(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113441
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】車両用制御装置、および車両制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/16 20200101AFI20240815BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20240815BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B60W30/16
B60W40/06
B60W30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018419
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】内藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】広岡 睦喜
(72)【発明者】
【氏名】亀田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉井 雄一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 拓郎
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA02
3D241BA11
3D241BA60
3D241BB16
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD11
3D241CD12
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB12Z
3D241DC01Z
3D241DC28Z
3D241DC46Z
3D241DC51Z
3D241DD11Z
(57)【要約】
【課題】運転支援に使用されるカメラやセンサの汚れ付着を抑制するように運転者を支援すること。
【解決手段】自車両が存在する路面の路面状況を検出する路面状況検出部と、前記自車両の前方に存在し、前記自車両と同じ方向に移動する前走車両を検出する前走車両検出部と、前記前走車両が検出され且つ路面状況が所定状況の場合に、前記前走車両に起因する巻き上げ対象による巻き上げ距離を導出する巻き上げ距離導出部と、前記巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出する推奨車間距離算出部と、を備える車両用制御装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が存在する路面の路面状況を検出する路面状況検出部と、
前記自車両の前方に存在し、前記自車両と同じ方向に移動する前走車両を検出する前走車両検出部と、
前記前走車両が検出され且つ路面状況が所定状況の場合に、前記前走車両に起因する巻き上げ対象による巻き上げ距離を導出する巻き上げ距離導出部と、
前記巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出する推奨車間距離算出部と、
を備える車両用制御装置。
【請求項2】
前記路面状況検出部は、前記自車両が走行する路面に存在する巻き上げ対象の種別を前記路面状況の一つとして検出し、
前記巻き上げ距離導出部は、前記巻き上げ対象の種別に応じて巻き上げ距離を導出する、
請求項1記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記前走車両検出部は、前記前走車両の種別を検出し、
前記巻き上げ距離導出部は、前記前走車両の種別に基づき、巻き上げ距離を導出する、
請求項1記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記前走車両検出部は、前記前走車両の車速を検出し、
前記巻き上げ距離導出部は、前記前走車両の速度に応じて巻き上げ距離を導出する、
請求項1記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記自車両が存在する路面の気象状況を取得する気象状況取得部と、
前記気象状況に基づき補正値を算出する補正値算出部と、を備え、
前記推奨車間距離算出部は、前記巻き上げ距離と、前記補正値とに基づいて前記推奨車間距離を算出する、
請求項1記載の車両用制御装置。
【請求項6】
自車両が存在する路面の路面状況を検出する路面状況検出部と、
前記自車両の前方に存在し、前記自車両と同じ方向に移動する前走車両を検出する前走車両検出部と、
前記前走車両が検出され且つ路面状況が所定状況の場合に、前記前走車両から発生する巻き上げ距離を導出する巻き上げ距離導出部と、
前記巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出する推奨車間距離算出部と、
前記前走車両と前記推奨車間距離とを表す画像を表示部に表示させる表示制御部と、
を備える、車両用制御装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記表示部に、前記前走車両の後端部から前記推奨車間距離を離間した位置にガイド線が表示される前記画像を表示させる、
請求項6記載の車両用制御装置。
【請求項8】
