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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113449
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】排気系部品
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20240815BHJP
   F01N 13/12 20100101ALN20240815BHJP
【FI】
F01N13/08 B
F01N13/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018435
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 怜央
(72)【発明者】
【氏名】戸市 進之介
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004DA23
3G004DA24
3G004EA03
(57)【要約】
【課題】連通口が形成された流路部材に連通口を閉塞可能な閉塞部が設けられる場合に、閉塞部と流路部材との摺動音を低減するための技術を提供する。
【解決手段】排気系部品は、流路部材と、軸部と、閉塞部と、を備える。流路部材は、内燃機関からの排ガスの流路を形成する。流路部材には、流路の内外を連通する連通口が形成されている。軸部は、流路内へ延び、軸回転可能に構成されている。閉塞部は、軸部に取り付けられ、連通口を閉塞可能に構成されている。また、閉塞部は、軸部の軸回転により、連通口を開放する開放位置と、連通口を閉塞する閉塞位置と、の間で変位可能である。軸部の軸方向から視て、閉塞部の開放位置から閉塞位置への変位方向における前側の第1端部は、閉塞部の上記変位方向における第1端部と反対側の第2端部と比較して、軸部の中心軸からの距離が短い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関からの排ガスの流路を形成する流路部材であって、前記流路の内外を連通する連通口が形成された前記流路部材と、
前記流路内へ延び、軸回転可能に構成された軸部と、
前記軸部に取り付けられ、前記連通口を閉塞可能に構成された閉塞部と、
を備え、
前記閉塞部は、前記軸部の軸回転により、前記連通口を開放する開放位置と、前記連通口を閉塞する閉塞位置と、の間で変位可能であり、
前記軸部の軸方向から視て、前記閉塞部の前記開放位置から前記閉塞位置への変位方向における前側の第1端部は、前記閉塞部の前記変位方向における前記第1端部と反対側の第2端部と比較して、前記軸部の中心軸からの距離が短い、排気系部品。
【請求項2】
請求項1に記載の排気系部品であって、
前記軸部は、その中心軸が前記排ガスの流れ方向において前記連通口の開口面と重ならないように配置されている、排気系部品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気系部品であって、
前記軸部は、前記流路部材の中心軸よりも前記連通口側に配置されている、排気系部品。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の排気系部品であって、
前記閉塞部は、帯状であって、その両端部が前記軸部に取り付けられている、排気系部品。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の排気系部品であって、
前記連通口は、前記流路部材における鉛直方向下側の領域に形成されている、排気系部品。
【請求項6】
請求項5に記載の排気系部品であって、
前記開放位置における前記閉塞部は、前記閉塞位置における前記閉塞部よりも上流側に位置している、排気系部品。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の排気系部品であって、
前記連通口を介して前記流路と連続する分岐路を形成する分岐部材を更に備える、排気系部品。
【請求項8】
請求項7に記載の排気系部品であって、
前記開放位置における前記閉塞部は、前記閉塞位置における前記閉塞部よりも下流側に位置している、排気系部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気系部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、弁室内に設けられ、弁室に形成された流出口を開閉可能な弁体が記載されている。特許文献1に記載の弁体は、軸部と閉塞部とを有する。閉塞部は、軸部に取り付けられ、軸部の軸回転により変位して流出口を開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5881335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内燃機関からの排ガスの流路を形成する流路部材がある。この種の流路部材に連通口が形成される場合、例えば、当該連通口を開閉可能にするために、特許文献1に記載のような閉塞部を設けることが考えられる。しかしながら、本発明者らの詳細な検討の結果、閉塞部を変位させるときに、閉塞部と流路部材との摺動音が発生してしまう場合があることが判明した。
