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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113369
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】炊飯システム
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
A47J27/14 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018301
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】土居 寛弥
(72)【発明者】
【氏名】森谷 大河
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AA17
4B054AC02
4B054CE04
4B054CE11
4B054CG01
(57)【要約】
【課題】同じコンベヤに炊飯釜と蓋とを交互に配置して間欠搬送しながら炊飯を行う炊飯システムについて、コンベヤが停止する間に行う作業の作業時間を長くでき、さらに、システム構成をカスタマイズし易い技術を提供すること。
【解決手段】複数の炊飯釜21を用いて炊飯を行う炊飯システム1において、炊飯釜21と、炊飯釜21に装着する蓋22とが交互に配置された第2コンベヤ12を、隣り合う炊飯釜21と炊飯釜21との距離である全ピッチP1ずつ間欠駆動する。蓋締め装置6は、第2コンベヤ12が停止する間に、蓋22の位置を炊飯釜21に対して移動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の炊飯釜を用いて炊飯を行う炊飯システムにおいて、
前記炊飯釜と、前記炊飯釜に装着する蓋とが交互に配置され、前記炊飯釜と前記炊飯釜との距離である全ピッチずつ前記炊飯釜と前記蓋とを間欠搬送するコンベヤと、
前記コンベヤが停止する間に、前記蓋を前記炊飯釜に対して操作する蓋操作装置と、
を有する、
ように構成される炊飯システム。
【請求項2】
請求項1に記載する炊飯システムにおいて、
前記蓋操作装置は、前記コンベヤに配置される前記蓋を、同じ前記コンベヤに配置される前記炊飯釜に装着する蓋締め装置である、
ように構成される炊飯システム。
【請求項3】
請求項2に記載する炊飯システムにおいて、
前記コンベヤに配置される前記炊飯釜に供給物を供給する供給装置を有し、
前記蓋締め装置は、前記供給装置より下流側に配置されている、
ように構成される炊飯システム。
【請求項4】
請求項1に記載する炊飯システムにおいて、
前記蓋操作装置は、前記コンベヤに配置される前記蓋を、同じ前記コンベヤに配置される前記炊飯釜から取り外す蓋取り装置である、
ように構成される炊飯システム。
【請求項5】
請求項4に記載する炊飯システムにおいて、
前記コンベヤに配置される前記蓋を、同じ前記コンベヤに配置される前記炊飯釜に装着する蓋締め装置を有し、
前記蓋取り装置は、前記蓋締め装置の上流側に配置されている、
ように構成される炊飯システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1つに記載する炊飯システムにおいて、
前記蓋操作装置が、
前記蓋を把持可能な把持機構と、
前記把持機構を昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構を水平方向に移動させる水平移動機構と、
を有する、
ように構成される炊飯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、炊飯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の炊飯釜を用いて炊飯を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、炊飯釜と蓋とをコンベヤに交互に並べて、米水供給装置、蓋締め装置、炊飯装置、洗浄装置に循環搬送する技術が開示されている。炊飯釜は、洗浄装置で洗浄された後、米水供給装置にて米と水を供給され、蓋締め装置によって蓋を装着され、その後、連続式の炊飯装置に搬入され、炊飯装置内を搬送しながら炊飯が行われる。蓋締め装置が自装置の前で停止する蓋を持ち上げると、コンベヤが駆動して隣の炊飯釜を蓋締め装置の前で停止させ、蓋締め装置が搬送されてきた炊飯釜に対して持ち上げた蓋を降ろして装着する。
【0003】
例えば、特許文献2には、炊飯釜を間欠搬送するメインラインと別に、蓋専用の分岐ラインを設け、メインラインと分岐ラインとが合流する位置に蓋締め装置を配置する技術が開示されている。この技術では、蓋締め装置が、分岐ラインから蓋を持ち上げてメインラインへ移動させ、メインラインにて搬送される炊飯釜に装着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-126429号公報