自車両が存在する路面の路面状況を検出する路面状況検出部と、
前記自車両の前方に存在し、前記自車両と同じ方向に移動する前走車両を検出する前走車両検出部と、
前記前走車両が検出され且つ路面状況が所定状況の場合に、前記前走車両から発生する巻き上げ距離を導出する巻き上げ距離導出部と、
前記巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出する推奨車間距離算出部と、
前記前走車両との車間距離が前記推奨車間距離となるように前記自車両の駆動装置を制御する駆動制御部と、を備える車両用制御装置。
【請求項9】
前記自車両の周辺状況を把握する状況把握部と、
前記周辺状況から、前記自車両の隣接車線へ車線変更が可能か判断する車線変更判断部と、
前記自車両の操舵を制御する操舵制御部と、
前記自車両の乗員による前記自車両と前記前走車両との目標車間距離の設定を受け付ける車間距離設定部と、を更に備え、
前記目標車間距離が前記推奨車間距離より短く、且つ前記車線変更判断部が車線変更可能と判断した場合、前記駆動制御部と前記操舵制御部が前記自車両に車線変更させる、
請求項8記載の車両用制御装置。
【請求項10】
前記推奨車間距離が所定距離より大きく、且つ前記車線変更判断部が車線変更可能と判断した場合、前記駆動制御部と前記操舵制御部が前記自車両に車線変更をさせる、
請求項9記載の車両用制御装置。
【請求項11】
車両用制御装置が、
自車両が存在する路面の路面状況を検出し、
前記自車両の前方に存在し、前記自車両と同じ方向に移動する前走車両を検出し、
前記前走車両が検出され且つ路面状況が所定状況の場合に、前記前走車両に起因する巻き上げ対象による巻き上げ距離を導出し、
前記巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出する、
車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御装置、および車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者を補助する運転支援装置について研究および実用化が進められている。例えば、特許文献1には自車両と路面との摩擦係数を測定し、その数値に応じて車間距離に関する表示を制御する装置が記載されている。また、特許文献2には運転者が運転嗜好を登録し、登録した状態になったら車両制御を行い運転者の判断に近い形で運転を行う装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-139441号公報
【特許文献2】特開2018-013897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、自車両の走行に伴う前走車両からの巻き上げが考慮されておらず走行中に前走車の巻き上げにより車両が汚れてしまう場合があった。また、運転支援に使用されるカメラやセンサの汚れ付着を抑制するように運転者を支援することができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、運転支援に使用されるカメラやセンサの汚れ付着を抑制するように運転者を支援することができる車両用制御装置、および車両制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両用制御装置、および車両制御方法は、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両用制御装置は、自車両が存在する路面の路面状況を検出する路面状況検出部と、前記自車両の前方に存在し、前記自車両と同じ方向に移動する前走車両を検出する前走車両検出部と、前記前走車両が検出され且つ路面状況が所定状況の場合に、前記前走車両に起因する巻き上げ対象による巻き上げ距離を導出する巻き上げ距離導出部と、前記巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出する推奨車間距離算出部とを備える車両用制御装置である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記路面状況検出部は、前記自車両が走行する路面に存在する巻き上げ対象の種別を前記路面状況の一つとして検出し、前記巻き上げ距離導出部は、前記巻き上げ対象の種別に応じて巻き上げ距離を導出するものである。
【0008】
(3):上記(1)の態様において、前記前走車両検出部は、前記前走車両の種別を検出し、前記巻き上げ距離導出部は、前記前走車両の種別に基づき、巻き上げ距離を導出するものである。
【0009】
(4):上記(1)の態様において、前記前走車両検出部は、前記前走車両の車速を検出し、前記巻き上げ距離導出部は、前記前走車両の速度に応じて巻き上げ距離を導出するものである。
【0010】
(5):上記(1)の態様において、前記自車両が存在する路面の気象状況を取得する気象状況取得部と、前記気象状況に基づき補正値を算出する補正値算出部と、を備え、前記推奨車間距離算出部は、前記巻き上げ距離と、前記補正値とに基づいて前記推奨車間距離を算出するものである。
【0011】
(6):本発明の他の態様に係る車両用制御装置は、自車両が存在する路面の路面状況を検出する路面状況検出部と、前記自車両の前方に存在し、前記自車両と同じ方向に移動する前走車両を検出する前走車両検出部と、前記前走車両が検出され且つ路面状況が所定状況の場合に、前記前走車両から発生する巻き上げ距離を導出する巻き上げ距離導出部と、前記巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出する推奨車間距離算出部と、前記前走車両と前記推奨車間距離とを表す画像を表示部に表示させる表示制御部とを備えるものである。