【0005】
本開示の一局面は、連通口が形成された流路部材に連通口を閉塞可能な閉塞部が設けられる場合に、閉塞部と流路部材との摺動音を低減するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、排気系部品であって、流路部材と、軸部と、閉塞部と、を備える。流路部材は、内燃機関からの排ガスの流路を形成する。流路部材には、流路の内外を連通する連通口が形成されている。軸部は、流路内へ延び、軸回転可能に構成されている。閉塞部は、軸部に取り付けられ、連通口を閉塞可能に構成されている。また、閉塞部は、軸部の軸回転により、連通口を開放する開放位置と、連通口を閉塞する閉塞位置と、の間で変位可能である。軸部の軸方向から視て、閉塞部の開放位置から閉塞位置への変位方向における前側の第1端部は、閉塞部の上記変位方向における第1端部と反対側の第2端部と比較して、軸部の中心軸からの距離が短い。
【0007】
このような構成によれば、閉塞部と流路部材との摺動面積を低減することができるため、閉塞部と流路部材との摺動音を低減することができる。
【0008】
本開示の一態様では、軸部は、その中心軸が排ガスの流れ方向において連通口の開口面と重ならないように配置されていてもよい。このような構成によれば、閉塞部が閉塞位置にある状態において、閉塞部と流路部材との接触面積を増大することができるため、閉塞部と流路部材とのシール性を向上することができる。
【0009】
本開示の一態様では、軸部は、流路部材の中心軸よりも連通口側に配置されていてもよい。このような構成によれば、閉塞部によって排ガスの流れが妨げられることを抑制することができる。
【0010】
本開示の一態様では、閉塞部は、帯状であって、その両端部が軸部に取り付けられていてもよい。このような構成によれば、閉塞部が変位するときの閉塞部の安定性を向上させることができる。
【0011】
本開示の一態様では、連通口は、流路部材における鉛直方向下側の領域に形成されていてもよい。このような構成によれば、流路内で凝縮水が生じた場合に、連通口を介して凝縮水を流路部材の外部へ排出しやすくすることができる。
【0012】
本開示の一態様では、開放位置における閉塞部は、閉塞位置における閉塞部よりも上流側に位置していてもよい。このような構成によれば、流路内で凝縮水が生じた場合に、連通口を介して凝縮水を流路部材の外部へ一層排出しやすくすることができる。
【0013】
本開示の一態様は、連通口を介して流路と連続する分岐路を形成する分岐部材を更に備えてもよい。
【0014】
本開示の一態様では、開放位置における閉塞部は、閉塞位置における閉塞部よりも下流側に位置していてもよい。このような構成によれば、流路から連通口を介して分岐路へ排ガスを流入させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1Aは、第1実施形態の排気系部品において閉塞部が閉塞位置にある状態を示す模式図である。図1Bは、第1実施形態の排気系部品において閉塞部が開放位置にある状態を示す模式図である。
図2図2Aは、第1実施形態のバルブ機構の模式的な斜視図である。図2Bは、第1実施形態のバルブ機構の模式的な正面図である。図2Cは、第1実施形態のバルブ機構の模式的な下面図である。
図3】第1実施形態の閉塞部の変位を説明するための模式的な断面図である。
図4図4Aは、第2実施形態の排気系部品において閉塞部が閉塞位置にある状態を示す模式図である。図4Bは、第2実施形態の排気系部品において閉塞部が開放位置にある状態を示す模式図である。
図5】第1変形例の排気系部品の模式的な断面図である。
図6】第2変形例の排気系部品の模式的な断面図である。
図7】第3変形例の排気系部品の模式的な断面図である。
図8】第4変形例の排気系部品の模式的な断面図である。
図9】第5変形例の排気系部品の模式的な断面図である。
図10】第6変形例の排気系部品の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1A及び図1Bに示す排気系部品1は、自動車等の車両に搭載されて用いられる。排気系部品1は、車両の排気系を構成する部品である。排気系部品1は、流路部材2と、バルブ機構3と、を備える。なお、図1A及び図1Bでは、流路部材2は断面が示されている。