【特許文献2】特開2015-126845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の炊飯システムにおいて、蓋を装着した炊飯釜を間欠搬送するコンベヤと、蓋と炊飯釜を交互に配置して間欠搬送するコンベヤが混在する。蓋を装着した炊飯釜を間欠搬送するコンベヤが1回動作する間に、蓋と炊飯釜を交互に配置して間欠搬送するコンベヤでは蓋締め操作のために複数回動作させる必要がある。例えば、炊飯装置が1時間に60釜炊飯する能力を有する場合、炊飯釜を炊飯装置に搬入する1サイクル時間は60秒となり、蓋を装着した炊飯釜を配置したコンベヤでは60秒の間に隣の炊飯釜の停止位置に移動(全ピッチ)すればよいが、蓋と炊飯釜を交互に配置したコンベヤでは60秒の間に炊飯釜を蓋の停止位置まで移動(半ピッチ)して蓋締め操作を行った後、隣の炊飯釜の停止位置まで移動(半ピッチ)しなければならない。つまり、蓋を装着した炊飯釜を配置したコンベヤでは、1サイクル時間の60秒から移動時間(約5秒)を差し引いた時間(約55秒間)停止することができるのに対し、蓋と炊飯釜を交互に配置したコンベヤでは、その半分の30秒から移動時間(約5秒)を差し引いた時間(約25秒間)しか停止することができない。炊飯装置が1時間に80釜炊飯する能力を有する場合は更に停止時間が短くなり、蓋を装着した炊飯釜を配置したコンベヤでは、1サイクル時間の45秒から移動時間(約5秒)を差し引いた時間(約40秒間)停止することができるのに対し、蓋と炊飯釜を交互に配置したコンベヤでは、その半分の22.5秒から移動時間(約5秒)を差し引いた時間(約17.5秒間)しか停止することができない。このように、炊飯装置の炊飯能力が上がるにつれて、炊飯釜に米や水を供給する作業を行う作業時間が短くなり、作業時間が不足する可能性がある。よって、同じコンベヤに炊飯釜と蓋とを交互に並べて配置して間欠搬送するシステムでは、蓋を装着した炊飯釜を配置したコンベヤと同様の停止時間を確保しながら駆動し、炊飯釜に対して米や水などの供給時間を確保することが望ましい。
【0006】
特許文献2に記載される技術では、メインラインと分岐ラインとが分離しているので、メインラインと分岐ラインとを異なるタイミングで駆動できる。例えば、メインラインに米や水を供給する供給部がある場合、メインラインは全ピッチで駆動させて作業時間を確保し、分岐ラインは半ピッチで駆動することが可能である。しかしながら、炊飯システムは、例えば、スーパーマーケットや飲食店など少量で多品種の炊飯に対応する必要もあれば、給食センターなど大量の炊飯に対応する場合もある。また、炊飯システムは、例えば、工場の限られたスペースに導入されることが多い。このように、炊飯システムは、使用条件に応じてシステム構成をカスタマイズする必要がある。ところが、特許文献2に記載される技術は、分岐ラインを設けるための設置面積や、分岐ラインを設けるためのライン構成が限定され、システム構成をカスタマイズしにくかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する技術の一態様は、(1)複数の炊飯釜を用いて炊飯を行う炊飯システムにおいて、前記炊飯釜と、前記炊飯釜に装着する蓋とが交互に配置され、前記炊飯釜と前記炊飯釜との距離である全ピッチずつ前記炊飯釜と前記蓋とを間欠搬送するコンベヤと、前記コンベヤが停止する間に、前記蓋を前記炊飯釜に対して操作する蓋操作装置と、
を有する、ように構成される。
【0008】
上記構成を有する炊飯システムでは、コンベヤが停止する間に、蓋操作装置が蓋を炊飯釜に対して操作する。コンベヤは、炊飯釜と炊飯釜との距離である全ピッチずつ炊飯釜と蓋とを間欠搬送するように駆動する。そのため、炊飯システムの炊飯能力が高くなっても、コンベヤは、半ピッチで駆動する場合よりも、炊飯釜を停止させる停止時間を長く確保できる。これにより、例えば、コンベヤに配置された炊飯釜に米や水を供給するための作業の作業時間を長く確保することが可能になる。また、炊飯システムは、コンベヤに対して蓋専用の分岐ラインを設けなくても、コンベヤが停止する間に、蓋操作装置が例えば蓋を炊飯釜に装着できる。そのため、炊飯システムは、分岐ラインを設ける場合と比べて設置面積が小さくなり、ライン構成が一ラインでシンプルになるので、使用条件に応じてシステム構成をカスタマイズし易い。
【0009】
上記炊飯システムの機能を実現するための装置、制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に開示される技術によれば、同じコンベヤに炊飯釜と蓋とを交互に配置して間欠搬送しながら炊飯を行う炊飯システムについて、コンベヤが停止する間に行う作業の作業時間を長くでき、さらに、システム構成をカスタマイズし易い技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る炊飯システムの概略構成図である。
図2】蓋締め装置の外観斜視図である。
図3】蓋締め装置の上面図である。
図4】制御ブロック図である。
図5】蓋締め動作の手順の一例を示すタイミングチャートである。
図6】蓋締め工程を説明する図である。
図7】蓋締め工程を説明する図である。
図8】蓋締め工程を説明する図である。
図9】蓋締め工程を説明する図である。
図10】第2実施形態に係る炊飯システムの概略構成図である。
