(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113412
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】リーン車両
(51)【国際特許分類】
B62K 5/08 20060101AFI20240815BHJP
B62K 5/10 20130101ALI20240815BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20240815BHJP
B62J 50/21 20200101ALI20240815BHJP
【FI】
B62K5/08
B62K5/10
B62J45/00
B62J50/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018377
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】長田 達矢
(72)【発明者】
【氏名】内山 俊文
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 瞭
(72)【発明者】
【氏名】森田 朝郎
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AA02
3D011AD01
3D011AD18
(57)【要約】
【課題】リーンアクチュエータの動作中に乗員が良好に運転しやすいリーン車両を提供すること。
【解決手段】リーン車両1は、車体フレーム10に対して中央連結軸21Cc周りの左回りまたは右回りのトルクを付与するリーンアクチュエータ33と、表示装置41と、表示装置41にリーンアクチュエータ33の動作状況を示す画像を表示させる表示制御装置45と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプを有する車体フレームと、
前記ヘッドパイプよりも左方に配置された左車輪と、
前記ヘッドパイプよりも右方に配置された右車輪と、
前記左車輪を支持する左車輪支持部材と、
前記左車輪支持部材の右方に配置され、前記右車輪を支持する右車輪支持部材と、
前記車体フレームの左方および右方に延びる連結部材と、
前記車体フレームを前記連結部材に回転可能に連結する車両前後方向に延びる中央連結軸と、
前記左車輪支持部材を前記連結部材に回転可能に連結する車両前後方向に延びる左連結軸と、
前記右車輪支持部材を前記連結部材に回転可能に連結する車両前後方向に延びる右連結軸と、
前記車体フレームに対して前記中央連結軸周りの左回りまたは右回りのトルクを付与するリーンアクチュエータと、
表示装置と、
前記表示装置に前記リーンアクチュエータの動作状況を示す画像を表示させる表示制御装置と、
を備えたリーン車両。
【請求項2】
前記表示制御装置は、前記リーンアクチュエータがトルクを出力しているか否かの情報を前記表示装置に表示させるように構成されている、請求項1に記載のリーン車両。
【請求項3】
前記表示制御装置は、前記リーンアクチュエータが出力するトルクの向きを前記表示装置に表示させるように構成されている、請求項1に記載のリーン車両。
【請求項4】
前記表示制御装置は、前記リーンアクチュエータが出力するトルクの大きさを前記表示装置に表示させるように構成されている、請求項1に記載のリーン車両。
【請求項5】
前記表示制御装置は、前記車体フレームの鉛直線からの傾きの程度を前記表示装置に表示させるように構成されている、請求項1に記載のリーン車両。
【請求項6】
前記表示制御装置は、前記リーンアクチュエータがトルクを出力しているか否かの情報、前記リーンアクチュエータが出力するトルクの向き、前記リーンアクチュエータが出力するトルクの大きさ、および、前記車体フレームの鉛直線からの傾きの程度のうちの2つ以上を前記表示装置に同時に表示するように構成されている、請求項1に記載のリーン車両。
【請求項7】
前記リーンアクチュエータの異常を検知する異常検知装置を備え、
前記表示制御装置は、前記異常検知装置が前記リーンアクチュエータの異常を検知すると、前記表示装置に前記異常が発生したことを表示するように構成されている、請求項1に記載のリーン車両。
【請求項8】
前記リーンアクチュエータを制御することにより前記車体フレームを自立させるスタンディングアシスト制御を実行するアクチュエータ制御装置と、
前記スタンディングアシスト制御のON/OFFを切り替えるスイッチと、を備え、
前記表示制御装置は、前記スイッチがONのときに、前記表示装置に前記リーンアクチュエータの動作状況を示す前記画像を表示させ、前記スイッチがOFFのときに、前記表示装置に前記画像と異なる他の画像を表示させるように構成されている、請求項1に記載のリーン車両。
【請求項9】
前記リーン車両の速度を検出する速度センサと、
前記速度センサにより検出される速度が閾値以下のときに、前記リーンアクチュエータを制御することにより前記車体フレームを自立させるスタンディングアシスト制御を実行するアクチュエータ制御装置と、を備え、
前記表示制御装置は、前記速度センサにより検出される速度が前記閾値以下のときに、前記表示装置に前記リーンアクチュエータの動作状況を示す前記画像を表示させ、前記速度が前記閾値よりも大きいときに、前記表示装置に前記画像と異なる他の画像を表示させるように構成されている、請求項1に記載のリーン車両。
【請求項10】
前記ヘッドパイプに支持されたステアリング軸と、
前記ステアリング軸に固定されたステアリングハンドルと、を備え、
前記左車輪および前記右車輪は、それぞれ前記ステアリングハンドルよりも前方に配置された左前輪および右前輪である、請求項1に記載のリーン車両。
