(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113464
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
F25D 21/04 20060101AFI20240815BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20240815BHJP
A47F 3/04 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
F25D21/04 V
F25D19/00 550B
F25D19/00 552D
A47F3/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018462
(22)【出願日】2023-02-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.令和4年11月16日、スーパーセンタートライアル甘木店へ納品 2.令和4年11月16日、スーパーセンタートライアル大牟田店へ納品 3.令和5年1月11日、マツオスーパーへ納品
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】笠原 一樹
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110AA12
3B110BA04
3B110BA07
3B110CA13
3B110CA20
(57)【要約】
【課題】機械室の左右一端部に吸気口を備えるショーケースにおいて、その左右両面を排気で温めて結露を防止する。
【解決手段】機械室23の左右一方の端部である第1端部の壁面に、機械室23へ外気を取り込むための吸気口31~33が設けられており、機械室23の第1端部に臨む第1側壁34に、機械室23からの排気のための第1排気口41が設けられており、機械室23の第1側壁34に対向する第2側壁44に、機械室23からの排気のための第2排気口42が設けられている。凝縮器カバー28の上面と機械室23の天面との間に、凝縮器カバー28から流出した熱交換後の暖気の一部が流れる上通気路45が形成されており、上通気路45から第1排気口41へ至る排気空間48と、吸気口31~33から凝縮器カバー28の入口へ至る吸気空間39とが、仕切体49で隔てられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口を有する陳列室(5)の下方に機械室(23)が設けられているショーケースであって、
機械室(23)には、陳列室(5)を冷却するための冷凍サイクルを構成する圧縮機(24)および凝縮器(25)と、凝縮器(25)の上面と前後面を覆う凝縮器カバー(28)と、凝縮器(25)を左右に横切る空気流を凝縮器カバー(28)内に形成する機械室ファン(27)とが収容されており、
機械室(23)の左右一方の端部である第1端部の壁面に、機械室(23)へ外気を取り込むための吸気口(31~33)が設けられており、
機械室(23)の第1端部に臨む第1側壁(34)に、機械室(23)からの排気のための第1排気口(41)が設けられており、
機械室(23)の第1側壁(34)に対向する第2側壁(44)に、機械室(23)からの排気のための第2排気口(42)が設けられており、
凝縮器カバー(28)の上面と機械室(23)の天面との間に、凝縮器カバー(28)から流出した熱交換後の暖気の一部が流れる上通気路(45)が形成されており、
上通気路(45)から第1排気口(41)へ至る排気空間(48)と、吸気口(31~33)から凝縮器カバー(28)の入口へ至る吸気空間(39)とが、仕切体(49)で隔てられていることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
ショーケースの庫内(4)が陳列室(5)と循環通路(6)に区画されており、
循環通路(6)には、同通路(6)に空気流を形成する循環ファン(11)と、同通路(6)を流れる空気を冷却する蒸発器(12)とが設けられており、
陳列室(5)の底板(8)の下側において、循環通路(6)の左右両側が閉塞体(20)でそれぞれ塞がれており、
各閉塞体(20)の外面が、ショーケースの外面を構成する外装パネル(19)で覆われており、
