(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113482
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】チャンネルベース
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240815BHJP
H02B 3/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H05K5/02 B
H02B3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018501
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光広
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AC03
4E360AC23
4E360EA05
4E360EB03
4E360GA26
4E360GA33
4E360GA53
4E360GA60
4E360GB94
(57)【要約】
【課題】植物由来のカーボンニュートラルなバイオマス素材を用いることで、軽量で高い強度を有しつつ絶縁性を兼ね備え、搬送作業に要する手間やコスト並びに設置作業に要する手間や時間を低減可能な環境負荷の小さいチャンネルベースを提供する。
【解決手段】電力を消費する装置と、その電源との間に配設される電力用盤2を支持するように、予め設定された支持領域にセットされるチャンネルベース1であり、電力用盤は電気機器を収容した金属製筐体2hを有し、筐体はチャンネルベースを介して支持領域に接続された状態で、電気機器を流れる電流が筐体からチャンネルベースを通って支持領域に漏洩するのを防止することで、筐体が電気的に絶縁された状態に維持されるように、チャンネルベースは、少なくともその一部が植物由来のカーボンニュートラルなバイオマス素材であるセルロースナノファイバを用いたCNF材で一体的に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を消費する装置と、その電源との間に配設される電力用盤を支持するように、予め設定された支持領域にセットされるチャンネルベースであって、
前記電力用盤は、電気機器を収容した金属製の筐体を有すると共に、
前記筐体は、前記チャンネルベースを介して、前記支持領域に接続されている状態において、
前記電気機器を流れる電流が前記筐体から前記チャンネルベースを通って前記支持領域に漏洩するのを防止することで、前記筐体が前記支持領域に対して電気的に絶縁された状態に維持されるように、前記チャンネルベースは、少なくともその一部が、植物由来のカーボンニュートラルなバイオマス素材であるセルロースナノファイバを用いたCNF材によって一体的に構成されているチャンネルベース。
【請求項2】
前記チャンネルベースは、その全体が、前記CNF材によって一体的に構成されている請求項1に記載のチャンネルベース。
【請求項3】
前記チャンネルベースは、前記筐体に接する表面部と、前記表面部の反対側において前記支持領域に接する背面部と、を有し、
前記チャンネルベースは、前記表面部が、前記CNF材によって一体的に構成されている請求項1に記載のチャンネルベース。
【請求項4】
前記チャンネルベースは、前記筐体に接する表面部と、前記表面部の反対側において前記支持領域に接する背面部と、を有し、
前記チャンネルベースは、前記背面部が、前記CNF材によって一体的に構成されている請求項1又は3に記載のチャンネルベース。
【請求項5】
前記チャンネルベースは、前記筐体に接する表面部と、前記表面部の反対側において前記支持領域に接する背面部と、前記表面部と前記背面部との間に介在された中間部と、を有し、
前記チャンネルベースは、前記中間部が、前記CNF材によって一体的に構成されている請求項1に記載のチャンネルベース。
【請求項6】
前記CNF材は、植物を原料とするセルロースを数~数十ナノメートルに微細化したナノ繊維を含有して構成された粉状、液状、或いは、固形状を成している請求項1に記載のチャンネルベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、セルロースナノファイバ(CNF)製のチャンネルベースに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電力を消費する装置(エアコン、テレビ、発動機など)と、その電源との間に配設されるものとして、電源装置(無停電電源装置、直流電源装置)、配電盤、分電盤、スイッチギヤなどの電気機器を金属製の筐体の内部に収容した電力用盤が知られている。
