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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113447
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20240815BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018433
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】大谷 雄一
(72)【発明者】
【氏名】岡安 晋平
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322DA01
5E322EA11
5E322FA09
5F136BA03
5F136CB06
5F136CB11
5F136DA25
5F136FA01
5F136FA03
5F136FA51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】核沸騰から膜沸騰への遷移を抑制することができる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却システムにおいて、冷却装置10は、発熱体4cに載置される底板12、底板に対向する天板13及び底板12と天板13とを外周側で接続する側板14を有し、中空状のケーシング11と、ケーシング11内で底板12上に設けられ、冷媒が内部を流通可能な熱交換体20と、ケーシング11内に外部から冷媒を供給する供給部30と、ケーシング11内から冷媒を外部に排出する排出部40と、熱交換体内の冷媒を攪拌する攪拌部70と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体に載置される底板、前記底板に対向する天板、及び、前記底板と前記天板とを外周側で接続する側板を有し、中空状とされたケーシングと、
前記ケーシング内で前記底板上に設けられ、冷媒が内部を流通可能とされた熱交換体と、
前記ケーシング内に外部から冷媒を供給する供給部と、
前記ケーシング内から冷媒を外部に排出する排出部と、
前記熱交換体内の冷媒を攪拌する攪拌部と、
を備える冷却装置。
【請求項2】
前記攪拌部は、前記熱交換体に配置された複数の粒子である請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記熱交換体は、上下方向に交差する第1方向に並ぶ複数の板フィンを有し、
各前記板フィンは、上下方向及び前記第1方向に交差する第2方向に延び、
前記複数の粒子は、前記板フィン同士の隙間に配置されている請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記複数の粒子の密度が500kg/m以上2000kg/m以下となるように、前記複数の粒子が設けられている請求項2又は3に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記攪拌部は、前記供給部に設けられて前記供給部を流れる冷媒の流量を調整する流量調整部を有する請求項1に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記攪拌部は、前記熱交換体に配置された複数の粒子をさらに有する請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記攪拌部は、前記ケーシング内に音波を伝播させる音波部をさらに有する請求項5又は6に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記攪拌部は、
前記熱交換体に配置され、磁性体により形成された運動体と、
前記運動体に磁力を加える磁力部と、
を有する請求項1に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体の高密度実装が進められており、CPUやGPUの発熱量が増加傾向にある。このため、空冷ではCPUやGPU等の発熱体を十分に冷却することができず、例えば特許文献1に開示されるコールドプレート等で発熱体を局所的に冷却する対応がとられるようになっていた。特許文献1のコールドプレートは、冷媒流路を形成したプレート本体を有する。この種のコールドプレートでは、プレート本体内の冷媒を沸騰させることにより、発熱体の熱を奪い、発熱体を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4410065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような冷媒の沸騰を利用した冷却装置では、半導体の高密度実装が進められる程、冷却装置の加熱面における熱流束が上昇し、核沸騰から膜沸騰へ遷移し易くなる。膜沸騰では、発熱体と液冷媒との間に熱伝達率の低い蒸気膜が介在するため、冷却効率が低下してしまう。このため、核沸騰から膜沸騰へ遷移しない程度に、冷却装置をある程度大きく設計する必要があり、高密度実装の限界が自ずと決まってしまっていた。
