(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113366
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】サッシの改修方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20240815BHJP
E06B 1/28 20060101ALN20240815BHJP
E06B 1/16 20060101ALN20240815BHJP
【FI】
E06B1/56 B
E06B1/56 A
E06B1/28
E06B1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018298
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 奈実
(72)【発明者】
【氏名】相馬 剛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕樹
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KB03
2E011KB04
2E011KC01
2E011KC07
2E011KD14
2E011KF02
2E011KG06
2E011KH02
(57)【要約】
【課題】外壁材を除去せずに、既設のサッシを新設のサッシに容易に交換できるサッシの改修方法を提供すること。
【解決手段】開口を区画するまぐさ51、窓台52および左右の縦材を備えて構成されて外装材91の室内側に配置される躯体開口枠5に取り付けられるサッシの改修方法である。既設窓枠を躯体開口枠5から室内側に取り外す既設枠取外工程と、躯体開口枠5の少なくともまぐさ51および左右の縦材に、シーリングテープ70を取り付けるシーリングテープ取付工程と、躯体開口枠5に室内側から新設窓枠2Bを取り付けてシーリングテープ70に当接させる新設枠取付工程と、新設窓枠2Bの室内側に額縁95Bを施工する内装材施工工程と、を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を区画する上材、下材および左右の縦材を備えて構成されて外壁材の室内側に配置される開口枠に取り付けられる既設窓枠を新設窓枠に交換するサッシの改修方法であって、
前記既設窓枠を前記開口枠から室内側に取り外す既設枠取外工程と、
前記開口枠の少なくとも前記上材および左右の前記縦材、または、前記新設窓枠の少なくとも上枠および左右の縦枠に、緩衝部材を取り付ける緩衝部材取付工程と、
前記開口枠に室内側から前記新設窓枠を取り付けて、前記開口枠および前記新設窓枠間を前記緩衝部材で塞ぐ新設枠取付工程と、
前記新設窓枠の室内側に内装材を施工する内装材施工工程と、
を有することを特徴とするサッシの改修方法。
【請求項2】
請求項1に記載のサッシの改修方法において、
前記緩衝部材取付工程は、前記緩衝部材を、前記上材および前記縦材の見込み面に取り付け、
前記新設枠取付工程は、前記新設窓枠の前記上枠および左右の前記縦枠の見込み面を前記緩衝部材に当接させて前記新設窓枠を前記開口枠に取り付ける
ことを特徴とするサッシの改修方法。
【請求項3】
請求項1に記載のサッシの改修方法において、
前記既設窓枠および前記新設窓枠は、前記開口枠の室内面に当接する位置決め部材を有する
ことを特徴とするサッシの改修方法。
【請求項4】
請求項1に記載のサッシの改修方法において、
前記既設窓枠には、前記外壁材の開口面に対向する既設見切り材が取り付けられ、
前記外壁材の開口面と前記既設見切り材との間にはシール材が充填されており、
前記既設枠取外工程の前に、
前記シール材を除去するシール除去工程と、
前記既設見切り材において前記開口枠と見込み方向に重なる部分を除去する既設見切り材除去工程とを、
有することを特徴とするサッシの改修方法。
【請求項5】
請求項1に記載のサッシの改修方法において、
前記新設枠取付工程の後に、
前記新設窓枠に新設見切り材を取り付ける新設見切り材取付工程を
有することを特徴とするサッシの改修方法。
【請求項6】
請求項1に記載のサッシの改修方法において、
前記既設窓枠は、前記開口枠に接着剤で固定されており、
前記既設枠取外工程の前に、前記接着剤を除去する接着剤除去工程を
有することを特徴とするサッシの改修方法。
【請求項7】
請求項1に記載のサッシの改修方法において、
前記緩衝部材取付工程は、前記緩衝部材を、前記開口枠の前記上材および左右の前記縦材の三方、または、前記新設窓枠の前記上枠および左右の前記縦枠の三方に連続して取り付ける
ことを特徴とするサッシの改修方法。
【請求項8】
請求項1に記載のサッシの改修方法において、
前記下材にはアタッチメントが配置され、
前記アタッチメントと、前記既設窓枠または前記新設窓枠の下枠との間は止水材で塞がれている
ことを特徴とするサッシの改修方法。
【請求項9】
請求項1に記載のサッシの改修方法において、
前記新設枠取付工程の後、前記内装材施工工程の前に、少なくとも前記下材と前記新設窓枠の下枠との間に室内側からシーリング材を充填するシーリング材充填工程を有する
