(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113470
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/06 20060101AFI20240815BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20240815BHJP
E06B 7/16 20060101ALI20240815BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
E06B9/06 610M
E06B5/00 Z
E06B7/16 C
E06B7/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018473
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 達也
(72)【発明者】
【氏名】角 和博
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036EB01
2E036EB07
2E036EC03
2E036GA02
2E036GA04
2E036HB08
2E036HC02
2E036HC03
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 積み上げられる上下のパネル間の閉鎖性を向上する。
【解決手段】
下方へ繰り出される複数のパネル11,12と、これら複数のパネル11,12を連結するパネル連繋部材14とを備え、パネル連繋部材14を下方へ移動することで、複数のパネル11,12を不動面上に順次に積み上げるようにした開閉装置において、パネル連繋部材14に対しパネル厚さ方向の一方側から接触又は近接してパネル連繋部材14を下方へ導くガイド部25が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方へ繰り出される複数のパネルと、これら複数のパネルを連結するパネル連繋部材とを備え、前記パネル連繋部材を下方へ移動することで、前記複数のパネルを不動面上に順次に積み上げるようにした開閉装置において、
前記パネル連繋部材に対しパネル厚さ方向の一方側から接触又は近接して該パネル連繋部材を下方へ導くガイド部が設けられていることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記ガイド部が、閉鎖状態の全ての前記パネルに跨るように上下方向へ連続していることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、下方へ移動する前記パネル連繋部材に外周面を接触又は近接させたガイドローラを具備することを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項4】
前記ガイド部が、前記パネル連繋部材に接触することを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項5】
前記ガイド部を付勢して前記パネル連繋部材に押し付ける付勢手段を設けたことを特徴とする請求項4記載の開閉装置。
【請求項6】
前記パネルには、該パネルの重量を調整するための重量調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項7】
前記パネルにより開口部を略水密に閉鎖する止水シャッター装置を構成していることを特徴とする請求項1~6何れか1項記載の開閉装置。
【請求項8】
前記パネルの幅方向の端部側を上下方向へ案内するガイドレールと、閉鎖状態の前記パネルをその厚さ方向へ押圧して前記ガイドレールに略水密に押し付ける厚さ方向押圧機構とを備え、
前記ガイド部を前記パネル連繋部材に対し接触又は近接させる方向が、前記厚さ方向押圧機構による前記押圧の方向と、略同方向であることを特徴とする請求項7記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパネルを積み上げて閉鎖状態になる開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明は、例えば特許文献1に記載されるように、下方へ繰り出される複数のパネルと、これら複数のパネルを上下方向に連結するとともに吊り下げるパネル連繋チェーンと、前記パネルの幅方向の端部を凹状に囲んで上下方向へ案内するガイドレールとを備え、前記パネル連繋チェーンを下方へ移動することで、前記複数のパネルを不動面上に順次に積み上げるようにしたものがある。