【0012】
(7):上記(6)の態様において、前記表示制御部は、前記表示部に、前記前走車両の後端部から前記推奨車間距離を離間した位置にガイド線が表示される前記画像を表示させるものである。
【0013】
(8):本発明の他の態様に係る車両用制御装置は、自車両が存在する路面の路面状況を検出する路面状況検出部と、前記自車両の前方に存在し、前記自車両と同じ方向に移動する前走車両を検出する前走車両検出部と、前記前走車両が検出され且つ路面状況が所定状況の場合に、前記前走車両から発生する巻き上げ距離を導出する巻き上げ距離導出部と、前記巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出する推奨車間距離算出部と、前記前走車両との車間距離が前記推奨車間距離となるように前記自車両の駆動装置を制御する駆動制御部とを備える車両用制御装置である。
【0014】
(9):上記(8)の態様において、前記自車両の周辺状況を把握する状況把握部と、前記周辺状況から、前記自車両の隣接車線へ車線変更が可能か判断する車線変更判断部と、前記自車両の操舵を制御する操舵制御部と、前記自車両の乗員による前記自車両と前記前走車両との目標車間距離の設定を受け付ける車間距離設定部と、を更に備え、前記目標車間距離が前記推奨車間距離より短く、且つ前記車線変更判断部が車線変更可能と判断した場合、前記駆動制御部と前記操舵制御部が前記自車両に車線変更させるものである。
【0015】
(10):上記(9)の態様において、前記推奨車間距離が所定距離より大きく、且つ前記車線変更判断部が車線変更可能と判断した場合、前記駆動制御部と前記操舵制御部が前記自車両に車線変更をさせるものである。
【0016】
(11):この発明の一態様に係る車両制御方法は、車両用制御装置が、自車両が存在する路面の路面状況を検出し、前記自車両の前方に存在し、前記自車両と同じ方向に移動する前走車両を検出し、前記前走車両が検出され且つ路面状況が所定状況の場合に、前記前走車両に起因する巻き上げ対象による巻き上げ距離を導出し、前記巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出する、車両制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
(1)~(11)の態様によれば、運転支援に使用されるカメラやセンサの汚れ付着を抑制するように運転者を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る車両用制御装置100が搭載される車両の構成図である。
【
図2】前走車両から発生する巻き上げ距離を導出するための第1実施形態に係る距離テーブルの一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る車両用制御装置100によって実行される動作の一例を表すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係る車両用制御装置100Aによって実行される動作の一例を表すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態に係る車両用制御装置100Aの距離テーブル118Aの一例である。
【
図6】第3実施形態に係る車両用制御装置100Bの機能構成図である。
【
図7】第3実施形態に係る車両用制御装置100Bによって実行される動作の一例を表すフローチャートである。
【
図8】第4実施形態に係る車両用制御装置100Cの機能構成図である。
【
図9】第4実施形態に係る車両用制御装置100Cによって表示部に表示される画像の一例である。
【
図10】第4実施形態に係る車両用制御装置100Cの表示部32がHUD(Head Up Display)である場合の画像の一例を示す図である。
【
図11】第4実施形態に係る車両用制御装置100Cによって実行される動作の一例を表すフローチャートである。
【
図12】第5実施形態に係る車両用制御装置100Dの機能構成図である。
【
図13】第5実施形態の車両用制御装置100Dにより実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】第5実施形態に係る車両用制御装置100Dによって実行される動作の一例を表すフローチャートである。
【
図15】第5実施形態に係る車両用制御装置100Dによって実行される車線変更の動作の一例である。
【
図16】第5実施形態に係る車両用制御装置100Dによって実行される車線変更の動作の一例である。
【
図17】第5実施形態に係る車両用制御装置100Dの車線変更判断部124が、車線変更が不可能であると判断した場合の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の車両用制御装置、および車両制御方法の実施形態について説明する。
【0020】
<第1実施形態>
[全体構成]
図1は、第1実施形態に係る車両用制御装置100が搭載される車両の構成図である。車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0021】