図11】蓋取り動作の手順の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、炊飯システムの一実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書は、複数の炊飯釜を用いて炊飯を行う炊飯システムを開示する。
【0013】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態の炊飯システム1は、蓋22と炊飯釜21とを交互に配置して循環搬送しながら、炊飯釜21の単位で連続して自動炊飯できるように構成されている。炊飯システム1は、例えば、給食センターや病院など、大量に炊飯を行う工場に設置される。
【0014】
炊飯システム1は、米供給装置3と、水供給装置4と、ならし装置5と、蓋締め装置6と、炊飯装置7と、蓋取り装置8と、米飯取出装置9と、洗浄装置2と、搬送装置10と、を備えている。蓋締め装置6は「蓋操作装置」の一例である。米供給装置3および水供給装置4は、「供給部」の一例である。搬送装置10は、第1コンベヤ11と、第2コンベヤ12とを含む。第2コンベヤ12は「コンベヤ」の一例である。
【0015】
第1コンベヤ11は、炊飯装置7の搬出口と洗浄装置2の搬入口とを接続している。第2コンベヤ12は、洗浄装置2の搬出口と炊飯装置7の搬入口とを接続している。搬送装置10は、第1コンベヤ11と第2コンベヤ12とにそれぞれ、炊飯釜21と蓋22とが交互に配置される。以下の説明では、隣合う炊飯釜21と炊飯釜21との距離を全ピッチP1とする。蓋22は、隣合う炊飯釜21と炊飯釜21との中間に配置される。そのため、隣合う蓋22と炊飯釜21との距離は、全ピッチP1の半分の半ピッチP2とする。
【0016】
第1コンベヤ11と第2コンベヤ12とは、炊飯装置7に炊飯釜21を搬入するタイミングに応じて駆動し、炊飯釜21と蓋22とを連続的に循環搬送する。
【0017】
本形態の第1コンベヤ11は、半ピッチP2で間欠駆動する。そのため、第1コンベヤ11に対応する領域Bでは、第1コンベヤ11が間欠駆動する度に、炊飯釜21が停止していた停止位置には隣の蓋22が搬送されて停止し、蓋22が停止していた停止位置には隣の炊飯釜21が搬送されて停止する。つまり、第1コンベヤ11が停止した場合に蓋22と炊飯釜21とが停止する停止位置には、全て、蓋22と炊飯釜21とが交互に停止する。
【0018】
本形態の第2コンベヤ12は、全ピッチP1で間欠駆動する。そのため、第2コンベヤ12に対応する領域Aでは、第2コンベヤ12が間欠駆動する度に、蓋22が停止していた停止位置には隣の炊飯釜21のさらに隣の蓋22が搬送されて停止し、炊飯釜21が停止していた位置には隣の蓋22のさらに隣の炊飯釜21が搬送されて停止する。つまり、第2コンベヤ12が停止した場合に蓋22と炊飯釜21とが停止する各停止位置は、蓋22が常に停止する蓋停止位置と、炊飯釜21が常に停止する釜停止位置と、に分けられる。
【0019】
第2コンベヤ12は、洗浄装置2側から順に、米供給装置3と、水供給装置4と、ならし装置5と、蓋締め装置6とを配置されている。米供給装置3と、水供給装置4と、ならし装置5とは、それぞれ、釜停止位置に対応する位置に配置され、蓋22を取り外された炊飯釜21に対して作業を行う。米供給装置3は、炊飯釜21に浸漬タンク(図示なし)で予め浸漬を終えた所定量の米を供給する。水供給装置4は、米供給装置3にて供給された米の量に適した量の水を炊飯釜21に供給する。米と水は「供給物」の一例である。ならし装置5は、炊飯釜21に供給された米を水の中で平らにする。
【0020】
蓋締め装置6は、蓋停止位置に対応する位置に配置されている。蓋締め装置6は、第2コンベヤ12が停止する間に、蓋22を第2コンベヤ12から持ち上げて、隣の炊飯釜21に装着するように構成されている。蓋締め装置6の具体的な構成については、後述する。
【0021】
炊飯装置7は、米と水とを供給されて蓋22を装着された炊飯釜21を所定時間加熱し、蒸らすことによって、米飯を炊き上げる。炊飯装置7は、第2コンベヤ12から炊飯釜21を1個搬入するタイミングで、米飯の入った蓋22付きの炊飯釜21を第1コンベヤ11に1個搬出する。炊飯装置7は、所定時間毎に炊飯釜21を1個搬入する。
【0022】
第1コンベヤ11は、炊飯装置7から搬出された炊飯釜21が停止する停止位置に、蓋取り装置8が配置されている。蓋取り装置8は、蓋22を昇降させる機能を有する。第1コンベヤ11は、蓋取り装置8が蓋22を持ち上げた後に半ピッチP2だけ駆動して停止する。この場合、持ち上げた蓋22の下方の停止位置は、空き状態になっている。蓋取り装置8は、その空き状態の停止位置に持ち上げた蓋22を降ろして配置する。これにより、第1コンベヤ11では、蓋22が炊飯釜21の隣に半ピッチP2の間隔を空けて配置される。
【0023】
第1コンベヤ11は、炊飯装置7に次の炊飯釜21を搬入するタイミングで、さらに半ピッチP2駆動して停止する。これにより、炊飯釜21が、先の蓋22の隣に、半ピッチP2の間隔を空けて配置される。つまり、炊飯釜21は、先に搬出された炊飯釜21から全ピッチP1の間隔を空けて第1コンベヤ11に配置される。
【0024】
このようにして、蓋22と炊飯釜21とは、第1コンベヤ11に半ピッチP2ずつ間隔を空けて交互に配置され、第1コンベヤ11の駆動に応じて洗浄装置2側に搬送される。
