(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113358
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】圧接コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/2416 20180101AFI20240815BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20240815BHJP
【FI】
H01R4/2416
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018288
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】小山 勝三郎
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 祐人
【テーマコード(参考)】
5E012
5E223
【Fターム(参考)】
5E012AA08
5E012AA09
5E012AA13
5E012AA32
5E012AA50
5E223AB10
5E223AB33
5E223AB39
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB12
5E223BB17
5E223CA11
5E223CB52
5E223CD01
5E223CD15
5E223EA24
5E223EA27
5E223EC04
(57)【要約】
【課題】ケーブルのピッチを相手側コンタクトのピッチに変換できる圧接コネクタであって、簡易な構成の圧接コネクタを提供する。
【解決手段】圧接コネクタ1は、ピンコンタクト51とは異なるピッチで配列された被覆電線と嵌合コネクタ5を電気的に接続できる。圧接コネクタ1は、被覆電線を挿入可能な第1スロット22dを開口した圧接端子部2aを一方の端部に有し、相手側コンタクトを導入可能な第2スロット25dを開口した挟持端子部2bを他方の端部に有する。圧接端子部2aが延びる方向と挟持端子部2bが延びる方向を相反する向きに配置すると共に、圧接端子部2aの板厚面と挟持端子部2bの板厚面とが略直交するようにクランク片23・24で結合し、圧接端子部2aから挟持端子部2bに向かう向きを線対称に配置した対を成す複数の圧接コンタクトT1・T2を備え、圧接コネクタの構成を簡易にできる。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合コネクタに備わる相手側コンタクトとは異なるピッチで配列された被覆電線と前記嵌合コネクタを電気的に接続する圧接コネクタであって、
前記被覆電線を外周方向から支持可能なカバーハウジングと、
前記カバーハウジングを受容可能な凹部を開口したソケットハウジングと、
前記被覆電線を挿入可能な第1スロットを開口した圧接端子部を一方の端部に有し、前記相手側コンタクトを導入可能な第2スロットを開口した挟持端子部を他方の端部に有し、前記圧接端子部が延びる方向と前記挟持端子部が延びる方向を相反する向きに配置すると共に、前記圧接端子部の板厚面と前記挟持端子部の板厚面とが略直交するようにクランク片で結合し、前記圧接端子部から前記挟持端子部に向かう向きを線対称に配置した対を成す複数の圧接コンタクトと、を備え、
前記第1スロットの中心と前記挟持端子部の板厚面の中心との距離が前記相手側コンタクトのピッチを規定している、圧接コネクタ。
【請求項2】
前記圧接コンタクトは、
対向する一組の前記圧接端子部と、
一組の前記圧接端子部に基端部同士を連結する架橋片と、を有している、請求項1記載の圧接コネクタ。
【請求項3】
前記クランク片は、被覆電線のピッチと前記挟持端子部とのピッチの微小差を吸収可能に面方向に撓み可能に構成している、請求項1又は2記載の圧接コネクタ。
【請求項4】