このような事情を鑑みて、核沸騰から膜沸騰への遷移を抑制することが求められている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、核沸騰から膜沸騰への遷移を抑制することができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る冷却装置は、発熱体に載置される底板、前記底板に対向する天板、及び、前記底板と前記天板とを外周側で接続する側板を有し、中空状とされたケーシングと、前記ケーシング内で前記底板上に設けられ、冷媒が内部を流通可能とされた熱交換体と、前記ケーシング内に外部から冷媒を供給する供給部と、前記ケーシング内から冷媒を外部に排出する排出部と、前記熱交換体内の冷媒を攪拌する攪拌部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の冷却装置によれば、核沸騰から膜沸騰への遷移を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係る冷却装置を備えた冷却システムの構成図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る冷却装置の斜視図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る冷却装置の平面図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る冷却装置の板フィン付近の構成を示す拡大側面図である。
図5】本開示の第2実施形態に係る冷却装置を側方から見た図である。
図6】本開示の第2実施形態に係る熱交換体を示す拡大平面図である。
図7】本開示の第2実施形態の第1変形例に係る冷却装置を側方から見た図である。
図8】本開示の第2実施形態の第2変形例に係る冷却装置を側方から見た図である。
図9】本開示の第2実施形態の第3変形例に係る冷却装置を側方から見た図である。
図10】本開示の第3実施形態に係る冷却装置を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態に係る冷却装置10について、図1から図4を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の冷却装置10は、サーバ4を冷却する冷却システム1に搭載されている。図1は、冷却システム1の全体構成を示す模式図である。図示の例では、サーバ4は、上下方向Dvに延びるラック2内に収容されている。ラック2には、複数のサーバシャーシ3が差し込まれている。サーバシャーシ3は、箱型の筐体である。これら複数のサーバシャーシ3は、上下方向Dvに複数並んでいる。さらに、サーバシャーシ3には、複数のサーバ4が差し込まれている。これら複数のサーバ4は、水平方向に横向き差し込まれている。
【0010】
サーバ4は、サーバケーシング4aやサーバボード4b、CPUやGPU等のチップ(発熱体)4cを有する。サーバケーシング4aは、水平方向に延在する直方体状の筐体である。サーバケーシング4aの内部には、サーバボード4bが収容されている。サーバボード4bには、チップ4cが搭載されている。チップ4cは稼働時に発熱するため、チップ4cを冷却する冷却システム1が導入されている。
【0011】
(冷却システムの構成)
冷却システム1は、冷却装置10と、熱交換器5と、ポンプ6と、制御ユニット7とを有する。冷却装置10は、チップ4c毎に搭載されている。冷却装置10には、冷媒Fが供給される。この冷媒Fは、例えばHFC(Hydro Fluoro Carbon)やHFO(Hydro Fluoro Olefin)系の冷媒や、水等である。冷却装置10は、冷媒Fとチップ4cとで熱交換を行わせることによりチップ4cを冷却するコールドプレートである。本実施形態の冷却装置10は、冷媒Fの沸騰冷却により、高発熱の発熱体を冷却する。冷却装置10は、冷媒管8によって熱交換器5とポンプ6に接続されている。冷却装置10でチップ4cと熱交換を行い加熱された冷媒Fは、冷媒管8を通って熱交換器5に送られる。熱交換器5は、いわゆる凝縮器である。熱交換器5は、冷媒Fを冷却し、気相冷媒Fを液相冷媒Fに凝縮する。熱交換器5で冷却された冷媒Fは、冷媒管8を通ってポンプ6に送られる。ポンプ6は、冷媒Fを再び冷却装置10に向けて圧送する。冷却装置10に圧送された冷媒Fは、再び各チップ4cと熱交換を行い、各チップ4cを冷却する。
冷却装置10、熱交換器5、及びポンプ6等の冷却システム1を構成する各種機器は、制御ユニット7によって制御されている。
【0012】
なお、図1では、サーバ4毎にチップ4cと冷却装置10が3個設けられている例が図示されているが、チップ4cと冷却装置10の個数は適宜変更可能である。例えば、サーバ4毎にチップ4cと冷却装置10が8個程設けられていてもよい。
【0013】
(冷却装置の構成)
以下、冷却装置10の構成について説明する。
図2図3に示すように、冷却装置10は、ケーシング11と、熱交換体20と、供給管(供給部)30と、排出管(排出部)40と、攪拌部70とを備える。
【0014】
以下では、上下方向Dvと交差する方向のうち、所定の一方向を第1方向D1と称し、上下方向Dv及び第1方向D1と交差する方向を第2方向D2と称する。本実施形態では、第1方向D1と第2方向D2とはともに水平方向である。さらに、第1方向D1と第2方向D2とは互いに直交している。
【0015】
(ケーシング)
ケーシング11は、金属等の熱伝達性の優れた材料により、中空状に形成されている。ケーシング11の外形は、水平方向に押し潰されたような、直方体状に形成されている。上下方向Dv平面視で、ケーシング11の4つの角部11aは、面取りされたような、外側に向けて張り出す湾曲形状に形成されている。上下方向Dv平面視で、ケーシング11の外周縁が発熱体の外周縁と略一致する程度の大きさに、ケーシング11は形成されている。
【0016】
上述したケーシング11は、任意の寸法に設計可能である。
例えば、本実施形態では、ケーシング11は上下方向Dv平面視で正方形状に形成されている。ケーシング11の上下方向Dvの高さH1は例えば10mm程度であり、ケーシング11の第1方向D1の幅W1、及び第2方向D2の幅L1は、例えば55mm程度である。
