【0024】
本実施形態の各VTOLロータ12は、5枚のブレード26を有するが、ブレード26の枚数は5枚より多くてもよい。また、ブレード26の枚数は5枚より少なくてもよい。フォーク30の数は5つに限られず、フォーク30は、ブレード26の枚数に対応する数設けられる。
【0025】
翼根部36には、2つの球面滑り軸受42が取り付けられる。2つの球面滑り軸受42は、VTOLロータ12の回転軌跡の径方向において互いに離間する。
【0026】
第1アーム32には、2つのボルト孔44が形成される。2つのボルト孔44は、ハブ28の回転軌跡の径方向において互いに離間する。第2アーム34には、2つのボルト孔46が形成される。2つのボルト孔46は、ハブ28の回転軌跡の径方向において互いに離間する。
【0027】
第1ノックボルト38は、ワッシャ48、第1アーム32のボルト孔44、カラー50、球面滑り軸受42、カラー50、第2アーム34のボルト孔46、ワッシャ48の順に挿入される。第1ノックボルト38の先端には、第1ロックナット52が螺合する。この状態で、第1ノックボルト38の長手方向は、ハブ28の回転軌跡の接線方向に沿う。
【0028】
第2ノックボルト40は、ワッシャ48、第1アーム32のボルト孔44、カラー50、球面滑り軸受42、カラー50、第2アーム34のボルト孔46、ワッシャ48の順に挿入される。第2ノックボルト40の先端には、第2ロックナット54が螺合する。この状態で、第2ノックボルト40の長手方向は、ハブ28の回転軌跡の接線方向に沿う。
【0029】
ブレード26は、ハブ28の回転軌跡の径方向において離間した2か所において、第1ノックボルト38と第2ノックボルト40とにより球面滑り軸受42を介して支持される。これにより、ブレード26の翼根部36は、2か所の支持点を結ぶ直線を回転軸線とするフェザリングの動きは可能であるものの、2か所の支持点を結ぶ直線と交差する線を回転軸線とするフラッピング及びドラッギングの動きは規制される。
【0030】
図5は、ブレード26とリンク56との連結方法を説明する図である。図6は、ブレード26とリンク56との連結部分の拡大断面図である。
【0031】
リンク56は、フェザリング軸線を中心としてブレード26を回動させて、ブレード26のピッチ角度を変化させる。フェザリング軸線は、2つの球面滑り軸受42の中心を通る線である。リンク56は、ロッド取付部58を有する。ロッド取付部58には、不図示のピッチロッドが取り付けられる。ピッチロッドにより、ロッド取付部58が押し上げられ、又は、ロッド取付部58が引っ張られて、リンク56はブレード26を回動させる。
【0032】
リンク56は、U字形状に形成され、二股に分かれた第3アーム60及び第4アーム62を有する。ブレード26は、その翼根部36が第3アーム60と第4アーム62との間に挿入され、第3ノックボルト64と第4ノックボルト66によりリンク56に連結される。
【0033】
第3アーム60には、2つのボルト孔68が形成される。2つのボルト孔68は、ドライブシャフト24の軸線方向において互いに離間する。第4アーム62には、2つのボルト孔70が形成される。2つのボルト孔70は、ドライブシャフト24の軸線方向において互いに離間する。
【0034】
ブレード26の翼根部36には、2つの貫通孔72が形成される。2つの貫通孔72は、ドライブシャフト24の回転軸方向において互いに離間する。2つの貫通孔72は、2つの球面滑り軸受42の間に位置する。
【0035】
第3ノックボルト64は、ワッシャ74、第3アーム60のボルト孔68、翼根部36の貫通孔72、第4アーム62のボルト孔70、ワッシャ74の順に挿入される。第3ノックボルト64の先端には、第3ロックナット76が螺合する。この状態で、第3ノックボルト64の長手方向は、ハブ28の回転軌跡の接線方向に沿う。
【0036】
第4ノックボルト66は、ワッシャ74、第3アーム60のボルト孔68、翼根部36の貫通孔72、第4アーム62のボルト孔70、ワッシャ74の順に挿入される。第4ノックボルト66の先端には、第4ロックナット78が螺合する。この状態で、第4ノックボルト66の長手方向は、ハブ28の回転軌跡の接線方向に沿う。
【0037】
これにより、図2に示すように、第1ノックボルト38と第2ノックボルト40との間において、リンク56はブレード26に取り付けられる。
【0038】
上記ではVTOLロータ12の構造を説明したが、同様の構造がクルーズロータ14に適用されてもよい。
