(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113473
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】静翼組品の製造方法
(51)【国際特許分類】
F01D 25/00 20060101AFI20240815BHJP
F01D 9/04 20060101ALI20240815BHJP
F01D 25/28 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
F01D25/00 X
F01D9/04
F01D25/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018487
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】津田 基成
(72)【発明者】
【氏名】長井 勇志
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202GA11
(57)【要約】
【課題】加工精度を上げて、静翼列を構成する複数の静翼の内側シュラウドに対して内輪をしっかりと取り付けることができる静翼組品の製造方法を提供する。
【解決手段】静翼組品の製造方法では、複数の翼中間品毎の外側シュラウドを外輪の翼溝に嵌め込む翼中間品組込工程と、前記翼中間品組込工程後における複数の前記前記翼中間品の内側シュラウドのそれぞれに連結板を仮付けする仮連結工程と、前記仮連結工程後の複数の前記翼中間品の前記内側シュラウドのそれぞれに、径方向外側に向かって凹み且つ周方向に延びる溝を形成して、複数の前記翼中間品で構成される中間品群に、複数の前記翼中間品毎の前記溝が前記周方向で互いに連なる内輪溝を形成する内側部形成工程と、前記内側部形成工程後に、前記連結板を複数の前記翼中間品から外す連結板除去工程と、前記内輪溝に、前記内輪を嵌め込む内輪組込工程と、を実行する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心として環状の外輪を準備する外輪準備工程と、
前記外輪の内周側に設けられる複数の静翼毎の翼中間品を準備する翼中間品準備工程と、
前記軸線を中心とした周方向に延び、複数の前記静翼の内周側に設けられる内輪を準備する内輪準備工程と、
を実行し、
前記外輪準備工程で準備する前記外輪は、前記軸線に対する径方向内側から前記軸線に対する径方向外側に向かって凹み、前記周方向に延びる翼溝を有し、
前記翼中間品準備工程で準備する前記翼中間品は、断面が翼形を成し、前記軸線に対する径方向に延びる翼体と、前記翼体の前記径方向外側に設けられ前記翼溝に嵌り込めるよう形成されている外側シュラウドと、前記翼体の前記径方向内側に設けられている内側シュラウドと、を有し、
さらに、
複数の前記翼中間品毎の前記外側シュラウドを前記翼溝に嵌め込む翼中間品組込工程と、
前記翼中間品組込工程後における複数の前記翼中間品毎の前記内側シュラウドが互いに相対移動ができないように、複数の前記前記翼中間品の前記内側シュラウドのそれぞれに連結板を仮付けする仮連結工程と、
前記仮連結工程後の複数の前記翼中間品の前記内側シュラウドのそれぞれに、前記径方向内側から前記径方向外側に向かって凹み且つ前記周方向に延びる溝を形成して、複数の前記翼中間品で構成される中間品群に、複数の前記翼中間品毎の前記溝が前記周方向で互いに連なる内輪溝を形成する内側部形成工程と、
前記内側部形成工程後に、前記連結板を複数の前記翼中間品から外す連結板除去工程と、
前記内輪溝に、前記内輪を嵌め込む内輪組込工程と、
を実行する静翼組品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の静翼組品の製造方法において、
前記翼中間品の前記内側シュラウドは、前記径方向外側を向くガスパス面と、径方向内側を向き前記ガスパス面と背合わせの関係にある反ガスパス面と、を有し、
前記内側部形成工程では、前記翼中間品の前記内側シュラウドにおける前記反ガスパス面を削って、完成品である前記静翼の内側シュラウドにおける反ガスパス面を形成すると共に、前記静翼の内側シュラウドにおける前記反ガスパス面の一部を削って、前記反ガスパス面から前記径方向内側に凹む前記溝を形成する、
静翼組品の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の静翼組品の製造方法において、
前記翼中間品の前記内側シュラウドは、前記軸線が延びる軸線方向における軸線上流側を向く上流側端面及び前記軸線方向における軸線下流側を向く下流側端面を有し、
前記内側部形成工程後であって前記連結板除去工程前に、前記翼中間品群の前記内輪溝に、前記周方向に延びる仮リングを嵌め込んで、前記仮リングにより複数の前記翼中間品が互い相対移動できないようにする仮リング組込工程と、