ことを特徴とするサッシの改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、躯体開口部に取り付けられた既設のサッシを取り外して新設のサッシを取り付けるサッシの改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工場において躯体開口枠にサッシをネジによって取り付けて壁面ユニットを製造し、この壁面ユニットを建築現場に搬送して建築物の躯体に取付けるパネル工法の壁面ユニットが開示されている。
この壁面ユニットを建築物に取り付けた後、サッシの上枠、縦枠の室外側の見付け面を覆う位置まで外壁材を配設して仕上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物の躯体開口部に取り付けられるサッシでは、長期間使用した場合などに新設のサッシに交換して改修することが求められる。特許文献1の壁面ユニットは、躯体開口枠の内周部分にサッシの枠体を見込み方向に位置決めする位置決め部が設けられ、この位置決め部に枠体の室内側の見付け面を当接させて枠体を位置決めしている。このため、サッシを改修する際に、躯体開口枠に対して枠体を室外側に外す必要があり、枠体の室外側に設けられる外壁材も除去する必要があるため、大掛かりな改修作業が必要となる。
【0005】
本発明は、外壁材を除去せずに、既設のサッシを新設のサッシに容易に交換できるサッシの改修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサッシの改修方法は、開口を区画する上材、下材および左右の縦材を備えて構成されて外壁材の室内側に配置される開口枠に取り付けられる既設窓枠を新設窓枠に交換するサッシの改修方法であって、前記既設窓枠を前記開口枠から室内側に取り外す既設枠取外工程と、前記開口枠の少なくとも前記上材および左右の前記縦材、または、前記新設窓枠の少なくとも上枠および左右の縦枠に、緩衝部材を取り付ける緩衝部材取付工程と、前記開口枠に室内側から前記新設窓枠を取り付けて、前記開口枠および前記新設窓枠間を前記緩衝部材で塞ぐ新設枠取付工程と、前記新設窓枠の室内側に内装材を施工する内装材施工工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外壁材を除去せずに、既設のサッシを新設のサッシに容易に交換できるサッシの改修方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】既設のサッシを含む壁面ユニットの内観姿図である。
【
図2】既設のサッシが取り付けられた外壁部分を示す縦断面図である。
【
図3】既設のサッシが取り付けられた外壁部分を示す横断面図である。
【
図4】サッシの改修方法における内装材取外工程、接着剤除去工程およびシール除去工程を説明する図である。
【
図5】サッシの改修方法における既設見切り材除去工程を説明する図である。
【
図6】サッシの改修方法における既設枠取外工程を説明する図である。
【
図7】サッシの改修方法における緩衝部材取付工程を説明する図である。
【
図8】サッシの改修方法における新設枠取付工程を説明する図である。
【
図9】サッシの改修方法における新設見切り材取付工程を説明する図である。
【
図10】改修作業が完了した新設のサッシが取り付けられた外壁部分を示す縦断面図である。
【
図11】改修作業が完了した新設のサッシが取り付けられた外壁部分を示す横断面図である。
【
図12】変形例の新設のサッシが取り付けられた外壁部分を示す縦断面図である。
【
図13】変形例の新設のサッシが取り付けられた外壁部分を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、壁面ユニット10を室内側から見た内観姿図であり、
図2および
図3は、壁面ユニット10が取り付けられた外壁部分の縦断面図および横断面図である。ここで例示する壁面ユニット10は、建築物に取り付ける際に単一の構造体として取り扱われるものであり、建具であるサッシ1および躯体開口枠5を備えている。なお、以下の説明において、壁面ユニット10の左右方向をX軸方向とし、壁面ユニット10の上下方向をY軸方向とし、壁面ユニット10の見込み方向(屋内外方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
躯体開口枠5は、
図1に示すように、開口を区画する上材であるまぐさ51と、下材である窓台52と、左右の縦材53、54とを備えて構成される開口枠である。この躯体開口枠5の開口には、サッシ1が固定されている。
サッシ1は内開き窓であり、既設窓枠2と、既設窓枠2内にヒンジ26によって開閉可能に配置された既設障子3とを備えた既設のサッシ1である。既設窓枠2は、上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24を四周枠組みすることで構成されている。既設障子3は、上框31、下框32および左右の縦框33、34とこれらに囲まれた面材35とを備えている。なお、
図2~
図11では、図面を見やすくするために、既設窓枠2や既設障子3の主要構造材については、断面を示すハッチングを省略している。
【0011】
既設窓枠2の上枠21、下枠22および左右の縦枠23、24は、
図2、3に示すように、同一断面形状を有した枠材で形成されている。これらの枠材は、合成樹脂製の押出形材で構成され、窓種である内開き窓に応じた断面形状とされている。また、各枠材の外周面つまり躯体開口枠5に対向する見込み面には、凹部が形成されている。