【請求項11】
前記車体フレームに支持されたシートと、
前記車体フレームに支持され、前記シートの下方に配置され、前記シートに座る乗員の足を支持する足載せ台と、
を備えた、請求項1に記載のリーン車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左車輪および右車輪を備え、左折時および右折時に傾倒するリーン車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2019-196108号公報に開示されているように、地面に対して傾倒可能な車体と、車体を支持する左車輪および右車輪と、車体の傾倒を制御するリーンアクチュエータとを備えたリーン車両が知られている。上記リーン車両は、車体と左車輪と右車輪とを連結するリンク機構を備えている。車体、左車輪、および右車輪は、それぞれリンク機構に対して車両前後方向に延びる軸線周りに回転可能である。また、上記リーン車両は、駐車時に車体の回転をロックするロック機構と、ロック機構の異常を表示する表示部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リーンアクチュエータを備えたリーン車両によれば、リーンアクチュエータを制御することにより車体を自立させることができる。以下、リーンアクチュエータにより車体を自立させることをスタンディングアシストと呼ぶこととする。停車時にスタンディングアシストを行うことにより、乗員が地面に足をつけなくても車体が傾かないようにすることができる。また、発進時または低速走行時にスタンディングアシストを行うことにより、車体が傾かないため、運転が容易となる。このように、リーンアクチュエータがスタンディングアシストを行うことにより、発進時、低速走行時、または停車時における乗員の負担を軽減することができる。
【0005】
ところで、スタンディングアシストはリーンアクチュエータが適宜に動作することによって実行される制御であるが、従来のリーン車両では、乗員はリーンアクチュエータがどのように動作しているかを知ることができない。乗員の運転操作とリーンアクチュエータの動作とが適合しない場合があった。それにより、乗員がリーン車両を良好に運転しにくい場合があった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、リーンアクチュエータの動作中に乗員が良好に運転しやすいリーン車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示されるリーン車両は、ヘッドパイプを有する車体フレームと、前記ヘッドパイプよりも左方に配置された左車輪と、前記ヘッドパイプよりも右方に配置された右車輪と、前記左車輪を支持する左車輪支持部材と、前記左車輪支持部材の右方に配置され、前記右車輪を支持する右車輪支持部材と、前記車体フレームの左方および右方に延びる連結部材と、前記車体フレームを前記連結部材に回転可能に連結する車両前後方向に延びる中央連結軸と、前記左車輪支持部材を前記連結部材に回転可能に連結する車両前後方向に延びる左連結軸と、前記右車輪支持部材を前記連結部材に回転可能に連結する車両前後方向に延びる右連結軸と、前記車体フレームに対して前記中央連結軸周りの左回りまたは右回りのトルクを付与するリーンアクチュエータと、表示装置と、前記表示装置に前記リーンアクチュエータの動作状況を示す画像を表示させる表示制御装置と、を備える。
【0008】
上記リーン車両によれば、リーンアクチュエータの動作状況を示す画像が表示装置に表示されるので、乗員は当該画像を見ることによりリーンアクチュエータの動作状況を知ることができる。乗員は、リーンアクチュエータの動作に適合した操作を行うことが容易となる。したがって、乗員はリーンアクチュエータの動作中にリーン車両を良好に運転しやすい。
【0009】
前記表示制御装置は、前記リーンアクチュエータがトルクを出力しているか否かの情報を前記表示装置に表示させるように構成されていてもよい。
【0010】
このことにより、乗員は、表示装置を見ることにより、リーンアクチュエータがトルクを出力しているか否かを容易に知ることができる。
【0011】
前記表示制御装置は、前記リーンアクチュエータが出力するトルクの向きを前記表示装置に表示させるように構成されていてもよい。
【0012】
このことにより、乗員は、表示装置を見ることにより、リーンアクチュエータが左向きまたは右向きのいずれのトルクを出力しているかを容易に知ることができる。
【0013】
前記表示制御装置は、前記リーンアクチュエータが出力するトルクの大きさを前記表示装置に表示させるように構成されていてもよい。
【0014】
このことにより、乗員は、表示装置を見ることにより、リーンアクチュエータが出力するトルクの大きさを容易に知ることができる。
【0015】
前記表示制御装置は、前記車体フレームの鉛直線からの傾きの程度を前記表示装置に表示させるように構成されていてもよい。
【0016】
このことにより、乗員は、表示装置を見ることにより、車体フレームの傾きの程度を容易に知ることができる。
【0017】
前記表示制御装置は、前記リーンアクチュエータがトルクを出力しているか否かの情報、前記リーンアクチュエータが出力するトルクの向き、前記リーンアクチュエータが出力するトルクの大きさ、および、前記車体フレームの鉛直線からの傾きの程度のうちの2つ以上を前記表示装置に同時に表示するように構成されていてもよい。
【0018】
このことにより、乗員は、表示装置を見ることにより、リーンアクチュエータがトルクを出力していること、トルクの向き、トルクの大きさ、および車体フレームの傾きの程度のうちの2つ以上を同時に知ることができる。
