(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113428
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】引き戸装置
(51)【国際特許分類】
E06B 7/06 20060101AFI20240815BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20240815BHJP
E05F 1/10 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
E06B7/06
E06B3/46
E05F1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018397
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000210986
【氏名又は名称】中央発條株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】白石 英樹
(72)【発明者】
【氏名】森 俊明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 翼
【テーマコード(参考)】
2E014
2E036
2E050
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014FB11
2E036JA02
2E036KA08
2E036LA06
2E036LB07
2E050AA04
2E050BA04
2E050CA04
2E050DB02
(57)【要約】
【課題】 引き戸装置の一例を開示する。
【解決手段】 引き戸3に設けられた小窓ドア5と、引き戸3が開かれて開始位置に到達したときに、閉塞作動を実行する閉塞ユニット10とを備える。閉塞ユニット10は、小窓ドア5を開放位置側から閉塞位置側に変位させる張力が発生するとともに、長手方向一端側が小窓ドア5に連結され、長手方向他端側が引き戸3に対して連結されたワイヤー11、引き戸3の変位方向と平行な方向に変位可能な可動部15であって、ワイヤー11に張力を作用させる可動部15、及び引き戸3が開かれて開始位置に到達したときに可動部15に接触し、張力を発生させる向きに可動部15を押圧する不動ストッパ12を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行変位可能な引き戸を備える引き戸装置において、
前記引き戸に設けられた開口部を開放する開放位置と当該開口部を閉塞する閉塞位置との間で変位可能な小窓ドアであって、当該引き戸に対して変位可能に連結された小窓ドアと、
前記引き戸の変位に連動して前記小窓ドアを前記開放位置側から前記閉塞位置側に変位させる閉塞作動を実行可能な閉塞ユニットであって、当該引き戸が開かれて予め決められた位置(以下、開始位置という。)に到達したときに、当該閉塞作動を実行する閉塞ユニットとを備え、
前記閉塞ユニットは、
前記小窓ドアに連結されたワイヤーであって、当該小窓ドアを前記開放位置側から前記閉塞位置側に変位させる張力が発生するとともに、長手方向一端側が前記小窓ドアに連結され、長手方向他端側が前記引き戸に対して連結されたワイヤー、
前記引き戸に対して変位可能に設けられ、当該引き戸の変位方向と平行な方向に変位可能な可動部であって、前記ワイヤーに前記張力を作用させる可動部、及び
前記引き戸が開かれて前記開始位置に到達したときに前記可動部に接触し、前記張力を発生させる向きに当該可動部を押圧する不動な不動ストッパを有する
引き戸装置。
【請求項2】
前記可動部には、前記ワイヤーが掛けられた滑車であって、当該可動部と一体的に変位する滑車が設けられている
請求項1に記載の引き戸装置。
【請求項3】
前記閉塞ユニットは、
前記可動部に設けられ、前記不動ストッパと接触したときに当該不動ストッパにより押圧される被押圧部であって、前記不動ストッパと接触可能な接触位置と当該不動ストッパと接触不可能な退避位置との間で変位可能な被押圧部、及び
前記被押圧部に接触して当該被押圧部を前記退避位置に変位させる可動ストッパであって、前記被押圧部が前記不動ストッパにより押圧されて前記可動部が予め決められた寸法だけ変位したときに当該被押圧部に接触する可動ストッパを有する