外装パネル(19)と閉塞体(20)の間に、第1排気口(41)または第2排気口(42)を介して機械室(23)に連通する排気ダクト(53)が形成されている請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
循環通路(6)において、閉塞体(20)で塞がれる区間の下流側に蒸発器(12)が配置されている請求項2に記載のショーケース。
【請求項4】
仕切体(49)が、凝縮器カバー(28)の上面で支持される底壁と、該底壁の前後縁から機械室(23)の天面まで上方へ伸びる一対の縦壁とを備えるチャンネル状に形成される請求項1から3のいずれかひとつに記載のショーケース。
【請求項5】
機械室(23)の前壁(35)に、第1排気口(41)と第2排気口(42)よりも排気量が多い第3排気口(43)が設けられている請求項1から3のいずれかひとつに記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械室からの排気を結露の防止に利用する冷蔵あるいは冷凍用のショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
機械室から排出される熱交換後の暖気でショーケースの外壁を温めて、その表面の結露を防止することは、例えば特許文献1に開示されており公知である。特許文献1のショーケースは、前方へ開口する冷凍あるいは冷蔵商品の陳列室と、その下方に設けられる機械室とを備える。機械室の前面にはルーバ部が設けられており、該ルーバ部から機械室に取り込まれた空気が、機械室内の圧縮機や凝縮器を冷却する。この熱交換によって昇温した暖気の一部は、ケース本体の背面板に沿って上昇し、天板の後方から上向きに吹き出される。当該暖気の残部は、機械室の左右両側にそれぞれ設けられた吐出穴から、陳列室のガラス側板の外面に沿って上向きに吹き出される。この暖気で左右のガラス側板を温めることにより、その外面の結露を防止することができる。
【0003】
同種のショーケースは特許文献2にも開示されている。特許文献2のショーケースは、陳列室がガラス扉で開閉される密閉型のショーケースであり、この陳列室の下側に、断熱壁で囲まれる蒸発器室が形成されている。陳列室と蒸発器室を上下に隔てる仕切板の右端部には、蒸発器で冷却された冷気の吐出口が設けられており、該吐出口と対になる吸入口が、仕切板の左端部に設けられている。蒸発器室の下方に設けられた機械室には、蒸発器と共に冷凍サイクルを構成する圧縮機および凝縮器と、両機器の冷却用のファンなどが収容されており、該ファンは機械室内を左から右へ向かう空気流を形成する。機械室の左側壁には、外気を機械室へ取り込むための吸気口が設けられており、同右側壁には、機械室からの排気のための排気口が設けられている。
【0004】
機械室を区画する箱型ケースの上部は、蒸発器室を取り囲む断熱壁の外面に沿って上方へ伸びており、これら箱型ケースと断熱壁の間には、機械室からの排気の流通を許す隙間が形成されている。この隙間によれば、機械室からの排気、つまり凝縮器と圧縮機で熱交換して昇温した暖気の一部を、陳列室の側面ガラスの外面側へ導いて、これを温めることができる。機械室内の空気流が右向きであることから、暖気は主に右側の隙間を上昇し、陳列室の右側の側面ガラスへ供給される。これにより、冷気の吐出口に近いため低温になりやすい右側の側面ガラスを効果的に温めて、その外面の結露を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実願昭60-103531号(実開昭62-11463号)のマイクロフィルム
【特許文献2】特開2000-139634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のショーケースのように、機械室の前面に吸気口(ルーバ部)を設けると、熱交換後の暖気を左右両側へ比較的容易に案内して、ショーケースの左右両面を温めることができる。ただし、機械室内の圧縮機と凝縮器は、吸気方向に沿って並べるのが一般的である。特許文献1のショーケースは、機械室の前面に吸気口を備えるため、機械室内で圧縮機と凝縮器は前後方向に並んでいると考えられる。このように圧縮機と凝縮器を前後に並べると、これらを特許文献2のように左右に並べる場合に比べて、機械室ひいてはショーケースの前後幅が大きくなる。従って、非冷蔵商品の陳列棚に組み込むショーケースなど、その前後幅に制約がある場合には、機械室の前面から吸気する構成は採用し難い。