前記被覆電線は、これらの被覆電線を所定のピッチで配列した並列多芯ケーブルを構成している、請求項1又は2記載の圧接コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧接コネクタに関する。特に、圧接接続により、複数の被覆電線を並列配置した並列多芯ケーブルと、嵌合コネクタを電気的に接続できる圧接コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
所定のピッチで配列した並列多芯ケーブルと圧接接続により接続する複数の第1コンタクトをベースハウジングに備えた圧接コネクタであって、複数の第1コンタクトは、長さ方向の一方の端部が並列多芯ケーブルと接続し、長さ方向の他方の端部が嵌合コネクタに備えた相手側の第2コンタクトに接続し、第2コンタクトは、第1コンタクトの他方の端部と着脱自在に接続できるようにクランク状に形成し、第2コンタクトは、並列多芯ケーブルのピッチより小さくしており、相手側ハウジングに配列した圧接コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1による圧接コネクタは、並列多芯ケーブルのピッチを相手側コンタクトのピッチに拡大又は縮小できるというメリットがある。しかしながら、特許文献1による圧接コネクタは、ピッチ変換しているので、形状が異なる複数種類のコンタクトが必要になるという問題がある。コンタクトの極数が増えれば尚更である。
【0005】
並列多芯ケーブルのピッチを相手側コンタクトのピッチに変換するに当たり、コンタクトの種類を増加させることなく、簡易な構成の圧接コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、並列多芯ケーブルのピッチを相手側コンタクトのピッチに変換できる圧接コネクタであって、簡易な構成の圧接コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、被覆電線を挿入可能な第1スロットを開口した圧接端子部を一方の端部に有し、相手側コンタクトを導入可能な第2スロットを開口した挟持端子部を他方の端部に有し、圧接端子部が延びる方向と挟持端子部が延びる方向を相反する向きに配置すると共に、圧接端子部の板厚面と挟持端子部の板厚面とが略直交するようにクランク片で結合し、圧接端子部から挟持端子部に向かう向きを線対称に配置した対を成す複数の圧接コンタクトを備えることで、圧接コネクタの構成を簡易にできると考え、これにより、以下のような新たな圧接コネクタを発明するに至った。
【0008】
(1)嵌合コネクタに備わる相手側コンタクトとは異なるピッチで配列された被覆電線と前記嵌合コネクタを電気的に接続する圧接コネクタであって、前記被覆電線を外周方向から支持可能なカバーハウジングと、前記カバーハウジングを受容可能な凹部を開口したソケットハウジングと、前記被覆電線を挿入可能な第1スロットを開口した圧接端子部を一方の端部に有し、前記相手側コンタクトを導入可能な第2スロットを開口した挟持端子部を他方の端部に有し、前記圧接端子部が延びる方向と前記挟持端子部が延びる方向を相反する向きに配置すると共に、前記圧接端子部の板厚面と前記挟持端子部の板厚面とが略直交するようにクランク片で結合し、前記圧接端子部から前記挟持端子部に向かう向きを線対称に配置した対を成す複数の圧接コンタクトと、を備え、前記第1スロットの中心と前記挟持端子部の板厚面の中心との距離が前記相手側コンタクトのピッチを規定している、圧接コネクタ。
【0009】
(2)前記圧接コンタクトは、対向する一組の前記圧接端子部と、一組の前記圧接端子部に基端部同士を連結する架橋片と、を有している、(1)記載の圧接コネクタ。
【0010】
(3)前記クランク片は、被覆電線のピッチと前記挟持端子部とのピッチの微小差を吸収可能に面方向に撓み可能に構成している、(1)又は(2)記載の圧接コネクタ。
【0011】