縦枠23、24には、位置決め部材であるブラケット40が設けられている。ブラケット40は、金属製の板材であり、室外側は縦枠23、24の見込み面に沿って折曲されて縦枠23、24の凹部にネジ48でネジ止めされ、室内側は外側に折曲されて縦材53、54の段部532、542に当接されてネジ49でネジ止めされている。このブラケット40が段部532、542の室内見付け面に当接することによって、縦枠23、24つまり既設窓枠2は、縦材53、54つまり躯体開口枠5に対して見込み方向に位置決めされている。本実施形態では、既設窓枠2の室外側の見付け面と、躯体開口枠5の室外面とが、ほぼ面一となるように位置決めされている。
なお、本実施形態では、ブラケット40は、縦枠23、24の上下方向の中間位置に配置されているが、縦枠23、24の高さ寸法に応じて、複数箇所に配置してもよい。また、本実施形態では、上枠21には位置決め部材であるブラケットは設けられていないが、例えば、上枠21の長手寸法が大きい場合、つまり既設窓枠2の左右の幅寸法が大きい場合には、例えば上枠21の左右方向の中間位置にブラケットを設けてもよい。
また、
図2に示すように、下枠22の外周面の凹部にはスペーサ27が取り付けられている。これにより、下枠22に加わる荷重は、下枠22およびスペーサ27を介して窓台52で支持される。
【0012】
既設障子3は、矩形状を成す面材35の四周に上框31、下框32および左右の縦框33、34を装着して構成されている。上框31、下框32および左右の縦框33、34は、同一断面形状を有する合成樹脂製の押出形材である。面材35は、例えばトリプルガラスである。
既設障子3は、室内側から見て左側に位置する縦框33と縦枠23との間にヒンジ26を設け、上下に沿ったヒンジ軸を中心として既設障子3が室内側に開くように構成した内開き窓である。室内側から見て右側に位置する縦框34には、室内に臨む見付け面にハンドル36が設けてある。
【0013】
躯体開口枠5は、
図1に示すように、まぐさ51と、窓台52と、左右の縦材53、54とを備えて枠状に構成されている。縦材53,54の上端側は、まぐさ51よりも上方に延長され、縦材53,54の下端側は、窓台52よりも下方に延長され、縦材53、54の上端間および下端間にはそれぞれ横材55、56が横勝ちで取り付けられている。横材55およびまぐさ51間と、窓台52および横材56間には縦桟57がそれぞれ取り付けられている。まぐさ51、窓台52、左右の縦材53、54、横材55、56、縦桟57は、例えば木材によって構成されている。
上端側の横材55とまぐさ51との間と、窓台52と下端側の横材56との間には、
図2に示すように、それぞれ断熱材60が配置されている。また、躯体開口枠5の室外面には表面材58が取り付けられている。表面材58は、複数の木質板材を重ね合わせたパーティクルボードなどの耐力面材で構成されている。
なお、壁面ユニット10の高さ寸法と、サッシ1の高さ寸法との関係によっては、横材55、56の一方または両方を設けずに躯体開口枠5を構成してもよい。
【0014】
まぐさ51は、
図2に示すように、躯体開口枠5の開口に面する見込み面511を有し、見込み面511の室内側には段部512が形成されている。すなわち、まぐさ51は、上枠21に対向する見込み面511と、見込み面511の室内端から上方に延出され、さらに室内側に延出されて段部512を形成する鉛直面および水平面を有している。
窓台52は、躯体開口枠5の開口に面する見込み面521を有し、見込み面521の室内側および室外側には段部522、523が形成されている。すなわち、窓台52は、下枠22に取り付けられたスペーサ27が載置される上面である見込み面521と、見込み面521の室内端から下方に向かって設けられた鉛直面と、鉛直面の下端から室内側に向かって延出された水平面とで区画される段部522と、見込み面521の室外端から下方に向かって設けられる鉛直面と、鉛直面の下端から室外側に向かって延出された水平面とで区画される段部523とを有する。
窓台52の見込み面521から段部522の鉛直面、水平面を介して窓台52の室外側に設けられる表面材58の室外面まで防水シート59が取り付けられている。
【0015】
縦材53、54は、
図3に示すように、躯体開口枠5の開口に面する見込み面531、541を有し、見込み面531、541の室内側には段部532、542が形成されている。すなわち、縦材53、54は、縦枠23、24に対向する見込み面531、541と、見込み面531、541の室内端から見付け方向外周側に延出され、さらに室内側に延出されて段部532、542を形成する見付け面および見込み面を有している。前述したブラケット40の室内側端部は、段部532、542の見付け面および見込み面に当接するように折曲され、見付け面に当接することで見込み方向に位置決めされ、見込み面に当接する部分でネジ49により縦材53、54に固定される。
【0016】
躯体開口枠5の内周側に配置された既設窓枠2の上枠21、下枠22、縦枠23、24は、
図1から