【0017】
<流路部材>
流路部材2は、車両の内燃機関からの排ガスGの流路20を形成する部材である。流路部材2は、筒状である。本実施形態の流路部材2は、円筒状である。本実施形態の流路部材2の中心軸に垂直な断面形状は、真円状である。ここでいう真円状とは、厳密な真円状を意味するものではなく、楕円状と区別する意味である。以下では、排ガスGの流れ方向における上流側及び下流側(つまり流路20の上流側及び下流側)を、単に上流側及び下流側という。流路部材2は、上流部21と、下流部22と、バルブ収容部23と、を備える。
【0018】
上流部21は、バルブ収容部23の上流側に配置された筒状の部分である。本実施形態の上流部21の径は、軸方向に沿って一定である。上流部21の軸方向における上流側の開口が、流路部材2の内部へ排ガスGを導入する導入口24として機能する。
【0019】
下流部22は、バルブ収容部23の下流側に配置された筒状の部分である。本実施形態の下流部22の径は、軸方向に沿って一定である。下流部22の軸方向における下流側の開口が、排ガスGを流路部材2の外部へ排出する排出口25として機能する。本実施形態では、導入口24の開口面と排出口25の開口面とは、互いに対向している。
【0020】
バルブ収容部23は、バルブ機構3が内部に配置される筒状の部分である。バルブ収容部23の中心軸P1は、排ガスGの流れ方向と平行である。また、本実施形態では、バルブ収容部23の中心軸P1は、直線状である。バルブ収容部23は、上流部21と下流部22との間に配置されている。バルブ収容部23は、拡径部23Aと、ストレート部23Bと、縮径部23Cと、を有する。
【0021】
拡径部23Aは、上流部21の下流側に配置された筒状の部分である。拡径部23Aは、下流側に向かって拡径している。すなわち、バルブ収容部23は、バルブ収容部23の上流側の部分に対して拡径している。
【0022】
ストレート部23Bは、拡径部23Aの下流側に配置された筒状の部分である。ストレート部23Bの径は、軸方向に沿って一定である。ストレート部23Bは、排ガスGの流れ方向周りを囲む周壁231を有する。周壁231は、筒状に連なった壁である。
【0023】
縮径部23Cは、ストレート部23Bの下流側に配置された筒状の部分である。縮径部23Cは、下流側に向かって縮径している。すなわち、バルブ収容部23は、バルブ収容部23の下流側の部分に向かって縮径している。
【0024】
周壁231には、連通口232が形成されている。連通口232は、流路20から流路20の外部へ流体を排出するための開口である。連通口232は、流路20の内外を連通している。本実施形態の連通口232は、流路20内で排ガスG中の水分が凝縮して凝縮水が発生した場合に、凝縮水を流路部材2の外部へ排出するために用いられる。
【0025】
具体的には、連通口232は、流路部材2の周壁231における鉛直方向下側の領域に形成されている。ここでいう鉛直方向とは、排気系部品1が車両に搭載された状態における鉛直方向を指す。図2A及び図2Cを除き、図面における上下方向が、排気系部品1が車両に搭載された状態における鉛直方向に対応する。また、周壁231における鉛直方向下側の領域とは、より詳細には、周壁231におけるバルブ収容部23の中心軸P1よりも鉛直方向下側の領域である。本実施形態の連通口232は、当該領域のなかでも、特に、周壁231の鉛直方向における最も低い位置を含む領域に形成されている。なお、連通口232の開口面は、導入口24及び排出口25の各開口面とは対向していない。
【0026】
<バルブ機構>
バルブ機構3は、バルブ収容部23の内部に配置されている。バルブ機構3は、連通口232を開閉可能に構成されている。図2A図2Cに示すように、バルブ機構3は、軸部31と、閉塞部32と、弾性部材33と、を有する。
【0027】
軸部31は、直線状に延びる棒状の部材である。図1A及び図1Bに示すように、軸部31は、流路20内へ延びるように、バルブ収容部23に回転可能に取り付けられている。軸部31の中心軸P2は、バルブ収容部23の中心軸P1、ひいては排ガスGの流れ方向と垂直である。軸部31の中心軸P2は、バルブ収容部23の中心軸P1を通っている。つまり、軸部31は、バルブ収容部23の中心軸P1上に配置されている。
【0028】
また、軸部31は、軸部31の中心軸P2が排ガスGの流れ方向において連通口232の開口面と重ならないように配置されている。ここでいう軸部31の中心軸P2が連通口232の開口面と重ならないこととは、軸部31の中心軸P2が連通口232の外縁線よりも内側へ入らないことを意味する。このため、軸部31の中心軸P2が連通口232の外縁線と重なることは、軸部31の中心軸P2が連通口232の開口面と重ならないことに含まれる。