請求項2に記載の引き戸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、平行変位可能な引き戸を備える引き戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の引き戸装置は、引き戸に設けられた開口部を開閉する小窓ドアと、当該引き戸に連動して小窓ドアを閉める機構とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の引き戸装置は、小窓ドアを閉めるためのワイヤーが戸袋を構成する袖部に連結されている。このため、特許文献1に記載の引き戸装置の施工時においては、可動する引き戸と不動な袖部とをワイヤーで連結する必要がある。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、特許文献1に記載の引き戸装置と異なる新規な構成の引き戸装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
平行変位可能な引き戸(3)を備える引き戸装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0007】
すなわち、当該構成要件は、引き戸(3)に設けられた開口部(3A)を開放する開放位置と当該開口部(3A)を閉塞する閉塞位置との間で変位可能な小窓ドア(5)であって、当該引き戸(3)に対して変位可能に連結された小窓ドア(5)と、引き戸(3)の変位に連動して小窓ドア(5)を開放位置側から閉塞位置側に変位させる閉塞作動を実行可能な閉塞ユニット(10)であって、当該引き戸(3)が開かれて予め決められた位置(以下、開始位置という。)に到達したときに、当該閉塞作動を実行する閉塞ユニット(10)とを備える。
【0008】
そして、当該閉塞ユニット(10)は、小窓ドア(5)に連結されたワイヤー(11)であって、当該小窓ドア(5)を開放位置側から閉塞位置側に変位させる張力が発生するとともに、長手方向一端側が小窓ドア(5)に連結され、長手方向他端側が引き戸(3)に対して連結されたワイヤー(11)、引き戸(3)に対して変位可能に設けられ、当該引き戸(3)の変位方向と平行な方向に変位可能な可動部(15)であって、ワイヤー(11)に張力を作用させる可動部(15)、及び引き戸(3)が開かれて開始位置に到達したときに可動部(15)に接触し、張力を発生させる向きに当該可動部(15)を押圧する不動な不動ストッパ(12)を有することが望ましい。
【0009】
これにより、当該引き戸装置に係るワイヤー(11)は、長手方向一端側が小窓ドア(5)に連結され、長手方向他端側が引き戸(3)に対して連結されている。このため、引き戸装置の設置施工者等は、引き戸(3)を建物に装着する前に、ワイヤー(11)の張架作業を施工でき得る。
【0010】
つまり、例えば、引き戸装置の提供者は、引き戸(3)の製造工場にて閉塞ユニット(10)を当該引き戸(3)に組み付け、その閉塞ユニットが装着された状態の引き戸(3)を設置施工者に引き渡すことができる。
【0011】
このため、設置施工者は、現場にてワイヤー(11)の張架作業を実施することなく、引き戸(3)を建物に装着でき得る。そして、設置施工者は、開始位置にて可動部(15)と不動ストッパ(12)と接触するように不動ストッパ(12)を固定すれば、引き戸装置の施工を完了させることができ得る。
【0012】
以上のように、当該引き戸装置では、現場にてワイヤー(11)の張架作業を実施することなく、引き戸(3)を建物に装着できるので、特許文献1に記載の引き戸装置に比べて、施工工数の削減が可能となり得る。
【0013】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る引き戸装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る引き戸装置の構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る閉塞ユニットを示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る閉塞ユニットの分解図である。
【
図6】第1実施形態に係る閉塞ユニットを示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る引き戸装置の作動説明図である。
【
