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  • 特開-電動車 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113403
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】電動車
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20240815BHJP
   B60G 9/04 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B60K1/00
B60G9/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018356
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢倉 武蔵
(72)【発明者】
【氏名】田代 雅也
【テーマコード(参考)】
3D235
3D301
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235BB06
3D235BB07
3D235CC12
3D235CC15
3D235DD13
3D235DD35
3D235FF23
3D235FF34
3D235FF35
3D235HH25
3D301AA59
3D301BA20
3D301CA28
3D301DA08
3D301DA33
(57)【要約】
【課題】後方から衝突された場合の安全性を向上できる電動車を提供する。
【解決手段】電動車は、それぞれが後輪及び車体に取り付けられ、車幅方向に互いに離間した一対のトレーリングアームと、前記一対のトレーリングアームを連結する中間ビームと、前記中間ビームの後方に位置し、前記後輪を駆動するよう構成されたドライブシャフトと、回転の中心軸が前記ドライブシャフトの回転の中心軸と交差する方向に延びるロータを有し、前記ドライブシャフトの後方に位置するモータジェネレータと、前記ロータの回転を前記ドライブシャフトに伝達するよう構成されたデファレンシャルギヤと、前記中間ビームの前方に位置する燃料タンク又は電池と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが後輪及び車体に取り付けられ、車幅方向に互いに離間した一対のトレーリングアームと、
前記一対のトレーリングアームを連結する中間ビームと、
前記中間ビームの後方に位置し、前記後輪を駆動するよう構成されたドライブシャフトと、
回転の中心軸が前記ドライブシャフトの回転の中心軸と交差する方向に延びるロータを有し、前記ドライブシャフトの後方に位置するモータジェネレータと、
前記ロータの回転を前記ドライブシャフトに伝達するよう構成されたデファレンシャルギヤと、
前記中間ビームの前方に位置する燃料タンク又は電池と、
を備える電動車。
【請求項2】
鉛直方向において、前記中間ビームの少なくとも一部が前記モータジェネレータと同一の高さに位置する、
請求項1の電動車。
【請求項3】
前記モータジェネレータを制御するパワーコントロールユニット、
をさらに備え、
前記パワーコントロールユニットは、モータジェネレータと前記車幅方向に並ぶ、
請求項1の電動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリットカー又は電気自動車のような電動車において、モータジェネレータは、例えばデファレンシャルギヤ及びドライブシャフトを介して車輪を駆動する。例えば、特許文献1には、モータがピニオン及びリングギヤを介して車輪を駆動する電動車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/167898号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動車において、モータジェネレータと、燃料タンク又は電池とが、互いに近傍に配置されることがある。例えば電動車が後方から衝突された場合、モータジェネレータが燃料タンク又は電池に衝突してしまう虞がある。
【0005】