なお、ケーシング11は、第1方向D1と比較して第2方向D2に短く形成された長方形状に形成されていてもよい。この場合、例えば、ケーシング11の第2方向D2の幅L1は例えば30mm程度であってもよい。
【0017】
ケーシング11は、底板12と、天板13と、側板14とを有する。
底板12は、チップ4cに載置されている。底板12は、水平方向に延在している。
天板13は、底板12の上方に配置され、底板12と上下方向Dvに対向している。天板13は、水平方向に延在している。
【0018】
側板14は、底板12と天板13とを外周側で接続している。側板14は、底板12と天板13との間に4枚配置されている。4枚の側板14は、第1方向D1に対向する2枚の第1側板14aと、第2方向D2に対向する2枚の第2側板14bとを含む。第1側板14aは、第2方向D2に延在し、第2側板14bは、第1方向D1に延在している。また、各側板14は、天板13及び底板12に対して直交するように配置されている。
【0019】
(熱交換体)
熱交換体20は、ケーシング11内で底板12上に設けられている。より詳細には、熱交換体20は、上下方向Dv平面視で、ケーシング11の重心を含む領域(以下では、この領域を、中央部Acと称する場合がある。)と重なる位置に配置されている。本実施形態では、上下方向Dv平面視で、熱交換体20の重心がケーシング11の重心と重なる位置に配置されている。以下では、熱交単体が形成されるケーシング11内の領域を熱交換領域A1と称する。熱交換領域A1は、上下方向Dv平面視で、ケーシング11の中央部Acを含んでいる。熱交換体20は、ケーシング11の側板14との間に外周通路15を区画形成している。外周通路15は、上下方向Dvからみて矩形枠状に形成されている。また、熱交換体20の内部は、冷媒Fが流通可能となっている。熱交換体20の構成の詳細については後述する。
【0020】
(供給管)
供給管30は、ケーシング11外から、ケーシング11を構成する複数の側板14のうち1枚の第1側板14aに接続されている。供給管30は、側板14に接続されてケーシング11内と連通する供給開口31を有した円管である。供給開口31は、上下方向Dvに交差する水平方向に開口している。本実施形態では、供給開口31は、第1側板14aの中央に設けられている。
供給管30は、冷媒管8を介してポンプ6と接続されており、ケーシング11外から外周通路15に冷媒Fを供給する。
【0021】
(排出管)
排出管40は、ケーシング11外から、ケーシング11を構成する天板13に接続されている。より詳細には、排出管40は、天板13における上下方向Dv平面視で熱交換体20に重なる領域に接続されている。排出管40は、天板13に接続されてケーシング11内と連通する排出開口41を有した円管である。排出開口41は、上下方向Dvに開口している。排出開口41の中心は、上下方向Dv平面視で、ケーシング11の中央部Acと重なる位置に配置されている。本実施形態では、排出開口41の中心は、中央部Acの中でもケーシング11の重心と上下方向Dvに重なる位置に設けられている。このため、排出開口41は、熱交換体20と上下方向Dvに重なっている。
排出管40は、冷媒管8を介して熱交換器5と接続されており、ケーシング11内から外部に冷媒Fを排出する。
【0022】
(熱交換体の構成)
本実形態の熱交換体20は、仕切り部21と、板フィン22と、閉塞板24とを有する。
【0023】
(仕切り部)
本実施形態の仕切り部21は、金属等の熱伝達性の優れた材料により、上下方向Dv平面視で排出管40を囲うように矩形枠状に形成されている。より詳細には、上下方向Dv平面視で、仕切り部21の4つの角部21cは、面取りされたような、外側に向けて張り出す湾曲形状に形成されている。すなわち、仕切り部21の角部21cは、ケーシング11の角部11aと同様の形状に成形されている。
【0024】
仕切り部21は、第1隔壁21aと、第2隔壁21bとを有する。第1隔壁21aは、第2方向D2に延びる板状に形成され、第1方向D1に離間して一対設けられている。第2隔壁21bは、第1方向D1に延びる板状に形成され、第2方向D2に離間して一対設けられている。一対の第2隔壁21bは、それぞれ、第1隔壁21aの第2方向D2の端部を接続している。第2隔壁21bには、第2隔壁21bを第2方向D2に貫通する複数のスリット23が形成されている。流入口は、第1方向D1に延びている。スリット23の下縁は、底板12に接触している。一方、スリット23の上縁は、天板13よりも下方に位置している。
【0025】
仕切り部21は、供給管30側の第1隔壁21aによって、供給管30から供給された冷媒Fの第1方向D1の流れを遮り、冷媒Fの流れを第2方向D2両側に分岐させる。
本実施形態の仕切り部21は、底板12と天板13とを接続している。
【0026】
(板フィン)
板フィン22は、仕切り部21の内側に、第1方向D1に並んで複数設けられている。各板フィン22は、第2方向D2に延びる矩形板状の部材である。板フィン22は、金属等の熱伝達性の優れた材料により形成されている。本実施形態では、板フィン22は、銅により形成されている。このため、板フィン22の表面温度は、均一となる。板フィン22は、底板12から上方に延びている。板フィン22の上縁は、天板13から離間し、板フィン22と天板13との間には所定のクリアランスC1が設けられている。なお、板フィン22は、仕切り部21と同程度の高さに形成されていてもよい。また、各板フィン22は、底板12と直交する姿勢で配置されている。
【0027】