前記仮リング組込工程後で且つ前記連結板除去工程後に、前記翼中間品の前記内側シュラウドにおける前記上流側端面を削って、完成品である前記静翼の内側シュラウドにおける上流側端面を形成すると共に、前記翼中間品の前記内側シュラウドにおける前記下流側端面を削って、前記静翼の前記内側シュラウドにおける下流側端面を形成する端面形成工程と、
前記端面形成工程後に前記内輪溝から前記仮リングを外す仮リング除去工程と、
を実行し、
前記仮リング除去工程後に前記内輪組込工程を実行する、
静翼組品の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の静翼組品の製造方法において、
前記仮連結工程では、複数の前記翼中間品毎の前記内側シュラウドにおける前記上流側端面又は前記下流側端面に、前記連結板を仮付けする、
静翼組品の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の静翼組品の製造方法において、
前記仮連結工程では、複数の前記翼中間品の前記内側シュラウドのそれぞれに、接着剤を用いて前記連結板を仮付けする、
静翼組品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静翼組品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンは、一般的に、軸線を中心として回転するロータと、ロータを覆うケーシングと、ケーシン内に配置されケーシングに固定されている静翼組品と、を備える。静翼組品は、軸線を中心として環状の静翼列と、静翼列の外周側に設けられている外輪と、静翼列の内周側に配置されている内輪と、を有する。静翼列は、軸線に対して周方向に並ぶ複数の静翼を有する。各静翼は、軸線に対する径方向に延びる翼体と、翼体の径方向外側に形成されている外側シュラウドと、翼体の径方向内側に形成されている内側シュラウドと、を有する。外輪には、軸線に対する径方向内側から径方向外側に向かって凹み軸線に対する周方向に延びる翼溝が形成されている。静翼列を構成する複数の静翼の外側シュラウドは、この外輪の翼溝に嵌り込んでいる。内輪は、静翼列を構成する複数の静翼の内側シュラウドに取り付けられている。この内輪は、静翼列とロータとの間をシールするシール機能を有する。
【0003】
以下の特許文献1では、静翼組品を製造する過程で、静翼列を構成する複数の静翼の外側シュラウドを、軸線が延びる軸線方向において前バンドと後バンドとで挟み込む。次に、外側シュラウドを軸線方向に貫通するボルトで、前バンドと後バンドとを連結し、複数の静翼を互いに相対移動不能に拘束する。そして、複数の静翼の各外側シュラウドの一部を研削して、外側シュラウドを仕上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
静翼列とロータとの間のシール機能を有する内輪は、静翼列を構成する複数の静翼の内側シュラウドに対して、ガタなく、しっかりと取り付けられる必要がある。
【0006】
そこで、本開示は、加工精度を上げて、静翼列を構成する複数の静翼の内側シュラウドに対して内輪をしっかりと取り付けることができる静翼組品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための一態様としての静翼組品の製造方法は、
軸線を中心として環状の外輪を準備する外輪準備工程と、前記外輪の内周側に設けられる複数の静翼毎の翼中間品を準備する翼中間品準備工程と、前記軸線を中心とした周方向に延び、複数の前記静翼の内周側に設けられる内輪を準備する内輪準備工程と、を実行する。前記外輪準備工程で準備する前記外輪は、前記軸線に対する径方向内側から前記軸線に対する径方向外側に向かって凹み、前記周方向に延びる翼溝を有する。前記翼中間品準備工程で準備する前記翼中間品は、断面が翼形を成し、前記軸線に対する径方向に延びる翼体と、前記翼体の前記径方向外側に設けられ前記翼溝に嵌り込めるよう形成されている外側シュラウドと、前記翼体の前記径方向内側に設けられている内側シュラウドと、を有する。さらに、複数の前記翼中間品毎の前記外側シュラウドを前記翼溝に嵌め込む翼中間品組込工程と、前記翼中間品組込工程後における複数の前記翼中間品毎の前記内側シュラウドが互いに相対移動ができないように、複数の前記前記翼中間品の前記内側シュラウドのそれぞれに連結板を仮付けする仮連結工程と、前記仮連結工程後の複数の前記翼中間品の前記内側シュラウドのそれぞれに、前記径方向内側から前記径方向外側に向かって凹み且つ前記周方向に延びる溝を形成して、複数の前記翼中間品で構成される中間品群に、複数の前記翼中間品毎の前記溝が前記周方向で互いに連なる内輪溝を形成する内側部形成工程と、前記内側部形成工程後に、前記連結板を複数の前記翼中間品から外す連結板除去工程と、前記内輪溝に、前記内輪を嵌め込む内輪組込工程と、を実行する。
【0008】