【0019】
前記リーン車両は、前記リーンアクチュエータの異常を検知する異常検知装置を備えていてもよい。前記表示制御装置は、前記異常検知装置が前記リーンアクチュエータの異常を検知すると、前記表示装置に前記異常が発生したことを表示するように構成されていてもよい。
【0020】
このことにより、乗員は、リーンアクチュエータに異常が生じた場合に、表示装置を見ることによりその異常を直ちに知ることができる。
【0021】
前記リーン車両は、前記リーンアクチュエータを制御することにより前記車体フレームを自立させるスタンディングアシスト制御を実行するアクチュエータ制御装置と、前記スタンディングアシスト制御のON/OFFを切り替えるスイッチと、を備えていてもよい。前記表示制御装置は、前記スイッチがONのときに、前記表示装置に前記リーンアクチュエータの動作状況を示す前記画像を表示させ、前記スイッチがOFFのときに、前記表示装置に前記画像と異なる他の画像を表示させるように構成されていてもよい。
【0022】
このことにより、乗員がスイッチを操作することによってスタンディングアシスト制御をONすると、表示装置の画像は他の画像からリーンアクチュエータの動作状況を示す画像に切り替えられる。よって、乗員は、必要なときにリーンアクチュエータの動作状況を知ることができる。また、リーンアクチュエータの動作状況を示す画像を表示する専用の表示装置は不要である。表示装置の台数を削減することができる。
【0023】
前記リーン車両は、前記リーン車両の速度を検出する速度センサと、前記速度センサにより検出される速度が閾値以下のときに、前記リーンアクチュエータを制御することにより前記車体フレームを自立させるスタンディングアシスト制御を実行するアクチュエータ制御装置と、を備えていてもよい。前記表示制御装置は、前記速度センサにより検出される速度が前記閾値以下のときに、前記表示装置に前記リーンアクチュエータの動作状況を示す前記画像を表示させ、前記速度が前記閾値よりも大きいときに、前記表示装置に前記画像と異なる他の画像を表示させるように構成されていてもよい。
【0024】
このことにより、リーン車両の速度が閾値以下のときに、スタンディングアシスト制御が自動的に実行され、表示装置の画像はリーンアクチュエータの動作状況を示す画像に自動的に切り替えられる。よって、乗員は、必要なときにリーンアクチュエータの動作状況を知ることができる。また、リーンアクチュエータの動作状況を示す画像を表示する専用の表示装置は不要である。表示装置の台数を削減することができる。
【0025】
前記リーン車両は、前記ヘッドパイプに支持されたステアリング軸と、前記ステアリング軸に固定されたステアリングハンドルと、を備えていてもよい。前記左車輪および前記右車輪は、それぞれ前記ステアリングハンドルよりも前方に配置された左前輪および右前輪であってもよい。
【0026】
前記リーン車両は、前記車体フレームに支持されたシートと、前記車体フレームに支持され、前記シートの下方に配置され、前記シートに座る乗員の足を支持する足載せ台と、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、リーンアクチュエータの動作中に乗員が良好に運転しやすいリーン車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一実施形態に係るリーン車両の左側面図である。
【
図6】車体フレームが左方に傾倒しているときのリーン車両の一部の正面図である。
【
図8】表示装置に表示されるアクチュエータ動作画像の一例を示す図である。
【
図9】表示装置に表示されるアクチュエータ動作画像の他の一例を示す図である。
【
図10】リーン車両の制御システムの一例に係るブロック図である。
【
図11】リーン車両の制御システムの他の一例に係るブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、リーン車両の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るリーン車両1の左側面図である。
図2は、リーン車両1の一部の左側面図である。
図3は、リーン車両1の一部の左側面図である。
図4は、リーン車両1の一部の正面図である。
図5は、リーン車両1の一部の平面図である。
【0030】
以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、乗員が乗車せずかつ荷物が載せられていないリーン車両1が水平面上に直立した状態(なお、ここで言う直立した状態とは、後述する車体フレーム10が直立した状態のことである。)で停止している場合に、シート5に着座した仮想的な乗員から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図中のF、B、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。車両上下方向は鉛直方向と一致する。車両前後方向は車両上下方向と直交する。車両左右方向は車両前後方向および車両上下方向と直交する。
【0031】
図1および
図2に示すように、リーン車両1は、車体フレーム10と、リンク機構20と、左前輪3Lと、右前輪3R(
図4参照)と、後輪4と、パワーユニット2と、シート5と、収納ボックス16とを備えている。リーン車両1は、2つの前輪3L,3Rと1つの後輪4とを備えた三輪車両である。
【0032】