図8】第1実施形態に係る引き戸装置の作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0016】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0017】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された引き戸装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0018】
(第1実施形態)
<1.引き戸装置の概要>
本実施形態は、
図1に示されるように、玄関用引き戸に本開示に係る引き戸装置1の一例が適用されたものである。引き戸装置1は、引き戸3、小窓ドア5及び閉塞ユニット10(
図2参照)等を少なくとも備える。
【0019】
引き戸3は、平行変位可能な扉である。本実施形態に係る引き戸3は、水平方向にスライド可能な扉である。つまり、引き戸3は、建物の玄関口2を閉塞する位置と開放する位置との間で左右方向にスライド可能である。
【0020】
そして、引き戸3が「玄関口2を開放する位置」側に変位すると、当該引き戸3の少なくとも一部は、建物の壁部(以下、袖部4ともいう。)と重なった状態となる。なお、本実施形態では、閉塞位置にある引き戸3は、袖部4に対して室外側に位置する。
【0021】
図2に示されるように、引き戸3には開口部3Aが設けられている。本実施形態に係る開口部3Aは、当該引き戸3を貫通する貫通穴であって、換気を主たる目的とする採風窓である。
【0022】
小窓ドア5は、引き戸3に対して変位可能に連結された扉であって、開口部3Aを開放する開放位置(
図2参照)と当該開口部3Aを閉塞する閉塞位置(
図1参照)との間で変位可能である。
【0023】
なお、本実施形態に係る小窓ドア5は、引き戸3に対して揺動可能に連結されている。当該揺動の揺動中心軸線は、引き戸3のスライド方向と交差する方向(具体的には、鉛直方向)と平行である。
【0024】
閉塞ユニット10は、引き戸3の変位に連動して閉塞作動を実行可能な機構である。閉塞作動とは、小窓ドア5を開放位置側から閉塞位置側に変位させる作動である。具体的には、閉塞ユニット10は、小窓ドア5が開放位置にある場合において、引き戸3が開かれて予め決められた位置(以下、開始位置という。)に到達したときに、当該閉塞作動を実行する。
【0025】
<2.閉塞ユニットの詳細>
<2.1 閉塞ユニットの構成>
閉塞ユニット10は、
図3に示されるように、ワイヤー11、不動ストッパ12及び可動ユニット13等を少なくとも有して構成されている。
【0026】
ワイヤー11は、可撓性を有する紐状の部材である。そして、当該ワイヤー11は、小窓ドア5を開放位置側から閉塞位置側に変位させる張力(以下、閉塞力という。)を小窓ドア5に伝達する。
【0027】
このため、ワイヤー11の長手方向一端側が小窓ドア5に連結されている。当該ワイヤー11の長手方向他端側が引き戸3に対して連結されている。なお、本実施形態では、ワイヤー11の一端側は、小窓ドア5のうち回転軸5Aと反対側の端辺部に連結され、他端側は可動ユニット13を介して間接的に引き戸3に連結されている。
【0028】
可動ユニット13は、
図4に示されるように、ベース材14、可動部15、レール部材16、滑車17~19及びバネ21等を少なくとも有する。ベース材14は、引き戸3に固定される部材である。
【0029】
当該ベース材14には、レール部材16、滑車18、滑車19等が少なくとも装着されている。なお、ベース材14にはワイヤー連結部14Aが設けられている。ワイヤー連結部14Aは、ワイヤー11の長手方向他端側が連結された部位である。
【0030】
可動部15は、引き戸3の変位方向と平行な方向に変位可能であって、ワイヤー11に閉塞力を作用させる部材である。すなわち、可動部15は、
図5に示されるように、略六面体(立方体)状のスライダー15A、及び被押圧部15B等を少なくとも有する。
【0031】
スライダー15Aは、レール部材16によってスライド可能に支持されている(
図6参照)。つまり、レール部材16は、可動部15をスライド可能に支持する支持部材の一例である。
【0032】
レール部材16は、ベース材14に固定された部材である。これにより、可動部15は、引き戸3に対して平行移動可能な構成となる。なお、当該レール部材16は、押し出し成形又は引き抜き成形にて形成されたアルミニウム等の軽金属製の部材である。
【0033】
スライダー15Aには、複数のシュー15C(