(4)前記被覆電線は、これらの被覆電線を所定のピッチで配列した並列多芯ケーブルを構成している、(1)又は(2)記載の圧接コネクタ。
【発明の効果】
【0012】
本発明による圧接コネクタは、圧接端子部から挟持端子部に向かう向きを線対称に配置した対を成す複数の圧接コンタクトを備えることで、極数の1/2種類の圧接コンタクトで並列多芯ケーブルのピッチを相手側コンタクトのピッチに変換できる。これにより、圧接コネクタの構成を簡易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態による圧接コネクタの構成を示す斜視図であり、圧接コネクタを並列多芯ケーブルに接続した状態図である。
【
図2】第1実施形態による圧接コネクタの構成を示す斜視分解組立図であり、
図2(A)は、圧接コネクタを一方の方向から観た状態図であり、
図2(B)は、圧接コネクタを他方の方向から観た状態図である。
【
図3】第1実施形態による圧接コネクタの構成を示す斜視分解組立図であり、
図3(A)は、圧接コネクタを一方の方向から観た状態図であり、
図3(B)は、圧接コネクタを他方の方向から観た状態図である。
【
図4】第1実施形態による圧接コネクタに備わるリッドハウジング付きカバーハウジングの構成を示す斜視図であり、
図4(A)は、カバーハウジングに対してリッドハウジングを開いた状態図、
図4(B)は、カバーハウジングに対してリッドハウジングを閉じた状態図である。
【
図5】第1実施形態による圧接コネクタに備わるリッドハウジング付きカバーハウジングの構成を示す図であり、
図5(A)は、カバーハウジングが並列多芯ケーブルを挟持した状態を示す斜視図、
図5(B)は、
図5(A)の正面図、
図5(C)は、
図5(A)の右側面図である。
【
図6】第1実施形態による圧接コネクタの構成を示す図であり、
図6(A)は、カバーハウジングを圧接コネクタに仮係止した状態を示す斜視図、
図6(B)は、
図6(A)の正面図、
図6(C)は、
図6(A)の右側面図である。
【
図7】第1実施形態による圧接コネクタの構成を示す断面図であり、
図7(A)は、
図6(A)のA-A矢視断面図、
図7(B)は、
図6(B)のB-B矢視断面図、
図7(C)は、
図6(B)のC-C矢視断面図である。
【
図8】第1実施形態による圧接コネクタの構成を示す図であり、
図8(A)は、圧接コネクタが篏合コネクタに接続した状態を示す正面図、
図8(B)は、
図8(A)のA-A矢視断面図である。
【
図9】第1実施形態による圧接コネクタの構成を示す図であり、
図9(A)は、圧接コネクタが篏合コネクタに接続した状態を示す右側面図、
図9(B)は、
図9(A)のB-B矢視断面図である。
【
図10】第1実施形態による圧接コネクタに備わる圧接コンタクト群の構成を示す斜視図である。
【
図11】第1実施形態によるソケットハウジングの構成を示す斜視図であり、ソケットハウジングを上面側から観た状態図である。
【
図12】第1実施形態によるソケットハウジングの構成を示す斜視図であり、ソケットハウジングを下面側から観た状態図である。
【
図13】第1実施形態による圧接コネクタに備わる圧接コンタクト群の構成を示す斜視図であり、圧接コンタクトの極数を8極に構成した例を示している。
【
図14】第1実施形態による圧接コネクタに備わる圧接コンタクト群の構成を示す斜視図であり、圧接コンタクトを並列多芯ケーブルに圧接接続した状態図である。
【
図15】第1実施形態による圧接コネクタに備わる圧接コンタクト群の構成を示す図であり、
図15(A)は、圧接コンタクト群の正面図、
図15(B)は、
図15(A)の要部拡大図であり、圧接コンタクトの極数を8極に構成した例を示している。
【
図16】第1実施形態による圧接コネクタに備わる圧接コンタクトの極数と偏心量の関係を示す表である。
【
図17】第2実施形態による圧接コネクタに備わる圧接コンタクト群の構成を示す斜視図であり、圧接コンタクトを並列多芯ケーブルに圧接接続した状態図である。
【