本発明の目的は、後方から衝突された場合の安全性を向上できる電動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係る電動車は、それぞれが後輪及び車体に取り付けられ、車幅方向に互いに離間した一対のトレーリングアームと、前記一対のトレーリングアームを連結する中間ビームと、前記中間ビームの後方に位置し、前記後輪を駆動するよう構成されたドライブシャフトと、回転の中心軸が前記ドライブシャフトの回転の中心軸と交差する方向に延びるロータを有し、前記ドライブシャフトの後方に位置するモータジェネレータと、前記ロータの回転を前記ドライブシャフトに伝達するよう構成されたデファレンシャルギヤと、前記中間ビームの前方に位置する燃料タンク又は電池と、を備える。
【0007】
この構成によれば、電動車が後方から衝突された場合、中間ビームは、モータジェネレータを受け止めて、当該モータジェネレータが燃料タンク又は電池に到達することを抑制できる。従って、電動車は、当該電動車が後方から衝突された場合にモータジェネレータが燃料タンク又は電池を損傷させることを抑制でき、安全性を向上できる。
【0008】
また、本発明に係る電動車において、鉛直方向において、前記中間ビームの少なくとも一部が前記モータジェネレータと同一の高さに位置する。
【0009】
この構成によれば、電動車が後方から衝突された場合、中間ビームは、より確実にモータジェネレータを受け止めて、当該モータジェネレータが燃料タンク又は電池を損傷させることを抑制できる。
【0010】
また、本発明に係る電動車は、前記モータジェネレータを制御するパワーコントロールユニット、をさらに備え、前記パワーコントロールユニットは、モータジェネレータと前記車幅方向に並ぶ。
【0011】
この構成によれば、電動車は、パワーコントロールユニットがモータジェネレータと前後方向に並ぶ場合に比べ、パワーコントロールユニット及びモータジェネレータを含むE-Axleを前後方向に小型化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電動車が後方から衝突された場合にモータジェネレータが燃料タンク又は電池を損傷させることを抑制でき、安全性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、電動車の一部を示す模式的な平面図である。
図2図2は、電動車の一部を図1のF2-F2線に沿って示す模式的な断面図である。
図3図3は、電動車の一部を示す模式的な背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、電動車の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0015】
図1は、電動車10の一部を示す模式的な平面図である。本実施形態において、電動車10は、ハイブリッドカー(HV)である。なお、電動車10は、プラグインハイブリッドカー(PHEV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)、又は駆動力に電気を用いる他の種類の車両であっても良い。
【0016】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、車幅方向に沿って設けられる。Y軸は、前後方向に沿って設けられる。Z軸は、鉛直方向に沿って設けられる。
【0017】
さらに、本明細書において、X方向(車幅方向)、Y方向(前後方向)及びZ方向(鉛直方向)が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向(左方向)と、X軸の矢印の反対方向である-X方向(右方向)とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向(前方向)と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向(後方向)とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向(上方向)と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向(下方向)とを含む。
【0018】
電動車10は、車体11と、一対の後輪12と、リアサスペンション13と、一対のドライブシャフト14と、E-Axle15と、燃料タンク16と、エキゾーストパイプ(エキパイ)17とを備える。さらに、電動車10は、前輪、エンジン、電池、及び他の種々の部品を備える。
【0019】