図2に示すように、車体フレーム10は、ヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から後方かつ下方に延びるダウンフレーム12と、ダウンフレーム12から後方に延びるシートフレーム13と、を有している。シート5は車体フレーム10に支持されている。ここでは、シート5はシートフレーム13に支持されている。収納ボックス16はシート5の下方に配置されている。収納ボックス16はシートフレーム13に支持されている。
図4に示すように、ヘッドパイプ11にはステアリング軸14が回転可能に支持されている。ステアリング軸14には、ステアリングハンドル15が固定されている。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係るリーン車両1はスクータである。リーン車両1は、低床な足載せ台7を備えている。足載せ台7は車体フレーム10に支持されている。ここでは、足載せ台7はダウンフレーム12(
図2参照)に支持されている。足載せ台7は、シート5の下方に配置されている。足載せ台7は、シート5に座る乗員の足を支持する台である。
【0034】
図4に示すように、リンク機構20は平行四節リンク(パラレルグラムリンク)方式のリンク機構である。リンク機構20は、左前輪3Lおよび右前輪3Rよりも上方に配置されている。リンク機構20は、上アーム21と、下アーム22と、左アーム23と、右アーム24とを有している。
【0035】
上アーム21および下アーム22は、左方および右方に延びている。上アーム21および下アーム22は、車体フレーム10の左方および右方に延びる連結部材の例である。下アーム22は上アーム21の下方に配置されている。上アーム21および下アーム22は、ヘッドパイプ11の前方に配置されている(
図2参照)。上アーム21は、車両前後方向に延びる第1中央連結軸21Ccにより、ヘッドパイプ11に回転可能に連結されている。下アーム22は、車両前後方向に延びる第2中央連結軸22Ccにより、ヘッドパイプ11に回転可能に連結されている。
【0036】
本実施形態では、
図2に示すように、ヘッドパイプ11の後方に他の下アーム22Bが配置されている。下アーム22Bは、左方および右方に延びている。下アーム22Bは上アーム21の下方に配置されている。下アーム22Bは、車両前後方向に延びる第3中央連結軸23Cc(
図3参照)により、ヘッドパイプ11に回転可能に連結されている。なお、ヘッドパイプ11の後方に他の上アーム(図示せず)を配置し、この上アームを車両前後方向に延びる他の中央連結軸(図示せず)によりヘッドパイプ11に回転可能に連結してもよい。ただし、ヘッドパイプ11の後方に配置される他の上アームおよび他の下アーム22Bは必ずしも必要ではない。
【0037】
図4に示すように、左アーム23および右アーム24は、上方および下方に延びている。左アーム23はヘッドパイプ11の左方に配置され、右アーム24はヘッドパイプ11の右方に配置されている。右アーム24は左アーム23の右方に配置されている。左アーム23および右アーム24は、上アーム21および下アーム22の後方に配置されている。左アーム23および右アーム24は、下アーム22Bの前方に配置されている。左アーム23および右アーム24は、上アーム21、下アーム22、および下アーム22Bに回転可能に連結されている。
【0038】
詳しくは、左アーム23の上端部は、車両前後方向に延びる第1左連結軸21Lcにより、上アーム21の左端部に回転可能に連結されている。左アーム23の下端部は、車両前後方向に延びる第2左連結軸22Lcにより、下アーム22の左端部に回転可能に連結されている。また、左アーム23の下端部は、車両前後方向に延びる第3左連結軸(図示せず)により、下アーム22Bの左端部に回転可能に連結されている。右アーム24の上端部は、車両前後方向に延びる第1右連結軸21Rcにより、上アーム21の右端部に回転可能に連結されている。右アーム24の下端部は、車両前後方向に延びる第2右連結軸22Rcにより、下アーム22の右端部に回転可能に連結されている。また、右アーム24の下端部は、車両前後方向に延びる第3右連結軸(図示せず)により、下アーム22Bの右端部に回転可能に連結されている。
【0039】
リーン車両1は、フロントサスペンションとして、左サスペンション25Lおよび右サスペンション25Rを備えている。本実施形態では、左サスペンション25Lおよび右サスペンション25Rは、テレスコピック式のサスペンションである。左サスペンション25Lの上端部および右サスペンション25Rの上端部は、リンク機構20に接続されている。左サスペンション25Lの下端部は左前輪3Lに接続され、右サスペンション25Rの下端部は右前輪3Rに接続されている。詳しくは、左サスペンション25Lの上端部は、左ブラケット26Lを介して左アーム23の下端部に接続されている。左サスペンション25Lの上端部は、左アーム23に対して車体フレーム10の左右方向に回転可能に接続されている。右サスペンション25Rの上端部は、右ブラケット26Rを介して右アーム24の下端部に接続されている。右サスペンション25Rの上端部は、右アーム24に対して車体フレーム10の左右方向に回転可能に接続されている。
【0040】
左サスペンション25L、左ブラケット26L、および左アーム23は、左前輪3Lを支持する左車輪支持部材19Lを構成している。右サスペンション25R、右ブラケット26R、および右アーム24は、右前輪3Rを支持する右車輪支持部材19Rを構成している。
【0041】
ステアリング軸14の下端部には、中央プレート27Cが固定されている。