この従来技術によれば、複数のパネルが積み上げられる際、上下に隣接するパネルのうち、その下側のパネルに対し上側のパネルが凹凸状に嵌り合うことで、上下のパネル間に隙間が生じないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、パネル連繋チェーンに吊り下げられたパネルが、例えば風や振動等の影響により厚さ方向へ揺れると、下側のパネルに対し上側のパネルがしっかりと嵌り合わず、これら上下のパネル間に隙間が生じて、閉鎖性を損ねてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
下方へ繰り出される複数のパネルと、これら複数のパネルを連結するパネル連繋部材とを備え、前記パネル連繋部材を下方へ移動することで、前記複数のパネルを不動面上に順次に積み上げるようにした開閉装置において、前記パネル連繋部材に対しパネル厚さ方向の一方側から接触又は近接して該パネル連繋部材を下方へ導くガイド部が設けられていることを特徴とする開閉装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、閉鎖動作中にパネルが厚さ方向に揺れるのを抑制して、積み上げられる上下のパネル間の閉鎖性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る止水シャッター装置の一例を屋外側から視た正面図である。
【
図2】同止水シャッター装置の全閉状態を示す縦断面図であり、閉鎖前のパネル及びガイド部を二点鎖線で示している。
【
図3】
図1の(III)-(III)線に沿う横断面図である。
【
図4】ガイド部とパネル連繋部材の接触部分を側方から視た拡大図であり、要部を切欠して示している。
【
図5】ガイド部の他例とパネル連繋部材の接触部分を側方から視た拡大図である。
【
図6】重量調整手段を備えた複数のパネルについて、ガイド部とパネル連繋部材の接触部分を側方から視た拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
本明細書中、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が開閉動作のために空間を仕切ったり開放したりするスライド方向を意味する。
【0010】
また、「開閉体幅方向外側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の外側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向外側は、右方向側になる。
また、「開閉体幅方向内側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の内側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向内側は、左方向側になる。
【0011】
また、「開閉体厚さ方向外側」とは、開閉体の厚みの中央側から開閉体厚さ方向に沿って離れる方向側を意味する。
また、「開閉体厚さ方向内側」とは、開閉体厚さ方向に沿って開閉体の厚みの中央側へ向かう方向側を意味する。
【0012】
<具体的な実施形態>
開閉装置1は、建物等の躯体開口部に設置されて該開口部を開閉するものであり、図示例によれば、前記開口部を略水密に塞ぐ止水シャッター装置を構成している。
この開閉装置1は、下方へ繰り出されて空間を仕切るように閉鎖動作する開閉体10と、開閉体10の幅方向の両端部をそれぞれ横断面凹状に囲んで閉鎖方向へ案内する左右のガイドレール20,20と、開閉体10を上方側で収納したり繰り出したりする開閉体収納部30と、閉鎖状態の開閉体10を不動部位(不動面Gとガイドレール20内の受部材21)に押し付けるための二種類の押圧装置40,50とを備える。
【0013】
開閉体10は、開閉体収納部30から下方へ繰り出されて不動面G上に積み上げられる複数のパネル11,12によって構成される。これら複数のパネル11,12は、パネル連繋部材14によって開閉方向に繋がっている(
図2参照)。
【0014】
各パネル11は、開閉体幅方向へ長尺な正面視矩形板状の部材である。このパネル11は、金属材料を引抜成形又は押出成形することで、上下に仕切られた空洞を有する縦断面枠状に形成される。
このパネル11の下端部は、開閉体幅方向の全長にわたって縦断面略V字状に突出しており、その突出する外面には、シール部16が一体的に設けられる(
図2参照)。
【0015】
シール部16は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から、パネル11下端に沿う縦断面V字状に形成され、パネル11の下端部に開閉体幅方向の全長にわたって接合されている。
【0016】
また、各パネル11の上端部には、シール部16に嵌り合うように、開閉体幅方向の全長にわたる縦断面略V溝状の凹部11aが設けられる。
そして、パネル11の横幅方向の両端部には、開閉体幅方向へ突出するように、支持軸13a及び支持ローラ13bが設けられる。
