(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113392
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
A63F5/04 620
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018338
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米谷 謙一
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518AA01
2C518AC11
2C518AD08
2C518CA03
2C518CA08
2C518CA10
2C518DA01
(57)【要約】
【課題】過度に遊技価値が付与されることを防止可能な遊技機を提供する。
【解決手段】スロットマシン1は、有利区間における差遊技価値を計数可能な第1計数手段と、有利区間開始後の所定のタイミングから差遊技価値を計数可能な第2計数手段とを備え、第1制御手段は、第2遊技状態において、第2計数手段による差遊技価値が特定値以下の値である特別値に到達した場合、第1遊技状態に制御可能であり、第1遊技状態において、所定条件が成立した場合、第2遊技状態に制御可能であり、第2制御手段は、第1計数手段における差遊技価値数が特定値を示す場合、有利区間を終了させることが可能であり、第2遊技状態から第1遊技状態に移行した場合、有利区間に継続して制御することが可能であり、所定のタイミングは、前回の第2遊技状態が終了してから今回の第2遊技状態が開始する前までにおける何れかのタイミングである構成としている。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1遊技状態と、当該第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態と、を含む複数の遊技状態のうち何れかの遊技状態に制御可能な第1制御手段と、
前記第1遊技状態及び前記第2遊技状態において有利区間に制御可能な第2制御手段と、
前記有利区間における差遊技価値を計数可能な第1計数手段と、
前記有利区間が開始した後の所定のタイミングから差遊技価値を計数可能な第2計数手段と、
を備え、
前記第1制御手段は、
前記第2遊技状態において、前記第2計数手段による差遊技価値が特定値以下の値である特別値に到達した場合、前記第1遊技状態に制御可能であり、
前記第1遊技状態において、所定条件が成立した場合、前記第2遊技状態に制御可能であり、
前記第2制御手段は、
前記第1計数手段における差遊技価値数が前記特定値を示す場合、前記有利区間を終了させることが可能であり、
前記第2遊技状態から前記第1遊技状態に移行した場合、前記有利区間に継続して制御することが可能であり、
前記所定のタイミングは、
前回の第2遊技状態が終了してから今回の第2遊技状態が開始する前までにおける何れかのタイミングである
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記所定のタイミングは、
前記前回の第2遊技状態が終了した後の第1遊技状態開始時である
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第2遊技状態は、
前記第2計数手段における差遊技価値数が前記特別値よりも少ない値である所定値に到達するまで継続可能な特定第2遊技状態と、
前記特定第2遊技状態において、前記第2計数手段における差遊技価値数が前記所定値に到達した場合に移行可能であり、且つ、前記第2計数手段による差遊技価値が前記特別値に到達するまで継続可能な特別第2遊技状態と、
を含み、
前記第1制御手段は、
前記特別第2遊技状態において、前記第2計数手段における差遊技価値数が前記特別値に到達しない場合、且つ、前記第1計数手段における差遊技価値数が前記特定値に到達しない場合、当該特別第2遊技状態を延長させることが可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第1制御手段は、
前記特別第2遊技状態において、前記第2計数手段における差遊技価値数が前記第1計数手段における差遊技価値数を超える場合、前記特別第2遊技状態を延長させることが可能である
ことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記第1制御手段は、
前記特別第2遊技状態において、特定条件が成立した場合、前記特別第2遊技状態を延長させることが可能である
ことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項6】
前記特別第2遊技状態は、
エンディング遊技状態である
ことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、例えば、スロットマシンが知られており、スロットマシンにおいては、遊技者に有利な遊技状態として、小役やリプレイ役の入賞を成立可能に報知するAT(アシストタイム)と称される遊技状態を有するものがある。
また、スロットマシンにおいては、遊技者が遊技価値(メダル等)を獲得可能とするための指示機能を作動させることを可能とする有利区間と、指示機能を作動させることを不能とする通常区間が設けられ、有利区間中において遊技者が多数の遊技価値を獲得可能となっている。
このようなスロットマシンにおいては、1回の有利区間中において差遊技価値数が特定値に到達した場合に、有利区間を終了させるとともに、ATを終了させるものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来の遊技機には、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の遊技機は、第1遊技状態と、当該第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態と、を含む複数の遊技状態のうち何れかの遊技状態に制御可能な第1制御手段と、前記第1遊技状態及び前記第2遊技状態において有利区間に制御可能な第2制御手段と、前記有利区間における差遊技価値を計数可能な第1計数手段と、前記有利区間が開始した後の所定のタイミングから差遊技価値を計数可能な第2計数手段と、を備え、前記第1制御手段は、前記第2遊技状態において、前記第2計数手段による差遊技価値が特定値以下の値である特別値に到達した場合、前記第1遊技状態に制御可能であり、前記第1遊技状態において、所定条件が成立した場合、前記第2遊技状態に制御可能であり、前記第2制御手段は、前記第1計数手段における差遊技価値数が前記特定値を示す場合、前記有利区間を終了させることが可能であり、前記第2遊技状態から前記第1遊技状態に移行した場合、前記有利区間に継続して制御することが可能であり、前記所定のタイミングは、前回の第2遊技状態が終了してから今回の第2遊技状態が開始する前までにおける何れかのタイミングである構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図7】CZCZ状態抽選テーブルを示す図表である。
【
図9】有利区間継続抽選テーブルを示す図表である。
【
図11】疑似ボーナス状態抽選テーブルを示す図表である。
【
図12】エンディング種別抽選テーブルを示す図表である。
【
図13】上乗せ抽選テーブル(エンディング状態)を示す図表である。
【
図14】CZ状態制御処理を示すフローチャートである。
【
図15】各遊技状態中における表示器での表示態様を説明する図である。
【
図16】有利区間中の差枚数の遷移と遊技状態の遷移を説明する図である。
【
図17】エンディング状態終了後に有利区間が継続する際の表示器での表示態様を説明する図である。
【
図18】エンディング状態上乗せ抽選処理を示すフローチャートである。
【
図19】エンディング状態終了後に有利区間が終了する際の表示器での表示態様を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図面を参照して説明する。
まず、スロットマシン1の全体構成について説明する。
スロットマシン1は、本発明に係る遊技機の一実施形態であり、遊技場等に設置されるものである。
図1~
図3に示すように、スロットマシン1は、前扉1a、筐体1b、メダル投入口2、ベットボタン2a、メダルセレクタ2b、演出ボタン2c、スタートレバー3、ドラムユニット4、リール41、停止ボタン5、表示窓6、メダル払出装置7、ホッパー7a、メダル払出口7b、表示器8、スピーカ9、ランプ11、ナビランプ12、有利区間ランプ13、電源装置14、確率設定装置15、主制御部10、副制御部20等を備える。
【0008】
なお、主制御部10及び副制御部20は、各々に記憶部(記憶手段)、制御部(制御手段)が備えられ、各種演算処理、各種制御が可能な装置であり、コンピュータの概念に含まれる。
各記憶部は、遊技に関する制御プログラムや各種抽選テーブル等を記憶するROMと、各種データを一時記憶する記憶領域やCPUの作業領域等を備えたRAM等を備える。
各制御部は、CPU等を備える。各制御部は、各記憶部に記憶された各種制御プログラム等を適宜読み出して実行することにより、本実施形態の各種機能を実現している。
【0009】
スロットマシン1は、前面に開口部を有する筐体1bと、開口部を開閉可能に覆う前扉1aとを備えている。
前扉1aの上下方向中央には、表面に装飾や各種機能表示が施された平板状の前面パネルが配設され、前面パネルの略中央には、後方を視認可能な表示窓6が形成されており、この表示窓6を透して、リール41に表された図柄を前方から視認することができる。
また、表示窓6の下方には、前側に突出する段部が形成されており、この段部の上面には、メダルを投入するメダル投入口2、ゲームの開始に際して遊技者の押圧操作によりベット数を設定するベットボタン2a、遊技者の操作により表示器8で表示されている演出等に変化を与えるための演出ボタン2cを備えている。
また、段部の前面には、遊技者が遊技を開始する際に操作するスタートレバー3と、遊技者がリール41を停止する際に押圧操作する停止ボタン5を備えている。
【0010】
また、表示窓6の上方には、遊技者に停止ボタン5の操作順序を報知可能なナビランプ12(ナビランプ12a、12b、12c)が各リール41a、41b、41cに対応して配設される。なお、ナビランプ12は、例えば、停止ボタン5の操作順序を表示する押し順表示部等を構成する7セグメントディスプレイ(「7セグ」ともいう)の「ドット」部分等を、点灯するように制御してもよい。
【0011】
表示窓6の下方には、例えば、LEDから構成される有利区間ランプ13が配設される。有利区間ランプ13は、有利区間(後述する)中に点灯するように制御される。なお、有利区間ランプ13に代えて、例えば、メダルの払出数を表示する払出数表示部等を構成する7セグの「ドット」部分等を、点灯するように制御してもよい。
また、有利区間ランプ13を設けなくてもよく、有利区間ランプ13に代えて後述するAT状態中に点灯するAT状態ランプを設けるようにしてもよい。
【0012】
前扉1aの上部には、報知手段及び表示手段として動作する表示器8を備えている。
表示器8は、例えば、複数の情報を表示可能な液晶表示器から構成されており、画像による各種演出、遊技における各種情報の表示等を行う。
なお、表示器8は、
図1に示すように、1つ設ける構成としているが、これに限らず、複数設けてもよい。例えば、2つの表示器(主表示器と副表示器)を設け、2つ並んだ状態で配置することで、主表示器と副表示器とを合わせて一つの表示部のように機能させてもよい。また、副表示器を主表示器よりもリール41に近い位置に配設し、リール41の回転や停止状態を見ながら、表示されている画像を容易に視認可能に設けてもよい。
また、スロットマシン1の下方に配置される大型の表示部である下パネル表示器に表示器を設けてもよい。
【0013】
表示器8の上方には、音による演出や報知を行い、報知手段として動作するスピーカ9、各役の入賞時の発光や表示器8で表示される演出に対応する光の演出や報知を行うランプ11を備えている。
また、前扉1aの下部には、メダルが払い出されるメダル払出口7bを備えている。
【0014】
筐体1bの上部には、遊技を統括的に制御する主制御部10を備えており、前扉1aの上部には、主制御部10の制御下で遊技の演出等に関する制御を行う副制御部20を備えている。
