IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-冷却装置 図1
  • 特開-冷却装置 図2
  • 特開-冷却装置 図3
  • 特開-冷却装置 図4
  • 特開-冷却装置 図5
  • 特開-冷却装置 図6
  • 特開-冷却装置 図7
  • 特開-冷却装置 図8
  • 特開-冷却装置 図9
  • 特開-冷却装置 図10
  • 特開-冷却装置 図11
  • 特開-冷却装置 図12
  • 特開-冷却装置 図13
  • 特開-冷却装置 図14
  • 特開-冷却装置 図15
  • 特開-冷却装置 図16
  • 特開-冷却装置 図17
  • 特開-冷却装置 図18
  • 特開-冷却装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113442
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20240815BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018423
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】大谷 雄一
(72)【発明者】
【氏名】岡安 晋平
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322DA01
5E322EA11
5E322FA09
5F136BA03
5F136BA06
5F136BA14
5F136BA15
5F136BA24
5F136CB06
5F136CB11
5F136DA25
5F136FA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】冷却効率を向上させることができる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置10は、発熱体に載置される底板12、底板に対向する天板13及び底板と天板とを外周側で接続する側板14を有し、中空状とされたケーシング11と、ケーシング内で底板上に設けられ、ケーシングの側板との間に外周通路15を区画形成するとともに、複数の板フィン22を有し冷媒が内部を流通可能な熱交換体20と、外周通路に外部から冷媒を供給する供給部30と、天板における平面視で熱交換体に重なる領域に接続されて、ケーシング内から冷媒を外部に排出する排出部40と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体に載置される底板、前記底板に対向する天板、及び、前記底板と前記天板とを外周側で接続する側板を有し、中空状とされたケーシングと、
前記ケーシング内で前記底板上に設けられ、前記ケーシングの前記側板との間に外周通路を区画形成するとともに、冷媒が内部を流通可能とされた熱交換体と、
前記外周通路に外部から冷媒を供給する供給部と、
前記天板における平面視で前記熱交換体に重なる領域に接続されて、前記ケーシング内から冷媒を外部に排出する排出部と、
を備える冷却装置。
【請求項2】
前記熱交換体は、上下方向に交差する第1方向に並ぶ複数の板フィンを有し、
各前記板フィンは、上下方向及び前記第1方向に交差する第2方向に延びている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記熱交換体は、平面視で前記排出部と重なる位置に設けられ、上下方向に延びるピンフィンをさらに有し、
前記ピンフィンは、前記複数の板フィンによって前記第2方向に挟み込まれ、上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されている請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記熱交換体は、上下方向に交差するように延在し、上下方向に並ぶ複数の格子フィンを有し、
隣り合う前記格子フィン同士は、上下方向に交差する方向にずらして配置されている請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
発熱体に載置される底板、前記底板に対向する天板、及び、前記底板と前記天板とを外周側で接続する側板を有し、中空状とされたケーシングと、
前記ケーシング内で前記底板上に設けられ、冷媒が内部を流通可能とされた熱交換体と、
前記ケーシング内に外部から冷媒を供給する供給部と、
前記天板における平面視で前記熱交換体に重なる領域に接続されて、前記ケーシング内から冷媒を外部に排出する排出部と、
を備え、
前記熱交換体は、上下方向に交差するように延在し、上下方向に並ぶ複数の格子フィンを有し、
隣り合う前記格子フィン同士は、上下方向に交差する方向にずらして配置されている冷却装置。
【請求項6】
前記熱交換体は、前記複数の格子フィンを支持する、上下方向に延びるピンフィンをさらに有する請求項4又は5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記ピンフィンは、上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されている請求項6に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記熱交換体は、冷媒が通過可能な多孔質部を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記熱交換体は、平面視で前記排出部と重なる位置に設けられ、上下方向に延びるピンフィンをさらに有し、
前記ピンフィンは、前記多孔質部によって上下方向に交差する方向に挟み込まれ、上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されている請求項8に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記熱交換体は、上下方向に延び、前記外周通路に沿って設けられた複数のピンフィンを有する請求項1に記載の冷却装置。
【請求項11】
上下方向に交差する方向で前記排出部側に向かうにしたがって、前記ピンフィン同士のピッチが大きくなっている請求項10に記載の冷却装置。
【請求項12】
上下方向に交差する方向で前記排出部側に向かうにしたがって、高さの低い前記ピンフィンが配置されている請求項10又は11に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体の3次元実装が進められており、CPUやGPUの発熱量が増加傾向にある。このため、空冷ではCPUやGPU等の発熱体を十分に冷却することができず、例えば特許文献1に開示されるコールドプレート等で発熱体を局所的に冷却する対応がとられるようになっていた。特許文献1のコールドプレートは、冷媒流路が形成されたプレート本体を有する。
また、サーバにはCPUやGPU等の発熱体が複数設置されており、発熱体毎に設けられたコールドプレートに冷媒を供給する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4410065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のコールドプレートに冷媒を供給しようとすると、各コールドプレートに冷媒を十分に供給することができず、コールドプレート内で冷媒の供給量に偏りが生じてしまう。特に、冷媒を沸騰状態にして高発熱の発熱体を冷却する際には、コールドプレート内での冷媒の供給量の偏りが大きくなり、発熱体を十分に冷却することができない場合があった。