【0007】
特許文献2のショーケースのように、機械室の左右一端部(左端部)に吸気口を設け、機械室内に左右方向の空気流を形成する場合、該空気流の下流側(右側)へ暖気を案内することは比較的容易であるが、該空気流の上流側(左側)へ暖気を案内することは容易ではない。特許文献2のショーケースでは、陳列室の左右一側(左側)が他側(右側)に比べて殆ど冷却されないため、低温である他側(右側)のみを温めれば足りるが、特許文献1のオープンショーケースなど、陳列室が左右均等に冷却される多くのショーケースにおいては、その左右両側を温めることが肝要である。
【0008】
本発明は、機械室の左右一端部に吸気口を備えるショーケースにおいて、その左右両面を排気で温めて結露を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前面に開口を有する陳列室5の下方に機械室23が設けられているショーケースを対象とする。機械室23には、陳列室5を冷却するための冷凍サイクルを構成する圧縮機24および凝縮器25と、凝縮器25の上面と前後面を覆う凝縮器カバー28と、凝縮器25を左右に横切る空気流を凝縮器カバー28内に形成する機械室ファン27とが収容されている。機械室23の左右一方の端部である第1端部の壁面に、機械室23へ外気を取り込むための吸気口31~33が設けられており、機械室23の第1端部に臨む第1側壁34に、機械室23からの排気のための第1排気口41が設けられており、機械室23の第1側壁34に対向する第2側壁44に、機械室23からの排気のための第2排気口42が設けられている。凝縮器カバー28の上面と機械室23の天面との間に、凝縮器カバー28から流出した熱交換後の暖気の一部が流れる上通気路45が形成されており、上通気路45から第1排気口41へ至る排気空間48と、吸気口31~33から凝縮器カバー28の入口へ至る吸気空間39とが、仕切体49で隔てられていることを特徴とする。
【0010】
ショーケースの庫内4が陳列室5と循環通路6に区画されており、循環通路6には、同通路6に空気流を形成する循環ファン11と、同通路6を流れる空気を冷却する蒸発器12とが設けられており、陳列室5の底板8の下側において、循環通路6の左右両側が閉塞体20でそれぞれ塞がれており、各閉塞体20の外面が、ショーケースの外面を構成する外装パネル19で覆われており、外装パネル19と閉塞体20の間に、第1排気口41または第2排気口42を介して機械室23に連通する排気ダクト53が形成されている。
【0011】
循環通路6において、閉塞体20で塞がれる区間の下流側に蒸発器12が配置されている。
【0012】
仕切体49が、凝縮器カバー28の上面で支持される底壁と、該底壁の前後縁から機械室23の天面まで上方へ伸びる一対の縦壁とを備えるチャンネル状に形成される。
【0013】
機械室23の前壁35に、第1排気口41と第2排気口42よりも排気量が多い第3排気口43が設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るショーケースでは、機械室23の左右一方の端部である第1端部に吸気口31~33が設けられており、該第1端部に臨む第1側壁34に第1排気口41が設けられており、該第1側壁34に対向する第2側壁44に第2排気口42が設けられている。このように、機械室23の左右両側に排気口41・42を設けると、凝縮器25などで吸熱した暖気でショーケースの左右両側を温めて、その外面の結露を防止することができる。さらに本発明では、凝縮器カバー28の上面と機械室23の天面との間に、凝縮器カバー28から流出した暖気の一部が流れる上通気路45が形成されており、上通気路45から第1排気口41へ至る排気空間48と、吸気口31~33から凝縮器カバー28の入口へ至る吸気空間39とが、仕切体49で隔てられている。この仕切体49によれば、吸気空間39の負圧が排気空間48へ伝わらないようにして、上通気路45から第1排気口41へ向かう暖気の流れを排気空間48に形成することができる。つまり、吸気口31~33と同じ端部に位置する第1排気口41を、確実に排気の用に供することができる。
【0015】