【0017】
最上部のパネル12は、開閉体幅方向へ長尺状に連続する正面視矩形状を呈し、パネル11よりも高さ寸法が小さい。前記寸法は、開閉体10によって開閉される開口部の高さ寸法等に応じて適宜に設定される。
このパネル12は、パネル11と略同様に、金属材料を引抜成形又は押出成形することで、開閉体幅方向に連続する空洞を内在する縦断面枠状に形成される。
パネル12の下端側には、パネル11と同様にシール部16が設けられる。さらに、パネル12の側面には、パネル11と同様に支持軸13a及び支持ローラ13bが設けられる。
【0018】
なお、複数のパネル11のみによって所望とする高さ寸法の開閉体10を構成できる場合には、パネル12を省くことも可能である。この場合、最上部には、パネル11が位置し、このパネル11の上端部が、押圧装置40によって押圧される。
【0019】
支持軸13aは、各パネル11,12の幅方向の両端部から、それぞれ、開閉体幅方向外側へ突出し、パネル連繋部材14に対し貫通状に挿通されている(
図3参照)。詳細に説明すれば、この支持軸13aは、パネル連繋部材14を構成する多数のローラ14a2の一部に貫通状に挿通されている。
【0020】
支持ローラ13bは、パネル連繋部材14よりも開閉体幅方向外側に位置し、支持軸13aの先端側に回転自在に支持される。
【0021】
パネル連繋部材14は、長尺状の可撓性部材である。
このパネル連繋部材14は、周知のローラーチェーンであり、内プレート14a1、ブッシュ及びローラ14a2等からなる内リンク14aを、上下方向に複数配設するとともに、上下に隣接する内リンク14a,14a間を、外プレート及びピン等から構成される外リンク14bによって連結してなる(
図4参照)。
【0022】
各ローラ14a2は、軸方向両側の内プレート14a1の間に位置し、外周面を露出した状態で、回転自在である。
【0023】
上記構成のパネル連繋部材14は、閉鎖状態の全てのパネル11,12を上下に跨るようにして、これらパネル11,12の側方側に設けられる。そして、パネル連繋部材14は、複数のパネル11,12を、支持軸13aを介して連結している。
【0024】
このパネル連繋部材14は、上部側が開閉体収納部30内のスプロケット31に嵌り合っており、スプロケット31の一方向の回転により下方へ繰り出され、同スプロケット31の逆方向の回転により上方へ戻される。
【0025】
そして、パネル連繋部材14が下方へ繰り出されると、複数のパネル11,12も下方へ繰り出される。この下方への移動中、パネル連繋部材14によって吊り下げられた複数のパネル11,12は、上下に隣接するパネル11,11(又は12)間に、隙間sを有する(
図4参照)。
【0026】
下方へ移動する複数のパネル11,12は、先ず最も下のパネル11が不動面Gに当接する。そして、このパネル11と上側のパネル11との間の隙間sが徐々に狭まり、上側のパネル11下端のシール部16が、下側のパネル11上端の凹部11aに嵌り合う。
このようにして、複数のパネル11,12は、不動面G上に順次に積み上げられるようにして閉鎖動作する。
【0027】
また、パネル連繋部材14が上方へ戻されると、上方移動するパネル連繋部材14に牽引されて、複数のパネル11,12が、上方の開閉体収納部30内へ戻される。
【0028】
ガイドレール20は、閉鎖状態の開閉体10の幅方向端部を囲むように、横断面凹状もしくはコ字状に形成される(
図3参照)。このガイドレール20は、被当接面Gから開閉体収納部30へわたる長尺状に形成される。
【0029】
ガイドレール20内には、閉鎖状態の開閉体10を屋外側から屋内側へ押圧する厚さ方向押圧機構55(
図3参照)が設けられる。さらにガイドレール20内には、厚さ方向押圧機構55によって押動された開閉体10を屋内側から受ける受部材21が、上下方向へわたって連続的に設けられる。
【0030】
厚さ方向押圧機構55は、押圧装置50の下方向きの力を開閉体厚さ方向の力に変換し、この力によって、全閉状態の開閉体10を屋内側へ押圧して、受部材21へ押し付けるように構成される。
この厚さ方向押圧機構55は、例えば、リンク機構により力方向を変換する構成や、平歯車とラック歯車等の歯車機構により力方向を変換する構成、これらの機構を適宜に組み合わせた構成等とすることが可能である。
【0031】
受部材21は、閉鎖状態の開閉体10に対し、上下方向の全長にわたって接するようにした長尺状の部材である。この受部材21は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から形成され、開閉体10の屋内側面に弾性的に接触して、開閉体10とガイドレール20の間の水密性を保持する。
【0032】
また、ガイドレール20内には、パネル連繋部材14に対しパネル厚さ方向の一方側から接触して、このパネル連繋部材14を下方へ導くガイド部25が設けられている。