図18】第2実施形態による圧接コネクタに備わる一方の圧接コンタクトの構成を示す斜視図である。
【
図19】第2実施形態による圧接コネクタに備わる他方の圧接コンタクトの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0015】
[第1実施形態]
(圧接コネクタの構成)
(全体構成)
最初に、本発明の第1実施形態による圧接コネクタ組立体10の構成を説明する。
図1から
図12を参照すると、第1実施形態による圧接コネクタ1は、並列多芯ケーブル(以下、ケーブルと略称する)Cbと電気的に接続できる。ケーブルCbは、複数の被覆電線を所定のピッチP1で並列配置している(
図1参照)。ケーブルCbは、複数の芯線Wcとこれらの芯線Wcを被覆した被覆部Wiを有している(
図1参照)。
【0016】
図1から
図3を参照すると、圧接コネクタ1は、直方体状のソケットハウジング1hと板状のリッドハウジング31付きカバーハウジング3を備えている。カバーハウジング3は、ケーブルCb(被覆電線)を外周方向から支持できる。ソケットハウジング1hは、カバーハウジング3を受容可能な矩形の凹部1aを開口している。(
図11(A)参照)。
【0017】
(圧接コンタクトの構成)
図8から
図10を参照すると、圧接コネクタ1は、対を成す複数の圧接コンタクトT1・T2を備えている。圧接コンタクトT1・T2は、圧接端子部2aを一方の端部に有している(
図10参照)。又、圧接コンタクトT1・T2は、挟持端子部2bを他方の端部に有している(
図10参照)。圧接端子部2aは、被覆電線を圧接接続により結線できる。挟持端子部2bは、相手側コンタクトとなるピンコンタクト51と接続できる(
図2又は
図3及び
図9(B)参照)。
【0018】
図10を参照すると、圧接端子部2aは、被覆電線を挿入可能な第1スロット22dを開口している。第1スロット22dは、一対の圧接片22・22の間に切り欠かれている。圧接端子部2aを被覆電線に向かって挿入すると、一対の圧接片22・22が被覆電線の被覆部Wiを押し退け、芯線Wcを第1スロット22dに導入できる(
図8(B)参照)。
【0019】
図10を参照すると、挟持端子部2bは、一対の挟持アーム25・25を圧接端子部2aと相反する向きに延出している。つまり、圧接コンタクトT1・T2は、圧接端子部2aが延びる方向と挟持端子部2bが延びる方向を相反する向きに配置している。一対の挟持アーム25・25の間に形成された第2スロット25dにピンコンタクト51を導入することで、圧接コンタクトT1・T2とピンコンタクト51を電気的に接続できる(
図2又は
図3参照)。
【0020】
図10を参照すると、圧接コンタクトT1・T2は、圧接端子部2aの板厚面と挟持端子部2bの板厚面とが略直交するようにL字状のクランク片23・24で結合している。又、圧接コンタクトT1・T2は、圧接端子部2aから挟持端子部2bに向かう向きを線対称に配置している。
【0021】
図14又は
図15を参照すると、圧接コネクタ1は、圧接端子部2aに形成した第1スロット22dの中心と挟持端子部2bの板厚面の中心との距離が相手側コンタクトとなるピンコンタクト51のピッチP2を規定している(
図15参照)。
【0022】
又、
図10を参照すると、圧接コンタクトT1・T2は、対向する一組の圧接端子部2a・2aと、一組の圧接端子部2a・2aに基端部同士を連結する架橋片21と、を有している。つまり、圧接コンタクトT1・T2は、いわゆるツインスロットを構成している。一組の圧接端子部2a・2aが芯線Wcと導通することで、芯線Wcとの電気的接続を確実にしている。
【0023】
(ソケットハウジングの構成)
次に、ソケットハウジング1hの構成を説明する。
図11を参照すると、ソケットハウジング1hは、複数の半円弧状の電線挿入溝1dを凹部1aの両辺の上面に形成している。電線挿入溝1dには、ケーブルCbを外周方向から導入できる。これにより、ケーブルCbの幅方向の移動が規制される。