【0029】
軸部31は、図示しないアクチュエータに接続され、アクチュエータの駆動によって軸回転する。すなわち、軸部31は、軸回転可能に構成されている。
【0030】
閉塞部32は、連通口232を閉塞可能に構成されている。言い換えれば、閉塞部32は、連通口232の全体を覆うことが可能な大きさを有する。閉塞部32における連通口232を覆うように構成された部分は、連通口232の開口面と一致する大きさであってもよいが、本実施形態では、当該部分は、図1Aに示すように連通口232の開口面よりも大きい。
【0031】
また、閉塞部32は、バルブ収容部23の周方向の内面形状に対応した形状である。本実施形態では、バルブ収容部23が円筒状であるため、閉塞部32は、図2A図2Cに示すように、円弧状に湾曲した帯状に形成されている。すなわち、本実施形態の閉塞部32は、延び方向に沿った断面形状が円弧状である。本実施形態の閉塞部32は、延び方向と垂直方向の長さ、つまり幅が延び方向に沿って一定である。
【0032】
閉塞部32は、流路20内において、軸部31の軸回転により軸部31の周方向に変位するように、軸部31に取り付けられている。具体的には、閉塞部32は、軸部31側と反対側へ膨出するように、閉塞部32の延び方向における両端部が軸部31に取り付けられている。閉塞部32の平面視において、閉塞部32の延び方向は、軸部31の中心軸P2と平行である。軸部31の径方向において、閉塞部32と軸部31との間には、排ガスGが通過可能な空間が存在する。すなわち、閉塞部32は、軸部31の径方向において、軸部31と対向している。
【0033】
閉塞部32は、軸部31の軸回転により、図1Aに示す閉塞位置と、図1Bに示す開放位置と、の間で変位可能である。閉塞位置は、閉塞部32が連通口232を閉塞する位置(つまり連通口232の開度を0%とする位置)である。開放位置は、閉塞部32が連通口232を開放する位置(つまり連通口232の開度を100%とする位置)である。閉塞部32が閉塞位置にある状態において、閉塞部32は、バルブ収容部23の内面に沿って位置している。
【0034】
本実施形態では、開放位置は、閉塞位置よりも上流側の位置である。したがって、開放位置における閉塞部32は、閉塞位置における閉塞部32よりも上流側に位置している。言い換えれば、閉塞部32は、開放位置にある場合に、閉塞位置にある場合よりも上流側に位置している。
【0035】
本実施形態の開放位置は、より詳細には、閉塞部32が閉塞位置から上流側へ90°回転した位置である。閉塞部32が開放位置にある状態において、閉塞部32は、流路20を横断するように位置している。閉塞部32が閉塞位置から開放位置へ変位し、連通口232が開放されることにより、流路20内で生じた凝縮水が連通口232を介して流路部材2の外部へ排出される。
【0036】
以下では、図3に示すように、閉塞部32が閉塞位置から開放位置へ変位するとき(つまり連通口232を開放する向きに変位するとき)の変位方向を、開放変位方向R1という。閉塞部32が開放位置から閉塞位置へ変位するとき(つまり連通口232を閉塞する向きに変位するとき)の変位方向を、閉塞変位方向R2という。閉塞部32の閉塞変位方向R2における前側の端部を、第1端部321という。第1端部321は、閉塞部32が連通口232を閉塞する向きに変位するときに先頭となる端部とも言い換えられる。また、閉塞部32の閉塞変位方向R2における第1端部321と反対側の端部を、第2端部322という。第2端部322は、閉塞部32の開放変位方向R1における前側の端部、すなわち閉塞部32が連通口232を開放する向きに変位するときに先頭となる端部とも言い換えられる。
【0037】
軸部31の軸方向から視て、第1端部321及び第2端部322は、軸部31の中心軸P2からの距離が異なる。具体的には、軸部31の軸方向から視て、第1端部321の軸部31の中心軸P2からの距離である第1距離D1が、第2端部322の軸部31の中心軸P2からの距離である第2距離D2よりも短い。第1距離D1は、第1端部321が描く軌跡の半径と一致する。第2距離D2は、第2端部322が描く軌跡の半径と一致する。
【0038】
弾性部材33は、いわゆる緩衝部材である。弾性部材33は、耐熱性及び弾性を有する。図2A図2Cに示すように、弾性部材33は、閉塞部32の外面に配置されている。弾性部材33は、閉塞部32の外面における連通口232と重なる領域を少なくとも覆っている。弾性部材33は、閉塞部32が連通口232を閉塞するときに、閉塞部32によって、バルブ収容部23の内面における連通口232の周囲の領域に押し付けられる。また、閉塞部32の変位に伴って、弾性部材33は、バルブ収容部23の内面に対して摺動する。
【0039】
[1-2.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0040】