車体11は、例えば、シャシー及びフロアパネルを有する。このため、車体11は、一対のサイドメンバ21と、一対のブラケット22とを有する。一対のサイドメンバ21は、車幅方向に互いに離間し、例えばクロスメンバにより互いに連結される。一対のブラケット22のそれぞれは、対応するサイドメンバ21に取り付けられている。
【0020】
後輪12、リアサスペンション13、ドライブシャフト14、E-Axle15、燃料タンク16、エキパイ17、前輪、エンジン、及び電池は、直接的又は間接的に、車体11に支持される。エンジンは、例えばガソリンエンジンである。電池は、例えば、複数のリチウムイオン電池のような二次電池を組み合わせた組電池である。
【0021】
リアサスペンション13は、ド・ディオン式サスペンション又はトーションビーム式サスペンションである。なお、リアサスペンション13は、この例に限られない。リアサスペンション13は、一対のトレーリングアーム31と、中間ビーム32とを有する。中間ビーム32は、トーションビームとも称され得る。
【0022】
一対のトレーリングアーム31は、車幅方向に互いに離間している。トレーリングアーム31は、おおよそ前後方向に延びている。一対のトレーリングアーム31のそれぞれは、対応する後輪12及び対応するサイドメンバ21に取り付けられる。なお、トレーリングアーム31は、車体11の他の部分に取り付けられても良い。
【0023】
例えば、トレーリングアーム31の前方の端部31aに、ゴムブッシュ35が設けられる。ゴムブッシュ35は、ブラケット22に連結される。さらに、一対の後輪12が、対応するトレーリングアーム31の後方の端部31bに回転可能に取り付けられる。
【0024】
トレーリングアーム31は、スプリングを介して車体11に懸架される。リアサスペンション13は、当該スプリングにより、車体11に対して鉛直方向に作用する振動を吸収することができる。
【0025】
中間ビーム32は、一対のトレーリングアーム31を連結する。中間ビーム32は、トレーリングアーム31の二つの端部31a,31bの中間において当該トレーリングアーム31に取り付けられる。中間ビーム32は、略車幅方向に延びている。
【0026】
図2は、電動車10の一部を図1のF2-F2線に沿って示す模式的な断面図である。図3は、電動車10の一部を示す模式的な背面図である。図2に示すように、中間ビーム32は、略下方向に開放された略U字状の断面を有する。なお、中間ビーム32の形状は、この例に限られない。
【0027】
中間ビーム32により連結された一対のトレーリングアーム31は、端部31aが上下方向に移動するように、ブラケット22まわりに略一体的に回転することができる。トレーリングアーム31は、標準位置PSと限界位置PFとの間で回転可能である。図2は、標準位置PSにおけるトレーリングアーム31を実線で示し、限界位置PFにおけるトレーリングアーム31を二点鎖線で示す。
【0028】
標準位置PSは、電動車10に乗員が登場しておらず且つ荷物が搭載されていない場合におけるトレーリングアーム31の位置である。すなわち、標準位置PSは、リアサスペンション13が電動車10の自重のみを支持している場合におけるトレーリングアーム31の位置である。
【0029】
限界位置PFは、電動車10が許容される最大限に乗員及び荷物を収容する場合におけるトレーリングアーム31の位置である。限界位置PFにおけるトレーリングアーム31の端部31bは、標準位置PSにおけるトレーリングアーム31の端部31bよりも上方に位置する。
【0030】
図1に示すように、一対のドライブシャフト14は、中間ビーム32の後方に位置する。一対のドライブシャフト14は、中間ビーム32から後方向に離間している。一対のドライブシャフト14のそれぞれは、おおよそ左右方向に延び、対応する後輪12に接続される。ドライブシャフト14は、後輪12と略一体に回転する。このため、ドライブシャフト14は、後輪12を駆動することができる。
【0031】
E-Axle15は、モータジェネレータ(MG)41と、トランスアクスル(TA)42と、パワーコントロールユニット(PCU)43とを有する。なお、E-Axle15は、他の部品を有しても良い。
【0032】
MG41は、中間ビーム32の後方に位置し、且つドライブシャフト14の後方に位置する。MG41は、ドライブシャフト14及び中間ビーム32から後方向に離間している。なお、前後方向においてMG41の一部がドライブシャフト14と同一の位置にあっても良い。
【0033】
MG41は、電動機及び発電機として機能することができる。MG41は、例えば、永久磁石同期モータである。なお、MG41は、この例に限られない。MG41は、ロータ45を有する。さらに、MG41は、ステータ及び他の部品を有する。