また、筐体1bの中央部には、リール41を回転駆動させるドラムユニット4を備えている。ドラムユニット4は、水平方向に並設されるリール41a、リール41b、リール41cを備え、これらリール41a~41cが、ステッピングモータ(図示省略)の駆動によりそれぞれ回転可能に構成されている。
【0015】
リール41a~41cは、変動表示手段の一例であり、リール41a~41cの周面には、識別情報となる複数(例えば、20個)の図柄として、例えば、「リプレイ」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」等が表されている。
なお、リール41a~41cの形態は、これに限定されず、例えば、周面の図柄の個数は、20個以外でもよい。
また、筐体1bの下部には、メダルの払い出しを行うメダル払出装置7、メダルを貯留するホッパー7aを備えており、メダル払出装置7から払い出されたメダルは、メダル払出口7bを介して遊技者に払い出される。
【0016】
筐体1bの下部には、電源装置14を備えている。
電源装置14は、主制御部10及び副制御部20を含む各装置に電力を供給するための装置であり、スロットマシン1の外部から入力される電源の電圧又は周波数を監視し、それらの電圧又は周波数が所定値以下に低下したことにより、スロットマシン1への電力供給が停止されたことを示す電断信号を主制御部10及び副制御部20に出力する。
さらに、電源装置14は、電源復帰により、所定値を超える電圧又は周波数を示す電力の供給を検出すると、スロットマシン1への電力供給が開始されたことを示す電源復帰信号を、主制御部10及び副制御部20に出力する。
【0017】
図3は、スロットマシン1の制御系の構成を示している。なお、
図1及び
図2で説明した構成要素と同一もしくは相当する構成要素には同一の符号を付している。
主制御部10は、役の抽選や遊技の進行制御等を行い、副制御部20は、主制御部10からの制御情報に基づき各種演出制御等を行う。
主制御部10と副制御部20との制御情報の伝達は、主制御部10から副制御部20に対して一方向のみに制限され、副制御部20から主制御部10への不正な信号の入力を防止している。
主制御部10は、ベットボタン2a、メダルセレクタ2b、スタートレバー3、停止ボタン5、ドラムユニット4、メダル払出装置7、有利区間ランプ13、確率設定装置15(設定手段)及び副制御部20と通信ケーブルで接続されており各機器を制御可能となっている。
【0018】
確率設定装置15は、遊技者にとっての有利度合いを複数段階で設定変更可能にするものであり、主制御部10は、確率設定装置15における確率設定操作に基づき、何れか1つの設定値を記憶部に記憶し、当該記憶された設定値に基づいて特典が付与される確率等を制御する。
確率設定装置15で設定される設定値は、設定1が最も低い確率値で、大きい数字ほど確率値が高くなり設定6が最も高い確率値となっている。したがって、設定1が最も遊技者に不利な設定であり、大きい数字ほど遊技者に有利になり設定6が最も遊技者に有利な設定となっている。
【0019】
確率設定装置15における設定値を変更する手順としては、設定キー(図示略)を確率設定装置15のキー挿入口に挿入して所定方向に設定キーを回転させた状態で、スロットマシン1の電源を投入することで、設定変更モードに移行させ、当該設定変更モードへの移行により、設定確認表示器(図示略)にその時点の設定値が表示され、設定変更ボタンの操作により所望の設定値への変更操作を行った後、例えば、スタートレバー3の操作により、設定値への変更が行われるものとなっている。
【0020】
また、設定キー(図示略)を確率設定装置15のキー挿入口に挿入して所定方向に設定キーを回転させた状態でのスロットマシン1の電源の投入後、リセットスイッチ(図示略)を操作すると、主制御部10がリセットされる。これにより、確率設定装置15における設定値が初期化(設定1に設定)されるとともに、後述するカウンタA、Bも初期化(ゼロクリア)されることとなる。なお、リセットスイッチの操作以外でも、上記した設定値の変更操作が行われた場合にもカウンタA、Bは初期化される。
【0021】
また、確率設定装置15でのその時点の設定値も確認可能となっていて、電源投入後に確率設定装置15のキー挿入口に設定キーを挿入して所定方向に回転させることで、その時点の設定値が設定確認表示器に表示されるものとなっている。
【0022】
なお、確率設定装置15における設定値により、CZ状態やAT状態への移行確率を直接変化、あるいは間接的に変化させることで、遊技者の有利度合いを複数段階で変化可能としてもよい。
また、遊技状態の他に、所定の小役(例えば、ベル役)の当選確率を複数段階(例えば、6段階)に変更可能にしてもよい。
また、設定値を6段階に設定可能としたが、これに限らず、例えば、4段階(設定値1、2、5、6)や3段階(設定1、設定3、設定6)としてもよく、固定の確率値としてもよい。
【0023】
主制御部10は、スタートレバー3からの信号に基づいて遊技の開始処理や、乱数発生器(図示省略)からの乱数値をサンプリングする処理等を行う。そして、主制御部10は、サンプリングされた乱数値に基づき内部抽選処理を行う。また、主制御部10は、記憶部に記憶された制御プログラム等を適宜読み出して実行することにより、後述する実施形態の各種機能を実現している。
すなわち、主制御部10は、遊技の実行に対応して、変動表示手段(リール41)に停止表示される識別情報に関連する役(当選役)の抽選を実行する抽選手段、遊技状態の移行権利等の特典を付与するか否かを判定する手段を備えている。
また、乱数を使用した抽選パターンは、前述したパターン以外でもよく、ソフト的に生成された乱数に基づき役の抽選を行い、乱数発生器で生成された乱数に基づき疑似ボーナス状態やAT状態の移行抽選、上乗せ抽選等を行うようにしてもよいし、全ての抽選をソフト的に生成された乱数、或いは乱数発生器で生成された乱数で行うようにしてもよい。
【0024】
また、主制御部10は、スタートレバー3からの信号に基づきリール41の回転制御を行う。主制御部10は、各リール41a~41cに備えられているセンサ(図示省略)からの信号に基づき、各リール41a~41cの回転位置を検出して、各リール41a~41c上の図柄の回転位置を把握可能となっている。そして、停止ボタン5からの信号に基づき、所望の図柄を表示窓6内に停止させる制御を行う。
【0025】
また、主制御部10は、所定の遊技タイミング(例えば、スタートレバー操作、停止ボタン5a~5cの操作、遊技状態の移行など)で、所定の信号やコマンド(制御情報)を副制御部20に出力する。
例えば、主制御部10は、スタートレバー3が操作された場合には、スタートレバー操作があったことを示す信号を副制御部20に出力し、各停止ボタン5a~5cが操作された場合には、どの停止ボタン5がどの順番で操作されたのかを識別可能な信号を出力し、停止ボタン5の操作により各リール41a~41cが停止された場合には、どのリール41がどの順番で停止したのか、上段・中段・下段の図柄などを識別可能な情報を副制御部20に出力する。
そのため、副制御部20は、遊技者による停止ボタン5a~5cの操作態様に応じた図柄の停止態様を認識することができる。
また、主制御部10は、遊技状態が移行する場合には、どの遊技状態に移行したのかを識別可能な情報を副制御部20に出力する。
【0026】
また、主制御部10は、電源装置14から電断信号と電源復帰信号を入力可能に構成されている。
主制御部10は、電断信号を入力すると、その入力時における遊技情報を記憶(退避)する電源断処理を実行する。この遊技情報には、例えば、そのときの遊技状態、当選役、リール41の停止態様、ベット数等の情報が含まれている。
また、主制御部10は、電源復帰信号を入力すると、記憶(退避)した遊技情報を読み出して遊技を再開する電源復帰処理を実行する。すなわち、主制御部10は、電源復帰信号を入力すると、読み出した遊技情報に基づいて電源断直前の状態に復帰させる。
また、主制御部10は、電源復帰処理において、遊技情報を副制御部20に送信する。これにより、副制御部20では、電源断直前の遊技状態に基づいて演出を再開することができる。
【0027】
副制御部20は、演出ボタン2c、スピーカ9、表示器8、ランプ11、ナビランプ12と通信ケーブルで接続されており通信可能である。副制御部20は、主制御部10からのコマンド(制御情報)に応じて、これらの装置を制御する。
【0028】
副制御部20は、演出に関するプログラム、演出画像データ、音声データ等の各種情報等を記憶部に記憶する。
副制御部20は、演出制御手段として動作することにより、主制御部10からのコマンド(制御情報)に応じて、スロットマシン1の遊技に同期した演出等の処理を行う。例えば、遊技状態の移行を示す演出画像、効果音の出力、ランプ演出等を、表示器8、ランプ11、スピーカ9等を制御して行う。
【0029】
また、副制御部20は、電源装置14から電断信号と電源復帰信号を入力可能に構成されている。副制御部20は、電断信号を入力すると、その入力時に実行中の演出内容を特定する演出情報を記憶(退避)する。この演出情報には、例えば、表示器8において表示されている各種情報等が含まれている。
また、副制御部20は、電源復帰信号を入力すると、主制御部10から受信した遊技情報を記憶(退避)した演出情報に基づいて、演出を再開する。
【0030】
(遊技機の基本的な遊技)
次に、
図4~
図5を参照して、主制御部10による制御により実現するスロットマシン1における基本的な遊技について説明する。
【0031】
まず、ゲームの開始にあたり、メダル(クレジットメダルも含む)を用いてベット数の設定を行う。
ベット数の設定は、メダル投入口2から直接メダルを投入して設定する方法と、ベットボタン2aを押圧操作して設定する方法とがある。
【0032】
メダル投入口2からメダルを投入してベット数を設定する方法では、投入されたメダルが前扉1a裏面に設けられたメダルセレクタ2bによって検知されることにより、投入分のメダル枚数に対応するベット数(ただし、メダル3枚に対応する3ベットが上限)が設定されることになる。3ベットを超えるメダルが投入された場合には、クレジットメダルとして内部的にデータとして記憶保持される。
なお、ベット数の上限は、「1」、「2」又は「4」以上でもよい。
【0033】
ベットボタン2aが押圧操作されると、内部的にデータとして記憶されたクレジットメダルから、1回のゲームに使用するメダル枚数として所定数(例えば、3枚)のメダル枚数が減算され、減算された分が3ベットとして設定される。
なお、ベットボタンとして、2枚に対応するメダル枚数を設定する2ベットボタンを設けることで、2ベットボタンを1回押すことで2ベットを設定してもよい。
また、ベットボタンとして、1枚に対応するメダル枚数を設定する1ベットボタンを設けることで、1ベットボタンを2回押すことで2ベットを設定してもよく、1ベットボタンを3回押すことで3ベットを設定してもよい。
また、クレジットメダルは、メダル投入口2からのメダル投入や入賞により加算され、例えば、メダル50枚までクレジット(記憶)することができる。
【0034】
このように、メダル投入口2からの直接投入や、各ベットボタンの押圧操作により設定されたベット数は、主制御部10の記憶部に記憶され、1回のゲームを実行可能なベット数(例えば、3ベット)になったときに、ゲーム開始可能な状態となる。
ゲーム開始可能な状態では、スタートレバー3の操作が有効な状態となる。この有効な状態において、スタートレバー3が傾動操作されると、ゲームが開始され、リール41が変動を開始するとともに、リプレイ役、小役、ボーナス役などの複数の役(ハズレを含む)や、疑似ボーナス状態、AT状態の移行に対する今回ゲームの抽選結果をリール4の停止前に事前に決定する内部抽選処理が実行される。
内部抽選処理では、複数の当選役の中から今回ゲームの当選役(ハズレを含む)を所定の当選確率に基づいて抽選により決定する。
【0035】
リール41は、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達する。定常回転に達すると、各リール41a~41cに対応して設けられた停止ボタン5a~5cが押圧操作可能な状態となる。
停止ボタン5a~5cは、リール41の停止操作を行うための操作手段(停止操作手段)の一例であり、押圧操作可能な状態において押圧操作されると、操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果とにより許容される図柄の組合せで停止するように、各リール41a~41cが停止制御される(停止制御手段)。