図5に示すように、中央プレート27Cはステアリング軸14から前方に延びている。左ブラケット26Lには左プレート27Lが固定されている。右ブラケット26Rには右プレート27Rが固定されている。左プレート27L、中央プレート27C、および右プレート27Rは、タイロッド28に左右に回転可能に連結されている。ステアリング軸14は、中央プレート27C、タイロッド28、左プレート27L、および右プレート27Rを介して、左アーム23および右アーム24と連結されている。
【0042】
図3に示すように、リーン車両1は、ロール角を制御するロール角制御装置30を備えている。なお、
図3以外の図では、ロール角制御装置30の図示は省略している。ここでロール角とは、車体フレーム10の鉛直線からの傾きの角度θ(
図6参照)のことである。なお、本実施形態では、ロール角θは、車両正面視においてヘッドパイプ11の軸線と鉛直線とのなす角の角度と一致する。ロール角制御装置30は、車体フレーム10に対する上アーム21および下アーム22の回転を調整することにより、車体フレーム10のロール角を制御する。ロール角制御装置30は、上アーム21および下アーム22の少なくとも一方に対してトルクを付与するように構成されている。ロール角制御装置30は、上アーム21および下アーム22の少なくとも一方と、車体フレーム10とに接続されている。本実施形態では、ロール角制御装置30は、上アーム21とヘッドパイプ11とに接続されている。ただし、特に限定される訳ではなく、ロール角制御装置30は下アーム22とヘッドパイプ11とに接続されていてもよい。
【0043】
ロール角制御装置30は、ケース31と、ケース31の内部に配置されたリーンアクチュエータ33、ギヤ35A、およびギヤ35Bと、ケース31の内部に配置されたアクチュエータ制御装置36とを備えている。ケース31は、ヘッドパイプ11に固定された支持部材32に支持されている。
【0044】
リーンアクチュエータ33は、車体フレーム10に対して第1中央連結軸21Cc周りのトルクを付与する動力源である。リーンアクチュエータ33は、車体フレーム10に対してトルクを直接的に付与してもよく、間接的に付与してもよい。本実施形態では、リーンアクチュエータ33は、上アーム21に左回りまたは右回りのトルクを付与することにより、車体フレーム10に対して右回りまたは左回りのトルクを間接的に付与する。本実施形態では、リーンアクチュエータ33は電動モータによって構成されている。ただし、リーンアクチュエータ33は動力を発生するものであればよく、電動モータに限定されない。
【0045】
リーンアクチュエータ33はギヤ35Aに接続され、ギヤ35Aはギヤ35Bと噛み合っている。ギヤ35Aおよびギヤ35Bは減速機を構成している。ギヤ35Bは出力軸34に固定されている。出力軸34は、リーンアクチュエータ33に駆動されることにより回転する回転軸であり、上アーム21に接続されている。リーンアクチュエータ33のトルクは、ギヤ35A、ギヤ35B、および出力軸34を介して、上アーム21に伝達される。リーンアクチュエータ33が駆動すると、上アーム21に対して第1中央連結軸21Cc(
図4参照)周りのトルクが付与される。上アーム21は車体フレーム10に対して第1中央連結軸21Cc周りに回転可能に連結されているので、上アーム21に対して第1中央連結軸21Cc周りのトルクが付与されると、車体フレーム10には上アーム21に対して第1中央連結軸21Cc周りのトルクが発生する。
【0046】
リーン車両1は、図示しないIMUを備えている。アクチュエータ制御装置36は、図示しないワイヤハーネスを介して、IMUと通信可能に接続されている。アクチュエータ制御装置36は、IMUから信号を受け、リーンアクチュエータ33を制御するように構成されている。
【0047】
図2に示すように、パワーユニット2は車体フレーム10に揺動可能に支持されている。パワーユニット2は後輪4に動力伝達可能に接続されている。パワーユニット2は、走行のための駆動力を発生させる。パワーユニット2は、後輪4に対して動力を付与する。パワーユニット2は、内燃機関を備えていてもよく、電動モータを備えていてもよい。本実施形態では、パワーユニット2は内燃機関(以下、エンジンという)を備えている。
【0048】
リーン車両1は、左右のリアサスペンション50を備えている。左のリアサスペンション50は後輪4の左方に配置され、右のリアサスペンション50は後輪4の右方に配置されている。各リアサスペンション50は、車体フレーム10に揺動可能に支持された上支持部51と、後輪4に対して揺動可能に支持された下支持部52とを有している。ここでは、上支持部51は、ブラケット13Bを介してシートフレーム13に揺動可能に支持されている。下支持部52は、後輪4の車軸に取り付けられたブラケット4Bに揺動可能に支持されている。
【0049】
リーン車両1は操作パネル40(
図4参照)を備えている。操作パネル40は、ヘッドパイプ11の上方に配置されている。操作パネル40は、ステアリングハンドル15の中央部15Cの後方に配置されている。ただし、操作パネル40は、シート5に座る乗員が視認できかつ操作できる位置にあればよく、操作パネル40の位置は特に限定されない。
図7に示すように、本実施形態に係る操作パネル40は、表示装置41と、スイッチ42A~42Dとを有している。また、操作パネル40には、表示装置41を制御する表示制御装置45が設けられている。
【0050】
表示装置41は、リーン車両1の速度、エンジン回転速度、燃料量などを表示可能である。また、表示装置41は、リーンアクチュエータ33の動作状況を示す画像を表示可能である。表示装置41の形態は特に限定されない。表示装置41は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイを備えていてもよい。表示装置41は、LEDを備えていてもよい。
【0051】