本態様では、複数の翼中間品毎の外側シュラウドが外輪の翼溝に嵌め込まれ、且つ複数の翼中間品の内側シュラウドのそれぞれに連結板が仮付けされた状態で、内側部形成工程を実行する。この内側部形成工程では、複数の翼中間品の内側シュラウドのそれぞれに溝を形成して、複数の翼中間品で構成される中間品群に、複数の翼中間品毎の溝が周方向で互いに連なる内輪溝を形成する。本態様では、内側部形成工程を実行する際には、連結板により、複数の翼中間品毎の内側シュラウドが互いに相対移動ができない状態になっている。このため、本態様では、加工精度が上がり、複数の翼中間品毎の溝を画定する面相互に段差がない、又はこの段差が極めて小さい、内輪溝を形成することができる。よって、本態様では、静翼列を構成する複数の静翼の内側シュラウドに対して内輪をしっかりと取り付けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様では、加工精度が上がり、静翼列を構成する複数の静翼の内側シュラウドに対して内輪をしっかりと取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示に係る一実施形態における蒸気タービンの要部断面図である。
【
図2】本開示に係る一実施形態における静翼組品の要部断面図である。
【
図4】本開示に係る一実施形態における静翼組品の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図5】本開示に係る一実施形態における翼中間品組込工程後の外輪の要部断面である。
【
図6】本開示に係る一実施形態における仮連結工程後の翼中間品の要部側面図である。
【
図7】本開示に係る一実施形態における内側部形成工程中の翼中間品の要部側面図である。
【
図8】本開示に係る一実施形態における内側部形成工程中の複数の翼中間品を径方向内側から見た図である。
【
図9】比較例における内側部形成工程中における複数の翼中間品を径方向内側から見た図である。
【
図10】本開示に係る一実施形態における内側部形成工程後の外輪の要部断面図である。
【
図11】本開示に係る一実施形態における仮リング組込工程中の翼中間品の要部側面図である。
【
図12】本開示に係る一実施形態における端面形成工程中の翼中間品の要部側面図である。
【
図13】本開示に係る一実施形態における内輪組込工程中の静翼(翼中間品)の要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について説明する。
【0012】
「蒸気タービンの実施形態」
本開示に係る静翼組品を備える蒸気タービンについて、
図1~
図3を参照して説明する。
【0013】
本実施形態の蒸気タービンは、
図1に示すように、軸線Arを中心として回転可能なロータ1と、ロータ1を覆うケーシング4と、ケーシング4内に配置されケーシング4に固定されている静翼組品10と、を備える。なお、以下では、軸線Arが延びる方向を軸線方向Da、この軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとし、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drとする。さらに、軸線方向Daにおける両側のうち、一方側を軸線上流側Dau、他方側を軸線下流側Dadとする。また、径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droとする。
【0014】
ケーシング4中の軸線上流側Dauの部分には、図示されていないが、ケーシング4内に蒸気を導入可能な蒸気入口が形成されている。また、ケーシング4中の軸線下流側Dadの部分には、図示されていないが、ケーシング4内から蒸気を排気可能な蒸気出口が形成されている。ロータ1は、軸線Arを中心として回転可能なロータ軸2と、ロータ軸2に設けられている複数の動翼列3と、を有する。複数の動翼列3は、軸線方向Daに並んでいる。複数の動翼列3は、いずれも、周方向Dcに並ぶ複数の動翼を有する。
【0015】
静翼組品10は、軸線Arを中心として環状の外輪11と、外輪11の内周側に取り付けられている複数の静翼列20と、複数の静翼列20毎の内周側に取り付けられている環状の内輪15と、を有する。環状の外輪11は、ケーシング4に取り付けられている。この環状の外輪11は、周方向Dcで二つに分割可能である。言い換えると、周方向Dcに延びる二つの半外輪を互いに連結することで、一つの外輪11が形成される。複数の静翼列20は、軸線方向Daに並んで、外輪11に取り付けられている。複数の静翼列20のそれぞれは、複数の動翼列3のうちのいずれか一の動翼列3の軸線上流側Dauに配置されている。環状の内輪15は、周方向Dcで複数に分割可能である。言い換えると、周方向Dcに延びる複数の部分内輪を互いに接続することで、一つ内輪15が形成される。内輪15は、静翼列20の径方向内側Driの部分に取り付けられている。
【0016】
静翼列20は、周方向Dcに並ぶ複数の静翼21を有する。各静翼21は、
図2及び