このような事情から、コールドプレート内での冷媒の供給量を安定化しつつ、高発熱の発熱体を冷却することのできる、冷却効率の高い装置の開発が望まれていた。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、冷却効率を向上させることができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る冷却装置は、発熱体に載置される底板、前記底板に対向する天板、及び、前記底板と前記天板とを外周側で接続する側板を有し、中空状とされたケーシングと、前記ケーシング内で前記底板上に設けられ、前記ケーシングの前記側板との間に外周通路を区画形成するとともに、冷媒が内部を流通可能とされた熱交換体と、前記外周通路に外部から冷媒を供給する供給部と、前記天板における平面視で前記熱交換体に重なる領域に接続されて、前記ケーシング内から冷媒を外部に排出する排出部と、を備える。
【0007】
本開示に係る冷却装置は、発熱体に載置される底板、前記底板に対向する天板、及び、前記底板と前記天板とを外周側で接続する側板を有し、中空状とされたケーシングと、前記ケーシング内で前記底板上に設けられ、冷媒が内部を流通可能とされた熱交換体と、前記ケーシング内に外部から冷媒を供給する供給部と、前記天板における平面視で前記熱交換体に重なる領域に接続されて、前記ケーシング内から冷媒を外部に排出する排出部と、
を備え、前記熱交換体は、上下方向に交差するように延在し、上下方向に並ぶ複数の格子フィンを有し、隣り合う前記格子フィン同士は、上下方向に交差する方向にずらして配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の冷却装置によれば、冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態に係る冷却装置を備えた冷却システムの構成図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る冷却装置の斜視図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る冷却装置の平面図である。
図4】本開示の第1実施形態の第1変形例に係る冷却装置の板フィン付近の構成を示す拡大側面図である。
図5】本開示の第1実施形態の第2変形例に係る冷却装置の平面図である。
図6】本開示の第1実施形態の第3変形例に係る冷却装置の平面図である。
図7】本開示の第1実施形態の第4変形例に係る冷却装置の斜視図である。
図8】本開示の第1実施形態の第4変形例に係るピンフィンの斜視図である。
図9】本開示の第2実施形態に係る冷却装置を側方から見た図である。
図10】本開示の第2実施形態に係る熱交換体を示す拡大平面図である。
図11】本開示の第2実施形態の第1変形例に係る冷却装置を側方から見た図である。
図12】本開示の第2実施形態の第2変形例に係る熱交換体の拡大斜視図である。
図13】本開示の第3実施形態に係る冷却装置の平面図である。
図14】本開示の第3実施形態の変形例に係る冷却装置の平面図である。
図15】本開示の第4実施形態に係る冷却装置の平面図である。
図16】本開示の第4実施形態に係る複数のピンフィンの配置を示す拡大平面図である。
図17】本開示の第4実施形態に係る複数のピンフィンを示す拡大正面図である。
図18】本開示の第4実施形態の第1変形例に係る複数のピンフィンの配置を示す拡大平面図である。
図19】本開示の第4実施形態の第2変形例に係る複数のピンフィンを示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態に係る冷却装置10について、図1から図3を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の冷却装置10は、サーバ4を冷却する冷却システム1に搭載されている。図1は、冷却システム1の全体構成を示す模式図である。図示の例では、サーバ4は、上下方向Dvに延びるラック2内に収容されている。ラック2には、複数のサーバシャーシ3が差し込まれている。サーバシャーシ3は、箱型の筐体である。これら複数のサーバシャーシ3は、上下方向Dvに複数並んでいる。さらに、サーバシャーシ3には、複数のサーバ4が差し込まれている。これら複数のサーバ4は、水平方向に横向き差し込まれている。
【0011】
サーバ4は、サーバケーシング4aやサーバボード4b、CPUやGPU等のチップ(発熱体)4cを有する。サーバケーシング4aは、水平方向に延在する直方体状の筐体である。サーバケーシング4aの内部には、サーバボード4bが収容されている。サーバボード4bには、チップ4cが搭載されている。チップ4cは稼働時に発熱するため、チップ4cを冷却する冷却システム1が導入されている。
【0012】
(冷却システムの構成)
冷却システム1は、冷却装置10と、熱交換器5と、ポンプ6と、制御ユニット7とを有する。冷却装置10は、チップ4c毎に搭載されている。冷却装置10には、冷媒Fが供給される。この冷媒Fは、例えばHFC(Hydro Fluoro Carbon)やHFO(Hydro Fluoro Olefin)系の冷媒や、水等である。冷却装置10は、冷媒Fとチップ4cとで熱交換を行わせることによりチップ4cを冷却するコールドプレートである。本実施形態の冷却装置10は、冷媒Fの沸騰冷却により、高発熱のチップ4cを冷却する。冷却装置10は、冷媒管8によって熱交換器5とポンプ6に接続されている。冷却装置10でチップ4cと熱交換を行い加熱された冷媒Fは、冷媒管8を通って熱交換器5に送られる。熱交換器5は、いわゆる凝縮器である。熱交換器5は、冷媒Fを冷却し、気相冷媒Fを液相冷媒Fに凝縮する。熱交換器5で冷却された冷媒Fは、冷媒管8を通ってポンプ6に送られる。ポンプ6は、冷媒Fを再び冷却装置10に向けて圧送する。冷却装置10に圧送された冷媒Fは、再び各チップ4cと熱交換を行い、各チップ4cを冷却する。
冷却装置10、熱交換器5、及びポンプ6等の冷却システム1を構成する各種機器は、制御ユニット7によって制御されている。
【0013】
なお、図1では、サーバ4毎にチップ4cと冷却装置10が3個設けられている例が図示されているが、チップ4cと冷却装置10の個数は適宜変更可能である。例えば、サーバ4毎にチップ4cと冷却装置10が8個程設けられていてもよい。
【0014】
(冷却装置の構成)
以下、冷却装置10の構成について説明する。
図2図3に示すように、冷却装置10は、ケーシング11と、熱交換体20と、供給管(供給部)30と、排出管(排出部)40とを備える。
【0015】
以下では、上下方向Dvと交差する方向のうち、所定の一方向を第1方向D1と称し、上下方向Dv及び第1方向D1と交差する方向を第2方向D2と称する。本実施形態では、第1方向D1と第2方向D2とはともに水平方向である。さらに、第1方向D1と第2方向D2とは互いに直交している。
【0016】
(ケーシング)
ケーシング11は、金属等の熱伝導性の優れた材料により、中空状に形成されている。ケーシング11の外形は、水平方向に押し潰されたような、直方体状に形成されている。上下方向Dv平面視で、ケーシング11の4つの角部11aは、面取りされたような、外側に向けて張り出す湾曲形状に形成されている。上下方向Dv平面視で、ケーシング11の外周縁が発熱体の外周縁と略一致する程度の大きさに、ケーシング11は形成されている。
【0017】
上述したケーシング11は、任意の寸法に設計可能である。
例えば、本実施形態では、ケーシング11は上下方向Dv平面視で正方形状に形成されている。ケーシング11の上下方向Dvの高さH1は例えば10mm程度であり、ケーシング11の第1方向D1の幅W1、及び第2方向D2の幅L1は、例えば55mm程度である。
なお、ケーシング11は、第1方向D1と比較して第2方向D2に短く形成された長方形状に形成されていてもよい。この場合、例えば、ケーシング11の第2方向D2の幅L1は例えば30mm程度であってもよい。
【0018】
ケーシング11は、底板12と、天板13と、側板14とを有する。
底板12は、チップ4cに載置されている。底板12は、水平方向に延在している。
天板13は、底板12の上方に配置され、底板12と上下方向Dvに対向している。天板13は、水平方向に延在している。