図3に示すように、接着剤61で、まぐさ51、窓台52、縦材53、54に固定されている。具体的には、段部512、522、532、542は、見込み方向(Z軸方向)に同じ位置に形成されており、接着剤61は、段部512、522、532、542と、上枠21、下枠22、縦枠23、24の見込み面の室内側端部との間に充填され、上枠21、下枠22、縦枠23、24の全長に亘って四周連続して設けられている。この接着剤61の充填作業は、壁面ユニット10の製造ラインにおいて実施され、機械化されているため、自動的にかつ均一に接着剤61を充填することができる。
以上のとおり、接着剤61は、躯体開口枠5と既設窓枠2との室内側の隙間を四周連続して塞ぐことで固定している。このため、接着剤61によって、躯体開口枠5に既設窓枠2を強固に固定でき、かつ、躯体開口枠5および既設窓枠2間の気密性および水密性を確保できる。
なお、接着剤61は、既設窓枠2を躯体開口枠5に固定可能なものであれば利用でき、例えば、ホットメルト型、2液混合型、湿気効果型などの各種の接着剤が利用可能である。また、接着剤61は塗布箇所によって異なる種類を用いてもよい。
【0017】
図2および
図3に示すように、躯体開口枠5の室外面には、上見切り材81、縦見切り材83、84が取り付けられている。
上見切り材81は、上枠21の室外面にネジ85で固定される固定片と、固定片から室外側に延出された見切り片とを備えて断面略L字状に構成されている。見切り片の下面にはビスホールが形成され、このビスホールには、縦見切り材83、84と上見切り材81とを連結する図示略のネジが螺合される。
縦見切り材83、84は、左右対称の同一断面形状であり、縦枠23、24の室外面にネジ85で固定される固定片と、固定片から室外側に延出された見切り片とを備えて断面L字状に形成されている。
【0018】
図2に示すように、窓台52の段部523には、防水シート59を挟んでアタッチメント86が固定され、このアタッチメント86には水切り材82が着脱可能に取り付けられている。
アタッチメント86は、見込み面521にネジ87で固定される固定片と、気密材88が取り付けられる保持片と、水切り材82が係合される上下一対の係合片とを有する。気密材88は、下枠22の下面に当接し、アタッチメント86および下枠22間をシールする止水材として機能する。また、アタッチメント86には、ビスホールが形成され、アタッチメント86の両端面に取り付けられるカバー89(
図3参照)がビスホールに螺合されるネジで固定されている。
水切り材82は、アタッチメント86の係合片に係合されて取り付けられている。水切り材82のX軸方向の長さ寸法は、アタッチメント86の長さ寸法と略同じ寸法とされ、その両端部は縦見切り材83、84の下端に配置されている。このため、縦見切り材83、84の下端は、水切り材82の上面の形状に合わせて形成されている。縦見切り材83、84の下端と水切り材82の上面との間には、
図3に示すように、シーラー77が配置されている。また、水切り材82にはビスホールが形成され、水切り材82の小口を塞ぐ端部キャップ821がビスホールに螺合されるネジで固定されている。
【0019】
図2および
図3に示すように、上枠21、縦枠23、24の室外面と、表面材58とに跨がって防水テープ71、72が貼られている。防水テープ71、72は、上枠21、縦枠23、24と、表面材58との間からの浸水を防止している。また、
図2に示すように、上見切り材81の上方において、表面材58の室外面および防水テープ71の表面には防水シート73が貼られている。
【0020】
躯体開口枠5の室外側には、
図2および
図3に示すように、縦胴縁92や横胴縁93を介して外壁材として設けられる外装材91が取り付けられている。外装材91は、上見切り材81、水切り材82、縦見切り材83、84で区画される開口部分を除いて取り付けられている。外装材91つまり外壁材の開口面と、上見切り材81、水切り材82および縦見切り材83、84との間には、バックアップ材75およびシール材76が配置されている。
躯体開口枠5の室内側には、サッシ1が配置される開口部分を除いて内壁材94が取り付けられている。また、躯体開口枠5の開口内周面には、内壁材94を見切る額縁95が四周に取り付けられている。すなわち、躯体開口枠5の室内側には、内装材として、内壁材94および額縁95が取り付けられている。
【0021】
[壁面ユニットの組立工程]
次に、壁面ユニット10を組み立てる工程について説明する。
サッシ1の製造工場において、サッシ1を組み立てる。この組立方法は、一般的なサッシ1と同一であるため、説明を省略する。
躯体開口枠5の組立工場では、まぐさ51、窓台52、左右の縦材53、54、横材55、56を枠組みし、表面材58を取り付けるとともに断熱材60を配置して躯体開口枠5を組み立てる。
【0022】
次に、壁面ユニット10の組立工場において、躯体開口枠5にサッシ1およびアタッチメント86を取り付けて壁面ユニット10を組み立てる。なお、壁面ユニット10の組立は、サッシ1の製造工場や躯体開口枠5の組立工場と同じ工場で行ってもよいし、別の工場でもよい。
壁面ユニット10を組み立てるには、まず、躯体開口枠5に防水シート59を貼り付け、気密材88およびカバー89を取り付けたアタッチメント86をネジ87で窓台52に固定する。また、既設窓枠2にブラケット40をネジ48で固定し、躯体開口枠5にブラケット40をネジ49で固定して既設窓枠2を位置決めする。そして、接着剤61で既設窓枠2の室内側を躯体開口枠5に固定する。