【0024】
又、
図11又は
図12を参照すると、ソケットハウジング1hは、直方体状の凸部12を凹部1aの底部から突出している、凸部12は、嵌合コネクタ5を構成する直方体状のハウジング5hに形成した凹部5aに嵌合できる(
図2又は
図3参照)。
【0025】
図11又は
図12を参照すると、凸部12は、一組のランス12r・12rとキー溝12dを一方の面に形成している。一組のランス12r・12rは、凸部12の一方の面から突出している。凸部12をハウジング5hの凹部5aに挿入し、一組のランス12r・12rがハウジング5hに形成した一組の切り欠き溝5d・5dに係止することで(
図1参照)、嵌合コネクタ5に対して圧接コネクタ1の抜けを抑制できる。
【0026】
図2(A)又は
図3(A)を参照すると、キー溝12dは、ハウジング5hの内壁に設けたキー5kと嵌合できる。これにより、嵌合コネクタ5に対して圧接コネクタ1の誤挿入を抑制できる。
【0027】
(カバーハウジングの構成)
次に、カバーハウジング3の構成を説明する。
図4を参照すると、カバーハウジング3は、ソケットハウジング1hに形成した電線挿入溝1d(
図11参照)と連通する複数の半円弧状の電線挿入溝3dを上面に形成している。又、カバーハウジング3は、圧接端子部2aが進入可能な複数のスリット3sを電線挿入溝3dに開口している。これらのスリット3sは、カバーハウジング3に形成した電線挿入溝3dが延びる方向に対して、横断している。これらのスリット3sには、圧接端子部2aの基端部が幅方向に挿入される。
【0028】
(リッドハウジングの構成)
次に、リッドハウジング31の構成を説明する。
図4(B)を参照すると、板状の矩形のリッドハウジング31は、カバーハウジング3の一方の端部に形成した屈曲自在な一対のヒンジ部3h・3hと端縁が結合している。これにより、カバーハウジング3に対して、リッドハウジング31を開閉できる。
【0029】
又、
図4(A)を参照すると、リッドハウジング31は、第2の電線導入溝31dをケーブルCbの押圧面に形成している。カバーハウジング3に対して、リッドハウジング31を閉じることで、第2の電線導入溝31dには、ケーブルCbの被覆電線を外周方向から覆うことができる。
【0030】
図4(A)を参照すると、リッドハウジング31は、門型の係止アーム31rを他方の端部に形成している。
図4(A)に示した電線挿入溝3dにケーブルCbを導入し、一対のヒンジ部3h・3hを支点に、リッドハウジング31を回動することで、係止アーム31rがカバーハウジング3の他方の端部を係止し、ケーブルCbを挟持できる(
図5参照)。
【0031】
(嵌合コネクタの構成)
次に、嵌合コネクタ5の構成を説明する。
図1から
図3及び
図8又は
図9を参照すると、嵌合コネクタ5は、直方体状のハウジング5h、複数のピンコンタクト51、及び、プリント基板5pを備えている。
【0032】
図8(B)を参照すると、複数のピンコンタクト51は、それらの中間部がハウジング5hの底部に圧入されている。ピンコンタクト51の一端部は、一対の挟持アーム25・25の間に挿入でき、圧接コンタクトT1・T2と電気的に接続できる。ピンコンタクト51の他端部は、プリント基板5pと電気的に接続できる。具体的には、ピンコンタクト51の他端部は、プリント基板5pに形成したスルーホール51tに挿入でき(
図2参照)、スルーホール51tにハンダ接合される。
【0033】
(圧接コネクタ組立体の組立手順)
次に、圧接コネクタ組立体10の組立手順を説明する。
最初に、
図4(A)を参照して、カバーハウジング3に対して、リッドハウジング31を開いた状態で、電線挿入溝1dにケーブルCbを外周方向から導入する(手順1)。
次に、カバーハウジング3に対して、リッドハウジング31を閉じることで、
図5に示すように、リッドハウジング31付きカバーハウジング3がケーブルCbを支持できる(手順2)。
【0034】
次に、
図5に示した状態のカバーハウジング3を