【0019】
側板14は、底板12と天板13とを外周側で接続している。側板14は、底板12と天板13との間に4枚配置されている。4枚の側板14は、第1方向D1に対向する2枚の第1側板14aと、第2方向D2に対向する2枚の第2側板14bとを含む。第1側板14aは、第2方向D2に延在し、第2側板14bは、第1方向D1に延在している。また、各側板14は、天板13及び底板12に対して直交するように配置されている。
【0020】
(熱交換体)
熱交換体20は、ケーシング11内で底板12上に設けられている。より詳細には、熱交換体20は、上下方向Dv平面視で、ケーシング11の重心を含む領域(以下では、この領域を、中央部Acと称する場合がある。)と重なる位置に配置されている。本実施形態では、上下方向Dv平面視で、熱交換体20の重心がケーシング11の重心と重なる位置に配置されている。以下では、熱交換体20が形成されるケーシング11内の領域を熱交換領域A1と称する。熱交換領域A1は、上下方向Dv平面視で、ケーシング11の中央部Acを含んでいる。熱交換体20は、ケーシング11の側板14との間に外周通路15を区画形成している。外周通路15は、上下方向Dvからみて矩形枠状に形成されている。また、熱交換体20の内部は、冷媒Fが流通可能となっている。熱交換体20の構成の詳細については後述する。
【0021】
(供給管)
供給管30は、ケーシング11外から、ケーシング11を構成する複数の側板14のうち1枚の第1側板14aに接続されている。供給管30は、側板14に接続されてケーシング11内と連通する供給開口31を有した円管である。供給開口31は、上下方向Dvに交差する水平方向に開口している。本実施形態では、供給開口31は、第1側板14aの中央に設けられている。
供給管30は、冷媒管8を介してポンプ6と接続されており、ケーシング11外から外周通路15に冷媒Fを供給する。
【0022】
(排出管)
排出管40は、ケーシング11外から、ケーシング11を構成する天板13に接続されている。より詳細には、排出管40は、天板13における上下方向Dv平面視で熱交換体20に重なる領域に接続されている。排出管40は、天板13に接続されてケーシング11内と連通する排出開口41を有した円管である。排出開口41は、上下方向Dvに開口している。排出開口41の中心は、上下方向Dv平面視で、ケーシング11の中央部Acと重なる位置に配置されている。本実施形態では、排出開口41の中心は、中央部Acの中でもケーシング11の重心と上下方向Dvに重なる位置に設けられている。このため、排出開口41は、熱交換体20と上下方向Dvに重なっている。
排出管40は、冷媒管8を介して熱交換器5と接続されており、ケーシング11内から冷媒Fを外部に排出する。
【0023】
(熱交換体の構成)
本実形態の熱交換体20は、仕切り部21と、板フィン22とを有する。
【0024】
(仕切り部)
本実施形態の仕切り部21は、金属等の熱伝導性の優れた材料により、上下方向Dv平面視で排出管40を囲うように矩形枠状に形成されている。より詳細には、上下方向Dv平面視で、仕切り部21の4つの角部21cは、面取りされたような、外側に向けて張り出す湾曲形状に形成されている。すなわち、仕切り部21の角部21cは、ケーシング11の角部11aと同様の形状に成形されている。
【0025】
仕切り部21は、第1隔壁21aと、第2隔壁21bとを有する。第1隔壁21aは、第2方向D2に延びる板状に形成され、第1方向D1に離間して一対設けられている。第2隔壁21bは、第1方向D1に延びる板状に形成され、第2方向D2に離間して一対設けられている。一対の第2隔壁21bは、それぞれ、第1隔壁21aの第2方向D2の端部を接続している。第2隔壁21bには、第2隔壁21bを第2方向D2に貫通する流入口23が形成されている。流入口23は、第1方向D1に延びている。流入口23の下縁は、底板12に接触している。一方、流入口23の上縁は、天板13よりも下方に位置している。
【0026】
仕切り部21は、供給管30側の第1隔壁21aによって、供給管30から供給された冷媒Fの第1方向D1の流れを遮り、冷媒Fの流れを第2方向D2両側に分岐させる。
本実施形態の仕切り部21は、底板12と天板13とを接続している。
【0027】
(板フィン)
板フィン22は、仕切り部21の内側に、第1方向D1に並んで複数設けられている。各板フィン22は、第2方向D2に延びる矩形板状の部材である。板フィン22は、金属等の熱伝導性の優れた材料により形成されている。本実施形態では、板フィン22は、銅により形成されている。このため、板フィン22の表面温度は、均一となる。板フィン22は、底板12から上方に延びている。板フィン22の上縁は、天板13から離間し、板フィン22と天板13との間には所定のクリアランスC1が設けられている。なお、板フィン22は、仕切り部21と同程度の高さに形成されていてもよい。また、各板フィン22は、底板12と直交する姿勢で配置されている。
【0028】
複数の板フィン22は、第2方向D2に対向するように配置されている。第2方向D2に対向した一対の板フィン22の組は、それぞれ第2隔壁21b沿っており、各板フィン22は、第2隔壁21bから第2方向D2に延びている。また、第2方向D2側面視では、複数の板フィン22の全体が、仕切り部21の流入口23の内側に位置している。
【0029】
これら複数の板フィン22によって、板フィン22同士の間には、冷媒Fの流路抵抗となる程度に狭小(狭隘)な隙間S1が形成されている。この板フィン22同士の隙間S1は、仕切り部21の流入口23と連通している。
板フィン22同士のピッチP1は、例えば0.5mm以上1.0mm以下である。また、板フィン22の厚さT1は、例えば0.5mm程度であり、板フィン22の高さH2は、例えば5.0mmである。
【0030】
(作用効果)
続いて、上述した冷却装置10の作用効果について説明する。
まず、冷却装置10内での冷媒Fの流れを説明する。
供給管30からケーシング11内に供給された冷媒Fは、外周通路15に流入する。このため、冷媒Fは外周通路15によって第2方向D2両側に分岐し、熱交換体20を回り込むように流れる。その後、熱交換体20に冷媒Fが供給される。本実施形態では、冷媒Fが第2方向D2両側から供給される。冷媒Fは、板フィン22同士の間を通り、平面視で外周側から中央部Ac側に向けて流れる。この際、板フィン22は全て冷媒Fに液没する。冷媒Fは、板フィン22及び底板12を介してチップ4cと熱交換を行う。これにより、チップ4cは冷却される。一方で冷媒Fは、チップ4cの熱を受けて加熱される。冷媒Fは、チップ4cの熱よって沸騰して蒸発し、液相冷媒Fから気相冷媒Fに変化する。加熱された冷媒Fは、熱交換体20から排出管40を介して直接ケーシング11外に排出される。
【0031】
本実施形態では、冷却装置10は、ケーシング11と、熱交換体20と、供給管30と、排出管40とを備える。ケーシング11は、底板12、天板13、及び、側板14を有する。ケーシング11は、中空状とされている。熱交換体20は、ケーシング11内で底板12上に設けられている。熱交換体20は、ケーシング11の側板14との間に外周通路15を区画形成するとともに、冷媒Fが内部を流通可能とされている。供給管30は、外周通路15に外部から冷媒Fを供給する。排出管40は、天板13における平面視で熱交換体20に重なる領域に接続されて、ケーシング11内から冷媒Fを外部に排出する。
【0032】
本実施形態によれば、供給管30からケーシング11内に供給された冷媒Fは、外周通路15を通って熱交換体20の内部に供給される。冷媒Fが外周通路15を通過する過程で冷媒Fに圧力損失が生じるため、冷媒Fの流速が過度に上昇することが抑制される。このため、冷媒Fがケーシング11内に均等に供給される。よって、ケーシング11内の全体に冷媒Fを安定して供給することができる。さらに、熱交換体20の内部に流入した冷媒Fは、熱交換体20で熱交換が行われて加熱された後、熱交換体20から排出管40へ直接排出される。よって、熱交換後の冷媒Fがケーシング11からスムーズに排出される。これにより、ケーシング11内に熱交換後の冷媒Fが滞留することが抑制されるので、冷却効率を向上させることができる。