なお、接着剤61を吐出する作業は、作業者が手動で行うこともできるが、壁面ユニット10を工場で組み立てているので、ロボットなどを用いて自動化することができる。
【0023】
[壁面ユニットの現場施工作業]
以上の組立作業によって、壁面ユニット10が完成する。この壁面ユニット10を施工現場に搬送する。この際、サッシ1は、壁面ユニット10の見込み面内に収まる内付けサッシであり、壁面ユニット10から突出する上見切り材81、水切り材82、縦見切り材83、84は取り付けられていないため、スペーサを介して複数の壁面ユニット10を平積みすることもでき、輸送効率を向上できる。
この壁面ユニット10を家屋等の建築物に取り付ける方法は、特許文献1と同様に行えば良いため説明を省略する。
壁面ユニット10を家屋等に取り付けた後、表面材58および上枠21、縦枠23、24に跨がって防水テープ71、72を貼り付けた後、上見切り材81、水切り材82、縦見切り材83、84を取り付ける。水切り材82はアタッチメント86に係合させて取り付ける。また、上見切り材81および縦見切り材83、84をネジで三方組んだ状態とし、上枠21、縦枠23、24にネジ85で取り付ける。
なお、壁面ユニット10を家屋等に取り付ける前、例えば、壁面ユニット10の工場での組立時や、施工現場に壁面ユニット10を搬送後、家屋に設置する前に、防水テープ71、72、上見切り材81、水切り材82、縦見切り材83、84を壁面ユニット10に取り付けてもよい。
さらに、上見切り材81および縦見切り材83、84の表面に防水テープ71、72、防水シート73を貼り付けた後、縦胴縁92、横胴縁93を取り付けて外装材91を設置する。その後、バックアップ材75、シール材76を配置して、外装材91と、上見切り材81、水切り材82、縦見切り材83、84との間をシールする。また、壁面ユニット10の室内側に、内壁材94および額縁95を取り付けて仕上げる。
【0024】
[サッシの改修方法]
次に、
図4~
図11を参照して、サッシ1の改修方法について説明する。なお、
図4~
図9において、(A)はサッシ1および躯体開口枠5の縦断面図、(B)は要部の横断面図である。
サッシ1の改修方法は、建築物に取り付けられた壁面ユニット10の躯体開口枠5、つまり躯体開口部から既設のサッシ1を取り外して新たなサッシ1Bを取り付ける方法である。
まず、
図4に示すように、内装材である額縁95を取り外す内装材取外工程と、躯体開口枠5と、既設窓枠2との隙間にカッターなどを差し込んで、接着剤61を切断、除去する接着剤除去工程とを実行する。また、外装材91と、上見切り材81、水切り材82、縦見切り材83、84との間からバックアップ材75、シール材76を除去するシール除去工程を実行する。さらに、ブラケット40を固定するネジ49も取り外す。
【0025】
次に、
図5に示すように、縦見切り材83、84の下部を、バールなどを用いて折り曲げたり、切断して除去する既設見切り材除去工程を実行する。
図5(B)の点線は、縦見切り材83の見切り片の下端を折り曲げた折り曲げ部83Aを示す。この縦見切り材83、84の折り曲げ位置あるいは切断位置は、下枠22の下面よりも高い位置であればよい。また、上見切り材81は、上枠21の上方に突出していないので、折り曲げや切断は不要である。
次に、
図6に示すように、既設のサッシ1を躯体開口枠5から室内側に取り外す既設枠取外工程を実行する。この際、上見切り材81および縦見切り材83、84は、既設窓枠2に取り付けられた状態で既設窓枠2と共に取り外される。
次に、アタッチメント86を固定するネジを外し、水切り材82およびアタッチメント86を躯体開口枠5から取り外す。なお、水切り材82、アタッチメント86の交換が不要と判断した場合は、躯体開口枠5に取り付けられた状態を維持する。また、水切り材82のみを交換し、アタッチメント86の交換が不要と判断した場合は、水切り材82のみをアタッチメント86から取り外せばよい。
【0026】
次に、
図7に示すように、まぐさ51、縦材53、54の見込み面511、531、541に、緩衝部材を取り付ける緩衝部材取付工程を実行する。本実施形態では、緩衝部材としてシーリングテープ70を用いており、緩衝部材取付工程では、緩衝部材であるシーリングテープ70をまぐさ51、縦材53、54に取り付けている。シーリングテープ70は、まぐさ51、縦材53、54の見込み面511、531、541と、後述する新設窓枠2Bの上枠21B、縦枠23B、24Bの見込み面との隙間を埋めることができる厚さ寸法を有し、まぐさ51、縦材53、54の見込み面511、531、541に固定できる粘着面を有するテープ状のシール材である。シーリングテープ70は、ポリウレタンなどで構成され、まぐさ51、縦材53、54と、新設窓枠2Bの上枠21B、縦枠23B、24Bとの間に配置されて、それらが互いに衝突することを防止する緩衝機能を有する。さらに、シーリングテープ70は、まぐさ51、縦材53、54と、新設窓枠2Bの上枠21B、縦枠23B、24Bとの間をシールする機能、つまり水密性や気密性を確保できる機能も有する。
このシーリングテープ70は、表面材58の開口端面から見込み面511、531、541の室内側端縁までの幅寸法を有し、まぐさ51、縦材53、54の3方に連続して貼付することができる長さ寸法とされている。なお、
図7(B)は、まぐさ51、縦材53、54に貼り付けられたシーリングテープ70を示す図である。