本実施形態に係るリーン車両1によれば、リーンアクチュエータ33を制御するアクチュエータ制御装置36を備えているので、リーン車両1の走行時および停止時において、ロール角を制御することができる。アクチュエータ制御装置36が行う制御は特に限定されない。アクチュエータ制御装置36は、以下のようなスタンディングアシスト制御を実行することができる。
【0052】
スタンディングアシスト制御は、リーン車両1が発進するとき、徐行しているとき、または信号待ちで停止しているときなどに、車体フレーム10を直立した状態にする制御である。例えば、リーン車両1が徐行しているときに乗員が左方に体重をかけると、車体フレーム10には左方に力が加わる。そのままでは、車体フレーム10は左方に傾く。アクチュエータ制御装置36は、IMUからの信号に基づき、車体フレーム10の傾きを検出する。アクチュエータ制御装置36は、車体フレーム10の傾きを検出すると、その傾きを無くすようにリーンアクチュエータ33を制御する。詳しくは、アクチュエータ制御装置36は、車体フレーム10のロール角が零となるようにリーンアクチュエータ33を制御する。アクチュエータ制御装置36は、車体フレーム10が左方に傾くと、車体フレーム10に右回りのトルクを付与するようにリーンアクチュエータ33を制御する。アクチュエータ制御装置36は、車体フレーム10が右方に傾くと、車体フレーム10に左回りのトルクを付与するようにリーンアクチュエータ33を制御する。
【0053】
表示制御装置45は、リーンアクチュエータ33の動作状況を示す画像(以下、アクチュエータ動作画像という)を表示装置41に表示させるように構成されている。本実施形態では、表示制御装置45は、アクチュエータ動作画像として、リーンアクチュエータ33がトルクを出力しているか否かの情報、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの向き、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの大きさ、および、車体フレーム10の鉛直線からの傾きの程度を表示装置41に同時に表示させる。
【0054】
図8は、表示装置41に表示されるアクチュエータ動作画像の一例を表す図である。この画像には、車両61の画像が表示される表示領域71と、左向きの矢印62Lが表示される表示領域72と、右向きの矢印62Rが表示される表示領域73とが含まれる。
【0055】
車体フレーム10が鉛直線から傾いている場合、表示領域71には、鉛直線から傾いた状態の車両61が表示される。なお、表示装置41はシート5に座る乗員が見るものであるので、表示装置41に表示される車両61の画像は、リーン車両1の左右を反転させた鏡像画像となっている。リーン車両1の車体フレーム10が左方に傾いている場合、車両61は左方に傾いた状態に表示され、車体フレーム10が右方に傾いている場合、車両61は右方に傾いた状態に表示される。ここでは、車体フレーム10の鉛直線からの傾きの程度が大きいほど(言い換えると、ロール角が大きいほど)、車両61の鉛直線からの傾きの程度は大きくなる。このように、表示領域71には、車体フレーム10の鉛直線からの傾きの方向および程度が表示される。
【0056】
車体フレーム10が右方に傾くと、リーンアクチュエータ33は左向きのトルクを出力する。
図8に示すように、リーンアクチュエータ33が左向きのトルクを出力しているときには、左向きの矢印62Lの一部または全部が黒塗り63の表示となり、右向きの矢印62Rの全部が白抜きの表示となる。リーンアクチュエータ33が右向きのトルクを出力しているときには、右向きの矢印62Rの一部または全部が黒塗り63の表示となり、左向きの矢印62Lの全部が白抜きの表示となる。リーンアクチュエータ33がトルクを出力していないときには、左向きの矢印62Lの全部および右向きの矢印62Rの全部が白抜きの表示となる。よって、左向きの矢印62Lおよび右向きの矢印62Rにおける黒塗り63の有無に基づいて、リーンアクチュエータ33がトルクを出力しているか否かの情報、および、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの向きを知ることができる。このように、表示領域72および73には、リーンアクチュエータ33がトルクを出力しているか否かの情報、および、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの向きが表示される。
【0057】
ここでは、左向きの矢印62Lおよび右向きの矢印62Rにおいて、リーンアクチュエータ33が出力するトルクが大きいほど、黒塗り63の面積が大きくなる。黒塗り63の面積に基づいて、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの大きさを知ることができる。このように、表示領域72および73には、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの大きさが表示される。
【0058】
図9は、アクチュエータ動作画像の他の例を示す図である。この画像には、中央のブロック64と、左のブロック65と、右のブロック66とが表示されている。本画像では、リーンアクチュエータ33が左向きのトルクを出力しているときには左のブロック65が黒塗りの表示となり、リーンアクチュエータ33が右向きのトルクを出力しているときには右のブロック66が黒塗りの表示となる。リーンアクチュエータ33がトルクを出力していないときには、左のブロック65および右のブロック66は白抜きの表示となる。本画像には、リーンアクチュエータ33がトルクを出力しているか否かの情報、および、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの向きが表示される。