また、圧力損失の高い状態にしているので、従来のように、ケーシング11毎(発熱体毎)にバルブを設置する等して冷媒Fの流量を微調整する煩雑な制御システムを必要とすることなく、冷媒Fをケーシング11内に均等に供給することができる。
【0033】
本実施形態では、熱交換体20は、第1方向D1に並ぶ複数の板フィン22を有し、各板フィン22は、第2方向D2に延びている。
【0034】
これにより、供給管30からケーシング11内に供給された冷媒Fは、外周通路15を通って複数の板フィン22間に供給される。その後、冷媒Fは板フィン22同士の間を流れる。冷媒Fが板フィン22同士の間を通過する過程で冷媒Fに圧力損失が生じるため、冷媒Fの流速が過度に上昇することがより一層抑制される。このため、冷媒Fがケーシング11内により一層均等に供給される。さらに、板フィン22によって、熱交換を行う熱交換体20の表面積(以下、伝熱面積と称する。)が増大するので、冷却効率をより一層向上させることができる。
【0035】
また、板フィン22の厚さT1や、複数の板フィン22のピッチP1を変更するという簡単な方法で、流路抵抗を調整し、圧力損失を適切な大きさに調整することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、複数の板フィン22を囲うように、仕切り部21が上下方向Dv平面視で矩形状に形成されているとしたが、これに限られない。仕切り部21は、第2方向D2に延びる一対の第1隔壁21aのみから構成されていてもよい。また、第1隔壁21aの代わりに、第1隔壁21aと同じ第2方向D2長さの板フィン22を設けてもよい。
【0037】
本実施形態では、第2隔壁21bには、第1方向D1に延びる流入口23が形成されているとしたが、これに限られない。第2隔壁21bには、流入口23に代えて、上下方向Dvに延びるスリットや、円形または多角形状の微細な貫通孔等が設けられていてもよい。
【0038】
本実施形態では、仕切り部21は、底板12と天板13とを上下方向Dvに接続するように形成されているとしたが、これに限られない。仕切り部21は、底板12から上方に向けて延び、天板13からは下方に離間するように形成されていてもよい。この場合、冷媒Fが熱交換体20と接触せずに排出管40から排出されないよう、ケーシング11内で全ての冷媒Fが蒸発される程度に、供給管30から供給される冷媒Fの流量を調整する必要がある。この場合、仕切り部21が小さくなるため、冷却装置10を軽量化し、製造コストを削減することができる。
【0039】
<第1実施形態の第1変形例>
続いて、図4を参照して、第1実施形態の第1変形例について説明する。
図4に示すように、本変形例では、熱交換体20は、板フィン22同士の間に、ビーズ状(球状)に形成された複数の粒子24を有する。粒子24は、例えば金属や樹脂、ポリマー等により形成されている。粒子24の径は、例えば数μmから1mm程度である。
【0040】
この場合、板フィン22の間に冷媒Fを流通可能としつつ、粒子24が板フィン22の外に流出しないようにする必要がある。本実施形態では、例えば板フィン22の第2方向D2外側の端部に設けられた第2隔壁21bに、流入口23に代えて、粒子24の径よりも狭小なスリット23Aが複数形成されている。スリット23Aは、例えば上下方向Dvに延びている。さらに、板フィン22の第2方向D2内側の端部にも同様のスリット23Aが複数形成された閉塞板(不図示)を設けている。
【0041】
このように、本変形例では、冷媒Fの流れや冷媒Fが沸騰することよって生じる浮力によって、板フィン22内の粒子24が運動し、冷媒Fが攪拌される。これにより、冷媒Fが均等に熱交換を行えるようになる。
【0042】
また、複数の粒子24の間には、冷媒Fが流通可能な細かい隙間が形成される。冷媒Fは、これら複数の粒子24間の隙間を通って分散されながら上昇する。さらに、複数の粒子24は、冷媒Fの流れや冷媒Fが沸騰した際に生じる揚力によって熱交換内で運動する。これにより、冷媒Fの沸騰によって生じる気泡が合一しにくくなる。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、高熱流束側(高温側)にシフトさせることができる。よって、複数の粒子24を配置するだけの簡単な構成で、核沸騰から膜沸騰への遷移を抑制することができる。
【0043】
また、これら複数の粒子24には、汚れや湿分、油分等の不純物を吸収する機能を付加してもよい。これにより、冷却装置10は、熱交換体20を流れる冷媒Fを清浄化することができる。よって、冷媒Fとチップ4cとの熱交換が促進される為、冷却効率をより一層向上させることができる。
複数の粒子24に不純物を吸収する機能を付与する方法として、粒子24を特定の吸着材により形成する方法や、粒子24の密度を増大させて粒子24間の隙間に不純物が捕捉されるようにする方法等が挙げられる。
【0044】
なお、本変形では、板フィン22同士の隙間に、複数の粒子24に代えて、冷媒Fが流通可能な多孔質部を配置してもよい。
【0045】
<第1実施形態の第2変形例>
続いて、図5を参照して、第1実施形態の第2変形例について説明する。
図5に示すように、各板フィン22は、熱交換体20の第2方向D2全域にわたって延びている。このため、板フィン22は、ケーシング11の中央部Acに設けられることなり、排出開口41と上下方向Dvに重なっている。また、本変形例では、仕切り部21は設けられていなくてもよい。
【0046】
このように、本変形例では、各板フィン22の長さが長くなるため、伝熱面積が増大させ、冷却効率を向上させることができる。
【0047】
<第1実施形態の第3変形例>
続いて、図6を参照して、第1実施形態の第3変形例について説明する。
図6に示すように、板フィン22は、平面視でジグザグ状に第2方向D2に延びるように、波型に形成されていてもよい。
【0048】
これにより、伝熱面積をさらに増大させ、冷却効率をより一層向上させることができる。
【0049】
<第1実施形態の第4変形例>
続いて、図7図8を参照して、第1実施形態の第4変形例について説明する。
図7に示すように、熱交換体20は、上下方向Dv平面視で排出管40の排出開口41と重なる位置に設けられ、上下方向Dvに延びるピンフィン50をさらに有する。ピンフィン50は、底板12に複数形成されている。ピンフィン50が形成される領域(以下、この領域をピンフィン領域A2と称する。)は、第1方向D1に延在している。ピンフィン領域A2は、第2方向D2に離間した複数の板フィン22の組の間に設けられている。すなわち、これら複数のピンフィン50は、第2方向D2に離間した複数の板フィン22の組によって第2方向D2に挟み込まれている。
【0050】
各ピンフィン50は、上下方向Dv平面視で、円形状に形成されている。さらに、図8に示すように、ピンフィン50は、底板12に接続される根本から上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されている。すなわち、ピンフィン50は、底板12側の根本から上下方向Dvに徐々に水平方向の径を絞った形状に形成されている。また、より詳細には、ピンフィン50は、円錐形状の部材であり、水平方向側面視では涙型に成形されている。ピンフィン50は、金属等の熱伝導性の優れた材料により形成されている。
【0051】
このように、本変形例では、熱交換体20は、上下方向Dv平面視で排出管40の排出開口41と重なる位置に設けられ、上下方向Dvに延びるピンフィン50をさらに有する。ピンフィン50は、複数の板フィン22によって第2方向D2に挟み込まれ、上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されている。
【0052】