(1a)軸部31の軸方向から視て、第1端部321の軸部31の中心軸P2からの第1距離D1は、第2端部322の軸部31の中心軸P2からの第2距離D2よりも短い。
【0041】
このような構成によれば、第1距離D1が第2距離D2よりも短いことにより、閉塞部32が変位するときの閉塞部32とバルブ収容部23との摺動面積を低減することができる。例えば、図3に示すように、閉塞部32が連通口232を閉塞する向きに変位するときに、第1端部321及び第2端部322が、連通口232を閉塞する直前まで、バルブ収容部23の内面における連通口232の周囲の領域に接触しない構成も実現可能である。このように閉塞部32とバルブ収容部23との摺動面積が低減されることにより、閉塞部32が変位するときの閉塞部32とバルブ収容部23との摺動音を低減することができる。
【0042】
(1b)軸部31は、その中心軸P2が排ガスGの流れ方向において連通口232の開口面と重ならないように配置されている。このような構成によれば、図1Aに示すように、閉塞部32における連通口232を覆うように構成された部分を、連通口232の開口面よりも大きく構成したとしても、閉塞部32は、バルブ収容部23に干渉せずに変位することが可能である。このように閉塞部32における連通口232を覆うように構成された部分が連通口232の開口面よりも大きい場合、閉塞部32は、閉塞位置にある状態において、バルブ収容部23の内面における連通口232の周囲の領域に、直接、又は本実施形態のように弾性部材33が設けられている場合には弾性部材33を介して、面接触する。すなわち、閉塞部32が閉塞位置にある状態において、閉塞部32とバルブ収容部23との接触面積を増大することができるため、閉塞部32とバルブ収容部23とのシール性を向上することができる。
【0043】
(1c)閉塞部32は、帯状である。閉塞部32の延び方向における両端部は、それぞれ軸部31に取り付けられている。このような構成によれば、閉塞部32が変位するときの閉塞部32の安定性を向上させることができる。
【0044】
(1d)流路20内で凝縮水が生じた場合、凝縮水は、重力により流路部材2の内面を鉛直方向下方へ伝って、流路部材2における鉛直方向下側の部分に溜まりやすい。そこで、連通口232は、流路部材2の周壁231における鉛直方向下側の領域に形成されている。このような構成によれば、流路20内で生じた凝縮水を連通口232を介して流路部材2の外部へ排出しやすくすることができる。
【0045】
(1e)特に本実施形態では、連通口232は、周壁231の鉛直方向における最も低い位置を含む領域に形成されている。このような構成によれば、流路20内で生じた凝縮水を連通口232を介して流路部材2の外部へ一層排出しやすくすることができる。
【0046】
(1f)流路20内で凝縮水が生じた場合、凝縮水が閉塞部32に付着することも考えられる。そこで、閉塞部32の開放位置は、閉塞位置よりも上流側に設定されている。すなわち、閉塞部32は、連通口232を開放するときに上流側へ変位するように構成されている。
【0047】
このような構成によれば、閉塞部32が開放位置にある状態において、閉塞部32に付着していた凝縮水は、重力によって流路部材2の内面における連通口232よりも上流側へ落下し得る。そして、この凝縮水は、排ガスGの流れにより下流側へ押され、連通口232を介して流路部材2の外部へ排出され得る。したがって、流路20内で生じた凝縮水を流路部材2の外部へ一層排出しやすくすることができる。
【0048】
(1g)バルブ収容部23は、バルブ収容部23の上流側の部分に対して拡径している。バルブ収容部23の内部には、バルブ機構3が配置されている。すなわち、バルブ機構3は、上流側の部分に対して径の大きい部分に配置される。このような構成によれば、バルブ機構3により排ガスGの流れが妨げられることを抑制することができる。
【0049】
(1h)閉塞部32の外面には、弾性部材33が配置されている。このような構成によれば、閉塞部32が閉塞位置にある状態における連通口232の密閉性を高めることができる。
【0050】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
第2実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0051】
図4A及び図4Bに示す第2実施形態の排気系部品10は、前述した流路部材2及びバルブ機構3に加え、更に分岐部材4を備える。なお、図4A及び図4Bでは、流路部材2は断面が示されている。
【0052】