【0003】
なお、電源装置は、入力電源から必要とされる出力電源を生成する装置である。配電盤は、電源から送られた高圧電力を低圧化させる。分電盤は、配電盤から基幹を通して送られた電気を分岐させる。スイッチギヤは、電気回路の開閉や保護(計測・制御)などを実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/044747号
【特許文献2】特開2017-099047号公報
【特許文献3】特開2010-147131号公報
【特許文献4】特開2019-047557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような従来の電力用盤においては、金属製の筐体を通って電流が外部に漏洩するのを防止するために、筐体が外部と電気的に接する部分に絶縁板を介在させる場合がある。例えば、電力用盤(即ち、筐体)が金属製のチャンネルベースで支持されている場合、絶縁板は、筐体とチャンネルベースとの間、或いは、当該チャンネルベースが外部と接する相互間に介在させる。
【0006】
この場合、絶縁板とチャンネルベースとは、別々に製造される。これにより、電力用盤を配設する現場までの搬送作業では、常に、チャンネルベースの搬送作業に加えて、絶縁板の搬送作業が別途行われることとなる。この結果、チャンネルベースの搬送作業に要する手間やコストが倍増してしまう。
【0007】
そして、搬送先の現場におけるチャンネルベースの設置作業では、先ず、チャンネルベースの位置合わせが行われ、次に、このチャンネルベースに絶縁板をセットした状態で再度位置合わせが行われる。この結果、チャンネルベースの設置作業に要する手間や時間が倍増してしまう。
【0008】
更に、近年では、植物由来のカーボンニュートラルなバイオマス素材(例えば、セルロースナノファイバ(CNF))を用いたチャンネルベースが求められている。このCNF製のチャンネルベースによれば、軽量でありながら高い強度を有しつつ、絶縁板を設けること無く絶縁性を兼ね備え、環境に対する負荷も小さくなる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、植物由来のカーボンニュートラルなバイオマス素材を用いることで、軽量でありながら高い強度を有しつつ、絶縁板を設けること無く絶縁性を兼ね備え、かつ、搬送作業に要する手間やコスト並びに設置作業に要する手間や時間を低減させることが可能な環境に対する負荷の小さいチャンネルベースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態によれば、電力を消費する装置と、その電源との間に配設される電力用盤を支持するように、予め設定された支持領域にセットされるチャンネルベースであって、電力用盤は、電気機器を収容した金属製の筐体を有すると共に、筐体は、チャンネルベースを介して、支持領域に接続されている状態において、電気機器を流れる電流が筐体からチャンネルベースを通って支持領域に漏洩するのを防止することで、筐体が支持領域に対して電気的に絶縁された状態に維持されるように、チャンネルベースは、少なくともその一部が、植物由来のカーボンニュートラルなバイオマス素材であるセルロースナノファイバを用いたCNF材によって一体的に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態(
図1~
図3)において、電力用盤を支持するように、予め設定された支持領域にセットされたチャンネルベースの斜視図。
【
図3】
図2のF-F線に沿う断面図であって、その全体がCNF材で一体構成されたチャンネルベースの断面図。
【
図4】第1変形例において、
図2のF-F線に沿う断面図であって、その表面部がCNF材で一体構成されたチャンネルベースの断面図。
【
図5】第2変形例において、
図2のF-F線に沿う断面図であって、その背面部がCNF材で一体構成されたチャンネルベースの断面図。
【
図6】第3変形例において、
図2のF-F線に沿う断面図であって、その中間部がCNF材で一体構成されたチャンネルベースの断面図。
【
図7】第4変形例において、