【0039】
[作用効果]
VTOLロータ12が回転する場合、ブレード26にはリフトと遠心力との合力が作用し、ブレード26は上方にフラッピングする。ブレード26に作用する合力は、翼根部36とハブ28との連結部分で受ける。
【0040】
ブレード26のフラッピングにより、VTOLロータ12のリフトスラストが変動する。そのため、VTOLロータ12の回転数、ブレード26のピッチ角度を変えてリフトスラストを目標値に変化させようとしても、フラッピングによってリフトスラストが変動するため、リフトスラストを目標値に到達させるまでに時間を要し、リフトスラスト制御の応答性が低い。
【0041】
本実施形態のVTOLロータ12では、第1ノックボルト38及び第2ノックボルト40の2本のボルトにより、ブレード26とハブ28とが連結される。第1ノックボルト38の長手方向と、第2ノックボルト40の長手方向とは、ハブ28の回転軌跡の接線方向に沿う。また、第1ノックボルト38と第2ノックボルト40とは、ハブ28の回転軌跡の径方向において互いに離間する。
【0042】
これにより、翼根部36は、第1ノックボルト38を中心に回動する方向の動きが規制されるとともに、第2ノックボルト40を中心に回動する方向の動きが規制される。そのため、VTOLロータ12は、ブレード26のフラッピングを抑制可能となる。その結果、リフトスラストを目標値に到達させるまでの時間を短縮でき、リフトスラストの制御応答性を向上できる。
【0043】
本実施形態のVTOLロータ12では、第1ノックボルト38と翼根部36との間に球面滑り軸受42が設けられ、第2ノックボルト40と翼根部36との間に球面滑り軸受42が設けられる。これにより、翼根部36は、フェザリングが可能に支持される。そのため、VTOLロータ12は、ブレード26のピッチ角度を変更できる。
【0044】
球面滑り軸受42は、円筒ころベアリング等のころ軸受、玉軸受に比べて小さく、軽い。しかし、球面滑り軸受42は、円筒ころベアリングに比べてアキシャル方向の荷重に対する許容値が低い。
【0045】
本実施形態のVTOLロータ12では、ブレード26に作用する合力は、球面滑り軸受42に対してラジアル方向に作用する。そのため、小型の球面滑り軸受42を使用することが可能となる。これにより、ハブ28とブレード26の連結部分の大きさを小さくできる。また、VTOLロータ12を軽量化できる。
【0046】
リンク56のブレード26への取り付け位置は、ハブ28の回転軌跡の径方向において、第1ノックボルト38よりも内側の位置であってもよい。しかし、第1ノックボルト38よりも内側には、リンク56がブレード26に取り付けられるスペースがほとんどない。
【0047】
リンク56のブレード26への取り付け位置は、ハブ28の回転軌跡の径方向において、第2ノックボルト40よりも外側の位置であってもよい。ハブ28とブレード26との連結部分、及び、リンク56とブレード26との連結部分の上方は不図示のカバーにより覆われる。第2ノックボルト40よりも外側の位置でリンク56がブレード26に取り付けられた場合、カバーの大きさが大きくなる。航空機10が飛行時において、カバーはドラッグの原因となり、カバーの大きさはできるだけ小さくすることが望まれる。
【0048】
本実施形態のVTOLロータ12では、リンク56は、第1ノックボルト38と第2ノックボルト40との間において、ブレード26に取り付けられる。ブレード26のフェザリングを抑制するためには、第1ノックボルト38と第2ノックボルト40との間の距離を確保する必要がある。本実施形態のVTOLロータ12では、第1ノックボルト38と第2ノックボルト40との間が、リンク56のブレード26への取り付け位置に活用される。また、VTOLロータ12は、カバーの大きさを小さくでき、航空機10の飛行時におけるドラッグを低減できる。
【0049】
〔第2の実施形態〕
図7は、VTOLロータ12の斜視図である。第1の実施形態のVTOLロータ12では、ハブ28は1つの部材により構成されていた。これに対して、第2の実施形態のVTOLロータ12では、ハブ28は分割可能な複数の部材により構成される。
【0050】
ハブ28は、5つの部分ハブ80と、1つのセンタハブ82とを有する。部分ハブ80は、U字形状に形成され、二股に分かれた第1アーム32及び第2アーム34を有する。ブレード26は、その翼根部36が第1アーム32と第2アーム34との間に挿入され、第1ノックボルト38と第2ノックボルト40により部分ハブ80に連結される。