これにより、冷媒Fは板フィン22同士の間を通過した後、さらにピンフィン50と熱交換を行う。また、ピンフィン50は上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されている。このため、伝熱面積を増大することができる。さらに、ピンフィン50が形成される領域では、上側ほど流路抵抗が低減される。このため、冷媒Fをスムーズに外部に排出することが可能となる。特に、冷媒Fがケーシング11内で沸騰して気化した際、気相冷媒Fをよりスムーズに外部に排出することができる。
このように、伝熱性能を向上させつつ、上部に配置した排出管40から冷媒Fをスムーズに排出することができるので、冷却性能をより一層向上させることができる。
【0053】
<第2実施形態>
以下、本開示の第2実施形態に係る冷却装置210について、図9図10を参照して説明する。第2実施形態の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については、同一の名称、符号等を付す等して、説明を適宜省略する。
図9図10に示すように、本実施形態では、熱交換体220は、仕切り部21と、格子フィン60と、ピンフィン250とを有する。
【0054】
(仕切り部)
仕切り部21には、全周にわたって複数の貫通孔26が形成されている。貫通孔26は、例えば円形に形成されている。なお、貫通孔26の形状は、適宜変更可能である。供給管30からケーシング11内に供給された冷媒Fは、複数の貫通孔26を通り、全周から熱交換体220に流入する。
【0055】
(格子フィン)
格子フィン60は、上下方向Dvに交差するように水平方向に延在している。また、格子フィン60の各格子63は、第1方向D1に延びる第1ポール61と、第2方向D2に延びる第2ポール62とが組み合わされて正方形状に形成されている。ここでは、格子63の内縁間の幅のうち、最短の幅を「格子径R1」と称する。本実施形態では、格子63は正方形状に形成されているため、格子63の一辺の長さが格子径R1となる。
【0056】
第1ポール61と第2ポール62とは、ともに円柱状に形成されている。なお、第1ポール61と第2ポール62の形状は、適宜変更可能である。例えば第1ポール61と第2ポール62とは、ともに四角柱状に形成されていてもよい。
【0057】
格子フィン60は、上下方向Dvに並んで、等間隔に複数設けられている。以下では、複数の格子フィン60のピッチを第1ピッチP2と称する。さらに、隣り合う格子フィン60同士は、上下方向Dvに交差する方向(本実施形態では水平方向)にずらして配置されている。
複数の格子フィン60は、第1格子フィン60aと、第2格子フィン60bとを含む。第1格子フィン60aと第2格子フィン60bとは、上下方向Dvに交互に配置されている。第1格子フィン60aと第2格子フィン60bとは互い違いに配置されている。このため、上下方向Dv平面視で、第1格子フィン60aの格子63の中心に、第2格子フィン60bの格子点64が配置されている。第1格子フィン60a同士は、同一の水平方向位置に配置され、第2格子フィン60b同士は、同一の水平方向位置に配置される。
【0058】
図示の例では、第1格子フィン60aが2段設けられ、第2格子フィン60bが1段設けられているが、これに限られない。第1格子フィン60aの段数と第2格子フィン60bの段数は、適宜変更可能である。
また、複数の格子フィン60のうち最も上方の格子フィン60と天板13との間には、所定のクリアランスC1が設けられている。
【0059】
(ピンフィン)
ピンフィン250は、上下方向Dvに延びて格子フィン60を支持する支柱である。ピンフィン250は、上下方向Dv平面視で、第1方向D1及び第2方向D2に並ぶ格子状に配列されている。ここでは、第1方向D1に延びるピンフィン250の列を第1ピン列251と称し、第2方向D2に延びるピンフィン250の列を第2ピン列252と称する。隣り合う第1ピン列251同士は、互い違いに配列されている。このため、隣り合う第1ピン列251の組を構成する複数のピンフィン250は、第1方向D1に延びるジグザグ状に配置されている。同様に、隣り合う第2ピン列252同士は、互い違いに配列されている。このため、隣り合う第2ピン列252の組を構成する複数のピンフィン250は、第2方向D2に延びるジグザグ状に配置されている。
【0060】
また、第2ピン列252を構成するピンフィン250同士のピッチは、第1ピン列251を構成するピンフィン250同士のピッチよりも狭くなっている。以下では、第2ピン列252を構成するピンフィン250同士のピッチを第2ピッチP3と称する。
なお、第1ピン列251を構成するピンフィン250同士のピッチが、第2ピン列252を構成するピンフィン250同士のピッチよりも狭くなっていてもよい。この場合、第1ピン列251を構成するピンフィン250同士のピッチが第2ピッチP3となる。
【0061】
各ピンフィン250は、格子フィン60と直交している。本実施形態では、ピンフィン250は、円柱状に形成されている。なお、ピンフィン250の形状は、適宜変更可能である。例えば、ピンフィン250は、四角柱状に形成されていてもよい。
【0062】
続いて、上述した格子フィン60、及びピンフィン250の寸法について説明する。
格子フィン60の格子径R1と第1ピッチP2、及びピンフィン250の第2ピッチP3は、ともに数十μm以上であることが好ましい。例えば、格子径R1は300μm、第1ピッチP2は150μm、第2ピッチP3は0,45mm以上0.6mm以下に設計されている。また、ピンフィン250の上下方向Dvの高さH3は、例えば3mmに設計されている。
格子フィン60、及びピンフィン250の各寸法は、適宜変更可能である。
【0063】
(作用効果)
続いて、上述した冷却装置210の作用効果について説明する。
【0064】
本実施形態では、熱交換体220は、水平方向に延在し、上下方向Dvに並んで複数の格子フィン60を有する。隣り合う格子フィン60同士は、水平方向にずらして配置されている。
【0065】
これにより、冷媒Fが熱交換によって沸騰した際に生じる気泡が上昇する過程で格子フィン60によって分断される。よって、気泡が合一することを防止し、臨界熱流束の発生を遅らせることができる。
また、格子フィン60によって伝熱面積を増大させることができるので、冷却効率を向上させることができる。
【0066】
本実施形態では、複数の格子フィン60を支持する、上下方向Dvに延びるピンフィン250をさらに有する。
【0067】
これにより、冷媒Fは格子フィン60及びピンフィン250と熱交換を行うことできるので、伝熱面積が増大される。よって、冷却効率をより一層向上させることができる。
【0068】
本実施形態では、複数の格子フィン60のうち最も上方の格子フィン60と天板13との間には、クリアランスC1が設けられている。
これにより、熱交換体220の上側の領域が広くなり、熱交換体220の上方への開口率が大きくなる。このため、冷媒Fが沸騰した生じた際に生じる気泡が熱交換体220から離脱しやすくなる。このため、ケーシング11内の気相冷媒Fを排出管40からスムーズに排出することができる。
【0069】
また、冷媒Fが熱交換体220で加熱されると、冷媒Fの一部が蒸発してケーシング11内が気液二相状態となる。このため、気液界面によって液相冷媒Fが格子フィン60よりも上方に移動することが抑制されるので、原則として液相冷媒Fは格子フィン60と接触して熱交換を行ってからケーシング11外に排出される。
【0070】
なお、本実施形態では、供給管30からケーシング11内に流入した冷媒Fは、熱交換体220に1箇箇所から流入するとしたが、これに限られない。例えば、ケーシング11内部に、供給管30の供給開口31と連通するサブヘッダ(不図示)を設ける等して、複数箇所から冷媒Fを分岐させ、熱交換体220に流入させてもよい。
【0071】
本実施形態では、格子フィン60及び、第1ピン列251と第2ピン列252の配置は、適宜変更可能である。例えば、格子フィン60及び、第1ピン列251と第2ピン列252は、上下方向Dv平面視で第1方向D1及び第2方向D2に対して傾いていてもよい。