複数の板フィン22は、第2方向D2に対向するように配置されている。第2方向D2に対向した一対の板フィン22の組は、それぞれ第2隔壁21b沿っており、各板フィン22は、第2隔壁21bから第1方向D1に延びている。また、第2方向D2側面視では、複数の板フィン22は、仕切り部21に形成された各スリット23の上端よりも下側に位置している。
【0028】
これら複数の板フィン22によって、板フィン22同士の間には、冷媒Fの流路抵抗となる程度に狭小(狭隘)な隙間S1が形成されている。この板フィン22同士の隙間S1は、仕切り部21のスリット23と連通している。
板フィン22同士のピッチP1は、例えば0.5mm以上1.0mm以下である。また、板フィン22の厚さT1は、例えば0.5mm程度であり、板フィン22の高さH2は、例えば5.0mmである。
【0029】
(閉塞板)
閉塞板24は、板フィン22の第2方向D2内側の端部に設けられている。すなわち、閉塞板24は、板フィン22の第2方向D2で第2隔壁21bとは反対側の端部に設けられている。閉塞板24は、第1方向D1に延びて、対向する一対の第1隔壁21aを接続している。さらに、閉塞板24は、底板12に対して直交するように配置され、底板12と天板13とを接続している。閉塞板24は、例えば金属等の伝熱性に優れた材料により形成されている。閉塞板24には、仕切り部21の第2隔壁21bと同様に、第1方向D1に並ぶ複数のスリット23が形成されている。
【0030】
(攪拌部)
攪拌部70は、熱交換体20内の冷媒Fを攪拌する。図4に示すように、本実施形態の攪拌部70は、熱交換体20内に配置された複数の粒子71である。複数の粒子71は、板フィン22同士の隙間S1に配置されている。各粒子71は、例えば金属や樹脂、ポリマー等によりビーズ状(球状)に形成されている。粒子71の径は、仕切り部21や閉塞板24に設けられたスリット23の幅よりも大きい。このため、冷媒Fは熱交換体20内を流通しつつ、粒子71が板フィン22同士の隙間から流れ出ることが防止されている。粒子71の径は、例えば数μmから1mm程度である。
【0031】
本実施形態では、スリット23同士の隙間S1内で、複数の粒子71の密度が500kg/m以上2000kg/m以下となるように、複数の粒子71が設けられている。
【0032】
(作用効果)
続いて、上述した冷却装置10の作用効果について説明する。
まず、冷却装置10内での冷媒Fの流れを説明する。
供給管30からケーシング11内に供給された冷媒Fは、外周通路15に流入する。このため、冷媒Fは外周通路15によって第2方向D2両側に分岐し、熱交換体20を回り込むように流れる。その後、熱交換体20に冷媒Fが供給される。本実施形態では、冷媒Fが第2方向D2両側から供給される。冷媒Fは、板フィン22同士の間を通り、平面視で外周側から中央部Ac側に向けて流れる。この際、板フィン22は全て冷媒Fに液没する。冷媒Fは、板フィン22、複数の粒子71及び底板12を介してチップ4cと熱交換を行う。これにより、チップ4cは冷却される。一方で冷媒Fは、チップ4cの熱を受けて加熱される。冷媒Fは、チップ4cの熱よって沸騰して蒸発し、液相冷媒Fから気相冷媒Fに変化する。加熱された冷媒Fは、熱交換体20から排出管40を介して直接ケーシング11外に排出される。
【0033】
本実施形態では、冷却装置10は、熱交換体20内の冷媒Fを攪拌する攪拌部70を有する。
これにより、熱交換体20内部の冷媒Fを攪拌することができる。このため、冷媒Fの沸騰時に生じる気泡が合一しにくくなり、核沸騰から膜沸騰への遷移点を高熱流束側(高温側)にシフトさせることができる。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移を抑制することができる。
【0034】
本実施形態では、攪拌部70は、熱交換体20に配置された複数の粒子71である。
【0035】
本実施形態によれば、複数の粒子71の間には、冷媒Fが流通可能な細かい隙間が形成される。冷媒Fは、これら複数の粒子71間の隙間を通って分散されながら上昇する。さらに、複数の粒子71は、冷媒Fの流れや冷媒Fが沸騰した際に生じる揚力によって熱交換体20内で運動する。これにより、冷媒Fが攪拌されて、冷媒Fの沸騰によって生じる気泡が合一しにくくなる。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、高熱流束側にシフトさせることができる。よって、複数の粒子71を配置するだけの簡単な構成で、核沸騰から膜沸騰への遷移を抑制することができる。
【0036】
また、熱交換体20内を複数の粒子71が運動するため、粒子71が熱交換体20との接触を繰り返す。詳細説明すると、まず、粒子71が熱交換体20と接触して、熱交換体20から発熱体の熱を伝達される。その後、粒子71が熱交換体20から離間し、粒子71の全表面と冷媒Fとで熱交換が行われて、粒子71から冷媒Fに発熱体の熱がさらに伝達される。その直後、粒子71は再び熱交換体20に接触し、熱交換体20を介して発熱体の熱を吸収する。この流れを繰り返すことにより、冷媒Fと発熱体との熱交換がより一層効率良く行われる。よって、冷却効率を向上させることができる。
【0037】
また、これら複数の粒子71には、汚れや湿分、油分等の不純物を吸収する機能を付加してもよい。これにより、冷却装置10は、熱交換体20を流れる冷媒Fを清浄化することができる。よって、冷媒Fと発熱体との熱交換が促進される為、冷却効率をより一層向上させることができる。
複数の粒子71に不純物を吸収する機能を付与する方法として、粒子71を特定の吸着材により形成する方法や、粒子71の密度を向上させて粒子71間の隙間に不純物が捕捉されるようにする方法等が挙げられる。
【0038】