各リール41a~41cの停止制御は、各々に引き込み範囲が設定されていて、停止操作が行われた時点の図柄から逆回転方向(上方向)にある所定数(例えば、4個)の図柄が引き込み可能となり、この引き込み範囲にある図柄の何れかに限り有効ライン(以下、入賞ラインともいう)上に停止可能となる。
【0036】
そして、第3リール停止操作後に、遊技の結果として入賞ライン上に停止(以下、「停止表示」ともいう)した図柄の組合せを判定した結果、所定の図柄の組合せであるときに入賞と判定され、図柄の組合せに応じた遊技価値(例えば、メダル)が付与される。
なお、第3リールとは、3つのリール41a~41cの停止操作が各1回ずつ計3回された場合において、その最後である3操作目に停止操作をされたリールをいう。また、第3リール停止操作後とは、遊技者が第3リールを停止するために停止操作した停止ボタン5から指等を離した時点後のことをいう。
【0037】
本実施形態では、入賞の判定は、上・中・下段のライン、右下がりのライン、右上がりの計5ラインのうち、中段のラインのみを有効ラインとして、中段のライン上に停止した図柄の組合せに基づいて判定されるようになっている。
なお、入賞を判定する入賞ラインの本数は、1ラインに限らず、図柄の配置構成、図柄の種類、当選役に対応する図柄の組合せなどの関係により、適宜変更することができる。
なお、図柄の導出に関わる制御には、内部抽選処理の抽選結果に基づきゲーム結果として図柄を導出(停止)させる制御と、疑似遊技においてゲームの実行中に図柄を導出(疑似停止)させる制御とがある。
以上のように、スロットマシン遊技(ゲーム制御)が実行される。
【0038】
(当選役と対応する図柄の組合せ)
次に、各当選役と各当選役に対応する図柄の組合せについて説明する。
当選役は、例えば、小役、リプレイ役、ボーナス役等を有する。
小役には、例えば、押し順ベル役、スイカ役、チェリー役、1枚役がある。
また、チェリー役には、弱チェリー役と強チェリー役がある。
なお、以下の説明において、チェリー役、スイカ役、チャンス役を纏めて「レア役」ともいう。
また、レア役は、当選確率の比較的高い弱チェリー役とスイカ役は「弱レア役」として設定され、当選確率の比較的高い強チェリー役とチャンス役は「強レア役」として設定されている。
【0039】
押し順ベル役には、6通りある押し順のうちの1通りの押し順(正解押し順、特定の押し順)によって、停止ボタン5a~5cが操作されることで、対応する図柄の組合せ(「ベル・ベル・ベル」)が停止表示される6つの押し順ベル役1~6が設けられている。
このような押し順ベル役1~6は、他の5通りの押し順(不正解押し順、特定の押し順以外の押し順)によって停止ボタン5a~5cが操作されると、対応する図柄の組合せ(「ベル・ベル・ベル」)が停止表示されず、他の図柄の組合せ(押し順ベルこぼし目又はハズレ目)が停止表示される。
不正解押し順で停止ボタン5a~5cが操作された場合、押し順ベルこぼし目に対応する図柄の組合せ(「ベル・ベル・リプレイ」)を停止させることができなければ、取りこぼしが発生し、ハズレ目(「リプレイ・チェリー・ベル」など)が停止表示される。
押し順ベルこぼし目に対応する図柄の組合せが停止した場合には、1枚のメダルが付与され、ハズレ目に対応する図柄の組合せが停止した場合には、メダルが付与されないようになっている。
【0040】
なお、押し順ベル役に当選したときに、2、3番目に操作する停止ボタン5を問わず、最初に操作する停止ボタン5のみが特定の押し順に従っていれば、押し順ベル役に対応する図柄の組合せが停止するようにリール41の停止制御を行うようにしてもよい。また、押し順ベル役は、6通りに限らず、3通りの押し順ベル役1~3を設けてもよい。
また、押し順ベル役を押し順の異なる6種類に設定しているが、押し順ベル役を押し順の他に目押し操作を必要とする図柄で構成することで12種類に設定してもよい。
なお、以下の説明において、押し順ベル役1~6を纏めて、単に、押し順ベル役ともいう。
【0041】
また、本実施形態に係るスロットマシン1は、押し順ベル役1~6に関する遊技状態として、AT(アシストタイム)を発生可能となっている。
ATは、内部抽選処理によって押し順ベル役1~6に当選すると、副制御部20が表示器8等を制御することにより、停止ボタン5に対する押し順や目押しの目安となる図柄等を報知する状態である。
すなわち、主制御部10及び副制御部20は、遊技の結果として押し順ベル役の図柄の組合せ(ベル・ベル・ベル)を導出するための停止操作に関する情報を報知するための制御を実行する。
したがって、ATの発生により遊技者が容易にメダルを獲得することが可能であり、AT中は、非AT中に比べて出玉スピードが速くなる。ATが継続して実行される遊技状態として、後述するAT状態、疑似ボーナス状態、エンディング状態がある。
【0042】
例えば、押し順の報知は、押し順ベル役1に当選した場合には、「1」、「2」、「3」の文字情報からなる押し順を、左から順に表示器8に表示し、「左」、「中」、「右」の音声をスピーカ9から出力し、ナビランプ12を、12a(左)、12b(中)、12c(右)の順で点灯することにより、停止ボタン5の押し順を報知する。
なお、本実施形態では、表示器8、ナビランプ12、スピーカ9等の報知手段によって押し順がナビゲートされることを「押し順ナビ」ともいう。
非ATでは、内部抽選処理の当選結果が押し順ベル役1~6であっても、停止ボタン5の押し順が報知されない。このため、遊技者は、操作した停止ボタン5の操作順序が、偶然に当選した押し順ベル役1~6に対応する押し順と一致しない限り、基本的に、当選した押し順ベル役1~6に対応する図柄の組合せを、停止表示させることができない。
このため、スロットマシン1の遊技性は、遊技者がATに長期間制御されるような遊技を行うことにより、出玉を増やすといったものになる。
【0043】
チェリー役は、対応する図柄の組合せを「チェリー・ANY・ANY」とする小役であり、「チェリー」図柄が左リール41aの上段又は下段に停止する弱チェリー役と、「チェリー」図柄が左リール41aの中段に停止する強チェリー役とがある。
スイカ役は、対応する図柄の組合せを「スイカ・スイカ・スイカ」とする小役である。
1枚役は、対応する図柄組合せを「ベル・ベル・リプレイ」とする小役である。したがって、1枚役の入賞時には上記した「押し順ベルこぼし目」と同様の図柄組合せが停止することとなる。
【0044】
リプレイ役は、押し順に関係なく図柄の組合せが揃い、入賞ライン上に「リプレイ・リプレイ・リプレイ」の図柄の組合せが停止表示する。
チャンス役は、対応する図柄組合せを、「ベル・スイカ・スイカ」(チャンス目)とする小役である。
また、リプレイ役と1枚役以外の役は、所定のリールにおける入賞に対応する図柄を狙った停止操作(所謂目押し操作)を要するものとなっていて、当選して引込停止制御が行われた場合でも必ず対応する図柄組合せが停止するものとはなっていない。
【0045】
ボーナス役は、対応する図柄の組合せを「BAR・BAR・BAR」とする役であり、その入賞により遊技状態をボーナス状態に移行させる役である。
ボーナス役は、当選した遊技及び当該遊技以降の遊技においても対応する図柄の組合せが停止(ボーナス役が入賞)しない限り、当選した権利を持ち越すことが可能である。このため、対応する図柄の組合せが停止することでボーナス役が入賞するまでの期間は、ボーナス当選の成立状態が維持される(以下、この状態を「ボーナス当選状態」という)。通常のゲームでは、殆どの期間、ボーナス当選状態中において実行されることとなる。
一方、ボーナス役に当選し、ボーナス役に対応する図柄の組合せが停止表示する(ボーナス役が入賞する)と、ボーナス状態に移行し、当該ボーナス状態の終了後にボーナス役の当選の権利を持ち越していない非持越し状態(以下、この状態を「ボーナス非当選状態」という。)となる。
なお、ボーナス状態においては、メダルの増減がほぼないように役の抽選が行われるもの(所謂ゼロボ)となっている。
【0046】
また、ボーナス役は、1枚役に当選した場合の所定の割合で重複して当選する。
ボーナス役が1枚役と重複して当選した場合は、主制御部10は、小役に対応する図柄の組合せを優先的に停止表示させるリール制御を行い、ボーナス役に対応する図柄の組合せは、最も低い優先順位でリール制御を行う。
したがって、ボーナス役が重複して当選した遊技において、基本的にはボーナス役に対応する図柄の組合せは停止させることはできず、1枚役に対応する図柄の組合せが停止することとなり、ボーナス当選状態が以降の遊技においても継続することとなる。
なお、これに限らず、ボーナス役は、単独で当選してもよい。
【0047】
以上のような図柄の組合せに基づいて、小役、リプレイ役、ボーナス役の入賞の有無がそれぞれ判定される。判定の結果、入賞と判定した場合には、
図5に示すように、遊技価値が付与される(メダルが払い出される)。すなわち、主制御部10は、図柄の停止態様に応じた遊技価値(メダル)を付与する遊技価値付与手段を備えている。
例えば、押し順ベル役1~2において、対応する図柄の組合せが停止表示した場合には、3枚のメダルが払い出され、押し順ベル役3~6において、対応する図柄の組合せが停止表示した場合には、10枚のメダルが払い出される。一方、押し順ベル役の当選時に、不正解押し順で停止ボタン5a~5cが操作されて、押し順ベルこぼし目が停止した場合には、1枚のメダルが払い出される。
また、押し順ベル役3~6については、後述するAT状態中において、遊技者が保有するメダルが増加するような当選確率および払い出されるメダルの数に設定されている。
【0048】
スイカ役に対応する図柄の組合せが停止した場合には、6枚のメダルが払い出され、弱チェリー役、強チェリー役、チャンス役及び1枚役の各当選役に対応する図柄の組合せが停止した場合には、夫々1枚のメダルが払い出される。
また、リプレイ役に対応する図柄の組合せの停止表示により、次ゲームにおいてメダルの投入を行うことなく、再遊技が可能な状態となる。
また、ボーナス役に対応する図柄の組合せが停止した場合には、メダルの払い出しはされない。
【0049】
なお、各当選役に対応する図柄の組合せが停止表示した場合に払い出されるメダルの数は、上記の枚数以外でもよい。
また、各当選役に対応する図柄の組合せは、上記以外でもよく、目押し操作を必要する図柄で構成するようにしてもよいし、目押し操作を必要としない図柄で構成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、ベット数に関わらずメダルの払い出し数を同数に想定しているが、ベット数に応じてメダルの払い出し数を異ならせてもよい。
【0050】
(各役の当選確率)
次に、
図4を参照して、各役の当選確率について説明する。
図4は、ボーナス当選状態において、各役の抽選に用いられる内部抽選テーブルを示している。
内部抽選テーブルは、主制御部10による内部抽選処理において取得する乱数値の取得範囲(個数)を65536個とし、そのうちの当たり値(当選)の個数を各々示している。
各役に当選する確率は、
図4に示すように、例えば、確率設定装置15での設定値が設定1であった場合には、リプレイ役は、8982/65536の確率で設定され、1枚役は、14400/65536の確率で設定され、弱チェリー役は、650/65536の確率で設定され、強チェリー役は、164/65536の確率で設定され、スイカ役は、919/65536の確率で設定され、チャンス役は、491/65536の確率で設定され、押し順ベル役1~2は、6981/65536の確率で設定され、押し順ベル役3~6は、6492/65536の確率で設定されている。
このように、ボーナス当選状態では、各役の当選確率は、押し順ベル役>1枚役>リプレイ役>スイカ役>弱チェリー役>チャンス役>強チェリー役の関係性で設定されている。
また、詳細な説明は省略するが、設定2~6での各役の当選確率も、図示するような値に設定されている。
【0051】
図4に示す各役の当選確率は、ボーナス当選状態の値であるが、ボーナス役に当選していない状態(ボーナス非当選状態)においても、同様の当選確率となっている。ただし、ボーナス非当選状態においては、1枚役の当選と同時にボーナス役にも当選することとなる。
【0052】
なお、各役の当選確率の関係性は、
図5に示すもの以外でもよい。
また、当選確率は、設定値に応じて当選確率が変動する当選役と設定値に応じて当選確率が変動しない当選役を設けているが、これに限らず、全設定値共通としてもよい。