【0025】
炊飯釜21は、米飯取出装置9まで搬送されると、米飯取出装置9によって反転され、米飯を取り出される。米飯取出装置9は、空になった炊飯釜21を、第1コンベヤ11に戻す。蓋22と空の炊飯釜21とは、第1コンベヤ11によって洗浄装置2に搬入される。洗浄装置2は、第1コンベヤ11から搬入された蓋22と炊飯釜21とを洗浄して、第2コンベヤ12に蓋22と炊飯釜21とを半ピッチP2の間隔を空けて交互に搬出する。搬出された蓋22と炊飯釜21とは、上述したように、第2コンベヤ12によって炊飯装置7側に再び搬送される。
【0026】
蓋締め装置6の構成について、図2および図3を参照して説明する。図2および図3では、第2コンベヤ12の記載を省略している。蓋締め装置6には、蓋22と、炊飯釜21とを1個ずつ配置できる。炊飯釜21は、上方に開口する箱形をなす。蓋22は、炊飯釜21の開口を密閉可能な形状に形成されている。蓋22の上面中央部分には、取手221が突出して設けられている。
【0027】
蓋締め装置6は、台枠61と、水平移動機構62と、昇降機構63と、把持機構64と、一対のコンベヤ支持部65,65と、を有する。
【0028】
台枠61は、基台部61Aと、基台部61Aから上方に延設した複数の支柱部61Bとを有する。基台部61Aには、一対のコンベヤ支持部65,65が平行に配置されている。本形態では、第2コンベヤ12が一対のコンベヤ支持部65,65に支持される。
【0029】
複数の支柱部61Bの上端部には、水平移動機構62が取り付けられている。水平移動機構62は、昇降機構63が取り付けられ、昇降機構63を水平方向にスライドさせる機能を有する。昇降機構63は、出力ロッド631を進退させるように構成されている。昇降機構63は、出力ロッド631を下向きに突出させるように水平移動機構62に取り付けられている。把持機構64は、出力ロッド631の先端部に取り付けられている。把持機構64は、蓋22の取手221を把持または解放するための可動部641を備えている。
【0030】
水平移動機構62は、昇降機構63を半ピッチP2の距離だけ水平方向に往復直線運動可能にスライドさせることができる。水平移動機構62は、昇降機構63をスライドさせ始める始点位置が蓋停止位置に対応する位置となり、昇降機構63のスライドを終了する終了位置がその蓋停止位置の上流側隣の釜停止位置に対応する位置となるように、第2コンベヤ12に対して設置される。
【0031】
昇降機構63は、第2コンベヤ12に配置された蓋22まで把持機構64を下降させる下限位置と、把持機構64に把持された蓋22を炊飯釜21より高い位置まで上昇させる上限位置と、下限位置と上限位置との間であって蓋22を炊飯釜21に装着する蓋操作位置と、の各位置で停止することができる。昇降機構63の各位置は、位置センサによって検出してもよいし、昇降機構63を駆動させる駆動力に基づいて検出してもよい。
【0032】
蓋締め装置6は、第1搬送方向位置決め装置71と、第2搬送方向位置決め装置72と、第1幅方向位置決め装置81と、第2幅方向位置決め装置82と、を備えている。
【0033】
第1搬送方向位置決め装置71と、第2搬送方向位置決め装置72と、第1幅方向位置決め装置81と、第2幅方向位置決め装置82とは、それぞれ、一対のコンベヤ支持部65,65に取り付けられている。以下の説明では、蓋22および炊飯釜21が搬送される方向を搬送方向とし、搬送方向に対して直交する方向を幅方向とする。
【0034】
第1搬送方向位置決め装置71および第1幅方向位置決め装置81は、蓋22を蓋停止位置に対して位置決めするための装置である。
【0035】
第1搬送方向位置決め装置71は、蓋停止位置の搬送方向下流側に配置されている。第1搬送方向位置決め装置71は、第2コンベヤ12の搬送面に対して突出又は退避できるように構成されている。第1搬送方向位置決め装置71が第2コンベヤ12の搬送面より上方に突出する場合、蓋22は蓋停止位置に対して搬送方向に位置決めされる。第1搬送方向位置決め装置71が第2コンベヤ12の搬送面より下方に退避する場合、蓋22は蓋停止位置に対して搬送方向に位置決めされない。
【0036】
第1幅方向位置決め装置81は、第1ストッパ811と第2ストッパ812とが蓋停止位置の幅方向両側に配置されている。第1ストッパ811と第2ストッパ812とは、幅方向外向き、または、幅方向内向きに変位可能に設けられている。第1幅方向位置決め装置81は、第1ストッパ811と第2ストッパ812とが幅方向内向きに変位して蓋22を挟む場合、蓋停止位置に対して蓋22を幅方向に位置決めすることができる。第1幅方向位置決め装置81は、第1ストッパ811と第2ストッパ812とが幅方向外向きに変位して蓋22から離間する場合、蓋停止位置に対して蓋22を幅方向に位置決めできない。
【0037】
第2搬送方向位置決め装置72と第2幅方向位置決め装置82は、炊飯釜21を釜停止位置に対して位置決めするための装置である。
【0038】