図6に示すように、ソケットハウジング1hに仮係止する(手順3)。
図6に示したけ仮係止状態では、圧接コンタクトT1・T2(圧接端子部2a)は、ケーブルCbに到達していない(
図7参照)。
【0035】
次に、
図6及び
図7に示した仮係止状態から、図示しないプライヤなどの圧接工具を用いて、ケーブルCb付きカバーハウジング3をソケットハウジング1hに押し込む(手順4)。
これにより、圧接コンタクトT1・T2(圧接端子部2a)は、被覆電線を圧接できる(
図8(A)又は
図9(A)参照)。又、カバーハウジング3をソケットハウジング1hに押し込むと、カバーハウジング3の他方の端面に設けた係止穴(図示せず)が凹部1aの内壁に設けたランス1r(
図11参照)に係止することで、カバーハウジング3の脱落が抑制される。
【0036】
次に、
図8又は
図9に示したソケット組立品を、嵌合コネクタ5に接続する(手順5)。
具体的には、カバーハウジング3の凸部12をハウジング5hの凹部5aに挿入する(
図2(A)参照)。これにより、圧接コンタクトT1・T2の挟持端子部2bとピンコンタクト51を接続できる。なお、ピンコンタクト51は、予め、ハウジング5hに組み込まれている。又、ケーブルCbとプリント基板5pを電気的に接続できる(
図1から
図3参照)。
【0037】
(圧接コネクタの作用)
次に、圧接コネクタ1の構成を補足しながら、圧接コネクタ1の作用及び効果を説明する。
図14を参照すると、圧接コンタクトT1の圧接端子部2a(
図10参照)と圧接コンタクトT2の圧接端子部2a(
図10参照)は、ケーブルCbの長さ方向に干渉しないように、千鳥格子状に配列している。一方、複数の挟持端子部2b(一対の挟持アーム25・25)は、整列され挟持アーム25・25の中心は、一直線上に配置されている。
【0038】
図14を参照すると、圧接コネクタ1は、圧接端子部2aに形成した第1スロット22dの中心と挟持端子部2bの板厚面の中心との距離が相手側コンタクトとなるピンコンタクト51のピッチP2を規定している。例えば、圧接コネクタ1は、被覆電線の中心間距離(ピッチP1)が「2.54」mmに対し、圧接コンタクトT1・T2をケーブルCbに接続することで、挟持端子部2bに接続されるピンコンタクト51の中心間距離(ピッチP2)を「2.5」mmに変換できる。
図15を参照すると、P1>P2の関係にあることを示している。
【0039】
実施形態による圧接コネクタ1は、圧接端子部2aから挟持端子部2bに向かう向きを線対称に配置した対を成す複数の圧接コンタクトT1・T2を備えることで、極数の1/2種類の圧接コンタクトでケーブルCbのピッチを相手側コンタクトのピッチに変換できる。これにより、圧接コネクタの構成を簡易にできる。
【0040】
上述した技術思想を応用すれば、8極以上の圧接コンタクトでもピッチ変換できる。
図9を参照すると、圧接コンタクトT1と圧接コンタクトT2は、圧接コンタクト群の中心に対し、線対称に配置されている。又、圧接コンタクトT3と圧接コンタクトT4は、圧接コンタクト群の中心に対し、線対称に配置されている。
【0041】
図10又は
図15を参照すると、圧接端子部2aのピッチP1と挟持端子部2bのピッチP2と偏心量Lは、水平方向に延びるクランク片24の長さに依存している。
図15を参照して、偏心量Lは、「(P1-P2)/2」の数式で求めることができる。
図16を参照すると、の圧接スロットと篏合側の偏心量Lと圧接コンタクトの極数Nの関係は、次式で求めることができる。
偏心量L=(P1―P2)×(N-1)/2 N=極数
図16では、圧接コンタクトの極数Nが2極から8極の場合を示している。
図16を参照すると、偏心量Lは、極数Nが増えるごとに変化することが判る。
【0042】
図10又は
図15を参照すると、鉛直方向に延びるクランク片23は、被覆電線のピッチP1と挟持端子部2bとのピッチP2の微小差を吸収可能に面方向に撓み可能に構成している。これにより、圧接コンタクトの製作誤差を吸収できる。