循環通路6の左右両側を塞ぐ閉塞体20は、循環通路6を流れる空気で冷やされて外気よりも低温になりやすく、この低温が閉塞体20を覆う外装パネル19に伝わると、該外装パネル19の表面に結露が生じるおそれがある。そこで本発明では、外装パネル19と閉塞体20の間に、第1排気口41または第2排気口42を介して機械室23に連通する排気ダクト53を形成した。これによれば、機械室23から排出される暖気を排気ダクト53へ流し、この暖気で外装パネル19を効果的に温めて、その表面の結露を防止することができる。
【0016】
循環通路6において、閉塞体20で塞がれる区間の下流側に蒸発器12を配置すると、蒸発器12の低温が閉塞体20ひいては外装パネル19へ伝わることを抑制して、外装パネル19の表面の結露をより確実に防止することができる。さらに、蒸発器12を通過して冷却された冷気と、排気ダクト53を流れる暖気との熱交換を回避して、庫内4の温度の上昇を防止することができる。
【0017】
仕切体49を、凝縮器カバー28の上面で支持される底壁と、該底壁の前後縁から機械室23の天面まで上方へ伸びる一対の縦壁とを備えるチャンネル状に形成すると、仕切体49の形状を簡素化するとともに、凝縮器カバー28とは別に仕切体49の支持構造を設けることを不要として、仕切体49の追加に伴うショーケースの製造コストの増加を抑えることができる。
【0018】
機械室23の前壁35に、第1排気口41と第2排気口42よりも排気量が多い第3排気口43を設けると、非冷蔵商品の陳列棚に組み込むのに好適なショーケースを得ることができる。つまり、陳列棚にショーケースを組み込む場合、その左右には非冷蔵商品が陳列されることが多いため、排気の多くを第3排気口43から前方へ放出すると、非冷蔵商品に対して排気が強く吹き付けられる不都合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るショーケースの機械室を示す縦断正面図である。
【
図3】同ショーケースの縦断側面図であり、
図2におけるA-A線断面図である。
【
図4】同ショーケースの下部の部分破断側面図である。
【
図5】同ショーケースの左右両端部の縦断正面図である。
【
図6】機械室の空気の流れを(a)正面と(b)平面から示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態) 本発明を多段型の冷蔵オープンショーケースに適用した実施形態を
図1ないし
図6に示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、
図2および
図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。両図において冷蔵オープンショーケース(以下、単にショーケースと記す。)は、断熱壁で構成される側面視コ字状のケース本体1と、ケース本体1を下側から支持する四角箱状の基台2と、ケース本体1の左右の開口を塞ぐ一対のサイドパネル3とを備える。ケース本体1とサイドパネル3で囲まれる庫内4は、前方へ開口する陳列室5と、陳列室5を三方から取り囲む側面視コ字状の循環通路6とに区画されている。ショーケースの陳列対象である冷蔵商品は、陳列室5に上下多段状に設置された棚板7、あるいは、陳列室5と循環通路6の下部とを隔てる底板8に載置される。
【0021】
循環通路6には、同通路6に空気流を形成する循環ファン11と、同通路6を流れる空気を冷却する蒸発器12とが設けられている。循環通路6の上部前端には下向きの吹出口13が設けられ、同通路6の下部前端には上向きの吸込口14が設けられている。循環ファン11が駆動することにより、蒸発器12で冷却された冷気が吹出口13から吸込口14へ下向きに吹き出されて、陳列室5の前面に冷気のエアカーテンが形成される。このエアカーテンは、陳列室5内の空気を冷却するとともに、陳列室5への外気の侵入を遮断する。
【0022】