図2のF-F線に沿う断面図であって、その表面部と背面部の双方がCNF材で一体構成されたチャンネルベースの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
「一実施形態」
図1は、一実施形態に係るチャンネルベース1の外観配置構成図である。
図1の例において、チャンネルベース1は、予め設定された支持領域(図示しない)にセットされる。チャンネルベース1には、電力用盤2が設置される。支持領域としては、例えば、建屋の床や敷地、壁や屋上など電力用盤2を設置可能な全ての領域が想定される。これにより、各所の支持領域において、電力用盤2は、チャンネルベース1によって支持された状態に維持される。
【0013】
電力用盤2は、特に図示しないが例えば、電力を消費する装置(エアコン、テレビ、発動機など)と、その電源との間に配設される。電力用盤2は、金属製の筐体2hを有し、この筐体2hの内部には、例えば、電源装置(無停電電源装置、直流電源装置)、配電盤、分電盤、スイッチギヤなどの電気機器(図示しない)が収容されている。
図1には一例として、矩形の立体的輪郭を有する金属製の筐体2hが示されている。
【0014】
図1に示すように、チャンネルベース1は、矩形状に中抜きされた枠形(四角形)の輪郭構造を成し、その全体に亘って一定の厚さTに設定されている。チャンネルベース1の厚さTは、電力用盤2を支持可能な強度ないし耐久性を実現できる程度に設定され、電力用盤2の大きさや重量に応じて増減変更されるため、特に数値限定はしない。
【0015】
この厚さT方向で見て、チャンネルベース1は、その一方側に表面部1aが設けられ、その他方側(即ち、表面部1aの反対側)に背面部1bが設けられている。表面部1a及び背面部1bは、互いに平行に配置され、それぞれ凹凸の無い平坦面として構成されている。これにより、その全体に亘って一定の厚さTを有するチャンネルベース1が実現されている。
【0016】
ここで、上記した支持領域にチャンネルベース1をセットした状態において、チャンネルベース1は、その背面部1bが支持領域に接続される。電力用盤2をチャンネルベース1に設置した状態において、チャンネルベース1は、その表面部1aが電力用盤2の筐体2hに接続される。これにより、筐体2hは、チャンネルベース1を介して、支持領域に接続されている状態となる。
【0017】
なお、チャンネルベース1は、その全体を一体的に成形してもよいし、或いは、複数のパーツを相互に接合させて成形してもよい。後述する
図2には一例として、複数のパーツ3,4,5,6を相互に接合させて成形されたチャンネルベース1が示されている。
【0018】
図2は、チャンネルベース1のパーツ接合図である。
図2の例において、チャンネルベース1は、4つのパーツ(第1~第4パーツ3,4,5,6)を互いに接合させて成形されている。各パーツ3~6は、それぞれ、真っ直ぐに延在した長尺の矩形輪郭を有し、その幅Wは、互いに同一に設定されている。
【0019】
各パーツ3~6の長さについては、第1パーツ3と第2パーツ4の長さは、互いに同一の長さL1に設定され、第3パーツ5と第4パーツ6の長さは、互いに同一の長さL2に設定されている。双方の長さL1,L2は、互いに、同一に設定してもよいし、相違させて設定してもよい。
【0020】
図2に示すように、第1パーツ3と第2パーツ4とを互いに平行に対向配置させた状態において、これら第1パーツ3及び第2パーツ4の両端相互間に、第3パーツ5と第4パーツ6とを互いに平行に対向配置させる。そして、例えば、接着、溶接、ねじ(ボルト)止めなど既存の接合方法で各パーツ3~6を相互に接合させる。これにより、矩形状に中抜きされた枠形(四角形)の輪郭構造を成したチャンネルベース1が成形されている。
【0021】
このようなチャンネルベース1は、少なくともその一部が、植物由来のカーボンニュートラルなバイオマス素材(再生可能な持続型資源)であるセルロースナノファイバを用いたCNF材によって一体的に構成されている。
【0022】
セルロースナノファイバ(CNF)は、植物を原料とするセルロースを数~数十ナノメートルに微細化した繊維状の物質を指している。そして、CNF材は、このようなナノ繊維を含有して構成された粉状、液状、或いは、固形状を成したものを想定している。
【0023】
CNF材を構成する植物としては、例えば、木材、竹、稲わら、麦わら、もみ殻、農業残債(野菜くず、茶殻、みかん皮)、ススキなどの草本類、海藻などを想定することができる。
【0024】