分岐部材4は、流路部材2の外面に接合された筒状の部材である。具体的には、分岐部材4の軸方向における一方の端部が、連通口232を囲むように、流路部材2の外面に接合されている。分岐部材4は、連通口232を介して流路20と連続する分岐路40を形成している。この場合、連通口232は、流路20から分岐路40へ排ガスGを排出する、すなわち流路20から分岐路40へ排ガスGを流入させるための開口に該当する。
【0053】
また、第2実施形態の排気系部品10では、閉塞部32の開放位置が、閉塞位置よりも上流側ではなく下流側の位置である。したがって、第2実施形態において、開放位置における閉塞部32は、閉塞位置における閉塞部32よりも下流側に位置している。言い換えれば、閉塞部32は、開放位置にある場合に、閉塞位置にある場合よりも下流側に位置している。
【0054】
第2実施形態の開放位置は、より詳細には、閉塞部32が閉塞位置から下流側へ90°回転した位置である。第2実施形態においても、閉塞部32が開放位置にある場合、閉塞部32は、流路20を横断するように位置している。閉塞部32が閉塞位置にある場合には、閉塞部32は、バルブ収容部23の内面に沿って位置している。
【0055】
閉塞部32が閉塞位置から開放位置へ変位し、連通口232が開放されることにより、流路20から連通口232を介して分岐路40へ排ガスGが流入される。
【0056】
[2-2.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、上記(1a)~(1c),(1g),(1h)と同様の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
【0057】
(2a)本実施形態では、閉塞部32の開放位置が閉塞位置よりも下流側に設定されている。つまり、閉塞部32は、連通口232を開放するときに下流側へ変位するように構成されている。
【0058】
このような構成によれば、閉塞部32が開放位置にある場合に、連通口232よりも下流側において、閉塞部32により排ガスGの流れに抵抗を生じさせることができる。したがって、連通口232よりも下流側でこのような抵抗が生じない構成と比較して、流路20から連通口232を介して分岐路40へ排ガスGを流入させやすくすることができる。
【0059】
(2b)閉塞部32は、開放位置にある場合、流路20を横断するように位置している。このような構成によれば、閉塞部32が開放位置にある場合に、閉塞部32がバルブ収容部23の内面に沿って位置する構成と比較して、閉塞部32により排ガスGの流れに生じる抵抗を大きくすることができる。したがって、流路20から連通口232を介して分岐路40へ排ガスGを一層流入させやすくすることができる。さらに、閉塞部32の開放位置にある場合における排ガスGの流れ方向から視た面積を調節することにより、分岐路40への排ガスGの流入量を調節することも可能である。
【0060】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0061】
(3a)上記実施形態では、連通口232は、バルブ収容部23の周壁231における鉛直方向下側の領域に形成されている。しかし、連通口232が形成される位置は特に限定されない。上記第2実施形態のように、連通口232が排ガスGを分岐路40へ流入させるための開口として用いられる場合、例えば、図5に示すように、連通口232が周壁231における鉛直方向上側の領域に形成されてもよい。
【0062】
(3b)また例えば、連通口232は、必ずしもバルブ収容部23のストレート部23Bに形成されなくてもよい。連通口232は、例えば、図6に示すようにバルブ収容部23の縮径部23Cに形成されてもよいし、バルブ収容部23の拡径部23Aに形成されてもよい。
【0063】
(3c)上記実施形態では、バルブ収容部23は、上流側の部分に対して拡径し、且つ、下流側の部分に向かって縮径している。しかし、バルブ収容部23は、上流側の部分に対して必ずしも拡径していなくてもよいし、下流側の部分に向かって必ずしも縮径していなくてもよい。例えば、図7に示すように、バルブ収容部23は、軸方向に沿って径が一定の筒状の部分であってもよい。
【0064】
(3d)上記実施形態では、バルブ収容部23の中心軸P1は、直線状である。しかし、バルブ収容部23の中心軸P1の形状は特に限定されない。例えば、図8に示すように、バルブ収容部23の中心軸P1は、一部で湾曲していてもよい。すなわち、バルブ収容部23は、中心軸P1が湾曲した部分である湾曲部23Dを有してもよい。
【0065】
例えば、図8に示すように、湾曲部23Dが、排ガスGの流れ方向を鉛直方向上方へ誘導する部分である場合、流路20内で生じた凝縮水は、湾曲部23Dの底に溜まりやすい。したがって、このような構成においては、例えば、湾曲部23Dの周壁における鉛直方向下側の領域に連通口232が形成されることにより、流路20内で生じた凝縮水を流路部材2の外部へ排出しやすくすることができる。
【0066】