第2搬送方向位置決め装置72は、釜停止位置の搬送方向下流側に配置されている。第2搬送方向位置決め装置72は、第2コンベヤ12の搬送面に対して突出又は退避できるように構成されている。第2搬送方向位置決め装置72が第2コンベヤ12の搬送面より上方に突出する場合、炊飯釜21は釜停止位置に対して搬送方向に位置決めされる。第2搬送方向位置決め装置72が第2コンベヤ12の搬送面より下方に退避する場合、炊飯釜21は釜停止位置に対して搬送方向に位置決めされない。
【0039】
第2幅方向位置決め装置82は、第3ストッパ821と第4ストッパ822とが釜停止位置の幅方向両側に配置されている。第3ストッパ821と第4ストッパ822とは、幅方向外向き、または、幅方向内向きに変位可能に設けられている。第2幅方向位置決め装置82は、第3ストッパ821と第4ストッパ822とが幅方向内向きに変位して炊飯釜21を挟む場合、釜停止位置に対して炊飯釜21を幅方向に位置決めすることができる。第2幅方向位置決め装置82は、第3ストッパ821と第4ストッパ822とが幅方向外向きに変位して炊飯釜21から離間する場合、釜停止位置に対して炊飯釜21を幅方向に位置決めできない。
【0040】
以下の説明では、第1搬送方向位置決め装置71と、第2搬送方向位置決め装置72と、第1幅方向位置決め装置81と、第2幅方向位置決め装置82とが、蓋22あるいは炊飯釜21を位置決めする状態を「ON」、蓋22あるいは炊飯釜21を位置決めしない状態を「OFF」として説明することがある。なお、蓋締め装置6は、蓋22と炊飯釜21との位置を検出するセンサを備えていてもよい。
【0041】
炊飯システム1は、図4に示すコントローラ15によって、動作を制御される。コントローラ15は、CPU16と、メモリ17とを含む。コントローラ15には、搬送装置10と、洗浄装置2と、米供給装置3と、水供給装置4と、ならし装置5と、蓋締め装置6と、炊飯装置7と、蓋取り装置8と、米飯取出装置9と、が電気的に接続している。コントローラ15は、これらの装置に有線で接続してもよいし、無線で接続してもよい。コントローラ15は、1つの装置により構成されてもよいし、複数の装置により構成されてもよい。例えば、コントローラ15は、メインコントローラと、蓋締め装置6に内蔵されるサブコントローラと、によって構成されてもよい。
【0042】
CPU16は、メモリ17から読み出したプログラムに従って、各種の処理を実行する。メモリ17は、ROM、RAMを含み、さらにHDD、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含み、各種のプログラムやデータを記憶する。本形態のメモリ17には、炊飯システム1の動作を制御するための制御プログラム18が記憶されている。制御プログラム18は、例えば、炊飯装置7に炊飯釜21を搬入するタイミングに基づいて各装置の動作を制御することができる。また例えば、制御プログラム18は、蓋22を炊飯釜21に装着するための処理を蓋締め装置6に実行させることができる。
【0043】
コントローラ15は、操作部を有する場合、例えば、炊飯装置7の能力などの各種の設定や、設定の変更を受け付け、各制御に反映させてもよい。
【0044】
続いて、炊飯システム1の動作手順について説明する。炊飯システム1の全体動作の概要は上述したので、ここでは、蓋締め装置6が行う蓋締め動作について、図5に示すタイミングチャート、および、図6図9に示す工程図を参照しながら説明する。第2コンベヤ12には、蓋22と炊飯釜21とが交互に配置されているが、ここでは、蓋22A,22B,22C,22Dと炊飯釜21A,21B,21Cのみを記載し、他の蓋22および炊飯釜21の記載を省略している。
【0045】
炊飯システム1は、電源が投入されると、CPU16が制御プログラム18をメモリ17から読み出して実行し、各種の処理を実行する。なお、以下で説明する各処理は、CPU16が行うが、説明の都合上、「○○装置が・・・・する。」、「炊飯システムが・・・・する。」のように説明することがある。
【0046】
図5に示すように、第1コンベヤ11と第2コンベヤ12とは、炊飯装置7に炊飯釜21を搬入するタイミングに連動して駆動する。第1コンベヤ11は、図中細い実線に示すように、蓋22と炊飯釜21とを半ピッチP2ずつ移動させるように駆動して停止する。第2コンベヤ12は、図中太い実線に示すように、蓋22と炊飯釜21とを全ピッチP1ずつ移動させるように駆動して停止する。炊飯装置7に炊飯釜21を搬入する間に、第1コンベヤ11は2回駆動するのに対して、第2コンベヤ12は1回駆動する。そのため、全ピッチP1で間欠駆動する第2コンベヤ12は、半ピッチP2で間欠駆動する第1コンベヤ11と比べて、1回の停止時間が約2倍長い。
【0047】
第2コンベヤ12が駆動するとき、蓋締め装置6では、水平移動機構62が昇降機構63を始点位置に配置し、昇降機構63が出力ロッド631を上限位置に上昇させている。把持機構64は可動部641を解放状態にしている。
【0048】
図5図6に示すように、第2コンベヤ12が駆動するとき、第1搬送方向位置決め装置71と、第2搬送方向位置決め装置72と、第1幅方向位置決め装置81と、第2幅方向位置決め装置82とは、OFFされている。そのため、図6の矢印M1に示すように、第2コンベヤ12は、蓋22Aを装着された炊飯釜21Aと、その隣の蓋22Bとを、第1搬送方向位置決め装置71と、第2搬送方向位置決め装置72と、第1幅方向位置決め装置81と、第2幅方向位置決め装置82とに干渉せずに搬送できる。