また、レア役(弱チェリー役)以外の役についても、高設定である程、当選確率が高くなるように設定してもよく、又は、低くなるように設定してもよい。
また、3ベットゲームにおける各役の当選確率を示しているが、3ベットゲーム以外の場合の各役の当選確率としてもよい。
【0053】
(通常区間、有利区間)
本実施形態に係る主制御部10は、後述する遊技状態とは別に、遊技区間として通常区間(非有利区間)及び有利区間のいずれかに制御することが可能な区間制御手段(第2制御手段)を備えている。
通常区間は、押し順ベル役に係る押し順ナビが実行されることのない遊技区間であり、有利区間が終了された後、次ゲームが開始されることで開始され、有利区間移行条件が成立することで終了する。
また、主制御部10の初期状態(リセット時)には通常区間に制御され、通常区間では、有利区間ランプ13は消灯状態に制御される。
【0054】
本実施形態では、有利区間移行条件の成立としては、内部抽選処理において所定の役(例えば、リプレイ役又は押し順ベル役)に当選することであり、当選ゲームの第3リール停止操作後に、通常区間から有利区間に移行する。
また、詳細は後述するが、遊技状態が通常遊技状態であり、遊技区間が通常区間中のゲームにおいて有利区間移行条件が成立した場合には、有利区間に移行することとなるが、このときボーナス当選状態であった場合には、遊技状態がCZ状態に移行することとなり、ボーナス非当選状態であった場合には、遊技状態が通常遊技状態を維持することとなる。したがって、ボーナス当選状態の場合には、通常区間への移行は、実質的にCZ状態への移行権利が付与されることとなる。
【0055】
なお、有利区間移行条件の成立を、レア役に当選した場合としてもよく、また、例えば、所定の当選役に対応する図柄の組合せの停止表示又は所定の当選役に対応しない図柄の組合せの停止表示(例えば、ハズレ目又は押し順ベルこぼし目)等によって、移行するようにしてもよい。
また、メダル数が増加する遊技者にとって有利な遊技状態へ移行したことを条件に有利区間に移行させ、有利な遊技状態が連続した場合には有利区間を継続させるようにしてもよい。
【0056】
有利区間は、押し順ベル役に係る押し順ナビが実行可能な遊技区間であり、押し順ナビが実行されることで通常区間と比較して遊技者にとって有利な遊技区間である。
また、有利区間は、通常区間において有利区間移行条件が成立した後に、所定の有利区間の終了条件が成立することで終了される。
有利区間の終了条件としては、例えば、スロットマシン1(主制御部10)がリセット(設定変更時も含む)された場合等がある。
また、有利区間の終了条件としては、詳細は後述するが、通常遊技状態中およびCZCZ状態中のゲームにおいて、CZ状態移行抽選の当選を契機に実行される有利区間の継続抽選に非当選の場合(通常区間移行が選択された場合)にも成立するようになっている。
なお、本実施形態では、基本的にはAT状態やエンディング状態の終了時には有利区間は継続するものとなっているが、これらの終了時の一部で有利区間の終了条件を成立させるようにしてもよいし、終了時の差枚数に応じて有利区間を終了するか否かを決定するようにしてもよい。
また、通常遊技状態において、所定ゲーム数滞在し続けた場合には、有利区間が終了して通常区間に移行するようにしてもよい。
【0057】
さらに、スロットマシン1には、遊技者が獲得するメダル数を制限するための制限機能としてリミッタ機能(以降、有利区間リミッタともいう)が設けられていて、有利区間リミッタが作動した場合にも有利区間の終了条件が成立するようになっている。
例えば、有利区間リミッタは、「1回の有利区間中の獲得枚数(差枚数(投入されたメダル数-払い出されたメダル数))が、上限枚数(例えば、+2400枚)に到達したこと」の条件を満たすことである。
したがって、有利区間リミッタは、1回の有利区間における差枚数が上限枚数に達した場合に作動することとなる。
また、上限枚数の条件を「1回の有利区間中の獲得枚数(純増枚数(所謂MY))が、上限枚数(例えば、2400枚)に到達したこと」としてもよい。
【0058】
なお、上記の有利区間の終了条件は、「1回の有利区間中のゲーム数(有利区間ゲーム数)が、上限ゲーム数(例えば、4000ゲーム)に到達したこと」の条件を満たす場合に成立するようにしてもよい。すなわち、有利区間リミッタを、1回の有利区間におけるゲーム数が上限ゲーム数に達した場合に作動するようにしてもよい。
なお、有利区間の終了条件は、上記に限らず、例えば、「少なくとも1回の押し順ベルの報知がされたこと」、「ボーナス役に対応した図柄の組合せが停止表示されたこと」等を含めてもよい。
また、有利区間中に所定の当選役(通常区間移行役)に当選したことを契機に、有利区間を終了し、通常区間に移行するようにしてもよい。
【0059】
有利区間が終了した場合には、遊技に関する情報のうち、ボーナスの当選権利は持ち越されるものの、その他の情報は初期化される。例えば、後述する各カウンタの値や各遊技状態中に管理される各種情報(例えば、確率状態、小役の連続当選回数)は、有利区間が終了した場合に初期化される。
なお、これに限らず、有利区間の終了で初期化される情報のうち、一部又は全ての情報について、初期化されないようにしてもよい。
【0060】
有利区間では、有利区間ランプ13は点灯可能な状態に制御される。
なお、これに限らず、有利区間ランプ13は、有利区間に移行後、メダル数が増加する遊技者にとって有利な遊技状態となった時点で、点灯を開始してもよい。
また、有利区間へ移行した場合でも有利区間ランプ13を点灯させないようにしてもよいし、有利区間へ移行した場合でもAT状態に移行した場合にのみ点灯させるようにしてもよい。
また、有利区間ランプ13を設けなくてもよいが、代わりに主制御部10で制御されるAT状態ランプを設けて、AT中にAT状態ランプを点灯させることが好ましい。
【0061】
また、本実施形態のスロットマシン1には、遊技者が獲得するメダル数を制限するための機能として、スロットマシン1の電源が投入されてから遮断されるまでに遊技者側が実際に獲得するメダル数(純増枚数)を制限する所謂コンプリート機能(単にコンプリートともいう)を設けている。
具体的には、スロットマシン1の電源が投入されてから遮断されるまでの純増枚数(MY)が所定数(コンプリート値である+19000枚)に達した場合に、ゲーム実行不能状態として、その後のゲームが不能となる遊技停止状態にするようにしている。
したがって、遊技場の営業中において、遊技者側が獲得するメダル数が制限されることとなる。
また、遊技場の営業中に、1回の有利区間中における差枚数が極めて小さい値となっていて、有利区間リミッタ機能が作動するまでに極めて多数のメダルを遊技者が獲得可能な状態となっていても、有利区間リミッタ機能が作動するまでにコンプリート機能が先に作動することとなり、差枚数が極めて小さい値となっていた場合でも、遊技場側の不利益が極めて大きくなってしまうことを防止可能となる。
【0062】
(遊技に関するカウンタ)
有利区間中は、主制御部10が計数手段(第1計数手段、第2計数手段)として動作することにより、以下に示すカウンタの計数結果を記憶部に記憶する。
・有利区間ゲーム数カウンタ(以下、カウンタAともいう。)…有利区間中のゲーム回数の計数値
・有利区間差枚数カウンタ(以下、カウンタBともいう。)…有利区間中の獲得枚数(差枚数)の計数値
・AT差枚数カウンタ(以下、カウンタCともいう。)…AT中を含む獲得枚数(差枚数)の計数値
・エンディング中差枚数カウンタ(以下、カウンタDともいう。)…エンディング状態中に有利区間リミッタまでの残り枚数(差枚数)の計数値
【0063】
カウンタBは、有利区間リミッタに関するカウンタである。
主制御部10は(第1計数手段)、通常区間から有利区間に移行すると、有利区間中に実行したゲーム回数の計数(カウンタA)と、有利区間中に獲得したメダル枚数の計数(カウンタB)を開始し、カウンタBの示す値が特定値(+2400枚)に到達した場合に、有利区間を強制的に終了する。
また、カウンタA及びカウンタBの値は、有利区間が終了した場合に初期化(ゼロクリア)される。
なお、カウンタAを、有利区間リミッタに関するカウンタとして用いてもよく、例えば、カウンタAの示す値が特定値(4000ゲーム)に到達した場合に、有利区間を強制的に終了してもよい。
【0064】
カウンタBは、1回の有利区間における遊技者側が消費(ベット数として入力)したメダル数と、払い出(付与)されたメダル数の差数を主制御部10が監視するためのカウンタであり、1回の有利区間中において、ゲームの実行に際して消費されたメダル数分減算されるとともに、ゲームの結果により払い出されたメダル数分加算されることで、ゲームの実行により増減することとなる、消費メダル数と払い出しメダル数との差枚数(差遊技価値)を計数可能なカウンタである。
また、カウンタBは、初期化されない限り、ゲームの実行に際して消費されたメダルの総数が、ゲームの結果により払い出されたメダルの総数よりも大きくなった場合も計数されるものとなっている。
【0065】
これにより、有利区間中において遊技者側が実際に獲得したメダルがなく、メダルの消費のみが行われている場合も、そのときの消費メダル数(遊技者側が損失したメダル数)を計数可能である。
すなわち、主制御部10は、有利区間における遊技価値(メダル)の付与数よりも、有利区間における遊技価値の消費数の方が多くなった場合もカウンタBの値を計数可能である。
【0066】
カウンタCは、ATリミッタに関するカウンタである。
本実施形態に係るスロットマシン1には、遊技者が獲得するメダル数を制限するための制限機能として有利区間リミッタ機能の他に、ATリミッタが設けられており、ATリミッタが作動した場合にもATの終了条件が成立するようになっている。
例えば、ATリミッタは、「AT中に獲得枚数(差枚数(投入されたメダル数-払い出されたメダル数))が、特別値(例えば、+2400枚)に到達したこと」の条件を満たすことである。なお、特別値は、特定値(+2400)以下の値であれば任意の値とすることができる。
また、ATリミッタの作動条件を、AT中のゲーム数が上限ゲーム数(例えば1500)に到達した場合としてもよい。
【0067】
カウンタCは、有利区間が開始した後の所定のタイミングから消費メダル数と払い出しメダル数との差枚数(差遊技価値)を計数可能なカウンタである。
所定のタイミングとしては、前回のAT(前回の第2遊技状態)が終了してから、今回のAT(今回の第2遊技状態)が開始する前までにおける何れかのタイミングである。
例えば、所定のタイミングを、前回のAT(前回の第2遊技状態)が終了した後の第1遊技状態開始時(非AT開始時)とすることができる。
カウンタCの計数終了タイミングは、今回のATが終了した場合である。
すなわち、主制御部10(第2計数手段)は、前回のAT終了後の非ATの開始時から今回のAT終了時までの差枚数を計数可能である。
【0068】
また、主制御部10は、カウンタCの示す値が特別値(+2400枚)に到達した場合(ATリミッタに到達した場合)には、計数を終了し、ATを強制的に終了して通常遊技状態へ制御する。
カウンタCの値は、ATが終了した場合又は有利区間が終了した場合に初期化(ゼロクリア)される。なお、これに限らず、カウンタCの値をリセットするか否かを、ATが終了した場合に抽選で決定するようにしてもよい。
また、カウンタCは、初期化されない限り、ゲームの実行に際して消費されたメダルの総数が、ゲームの結果により払い出されたメダルの総数よりも大きくなった場合も計数されるものとなっている。
【0069】
また、カウンタCは、エンディングリミッタ(エンディング状態までの上限遊技回数)としても機能する。
例えば、主制御部10は、カウンタCの示す値が所定値(例えば、2000枚)に到達した場合、遊技状態をエンディング状態(後述する)へ強制的に移行するように制御する。
なお、カウンタCの詳細については、後述する。
【0070】
カウンタDは、エンディング状態において、有利区間リミッタまでの残り差枚数(差遊技価値)を計数するカウンタである。
具体的には、主制御部10は、エンディング状態開始時に、初期値(例えば、ゼロ)をセットし、エンディング状態中に有利区間リミッタである「2400」から、有利区間中の差枚数であるカウンタBの値を減算することでカウンタDを計数する。
例えば、エンディング状態において、カウンタBの値が400の場合、カウンタDの値は2000となる。つまり、本来は、有利区間中に2000枚(2400枚-400枚)が獲得可能である。
カウンタDの値は、有利区間が終了した場合に初期化(ゼロクリア)される。
なお、カウンタDの詳細については、後述する。