図3に示すように、翼体22と、外側シュラウド23と、内側シュラウド24と、を有する。翼体22は、断面が翼形を成し、径方向Drに延びている。なお、ここでの断面は、径方向Drに垂直な面での断面である。外側シュラウド23は、翼体22の径方向外側Droの端に設けられている。内側シュラウド24は、翼体22の径方向内側Driの端に設けられている。外輪11には、径方向内側Driから径方向外側Droに向かって凹み周方向Dcに延びる翼溝12が形成されている。静翼列20を構成する複数の静翼21の外側シュラウド23は、この外輪11の翼溝12に嵌り込んでいる。このため、本実施形態における外輪11は、翼環と呼ばれることもある。
【0017】
内側シュラウド24は、ガスパス面25と、反ガスパス面25aと、上流側端面26uと、下流側端面26dと、第一側端面27aと、第二側端面27bと、溝28と、を有する。ガスパス面25は、径方向外側Droを向く面である。反ガスパス面25aは、径方向内側Driを向きガスパス面25と背合わせの関係にある面である。上流側端面26uは、軸線上流側Dauを向く面である。この上流側端面26uは、ガスパス面25の軸線上流側Dauの縁から反ガスパス面25aの軸線上流側Dauの縁まで径方向内側Driに延びている。下流側端面26dは、軸線下流側Dadを向く面である。この下流側端面26dは、ガスパス面25の軸線下流側Dadの縁から反ガスパス面25aの軸線下流側Dadの縁まで径方向内側Driに延びている。この下流側端面26dは、上流側端面26uと平行である。第一側端面27aは、周方向Dcにおける一方側を向く面である。この第一側端面27aは、ガスパス面25の周方向Dcにおける一方側の縁から反ガスパス面25aの周方向Dcにおける一方側の縁まで径方向内側Driに延びている。第二側端面27bは、周方向Dcにおける他方側を向く面である。この第二側端面27bは、ガスパス面25の周方向Dcにおける他方側の縁から反ガスパス面25aの周方向Dcにおける他方側の縁まで径方向内側Driに延びている。この第二側端面27bは、第一側端面27aと平行である。この内側シュラウド24を径方向外側Droから見た場合、第一側端面27a及び第二側端面27bは軸線Arに対して傾斜し、上流側端面26u及び下流側端面26dは軸線Arに対して垂直で、この内側シュラウド24は平行四辺形の形をしている。溝28は、反ガスパス面25aから径方向外側Droに凹み、周方向Dcに延びている。静翼列20を構成する複数の静翼21の内側シュラウド24毎の溝28は、周方向Dcで互いに連結して内輪溝29を成す。
【0018】
内輪15は、内輪本体16と、凸部17と、複数のリップ18と、を有する。内輪本体16は、周方向Dcに延びて、静翼列20を構成する複数の静翼21の内側シュラウド24における反ガスパス面25aと径方向Drで対向する。凸部17は、内輪本体16から径方向外側Droに突出し、周方向Dcに延びている。この凸部17は、前述の内輪溝29に嵌り込む。なお、内輪15の凸部17は、内側シュラウド24に対して内輪15を相対的に周方向Dcに移動させることで、内側シュラウド24の内輪溝29に嵌まり込む。複数のリップ18は、軸線方向Daに並んでいる。各リップ18は、内輪本体16から径方向内側Driに突出し、周方向Dcに延びている。内輪15の複数のリップ18により、径方向Drにおける静翼列20とロータ軸2との間がシールされる。このため、本実施形態における内輪15は、シールリングと呼ばれることもある。
【0019】
「静翼組品の製造方法の実施形態」
本開示に係る静翼組品の製造方法について、
図4~
図13を参照して説明する。なお、本実施形態における製造対象である静翼組品は、以上で説明した静翼組品10である。
【0020】
本実施形態における製造方法では、
図4のフローチャートに示すように、まず、外輪準備工程S1と、翼中間品準備工程S2と、内輪準備工程S3と、を実行する。外輪準備工程S1では、以上で説明した外輪11を準備する。翼中間品準備工程S2では、以上で説明した複数の静翼21毎の中間品である翼中間品を準備する。内輪準備工程S3では、以上で説明した内輪15を準備する。なお、外輪準備工程S1、翼中間品準備工程S2、及び内輪準備工程S3のうち、いずれの工程を最初に実行してもよいし、最後に実行してもよい。
【0021】
図5に示すように、翼中間品準備工程S2で準備する翼中間品21iは、前述した完成品である静翼21と同様、翼体22と、外側シュラウド23と、内側シュラウド24iと、を有する。翼中間品21iの翼体22は完成品である静翼21の翼体22と同じである。また、翼中間品21iの外側シュラウド23は完成品である静翼21の外側シュラウド23と同じである。翼中間品21iの内側シュラウド24iは完成品である静翼21の内側シュラウド24と異なる。
【0022】