【0049】
図5に示すように、第1搬送方向位置決め装置71と第2搬送方向位置決め装置72とは、炊飯釜21Aが第1搬送方向位置決め装置71を通過し、蓋22Bが第2搬送方向位置決め装置72を通過すると、OFFからONに切り替えられる。これにより、図6に示すように、蓋22Bと、その後ろの炊飯釜21Bとは、それぞれ、第1搬送方向位置決め装置71と第2搬送方向位置決め装置72とに当たって、蓋停止位置と釜停止位置とに対して搬送方向に位置決めされる。
【0050】
図5および図7(a)に示すように、第2コンベヤ12が停止すると、第1幅方向位置決め装置81と第2幅方向位置決め装置82とがOFFからONに切り替えられる。これにより、蓋22Bと炊飯釜21Bとが、それぞれ、蓋停止位置と釜停止位置とに対して幅方向に位置決めされる。このとき、昇降機構63は、水平移動機構62によって始点位置に配置されている。昇降機構63が出力ロッド631を下限位置まで突出させると、把持機構64が可動部641によって蓋22Bの取手221Bを把持する。
【0051】
図5に示すように、昇降機構63の出力ロッド631が下限位置に到達する前に、第1搬送方向位置決め装置71および第2搬送方向位置決め装置72は、ONからOFFに切り替えられ、搬送方向の位置決めを解除している。そのため、把持機構64は、可動部641によって取手221Bを把持する際に、可動部641と取手221Bとの位置ずれを修正し、取手221Bを適切に把持できる。
【0052】
図5および図7(b)に示すように、把持機構64が蓋22Bの取手221Bを把持すると、第1幅方向位置決め装置81がONからOFFに切り替えられ、蓋22Bの幅方向の位置決めを解除する。この状態で、昇降機構63は、出力ロッド631を下限位置から上限位置まで上昇させる。これにより、把持機構64は、蓋22Bを第2コンベヤ12からスムーズに持ち上げることができる。
【0053】
図5および図8(a)に示すように、昇降機構63が出力ロッド631を上限位置まで移動させると、水平移動機構62が昇降機構63を始点位置から終点位置までスライドさせる。
【0054】
図5および図8(b)に示すように、昇降機構63は、終点位置に到達すると、出力ロッド631を上限位置から蓋操作位置まで突出させる。これにより、把持機構64に把持された蓋22Bが炊飯釜21Bの上に降ろされて、炊飯釜21Bに装着される。このとき、第2幅方向位置決め装置82がONされている。そのため、炊飯釜21Bは、蓋22Bが装着されるときに、第2コンベヤ12に対する位置が幅方向にずれない。その結果、第2コンベヤ12は、炊飯釜21Bを炊飯装置7にスムーズに搬入できる。
【0055】
図5および図9(a)に示すように、把持機構64が炊飯釜21Bに装着した蓋22Bを解放すると、昇降機構63は、出力ロッド631を蓋操作位置から上限位置まで上昇させる。また、第2幅方向位置決め装置82がONからOFFに切り替えられる。昇降機構63が出力ロッド631を上限位置まで上昇させると、水平移動機構62が昇降機構63を終点位置から始点位置までスライドさせる。これにより、把持機構64が蓋停止位置の上方に復帰する。
【0056】
図5に示すように、第2コンベヤ12は、炊飯装置7に次の炊飯釜21を搬入するまで停止している。そのため、蓋締め装置6は、昇降機構63を始点位置に配置した状態で待機する。
【0057】
図5図9(b)の矢印M2とに示すように、第2コンベヤ12は、炊飯装置7に次の炊飯釜21を搬入するタイミングに連動して駆動する。これにより、蓋締め装置6によって蓋22Bを装着された炊飯釜21Bは、蓋締め装置6に対応する釜停止位置から全ピッチP1だけ炊飯装置7側へ搬送され、次の釜停止位置で停止する。また、炊飯釜21Bの隣に配置された蓋22Cは、全ピッチP1だけ炊飯装置7側へ搬送され、蓋22Bが配置されていた蓋停止位置で停止する。また、蓋22Cの隣に配置された炊飯釜21Cが、全ピッチP1だけ搬送され、炊飯釜21Bが配置されていた釜停止位置で停止する。さらに、蓋22Cが停止していた蓋停止位置に次の蓋22Dが搬送されて停止する。
【0058】
以上説明したように、本形態の炊飯システム1では、第2コンベヤ12が停止する間に、蓋締め装置6が蓋22を炊飯釜21に装着する。第2コンベヤ12は、隣合う炊飯釜21と炊飯釜21との距離である全ピッチずつ炊飯釜21と蓋22とを間欠搬送するように駆動する。そのため、炊飯システム1の炊飯能力が高くなっても、第2コンベヤ12は、半ピッチP2で駆動する場合よりも、炊飯釜21を停止させる停止時間を長くできる。
【0059】
例えば、炊飯装置7が1時間に60釜ずつ米飯を炊き上げる能力を有し、1サイクルあたり60秒毎に炊飯釜21を搬入する場合、第2コンベヤ12が半ピッチP2ずつ駆動するときには、炊飯釜21は、米供給装置3、水供給装置4、ならし装置5にそれぞれ対応する停止位置で、1サイクル時間(60秒)の半分の30秒から移動時間(約5秒)を差し引いた時間(約25秒間)停止するだけである。しかし、本形態では、第2コンベヤ12が全ピッチP1ずつ駆動するので、炊飯釜21は、米供給装置3、水供給装置4、ならし装置5にそれぞれ対応する停止位置で、1サイクル時間の60秒から移動時間(約5秒)を差し引いた時間(約55秒間)停止できる。