また、アタッチメント86を交換する場合は、気密材88Bおよびカバー89Bが取り付けられた新設のアタッチメント86Bを窓台52の段部523に配置してネジ87で固定する。
【0027】
次に、
図8に示すように、作業者は、新設のサッシ1Bを躯体開口枠5の開口内周に配置し、新設窓枠2Bを躯体開口枠5に固定する新設枠取付工程を実行する。
新設のサッシ1Bは、新設窓枠2Bおよび新設障子3Bを備えて構成される。新設窓枠2Bは、
図10、11に示すように、既設窓枠2と同様に、上枠21B、下枠22B、縦枠23B、24Bを備え、少なくとも上枠21B、下枠22Bの中空部には、角筒状の金属製の補強材28が挿入されている。新設窓枠2Bの内周面およびこの内周面に対向する補強材28の対向面には、ネジ100を挿通する挿通孔が予め形成されている。
また、新設障子3Bは、既設障子3と同様に、上框31B、下框32B、縦框33B、34B、面材35B、ハンドル36Bを備えて構成され、ヒンジ26Bによって新設窓枠2Bに対して内開き可能に取り付けられている。
【0028】
新設枠取付工程では、新設窓枠2Bの縦枠23B、24Bにブラケット40Bをネジ48で取り付けておき、ブラケット40Bの室内側端部の折曲部を、縦材53、54の段部532、542に当接させてネジ49で固定する。
次に、上枠21Bおよび下枠22Bの内周側からネジ100を差し込み、補強材28を介してネジ100をまぐさ51、窓台52に螺合する。これにより、新設窓枠2Bは、ブラケット40によって見込み方向に位置決めされた状態で、ネジ100により躯体開口枠5に固定される。
この際、新設窓枠2Bの下枠22Bは、スペーサ27Bを介して窓台52の見込み面521に載置され、アタッチメント86Bの気密材88Bに下枠22Bの下面が当接してシールされる。また、上枠21Bおよび縦枠23B、24Bは、シーリングテープ70に密着してシールされる。シーリングテープ70は、まぐさ51、縦材53、54の見込み面511、531、541に固定され、上枠21B、縦枠23B、24Bの見込み面に当接されることにより、まぐさ51、縦材53、54と、上枠21B、縦枠23B、24Bとの間の水密性・気密性が確保される。
【0029】
次に、
図9に示すように、新設の上見切り材81B、水切り材82B、縦見切り材83B、84Bを取り付ける新設見切り材取付工程を実行する。水切り材82Bは、端部キャップ821Bを取り付けた状態でアタッチメント86Bの係合片に係合して取り付ける。上見切り材81B、縦見切り材83Bは、三方枠組みし、かつ、シーラー77Bを配置した状態で、上枠21B、縦枠23B、24Bにネジ85で固定する。
【0030】
次に、
図10および
図11に示すように、外装材91つまり外壁材の開口面と、上見切り材81B、水切り材82B、縦見切り材83B、84Bとの間に、新設のバックアップ材75B、シール材76Bを充填して外壁部のシールを施工する外壁シール施工工程を実行する。また、まぐさ51、窓台52、縦材53、54の段部512、522、532、542に内装材である新設の額縁95Bを取り付ける内装材施工工程を実行する。以上により、新設のサッシ1Bへの改修が完了する。
新設のサッシ1Bは、躯体開口枠5に対して、上枠21Bおよび下枠22Bがネジ100で固定されている点と、シーリングテープ70によって、上枠21B、縦枠23B、24Bと、まぐさ51、縦材53、54との間の気密性・水密性が確保されている点が、既設のサッシ1と相違する。
【0031】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、既設窓枠2および新設窓枠2Bは、躯体開口枠5の見付け面に室外側から当接する釘ヒレ等を備えていないため、躯体開口枠5に対してサッシ1を室内側に取り外したり、サッシ1Bを室内側から取り付けることができる。このため、サッシの改修時に外装材91を撤去したり、破壊する必要が無いため、既設のサッシ1を、短期間かつ低コストで新設のサッシ1Bに改修することができる。また、既設のサッシ1を取り外す既設枠取外工程や、新設のサッシ1Bを取り付ける新設枠取付工程を、躯体開口枠5の室内側から作業することができるため、サッシ改修時の作業性や安全性を向上できる。
さらに、サッシの改修作業を行う施工現場では、まぐさ51、縦材53、54にシーリングテープ70を貼り付け、このシーリングテープ70に新設窓枠2Bの上枠21、縦枠23、24を当接させることで水密性、気密性を確保している。このため、改装時に湿式のシーリング材を、まぐさ51、縦材53、54と、上枠21、縦枠23、24との間に充填して水密性や気密性を確保する場合に比べて改修作業性を向上できる。また、シーリングテープ70を用いているので、湿式のシーリング材を用いる場合に比べて、水密性や気密性の品質を安定させることができる。
【0032】
シーリングテープ70は、表面材58の開口部分から見込み面511、531、541の室内側端部までの大きな見込み寸法を有するため、まぐさ51、縦材53、54の見込み面511、531、541と、上枠21、縦枠23、24との間に見込み方向に沿って配置されるシーリングテープ70によって、水密性や気密性を容易に向上できる。さらに、シーリングテープ70は、まぐさ51、縦材53、54の3方に連続して貼り付けることができるので、改修現場において容易に設置でき、改修時の作業性を向上できる。