図6に示すように、翼中間品21iの内側シュラウド24iは、完成品である静翼21の内側シュラウド24と同様、ガスパス面25と、反ガスパス面25aiと、上流側端面26uiと、下流側端面26diと、第一側端面27aと、第二側端面27bと、を有する。但し、翼中間品21iの内側シュラウド24iは、完成品である静翼21の内側シュラウド24と異なり、溝28を有してない。翼中間品21iの内側シュラウド24iにおける第一側端面27aは、完成品である静翼21の内側シュラウド24における第一側端面27aを成す。翼中間品21iの内側シュラウド24iにおける第二側端面27bは、完成品である静翼21の内側シュラウド24における第二側端面27bを成す。翼中間品21iの内側シュラウド24iにおけるガスパス面25は、完成品である静翼21の内側シュラウド24におけるガスパス面25を成す。翼中間品21iの内側シュラウド24iにおけるガスパス面25と反ガスパス面25aiとの間の径方向Drの間隔は、完成品である静翼21の内側シュラウド24におけるガスパス面25と反ガスパス面25aとの間の径方向Drの間隔より広い。この関係で、翼中間品21iの内側シュラウド24iにおける反ガスパス面25aiは、完成品である静翼21の内側シュラウド24における反ガスパス面25aを成さない。翼中間品21iの内側シュラウド24iにおける上流側端面26uiと下流側端面26diと間の軸線方向Daの間隔は、完成品である静翼21の内側シュラウド24における上流側端面26uと下流側端面26dとの間の軸線方向Daの間隔より広い。この関係で、翼中間品21iの内側シュラウド24iにおける上流側端面26uiは、完成品である静翼21の内側シュラウド24における上流側端面26uを成さない。また、翼中間品21iの内側シュラウド24iにおける下流側端面26diも、完成品である静翼21の内側シュラウド24における下流側端面26dを成さない。
【0023】
次に、翼中間品組込工程S4を実行する。この翼中間品組込工程S4では、
図5に示すように、外輪11の翼溝12に、複数の翼中間品21i毎の外側シュラウド23を嵌め込む。この際、外輪11を二つの半外輪に分割しておき、各半外輪の翼溝12に複数の翼中間品21i毎の外側シュラウド23を嵌め込んだ後、二つの半外輪相互を連結する。
【0024】
次に、仮連結工程S5を実行する。この仮連結工程S5では、
図5及び
図6に示すように、軸線Arを中心として環状の連結板30を複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iに仮付けする。本実施形態では、この際、アクリル系の接着剤を用いて、連結板30を複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iにおける下流側端面26diに接着する。この結果、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iが互いに相対移動ができなくなる。
【0025】
次に、内側部形成工程S6を実行する。この内側部形成工程S6では、
図7及び
図8に示すように、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iにおける反ガスパス面25aiを削って、完成品である静翼21の内側シュラウド24における反ガスパス面25aを形成する。さらに、この反ガスパス面25aの一部を削って、この反ガスパス面25aから径方向内側Driに凹む溝28を形成する。この際、立旋盤を用いて、翼中間品21iの内側シュラウド24iを削る。具体的に、立旋盤の回転テーブル上に、外輪11の下流側端面26diが鉛直方向Vにおける上側Vuを向き、且つ、立旋盤の回転テーブルの中心軸と外輪11の軸線Arとが一致するよう、複数の翼中間品21iが組み込まれている外輪11を回転テーブル上に置く。そして、回転テーブルを回転させつつ、立旋盤に取り付けられたバイトTaを回転テーブルの中心軸に対する径方向Drに移動させて、翼中間品21iの内側シュラウド24iにおける内側部を削る。以上の内側部形成工程S6の実行により、
図8及び10に示すように、複数の翼中間品21iで構成される中間品群20iに、複数の翼中間品21i毎の溝28が周方向Dcで互いに連なる内輪溝29が形成される。
【0026】
次に、仮リング組込工程S7を実行する。この仮リング組込工程S7では、
図11に示すように、予め準備しておいた仮リング31を中間品群20iの内輪溝29に嵌め込む。仮リング31は、軸線Arを中心として環状である。この仮リング31は、周方向Dcで複数に分割可能である。言い換えると、周方向Dcに延びる複数の部分リングを互いに接触させることで、一つ仮リング31が形成される。この仮リング組込工程S7では、複数の部分リングを内輪溝29に順次嵌め込んでゆく。
【0027】
次に、連結板除去工程S8を実行する。この連結板除去工程S8では、連結板30を複数の翼中間品21iから外す。この連結板除去工程S8後であっても、中間品群20iの内輪溝29に仮リング31が嵌まり込んでいるため、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iは互いに相対移動ができなない。
【0028】
次に、端面形成工程S9を実行する。この端面形成工程S9では、