【0071】
本実施形態に係るスロットマシン1は、このような構成に加えて、以下に示すような遊技状態と、この遊技状態に基づく特徴的なゲーム性を備えている。
各遊技状態は、主制御部10が遊技状態制御手段として動作することにより、それぞれの遊技状態に制御(以下、移行ともいう)される。
【0072】
(各遊技状態の詳細)
次に、
図6を参照して、本実施形態に係るスロットマシン1の各遊技状態と、各遊技状態の遷移及び各遊技状態に基づくゲーム性について説明する。
なお、主制御部10は、通常区間及び有利区間の移行制御と遊技状態間の移行制御を、独立して行うことができる。
以下、特に説明がない場合には、各遊技状態から他の遊技状態への移行タイミングは、基本的に、移行条件が成立した遊技の第3リール停止操作後(若しくは、メダルの払い出し終了後)である。なお、これに限定されず、移行条件の成立後、次ゲームから移行してもよい。
【0073】
図6に示すように、本実施形態に係るスロットマシン1の遊技は、通常遊技状態、CZCZ状態、CZ状態、AT状態、疑似ボーナス状態、エンディング状態等の複数の遊技状態において実行される。
主制御部10は、遊技状態制御手段(第1制御手段)として動作することにより、所定の移行条件が成立することに基づいて、一の遊技状態から他の遊技状態へと移行するように制御可能である。
通常遊技状態、CZCZ状態及びCZ状態は、非AT(第1遊技状態)に制御され、AT状態、疑似ボーナス状態及びエンディング状態は、AT(第2遊技状態)に制御される。
特に、通常遊技状態においては、長期間滞在する程、遊技者のメダルが増加しにくい期間が長くなり、遊技者にとって不利になる。一方、AT状態、疑似ボーナス状態及びエンディング状態は、AT又は一部ATに制御され、遊技を続けることで、メダルが増加しやすく、遊技者にとって有利な遊技状態である。
そのため、遊技者は、非ATに制御される遊技状態からATに制御される遊技状態への移行を目指し、特に、AT状態に長く滞在することを目指して遊技を行うことになる。
AT状態への遷移は複数あるが、基本的な遷移としては、通常遊技状態→CZCZ状態→CZ状態の順序で移行し、その後、AT状態に移行可能である。
なお、通常遊技状態、CZCZ状態及びCZ状態の一部をAT、すなわち押し順ベル役当選時の所定の確率(例えば、40%)で押し順ナビを実行するように制御してもよい。
【0074】
(通常遊技状態)
通常遊技状態は、スロットマシン1のリセット時、設定値が変更(設定値の打ち直しも含む)された場合又は有利区間が終了した場合等に滞在する。
また、CZCZ状態、CZ状態、AT状態、エンディング状態の終了後に突入する場合がある。
スロットマシン1(主制御部10)がリセットされた場合に滞在する通常遊技状態では、通常区間(非有利区間)に制御される。通常区間中の通常遊技状態において、有利区間移行条件が成立した(リプレイ役又は押し順ベル役に当選した)場合には、主制御部10は、通常区間から有利区間に制御する。ただし、主制御部10がリセットされた場合には、ボーナス非当選状態であるので、次ゲームが実行されても遊技状態は通常遊技状態を維持することとなる。
また、通常遊技状態中は、表示器8の画面主要部に通常遊技状態中であることを報知する通常遊技状態画像が表示される(
図15(a)参照)。
【0075】
(通常遊技状態からCZCZ状態への移行処理)
通常遊技状態では、レア役に当選したことに基づいて、CZCZ状態への移行抽選が行われる。例えば、主制御部10は、弱レア役(弱チェリー役、スイカ役)、強レア役(強チェリー役、チャンス役)に当選したことに基づいて、CZCZ状態への移行抽選を行う。
具体的には、主制御部10は、「CZCZ状態抽選テーブル」(
図7)を参照することで、確率設定装置15に設定されている設定値と当選役に基づいて移行抽選を行う。
当該移行抽選に当選した場合は、主制御部10は、通常遊技状態からCZCZ状態へ移行するように制御する(
図6の矢印a)。
【0076】
図7に示すように、CZCZ状態の移行抽選は、例えば、設定1又は設定2が設定されている場合、弱レア役に当選した場合には、64/256の確率で当選し、強レア役に当選した場合には、128/256の確率で当選するように設定されている。
また、設定3又は設定4が設定されている場合、弱レア役に当選した場合には、96/256の確率で当選し、強レア役に当選した場合には、160/256の確率で当選するように設定されている。
また、設定5又は設定6が設定されている場合、弱レア役に当選した場合には、128/256の確率で当選し、強レア役に当選した場合には、192/256の確率で当選するように設定されている。
このように、当選確率の低い役ほどCZCZ状態に移行する確率が高くなり、確率設定装置15に設定されている設定値が高い方が、CZCZ状態に移行する確率が高くなる。
【0077】
(通常遊技状態からCZ状態への移行処理)
前述したように、CZ状態へ移行させるには、通常遊技状態においてCZCZ状態へ移行させることとなるが、本実施形態においては、CZCZ状態へ移行せずに、通常遊技状態から直接CZ状態への移行を可能にしている。
通常遊技状態では、リプレイ役に連続で当選したことを契機に、CZ状態への移行抽選が行われる。
具体的には、主制御部10は、「CZ状態抽選テーブル」(
図8)を参照することで、リプレイ役の連続当選回数に基づいて移行抽選を行う。
当該移行抽選に当選した場合は、主制御部10は、通常遊技状態からCZ状態へ移行するように制御する(
図6の矢印d)。
【0078】
CZ状態の移行抽選は、
図8に示すように、例えば、リプレイ役の連続回数が2回、3回、4回時に実行され、連続回数が2回の場合には、1/256の確率で当選となり、連続回数が3回の場合には、64/256の確率で当選となり、連続回数が4回の場合には、256/256の確率で当選となるように制御される。
このように、通常遊技状態において、リプレイ役に連続で当選した場合には、CZ状態への移行抽選が行われ、この抽選に当選した場合には、CZ状態への移行権利が付与されることとなり、通常遊技状態中においてもCZ状態の移行に対する期待感を高めることが可能となる。
【0079】
なお、リプレイ役の連続当選を契機にCZ状態の移行抽選を行うようにしているが、その他の役の連続当選を契機にCZ状態の移行抽選を行うようにしてもよい。
また、CZ状態の移行抽選の契機となるリプレイ役の連続当選は、5回以上でもよい。
また、リプレイ役の連続当選回数と、その他の抽選結果(ハズレ等)の連続当選回数を別で管理するなど複数(2種類以上)の抽選結果の連続当選回数を管理し、管理している連続回数の何れかが規定値に到達した場合に、抽選を行うようにしてもよい。また、2種類以上の抽選結果を管理する状況を、後述するCZCZ状態中におけるCZ状態の移行抽選時のみで実現するようにしてもよい。
【0080】
本実施形態においては、CZ状態の移行抽選に当選した場合、有利区間の継続抽選が実行される。
すなわち、CZ状態へ移行する場合には、有利区間を維持したままCZ状態に移行するケースと、通常区間に移行して、再度有利区間に移行した後にCZ状態に移行するケースがある。
具体的には、主制御部10は、CZ状態移行抽選の当選を契機に、「有利区間継続抽選テーブル」(
図9)を参照することで、有利区間中の差枚数(カウンタBの値)に基づいて抽選を行う。
図9(a)に示すように、例えば、低設定(設定1-3)が設定されている場合、有利区間中の差枚数が0枚以下の場合には、255/256の確率で有利区間が継続し、有利区間中の差枚数が1枚以上499枚以下の場合には、64/256の確率で有利区間が継続し、有利区間中の差枚数が500枚以上の場合には、16/256の確率で有利区間が継続するように設定されている。
また、
図9(b)に示すように、高設定(設定4-6)が設定されている場合、有利区間中の差枚数が0枚以下の場合には、256/256の確率で有利区間が継続し、有利区間中の差枚数が1枚以上499枚以下の場合には、16/256の確率で有利区間が継続し、有利区間中の差枚数が500枚以上の場合には、0/256の確率で有利区間が継続するように設定されている。
【0081】
このように、有利区間中の差枚数がマイナスの場合には、高い確率で有利区間が継続するようになっており、有利区間中の差枚数がプラスの場合には、高い確率で有利区間が終了(通常区間に移行)するようになっている。また、高設定が設定されている方が、その傾向が顕著になるように設定されている。
【0082】
なお、通常遊技状態において、CZCZ状態やCZ状態への移行確率が相対的に低い通常確率状態と、相対的に高い高確率状態とを設けることで、CZCZ状態やCZ状態への移行確率を変更可能としてもよい。
確率状態の移行は、例えば、レア役当選時の所定の確率で通常確率状態から高確率状態に移行(昇格)するような制御を行い、例えば、リプレイ役当選時、ベル役当選時及びハズレ役当選時の所定の確率で高確率状態から通常確率状態へ移行(降格)する制御が行われるようにしてもよい。
【0083】
また、通常遊技状態において、通常遊技状態(有利区間)におけるゲームの実行回数が予め定められた数となった場合に、CZCZ状態又はCZ状態に移行させるようにしてもよい。
さらに、通常遊技状態(有利区間)におけるゲームにおいて、役の抽選結果に応じて所定のポイントを加算し、このポイントの加算値が所定数となった場合に、CZCZ状態又はCZ状態に移行させるようにしてもよいし、ポイントの加算値が所定数となった場合に、抽選を行い、この移行抽選に当選した場合にCZCZ状態又はCZ状態に移行させるようにしてもよい。
【0084】
また、通常遊技状態において、所定のレア役に当選したことに基づいて、AT状態の移行抽選を行い、通常遊技状態から直接AT状態に移行可能としてもよい。例えば、強チェリー役当選時の所定の確率(例えば、1%)でAT状態への移行処理を行ってもよい。
【0085】
(CZCZ状態)
CZCZ状態は、非ATではあるものの、CZ状態に移行するための前段階の遊技状態であるので、一連の遊技の流れにおいてチャンスゾーン(CZ)のチャンスゾーン(CZCZ)として位置付けられている。
CZCZ状態の遊技可能回数は、基本的には10ゲームに設定されているが、11ゲーム以降においてもリプレイ役及びレア役以外が当選するまで継続する。すなわち、CZCZ状態では、「10ゲーム+α」の間に、CZ状態への移行権利を獲得することを目指して遊技を行うことになる。
また、CZCZ状態中は、表示器8の画面主要部にCZCZ状態中であることを報知するCZCZ状態画像が表示される(
図15(b)参照)。
【0086】
前述したように、通常遊技状態においては、リプレイ役の連続当選時にCZ状態の移行抽選が行われることとなるが、CZCZ状態中においては、リプレイ役に連続当選しなくても、CZCZ状態中のリプレイ役の合計当選回数に応じてCZ状態の移行抽選が行われる。
したがって、CZCZ状態は、通常遊技状態よりもCZ状態へ移行する確率の高い遊技状態である。
【0087】
なお、通常遊技状態においては、CZCZ状態の移行抽選に当選した場合に、次ゲームから直ぐにCZCZ状態に移行させずに、所定期間の遅延期間を設けて、その遅延期間において前兆演出を行うようにしてもよい。
この場合、上記遅延期間が終了することとなる最終ゲームにおいてリプレイ役に当選した場合には、その当選もCZCZ状態中に当選したものとしてもよい。すなわち、CZCZ状態移行後の最初のゲームでもリプレイ役に当選した場合には、リプレイ役に2連続で当選したことにすることができる。
また、CZCZ状態中においては、リプレイ役への1回の当選を、複数回(例えば、2回)のリプレイ役の当選と見做すようにして、CZCZ状態中にリプレイ役に当選した場合の期待度を通常遊技状態中よりも高めるようにしてもよい。
【0088】
(CZCZ状態からCZ状態への移行処理)
CZCZ状態中におけるCZ状態への移行抽選は、CZCZ状態中の期間内において、リプレイ役に当選した合計回数に基づいて行われる。
具体的には、主制御部10は、前述した「CZ状態抽選テーブル」(
図8)の通常遊技状態中のリプレイ役の連続当選回数を、CZCZ状態中のリプレイ役の当選回数に置き換えたテーブルを参照することで移行抽選を行う。
当該移行抽選に当選した場合は、主制御部10は、CZCZ状態からCZ状態へ移行するように制御する(
図6の矢印c)。
CZ状態の移行抽選は、
図8に示すように、例えば、合計当選回数が2回の場合には、1/256の確率で当選となり、合計当選回数が3回の場合には、64/256の確率で当選となり、合計当選回数が4回の場合には、256/256の確率で当選となるように設定されている。