【0072】
本実施形態では、格子フィン60がピンフィン250によって支持されている場合について説明したが、これに限られない。格子フィン60は、外周側に設けられた仕切り部21によって支持されていてもよい。この場合、ピンフィン250は設けられていなくてもよい。
【0073】
本実施形態では、仕切り部21は、必ずしも底板12と天板13とを接続するように設けられている必要はない。例えば、仕切り部21は、底板12から延び、仕切り部21の上端が天板13から下方に離間していてよい。また、格子フィン60を外周側から囲う仕切り部21が設けられていなくてもよい。
【0074】
本実施形態では、格子フィン60の格子63が正方形状に形成されているとしたが、これに限られない。格子フィン60の格子63は、例えば長方形状や多角形状、円形状に形成されていてもよい。
【0075】
<第2実施形態の第1変形例>
続いて、図11を参照して、第2実施形態の第1変形例について説明する。
図11に示すように、本変形例では、格子フィン60は、ケーシング11内の水平方向全域に敷設されている。このため、本変形例では、伝熱面積をより一層増大させることができる。したがって、冷却効率をより一層増大させることができる。
【0076】
なお、本変形例では、格子フィン60をケーシング11の側板14によって支持するようにしてもよい。この場合、格子フィン60を支持するピンフィン250が設けられていなくてもよい。
【0077】
<第2実施形態の第2変形例>
続いて、図12を参照して、第2実施形態の第2変形例について説明する。
図12に示すように、本変形例では、格子フィン60を支持するピンフィン250Aは、第1実施形態の第4変形例のピンフィン50と同様の形状に形成されている。すなわち、ピンフィン250Aは、上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されている。
【0078】
これにより、伝熱面積をより一層増大することができる。さらに、ピンフィン250Aが形成される領域では、上側ほど流路抵抗が低減される。このため、冷媒Fをスムーズに外部に排出することが可能となる。特に、冷媒Fがケーシング11内で沸騰して気化した際、気相冷媒Fをよりスムーズに外部に排出することができる。
よって、伝熱性能をより一層向上させつつ、上部に配置した排出管40から冷媒Fをスムーズに排出することができるので、冷却性能をより一層向上させることができる。
【0079】
<第3実施形態>
以下、本開示の第3実施形態に係る冷却装置310について、図13を参照して説明する。第3実施形態の構成のうち、上記実施形態と共通する構成については、同一の名称、符号等を付す等して、説明を適宜省略する。
図13に示すように、本実施形態では、冷却装置310は、冷媒Fが流通可能な多孔質部27をさらに備える。
【0080】
熱交換体320は、第1実施形態における複数の板フィン22に代えて、多孔質部27を有する。
【0081】
多孔質部27は、第2方向D2に離間して一対設けられている。各多孔質部27は、第1方向D1に延びている。多孔質部27には、冷媒Fが流通可能な多数の孔(不図示)が形成されている。この多孔質部27が流路抵抗となり、圧力損失を生じさせる。
【0082】
(作用効果)
続いて、上述した冷却装置310の作用効果について説明する。
本実施形態では、熱交換体320は、冷媒Fが通過可能な多孔質部27を有する。
【0083】
これにより、多孔質部27を設けるだけの簡単な構成で圧力損失を生じさせ、ケーシング11内に冷媒Fを均等に供給することができる。よって、ケーシング11内の全体に冷媒Fを安定して供給し、冷却効率を向上させることができる。冷媒Fが熱交換によって沸騰した際に生じる気泡が多孔質部27を通過することによって離散する。よって、気泡の合一を抑制し、臨界熱流束の発生を遅らせることができる。さらに、多孔質部27は、冷媒F中に含まれている汚れや湿分、油分を内部の孔によって捕捉し、吸収することができる。
【0084】
<第3実施形態の変形例>
続いて、図14を参照して、第3実施形態の変形例について説明する。
図14に示すように、本変形例では、熱交換体320は、上下方向Dv平面視で排出管の排出開口と重なる位置(ピンフィン領域A2)に、上下方向Dvに延びるピンフィン350を有する。ピンフィン350は、ピンフィン領域A2内に複数設けられている。これら複数のピンフィン350は、第2方向D2に離間した一対の多孔質部27によって第2方向D2に挟み込まれている。
さらに、ピンフィン350は、第1実施形態の第4変形例のピンフィン50と同様の形状に形成されている。すなわちピンフィン350は、上方に向かうにしたがって先細る形状に形成されている。
【0085】
これにより、冷媒Fは多孔質部27を通過した後、さらにピンフィン350と熱交換を行う。また、ピンフィン350は上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されている。このため、伝熱面積を増大することができる。さらに、ピンフィン350が形成される領域では、上側ほど流路抵抗が低減される。このため、冷媒Fをスムーズに外部に排出することが可能となる。よって、冷却効率をより一層向上させることができる。
【0086】
<第4実施形態>
以下、本開示の第4実施形態に係る冷却装置410について、図15から図17を参照して説明する。第4実施形態の構成のうち、上記実施形態と共通する構成については、同一の名称、符号等を付す等して、説明を適宜省略する。
図15に示すように、本実施形態では、熱交換体420は、外周通路15に沿って複数設けられたピンフィン450を有する。図15では、ピンフィン450の配置が模式的に図示されている。各ピンフィン450は、上下方向Dvに延びている。
本実施形態では、複数のピンフィン450が形成されたピンフィン領域A2は、上下方向Dv平面視で、ケーシング11の中心部を外周側から囲うように環状に設けられている。また、本実施形態では、複数のピンフィン450によってケーシング11内に外周通路15を形成しており、第1実施形態のような仕切り部21は設けられていない。なお、仕切り部21が設けられていてもよく、この場合、仕切り部21には、全周に亘って、第2実施形態の貫通孔26のような貫通孔が設けられている必要がある。
ここで、ピンフィン領域A2のうち、中央部Acに対して第2方向D2一方側に位置する領域(以下、この領域を代表領域A3とする。)を例に、図16図17を参照して、ピンフィン450の配置及び形状について、詳細に説明する。
【0087】
図16図17に示すように、ピンフィン450は、上下方向Dvに延びる円柱状に形成されている。ピンフィン450は、水平面一方向に等間隔に並んで設けられ、上下方向Dv平面視で、直線状に延びるピン列451を形成している。さらに、ピン列451は、水平方向のうちピン列451の延在方向に交差(直交)する方向に等間隔で複数設けられている。代表領域A3では、ピン列451は、第2方向に直線状に形成され、ピン列451は、第1方向D1に等間隔に配列されている。加えて、隣り合う2列のピン列451間において、ピンフィン450は、互い違いとなるようにジグザグ状に配列されている。
【0088】
ピンフィン450の寸法及び、ピンフィン450同士のピッチP4は、適宜変更可能である。
例えば、ピンフィン450の径が300μm、ピンフィン450の高さH4が3mmの場合、ピン列451を構成するピンフィン450同士のピッチP4は、0.45mm以上0.60mm以下に設定される。
例えば、ピンフィン450の径が500μm、ピンフィン450の高さH4が5mmの場合、ピン列451を構成するピンフィン450同士のピッチP4は、1mm以上0.75mm以下に設定される。
例えば、ピンフィン450の径が1000μm、ピンフィン450の高さH4が10mmの場合、ピン列451を構成するピンフィン450同士のピッチP4は、1.5mm以上2mm以下に設定される。