図12に示すように、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iにおける下流側端面26diを削って、完成品である静翼21の内側シュラウド24における下流側端面26dを形成する。この過程で、翼中間品21iの内側シュラウド24iにおける下流側端面26di中に残っていた接着剤が完全に除去される。さらに、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iにおける上流側端面26uiを削って、完成品である静翼21の内側シュラウド24における上流側端面26uを形成する。この際、内側部形成工程S6と同様に、立旋盤を用いて、翼中間品21iの内側シュラウド24iをTbで削る。
【0029】
この端面形成工程S9の実行で、翼中間品21iの内側シュラウド24iは、完成品である静翼21の内側シュラウド24と同じになる。よって、この端面形成工程S9の実行で、翼中間品21iは、完成品である静翼21になる。
【0030】
次に、仮リング除去工程S10を実行する。この仮リング除去工程S10では、内輪溝29に嵌り込んでいた仮リング31を外す。
【0031】
次に、内輪組込工程S11を実行する。この内輪組込工程S11では、
図13に示すように、内輪溝29に内輪15を嵌め込む。内輪15は、前述したように、周方向Dcで複数に分割可能である。言い換えると、周方向Dcに延びる複数の部分内輪を互いに接続させることで、一つ内輪15が形成される。この内輪組込工程S11では、複数の部分内輪の凸部17を内輪溝29に順次嵌め込んでゆく。この際、前述したように、内側シュラウド24に対して内輪15を相対的に周方向Dcに移動させて、内輪15の凸部17を側シュラウド24の内輪溝29に嵌め込む。
【0032】
以上で、静翼組品10が完成する。
【0033】
本実施形態では、複数の翼中間品21i毎の外側シュラウド23が外輪11の翼溝12に嵌め込まれ、且つ複数の翼中間品21iの内側シュラウド24iのそれぞれに連結板30が仮付けされた状態で、内側部形成工程S6を実行する。このため、本実施形態では、内側部形成工程S6を実行する際には、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iが互いに相対移動ができない状態になっている。この内側部形成工程S6では、翼中間品21iの内側シュラウド24iにおける反ガスパス面25aiを削って、完成品である静翼21の内側シュラウド24における反ガスパス面25aを形成する。さらに、複数の翼中間品21iの内側シュラウド24iのそれぞれに溝28を形成して、複数の翼中間品21iで構成される中間品群20iに、複数の翼中間品21i毎の溝28が周方向Dcで互いに連なる内輪溝29を形成する。
【0034】
ここで、比較例として、複数の翼中間品21i毎の外側シュラウド23が外輪11の翼溝12に嵌め込まれているものの、複数の翼中間品21iの内側シュラウド24iのそれぞれに連結板30が仮付けされていない状態で、立旋盤を用いて、内側部形成工程S6を実行したとする。この場合、立旋盤の回転テーブルの回転に伴う複数の翼中間品21iが組み込まれている外輪11の回転で、
図9に示すように、バイトTaは、複数の翼中間品21iに対して相対的に周方向Dcに移動する。このバイトTaの周方向への相対移動により、バイトTaによる研削中の翼中間品21iaにおける内側シュラウド24iaには、バイトTaから周方向Dcへの力Fが作用する。この結果、研削中の翼中間品21iaにおける内側シュラウド24iaは、この翼中間品21iaに周方向Dcで隣接している未研削の翼中間品21ibにおける内側シュラウド24ibに押し付けられ、研削中の翼中間品21iaの第一側端面27aが未研削の翼中間品21ibの第二側端面27bに密着する。このため、研削中の翼中間品21iaにおける内側シュラウド24iaは、未研削の翼中間品21ibにおける内側シュラウド24ibから抗力を受ける。前述したように、第一側端面27a及び第二側端面27bは、軸線Arに対して傾斜している面であるため、未研削中の翼中間品21ibにおける内側シュラウド24ibから研削中の翼中間品21iaにおける内側シュラウド24iaが受ける抗力は、軸線方向Daの成分Naを含んでいる。この軸線方向Daの成分Naを含む抗力により、研削中の翼中間品21iaにおける内側シュラウド24iaは、未研削の翼中間品21ibにおける内側シュラウド24ibに対して軸線方向Daに移動しようとする。従って、比較例では、複数の翼中間品21i毎の溝28を画定する面相互間に段差が生じ易い。
【0035】
本実施形態では、内側部形成工程S6を実行する際には、前述したように、連結板30により、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iが互いに相対移動ができない状態になっている。このため、本実施形態では、複数の翼中間品21i毎の溝28を画定する面相互間に段差がない、又はこの段差が極めて小さい、内輪溝29を形成することができる。よって、本実施形態では、静翼列20を構成する複数の静翼21の内側シュラウド24に対して内輪15をしっかりと取り付けることができる。さらに、本実施形態では、複数の静翼21の内側シュラウド24毎における反ガスパス面25a相互間の段差を無くす、又はこの段差を極めて小さくすることができる。