車両は、例えば、外界センサ10と、車両センサ40とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、
図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0022】
外界センサ10は、例えば、カメラである。例えば、カメラはCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラは、車両用制御装置100が搭載される車両(以下、自車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラは、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラは、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラは、ステレオカメラであってもよい。加えて、カメラだけではなく、車両用制御装置100にはレーダ装置や、LIDAR(Light Detection and Ranging)、ソナー等を含んでもよい。
【0023】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0024】
第1実施形態における車両用制御装置100は、路面状況検出部102と、前走車両検出部104と、巻き上げ距離導出部106と、推奨車間距離算出部108と、記憶部116とを備える。記憶部116以外の構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0025】
路面状況検出部102は、走行車線を自車両Mが走行する際に、自車両Mが接している路面状況をカメラ等の外界センサ10を介して入力された情報に基づいて、路面状況を検出する。具体的には、路面状況検出部102は、入力された情報に基づいて、巻き上げ対象を検出する。巻き上げ対象とは、前走車両の車輪(特に駆動輪)が巻き上がることによって前走車両の後方の飛散し、自車両に降りかかる可能性があるものであり水、雪、砂、泥のように分類される。路面状況検出部102は、そのように分類される巻き上げ対象の種別を認識してもよい。
【0026】
前走車両検出部104は、自車両Mの前方に存在し、自車両Mと同じ方向に移動する前走車両を検出する。前走車両とは、自車両Mの走行車線における前方、もしくは走行車線の隣接車線における前方を走行している車両である。前走車両検出部104は、カメラ等の外界センサ10を介して入力された情報に基づいて、前走車両を検出する。さらに前走車両検出部104は、前走車両の種別を検出してもよい。前走車両検出部104は、例えばカメラの撮像した画像を機械学習によって学習された学習済みモデルに入力することで、前走車両の種別を検出する。前走車両の種別とは、例えば二輪車、四輪車、トラック等に分類されるものである。さらに、四輪車の中でも、例えば、軽自動車、普通車、セダン等の車種を特定できればよい。車種によって、車両のタイヤの大きさや溝の深さが異なり、車両の高さや車両の形状によって空力影響等も変わってくるため、より詳細な情報を検出してもよい。
【0027】
巻き上げ距離導出部106は、前走車両が検出され、且つ路面状況が所定状況の場合に、前走車両に起因する巻き上げ対象による巻き上げ距離を導出する。より具体的に、巻き上げ距離導出部106は、路面状況検出部102によって検出された巻き上げ対象に応じて巻き上げ距離を導出してもよいし、自車両Mの前走車両の種別に応じて巻き上げ距離を導出してもよいし、それらの両方に応じて巻き上げ距離を導出してもよい。
【0028】
記憶部116は、距離テーブル118等の情報が格納される。記憶部116は、上記のプログラムを格納した記憶装置と同じものでもよいし、異なるものでもよい。
【0029】
図2は、前走車両から発生する巻き上げ距離を導出するための第1実施形態に係る距離テーブルの一例を示す図である。距離テーブル118は、巻き上げ距離導出部106にて巻き上げ距離を導出するための情報が格納されたテーブルである。距離テーブル118は、例えば、前走車両の種別と巻き上げ対象の種別との組み合わせに対して基準となる巻き上げ距離が記述された情報である。例えば、
図2の例では、前走車両の種別がトラックであり、巻き上げ対象の種別が水である場合、巻き上げ距離は10[m]となる。
【0030】
[フローチャート]
図3は、第1実施形態の車両用制御装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、路面状況検出部102が路面状況を検出し、前走車両検出部104が前走車両を検出する(ステップS100)。次に、路面状況検出部102は路面状況が所定の路面状況か否かを判定する(ステップS102)。所定の路面状況であると判定された場合、前走車両検出部は、自車両Mの前方に前走車両が走行しているか否かを判定する(ステップS104)。前走車両が走行していると判定された場合、前走車両検出部104は前走車両の種別を検出する(ステップS106)。ステップS102またはS104で否定的な判定結果を得た場合、ステップS100に処理が戻される。
【0031】
次に、路面状況検出部102は、前走車両から発生する巻き上げ対象を検出する(ステップS110)。巻き上げ距離導出部106は、検出した巻き上げ対象の種別と前走車両の種別との組み合わせに基づいて、巻き上げ距離を導出する(ステップS114)。
【0032】