本実施形態では、熱交換体20は、第1方向D1に並んで複数設けられ、第2方向D2に延びる板フィン22をさらに有する。複数の粒子71は、板フィン22同士の隙間S1に配置されている。
【0039】
これにより、板フィン22同士の隙間S1内で複数の粒子71を運動させることができる。これにより、複数の粒子71の偏りが抑制され、熱交換体20内で冷媒Fを均一に攪拌することができる。したがって、冷媒Fの沸騰によって生じる気泡の合一がより一層抑制される。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、より高熱流束側にシフトさせることができる。よって、複数の粒子71を配置するだけの簡単な構成で、核沸騰から膜沸騰への遷移をより一層抑制することができる。
【0040】
本実施形態では、スリット23同士の隙間内で、複数の粒子71の密度が500kg/m以上2000kg/m以下となるように、複数の粒子71が設けられている。
【0041】
これにより、熱流束が上昇し、冷媒Fの沸騰が促進された場合に、粒子71の動きが活発になる。よって、ケーシング11内の沸騰面上で冷媒Fをより攪拌することができる。したがって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、より高熱流束側にシフトさせることができる。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移をより一層抑制することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、複数の粒子71の密度が500kg/m以上2000kg/m以下である場合について説明したが、これに限られない。複数の粒子71の密度は、状況に応じて適宜変更可能である。ただし、複数の粒子71の密度が500kg/m以上2000kg/m以下である場合、粒子71の動きを活発にするという点で優位性がある。
【0043】
なお、本実施形態では、第2隔壁21bには、第2方向D2に等間隔で並ぶ複数のスリット23が形成されているとしたが、これに限られない。第2隔壁21bには、これら複数のスリット23に代えて、円形または多角形状の微細な貫通孔等が設けられていてもよい。これら貫通孔は、粒子71の径よりも小さく形成されている必要がある。また、熱交換体20に冷媒Fを流通させつつ、粒子71がスリット23から流出することを防止できればよいので、例えば、スリット23が形成された第2隔壁21bに代えて、メッシュ材を配置してもよい。また、例えば、第2隔壁21bと閉塞板24を設けず、板フィン22の第2方向D2両端部を第1方向D1に厚く形成してもよい。これにより、板フィン22の第2方向D2両端部で、板フィン22同士の隙間S1を粒子71の径よりも小さくし、粒子71が板フィン22同士の隙間から流れ出ることを防止することができる。
【0044】
本実施形態では、仕切り部21は、底板12と天板13とを上下方向Dvに接続するように形成されているとしたが、これに限られない。仕切り部21は、底板12から上方に向けて延び、天板13からは下方に離間するように形成されていてもよい。
【0045】
<第2実施形態>
以下、本開示の第2実施形態に係る冷却装置210について、図5図6を参照して説明する。第2実施形態の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については、同一の名称、符号を付す等して、説明を適宜省略する。
図5図6に示すように、本実施形態では、熱交換体220は、格子フィン60と、ピンフィン250と、を有する。
【0046】
(格子フィン)
格子フィン60は、上下方向Dvに交差するように水平方向に延在している。また、格子フィン60の各格子63は、第1方向D1に延びる第1ポール61と、第2方向D2に延びる第2ポール62とが組み合わされて正方形状に形成されている。ここでは、格子63の内縁間の幅のうち、最短の幅を「格子径R1」と称する。本実施形態では、格子63は正方形状に形成されているため、格子63の一辺の長さが格子径R1となる。
【0047】
第1ポール61と第2ポール62とは、ともに円柱状に形成されている。なお、第1ポール61と第2ポール62の形状は、適宜変更可能である。例えば第1ポール61と第2ポール62とは、ともに四角柱状に形成されていてもよい。
【0048】
格子フィン60は、上下方向Dvに並んで、等間隔に複数設けられている。以下では、複数の格子フィン60のピッチを第1ピッチP2と称する。さらに、隣り合う格子フィン60同士は、上下方向Dvに交差する方向(本実施形態では水平方向)にずらして配置されている。
複数の格子フィン60は、第1格子フィン60aと、第2格子フィン60bとを含む。第1格子フィン60aと第2格子フィン60bとは、上下方向Dvに交互に配置されている。第1格子フィン60aと第2格子フィン60bとは互い違いに配置されている。このため、上下方向Dv平面視で、第1格子フィン60aの格子63の中心に、第2格子フィン60bの格子点64が配置されている。第1格子フィン60a同士は、同一の水平方向位置に配置され、第2格子フィン60b同士は、同一の水平方向位置に配置される。
【0049】
図示の例では、第1格子フィン60aが2段設けられ、第2格子フィン60bが1段設けられているが、これに限られない。第1格子フィン60aの段数と第2格子フィン60bの段数は、適宜変更可能である。
また、複数の格子フィン60のうち最も上方の格子フィン60と天板13との間には、所定のクリアランスC1が設けられている。
【0050】
(ピンフィン)