【0089】
(作用効果)
続いて、上述した冷却装置410の作用効果について説明する。
本実施形態では、熱交換体420は、上下方向Dvに延び、外周通路15に沿って設けられた複数のピンフィン450を有する。
【0090】
これにより、冷媒Fはピンフィン450同士の間を通って熱交換体420の内部に供給される。冷媒Fがピンフィン450同士の間を通過する過程で冷媒Fに圧力損失が生じるため、冷媒Fの流速が過度に上昇することがより一層抑制される。このため、冷媒Fが熱交換体420により一層均等に供給される。よって、ピンフィン450を設けるという比較的簡素な構成で、冷媒Fをケーシング11内に均等に供給することができる。
【0091】
さらに、これら複数のピンフィン450は、例えばAM(Additive Manufacturing)造形で製造することにより、製造効率を向上させることができる。
【0092】
(第4実施形態の第1変形例)
続いて、図18を参照して、第4実施形態の第1変形例について説明する。
図18に示すように、本変形例では、水平方向で排出管40の排出開口41側に向かうにしたがって、複数のピンフィン450同士のピッチP4が大きくなるように設けられている。
【0093】
例えば、ピンフィン450の径が300μm、ピンフィン450の高さH4が3mmの場合、ピン列451を構成するピンフィン450同士のピッチP4は、最も上流側では0.6mmとなり、最も下流側では1.8mmとなる。
【0094】
ところで、ケーシング11内で冷媒Fが沸騰し、気液二相状態で存在する場合、冷媒Fの流通方向下流側に向かうにしたがって気相冷媒Fの割合が増大する。本変形例によれば、下流側に向かうにしたがって複数のピンフィン450同士のピッチP4が大きくなるため、下流側ほど気相冷媒Fが流通しやすくなる。よって、下流側で気相冷媒Fの急激な圧力上昇を抑制することができる。よって、気相冷媒Fをスムーズに排出することができる。
【0095】
なお、排出開口41の近傍(例えば、上下方向Dv平面視で、排出開口41の中心から排出開口41の径の0.5倍から5倍程度)の領域は、ピンフィン450が形成されていなくてもよい。
【0096】
(第4実施形態の第2変形例)
続いて、図19を参照して、第4実施形態の第2変形例について説明する。
図19に示すように、本変形例では、第1変形例のようなピンフィン450間のピッチ変化に加え、冷媒Fの流通方向下流側に向かうにしたがって、高さH4の低いピンフィン450が配置されている。
例えば、最も上流側ではピンフィン450の高さH4が3mmであるが、そこから次第に低いピンフィン450が配置され、最も下流側ではピンフィン450の高さH4が1mmとなる。
【0097】
本変形例によれば、下流側に向かうにしたがって高さH4の低いピンフィン450が配置されているため、下流側ほど気相冷媒Fが流通しやすくなる。よって、下流側で気相冷媒Fの急激な圧力上昇を抑制することができる。
【0098】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。上述した各実施形態と各変形例とを適宜組み合わせることも可能である。
【0099】
上記実施形態では、冷却装置10、210、310、410は、サーバ4に搭載されたCPUやGPU等のチップ4cを冷却するコールドプレートである場合について説明したが、これに限られない。冷却装置10、210、310、410は、チップ4c以外の発熱体を冷却するために用いられてもよい。
【0100】
上記実施形態では、冷却装置10、210、310、410がケーシング11内で冷媒Fを沸騰・蒸発させる場合について説明したが、これに限られない。冷媒Fは、チップ4cと熱交換を行う過程で、必ずしも沸騰・気化する必要はなく、液相の状態で冷却システム1内を循環してもよい。
【0101】
上記実施形態では、ケーシング11が直方体状に形成される場合について説明したが、これに限られない。ケーシング11は、例えば直方体以外の多角形状に形成されていてもよく、例えば円板状に形成されていてもよい。同様に、熱交換体20、220、320、420の形状も直方体状に限られず、外周通路15の形状も矩形枠状に限られない。すなわち、熱交換体20、220、320、420は、例えば直方体以外の多角形状に形成されていてもよく、例えば円板状に形成されていてもよい。また、外周通路15は、矩形以外の多角形枠状に形成されていてもよく、例えば円環状に形成されていてもよい。
【0102】
上記実施形態では、供給部は供給開口31を有した供給管30であり、排出部は排出開口41を有した排出管40であるとしたが、これに限られない。供給部は供給開口31のみから構成され、排出部は排出開口41のみから構成されていてもよい。この場合、冷媒管8は、供給開口31及び排出開口41に直接接続される。また、供給開口31は、側板14に接続しているとしたが、これに限られない。供給開口31は、例えば天板13のうち外周通路15と上下方向Dvに重なる位置に接続していてもよい。また、排出開口41は、ケーシング11の中央部Acで天板13と接続しているとしたが、これに限られない。排出開口41は、熱交換体20、220、320、420と上下方向Dvに重なる位置であれば、上下方向Dv平面視で、ケーシング11の中央部Acよりも外周側に配置されていてもよい。
【0103】
<付記>
各実施形態に記載の冷却装置10、210、310、410は、例えば以下のように把握される。
【0104】
(1)第1の態様に係る冷却装置10、210、310、410は、発熱体に載置される底板12、前記底板12に対向する天板13、及び、前記底板12と前記天板13とを外周側で接続する側板14を有し、中空状とされたケーシング11と、前記ケーシング11内で前記底板12上に設けられ、前記ケーシング11の前記側板14との間に外周通路15を区画形成するとともに、冷媒Fが内部を流通可能とされた熱交換体20、220、320、420と、前記外周通路15に外部から冷媒Fを供給する供給部と、前記天板13における平面視で前記熱交換体20、220、320、420に重なる領域に接続されて、前記ケーシング11内から冷媒Fを外部に排出する排出部と、を備える。
供給部の例として、上記実施形態の供給管30等が挙げられ、排出部の例として、上記実施形態の排出管40等が挙げられる。
【0105】
本態様によれば、供給部からケーシング11内に供給された冷媒Fは、外周通路15を通って熱交換体20、220、320、420の内部に供給される。冷媒Fが外周通路15を通過する過程で冷媒Fに圧力損失が生じるため、冷媒Fの流速が過度に上昇することが抑制される。このため、冷媒Fがケーシング11内に均等に供給される。よって、ケーシング11内の全体に冷媒Fを安定して供給することができる。さらに、熱交換体20、220、320、420の内部に流入した冷媒Fは、熱交換体20、220、320、420で熱交換が行われて加熱された後、熱交換体20、220、320、420から排出部へ直接排出される。よって、熱交換後の冷媒Fがケーシング11からスムーズに排出される。これにより、ケーシング11内に熱交換後の冷媒Fが滞留することが抑制されるので、冷却効率を向上させることができる。
【0106】
(2)第2の態様の冷却装置10は、(1)の冷却装置10であって、前記熱交換体20は、上下方向Dvに交差する第1方向D1に並ぶ複数の板フィン22を有し、各前記板フィン22は、上下方向Dv及び前記第1方向D1に交差する第2方向D2に延びていてもよい。
【0107】
これにより、供給部からケーシング11内に供給された冷媒Fは、外周通路15を通って複数の板フィン22間に供給される。その後、冷媒Fは板フィン22同士の間を流れる。冷媒Fが板フィン22同士の間を通過する過程で冷媒Fに圧力損失が生じるため、冷媒Fの流速が過度に上昇することがより一層抑制される。このため、冷媒Fがケーシング11内により一層均等に供給される。さらに、板フィン22によって、熱交換を行う熱交換体20の表面積(伝熱面積)が増大する。