【0033】
ガイド部25は、上下方向へ移動するパネル連繋部材14に接触する接触部25aと、この接触部25aを付勢しながら支持する支持部25bとを具備する。
【0034】
接触部25aは、閉鎖状態の全てのパネル11,12に跨るように上下方向へ連続する長尺状の部材であり、例えば硬質金属材料からなる板材を曲げ加工することで形成される。
図3に例示する接触部25aは、ローラ14a2に対し略垂直に当接する当接片部25a1と、この当接片部25a1を支持する支持片25a2とを一体に有する曲げ形状である。
【0035】
支持部25bは、上下方向に間隔を置いて複数設けられる。
各支持部25bは、接触部25aを、支持するとともに屋内側へ付勢して、パネル連繋部材14のローラ14a2に押し付ける。
詳細に説明すれば、図示例の支持部25bは、ガイドレール20の内面に固定された一片部25b1と、この一片部25b1に対し回転自在に枢支された他片部25b2と、一片部25b1に対し他片部25b2を一方向(
図3によれば時計方向)へ回転するように付勢するコイルばね25b3(付勢手段)とを備えたバネ付き蝶番である。この支持部25bは、他片部25b2を、溶接等の適宜な固定手段により、ガイド部25の支持片25a2に対し一体的に接続している。
【0036】
ガイド部25が、コイルばね25b3の付勢力によりパネル連繋部材14に圧接される方向は、厚さ方向押圧機構55が開閉体10を押圧する方向と略同方向(
図3によれば屋内側へ向かう方向)である。
【0037】
開閉体収納部30は、開閉体10によって開閉される開口部の上方において、当該開閉装置1の設置対象物である躯体等の壁面に固定される。
この開閉体収納部30は、
図2に示すように、内側に空間を有する基体30aに、パネル連繋部材14を掛け回したスプロケット31と、このスプロケット31を双方向へ回転させる駆動機構32と、パネル11,12を、支持軸部13を介してパネル11,12を吊持して前後方向へ導く収納レール33とを支持している。
【0038】
この開閉体収納部30は、駆動機構32によりスプロケット31を一方向へ回転させることで、収納状態にある複数のパネル11,12を屋外側へ順次に繰り出して下方へ閉鎖動作させる。また、同開閉体収納部30は、駆動機構32によりスプロケット31を逆方向へ回転させることで、閉鎖状態にあるパネル11,12を開放動作させ、上方側で屋内側へ収納する。
【0039】
また、駆動機構32は、電動モータによってチェーン及びスプロケット31等を連動させる電動開閉機構を構成している。
【0040】
押圧装置40,50は、開閉体収納部30の基体30aに対し、開閉体幅方向に間隔を置いて複数装着される(
図1参照)。各押圧装置40,50は、駆動源(図示せず)の駆動によりロッドを前進させて押圧力を発生したり、同ロッドを後退させて前記押圧力を解除したりする。
【0041】
一方の押圧装置40は、開閉体幅方向の中央側に複数(図示例によれば、四つ)設けられる。
この押圧装置40は、リンク機構等を介して、開閉体10(詳細にはパネル12)の上端部を下方へ押圧する。この押圧により。開閉体10の最下端のシール部16は、不動面Gに対し水密に圧接される。
【0042】
他方の押圧装置50は、前記複数の押圧装置40を間に置くようにしてその両側にそれぞれ設けられる。
この押圧装置50は、下方へ前進するロッドの押圧力により厚さ方向押圧機構55(
図3参照)を作動させて、全閉状態の開閉体10(詳細にはパネル11,12)を開閉体厚さ方向に沿って屋内側へ押動し、ガイドレール20内の受部材21に押し付ける。
【0043】
なお、
図2中の符号90は、開閉体幅方向の中央寄りへ可動柱91を移動させ、この可動柱91を開閉体10の屋内側面に押し付けて、開閉体10の撓みを抑制する撓み抑制装置である。
【0044】
<作用効果>
次に、上記構成の開閉装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
開閉体収納部30にパネル11,12が収納された状態で、駆動機構32による閉鎖動作が開始されると、パネル連繋部材14がスプロケット31から下方へ繰り出され、これに伴って、複数のパネル11,12も順次に下方へ繰り出される。
そして、パネル連繋部材14及び複数のパネル11,12は、ガイドレール20に沿って下方へ移動してゆく。
【0045】
前記のようにして下方へ移動するパネル連繋部材14は、開閉体厚さ方向の一方側(図示例によれば、屋外側)で上下方向にわたるガイド部25に接触する。
詳細に説明すれば、パネル連繋部材14は、内リンク14aのローラ14a2の外周面を、接触部25aの当接片部25a1に接触させて、ローラ14a2を転動させる。
【0046】