ピンフィン250は、上下方向Dvに延びて格子フィン60を支持する支柱である。ピンフィン250は、上下方向Dv平面視で、第1方向D1及び第2方向D2に並ぶ格子状に配列されている。ここでは、第1方向D1に延びるピンフィン250の列を第1ピン列251と称し、第2方向D2に延びるピンフィン250の列を第2ピン列252と称する。隣り合う第1ピン列251同士は、互い違いに配列されている。このため、隣り合う第1ピン列251の組を構成する複数のピンフィン250は、第1方向D1に延びるジグザグ状に配置されている。同様に、隣り合う第2ピン列252同士は、互い違いに配列されている。このため、隣り合う第2ピン列252の組を構成する複数のピンフィン250は、第2方向D2に延びるジグザグ状に配置されている。
【0051】
また、第2ピン列252を構成するピンフィン250同士のピッチは、第1ピン列251を構成するピンフィン250同士のピッチよりも狭くなっている。以下では、第2ピン列252を構成するピンフィン250同士のピッチを第2ピッチP3と称する。
なお、第1ピン列251を構成するピンフィン250同士のピッチが、第2ピン列252を構成するピンフィン250同士のピッチよりも狭くなっていてもよい。この場合、第1ピン列251を構成するピンフィン250同士のピッチが第2ピッチP3となる。
【0052】
各ピンフィン250は、格子フィン60と直交している。本実施形態では、ピンフィン250は、円柱状に形成されている。なお、ピンフィン250の形状は、適宜変更可能である。例えば、ピンフィン250は、四角柱状に形成されていてもよい。
【0053】
続いて、上述した格子フィン60、及びピンフィン250の寸法について説明する。
格子フィン60の格子径R1と第1ピッチP2、及びピンフィン250の第2ピッチP3は、ともに数十μm以上であることが好ましい。例えば、格子径R1は300μm、第1ピッチP2は150μm、第2ピッチP3は0,45mm以上0.6mm以下に設計されている。また、ピンフィン250の上下方向Dvの高さH3は、例えば3mmに設計されている。
格子フィン60、及びピンフィン250の各寸法は、適宜変更可能である。
【0054】
(攪拌部)
攪拌部270は、供給管30に設けられて供給管30を流れる冷媒Fの流量を調整するバルブ72(流量調整部)を有する。バルブ72は、例えば制御ユニット7(図1参照)の制御等を受けることにより、流入管の開度を調整する。
【0055】
(作用効果)
続いて、上述した冷却装置210の作用効果について説明する。
本実施形態では、攪拌部270は、供給管30に設けられて供給管30を流れる冷媒Fの流量を調整するバルブ72を有する。
【0056】
本実施形態によれば、ケーシング11内に供給される冷媒Fの供給量を短時間で変化させることができる。これにより、冷媒Fの流れに振動を与えることができる。よって、ケーシング11内の沸騰面上で冷媒Fを攪拌することができる。したがって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、高熱流束側にシフトさせることができる。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移を抑制することができる。また、流量の調整することにより、最適な振動に調整することもできる。
【0057】
上記実施形態では、流量調整部が流入管の開度を調整するバルブ72である場合について説明したがこれに限られない。流量調整部は、ポンプであってもよい。また、流量調整部は、バルブ72とポンプとを有するものであってもよい。
【0058】
<第2実施形態の第1変形例>
続いて、図7を参照して、第2実施形態の第1変形例について説明する。
図7に示すように、本変形例では、攪拌部270は、バルブ72に加え、熱交換体220に配置された、例えば第1実施形態の複数の粒子71をさらに有する。これら複数の粒子71の径は、格子フィン60の格子径R1及び第1ピッチP2、ピンフィン250の第2ピッチP3よりも小さいことが好ましい。
なお、本実施形態の攪拌部270が有する粒子は、第1実施形態の粒子71に限られず、形状や材質は適宜変更可能である。
【0059】
これにより、冷媒Fの供給量の変化による冷媒Fの流れの振動によって、複数の粒子71が熱交換体220内で活発に運動する。このため、流れの振動に加えて、複数の粒子71の活発な運動によって、ケーシング11内の沸騰面近傍の境界層に動きを加えることができる。よって、沸騰面付近の高温流体と周囲の低温流体との混合が促進される。したがって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、より高熱流束側にシフトさせることができる。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移をより一層抑制することができる。
【0060】
<第2実施形態の第2変形例>
続いて、図8を参照して、第2実施形態の第2変形例について説明する。
図8に示すように、本変形例では、攪拌部270は、バルブ72に加え、ケーシング11内に音波SWを伝播させる音波部73を有する。
【0061】
これにより、攪拌部270は、冷媒Fに音波SWを加えることで、冷媒Fをさらに攪拌することができる。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、より高熱流束側にシフトさせることができる。したがって、核沸騰から膜沸騰への遷移をより一層抑制することができる。
【0062】
<第2実施形態の第3変形例>
続いて、図9を参照して、第2実施形態の第3変形例について説明する。
図9に示すように、本変形例では、攪拌部270は、バルブ72に加え、第1変形例の複数の粒子71と、第2変形例の音波部73とを有する。
【0063】