【0089】
このように、通常遊技状態中のゲームにおいては、リプレイ役に連続で当選した場合に有利区間の終了抽選が行われるが、CZCZ状態中においては、リプレイ役が連続当選しなくてもCZCZ状態中におけるリプレイ役の当選回数が複数回となれば、通常遊技状態中においてリプレイ役が連続当選した場合と同様の抽選が行われることとなり、通常遊技状態中よりもCZ状態の移行に対する期待感を高めることができる。
また、CZCZ状態中に、CZ状態の移行抽選に非当選のまま、11ゲーム以降においてリプレイ役またはレア役以外の小役に当選した場合、次ゲームから通常遊技状態へ移行する(
図6の矢印b)。
なお、11ゲーム以降においてリプレイ役に当選した場合にもCZCZ状態を継続するようにしてもよく、このときのリプレイ役の当選もCZ状態の移行抽選の契機としてもよい。
【0090】
(CZ状態制御処理)
次に、
図14を参照して、主制御部10が行うCZ状態制御処理について説明する。
CZ状態制御処理は、遊技状態が通常遊技状態又はCZCZ状態の場合であって、且つ、ボーナス当選状態の場合に実行される。
まず、主制御部10は、遊技区間が有利区間中か否かの判定を行う(S1)。
非有利区間(通常区間)中であると判定した場合には(S1:No)、S8に移行し、有利区間中であると判定した場合は、(S1:Yes)、今回ゲームにおいてCZ状態の移行抽選に当選したか否かの判定を行う(S2)。
CZ状態の移行抽選に当選していないと判定した場合には(S2:No)、S8に移行し、CZ状態の移行抽選に当選したと判定した場合は(S2:Yes)、CZ待機モードに制御する(S3)。CZ待機モードは、遊技状態がCZ状態に移行するまで制御される。
また、CZ待機モード中は、
図15(c)に示すように、表示器8の画面主要部にCZ待機状態中であることを報知するCZ待機状態画像が表示される。
【0091】
CZ状態の移行抽選に当選した場合には、有利区間の継続抽選を実行する(S4)。
上述したように、「有利区間継続抽選テーブル」(
図9)を参照することで、有利区間の継続又は有利区間の終了(通常区間に移行)を抽選により決定する。
そして、有利区間の継続が決定されか否かの判定を行い(S5)、有利区間の継続が決定された場合には(S5:Yes)、S9に移行し、有利区間の終了(通常区間への移行)が決定された場合には(S5:No)、遊技状態を通常遊技状態に移行するように制御し(S6)、遊技区間を通常区間に移行するように制御し(S7)、処理を終了する。
【0092】
また、遊技区間が通常区間中である場合(S1:No)、今回ゲームにおいてCZ状態の移行抽選に当選していない場合(S2:No)には、通常遊技状態且つ通常区間中であるか否かの判定を行う(S8)。
通常遊技状態且つ通常区間中ではないと判定した場合は(S8:No)、処理を終了し、通常遊技状態且つ通常区間中であると判定した場合は、(S8:Yes)、今回ゲームにおいて有利区間移行条件が成立した(リプレイ役又は押し順ベル役に当選した)か否かの判定を行う(S9)。
有利区間移行条件が成立していないと判定した場合には(S9:No)、処理を終了し、有利区間移行条件が成立したと判定した場合は、(S9:Yes)、通常区間中か否かの判定を行う(S10)。
通常区間中であると判定した場合には(S10:Yes)、遊技区間を有利区間に移行するように制御し(S11)、遊技状態をCZ状態に移行するように制御する(S12)。
一方、有利区間中であると判定した場合は、(S10:No)、遊技状態をCZ状態に移行するように制御する(S12)。
以上のように、CZ状態制御処理が行われる。
【0093】
このように、CZ状態制御処理では、通常遊技状態又はCZCZ状態において、CZ状態の移行抽選に当選した場合、有利区間の継続抽選が実行されて、有利区間を維持したままCZ状態に制御する場合と、通常区間に移行して、再度有利区間に移行した後にCZ状態に制御する場合がある。
また、CZ状態制御処理では、有利区間を維持したままCZ状態に移行する場合と、通常区間に移行して再度有利区間に移行した後にCZ状態に移行する場合の双方において、表示器8に同じ演出画像(CZ待機状態画像)を表示し(
図15(c)参照)、有利区間移行条件の成立を契機にCZ状態へ移行するようになっている。
このように、表示画面を共通化して遊技区間の状態を認識し難くすることで、遊技者に対して有利区間が終了した(通常区間に制御されている)ことを認識できないようにすることができ、その後の遊技に対する期待感を高めることができる。
なお、その後に移行したCZ状態で表示されるCZ状態画像(
図15(d)参照)も、CZ待機状態画像と同様の表示態様としてもよい。
【0094】
(CZ状態)
CZ状態は、非ATではあるものの、AT状態の移行抽選が行われるので、遊技者にとって有利な遊技状態であるので、一連の遊技の流れにおいてチャンスゾーン(CZ)として位置付けられている。
CZ状態の遊技可能回数は、最大で5ゲームである。
また、CZ状態中は、表示器8の画面主要部にCZ状態中であることを報知するCZ状態画像が表示される(
図15(d)参照)。
【0095】
(CZ状態からAT状態への移行処理)
CZ状態では、各ゲームにおいてAT状態の移行抽選が行われる。例えば、毎ゲーム、50%の当選確率に基づいてAT状態への移行抽選が行われ、当該移行抽選に当選することでAT状態の移行権利が付与される。
また、当該移行抽選に当選した場合は、AT種別抽選が行われる。
具体的には、主制御部10は、「AT種別抽選テーブル」(
図10)を参照することで、移行抽選に当選したゲームの当選役に基づいて移行先のATの種別を決定する抽選を行う。
詳細は後述するが、AT状態は、通常AT状態、上位AT状態、特殊AT状態の3種類が設けられており、通常AT状態よりも上位AT状態、上位AT状態よりも特殊AT状態の方が、遊技者にとって有利なAT状態である。
【0096】
AT種別抽選は、
図10に示すように、例えば、弱レア役に当選した場合には、128/256の確率で「通常AT状態」が当選し、96/256の確率で「上位AT状態」が当選し、32/256の確率で「特殊AT状態」が当選するように設定されている。
また、強レア役に当選した場合には、128/256の確率で「上位AT状態」が当選し、128/256の確率で「特殊AT状態」が当選するように設定されている。
また、それ以外の役に当選した場合には、222/256の確率で「通常AT状態」が当選し、32/256の確率で「上位AT状態」が当選し、2/256の確率で「特殊AT状態」が当選するように設定されている。
このように、当選確率の低い役に当選した方が、期待度の高い上位AT状態や特殊AT状態に移行する確率が高くなるので、興趣性の高い抽選が実行可能となるとともに、遊技者の期待感を高めることが可能である。
CZ状態中に当該移行抽選に当選した場合は、主制御部10は、次ゲームからAT種別抽選で決定されたAT状態へ移行するように制御する(
図6の矢印f)。一方、CZ状態中に当該移行抽選に非当選のまま、5ゲームが終了した場合には、次ゲームから通常遊技状態へ移行するように制御する(
図6の矢印e)。
なお、特定の役(例えば、強チェリー役)に当選した場合には、必ず所定のAT種別(例えば、特殊AT状態)を決定してもよい。
【0097】
(AT状態)
AT状態は、ATに制御されるため、メダルの獲得が極めて容易な遊技状態である。
AT状態中は、AT状態の初期移行時に付与された所定数のゲーム(例えば、32ゲーム)を、AT状態を継続可能な残ゲーム数として継続が管理されて、残ゲーム数がゲームの実行毎に減算され、残ゲーム数が無くなるまでAT状態は継続される。
また、AT状態中は疑似ボーナス状態の移行抽選が行われ、疑似ボーナス状態の移行抽選に当選した場合には、一旦AT状態は中断されて疑似ボーナス状態に移行し、疑似ボーナス状態終了後に再度AT状態に移行する。したがって、AT状態中に疑似ボーナス状態に移行しさえすれば、AT状態が継続することとなる。
また、AT状態中に疑似ボーナス状態の移行抽選に当選した場合には、その時点の残りゲーム数がリセットされ、疑似ボーナス状態の終了後に再度AT状態に移行した場合に、初期時に付与された残りゲーム数(32ゲーム)からAT状態が再開することとなる。
【0098】
AT状態には、通常AT状態、上位AT状態、特殊AT状態の3種類が設けられており、上述したAT種別抽選で決定されたAT状態へ移行するように制御される。
通常AT状態は、押し順ベル役に当選した場合に、1/4の確率で押し順ナビが実行されるAT状態である。
上位AT状態は、押し順ベル役に当選した場合に、1/2の確率で押し順ナビが実行されるAT状態である。
特殊AT状態は、押し順ベル役に当選した場合に、1/1の確率で押し順ナビが実行されるAT状態である。
したがって、通常AT状態よりも上位AT状態、上位AT状態よりも特殊AT状態の方がAT状態中に遊技者が獲得可能なメダル数が多くなる。
【0099】
なお、AT状態の種類を異ならせることとなる態様は、上記以外でもよく、例えば、押し順ベル役当選時に最初に操作するリールのみを報知する一部ナビと、全ての押し順を報知する全ナビとを実行可能とし、通常AT状態の場合には、一部ナビを3/4の確率で実行するとともに、全ナビを1/4の確率で実行し、上位AT状態の場合には、一部ナビを1/2の確率で実行するとともに、全ナビを1/2の確率で実行し、特殊AT状態の場合には、一部ナビを1/1の確率で実行するとともに、全ナビを1/1の確率で実行するようにしてもよい。
【0100】
(AT状態から疑似ボーナス状態への移行処理)
AT状態では、各ゲームにおいて疑似ボーナス状態の移行抽選を行う。
疑似ボーナス状態の移行抽選は、AT状態中の役の抽選結果に基づいて行われる。具体的には、レア役に当選した場合と、押し順ベル役に3連続で入賞した場合に移行抽選が行われる。なお、押し順ベル役に4連続以上入賞した場合も同様に又は高い確率で移行抽選を行ってもよい。
【0101】
主制御部10は、「疑似ボーナス状態抽選テーブル」(
図11)を参照することで、当選役に基づいて抽選を行う。
図11に示すように、AT状態中のゲームにおいて押し順ベル役に3連続で入賞した場合には、128/256の確率で当選となり、弱レア役に当選した場合には、128/256の確率で当選となり、強レア役に当選した場合には、192/256の確率で当選となるように制御される。
当該移行抽選に当選した場合には、疑似ボーナス状態の移行権利が付与されて、主制御部10は、次ゲームから疑似ボーナス状態に移行するように制御する(
図6の矢印h)。
一方、AT状態において、疑似ボーナス状態の移行抽選に非当選のまま、残りゲーム数(初期時が32ゲーム)が終了した場合は、主制御部10は、次ゲームから通常遊技状態へ移行するように制御する(
図6の矢印g)。
なお、AT状態が終了することとなる残りゲーム数は上記以外でよい。
【0102】
(AT状態からエンディング状態への移行処理)
AT状態では、有利区間中にエンディングリミッタに到達した場合、エンディング状態へ移行するようになっている。
具体的には、カウンタCの示す値が所定値(例えば、2000枚)に到達した場合、主制御部10は、エンディング状態へ移行するように制御する(
図6の矢印j)。
【0103】
また、エンディングリミッタに到達した場合には、エンディング種別抽選が行われる。
具体的には、主制御部10は、「エンディング種別抽選テーブル」(
図12)を参照することで、AT状態中の1枚役の最大連続当選回数に基づいて移行先のエンディング状態の種別を決定する抽選を行う。
詳細は後述するが、エンディング状態は、通常エンディング状態、上位エンディング状態、特殊エンディング状態の3種類が設けられており、通常エンディング状態よりも上位エンディング状態、上位エンディング状態よりも特殊エンディング状態の方が、遊技者にとって有利な遊技状態である。
なお、1枚役の最大連続当選回数は、AT状態中に限らず、有利区間中におけるAT状態以外も含めてもよい。
【0104】
エンディング種別抽選は、
図12に示すように、例えば、1枚役の最大連続当選回数が3回以下の場合には、222/256の確率で「通常エンディング状態」が当選し、32/256の確率で「上位エンディング状態」が当選し、2/256の確率で「特殊エンディング状態」が当選するように設定されている。
また、1枚役の最大連続当選回数が6回以下の場合には、128/256の確率で「上位エンディング状態」が当選し、128/256の確率で「特殊エンディング状態」が当選するように設定されている。