【0051】
部分ハブ80は、二股に分かれた第5アーム84及び第6アーム86を有する。第5アーム84には、2つのボルト孔88が形成される。2つのボルト孔88は、ハブ28の回転軌跡の接線方向に沿って互いに離間する。第6アーム86には、2つのボルト孔90が形成される。2つのボルト孔90は、ハブ28の回転軌跡の接線方向に沿って互いに離間する。
【0052】
センタハブ82は、ドライブシャフト24に取り付けられ、ドライブシャフト24とともに回転する。センタハブ82には、各部分ハブ80が取り付けられる。センタハブ82と各部分ハブ80とは、第5ノックボルト92及び第6ノックボルト94により締結される。センタハブ82には、第5ノックボルト92及び第6ノックボルト94の各々が挿入される貫通孔96が形成される。
【0053】
第5ノックボルト92は、ワッシャ98、第5アーム84のボルト孔88、センタハブ82の貫通孔96、第6アーム86のボルト孔90、ワッシャ98の順に挿入される。第5ノックボルト92の先端には、第5ロックナット100が螺合する。この状態で、第5ノックボルト92の長手方向は、ドライブシャフト24の回転軸に沿う。
【0054】
第6ノックボルト94は、ワッシャ98、第5アーム84のボルト孔88、センタハブ82の貫通孔96、第6アーム86のボルト孔90、ワッシャ98の順に挿入される。第6ノックボルト94の先端には、第6ロックナット102が螺合する。この状態で、第6ノックボルト94の長手方向は、ドライブシャフト24の回転軸に沿う。
【0055】
[作用効果]
本実施形態のVTOLロータ12では、ハブ28は、互いに分離可能な5つの部分ハブ80を含む。これにより、図7に示すように、部分ハブ80とブレード26とを連結させた後に、部分ハブ80とセンタハブ82とが締結される。これにより、部分ハブ80にブレード26をボルトにより留める場合に、レンチ等の道具がセンタハブ82と干渉することを避けることができる。そのため、VTOLロータ12は、VTOLロータ12の組立時における作業の難易度を下げることができる。
【0056】
〔実施形態から得られる発明〕
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0057】
ロータ(12)は、回転可能なハブ(28)と、ブレード(26)と、前記ブレードと前記ハブとを連結する複数の連結部材(38、40)と、を備え、前記連結部材の長手方向は、前記ハブの回転軌跡の接線方向に沿っており、複数の前記連結部材のうちの第1連結部材(38)と、複数の前記連結部材のうちの第2連結部材(40)とは、前記回転軌跡の径方向において互いに離間する。これにより、ロータは、スラスト制御の応答性を向上できる。
【0058】
上記のロータにおいて、前記ロータは、前記連結部材と前記ブレードとの間に球面滑り軸受(42)を備えてもよい。これにより、ロータは、ブレードのピッチ角度を変更できる。
【0059】
上記のロータにおいて、前記ロータは、フェザリング軸線を中心として前記ブレードを回動させるリンク(56)を備え、前記リンクは、前記第1連結部材と前記第2連結部材との間において前記ブレードに取り付けられてもよい。これにより、ロータは、カバーの大きさを小さくでき、航空機の飛行時におけるドラッグを低減できる。
【0060】
上記のロータにおいて、前記ロータは、複数の前記ブレードを備え、前記ハブは、互いに分離可能な複数の部分ハブ(80)を含み、複数の前記ブレードの各々と、複数の前記部分ハブの各々とが前記連結部材により連結され、前記連結部材と前記ブレードとの間に球面滑り軸受を備えてもよい。これにより、ロータは、ロータの組立時における作業の難易度を下げることができる。
【0061】
航空機(10)は、上記のロータを備える。これにより、航空機は、スラスト制御の応答性を向上できる。
【0062】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0063】
10…航空機 12…VTOLロータ(ロータ)
26…ブレード 28…ハブ
38…第1ノックボルト(連結部材、第1連結部材)
40…第2ノックボルト(連結部材、第2連結部材)
42…球面滑り軸受 56…リンク
80…部分ハブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7