これにより、攪拌部270は、バルブ72の流量調整による振動と、音波部73から伝播される音波SWとによって粒子71が激しく運動する。このため、冷媒Fがより一層攪拌される。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、より高熱流束側にシフトさせることができる。したがって、核沸騰から膜沸騰への遷移をより一層抑制することができる。
【0064】
<第3実施形態>
以下、本開示の第3実施形態に係る冷却装置310について、図10を参照して説明する。第3実施形態の構成のうち、上記実施形態と共通する構成については、同一の名称、符号を付す等して、説明を適宜省略する。
図10に示すように、本実施形態では、攪拌部370は、複数の粒子(運動体)371と、磁力部74と、を有する。複数の粒子371は、磁性体により形成されている。複数の粒子371は、熱交換体320内に配置されている。磁力部74は、ケーシング11の外周側に設けられている。本実施形態では、磁力部74は、ケーシング11を第1方向D1から挟み込みように設けられている。磁力部74は、ケーシング11内の複数の粒子371に磁力を加える。
【0065】
(作用効果)
続いて、上述した冷却装置310の作用効果について説明する。
本実施形態では、攪拌部370は、熱交換体320に配置された複数の粒子371と、複数の粒子371に磁力を加える磁力部74と、を有してもよい。
【0066】
本実施形態によれば、複数の粒子371は、磁力によって熱交換体320内で活発に運動する。これにより、冷媒Fの沸騰によって生じる気泡の合一がより一層抑制される。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、より高熱流束側にシフトさせることができる。したがって、核沸騰から膜沸騰への遷移をより一層抑制することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、運動体が複数の粒子371である場合について説明したが、これに限られない。運動体は、例えば磁性体をプロペラ状に形成したものであってもよい。
【0068】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。上述した各実施形態と各変形例とを適宜組み合わせることも可能である。
【0069】
上記実施形態では、冷却装置10、210、310は、サーバ4に搭載されたCPUやGPU等のチップ4cを冷却するコールドプレートである場合について説明したが、これに限られない。冷却装置10、210、310は、チップ4c以外の発熱体を冷却してもよい。
【0070】
上記実施形態では、ケーシング11が直方体状に形成される場合について説明したが、これに限られない。ケーシング11は、例えば直方体以外の多角形状に形成されていてもよく、例えば円板状に形成されていてもよい。同様に、熱交換体20、220、320の形状も直方体状に限られず、外周通路15の形状も矩形枠状に限られない。すなわち、熱交換体20、220、320は、例えば直方体以外の多角形状に形成されていてもよく、例えば円板状に形成されていてもよい。また、外周通路15は、矩形以外の多角形枠状に形成されていてもよく、例えば円環状に形成されていてもよい。
【0071】
上記実施形態では、供給部は供給開口31を有した供給管30であり、排出部は排出開口41を有した排出管40であるとしたが、これに限られない。供給部は供給開口31のみから構成され、排出部は排出開口41のみから構成されていてもよい。この場合、冷媒管8は、供給開口31及び排出開口41に直接接続される。また、供給開口31は、側板14に接続されているとしたが、これに限られない。供給開口31は、例えば天板13のうち外周通路15と上下方向Dvに重なる位置に接続していてもよい。また、排出開口41は、ケーシング11の中央部Acで天板13と接続しているとしたが、これに限られない。排出開口41は、熱交換体20、220、320と上下方向Dvに重なる位置であれば、上下方向Dv平面視で、ケーシング11の中央部Acよりも外周側に配置されていてもよい。
【0072】
<付記>
各実施形態に記載の冷却装置10、210、310は、例えば以下のように把握される。
【0073】
(1)第1の態様に係る冷却装置10、210、310は、発熱体に載置される底板12、前記底板12に対向する天板13、及び、前記底板12と前記天板13とを外周側で接続する側板14を有し、中空状とされたケーシング11と、前記ケーシング11内で前記底板12上に設けられ、冷媒Fが内部を流通可能とされた熱交換体20、220、320と、前記ケーシング11内に外部から冷媒Fを供給する供給部と、前記ケーシング11内から冷媒Fを外部に排出する排出部と、前記熱交換体20、220、320内の冷媒Fを攪拌する攪拌部70、270、370と、を備える。
発熱体の例として、上記実施形態のチップ4cが挙げられる。
供給部の例として、上記実施形態の供給管30等が挙げられ、排出部の例として、上記実施形態の排出管40等が挙げられる。
【0074】
これにより、熱交換体20、220、320内部の冷媒Fを攪拌することができる。このため、冷媒Fの沸騰時に生じる気泡が合一しにくくなり、核沸騰から膜沸騰への遷移点を高熱流束側(高温側)にシフトさせることができる。
【0075】
(2)第2の態様に係る冷却装置10は、(1)の冷却装置10であって、前記攪拌部70は、前記熱交換体20に配置された複数の粒子71であってもよい。
【0076】
本態様によれば、複数の粒子71の間には、冷媒Fが流通可能な細かい隙間S1が形成される。冷媒Fは、これら複数の粒子71間の隙間S1を通って分散されながら上昇する。さらに、複数の粒子71は、冷媒Fの流れや冷媒Fが沸騰した際に生じる揚力によって熱交換内で運動する。これにより、冷媒Fの沸騰によって生じる気泡が合一しにくくなる。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、高熱流束側にシフトさせることができる。