各サイドパネル3は、陳列室5に臨む前側の窓パネル17および後側の断熱パネル18と、窓パネル17および断熱パネル18の下縁に連続する金属製の外装パネル19とで構成される。窓パネル17はガラス製の板材からなり、断熱パネル18は断熱材を内包する断熱壁で構成される。断熱パネル18の後部は、陳列室5の後方の循環通路6を左右から塞いでおり、左右の断熱パネル18の下部の間に蒸発器12が配置されている。なお、底板8の下側すなわち循環通路6の下部の左右両側は、ケース本体1に固定された一対の閉塞体20で塞がれている。各閉塞体20は、循環通路6に臨む金属製の内板21と、内板21の外面に密着する合成樹脂(ポリエチレン)製の断熱シート22とを備える2層構造である。この循環通路6の下部は、蒸発器12の上流側すなわち蒸発器12で冷却される直前の空気が流れる比較的高温の区間であるため、閉塞体20に求められる断熱性は断熱パネル18に比べて低い。各閉塞体20の内板21の上端部には、底板8を支持する不図示の支持構造が設けられている。外装パネル19は、閉塞体20の外面を覆うとともに、基台2の側壁の上半部の外面を覆うが、その詳細については後述する。
【0023】
基台2の内側に画成された機械室23には、蒸発器12と共に冷凍サイクルを構成する圧縮機24および凝縮器25と、庫内4で生じたドレン水を蒸発処理する蒸発処理装置26と、機械室23に空気流を形成する軸流型の機械室ファン27などが収容されている。機械室ファン27が形成する空気流は、圧縮機24と凝縮器25を冷却するとともに、蒸発処理装置26へ流入したドレン水の蒸発を促進する。詳しくは、
図1に示すように、凝縮器25と機械室ファン27と蒸発処理装置26と圧縮機24が左から右へ記載順に配置されており、凝縮器25と機械室ファン27の上面および前後面が、左右に開口する凝縮器カバー28で覆われている。機械室ファン27は、凝縮器25を左から右へ横切る空気流を凝縮器カバー28内に形成しており、凝縮器カバー28の右側開口すなわち空気の出口に蒸発処理装置26と圧縮機24が正対している。
【0024】
機械室23の左端部(第1端部)の壁面には、機械室23へ外気を取り込むための吸気口31~33が設けられている。具体的には、
図1および
図3に示すように、機械室23の左壁(第1側壁)34と、同前壁35および後壁36の左端部とに、一群の小孔で構成される吸気口31~33がそれぞれ設けられている。左側の吸気口31は、外装パネル19で覆われない左壁34の下端部に前後横長に形成されている。前側の吸気口32は前壁35の左下隅部に形成されており(
図2参照)、後側の吸気口33は後壁36の上半部と下半部に跨る上下縦長に形成されている。凝縮器カバー28の左側開口すなわち空気の入口は、機械室23の左壁34から所定距離だけ離れており、左壁34と凝縮器カバー28の間には、機械室ファン27の駆動により負圧となる吸気空間39が形成されている。この吸気空間39に臨むように各吸気口31~33は配置されている。なお、これら3個の吸気口31~33を設けるのに代えて、前壁35と左壁34と後壁36に跨る1個の大型の吸気口を設けてもよく、また、3個の吸気口31~33のうちいずれか1個または2個を省略してもよい。
【0025】
一方、機械室23からの排気のための排気口41~43は、機械室23の左壁34と右壁(第2側壁)44と前壁35のそれぞれに設けられている。
図1に示すように第1排気口41は、左壁34の上端部に形成されて、凝縮器カバー28の上面と機械室23の天面(ケース本体1の外底面)との間の空間に正対している。当該空間は、凝縮器カバー28の出口から流出した熱交換後の暖気の一部が流れる上通気路45を構成する。また第2排気口42は、右壁44の上半部に形成されている。第1排気口41と第2排気口42はそれぞれ前後横長の矩形状に形成されている(
図4参照)。
図2に示すように第3排気口43は、前壁35の右下隅部に左右横長に形成されており、この第3排気口43の左半部の後方に圧縮機24が配置されている。
【0026】
図1に示すように、第1排気口41に臨む機械室23の左上隅部には、上通気路45から第1排気口41へ至る排気空間48を区画して、同空間48を吸気空間39から隔てる仕切体49が配置されている。仕切体49は、水平な底壁とその前後縁から垂直に立ち上がる一対の縦壁とでチャンネル状に形成されており、該底壁の右半部が凝縮器カバー28の上面に密着して支持されている。仕切体49の左側の開口縁は、機械室23の左壁34に密着している。仕切体49の各縦壁の上端は、機械室23の天面まで伸びており、仕切体49と機械室23の天面とで囲まれる空間が排気空間48を構成する。側面視において排気空間48は、第1排気口41よりも一回り大きく形成されている(
図4参照)。
【0027】