【0034】
ロータ45は、例えば、永久磁石及び出力軸を有する。MG41は、ロータ45を中心軸Ax1まわりに回転させる。中心軸Ax1は、略前後方向に延びている。中心軸Ax1は、ロータ45の回転の中心軸であるとともに、ロータ45の出力軸の中心軸である。なお、中心軸Ax1は、出力軸の中心軸と若干異なっても良い。
【0035】
ロータ45の回転の中心軸Ax1は、ドライブシャフト14の回転の中心軸Ax2と交差する方向に延びている。中心軸Ax2は、ドライブシャフト14の回転の中心軸であるとともに、ドライブシャフト14の中心軸である。なお、中心軸Ax2は、ドライブシャフト14の中心軸と若干異なっても良い。
【0036】
ドライブシャフト14の回転の中心軸Ax2は、おおよそ左右方向に延びている。本実施形態では、ロータ45の回転の中心軸Ax1は、ドライブシャフト14の回転の中心軸Ax2と直交する方向に延びている。
【0037】
TA42は、デファレンシャルギヤ(デフ)46を有する。TA42は、トランスミッション及び他の部品をさらに有しても良い。デフ46は、ロータ45の回転をドライブシャフト14に伝達する。デフ46又はTA42の他の部品に含まれる複数のギヤは、中心軸Ax1まわりのロータ45の回転を、中心軸Ax2まわりのドライブシャフト14の回転に変換する。
【0038】
PCU43は、例えば、左方向におけるMG41の端面に取り付けられる。このため、PCU43は、MG41と車幅方向に並ぶ。なお、PCU43の位置は、この例に限られない。PCU43は、MG41の駆動を制御する。例えば、PCU43は、インバータとコンバータとを有する。
【0039】
燃料タンク16は、中間ビーム32の前方に位置する。燃料タンク16は、中間ビーム32から前方向に離間している。なお、前後方向において、燃料タンク16の一部が中間ビーム32と同一の位置にあっても良い。例えば、燃料タンク16の一部が中間ビーム32の一部を上方から覆っても良い。
【0040】
燃料タンク16は、ガソリンのような燃料を貯蔵する。なお、電動車10が電気自動車の場合、燃料タンク16の代わりに電池が中間ビーム32の前方に配置される。また、電動車10が燃料電池自動車の場合、燃料タンク16は水素を貯蔵する。
【0041】
図2に示すように、鉛直方向において、中間ビーム32の少なくとも一部は、MG41と同一の高さに位置する。本実施形態では、鉛直方向において、標準位置PSにおける中間ビーム32の少なくとも一部がMG41と同一の高さに位置し、且つ限界位置PFにおける中間ビーム32の少なくとも一部もMG41と同じ高さに位置する。すなわち、トレーリングアーム31が可動範囲のいずれの位置にあっても、鉛直方向において、中間ビーム32の少なくとも一部が、MG41と同一の高さに位置する。
【0042】
別の表現によれば、鉛直方向において、中間ビーム32の少なくとも一部は、MG41と重複する位置に配置されている。また、中間ビーム32の少なくとも一部は、MG41と前後方向に重なるように配置されている。
【0043】
中間ビーム32は、燃料タンク16とMG41との間に位置する。さらに、中間ビーム32は、燃料タンク16とドライブシャフト14との間に位置し、燃料タンク16とTA42との間に位置し、且つ燃料タンク16とPCU43との間に位置する。
【0044】
図1に示すように、エキパイ17は、おおよそ前後方向に延び、エンジンのシリンダから出た排気ガスを電動車10の後端から外部へ排出させる。エキパイ17は、マフラ51を有する。
【0045】
マフラ51は、箱状に形成され、排気騒音を低減させる。マフラ51は、MG41と車幅方向に並ぶ。本実施形態では、マフラ51は、MG41から右方向に離間している。このため、MG41は、PCU43とマフラ51との間に位置する。
【0046】
図3に示すように、鉛直方向において、中間ビーム32の少なくとも一部は、マフラ51と同一の高さに位置する。本実施形態では、鉛直方向において、標準位置PSにおける中間ビーム32の少なくとも一部がマフラ51と同一の高さに位置し、且つ限界位置PFにおける中間ビーム32の少なくとも一部もマフラ51と同じ高さに位置する。すなわち、トレーリングアーム31が可動範囲のいずれの位置にあっても、鉛直方向において、中間ビーム32の少なくとも一部が、マフラ51と同一の高さに位置する。
【0047】