【0033】
新設窓枠2Bは、ブラケット40Bによって見込み方向に位置決めされて縦材53、54にネジ49で固定され、ネジ100によってまぐさ51、窓台52に固定されるので、躯体開口枠5に強固に固定できる。特に、新設窓枠2Bに補強材28を配置し、この補強材28にネジ100の頭を係止しているので、ネジ100による固定強度を向上できるとともに、新設窓枠2B自体の強度も向上できる。
【0034】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は本発明に含まれる。
例えば、緩衝部材は、シーリングテープ70に限らず、躯体開口枠5と、新設窓枠2Bとの間を塞ぐことができるものであればよく、例えばスポンジ等を用いることができる。また、シーリングテープ70等の緩衝部材は、躯体開口枠5のまぐさ51、縦材53、54の三方に連続して設けられるものに限定されず、窓台52を含む四方に連続して設けてもよい。また、シーリングテープ70等の緩衝部材は、まぐさ51、縦材53、54の三方に連続して設けられる長さ寸法を有するものに限定されず、まぐさ51、縦材53、54にそれぞれ別体のシーリングテープ70等の緩衝部材を設けてもよい。
さらに、シーリングテープ70等の緩衝部材は、まぐさ51、縦材53、54等の躯体開口枠5側に取り付けられるものに限定されず、新設窓枠2B側に取り付けられるものでもよい。
【0035】
新設枠取付工程の後、内装材施工工程の前に、
図12に示すように、少なくとも下材である窓台52と新設窓枠2Bの下枠22との間に、室内側からシーリング材61Bを充填するシーリング材充填工程を実施してもよい。すなわち、
図12に示すように、少なくとも下枠22の室内側端部と、窓台52の段部522との間に、室内側から湿式のシーリング材61Bを充填するシーリング材充填工程を実施して、気密性や水密性を向上させてもよい。このシーリング材61Bは、下枠22および窓台52間に限らず、
図12および
図13に示すように、新設窓枠2Bの上枠21、縦枠23、24と、上材であるまぐさ51、縦材53、54との間にも設けてもよい。新設窓枠2Bの室内側に四周連続するシーリング材61Bを設けることで、新設窓枠2Bの水密性や気密性を向上できる。
【0036】
既設枠取外工程では、既設障子3を既設窓枠2から取り外してから、既設窓枠2を躯体開口枠5から取り外してもよい。また、新設枠取付工程では、新設窓枠2Bを躯体開口枠5に取り付けてから、新設障子3Bを新設窓枠2Bに取り付けてもよい。
【0037】
既設のサッシ1および新設のサッシ1Bは、合成樹脂製に限定されず、アルミニウム等の金属製の押出形材で構成してもよい。
既設のサッシ1および新設のサッシ1Bは、内開き窓に限定されず、FIX窓、外開き窓、上げ下げ窓など、様々な建具を利用できる。FIX窓の場合、ガラスを保持する框材が躯体開口枠5に直接固定されるため、前記框材が枠体となる。
また、新設のサッシ1Bは、既設のサッシ1と同じ窓種や材質でもよいが、異なる窓種や材質でもよい。
【0038】
[まとめ]
本発明は、開口を区画する上材、下材および左右の縦材を備えて構成されて外壁材の室内側に配置される開口枠に取り付けられる既設窓枠を新設窓枠に交換するサッシの改修方法であって、前記既設窓枠を前記開口枠から室内側に取り外す既設枠取外工程と、前記開口枠の少なくとも前記上材および左右の前記縦材、または、前記新設窓枠の少なくとも上枠および左右の縦枠に、緩衝部材を取り付ける緩衝部材取付工程と、前記開口枠に室内側から前記新設窓枠を取り付けて、前記開口枠および前記新設窓枠間を前記緩衝部材で塞ぐ新設枠取付工程と、前記新設窓枠の室内側に内装材を施工する内装材施工工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、既設窓枠を室内側に取り外し、新設窓枠を室内側から取り付けているので、外壁材を撤去したり、破壊することなく、サッシの改修を行うことができる。また、既設窓枠を取り外した後、開口を区画する上材、下材および左右の縦材のうち、少なくとも上材および左右の縦材、または、新設窓枠の少なくとも上枠および左右の縦枠に緩衝部材を取り付けているので、新設窓枠の下枠を開口枠の下材上に載置した際に、隙間が生じる上材および左右の縦材と、上枠および左右の縦枠間を緩衝部材で塞ぐことができ、水密性や気密性を向上できる。
【0039】
本発明のサッシの改修方法において、前記緩衝部材取付工程は、前記緩衝部材を、前記上材および前記縦材の見込み面に取り付け、前記新設枠取付工程は、前記新設窓枠の前記上枠および左右の前記縦枠の見込み面を前記緩衝部材に当接させて前記新設窓枠を前記開口枠に取り付けることが好ましい。
緩衝部材を上材、縦材の見込み面に取り付け、新設窓枠の上枠、縦枠の見込み面に当接させているので、緩衝部材の見込み方向の幅寸法を、開口枠や新設窓枠の見込み寸法と同程度まで大きくできる。このため、開口枠と緩衝部材の粘着面との見込み寸法や、緩衝部材と新設窓枠の当接面との見込み寸法を十分に確保でき、水密性や気密性も十分に確保できる。
また、緩衝部材を、開口枠の見込み面および新設窓枠の見込み面間に配置できるため、開口枠や新設枠に互いに見込み方向に重なる突出部を設ける必要が無く、既設窓枠や新設窓枠を開口枠の室内側から容易に取り外したり、取り付けることができ、改修作業性を向上できる。