次に、推奨車間距離算出部108は、導出された巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出する(ステップS116)。推奨車間距離を算出した後、本フローチャートは、ステップS100に処理が戻され、本フローチャートの処理が繰り返される。
【0033】
[まとめ]
上述した第1実施形態によれば、前走車両が検出され且つ路面状況が所定状況の場合に、前走車両に起因する巻き上げ対象による巻き上げ距離を導出し、巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出するため、巻き上げ対象により影響を受けにくい距離を推奨車間距離として算出することができる。この結果、運転支援に使用されるカメラやセンサの汚れ付着を抑制するように運転者を支援することができる。
【0034】
更に、第1実施形態によれば、自車両が走行する路面に存在する巻き上げ対象の種別を路面状況の一つとして検出し、巻き上げ対象の種別に応じて巻き上げ距離を導出することで、より正確に推奨車間距離を算出することができる。
【0035】
更に、第1実施形態によれば、前走車両の種別を検出し、前走車両の種別に基づき、巻き上げ距離を導出することで、更に正確に推奨車間距離を算出することができる。
【0036】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について記載する。第2実施形態は、基本的には第1実施形態と同様の構成要素を有するものであるため、改めての構成図の図示は省略する。第2実施形態は、距離テーブル118を用いた巻き上げ距離を算出する方法が異なる。以下、第2実施形態における車両用制御装置を車両用制御装置100A、距離テーブルを距離テーブル118Aと称する。距離テーブル118Aは前走車両の種別と巻き上げ対象の種別と前走車両の車速との組み合わせに対して基準となる巻き上げ距離が記述された情報である。
【0037】
図5は、第2実施形態に係る車両用制御装置100Aの距離テーブル118Aの一例である。距離テーブル118Aは、例えば、速度帯ごとに、前走車両の種別と巻き上げ対象の種別との組み合わせに対して基準となる巻き上げ距離が記述された情報である。
図5に示す例では、前走車両の種別が自動車であり、巻き上げ対象の種別が水であり、前走車両の車速が30~60[km/h]の場合、巻き上げ距離は30mとなる。 また、前走車両の種別が自動車であり、巻き上げ対象の種別が水であり、前走車両の車速が60~100[km/h]の場合、巻き上げ距離は50mとなる。第2実施形態の巻き上げ距離導出部106は、前走車両の車速が速くなるほど、巻き上げ距離が長くなるように算出する。このように前走車両の車速を算出することで、より正確に巻き上げ距離を導出することができる。前走車両の車速が速くなるほど、巻き上げ距離が長くなるのが通常だからである。
【0038】
[フローチャート]
図4は、第2実施形態の車両用制御装置100Aにより実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4において、ステップS100~ステップS104は、第1実施形態で説明した
図3のフローチャートと同様であるため、説明を省略する。
【0039】
ステップS100~ステップS104の処理の後、巻き上げ距離導出部106は、前走車両から発生する巻き上げ対象を検出する(ステップS110)。巻き上げ距離導出部106は、検出した巻き上げ対象の種別と前走車両の種別との組み合わせに基づいて、巻き上げ距離を導出する(ステップS114)。
【0040】
次に、推奨車間距離算出部108は、導出された巻き上げ距離に基づいて推奨車間距離を算出する(ステップS116)。推奨車間距離を算出した後、ステップS100に処理が戻され、本フローチャートの処理が、繰り返される。
【0041】
[まとめ]
上述した第2実施形態によれば、前走車両の車速を検出し、前走車両の車速に基づき、巻き上げ距離を導出することで、更に正確に推奨車間距離を算出することができる。
【0042】
<第3実施形態>
[全体構成]
以下、第3実施形態について記載する。
図6は、第3実施形態に係る車両用制御装置100Bが搭載される車両の構成図である。第3実施形態は、第1実施形態にさらに気象状況取得部を加え、気象情報と、巻き上げ対象と、車両の種別とに基づいて巻き上げ距離を導出する。
【0043】
図6は、第3実施形態に係る車両用制御装置100Bが搭載される車両の構成図である。第3実施形態における車両用制御装置100Bは、路面状況検出部102と、前走車両検出部104と、巻き上げ距離導出部106と、推奨車間距離算出部108と、気象状況取得部110と、補正値算出部112と記憶部116とを備える。
【0044】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、各種サーバ装置と通信する。
【0045】
ナビゲーション装置70は、例えば測位装置72を備える。測位装置72は、移動体1の位置を測位する装置である。測位装置72は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機であり、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定し、位置情報として出力する。なお、自車両Mの位置情報は、通信装置20が接続しているWi-Fi基地局の位置から推定されてもよい。
【0046】