【0059】
なお、前述のアクチュエータ動作画像は例示に過ぎない。アクチュエータ動作画像が前述の画像例に限定されないことは勿論である。
【0060】
ところで、アクチュエータ制御装置36がスタンディングアシスト制御を行っていないときには、乗員がリーンアクチュエータ33の動作状況を知る必要は無い。そこで、乗員がスタンディングアシスト制御のON/OFFを切り替えると、表示装置41の表示画像が自動的に切り替えられるようになっていてもよい。例えば、スイッチ42A(
図7参照)がスタンディングアシスト制御のON/OFFを切り替えるスイッチであったとする。乗員がスイッチ42AをONすると、アクチュエータ制御装置36によるスタンディングアシスト制御が開始され、乗員がスイッチ42AをOFFすると、アクチュエータ制御装置36によるスタンディングアシスト制御は終了する。表示制御装置45は、スイッチ42AがONのときに、表示装置41にアクチュエータ動作画像を表示させ、スイッチ42AがOFFのときに、表示装置41にアクチュエータ動作画像と異なる他の画像を表示させてもよい。例えば、表示制御装置45は、スイッチ42AがOFFのときに、リーン車両1の速度、エンジンの回転速度、および燃料量などを表示装置41に表示させてもよい。
【0061】
スタンディングアシスト制御は、手動でON/OFFされてもよいが、リーン車両1の速度に応じて自動的にON/OFFされてもよい。スタンディングアシスト制御のON/OFFが自動的に切り替えられると、それに合わせて表示装置41の表示画像が自動的に切り替えられるようになっていてもよい。
図10に示すように、リーン車両1は、リーン車両1の速度を検出する速度センサ46を備えている。他の一実施形態では、アクチュエータ制御装置36は、速度センサ46により検出される速度が閾値以下のときにスタンディングアシスト制御を実行し、速度が閾値よりも大きくなるとスタンディングアシスト制御を解除するように構成されている。なお、速度が閾値以下であることには、速度が零の場合が含まれる。アクチュエータ制御装置36は、リーン車両1が徐行しているとき、および、停止しているときに、スタンディングアシスト制御を実行する。表示制御装置45は、速度センサ46により検出される速度が閾値以下のときに、表示装置41にアクチュエータ動作画像を表示させ、上記速度が上記閾値よりも大きいときに、表示装置41にアクチュエータ動作画像と異なる他の画像を表示させる。これにより、スタンディングアシスト制御が開始されると、表示装置41の表示画像はアクチュエータ動作画像に自動的に切り替えられ、スタンディングアシスト制御が終了すると、表示装置41の表示画像は他の画像に自動的に切り替えられる。
【0062】
図11に示すように、本実施形態に係るリーン車両1は、リーンアクチュエータ33の異常を検知する異常検知装置47を備えている。表示制御装置45は、異常検知装置47がリーンアクチュエータ33の異常を検知すると、異常が発生したことを表示装置41に表示させるように構成されている。表示制御装置45は、アクチュエータ動作画像と共にリーンアクチュエータ33の異常発生を示す画像を表示装置41に表示させてもよく、アクチュエータ動作画像に代えて、リーンアクチュエータ33の異常発生を示す画像を表示装置41に表示させてもよい。
【0063】
以上のように、本実施形態に係るリーン車両1によれば、リーンアクチュエータ33の動作状況を示す画像が表示装置41に表示される。乗員は表示装置41を見ることにより、リーンアクチュエータ33の動作状況を知ることができる。乗員は、スタンディングアシスト制御の状況を直感的に理解することができる。よって、乗員がリーンアクチュエータ33の動作に適合した操作を行うことが容易となる。乗員は、リーンアクチュエータ33の動作中にリーン車両1を良好に運転することができる。
【0064】
本実施形態によれば、リーンアクチュエータ33がトルクを出力しているか否かの情報が表示装置41に表示される。乗員は表示装置41を見ることにより、リーンアクチュエータ33がトルクを出力しているか否かを容易に知ることができる。例えば、リーン車両1が減速して停止する前に、乗員はスタンディングアシストが行われていることを知ることができる。乗員は、安心してリーン車両1を停止させることができる。
【0065】
本実施形態によれば、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの向きが表示装置41に表示される。乗員は表示装置41を見ることにより、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの向きを容易に知ることができる。乗員は、リーンアクチュエータ33の動作を直感的に理解することができる。
【0066】
本実施形態によれば、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの大きさが表示装置41に表示される。乗員は表示装置41を見ることにより、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの大きさを容易に知ることができる。例えば、リーンアクチュエータ33が出力するトルクが大きい場合、乗員は急激な操作(例えば、急加速のためにアクセルグリップを急に回転させる操作など)を控えることにより、リーン車両1の姿勢を安定させることができる。乗員はリーン車両1を良好に運転することができる。
【0067】