図5参照)が設けられている。各シュー15Cは、レール部材16に滑り接触する部位である。なお、本実施形態では、複数のシュー15Cとスライダー15Aとは、樹脂にて一体成形されている。
【0034】
被押圧部15Bは、不動ストッパ12と接触可能な部位である。当該被押圧部15Bは、不動ストッパ12と接触したときに、当該不動ストッパ12から押圧力を受ける部位である。なお、当該押圧力は、引き戸3を開く力である。
【0035】
すなわち、不動ストッパ12は、
図2に示されるように、ブラケット12Aを介して袖部4に固定された不動な部位である。被押圧部15B、つまり可動部15は、引き戸3に設けられている。
【0036】
したがって、引き戸3が開かれると、これに連動して被押圧部15Bが不動ストッパ12側に変位するので、被押圧部15Bが不動ストッパ12に接触する(
図7参照)。以下、「被押圧部15Bと不動ストッパ12とが接触する時」の引き戸3の位置を「開始位置」という。
【0037】
そして、引き戸3が開始位置から更に開かれると、被押圧部15Bは、不動ストッパ12から押圧力を受ける。このため、可動部15は、引き戸3に対して、当該引き戸3のスライドの向き(
図7の矢印の向き)と反対向きに相対変位する(
図8参照)。
【0038】
スライダー15A、つまり可動部15には、
図5に示されるように、滑車17が一体化されている。当該滑車17には、
図3に示されるように、ワイヤー11が掛けられている。つまり、滑車17は、可動部15と一体的に変位する動滑車として機能する。
【0039】
滑車18、19は、ワイヤー11の張架方向を転向させる定滑車である。なお、滑車20(
図3参照)は、引き戸3に設けられ、ワイヤー11の張架方向を小窓ドア5に向けて転向させる定滑車である。
【0040】
ワイヤー11は、一端側が小窓ドア5に連結され、他端側が引き戸3に対して連結されている。このため、滑車17が変位すると、ワイヤー11には、閉塞力、つまり小窓ドア5を開放位置側から閉塞位置側に変位させる張力が発生する。
【0041】
換言すれば、不動ストッパ12は、引き戸3が開かれて開始位置に到達したときに、当該張力を発生させる向きに可動部15を押圧する機能を発揮する。つまり、閉塞ユニット10は、引き戸3が開かれて開始位置に到達したときに、小窓ドア5を開放位置側から閉塞位置側に変位させる閉塞作動を実行する。
【0042】
被押圧部15Bは、不動ストッパ12と接触可能な接触位置(
図3参照)と当該不動ストッパ12と接触不可能な退避位置との間で変位可能である。具体的には、被押圧部15Bは、スライダー15Aに出没可能に装着されている。
【0043】
つまり、退避位置にある被押圧部15Bは、スライダー15A内に少なくとも一部が収納された状態となる。接触位置にある被押圧部15Bは、退避位置に比べてスライダー15Aから突出した状態となる。
【0044】
そして、スライダー15A内には、被押圧部15Bを接触位置に向けて押圧するバネ(図示せず。)が収納されている。可動ユニット13には、
図8に示されるように、可動ストッパ22が設けられている。
【0045】
可動ストッパ22は、被押圧部15Bに接触して当該被押圧部15Bを退避位置に変位させる部材である。なお、本実施形態に係る可動ストッパ22は、レール部材16に固定されている(
図6参照)。
【0046】
当該可動ストッパ22は、被押圧部15Bが不動ストッパ12により押圧されて可動部15が予め決められた寸法だけ変位したときに当該被押圧部15Bに接触するように構成されている(
図8参照)。
【0047】
つまり、開始位置から引き戸3が予め決められた寸法だけ変位したときに、可動ストッパ22と被押圧部15Bとが接触する。そして、引き戸3が更に開かれると、被押圧部15Bが退避位置となり、被押圧部15Bが不動ストッパ12から離間する。
【0048】
なお、被押圧部15Bのうち可動ストッパ22と接触する部位は、可動部15の変位方向に対して傾斜した傾斜面にて構成されている(
図8参照)。バネ21(
図4参照)は、閉塞作動を実行させるための向きに可動部15を変位させる弾性力を発生する。なお、閉塞作動を実行させるための向きとは、例えば、
図8に示される矢印と反対向きである。
【0049】
このため、バネ21は、閉塞ユニット10の閉塞作動時において、補助機能及び退避保持機能を発揮する。補助機能とは、引き戸3を操作する操作力が増大することを抑制する機能である。退避保持機能とは、被押圧部15Bを退避位置に保持する機能である。