地図データ74は、例えば、ナビゲーション装置70によって保持されるものであり、測位装置72が出力する座標を住所等の情報に変換可能な情報である。
【0047】
気象状況取得部110は、自車両Mが存在する周辺の気象状況を取得する。気象状況取得部110は、通信装置20を介して気象情報提供サーバ装置(不図示)から自車両Mの周辺の気象状況を取得する。取得する気象状況は、例えば、天気と、降水量と、風速と、風の向きと、積雪量と、気温とを含まれる。
【0048】
補正値算出部112は、気象状況取得部110が取得した気象状況に基づいて、補正値を算出する。例えば、取得した気象情報「降水量が多い」ことをと示していた場合、巻き上げ距離にx[m]を加算する。なお補正は加減算によって行われるのに代えて、巻き上げ距離に乗算(または除算)する係数を設定することで行われてもよい。また、補正値算出部112は、降雪量やヒョウの降る量についても同様の処理を行ってもよい。
【0049】
巻き上げ距離導出部106は、距離テーブル118から、前走車両の種別と巻き上げ対象の種別との組み合わせに対して基準となる巻き上げ距離が記述された情報を算出する。
【0050】
推奨車間距離算出部108は、巻き上げ距離導出部106で導出した巻き上げ距離に、補正値算出部112が算出した補正値を加算、または減算する。
【0051】
[フローチャート]
図7は、第3実施形態の車両用制御装置100Bにより実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7において、ステップS100~ステップS104は、第1実施形態と同じ処理のため、説明を省略する。
【0052】
ステップS100~ステップS104の処理が終了した後、気象状況取得部110は、通信装置20を介して自車両Mの周辺の気象状況を取得する(ステップS106)。補正値算出部112は、取得した気象状況に基づき、補正値を算出する(ステップS109)。
【0053】
次に、巻き上げ距離導出部106は、前走車両から発生する巻き上げ対象を検出する(ステップS110)。巻き上げ距離導出部106は、検出した巻き上げ対象の種別と前走車両の種別との組み合わせに基づいて、巻き上げ距離を導出する(ステップS114)。推奨車間距離算出部108は、導出された巻き上げ距離と補正値に基づいて推奨車間距離を算出する(ステップS116)。推奨車間距離を算出した後、ステップS100に処理が戻され、本フローチャートの処理が繰り返される。
【0054】
[まとめ]
上述した第3実施形態によれば、自車両M周辺の気象状況を取得し、取得した気象状況に基づいて補正値を算出する。路面状況だけではなく周辺の気象状況も鑑みて、より正確な推奨車間距離の算出が可能となり、より正確な推奨車間距離が算出することができる。この結果、運転支援に使用されるカメラやセンサの汚れ付着を抑制するように運転者を支援することができる。
【0055】
[全体構成]
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について記載する。第4実施形態は、第1実施形態にさらに表示部と表示制御部を加えた構成である。
図8は、第4実施形態に係る車両用制御装置100Cの機能構成図である。
【0056】
図8は、第4実施形態に係る車両用制御装置100Cが搭載される車両の構成図である。車両には、HMI30が搭載される。HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、表示部32、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0057】
第4実施形態における車両用制御装置100Cの構成要素は、路面状況検出部102と、前走車両検出部104と、巻き上げ距離導出部106と、推奨車間距離算出部108と、表示制御部114と、記憶部116とを備える。
【0058】
表示制御部114は、表示部32に、前走車両と推奨車間距離を表す画像を表示させる。表示制御部114は、前走車両の後端部を基点として、算出した推奨車間距離分離れた位置にガイド線を表示部に画像を表示する。表示部に表示した画像上のガイド線は、車両移動に伴い、移動する。
【0059】
図9は、第4実施形態に係る車両用制御装置100Cによって表示部32に表示される画像の一例を示す図である。
この場合の表示部32は、例えば、ナビゲーション装置と共用される表示部、或いはメータ内の表示部である。表示制御部114は、表示部32に、前走車両の後端部を基点として、算出された推奨車間距離分離れた位置にガイド線を表示させる。表示部に表示した画像上のガイド線は、前走車両の移動に伴い、移動する。図中、PVは前走車両、RDは推奨車間距離(実空間の距離を画像平面に射影したもの)、GLはガイドラインである。IM1は、前走車両がバイクの場合の画像である。この場合、バイクは巻き上げ距離が小さく導出されるため(
図2)、推奨車間距離R1が短く算出され、ガイド線GL1は前走車両に近い位置で表示される。IM2は、前走車両が普通自動車の場合の画像である。推奨車間距離R2が十分に保たれているため、ガイド線GL2が、前走車両から離れた位置に表示される。IM3は、前走車両がトラックの場合の画像である。推奨車間距離R3が長いため、ガイド線GL3は自車両Mにかかる位置で表示される。
図10は、第4実施形態に係る車両用制御装置100Cの表示部32がHUD(Head Up Display)である場合の画像の一例を示す図である。この図では、前走車両PVが普通自動車の場合の一例のみ示している。