【0108】
(3)第3の態様の冷却装置10は、(2)の冷却装置10であって、前記熱交換体20は、平面視で前記排出部と重なる位置に設けられ、上下方向Dvに延びるピンフィン50をさらに有し、前記ピンフィン50は、前記複数の板フィン22によって前記第2方向D2に挟み込まれ、上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されていてもよい。
【0109】
これにより、冷媒Fは板フィン22同士の間を通過した後、さらにピンフィン50と熱交換を行う。また、ピンフィン50は上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されている。このため、伝熱面積を増大することができる。さらに、ピンフィン50が形成される領域では、上側ほど流路抵抗が低減される。このため、冷媒Fをスムーズに外部に排出することが可能となる。
【0110】
(4)第4の態様の冷却装置210は、(1)の冷却装置210であって、前記熱交換体220は、上下方向Dvに交差するように延在し、上下方向Dvに並ぶ複数の格子フィン60を有し、隣り合う前記格子フィン60同士は、上下方向Dvに交差する方向にずらして配置されていてもよい。
【0111】
これにより、冷媒Fが熱交換によって沸騰した際に生じる気泡が上昇する過程で格子フィン60によって分断される。よって、気泡が合一することを防止することができる。
【0112】
(5)第5の態様の冷却装置210は、発熱体に載置される底板12、前記底板12に対向する天板13、及び、前記底板12と前記天板13とを外周側で接続する側板14を有し、中空状とされたケーシング11と、前記ケーシング11内で前記底板12上に設けられ、冷媒Fが内部を流通可能とされた熱交換体220と、前記ケーシング11内に外部から冷媒Fを供給する供給部と、前記天板13における平面視で前記熱交換体220に重なる領域に接続されて、前記ケーシング11内から冷媒Fを外部に排出する排出部と、を備え、前記熱交換体220は、上下方向Dvに交差するように延在し、上下方向Dvに並ぶ複数の格子フィン60を有し、隣り合う前記格子フィン60同士は、上下方向Dvに交差する方向にずらして配置されている。
【0113】
(6)第6の態様の冷却装置210は、(4)又は(5)の冷却装置210であって、前記熱交換体220は、前記複数の格子フィン60を支持する、上下方向Dvに延びるピンフィン250、250Aをさらに有してもよい。
【0114】
これにより、冷媒Fは格子フィン60及びピンフィン250、250Aと熱交換を行うことできるので、伝熱面積が増大される。
【0115】
(7)第7の態様の冷却装置210は、(6)の冷却装置210であって、前記ピンフィン250Aは、上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されていてもよい。
【0116】
これにより、伝熱面積をより一層増大することができる。さらに、ピンフィン250Aが形成される領域では、上側ほど流路抵抗が低減される。このため、冷媒Fをスムーズに外部に排出することが可能となる。
【0117】
(8)第8の態様の冷却装置310は、(1)の冷却装置310であって、前記熱交換体320は、冷媒Fが通過可能な多孔質部27を有してもよい。
【0118】
これにより、多孔質部27を設けるだけの簡単な構成で、多孔質部27と冷媒Fとで熱交換を行わせつつ、圧力損失を生じさせ、ケーシング11内に冷媒Fを均等に供給することができる。冷媒Fが熱交換によって沸騰した際に生じる気泡が多孔質部27を通過することによって離散する。よって、気泡の合一を抑制することができる。さらに、多孔質部27は、冷媒F中に含まれている汚れや湿分、油分を吸収することができる。
【0119】
(9)第9の態様の冷却装置310は、(8)の冷却装置310であって、前記熱交換体320は、平面視で前記排出部と重なる位置に設けられ、上下方向Dvに延びるピンフィン350をさらに有し、前記ピンフィン350は、前記多孔質部27によって上下方向Dvに交差する方向に挟み込まれ、上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されていてもよい。
【0120】
これにより、冷媒Fは多孔質部27を通過した後、さらにピンフィン350と熱交換を行う。また、ピンフィン350は上方に向かうにしたがって先細る形状に成形されている。このため、伝熱面積を増大することができる。さらに、ピンフィン350が形成される領域では、上側ほど流路抵抗が低減される。このため、冷媒Fをスムーズに外部に排出することが可能となる。
【0121】
(10)第10の態様の冷却装置410は、(1)の冷却装置410であって、前記熱交換体420は、上下方向Dvに延び、前記外周通路15に沿って設けられた複数のピンフィン450を有してもよい。
【0122】
これにより、冷媒Fはピンフィン450同士の間を通って熱交換体420の内部に供給される。冷媒Fがピンフィン450同士の間を通過する過程で冷媒Fに圧損が生じるため、冷媒Fの流速が過度に上昇することがより一層抑制される。このため、冷媒Fが熱交換体420により一層均等に供給される。
【0123】
(11)第11の態様の冷却装置410は、(10)の冷却装置410であって、上下方向Dvに交差する方向で前記排出部側に向かうにしたがって、前記ピンフィン450同士のピッチP4が大きくなっていてもよい。
【0124】
ところで、冷媒Fがケーシング11内で沸騰し、気液二相状態で存在する場合、冷媒Fの流通方向下流側に向かうにしたがって気相冷媒Fの割合が増大する。本態様によれば、下流側に向かうにしたがって複数のピンフィン450同士のピッチP4が大きくなるため、下流側ほど気相冷媒Fが流通しやすくなる。よって、下流側で気相冷媒Fの急激な圧力上昇を抑制することができる。
【0125】
(12)第12の態様の冷却装置410は、(10)又は(11)の冷却装置410であって、上下方向Dvに交差する方向で前記排出部側に向かうにしたがって、高さH4の低い前記ピンフィン450が配置されていてもよい。
【0126】
本態様によれば、下流側に向かうにしたがって高さH4の低いピンフィン450が配置されているため、下流側ほど気相冷媒Fが流通しやすくなる。よって、下流側で気相冷媒Fの急激な圧力上昇を抑制することができ、気相冷媒Fをスムーズに排出することができる。
【符号の説明】
【0127】
1…冷却システム、2…ラック、3…サーバシャーシ、4…サーバ、4a…サーバケーシング、4b…サーバボード、4c…チップ(発熱体)、5…熱交換器、6…ポンプ、7…制御ユニット、8…冷媒管、10…冷却装置、11…ケーシング、11a…角部、12…底板、13…天板、14…側板、14a…第1側板、14b…第2側板、15…外周通路、20…熱交換体、21…仕切り部、21a…第1隔壁、21b…第2隔壁、21c…角部、22…板フィン、23…流入口、23A…スリット、24…粒子、26…貫通孔、27…多孔質部、30…供給管(供給部)、31…供給開口、40…排出管(排出部)、41…排出開口、50…ピンフィン、60…格子フィン、60a…第1格子フィン、60b…第2格子フィン、61…第1ポール、62…第2ポール、63…格子、64…格子点、210…冷却装置、220…熱交換体、250…ピンフィン、250A…ピンフィン、251…第1ピン列、252…第2ピン列、310…冷却装置、320…熱交換体、350…ピンフィン、410…冷却装置、420…熱交換体、450…ピンフィン、451…ピン列、A1…熱交換領域、A2…ピンフィン領域、A3…代表領域、Ac…中央部、C1…クリアランス、Dv…上下方向、D1…第1方向、D2…第2方向、F…冷媒、H1…高さ、H2…高さ、H3…高さ、H4…高さ、L1…幅、P1…ピッチ、P2…第1ピッチ、P3…第2ピッチ、P4…ピッチ、R1…格子径、S1…隙間、T1…厚さ、W1…幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19