本実施形態によれば、車体フレーム10の鉛直線からの傾きの程度が表示装置41に表示される。乗員は表示装置41を見ることにより、車体フレーム10の傾きの程度を容易に知ることができる。例えば、車体フレーム10の傾きの程度が大きい場合、乗員は急激な操作を控えることにより、リーン車両1の姿勢を安定させることができる。乗員はリーン車両1を良好に運転することができる。
【0068】
本実施形態によれば、リーンアクチュエータ33がトルクを出力しているか否かの情報、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの向き、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの大きさ、および、車体フレーム10の鉛直線からの傾きの程度が、表示装置41に同時に表示される。そのため、乗員は、スタンディングアシスト制御の状況をより詳しく理解することができる。
【0069】
本実施形態によれば、リーンアクチュエータ33に異常が発生すると、異常検知装置47がその異常を検知し、表示装置41にリーンアクチュエータ33に異常が発生したことが表示される。乗員はリーンアクチュエータ33の異常を直ちに知ることができる。それにより、乗員はリーン車両1の運転の中止等、適切な対応をとることができる。
【0070】
前述したように、表示制御装置45は、スタンディングアシスト制御のON/OFFを切り替えるスイッチ42AがONのときに、表示装置41にアクチュエータ動作画像を表示させ、スイッチ42AがOFFのときに、表示装置41にアクチュエータ動作画像と異なる他の画像を表示させてもよい。このことにより、乗員は必要なときにリーンアクチュエータ33の動作状況を知ることができる。また、単一の表示装置41によって、アクチュエータ動作画像および他の画像の両方を選択的に表示することができる。アクチュエータ動作画像を表示する専用の表示装置を設ける場合に比べて、表示装置の台数を削減することができる。
【0071】
前述したように、アクチュエータ制御装置36は、速度センサ46により検出されるリーン車両1の速度が閾値以下のときにスタンディングアシスト制御を行い、リーン車両1の速度が前記閾値よりも大きいときにスタンディングアシスト制御を行わないように構成されていてもよい。表示制御装置45は、速度センサ46により検出されるリーン車両1の速度が前記閾値以下のときに、表示装置41にアクチュエータ動作画像を表示させ、リーン車両1の速度が前記閾値よりも大きいときに、表示装置41に他の画像を表示させてもよい。このことにより、乗員は必要なときにリーンアクチュエータ33の動作状況を知ることができる。また、単一の表示装置41によって、アクチュエータ動作画像および他の画像の両方を選択的に表示することができるので、表示装置の台数を削減することができる。
【0072】
以上、リーン車両の実施形態について説明したが、前記実施形態は例示に過ぎない。他にも様々な実施形態が可能である。
【0073】
前述したように、
図8および
図9に示すアクチュエータ動作画像は例示に過ぎない。表示制御装置45が表示装置41に表示させるアクチュエータ動作画像は、他の画像であってもよい。表示制御装置45は表示装置41にアクチュエータ動作画像として、リーンアクチュエータ33がトルクを出力しているか否かの情報、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの向き、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの大きさ、および、車体フレーム10の鉛直線からの傾きの程度のうち、1つのみを表示させてもよく、2つまたは3つを同時に表示させてもよい。表示制御装置45は表示装置41に、複数のアクチュエータ動作画像を適宜切り替えて表示させてもよい。
【0074】
図8および
図9に示すアクチュエータ動作画像において、黒塗りに代えて、黒以外の色の塗りつぶしを用いてもよい。
図8のアクチュエータ動作画像において、矢印62Lおよび62Rの黒塗りおよび白抜きの表示に代えて、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの大きさに応じて、矢印62Lまたは62Rの大きさを変えるようにしてもよい。
図9のアクチュエータ動作画像において、黒塗りの表示に代えて、点滅表示を用いてもよい。
【0075】
図8および
図9のアクチュエータ画像画像では、リーンアクチュエータ33の動作の状況を図形により表示しているが、図形と共に、または、図形に代えて、文字、数字、または記号を表示してもよい。例えば、リーンアクチュエータ33のトルクの有無、および、リーンアクチュエータ33が出力するトルクの向きを文字で表示してもよい。リーンアクチュエータ33が出力するトルクの大きさ、または、車体フレーム10の傾きの程度を数字で表示してもよい。
【0076】
前記実施形態に係るリーン車両1はスクータである。しかし、リーン車両の車両形態はスクータに限定されない。
【0077】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0078】
1…リーン車両、3L…左前輪(左車輪)、3R…右前輪(右車輪)、5…シート、7…足載せ台、10…車体フレーム、11…ヘッドパイプ、14…ステアリング軸、15…ステアリングハンドル、19L…左車輪支持部材、19R…右車輪支持部材、21…上アーム(連結部材)、21Cc…第1中央連結軸(中央連結軸)、21Lc…第1左連結軸(左連結軸)、21Rc…第1右連結軸(右連結軸)、33…リーンアクチュエータ、36…アクチュエータ制御装置、41…表示装置、42A…スイッチ、45…表示制御装置、46…速度センサ、47…異常検知装置