以上のように構成される仕切体49によれば、吸気空間39の負圧が排気空間48へ伝わらないようにして、上通気路45から第1排気口41へ向かう暖気の流れを排気空間48に形成することができる。つまり、吸気口31~33と同じ左端部に位置する第1排気口41を、確実に排気の用に供することができる。また仕切体49を、凝縮器カバー28の上面で支持される底壁と、該底壁の前後縁から機械室23の天面まで上方へ伸びる一対の縦壁とを備えるチャンネル状に形成すると、仕切体49の形状を簡素化するとともに、凝縮器カバー28とは別に仕切体49の支持構造を設けることを不要として、仕切体49の追加に伴うショーケースの製造コストの増加を抑えることができる。
【0028】
図5に示すように外装パネル19は、左右中央側へ開口する四角皿状の中空パネルからなり、基台2の側壁および閉塞体20に間隔を空けて正対する本体壁と、該本体壁の上下前後の四辺から左右中央側へ立ち上がる周壁とで構成されている。外装パネル19の内側の空間は、第1排気口41または第2排気口42を介して機械室23に連通する排気ダクト53を構成する。外装パネル19の本体壁の上縁部には、前後一列に並ぶ複数個の放出口54が設けられており、機械室23から排気ダクト53へ排出された空気は、これら放出口54から外方へ放出される。
【0029】
図6に示すように、各吸気口31~33から機械室23へ取り込まれた空気は、まず凝縮器カバー28内の凝縮器25を通過してこれを冷却する。仕切体49は、凝縮器25(凝縮器カバー28)を通過した暖気が再び凝縮器25(凝縮器カバー28)に入ることを確実に防止する。凝縮器25で吸熱して凝縮器カバー28から流出した暖気の一部は、蒸発処理装置26で放熱してドレン水を蒸発させ、次いで圧縮機24を冷却する。圧縮機24を通過した暖気は、その右方の第2排気口42から右側の排気ダクト53へ排出され、あるいは前方の第3排気口43から機械室23の外へ排出される。また、凝縮器カバー28から流出した暖気の一部は、蒸発処理装置26と圧縮機24を通過する前後で上方さらに左方へと変向し、凝縮器カバー28の上面と機械室23の天面との間の上通気路45と、仕切体49の内側の排気空間48とを流れて、第1排気口41から左側の排気ダクト53へ排出される。
【0030】
本実施形態のように、機械室23の左右両側に排気口41・42および排気ダクト53を設けて、機械室23から排出される暖気を排気ダクト53へ流すと、当該暖気でショーケースの左右両側、具体的には左右の外装パネル19を温めて、その表面の結露を防止することができる。外装パネル19の上部内側に位置する閉塞体20は、循環通路6を流れる空気で冷やされて外気よりも低温になりやすく、この低温は外装パネル19の上部へと伝わる。本実施形態によれば、低温になりやすい外装パネル19の上部を、排気ダクト53を流れる暖気で効果的に温めて、その表面の結露を防止することができる。
【0031】
機械室23の前側の第3排気口43は、左側の排気ダクト53の放出口54の総面積、および、右側の排気ダクト53の放出口54の総面積よりも大きく形成される。つまり第3排気口43は、第1排気口41と第2排気口42よりも排気量が多くなるように設定されており、このように設定された本実施形態のショーケースは、非冷蔵商品の陳列棚に組み込むのに好適である。つまり、陳列棚にショーケースを組み込む場合、その左右には非冷蔵商品が陳列されることが多いため、排気の多くを第3排気口43から前方へ放出すると、非冷蔵商品に対して排気が強く吹き付けられる不都合を回避することができる。
【0032】
上記実施形態では、機械室23の左端部に吸気口31~33と第1排気口41を配置し、同右端部に第2排気口42を配置したが、本発明においてこれらを左右逆に配置してもよいことは勿論である。本発明は、上記実施形態に示した多段型の冷蔵オープンショーケース以外に、陳列室の前面開口が扉で開閉される密閉型のショーケースなど、各種の冷蔵あるいは冷凍ショーケースに適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
4 庫内
5 陳列室
6 循環通路
8 底板
11 循環ファン
12 蒸発器
19 外装パネル
20 閉塞体
23 機械室
24 圧縮機
25 凝縮器
27 機械室ファン
28 凝縮器カバー
31~33 吸気口
34 第1側壁(左壁)
35 前壁
36 後壁
39 吸気空間
41 第1排気口
42 第2排気口
43 第3排気口
44 第2側壁(右壁)
45 上通気路
48 排気空間
49 仕切体
53 排気ダクト