【0040】
本発明のサッシの改修方法において、前記既設窓枠および前記新設窓枠は、前記開口枠の室内面に当接する位置決め部材を有することが好ましい。
既設窓枠および新設窓枠は、室内側に取り外したり、室内側から取り付けることができるように外壁と開口枠との間に配置される釘ヒレなどを備えないため、釘ヒレによって開口枠に対する見込み方向の位置決めを行うことができない。これに対し、本発明では、既設窓枠および新設窓枠は、開口枠の室内面に当接する位置決め部材を有するため、開口枠に対して見込み方向に容易に位置決めすることができる。
【0041】
本発明のサッシの改修方法において、前記既設窓枠には、前記外壁材の開口面に対向する既設見切り材が取り付けられ、前記外壁材の開口面と前記既設見切り材との間にはシール材が充填されており、前記既設枠取外工程の前に、前記シール材を除去するシール除去工程と、前記既設見切り材において前記開口枠と見込み方向に重なる部分を除去する既設見切り材除去工程とを、有することが好ましい。
既設枠取外工程前に、シール除去工程および既設見切り材除去工程を実行しているので、既設窓枠を室内側に取り外す際に、シール材や既設見切り材が障害となることを防止でき、既設窓枠を容易に取り外すことができる。また、既設見切り材は、既設窓枠に取り付けられているので、改修時に既設窓枠と一体に取り外すことができる。
【0042】
本発明のサッシの改修方法において、前記新設枠取付工程の後に、前記新設窓枠に新設見切り材を取り付ける新設見切り材取付工程を有することが好ましい。
新設見切り材取付工程を有するため、新設窓枠に改修する際に、見切り材も新設することができる。また、新設窓枠を開口枠に取り付けた後に新設見切り材を新設窓枠に取り付けるため、外壁材の開口に対して新設見切り材を容易に位置決めして設置できる。
【0043】
本発明のサッシの改修方法において、前記既設窓枠は、前記開口枠に接着剤で固定されており、前記既設枠取外工程の前に、前記接着剤を除去する接着剤除去工程を有することが好ましい。
既設窓枠を固定している接着剤は、カッターなどの切断器具で容易に切断、除去することができる。このため、既設窓枠を複数のネジで開口枠に固定している場合に比べて、改修時の作業性を向上できる。
【0044】
本発明のサッシの改修方法において、前記緩衝部材取付工程は、前記緩衝部材を、前記開口枠の前記上材および左右の前記縦材の三方、または、前記新設窓枠の前記上枠および左右の前記縦枠の三方に連続して取り付けることが好ましい。
上材および左右の縦材の三方、または、新設窓枠の前記上枠および左右の縦枠の三方に連続する緩衝部材を取り付ければ、施工現場において開口枠や新設窓枠に容易に緩衝部材を取り付けることができ、現場作業性を向上できる。
【0045】
本発明のサッシの改修方法において、前記下材にはアタッチメントが配置され、前記アタッチメントと、前記既設窓枠または前記新設窓枠の下枠との間は止水材で塞がれていることが好ましい。
下材にアタッチメントを配置し、このアタッチメントと下枠との間をAT材などの止水材で塞いでいるため、下材に緩衝部材を配置しなくても止水材によって水密性、気密性を確保することができる。また、止水材は、予めアタッチメントに取り付けておくことができるため、サッシの改修作業も軽減することができる。
【0046】
本発明のサッシの改修方法において、前記新設枠取付工程の後、前記内装材施工工程の前に、少なくとも前記下材と前記新設窓枠の下枠との間に室内側からシーリング材を充填するシーリング材充填工程を有することが好ましい。
下材と新設窓枠の下枠との間にシーリング材を充填することで、下材に緩衝部材を取り付けていない場合に、下材および下枠間の水密性および気密性を向上できる。また、シーリング材を、開口枠および新設窓枠間に四周連続して充填した場合は、緩衝部材に加えてシーリング材を設けることで、水密性および気密性をより向上できる。
【符号の説明】
【0047】
1…サッシ、1B…サッシ、2…既設窓枠、2B…新設窓枠、3…既設障子、3B…新設障子、5…躯体開口枠、10…壁面ユニット、21…上枠、21B…上枠、22…下枠、22B…下枠、23…縦枠、23B…縦枠、24…縦枠、24B…縦枠、26…ヒンジ、26B…ヒンジ、27…スペーサ、27B…スペーサ、28…補強材、31…上框、31B…上框、32…下框、32B…下框、33…縦框、33B…縦框、34…縦框、34B…縦框、35…面材、35B…面材、36…ハンドル、36B…ハンドル、40…ブラケット、40B…ブラケット、51…まぐさ、52…窓台、53…縦材、54…縦材、58…表面材、59…防水シート、61…接着剤、70…シーリングテープ、71…防水テープ、72…防水テープ、73…防水シート、75…バックアップ材、75B…バックアップ材、76…シール材、76B…シール材、77…シーラー、77B…シーラー、81…上見切り材、81B…上見切り材、82…水切り材、82B…水切り材、83…縦見切り材、83B…縦見切り材、84…縦見切り材、84B…縦見切り材、86…アタッチメント、86B…アタッチメント、88…気密材、88B…気密材、91…外装材、92…縦胴縁、93…横胴縁、94…内壁材、95…額縁、95B…額縁、100…ネジ、511…見込み面、512…段部、521…見込み面、522…段部、523…段部、531…見込み面、532…段部、541…見込み面、542…段部。