【0050】
<2.2 引き戸装置の作動>
引き戸3が玄関口2を閉塞する位置にあり、かつ、小窓ドア5が閉じている場合には、被押圧部15Bは、退避位置にあるとともに不動ストッパ12から離間している。この状態において、小窓ドア5が開かれると、
図2に示されるように、被押圧部15Bは、可動ストッパ22から離間する向きに変位するとともに、接触位置となる。
【0051】
そして、引き戸3が開かれて開始位置に到達すると、
図7に示されるように、不動ストッパ12と被押圧部15Bとが接触するため、可動部15が可動ストッパ22側に変位し始める。
【0052】
可動部15が可動ストッパ22側に変位すると、ワイヤー11に閉塞力に作用するので、閉塞作動が実行されて小窓ドア5が開放位置側から閉塞位置側に変位し、当該小窓ドア5が閉塞位置となる。
【0053】
そして、引き戸3が更に開かれて、被押圧部15Bが可動ストッパ22に接触すると、被押圧部15Bが退避位置となり、被押圧部15Bが不動ストッパ12から離間する。このとき、バネ21の弾性力により、被押圧部15Bが退避位置に保持され、小窓ドア5が閉塞位置に保持される。
【0054】
なお、小窓ドア5が閉塞位置にあるときには、引き戸3の位置によらず、被押圧部15Bが可動ストッパ22に接触した状態となる。つまり、小窓ドア5が閉塞位置にあるときには、引き戸3の位置によらず、不動ストッパ12と被押圧部15Bとが接触しない。
【0055】
<3.本実施形態に係る引き戸装置の特徴>
本実施形態に係る引き戸装置1に係るワイヤー11は、長手方向一端側が小窓ドア5に連結され、長手方向他端側が引き戸3に対して連結されている。このため、引き戸装置1の設置施工者等は、引き戸3を建物に装着する前に、ワイヤー11の張架作業を施工でき得る。
【0056】
つまり、例えば、引き戸装置1の提供者は、引き戸3の製造工場にて閉塞ユニット10を当該引き戸3に組み付け、その閉塞ユニットが装着された状態の引き戸3を設置施工者に引き渡すことができ得る。
【0057】
このため、設置施工者は、現場にてワイヤー11の張架作業を実施することなく、引き戸3を建物に装着でき得る。そして、設置施工者は、開始位置にて可動部15と不動ストッパ12と接触するように不動ストッパ12を固定すれば、引き戸装置1の施工を完了させることができ得る。
【0058】
以上のように、当該引き戸装置1では、現場にてワイヤー11の張架作業を実施することなく、引き戸3を建物に装着することが可能となるので、特許文献1に記載の引き戸装置1に比べて、施工工数の削減が可能となり得る。
【0059】
また、当該引き戸装置1では、可動部15と一体的に変位する滑車17が設けられている。そして、滑車17は、可動部15の変位に連動してワイヤー11に閉塞力を発生させる動滑車として機能する。
【0060】
したがって、ワイヤー11の変位量が、引き戸3の変位量、つまり可動部15の変位量より大きくなる。したがって、閉塞ユニット10が小型となるので、容易に当該閉塞ユニット10を引き戸3に組み込むことが可能となる。
【0061】
また、被押圧部15Bが可動ストッパ22に接触すると、被押圧部15Bが退避位置となり、被押圧部15Bが不動ストッパ12から離間する。これにより、引き戸3を更に開くことが可能となる。
【0062】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係るワイヤー11の長手方向他端側は、引き戸3に固定された可動ユニット13を介して間接的に引き戸3に連結されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ワイヤー11の長手方向他端側が引き戸3に直接的に連結された構成であってもよい。
【0063】
上述の実施形態では、動滑車をなす滑車17を利用してワイヤー11に閉塞力を発生さる構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、可動部15にてワイヤー11を直接的に引き込む構成であってもよい。
【0064】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1… 引き戸装置 3…引き戸 4… 袖部 5… 小窓ドア
10… 閉塞ユニット 11…ワイヤー 12… 不動ストッパ
13… 可動ユニット 15…可動部 15A… スライダー
15B… 被押圧部 16…レール部材 17~20… 滑車
21… バネ 22…可動ストッパ