そして、複数のパネル11,12は、下方へ徐々に移動してゆき、下側のものから順番に不動面G上に積み重ねられる。この積み重ねの過程で、上下に隣接するパネル11,11(又は11,12)のうち、上側のパネル11(又は12)下端のシール部16は、パネル連繋部材14とガイド部25の接触により、略直線的に下降し、下側のパネル11上端の凹部11aに重なり合うようにして嵌り合う。
【0047】
したがって、前記下降の過程で、パネル11,12が厚さ方向に揺れるのをガイド部25によって抑制して、上下のパネル11,11(又は12)間の嵌り合いが不完全になり、これらパネル11,11(又は12)間に隙間が生じるのを防ぐことができる。ひいては、閉鎖状態で上下に重なり合うパネル11,11(又は12)間を、略水密に塞ぐことができる。
【0048】
また、すべてパネル11,12が下降した全閉状態において、押圧装置40,50が動作すると、開閉体10は垂直方向及び水平方向に押圧されて、下端部を不動面Gに押し付けるとともに、屋内側面をガイドレール20内の受部材21に対し略水密に押し付ける。
【0049】
特に本実施の形態の好ましい一例によれば、ガイド部25をパネル連繋部材14に対し圧接する方向を、厚さ方向押圧機構55によりパネル11,12が押圧される方向(言い換えれば、開閉体10が受部材21に対し押圧される方向)と、略同方向(
図3によれば、屋内側へ向かう方向)にしているため、開閉体10と受部材21間の水密性を良好に維持することができる(
図3参照)。
【0050】
<ガイド部の他例>
上記開閉装置1において、ガイド部25は、
図5に示すガイド部26に置換することが可能である。
【0051】
ガイド部26は、上下方向へ移動するパネル連繋部材14に対し外周面を接触させて転動する複数のガイドローラ26aと、ガイドローラ26aを回転自在に支持する軸部26bを具備する。
【0052】
ガイドローラ26aは、その外周面をパネル連繋部材14に対し屋外側から接触させて、上下方向に間隔を置いて複数設けられる。
各ガイドローラ26aは、開閉体幅方向に沿う軸部26bを中心に回転するように支持される。軸部26bは、その端部側が、ガイドレール20等の不動部位に支持される。
【0053】
図示例の各ガイドローラ26aは、その外周面を、パネル連繋部材14の内リンク14aに接触させて転動する。なお、他例としては。ガイドローラ26aの外周面を、パネル連繋部材14における内リンク14a以外の部位(例えば、ローラ14a2)に接触させることも可能である。
【0054】
よって、
図5に示す態様によれば、上述した開閉装置1と同様に、閉鎖動作中に、パネル11,12が厚さ方向に揺れるのを、複数のガイドローラ26a等からなるガイド部26によって抑制し、上下のパネル11,11(又は12)間の閉鎖性を向上することができる。
【0055】
<パネルの他例>
上記開閉装置1において、複数のパネル11は、
図6に示す複数のパネル11’に置換することが可能である。
【0056】
各パネル11’は、該パネル11’全体の重量を調整可能にする重量調整手段11bを備える。
【0057】
図示例の重量調整手段11bは、各パネル11’の内壁面から開閉体幅方向へわたって突出する突起(リブ)である。
この重量調整手段11bは、各パネル11’自体の重量を調整するように、その数や、厚み等が適宜に調整される。
【0058】
よって、
図6に示す態様によれば、各パネル11’の重量を重重量調整手段11bにより調整することで、パネル連繋部材14と共にパネル11’が揺れる場合の揺れの周期を適宜に調整することができ、この調整により、積み上げられる上下のパネル11’,11’間が良好に接触するようにし、パネル間の閉鎖性を向上することができる。
【0059】
<その他の変形例>
上記実施の形態によれば、パネル連繋部材14をローラーチェーンにより構成したが、このパネル連繋部材14は長尺状の可撓性部材であればよく、他例としては、ワイヤーやロープ、ローラーチェーン以外のチェーン等により構成することも可能である。
【0060】
上記実施の形態によれば、ガイド部25に備える付勢機構をバネ付き蝶番としたが、この付勢機構は、バネ付き蝶番以外の構成とすることも可能である。
すなわち、前記付勢機構の他例としては、支持部25bを横断面L字状の板バネにより構成し、この板バネの付勢力により接触部25aをパネル連繋部材14に押し付けるようにしてもよい。
さらに、前記付勢機構の他例としては、横断面略Z字状のガイド部25全体を、弾性的に撓むことが可能な金属板材により板バネ状に構成し、その一端部をパネル連繋部材14に対し弾性的に圧接するようにしてもよい。
【0061】
上記実施の形態によれば、好ましい一例として、ガイド部25をパネル連繋部材14に接触させたが、他例としては、ガイド部25をパネル連繋部材14に近接させた態様としてもよい。この態様は、例えば、上記構成のガイド部25から付勢手段等を省き、一端部をパネル連繋部材14に近接させる。