カーボンニュートラルとは、植物を細かく磨り潰す際には二酸化炭素が排出されるものの、植物は二酸化炭素を吸収して成長するので、全体的に見れば大気中に排出される二酸化炭素と、大気中から吸収される二酸化炭素とが互いに等しい量(即ち、二酸化炭素の排出量がゼロ)となっている状態を指している。これにより、大気中の二酸化炭素の量に影響を与えず、その結果、環境に対する負荷を少なくすることができる。
【0025】
図3は、チャンネルベース1の断面図である。
図3の例において、チャンネルベース1は、その全体が、CNF材によって一体的に構成(即ち、一体成形)されている。この場合、上記した4つのパーツ(第1~第4パーツ3,4,5,6)は、それぞれ、その全体がCNF材によって一体成形されている。
【0026】
各パーツ3~6の全体をCNF材で一体成形する方法としては、例えば、粉状或いは液状のCNF材を用意して、これをバインダ(固化材)によって、予め設定された形状に固化させればよい。これにより、その全体がCNF材で一体成形された断面矩形状の長尺構造を有する第1~第4パーツ3,4,5,6を構成することができる。
【0027】
以上、本実施形態によれば、チャンネルベース1をCNF材で一体成形したことにより、絶縁板を用いること無く、電気機器を流れる電流が筐体2hからチャンネルベース1を通って支持領域に漏洩するのを防止することができ、その結果、筐体2hを常に支持領域に対して電気的に絶縁された状態に維持することができる。
【0028】
本実施形態によれば、チャンネルベース1をCNF材で一体成形したことにより、電力用盤2を配設する現場までの搬送作業において、絶縁板を別途搬送するといった従来の作業が不要となり、その結果、チャンネルベース1の搬送作業に要する手間やコストを大幅に削減することができる。
【0029】
本実施形態によれば、チャンネルベース1をCNF材で一体成形したことにより、搬送先の現場におけるチャンネルベース1の設置作業において、絶縁板をチャンネルベース1にセットした状態で再度位置合わせを行うといった従来の作業が不要となり、その結果、チャンネルベース1の設置作業に要する手間や時間を格段に低減することができる。
【0030】
本実施形態によれば、チャンネルベース1をCNF材で一体成形したことにより、チャンネルベース1の軽量化と共に高強度化を同時に達成することが可能となり、その結果、チャンネルベース1をセットする支持領域に求められる耐荷重強度を小さくすることができると共に、電力用盤2を支持するチャンネルベース1自体の耐久性を向上させることができる。
【0031】
本実施形態によれば、チャンネルベース1をCNF材で一体成形したことにより、二酸化炭素の排出量を実質ゼロ(換言すると、カーボンニュートラルな状態)にすることが可能となり、その結果、環境に対する負荷を小さくすることができる。
【0032】
本実施形態によれば、チャンネルベース1をCNF材で一体成形したことにより、リサイクル時の繊維破断ないし物性低下を少なくすることが可能となり、その結果、紙やプラスチックと同様にサーマルリカバリーを達成することができる。
【0033】
本実施形態によれば、チャンネルベース1をCNF材で一体成形したことにより、防火性能を向上させることが可能となり、その結果、高温になり難いと共に燃え(溶け)難く、更に、有毒ガスも発生しない。
【0034】
「第1変形例」
図4は、第1変形例に係るチャンネルベース1の断面図である。
図4の例において、チャンネルベース1は、表面部1aが、CNF材によって一体的に構成(即ち、一体成形)されている。具体的には、上記した4つのパーツ(第1~第4パーツ3,4,5,6)は、それぞれ、その表面部1aがCNF材によって一体成形されている。この場合、各パーツ3~6は、既存のチャンネルベース1と同様の材質(例えば、強度や剛性に優れた金属材料)で構成することができる。
【0035】
各パーツ3~6の表面部1aをCNF材で一体成形する方法としては、例えば、粉状或いは液状のCNF材を用意して、これを含有させた塗布溶液を各パーツ3~6の表面部1aに沿って塗布して乾燥させればよい。これにより、その表面部1aがCNF材から成るCNF層7で一体成形された第1~第4パーツ3,4,5,6を構成することができる。
【0036】
ここで、CNF層7の厚さについては、チャンネルベース1で電力用盤2を支持した状態において、当該CNF層が破断したり損壊したりしない程度の強度ないし耐久性を有する厚さに設定すれば足りるため、特に数値限定はしない。
【0037】