【0036】
本実施形態では、複数の翼中間品21i毎の外側シュラウド23が外輪11の翼溝12に嵌め込まれ、且つ複数の翼中間品21iで構成される中間品群20iの内輪溝29に仮リング31が嵌め込まれた状態で、端面形成工程S9を実行する。本態様では、端面形成工程S9を実行する際、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iが互いに相対移動ができない状態になっている。このため、本実施形態では、複数の静翼21毎の内側シュラウド24における上流側端面26u相互の段差を無くす、又はこの段差を極めて小さくすることができる。さらに、本実施形態では、複数の静翼21毎の内側シュラウド24における下流側上流側端面26u相互の段差を無くす、又はこの段差を極めて小さくすることができる。
【0037】
本実施形態において、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iにおける上流側端面26ui及び下流側端面26diは、いずれも、端面形成工程S9で削られる。このため、本実施形態では、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iにおける上流側端面26ui又は下流側端面26diに連結板30を仮付けしても、完成品である静翼21のシュラウドにおける上流側端面26u及び下流側端面26dに、連結板30の仮付け跡が残らない。
【0038】
本開示は、以上で説明した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0039】
「付記」
以上の実施形態における静翼組品10の製造方法は、例えば、以下のように把握される。
(1)第一態様における静翼組品の製造方法は、
軸線Arを中心として環状の外輪11を準備する外輪準備工程S1と、前記外輪11の内周側に設けられる複数の静翼21毎の翼中間品21iを準備する翼中間品準備工程S2と、前記軸線Arを中心とした周方向Dcに延び、複数の前記静翼21の内周側に設けられる内輪15を準備する内輪準備工程S3と、を実行する。前記外輪準備工程S1で準備する前記外輪11は、前記軸線Arに対する径方向内側Driから前記軸線Arに対する径方向外側Droに向かって凹み、前記周方向Dcに延びる翼溝12を有する。前記翼中間品準備工程S2で準備する前記翼中間品21iは、断面が翼形を成し、前記軸線Arに対する径方向Drに延びる翼体22と、前記翼体22の前記径方向外側Droに設けられ前記翼溝12に嵌り込めるよう形成されている外側シュラウド23と、前記翼体22の前記径方向内側Driに設けられている内側シュラウド24iと、を有する。さらに、複数の前記翼中間品21i毎の前記外側シュラウド23を前記翼溝12に嵌め込む翼中間品組込工程S4と、前記翼中間品組込工程S4後における複数の前記翼中間品21i毎の前記内側シュラウド24iが互いに相対移動ができないように、複数の前記前記翼中間品21iの前記内側シュラウド24iのそれぞれに連結板30を仮付けする仮連結工程S5と、前記仮連結工程S5後の複数の前記翼中間品21iの前記内側シュラウド24iのそれぞれに、前記径方向内側Driから前記径方向外側Droに向かって凹み且つ前記周方向Dcに延びる溝28を形成して、複数の前記翼中間品21iで構成される中間品群20iに、複数の前記翼中間品21i毎の前記溝28が前記周方向Dcで互いに連なる内輪溝29を形成する内側部形成工程S6と、前記内側部形成工程S6後に、前記連結板30を複数の前記翼中間品21iから外す連結板除去工程S8と、前記内輪溝29に、前記内輪15を嵌め込む内輪組込工程S11と、を実行する。
【0040】
本態様では、複数の翼中間品21i毎の外側シュラウド23が外輪11の翼溝12に嵌め込まれ、且つ複数の翼中間品21iの内側シュラウド24iのそれぞれに連結板30が仮付けされた状態で、内側部形成工程S6を実行する。この内側部形成工程S6では、複数の翼中間品21iの内側シュラウド24iのそれぞれに溝28を形成して、複数の翼中間品21iで構成される中間品群20iに、複数の翼中間品21i毎の溝28が周方向Dcで互いに連なる内輪溝29を形成する。本態様では、内側部形成工程S6を実行する際には、連結板30により、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iが互いに相対移動ができない状態になっている。このため、本態様では、複数の翼中間品21i毎の溝28を画定する面相互に段差がない、又はこの段差が極めて小さい、内輪溝29を形成することができる。よって、本態様では、加工精度が上がり、静翼列20を構成する複数の静翼21の内側シュラウド24iに対して内輪15をしっかりと取り付けることができる。
【0041】
(2)第二態様における静翼組品の製造方法は、