【0060】
例えば、炊飯装置7が1時間に80釜ずつ米飯を炊き上げる能力を有し、1サイクルあたり45秒毎に炊飯釜21を搬入する場合、第2コンベヤ12が半ピッチP2ずつ駆動するときには、炊飯釜21は、米供給装置3、水供給装置4、ならし装置5にそれぞれ対応する停止位置で、1サイクル時間(45秒)の半分の22.5秒から移動時間(約5秒)を差し引いた時間(約17.5秒間)停止するだけである。しかし、本形態では、第2コンベヤ12が全ピッチP1ずつ駆動するので、炊飯釜21は、米供給装置3、水供給装置4、ならし装置5にそれぞれ対応する停止位置で、1サイクル時間の45秒から移動時間(約5秒)を差し引いた時間(約40秒間)停止できる。
【0061】
このように、炊飯システム1の炊飯能力が上がるほど、炊飯釜21が米供給装置3、水供給装置4、ならし装置5にそれぞれ対応する停止位置で停止する停止時間が短くなる。しかし、第2コンベヤ12が、全ピッチP1で駆動することによって、停止時間は半ピッチP2で駆動する場合より長くなる。よって、炊飯装置7の能力が高くなっても、米供給装置3、水供給装置4、ならし装置5が炊飯釜21に対して行う作業の作業時間を長く確保することが可能になる。
【0062】
また、炊飯システム1は、第2コンベヤ12に蓋専用の迂回ラインを設けなくても、第2コンベヤ12が停止する間に、蓋締め装置6が蓋22を炊飯釜21に装着できる。そのため、炊飯システムは、分岐ラインを設ける場合と比べて、システムの設置面積が小さくなり、ライン構成が一ラインでシンプルになる。例えば、炊飯釜21に水、米、調味料などを供給する供給装置を複数有する場合でも、蓋22と炊飯釜21とを循環搬送するラインを一ラインで構成し、各供給装置を適宜配置できる。また、第2コンベヤ12は、設置場所のレイアウトに応じて、任意に曲げたり、長くしたり、短くしたりすることができる。よって、炊飯システム1は、使用条件に応じてシステム構成をカスタマイズし易い。
【0063】
また、炊飯システム1では、蓋締め機構6が水平移動機構62を用いて昇降機構63と把持機構64とを半ピッチP2だけスライド可能とし、蓋22の持ち上げと装着を行う。よって、炊飯システム1は、第2コンベヤ12が全ピッチP1で間欠駆動しても、蓋22を炊飯釜21に装着することができる。
【0064】
(第2実施形態)
次に、炊飯システムの第2実施形態について図10を参照しながら説明する。第2実施形態の炊飯システム100は、第1実施形態の炊飯システムに浸漬機能を追加し、浸漬タンクを用いずに米を投入した炊飯釜内で浸漬を行うものである。ここでは、第1実施形態と異なる構成を中心に説明し、共通する構成は、第1実施形態と同じ符号を図面および説明に使用し、適宜説明を省略する。
【0065】
本形態の炊飯システム100は、洗浄装置2の下流側に立体浸漬装置101が配置されている。立体浸漬装置101は、炊飯釜21の単位で浸漬を行う装置である。本形態の立体浸漬装置101は、炊飯釜21を複数段に自動搬送可能に配置することができる。搬送装置110は、第1コンベヤ11と第2コンベヤ12とに加え、第3コンベヤ111を備えている。第3コンベヤ111は、洗浄装置2の搬出口と立体浸漬装置101の搬入口とを接続する。第2コンベヤ12は、立体浸漬装置101の搬出口と炊飯装置7の搬入口とを接続する。第1コンベヤ11は半ピッチP2で駆動するのに対して、第2コンベヤ12及び第3コンベヤ111は全ピッチP1で駆動する。
【0066】
第3コンベヤ111には、洗浄装置2側から、米供給装置3と、水供給装置4と、蓋締め装置6とが配置されている。米と水とを供給された炊飯釜21は、蓋締め装置6によって蓋22を装着されてから、立体浸漬装置101に搬入される。
【0067】
第2コンベヤ12には、立体浸漬装置101側から、蓋取り装置106と、浸漬水入替装置107と、ならし装置5と、蓋締め装置6とが配置されている。蓋取り装置106は「蓋操作装置」の一例である。蓋取り装置106は、蓋締め装置6と同様に構成されているが、動作手順が蓋締め装置6と相違する。蓋取り装置106の動作手順については後述する。
【0068】
浸漬水入替装置107は、蓋取り装置106によって蓋22を取り外された炊飯釜21の浸漬水を入れ替える装置である。蓋締め装置6は、浸漬水が入れ替えられた炊飯釜21に、蓋22を装着することができる。蓋22を装着された炊飯釜21は、第2コンベヤ12によって炊飯装置7に搬入される。
【0069】
蓋取り装置106によって実行される蓋取り動作の手順について、図11に示すタイミングチャートを参照して説明する。蓋取り装置106では、水平移動機構62の始点位置が釜停止位置に対応する位置(第1実施形態の終点位置に相当)であり、終点位置がその釜停止位置の下流側のすぐ隣の蓋停止位置に対応する位置(第1実施形態の始点位置に相当)となる。
【0070】
蓋取り装置106は、始点位置で昇降機構63を上限位置から蓋操作位置まで下降させ、炊飯釜21に装着されている蓋22を把持機構64によって把持する。その状態で、昇降機構63は、出力ロッド631を蓋操作位置から上限位置まで上昇させる。昇降機構63が出力ロッド631を上限位置まで上昇させると、水平移動機構62が始点位置から終点位置まで昇降機構63をスライドさせる。つまり、昇降機構63は釜停止位置に対応する位置から蓋停止位置に対応する位置へ移動する。