このように、AT状態中の1枚役の最大連続当選回数が多いほど、期待度の高い上位エンディング状態や特殊エンディング状態に移行する確率が高くなるので、興趣性の高い抽選が実行可能となるとともに、遊技者の期待感を高めることが可能である。
【0105】
(疑似ボーナス状態)
疑似ボーナス状態は、ATに制御されるため、メダルの獲得が極めて容易な遊技状態である。
また、疑似ボーナス状態中は、押し順ベル役に当選した場合に、1/1の確率で押し順ナビが実行される。したがって、疑似ボーナス状態中は、特殊AT状態と同様の押し順ナビ態様が実行される遊技者にとって極めて有利な遊技状態となる。
また、疑似ボーナス状態は、所定期間(例えば、40ゲーム)継続して、当該継続期間の終了の後に終了することとなる。
そして、疑似ボーナス状態の終了後は、遊技状態がAT状態に復帰する(
図6の矢印i)。
また、AT状態と同様に、疑似ボーナス状態中にエンディングリミッタに到達した場合には、エンディング種別を決定し、エンディング状態へ移行するようになっている(
図6の矢印k)。
【0106】
(エンディング状態)
エンディング状態は、ATに制御されるため、メダルの獲得が極めて容易な遊技状態である。
エンディング状態(特別第2遊技状態)は、ATの終了に近づいてきた場合に移行可能な遊技状態であり、AT状態中又は疑似ボーナス状態(特定第2遊技状態)中に、エンディングリミッタに到達した場合に突入し、ATリミッタの到達又は有利区間リミッタの到達まで継続する。
具体的には、カウンタCの示す値が所定値(例えば、2000枚)に到達(エンディングリミッタに到達)した場合に突入し、カウンタCの示す値が特別値(+2400枚)に到達(ATリミッタに到達)した場合、又は、カウンタBの示す値が特定値(+2400枚)に到達(有利区間リミッタに到達)場合に終了する。
有利区間リミッタに到達した場合には、有利区間を終了するとともに、通常遊技状態へ移行する(
図6の矢印l)。
【0107】
エンディング状態には、通常エンディング状態、上位エンディング状態、特殊エンディング状態の3種類が設けられており、上述したエンディング種別抽選で決定されたエンディング状態へ移行するように制御される。
通常エンディング状態は、後述する上乗せ抽選において、1回の抽選が実行されるエンディング状態である。
上位エンディング状態は、後述する上乗せ抽選において、2回の抽選が実行されるエンディング状態である。
特殊エンディング状態は、後述する上乗せ抽選において、4回の抽選が実行されるエンディング状態である。
したがって、通常エンディング状態よりも上位エンディング状態、上位エンディング状態よりも特殊エンディング状態の方がエンディング状態中に遊技者が上乗せ可能なメダル数が多くなる。
【0108】
エンディング状態中は、差枚数の上乗せ抽選が実行可能である。
具体的には、主制御部10は、「上乗せ抽選テーブル(エンディング状態)」(
図13)を参照することで、当選役に基づいて上乗せ抽選を行う。
当該抽選は、
図13に示すように、例えば、押し順ベル役の連続当選回数が3回の場合には、128/256の確率で10枚が上乗せされ、弱レア役に当選した場合には、128/256の確率で10枚が上乗せされ、96/256の確率で20枚が上乗せされ、24/256の確率で50枚が上乗せされ、8/256の確率で100枚が上乗せされ、強レア役に当選した場合には、64/256の確率で10、20、50、100枚の何れかが上乗せされるように制御される。なお、押し順ベル役の連続当選回数が4回以上の場合も同様に又は高い確率で上乗せ抽選を行ってもよい。
【0109】
そして、通常エンディング状態に制御されている場合には、上乗せ抽選が1回実行され、上位エンディング状態に制御されている場合には、上乗せ抽選が2回実行され、特殊エンディング状態に制御されている場合には、上乗せ抽選が4回実行されるようになっている。
このように、当選確率の低い役に当選した方が、大きい差枚数が上乗せされる確率が高くなるとともに、通常エンディング状態<上位エンディング状態<特殊エンディング状態の関係性で、大きい差枚数が上乗せされる確率が高くなるので、遊技者の期待感を高めることが可能である。
上乗せ抽選により当選した差枚数は、カウンタCの値から減算されるようになっている。したがって、カウンタCの値が減算(上乗せ)されることで、エンディング状態中のATリミッタへの到達が延びることになり、エンディング状態の滞在を延長させることが可能になる。
なお、エンディング状態中の上乗せ制御処理の詳細は後述する。
また、上乗せ抽選により付与される差枚数は、10、20、50、100等の数値に限らず、有利区間リミッタ到達までの差枚数(後述するカウンタDの値)を付与してもよい。
すなわち、小刻みに上乗せするのではなく、「有利区間リミッタまで制御するか否か」を抽選により決定し、有利区間リミッタ到達までの差枚数を1回で上乗せしてもよい。
【0110】
ここまで、スロットマシン1の構成、各遊技状態について説明したが、本実施形態に係るスロットマシン1は、次に挙げる特徴を備えている。
(1)カウンタC(AT差枚数カウンタ)によりATが管理可能であること
(2)エンディング状態を延長可能であること
これらの特徴について、以下順に説明する。
【0111】
(1)カウンタC(AT差枚数カウンタ)によりATが管理可能であること
本実施形態におけるスロットマシン1は、前述したように、有利区間中の差枚数を計数するためのカウンタBとは別に、カウンタCを備えており、カウンタCの値によってATを管理することができるようになっている。
以下、
図16を参照して、具体的に説明する。
図16は、ゲーム数を横軸、差枚数を縦軸として、遊技の進行に応じた差枚数の推移を示すグラフである。グラフAは、1回の有利区間中におけるカウンタBの値の推移を示しており、グラフBは、1回の有利区間中におけるカウンタCの値の推移を示している。
【0112】
図16には、1回の有利区間中において、初当りで2回AT状態に当選し、2回目のAT中に完走(ATリミッタに到達)した場合を例示している。
以下の説明では、1回目のATを前回AT(前回の第2遊技状態)、2回目のATを今回AT(今回の第2遊技状態)、前回ATの終了後から今回ATが開始するまでを前回非AT、今回ATの終了後を今回非AT、と称して、説明する。
【0113】
遊技状態が次のように遷移している場合である。
有利区間の開始後(t0)、通常遊技状態又はCZCZ状態中にCZ状態に当選し、CZ状態において所定条件が成立(AT状態への移行抽選に当選)して、AT状態(前回AT)に移行している(t1)。また、CZ状態の当選を契機に実行される有利区間継続抽選では「有利区間の継続」が選択されている。
その後、前回AT(AT状態、疑似ボーナス)が終了した後に(t2)、通常遊技状態又はCZCZ状態→CZ状態→AT状態(今回AT)の順序で遊技状態が移行し(t3)、当該CZ状態の当選を契機に実行される有利区間継続抽選では「有利区間の継続」が選択されている。
そして、今回AT中に、疑似ボーナスの当選等によって今回ATが長期間継続したことで、エンディング状態に移行し(t4)、エンディング状態中にATリミッタに到達して、ATが強制的に終了している(t5)。このとき、有利区間が継続するように制御されるとともに、通常遊技状態(今回非AT)に移行している。
このように、エンディング状態を経由してAT終了後に有利区間が継続する場合には、例えば、
図17に示すような表示器8における表示画面の推移となる。
【0114】
このような遊技状態の遷移によって、カウンタBの値(グラフA)及びカウンタCの値(グラフB)が、例えば、
図16に示すように変化する。
具体的には、カウンタCは、前回AT(AT状態、疑似ボーナス)が終了した後、すなわち、通常遊技状態(前回非AT)の開始時から計数が開始され(t2)、その後に移行した今回ATが長期間継続したことで、カウンタCの値がマイナス(-1600)からプラスに転じるとともに、所定値(+2000枚)(エンディングリミッタ)に到達する(t4)。
エンディングリミッタ到達時は、カウンタCの値が+2000枚であることから、ATリミッタ(完走)まで残り400枚であるとともに、カウンタBの値が+1200枚であることから、有利区間リミッタまで残り1200枚の状況である。
つまり、その後のエンディング状態中に差枚数の上乗せがされない場合、又は、差枚数の上乗せがされてもカウンタBの値がカウンタCの値を超えない場合には、カウンタBで管理する有利区間リミッタよりも先に、カウンタCで管理するATリミッタに到達する場合がある。
例えば、エンディング状態中に差枚数の上乗せが全くされない場合では、ATリミッタに到達時点においては、カウンタBの値は+1600枚であることから、有利区間リミッタ到達までに獲得可能な差枚数800枚を残してATが終了することになる。
【0115】
このように、本実施形態に係るスロットマシン1は、有利区間中の差枚数を管理するためのカウンタBとは別に、有利区間が開始した後の所定のタイミングから差枚数を計数可能なカウンタCを備えることで、AT中にカウンタCの値が特別値(ATリミッタ)に到達した場合には、非ATに制御可能であるとともに、有利区間に継続して制御することができる。
これにより、遊技者に対して過度な遊技価値が付与される確率を低減させることができる。
例えば、AT中の差枚数の上限管理をカウンタBのみで管理する場合には、有利区間リミッタの到達までATが継続可能であるため、有利区間開始時から吸い込んだ差枚数(マイナス分)と、有利区間リミッタ到達までに獲得した差枚数(プラス分)の合計値が付与されることになる。例えば、
図16の例では、有利区間開始時から吸い込んだ差枚数分(2400枚)と有利区間リミッタまでの差枚数(2400枚)の合計(4800枚)が遊技者に付与可能である。
つまり、非AT中に遊技価値を消費した分だけ、その後に移行するAT中に付与可能であることから、過度に遊技価値が付与されてしまうことになる。
これに対して、本実施形態に係るスロットマシン1は、AT中の差枚数の上限管理をカウンタCによって管理することができるため、有利区間リミッタに到達する前にATリミッタの到達でATを終了可能であり、過度な遊技価値が付与される確率を低減させることができる。
【0116】
(2)エンディング状態を延長可能であること
本実施形態におけるスロットマシン1は、前述したように、エンディング状態中に差枚数の上乗せ抽選が実行可能である。
上乗せ抽選は、エンディング状態中に、所定の条件が成立する場合に実行される。上乗せ抽選に当選した(特定条件が成立した)場合には、付与された上乗せ差枚数がカウンタCの値から減算される。したがって、エンディング状態中にATリミッタへの到達が遅れることになり、エンディング状態の滞在期間が延長されることになる。
【0117】
(エンディング状態上乗せ抽選処理)
次に、
図18を参照して、主制御部10が行うエンディング状態上乗せ抽選処理について説明する。
エンディング状態中は、主制御部10(計数手段)によって、カウンタD及びカウンタC´が計数される。
カウンタDは、前述したように、有利区間リミッタとなる値(2400)からカウンタBの値を減算することで計数される。すなわち、カウンタDの値は、有利区間リミッタまでの残り差枚数を示している。
また、カウンタDは、カウンタBが計数されることで計数がされる。つまり、カウンタBの値に基づいて、随時更新されている。
カウンタC´は、ATリミッタとなる値(2400)からカウンタCの値を減算することで計数される。すなわち、カウンタC´の値は、ATリミッタまでの残り差枚数を示している。
また、カウンタC´は、カウンタCが計数されることで計数がされる。つまり、カウンタCの値に基づいて、随時更新されている。
【0118】
まず、主制御部10は、上乗せ当選役(押し順ベル役(3連続当選)、弱レア、強レア役)に当選したか否かの判定を行う(S21)。
上乗せ当選役に当選していないと判定した場合には(S21:No)、処理を終了し、上乗せ当選役に当選していると判定した場合には(S21:Yes)、カウンタDの値がカウンタC´の値よりも大きいか否かの判定を行う(S22)。
カウンタDの値がカウンタC´の値よりも小さいと判定した場合(S22:No)、すなわち、有利区間リミッタまでの残り差枚数がATリミッタまでの残り差枚数よりも少ない場合には、処理を終了する。
一方、カウンタDの値がカウンタC´の値よりも大きいと判定した場合(S22:Yes)、すなわち、有利区間リミッタまでの残り差枚数がATリミッタまでの残り差枚数よりも多い場合には、抽選回数カウンタに所定値をセット(記憶)する(S23)。