(3e)上記実施形態では、軸部31は、バルブ収容部23の中心軸P1上に配置されているが、軸部31の位置は特に限定されない。例えば、図9に示すように、軸部31は、バルブ収容部23の中心軸P1よりも連通口232側に配置されてもよい。より詳細には、軸部31は、その中心軸P2がバルブ収容部23の中心軸P1よりも連通口232側を通るように配置されてもよい。このような構成によれば、閉塞部32が開放位置にある状態において、閉塞部32がバルブ収容部23の内面に沿って位置するように構成することが可能になる。このように閉塞部32をバルブ収容部23の内面に沿って位置させることにより、閉塞部32が開放位置にある状態においても、閉塞部32によって排ガスGの流れが妨げられることを抑制することができる。
【0067】
また、バルブ収容部23の排ガスGの流れ方向における軸部31の位置も特に限定されず、例えば、図10に示すように、軸部31は、バルブ収容部23における下流側の位置に配置されてもよい。
【0068】
(3f)上記第1実施形態では、閉塞部32は、連通口232を開放するときに上流側へ変位するように構成されている。反対に、上記第2実施形態では、閉塞部32は、連通口232を開放するときに下流側へ変位するように構成されている。しかし、閉塞部32の変位方向は特に限定されない。
【0069】
(3g)上記実施形態のようにバルブ機構3が弾性部材33を有する場合、弾性部材33の素材としては、例えば、ステンレスウール等の金属ワイヤで構成されたメッシュ、グラスウール、アルミナファイバー等で構成されたマット、又はゴムを使用することができる。また、バルブ機構3は、必ずしも弾性部材33を有しなくてもよい。
【0070】
(3h)上記実施形態では、流路部材2は円筒状であるが、流路部材2の形状は特に限定されない。例えば、流路部材2は、角筒状であってもよい。閉塞部32の形状も特に限定されず、流路部材2のバルブ収容部23の形状に応じて適宜変更されてもよい。
【0071】
(3i)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0072】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
内燃機関からの排ガスの流路を形成する流路部材であって、前記流路の内外を連通する連通口が形成された前記流路部材と、
前記流路内へ延び、軸回転可能に構成された軸部と、
前記軸部に取り付けられ、前記連通口を閉塞可能に構成された閉塞部と、
を備え、
前記閉塞部は、前記軸部の軸回転により、前記連通口を開放する開放位置と、前記連通口を閉塞する閉塞位置と、の間で変位可能であり、
前記軸部の軸方向から視て、前記閉塞部の前記開放位置から前記閉塞位置への変位方向における前側の第1端部は、前記閉塞部の前記変位方向における前記第1端部と反対側の第2端部と比較して、前記軸部の中心軸からの距離が短い、排気系部品。
【0073】
[項目2]
項目1に記載の排気系部品であって、
前記軸部は、その中心軸が前記排ガスの流れ方向において前記連通口の開口面と重ならないように配置されている、排気系部品。
【0074】
[項目3]
項目1又は項目2に記載の排気系部品であって、
前記軸部は、前記流路部材の中心軸よりも前記連通口側に配置されている、排気系部品。
【0075】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載の排気系部品であって、
前記閉塞部は、帯状であって、その両端部が前記軸部に取り付けられている、排気系部品。
【0076】
[項目5]
項目1から項目4までのいずれか1項に記載の排気系部品であって、
前記連通口は、前記流路部材における鉛直方向下側の領域に形成されている、排気系部品。
【0077】
[項目6]
項目5に記載の排気系部品であって、
前記開放位置における前記閉塞部は、前記閉塞位置における前記閉塞部よりも上流側に位置している、排気系部品。
【0078】
[項目7]
項目1から項目4までのいずれか1項に記載の排気系部品であって、
前記連通口を介して前記流路と連続する分岐路を形成する分岐部材を更に備える、排気系部品。
【0079】
[項目8]
項目7に記載の排気系部品であって、
前記開放位置における前記閉塞部は、前記閉塞位置における前記閉塞部よりも下流側に位置している、排気系部品。
【符号の説明】
【0080】
1…排気系部品、2…流路部材、20…流路、21…上流部、22…下流部、23…バルブ収容部、231…周壁、232…連通口、3…バルブ機構、31…軸部、32…閉塞部、321…第1端部、322…第2端部、33…弾性部材、4…分岐部材、40…分岐路、G…排ガス、P1,P2…中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10