【0077】
(3)第3の態様に係る冷却装置10は、(2)の冷却装置10であって、前記熱交換体20は、上下方向Dvに交差する第1方向D1に並ぶ複数の板フィン22を有し、各前記板フィン22は、上下方向Dv及び前記第1方向D1に交差する第2方向D2に延び、前記複数の粒子71は、前記板フィン22同士の隙間S1に配置されていてもよい。
【0078】
本態様によれば、板フィン22同士の隙間S1内で複数の粒子71を運動させることができる。これにより、複数の粒子71の偏りが抑制され、熱交換体20内で冷媒Fを均一に攪拌することができる。
【0079】
(4)第4の態様に係る冷却装置10は、(2)又は(3)の冷却装置10であって、前記複数の粒子71の密度が500kg/m以上2000kg/m以下となるように、前記複数の粒子71が設けられていてもよい。
【0080】
これにより、熱流束が上昇し、冷媒Fの沸騰が促進された場合に、粒子71の動きが活発になる。よって、ケーシング11内の沸騰面上で冷媒Fをより攪拌することができる。したがって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、より高熱流束側にシフトさせることができる。
【0081】
(5)第5の態様に係る冷却装置210は、(1)の冷却装置210であって、前記攪拌部270は、前記供給部に設けられて前記供給部を流れる冷媒Fの流量を調整する流量調整部を有してもよい。
流量調整部の例として、上記実施形態のバルブ72等が挙げられる。
【0082】
本態様によれば、ケーシング11内に供給される冷媒Fの供給量を短時間で変化させることができる。これにより、冷媒Fの流れに振動を与えることができる。よって、ケーシング11内の沸騰面上で冷媒Fを攪拌することができる。したがって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、高熱流束側にシフトさせることができる。
【0083】
(6)第6の態様に係る冷却装置210は、(5)の冷却装置210であって、前記攪拌部270は、前記熱交換体220に配置された複数の粒子71をさらに有してもよい。
【0084】
これにより、冷媒Fの供給量の変化による冷媒Fの流れの振動によって、複数の粒子71が熱交換体220内で活発に運動する。このため、流れの振動に加えて、複数の粒子71の活発な運動によって、ケーシング11内の沸騰面近傍の境界層に動きを加えることができる。よって、沸騰面付近の高温流体と周囲の低温流体との混合が促進される。したがって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、より高熱流束側にシフトさせることができる。
【0085】
(7)第7の態様に係る冷却装置210は、(5)又は(6)の冷却装置210であって、前記攪拌部270は、前記ケーシング11内に音波SWを伝播させる音波部73をさらに有してもよい。
【0086】
これにより、攪拌部270は、冷媒Fに音波SWを加えることで、冷媒Fをさらに攪拌することができる。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、より高熱流束側にシフトさせることができる。
【0087】
(8)第8の態様に係る冷却装置310は、(1)の冷却装置310であって、前記攪拌部370は、前記熱交換体320に配置され、磁性体により形成された運動体と、前記運動体に磁力を加える磁力部74と、を有してもよい。
運動体の例として、上記実施形態の複数の粒子371等が挙げられる。
【0088】
本態様によれば、運動体は、磁力によって熱交換体320内で活発に運動する。これにより、冷媒Fの沸騰によって生じる気泡の合一がより一層抑制される。よって、核沸騰から膜沸騰への遷移点を、より高熱流束側にシフトさせることができる。
【符号の説明】
【0089】
1…冷却システム、2…ラック、3…サーバシャーシ、4…サーバ、4a…サーバケーシング、4b…サーバボード、4c…チップ(発熱体)、5…熱交換器、6…ポンプ、7…制御ユニット、8…冷媒管、10…冷却装置、11…ケーシング、11a…角部、12…底板、13…天板、14…側板、14a…第1側板、14b…第2側板、15…外周通路、20…熱交換体、21…仕切り部、21a…第1隔壁、21b…第2隔壁、21c…角部、22…板フィン、23…スリット、24…閉塞板、30…供給管(供給部)、31…供給開口、40…排出管(排出部)、41…排出開口、50…ピンフィン、60…格子フィン、60a…第1格子フィン、60b…第2格子フィン、61…第1ポール、62…第2ポール、63…格子、64…格子点、70…攪拌部、71…粒子、72…バルブ(流量調整部)、73…音波部、74…磁力部、210…冷却装置、220…熱交換体、250…ピンフィン、251…第1ピン列、252…第2ピン列、270…攪拌部、310…冷却装置、320…熱交換体、370…攪拌部、371…粒子(運動体)、A1…熱交換領域、Ac…中央部、C1…クリアランス、Dv…上下方向、D1…第1方向、D2…第2方向、F…冷媒、H1…高さ、H2…高さ、H3…高さ、L1…幅、P1…ピッチ、P2…第1ピッチ、P3…第2ピッチ、R1…格子径、S1…隙間、SW…音波、T1…厚さ、W1…幅
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
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