具体的には、通常エンディング状態の場合は「1回」、上位エンディング状態の場合は「2回」、特殊エンディング状態の場合は「4回」を抽選回数カウンタにセットする。
【0119】
次いで、抽選回数カウンタを1減算するとともに(S24)、上乗せ抽選を実行する(S25)。
上乗せ抽選に当選した(特定条件が成立した)場合には、付与された上乗せ差枚数をカウンタC´の値に加算(カウンタCの値から減算)する(S26)。
そして、カウンタDの値がカウンタC´の値よりも大きいか否かの判定を行う(S27)。
カウンタDの値がカウンタC´の値よりも小さいと判定した場合(S27:No)には、処理を終了し、カウンタDの値がカウンタC´の値よりも大きいと判定した場合(S27:Yes)には、抽選回数カウンタの値が「0」か否かの判定を行う(S28)。
抽選回数カウンタの値が「0」の場合(S28:Yes)は、処理を終了し、抽選回数カウンタの値が「0」以外の場合(S28:No)は、S24に移行して抽選回数カウンタの値が「0」に到達するまで処理を繰り返す。
以上のように、エンディング状態上乗せ抽選処理が行われる。
【0120】
このように、エンディング状態中は、有利区間リミッタまでの残り差枚数(カウンタDの値)がATリミッタまでの残り差枚数(カウンタC´の値)よりも多い場合に、上乗せ抽選を実行可能である。
そして、上乗せ抽選に当選した場合には、上乗せ差枚数がATリミッタまでの残り差枚数に加算されるため、エンディング状態中のATリミッタへの到達を遅らせることができ、最長で有利区間リミッタ到達まで(カウンタC´の値がカウンタDの値を超えるまで)エンディング状態を延長させることができる。
言い換えれば、エンディング状態中に、カウンタCの値がカウンタBの値を超える場合には、上乗せ抽選を実行可能であり、上乗せ抽選に当選した場合には、エンディング状態を延長させることが可能である。
【0121】
図16の例を参照して具体的に説明する。
エンディング状態突入時(t4)の各カウンタの値は、カウンタB=1200(カウンタD=1200)、カウンタC=2000(カウンタC´=400)である。
すなわち、カウンタC´の値<カウンタDの値(カウンタBの値<カウンタCの値)の条件が成立するため、上乗せ抽選が実行可能な状況である。
当該条件が成立し続ける間、上乗せ抽選に当選することで、上乗せ差枚数がカウンタC´の値(400)に加算(カウンタCの値(2000)から減算)されて、カウンタC´の値とカウンタDの値(カウンタCの値とカウンタBの値)が近似していく。
そして、上記条件が成立しなくなった場合、つまり、有利区間リミッタ到達までの差枚数をATリミッタ到達までの差枚数が超えた場合には、その後、エンディング状態中に有利区間リミッタに到達することになる(t6)。
図16の例では、有利区間リミッタに到達した場合には、エンディング状態中に差枚数の上乗せがされない場合と比較して、最大800枚の差枚数が上乗せ可能である(
図16(b)点線箇所)。
【0122】
このように、本実施形態に係るスロットマシン1は、エンディング状態において、ATリミッタ到達まで完走が確定した状況であっても、所定の条件が成立する場合には、レア役等の当選を契機として上乗せ抽選を行うことができ、エンディング状態を延長可能である。
これにより、エンディング状態中の完走が確定した状況での消化ゲーム感を払拭することができるので、興趣性の高い遊技が実行可能となるとともに、遊技者の期待感を高めることが可能である。
【0123】
また、このように、エンディング状態突入後、上乗せ抽選の当選によって、ATリミッタの到達前に有利区間リミッタに到達し、有利区間が終了する場合には、例えば、
図19に示すような表示器8における表示画面の推移となる。
例えば、エンディング状態終了後に移行した通常遊技状態(通常区間)中は、
図19(c)に示すように、CZ待機状態画像が表示される。その後、有利区間移行条件の成立を契機にCZ状態へ移行するようになっている。
なお、その後に移行したCZ状態で表示されるCZ状態画像((
図19(d)参照))も、CZ待機状態画像と同様の表示態様としてもよい。
また、エンディング状態突入時に、カウンタC´の値<カウンタDの値(カウンタBの値<カウンタCの値)の条件が成立しない場合には、エンディング状態中に上乗せ抽選が行われないものの、ATリミッタ到達前に有利区間リミッタに到達する場合がある。この場合も同様に、
図19に示すような表示器8における表示画面の推移としてもよく、異なる表示態様としてもよい。
【0124】
また、エンディング状態中は、表示器8において、ATリミッタ到達までの残り差枚数(カウンタC´の値)を表示可能してもよい。この場合、上乗せ抽選により当選した差枚数が加算(上乗せ)される演出を実行してもよい。
なお、これに限らず、エンディング状態中は、表示器8に残り差枚数を表示しないようにしてもよい。
また、エンディング状態中の所定のタイミングのみ残りAT差枚数を表示してもよい。例えば、最終ゲームで表示してもよく、或いは、有利区間リミッタに到達することが確定した場合に表示するようにしてもよい。
また、有利区間リミッタ到達までの残り差枚数(カウンタDの値)を表示してもよい。
【0125】
以上説明したように、本発明においては、第1遊技状態(非AT)と、当該第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態(AT)と、を含む複数の遊技状態のうち何れかの遊技状態に制御可能な第1制御手段(主制御部10)と、前記第1遊技状態及び前記第2遊技状態において有利区間に制御可能な第2制御手段(主制御部10)と、前記有利区間における差遊技価値を計数可能な第1計数手段(主制御部10)と、前記有利区間が開始した後の所定のタイミングから差遊技価値を計数可能な第2計数手段(主制御部10)と、を備え、前記第1制御手段は、前記第2遊技状態において、前記第2計数手段による差遊技価値が特定値(例えば、+2400)以下の値である特別値(例えば、+2400、+2200)に到達した場合、前記第1遊技状態に制御可能であり、前記第1遊技状態において、所定条件が成立(AT状態の当選)した場合、前記第2遊技状態に制御可能であり、前記第2制御手段は、前記第1計数手段における差遊技価値数が前記特定値を示す場合、前記有利区間を終了させることが可能であり、前記第2遊技状態から前記第1遊技状態に移行した場合、前記有利区間に継続して制御することが可能であり、前記所定のタイミングは、前回の第2遊技状態が終了してから今回の第2遊技状態が開始する前までにおける何れかのタイミングである構成としている。
【0126】
このような構成を備える本発明に係るスロットマシン1は、第1計数手段における差遊技価値数が特定値を示す場合には、有利区間を終了させることが可能であり、第2遊技状態において、第2計数手段による差遊技価値が特別値に到達した場合には、第1遊技状態に制御可能であるとともに、有利区間に継続して制御することができる。
これにより、第1計数手段における差遊技価値が特定値に到達する前に、第2計数手段における差遊技価値が特別値に到達することで第2遊技状態を終了可能であり、遊技者に対して過度な遊技価値が付与される確率を低減させることができる。
【0127】
これに対して、特許文献1には、1回の有利区間中の差遊技価値が有利区間リミッタの特定値(+2400等)に到達した場合に有利区間を終了させるとともに、ATを終了させる遊技機が開示されている。
この遊技機においては、1回の有利区間中に多量の遊技価値を吸い込んだ状態でATに制御された場合、吸い込んだ遊技価値と特定値との合計の遊技価値を当該AT中に付与可能である。
しかしながら、この遊技機においては、AT中において差遊技価値が特定値に到達することを困難にする制御を行っていない。このため、1回の有利区間中に多量に遊技価値を吸い込んだ状態でATに制御された場合、当該AT中において過度に遊技価値を付与してしまう可能性が高かった。
このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0128】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述の実施形態では、エンディング状態を管理可能な値として差枚数を用いているが、これに限らず、ゲーム数による管理や所定の役の発生回数により管理してもよい。この場合には、エンディング状態中にゲーム数や役の当選回数を上乗せするようにしてもよい。
【0129】
また、上述の実施形態では、AT機の場合で説明したが、AT機以外(例えば、RT機、ART機)に本発明を適用してもよい。
また、上述の実施形態では、ATを管理可能な値としてゲーム数を用いているが、これに限らず、例えば、差枚数、押し順ナビの発生回数、小役当選回数、メダルの獲得枚数、メダルの払出数等の少なくとも1つで管理するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、AT中は、ゲーム数減算方式を適用する場合で説明したが、これに限らず、1ゲームごとに加算されるゲーム数が上限数に到達した場合にATが終了するゲーム数加算方式としてもよい。
【0130】
また、上述の実施形態では、通常遊技状態は、通常区間又は有利区間に制御され、CZCZ状態、CZ状態、AT状態、エンディング状態及び疑似ボーナス状態は、有利区間に制御される場合を想定して説明したが、これに限らず、各遊技状態は、通常区間及び有利区間の何れか一方又は双方に制御されるようにしてもよい。
【0131】
また、上述の実施形態では、各種処理において参照するテーブルは、一例であり、前述したテーブルにのみ限定されるものではない。さらに、各種テーブルに係る当選確率は、前述した値に限らず、適宜変更することができる。
また、各種テーブルにおいて全設定値で当選確率が共通のものと、設定値ごとに当選確率が異なるものがあるが、これに限らず、全てのテーブルにおいて全設定値で当選確率が共通であっても、異なるものであってもよい。また、一部の設定値のみ(偶数設定のみ、奇数設定のみ、高設定のみ)当選確率や参照するテーブルが異なっていてもよい。
また、上述の実施形態において、「一方よりも他方の方が確率が高い」、あるいは「一方よりも他方の方が確率が低い」、等の内容を含んで表現した場合には、一方の確率は0%を含み、他方の確率が100%を含むものとする。
また、上述の実施形態において、制御上で規定された数値は一例であり、幅を持った数値(2以上)でもよいし、幅を持たない数値(1)でもよい。
【0132】
また、前扉1aにモータやスピーカ等の作動により当該前扉1aを振動させる振動手段を設けて、相対的に期待度の高い演出が行われた場合に、振動手段を作動させることで、遊技者の期待感を高めるようにしてもよい。
また、前扉1aに遊技者に向けて風を吹き付ける送風手段を設けて、相対的に期待度の高い演出が行われた場合に、送風手段を作動させることで、遊技者の期待感を高めるようにしてもよい。
【0133】
また、上述の実施形態では、遊技状態制御手段などの各種手段としての動作を主制御部10が行ったが、副制御部20がその一部又は全部を行い、副制御部20が各種手段として動作することもできる。
また、反対に、副制御部20が表示器8等において演出を実行する手段として動作を行ったが、主制御部10がその一部又は全部を行い、主制御部10が各種手段として動作することもできる。
【0134】
また、上述の実施形態において、遊技機は、スロットマシンである例を示したが、これに限定されない。遊技機は、例えば、パチンコ、玉スロなどその他の遊技機でもよい。
また、遊技機は、メダルなどの現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆるメダルレス遊技機(スマートパチスロ)でもよい。さらに、遊技機は、遊技球などの遊技媒体を外部に払い出さず、内部循環させてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機(スマートパチンコ)でもよい。なお、このようなメダルレス遊技機等は、有利区間における差枚数、ゲーム回数の上限値が、メダルなどの現物を用いる遊技機の上限値とは異なっていてもよい。
【0135】
また、上述の実施形態では、可変表示手段としてモータにより駆動制御されるリール41を用いたが、これに代えて又はこれに加えて、液晶表示器などの表示器8にリール等の図柄が変動する画像を表示させることにより、表示器を識別情報の可変表示手段として用いることもできる。
【符号の説明】
【0136】
1 スロットマシン(遊技機)
8 表示器
10 主制御部
20 副制御部