図10の例では、実空間上の道路面における前走車両PVからの実際の距離が推奨車間距離R2である地点に重畳して運転者に視認されるように、ガイドラインGLが表示される。また、一実施例として、前走車両PVの後端部からガイド線GLまでの間を着色させても良い。更にIM1、IM2のようにガイド線GLが自車両Mの前方にある場合と、IM3のようにガイド線GLが自車両Mにかかる場合とで表示する色を変更しても良い。例えば、
図10の例では、A1、A2の領域は第1の色で、A3は第2の色で着色されて表示される。
【0060】
[フローチャート]
図11は、第4実施形態の車両用制御装置100Cにより実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11において、ステップS100~ステップS108は、第1実施形態で説明した
図3のフローチャートと同じ処理のため、説明を省略する。
【0061】
ステップS100~ステップS108の処理の後、表示制御部114は、表示部32に推奨車間距離を表示する(ステップS118)。推奨車間距離を表示した後、ステップS100に処理が戻され、本フローチャートの処理が繰り返される。
【0062】
[まとめ]
上述した、第4実施形態によれば、推奨車間距離を表示部に表示して、自車両Mの運転者にどのぐらい車間距離をとるべきなのか視覚的に理解させることができる。そのため、巻き上げの影響を受けないように運転ができるようになり、この結果、運転支援に使用されるカメラやセンサの汚れ付着を抑制するように運転者を支援することができる。
【0063】
更に、表示部に表示される画像にガイド線を表示させることで、自車両Mの運転者に巻き上げのある領域を把握させることができる。巻き上げのある領域を把握することで、自車両Mの運転者は、より正確な推奨車間距離を認識することができる。
【0064】
<第5実施形態>
[全体構成]
以下、第5実施形態について記載する。第5実施形態は、第1実施形態にさらに駆動制御部、状況把握部、車線変更判断部、操舵制御部、車間距離設定部を加え、算出した巻き上げ距離に応じた車両制御を行う。
【0065】
図12は、第5実施形態に係る車両用制御装置100Dの機能構成図である。第5実施形態における車両用制御装置100Cは、路面状況検出部102と、前走車両検出部104と、巻き上げ距離導出部106と、推奨車間距離算出部108と、駆動制御部120と、状況把握部122と、車線変更判断部124と、操舵制御部126と、車間距離設定部128とを備える。
【0066】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、車両用制御装置100Dから入力される情報、或いは運転操作子(非図示)から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0067】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ECUとを備える。ECUは、車両用制御装置100Dから入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、車両用制御装置100Dから入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0068】
操舵装置204は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、車両用制御装置100Dから入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0069】
駆動制御部120は、自車両Mが隣接車線に車線変更しようとするときに駆動装置(走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、操舵装置204のうち一部又は全部)を制御する。また、駆動制御部120は、目標車間距離が設定されている場合前走車両PVとの車間距離が目標車間距離に維持されるように自車両Mの加減速度を制御する。また、駆動制御部120は、推奨車間距離を目標車間距離に自動的に設定し、前走車両PVとの車間距離が目標車間距離に維持されるように自車両Mの加減速度を制御してもよい。自動車線変更および車間距離制御自体の内容については公知であるため詳細な説明を省略する。
【0070】
状況把握部122は、自車両Mの周辺の状況を、例えば、外界センサ10、または車両センサ40を介して把握することができる。本実施形態における地図データは、道路ごとの車線数の情報等を含む。
【0071】
車線変更判断部124は、状況把握部122により認識された周辺状況に基づいて、現時点または将来において、運転制御によって自車両Mを車線変更させるか否かを判定する。例えば、車線変更判断部124は、車両Mの走行車線と、走行車線を含む同一方向に進行可能な道路の車線数とに基づいて、車両Mを車線変更させるか否かを判定する。車線数は、例えば、外界センサ10に含まれるカメラの撮像画像と地図データ74をマッチングすることで認識される。地図情報(例えば、測位装置72)から認識されてもよい。後述する車間距離設定部128に設定された車間距離が、推奨車間より短い場合、または長い場合、且つ隣接車線に車線変更が可能と判断された場合に、後述する操舵制御部126に車線変更が可能と伝えることができる。
【0072】