例えば電動車10が小型車である場合、リアサスペンション13及びE-Axle15の配置が制約されることがある。また、リアサスペンション13及びE-Axle15の配置によって、電動車10の荷室の大きさが制約されることがある。しかし、本実施形態の電動車10は、これらの制約を解消又は低減できる。
【0048】
例えば、MG41がドライブシャフト14の後方に配置されることで、リアサスペンション13の中間ビーム32が後輪12及びドライブシャフト14の近傍に配置可能となる。このため、ド・ディオン式サスペンション又はトーションビーム式サスペンションであるリアサスペンション13のレイアウトが容易となる。
【0049】
また、中心軸Ax1が略前後方向に延びるようにMG41が配置されると、左右方向におけるMG41の占有空間が小さくなる。このため、ドライブシャフト14の後方の空間にMG41、PCU43、及びマフラ51を左右方向に並べることが可能となり、ドライブシャフト14の周辺においてMG41、PCU43、及びマフラ51がコンパクトに配置される。これにより、荷室が拡大され得る。
【0050】
例えば電動車10が後方から衝突された場合、MG41は前方向に移動する。言い換えると、MG41は、燃料タンク16に向かって移動する。しかし、中間ビーム32がMG41と燃料タンク16との間に位置するため、中間ビーム32は、MG41を受け止める。同様に、中間ビーム32は、ドライブシャフト14、TA42、PCU43、及びマフラ51を受け止めることができる。
【0051】
中間ビーム32は、MG41を受け止めることで、MG41が燃料タンク16に到達することを抑制する。すなわち、中間ビーム32は、燃料タンク16を保護する壁となって、MG41が燃料タンク16に衝突することを抑制できる。
【0052】
MG41は、最終的に燃料タンク16に到達する可能性がある。しかし、MG41は、燃料タンク16に到達する前に、中間ビーム32に衝突している。このため、MG41の運動エネルギーは低減し、MG41が燃料タンク16を損傷させる可能性が低減する。
【0053】
以上説明された電動車10において、ドライブシャフト14及びMG41は、中間ビーム32の後方に位置する。一方、燃料タンク16は、中間ビーム32の前方に位置する。このため、電動車10が後方から衝突された場合、中間ビーム32は、MG41を受け止めて、当該MG41が燃料タンク16に到達することを抑制できる。鉛直方向において中間ビーム32とMG41とが同一の高さに位置しない場合であっても、中間ビーム32が設けられる空間が存在するため、MG41と燃料タンク16との間の距離が長くなる。以上より、電動車10は、当該電動車10が後方から衝突された場合にMG41が燃料タンク16を損傷させることを抑制でき、安全性を向上できる。
【0054】
鉛直方向において、中間ビーム32の少なくとも一部がMG41と同一の高さに位置する。このため、電動車10が後方から衝突された場合、中間ビーム32は、より確実にMG41を受け止めて、当該MG41が燃料タンク16を損傷させることを抑制できる。
【0055】
PCU43は、MG41と車幅方向に並ぶ。これにより、電動車10は、PCU43がMG41と前後方向に並ぶ場合に比べ、PCU43及びMG41を含むE-Axle15を前後方向に小型化することができる。従って、E-Axle15が小型車へ搭載可能となるとともに、電動車10における荷室が大型化できる。さらに、電動車10は、電動車10が後方から衝突された場合、PCU43が受ける損傷を低減できる。
【0056】
MG41とマフラ51とが車幅方向に並ぶ。これにより、電動車10は、MG41がマフラ51と前後方向に並ぶ場合に比べ、ドライブシャフト14の周辺における部品を前後方向にコンパクトに配置することができる。従って、電動車10における部品の配置の自由度が向上するとともに、電動車10における荷室が大型化できる。
【0057】
以上の説明において、「抑制する」は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。
【0058】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0059】
10…電動車、11…車体、12…後輪、14…ドライブシャフト、16…燃料タンク、17…エキゾーストパイプ(エキパイ)、31…トレーリングアーム、32…中間ビーム、41…モータジェネレータ(MG)、43…パワーコントロールユニット(PCU)、45…ロータ、46…デファレンシャルギヤ(デフ)、51…マフラ、Ax1,Ax2…中心軸。
図1
図2
図3