【0043】
[第2実施形態]
(圧接コネクタの構成)
次に、本発明の第2実施形態による圧接コネクタの構成を説明する。
図17から
図19を参照すると、第2実施形態による圧接コネクタは、対を成す複数の圧接コンタクトT5・T6を備えている。圧接コンタクトT5・T6は、圧接端子部4aを一方の端部に有している。又、圧接コンタクトT5・T6は、挟持端子部4bを他方の端部に有している。圧接端子部2aは、被覆電線を圧接接続により結線できる。挟持端子部4bは、相手側コンタクトとなるピンコンタクト51と接続できる(
図2から
図6参照)。
【0044】
図18又は
図19を参照すると、圧接端子部4aは、被覆電線を挿入可能な第1スロット42dを開口している。第1スロット42dは、一対の圧接片42・42の間に切り欠かれている。圧接端子部4aを被覆電線に向かって挿入すると、一対の圧接片42・42が被覆電線の被覆を押し退け、芯線Wcを第1スロット42dに導入できる。
【0045】
図18又は
図19を参照すると、挟持端子部4bは、一対の挟持アーム45・45を圧接端子部4aと相反する向きに延出している。つまり、圧接コンタクトT5・T6は、圧接端子部4aが延びる方向と挟持端子部4bが延びる方向を相反する向きに配置している。一対の挟持アーム45・45の間に形成された第2スロット45dにピンコンタクト51を導入することで、圧接コンタクトT5・T6とピンコンタクト51を電気的に接続できる。
【0046】
図18又は
図19を参照すると、圧接コンタクトT5・T6は、圧接端子部4aの板厚面と挟持端子部4bの板厚面とが略直交するようにL字状のクランク片43・44で結合している。又、圧接コンタクトT5・T6は、圧接端子部4aから挟持端子部4bに向かう向きを線対称に配置している(
図17参照)。
【0047】
図13又は
図14を参照すると、第2実施形態による圧接コネクタは、圧接端子部4aに形成した第1スロット42dの中心と挟持端子部4bの板厚面の中心との距離が相手側コンタクトとなるピンコンタクト51のピッチP2を規定している。
【0048】
又、
図13又は
図14を参照すると、圧接コンタクトT5・T6は、対向する一組の圧接端子部4a・4aと、一組の圧接端子部4a・4aに基端部同士を連結する架橋片41と、を有している。つまり、圧接コンタクトT5・T6は、いわゆるツインスロットを構成している。一組の圧接端子部4a・4aが芯線Wcと導通することで、芯線Wcとの電気的接続を確実にしている。
【0049】
(圧接コネクタの作用)
第2実施形態による圧接コネクタは、第1実施形態による圧接コネクタ1とその効果に大きな相違がないが、鉛直方向に延びるクランク片43の長さを短くすることで、リッドハウジング31からプリント基板5pに至る実装高さを低減できるという特別な効果がある。
【0050】
本発明による圧接コネクタは、嵌合コネクタに備わる相手側コンタクトとは異なるピッチで配列された被覆電線と嵌合コネクタを電気的に接続する圧接コネクタであって、圧接端子部から挟持端子部に向かう向きを線対称に配置した対を成す複数の圧接コンタクトを備えることで、極数の1/2種類の圧接コンタクトで並列多芯ケーブルのピッチを相手側コンタクトのピッチに変換できる。これにより、圧接コネクタの構成を簡易にできる。
【0051】
本発明による圧接コネクタは、実施例では、接続対象物として並列多芯ケーブルを記載したが、圧接コネクタの接続対象物は、並列多芯ケーブルに限定されない。通常の複数の被覆電線にも適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 圧接コネクタ
1h ソケットハウジング
2a 圧接端子部
2b 挟持端子部
3 カバーハウジング
5 嵌合コネクタ
10 圧接コネクタ組立体
22d 第1スロット
25d 第2スロット
51 ピンコンタクト(相手側コンタクト)
T1・T2 一組の圧接コンタクト
Cb ケーブル(並列多芯ケーブル)