操舵制御部126は、自車両Mの操舵を制御可能である。操舵制御部は、車線変更が可能と判断された場合、車線変更をするための目標軌道を生成する。スプライン曲線に沿って自然に隣接車線S2の中央部に自車両Mが移動するための目標軌道を生成する。そして、目標軌道に沿って車線変更するように操舵装置204を制御する。
【0073】
車間距離設定部128は、自車両Mと前走車両との距離を、例えば、外界センサ10、または車両センサ40を介して把握し、車線変更判断部124に伝えることができる。
【0074】
[フローチャート]
図13は、第5実施形態の車両用制御装置100Dにより実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13において、ステップS100~ステップS116、第1実施形態で説明した
図3のフローチャートと同じ処理のため、説明を省略する。
【0075】
車間距離設定部128は、目標車間距離を設定する(ステップS140)。
【0076】
駆動制御部120は、設定された目標車間距離を保つように車両距離制御を行う(ステップS142)。
【0077】
係るフローチャートの処理によると、前走車両PVとの車間距離が目標車間距離に維持されるように駆動制御部120が制御を行うことで、巻き上げの影響を受ける車間距離での運転時間を短くすることができる。
【0078】
図14は、第5実施形態の車両用制御装置100Dにより実行される処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。
図14において、ステップS100~ステップS116は、第1実施形態で説明した
図3のフローチャートと同じ処理のため、説明を省略する。
【0079】
ステップS100~ステップS116の処理が終了した後、状況把握部122が自車両Mの周辺状況を把握する(ステップS120)。
【0080】
車線変更判断部124は、車間距離設定部128から伝えられた自車両Mと前走車両との距離を目標車間距離として、推奨車間距離より短いか比較を行う(ステップS122)。
【0081】
車線変更判断部124は、ステップS122で目標車間距離が推奨車間距離より短いと判断された場合、隣接車線への車線変更が可能か判断する(ステップS124)。また、目標車間距離が推奨車間距離より大きい場合は車線変更を行わない。
【0082】
車線変更判断部124が隣接車線へ車線変更が可能と判断した場合、操舵制御部126は操舵装置204へ車線変更を行わせる(ステップS126)。
図15は、目標車間距離が、推奨車間距離より短い場合の車線変更の一例である。以降の図において、TDは目標車間距離であり、S1は自車両Mがいる車線(自車線)、S2は車線変更先となる隣接車線である。この場合、推奨車間距離RDが目標車間距離TDより短いので、車間距離を詰めようとして巻き上げの影響を受けてしまうため、車線変更判断部124は、車線変更を行うと判断する。
図15は、目標車間距離TDが、推奨車間距離RDより長い場合の車線変更の一例である。この場合、車間距離が推奨車間距離RDよりも長く維持されるため、車線変更は行わない。
図16は車線変更判断部124が、車線変更が不可能であると判断した場合の一例である。図中、RAは、その領域内に他車両がいる場合には車線変更が不可能と判断される禁止領域である。
図17の例では禁止領域RA内に前走車両PV2がいるため、車線変更が不可能と判断されている。
【0083】
車線変更判断部124が、車線変更が不可能であると判断した場合は、ステップS100に処理が戻され、本フローチャートの処理が繰り返される。
【0084】
[まとめ]
上述した第5実施形態によれば、算出された推奨車間距離に基づいて、車間距離の自動制御を行うことで、前走車両からの巻き上げの影響を抑制できる。その結果、運転支援に使用されるカメラやセンサの汚れ付着を抑制する運転を支援することができる。
【0085】
更に、推奨車間距離と目標車間距離に差異がある場合、車線変更を行うことで、巻き上げの影響を受ける車間距離での運転時間を短くすることができる。
【0086】
更に、車間距離が推奨車間距離よりも大きすぎる場合、車間距離を詰めようとする可能性があるため、車線変更を行うことで、巻き上げによる影響を受ける車間距離での運転時間を短くすることができる。
【0087】
上記説明した各実施形態は互いに排他的な関係に無いため、適宜、組み合わせて構成することができる。
【0088】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
自車両の周辺状況を認識し、
認識した前記周辺状況に基づいて、推奨車間距離を導出し、
前記車両の周辺状況を表示部に出力させ、
前記車両の少なくとも操舵を制御する操舵制御部と、
前記操舵制御部による前記車両を車線変更させる指示が受け付けられ、且つ車線変更の実行条件を満たす場合に前記車両の車線変更を実行する、
ように構成されている、運転支援装置。
【0089】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0090】
10 外界センサ
32 表示部
40 車両センサ
70 ナビゲーション装置
72 測位装置
74 地図データ
82 GPS取得部
100 車両用制御装置
102 路面状況検出部
104 前走車両検出部
106 巻き上げ距離導出部
108 推奨車間距離算出部
110 気象状況取得部
112 補正値算出部
114 表示制御部
116 記憶部
118 距離テーブル
120 駆動制御部
122 状況把握部
124 車線変更判断部
126 操舵制御部
128 車間距離設定部