この態様によれば、パネル連繋部材14は、風や振動等により開閉体厚さ方向に揺れた場合に、ガイド部25に接触する。この接触により、下降中のパネル連繋部材14及びパネル11,12が開閉体厚さ方向へ揺れるのを抑制することができる。
【0062】
上記実施の形態によれば、ガイド部25を上下方向へ長尺な単数の接触部25aと上方方向に並ぶ複数の支持部25bとから構成したが、このガイド部の他例としては、接触部25aを支持部25bに対応するように複数設けた態様や、支持部25bを単一の接触部25aに対応するように上下方向に長尺な単数の一体状に形成した態様等とすることも可能である。
【0063】
上記実施の形態では、好ましい一例として、開閉装置1を止水シャッター装置として構成したが、この開閉装置の他例としては、止水機能を具備しないパネルシャッター装置を構成することも可能である。この場合、押圧装置40,50、厚さ方向押圧機構55、シール部16等、止水機能を発揮するための構成を省くことが可能である。
【0064】
図6に示す態様では、重量調整手段11bをパネル11’内に形成される複数の突起としたが、この重量調整手段11bの他例としては、パネル11’に図示例以外の突起を設けて該パネル11’の重量を調整するようにした態様や、パネル11’の壁部の厚みにより重量を調整するようにした態様や、パネル11’に対し該パネル11’以外の錘体を設けて該パネル11’の重量を調整するようにした態様等とすることが可能である。
【0065】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0066】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
下方へ繰り出される複数のパネルと、これら複数のパネルを連結するパネル連繋部材とを備え、前記パネル連繋部材を下方へ移動することで、前記複数のパネルを不動面上に順次に積み上げるようにした開閉装置において、前記パネル連繋部材に対しパネル厚さ方向の一方側から接触又は近接して該パネル連繋部材を下方へ導くガイド部が設けられていることを特徴とする開閉装置(
図1~
図5参照)。
(2)
前記ガイド部が、閉鎖状態の全ての前記パネルに跨るように上下方向へ連続していることを特徴とする(1)に記載の開閉装置(
図1及び
図4参照)。
(3)
前記ガイド部は、下方へ移動する前記パネル連繋部材に外周面を接触又は近接させたガイドローラを具備することを特徴とする(1)に記載の開閉装置(
図5参照)。
(4)
前記ガイド部が、前記パネル連繋部材に接触することを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の開閉装置。
(5)
前記ガイド部を付勢して前記パネル連繋部材に押し付ける付勢手段を設けたことを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の開閉装置(
図3~
図5参照)。
(6)
前記パネルには、該パネルの重量を調整するための重量調整手段が設けられていることを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の開閉装置。
(7)
前記パネルにより開口部を略水密に閉鎖する止水シャッター装置を構成していることを特徴とする(1)~(6)いずれかに記載の開閉装置(
図1~
図3参照)。
(8)
前記パネルの幅方向の端部側を上下方向へ案内するガイドレールと、閉鎖状態の前記パネルをその厚さ方向へ押圧して前記ガイドレールに略水密に押し付ける厚さ方向押圧機構とを備え、前記ガイド部を前記パネル連繋部材に対し接触又は近接させる方向が、前記厚さ方向押圧機構による前記押圧の方向と、略同方向であることを特徴とする(7)に記載の開閉装置(
図3参照)。
【0067】
また、上記実施形態では、次の構成要件のみを必須とした発明も開示している。
すなわち、この発明の一つは、下方へ繰り出される複数のパネルと、これら複数のパネルを連結するパネル連繋部材とを備え、前記パネル連繋部材を下方へ移動することで、前記複数のパネルを不動面上に順次に積み上げるようにした開閉装置において、前記複数のパネルの少なくとも一部には、該パネルの重量を調整するための重量調整手段が設けられていることを特徴とする(
図6参照)。
この発明によれば、パネルの重量を重量調整手段により調整することで、パネル連繋部材と共にパネルが揺れる場合の揺れの周期を適宜に調整することができ、この調整により、積み上げられる上下のパネル間が良好に接触するようにし、パネル間の閉鎖性を向上することができる。
【符号の説明】
【0068】
1:開閉装置
10:開閉体
11,11’,12:パネル
11b:重量調整手段
14:パネル連繋部材
20:ガイドレール
21:受部材
25:ガイド部
25a:接触部
25b:支持部(バネ付き蝶番)
25b3:コイルばね(付勢手段)
40,50:押圧装置
55:厚さ方向押圧機構
s:隙間