【0071】
終点位置に対応する蓋停止位置は、空き状態になっている。この状態で、昇降機構63は、出力ロッド631を上限位置から下限位置まで突出させ、蓋22を第2コンベヤ12の蓋停止位置に配置する。この状態で把持機構64の可動部641が蓋22の取手221を解放すると、昇降機構63は出力ロッド631を下限位置から上限位置まで上昇させる。その後、水平移動機構62が昇降機構63を終点位置から始点位置までスライドさせる。これにより、把持機構64が蓋22を取り外された炊飯釜21の上方に配置される。
【0072】
昇降機構63が出力ロッド631を蓋操作位置から上昇位置まで上昇させるとき、第1幅方向位置決め装置81はONしたままであるが、第2幅方向位置決め装置82はONからOFFに切り替えられる。第1幅方向位置決め装置81は、蓋22が第2コンベヤ12に載せられるまでON状態を維持し、蓋22を蓋停止位置に対して幅方向に位置決めする。
【0073】
以上説明したように、本形態の炊飯システム100は、全ピッチP1で駆動する第2コンベヤ12が停止する間に、蓋締め装置6および蓋取り装置106が、同一の第2コンベヤ12に配置される蓋22を炊飯釜21に装着、あるいは、取り外すので、炊飯システム100の炊飯能力が高くなっても、第2コンベヤ12の停止時間を長く確保できる。これにより、例えば、第2コンベヤ12が停止する間に、浸漬水を入れ替える作業の作業時間を長く確保することが可能になる。また、炊飯システム100は、第2コンベヤ12に対して蓋専用の分岐ラインを設けなくても、第2コンベヤ12が停止する間に、蓋締め装置6が蓋22を炊飯釜21に装着したり、蓋取り装置106が蓋22を炊飯釜21から取り外して同じ第2コンベヤ12に配置できる。そのため、炊飯システム100は、分岐ラインを設ける場合と比べて設置面積が小さくなり、ライン構成が一ラインでシンプルになるので、使用条件に応じてシステム構成をカスタマイズし易い。
【0074】
また、炊飯システム100は、蓋締め装置6の上流側に蓋取り装置106を配置することで、例えば浸漬水を入れ替える作業の作業時間を確保しつつ、同じラインで蓋22の装着と取り外しとを行うことができ、システム構成をカスタマイズしやすい。
【0075】
また、炊飯システム100は、制御手順を代えるだけで、蓋締め装置6を蓋取り装置106として利用できるので、装置のストックを減らすことができる。
【0076】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、炊飯システム1,100のラインレイアウト、炊飯システム1,100に用いる装置の種類や配置は、上記実施形態と異なってもよい。
【0077】
蓋締め装置6は、同一のコンベヤに配置される蓋22を炊飯釜21に装着する構成であればよく、例えば、持ち上げた蓋22を隣で停止する炊飯釜21でなく、さらに離れた位置で停止する炊飯釜21に装着する装置であってもよい。例えば、L字形のコンベヤに蓋22と炊飯釜21とを交互に配置して搬送する場合、蓋締め装置6は、L字形のコンベヤの屈曲部分に配置され、蓋22を持ち上げた状態で昇降機構63の配置を90°水平方向に回転させ、持ち上げた蓋22を下方の炊飯釜21に降ろして装着するように構成されてもよい。
【0078】
蓋締め装置6自体を水平方向に移動させて昇降機構63の位置を水平方向に移動させてもよい。ただし、蓋締め装置6は、水平移動機構62によって昇降機構63を水平方向に直線往復運動可能にスライドさせることにより、蓋締め装置6をコンパクトにできる。また、小電力で蓋22の位置を蓋停止位置から釜停止位置へ移動させることが可能になる。
【0079】
第2コンベヤ12のように全ピッチP1で駆動するコンベヤに沿って配置される供給装置は、調味液を炊飯釜21に供給する調味液供給装置でもよいし、食酢を炊飯釜21に供給する食酢供給装置でもよい。米と水は、同一の供給装置から炊飯釜21に供給されてもよい。また、水供給装置は、調味液を供給する機能を有していてもよい。
【0080】
炊飯システム1,100は、第1コンベヤ11を全ピッチP1で駆動する場合、蓋取り装置8に代えて、蓋取り装置106を設置してもよい。
【0081】
蓋締め装置6および蓋取り装置106は、各位置決め装置71,72,81,82を有していなくてもよい。ただし、各位置決め装置を有することで、蓋停止位置および釜停止位置に対して蓋22と炊飯釜21とを正確に置くことができ、蓋22の取り損ないや、炊飯釜21に装着された蓋22の位置ずれなどを防止できる。
【0082】
蓋取り装置106は、第1搬送方向位置決め装置71がなくてもよい。
【0083】
炊飯システム1,100の動作手順は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜順序を変更したり、処理を省いたり、別の処理を追加したりしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 炊飯システム
6 蓋締め装置
12 第2コンベヤ
21 炊飯釜
22 蓋
P1 全ピッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11