前記第一態様における静翼組品10の製造方法において、前記翼中間品21iの前記内側シュラウド24iは、前記径方向外側Droを向くガスパス面25と、径方向内側Driを向き前記ガスパス面25と背合わせの関係にある反ガスパス面25aiと、を有する。前記内側部形成工程S6では、前記翼中間品21iの前記内側シュラウド24iにおける前記反ガスパス面25aiを削って、完成品である前記静翼21の内側シュラウド24における反ガスパス面25aを形成すると共に、前記静翼21の内側シュラウド24における前記反ガスパス面25aの一部を削って、前記反ガスパス面25aから前記径方向内側Driに凹む前記溝28を形成する。
【0042】
本態様では、前述したように、内側部形成工程S6を実行する際、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iが互いに相対移動ができない状態になっている。このため、本態様では、複数の静翼21の内側シュラウド24毎における反ガスパス面25a相互の段差を無くす、又はこの段差を極めて小さくすることができる。
【0043】
(3)第三態様における静翼組品の製造方法は、
前記第一態様又は前記第二態様における静翼組品10の製造方法において、前記翼中間品21iの前記内側シュラウド24iは、前記軸線Arが延びる軸線方向Daにおける軸線上流側Dauを向く上流側端面26ui及び前記軸線方向Daにおける軸線下流側Dadを向く下流側端面26diを有する。前記内側部形成工程S6後であって前記連結板除去工程S8前に、前記翼中間品21i群の前記内輪溝29に、前記周方向Dcに延びる仮リング31を嵌め込んで、前記仮リング31により複数の前記翼中間品21iが互い相対移動できないようにする仮リング組込工程S7と、前記仮リング組込工程S7後で且つ前記連結板除去工程S8後に、前記翼中間品21iの前記内側シュラウド24iにおける前記上流側端面26uiを削って、完成品である前記静翼21の内側シュラウド24における上流側端面26uを形成すると共に、前記翼中間品21iの前記内側シュラウド24iにおける前記下流側端面26diを削って、前記静翼21の前記内側シュラウド24における下流側端面26dを形成する端面形成工程S9と、前記端面形成工程S9後に前記内輪溝29から前記仮リング31を外す仮リング除去工程S10と、を実行する。前記仮リング除去工程S10後に前記内輪組込工程S11を実行する。
【0044】
本態様では、複数の翼中間品21i毎の外側シュラウド23が外輪11の翼溝12に嵌め込まれ、且つ複数の翼中間品21iで構成される中間品群20iの内輪溝29に仮リング31が嵌め込まれた状態で、端面形成工程S9を実行する。本態様では、端面形成工程S9を実行する際には、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iが互いに相対移動ができない状態になっている。このため、本態様では、複数の静翼21毎の内側シュラウド24における上流側端面26u相互の段差を無くす、又はこの段差を極めて小さくすることができる。さらに、本態様では、複数の静翼21毎の内側シュラウド24における下流側上流側端面26u相互の段差を無くす、又はこの段差を極めて小さくすることができる。
【0045】
(4)第四態様における静翼組品の製造方法は、
前記第三態様における静翼組品10の製造方法において、前記仮連結工程S5では、複数の前記翼中間品21i毎の前記内側シュラウド24iにおける前記上流側端面26ui又は前記下流側端面26diに、前記連結板30を仮付けする。
【0046】
複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iにおける上流側端面26ui及び下流側端面26diは、いずれも、端面形成工程S9で削られる。このため、本態様では、複数の翼中間品21i毎の内側シュラウド24iにおける上流側端面26ui又は下流側端面26diに連結板30を仮付けしても、完成品である静翼21のシュラウドにおける上流側端面26u及び下流側端面26dに、連結板30の仮付け跡が残らない。
【0047】
(5)第五態様における静翼組品の製造方法は、
前記第一態様から前記第四態様のうちのいずれか一態様における静翼組品10の製造方法において、前記仮連結工程S5では、複数の前記翼中間品21iの前記内側シュラウド24iのそれぞれに、接着剤を用いて前記連結板30を仮付けする。
【符号の説明】
【0048】
1:ロータ
2:ロータ軸
3:動翼列
4:ケーシング
10:静翼組品
11:外輪
12:翼溝
15:内輪
16:内輪本体
17:凸部
18:リップ
20:静翼列
20i:中間品群
21:静翼
21i:翼中間品
22:翼体
23:外側シュラウド
24,24i:内側シュラウド
25:ガスパス面
25a,25ai:反ガスパス面
26u,26ui:上流側端面
26d,26di:下流側端面
27a:第一側端面
27b:第二側端面
28:溝
29:内輪溝
30:連結板
31:仮リング
Ta,Tb:バイト
Ar:軸線
Da:軸線方向
Dau:軸線上流側
Dad:軸線下流側
Dc:周方向
Dr:径方向
Dri:径方向内側
Dro:径方向外側
V:鉛直方向
Vu:上側