更に、本変形例では、既存のチャンネルベース1をそのまま利用し、当該チャンネルベース1の表面部1aに沿って、溶液状のCNF材を塗布して乾燥させてもよい。なお、これ以外の構成並びに効果は、上記した一実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0038】
「第2変形例」
図5は、第2変形例に係るチャンネルベース1の断面図である。
図5の例において、チャンネルベース1は、背面部1bが、CNF材によって一体的に構成(即ち、一体成形)されている。具体的には、上記した4つのパーツ(第1~第4パーツ3,4,5,6)は、それぞれ、その背面部1bがCNF材によって一体成形されている。この場合、各パーツ3~6は、既存のチャンネルベース1と同様の材質(例えば、強度や剛性に優れた金属材料)で構成することができる。
【0039】
各パーツ3~6の背面部1bをCNF材で一体成形する方法としては、例えば、粉状或いは液状のCNF材を用意して、これを含有させた塗布溶液を各パーツ3~6の背面部1bに沿って塗布して乾燥させればよい。これにより、その背面部1bがCNF材から成るCNF層7で一体成形された第1~第4パーツ3,4,5,6を構成することができる。
【0040】
ここで、CNF層7の厚さについては、チャンネルベース1で電力用盤2を支持した状態において、当該CNF層7が破断したり損壊したりしない程度の強度ないし耐久性を有する厚さに設定すれば足りるため、特に数値限定はしない。
【0041】
更に、本変形例では、既存のチャンネルベース1をそのまま利用し、当該チャンネルベース1の背面部1bに沿って、溶液状のCNF材を塗布して乾燥させてもよい。なお、これ以外の構成並びに効果は、上記した一実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0042】
「第3変形例」
図6は、第3変形例に係るチャンネルベース1の断面図である。
図6の例において、チャンネルベース1は、表面部1aと背面部1bとの間に介在された中間部1cが、CNF材によって一体的に構成(即ち、一体成形)されている。
【0043】
各パーツ3~6の中間部1cをCNF材で一体成形する方法としては、例えば、上記した4つのパーツ(第1~第4パーツ3,4,5,6)をそれぞれ構成する一対のパーツ構成体P1,P2を用意する。各パーツ構成体P1,P2の厚さは、上記した各パーツ3~6の厚さTの半分T/2程度に設定する。この場合、各パーツ構成体P1,P2は、既存のチャンネルベース1と同様の材質(例えば、強度や剛性に優れた金属材料)で構成することができる。
【0044】
そして、各パーツ構成体P1,P2を互いに接合した状態において、パーツ構成体P1,P2の相互間にCNF材から成るCNF層7が介在するように、双方のパーツ構成体P1,P2の対向面S1,S2或いは一方のパーツ構成体P1(又はP2)の対向面S1(又はS2)に沿って溶液状のCNF材を塗布して乾燥させればよい。これにより、その中間部1cがCNF材から成るCNF層7で一体成形された第1~第4パーツ3,4,5,6を構成することができる。
【0045】
なお、対向面S1,S2は、当該パーツ構成体P1,P2を互いに接合させる際に対向し合う面を指している。溶液状のCNF材は、粉状或いは液状のCNF材を用意して、これを塗布溶液に含有させて製造することができる。
【0046】
ここで、CNF層7の厚さについては、チャンネルベース1で電力用盤2を支持した状態において、当該CNF層7が破断したり損壊したりしない程度の強度ないし耐久性を有する厚さに設定すれば足りるため、特に数値限定はしない。
【0047】
更に、本変形例では、既存のチャンネルベース1をそのまま利用し、当該チャンネルベース1の双方或いは一方に沿って溶液状のCNF材を塗布して乾燥させ、その後、当該CNF層7を挟み込むように、双方のチャンネルベース1を接合させてもよい。なお、これ以外の構成並びに効果は、上記した一実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0048】
「第4変形例」
図7は、第4変形例に係るチャンネルベース1の断面図である。
図7の例において、チャンネルベース1は、表面部1aと背面部1bの双方が、CNF材によって一体的に構成(即ち、一体成形)されている。具体的には、上記した4つのパーツ(第1~第4パーツ3,4,5,6)は、それぞれ、その表面部1aと背面部1bの双方がCNF材によって一体成形されている。この場合、各パーツ3~6は、既存のチャンネルベース1と同様の材質(例えば、強度や剛性に優れた金属材料)で構成することができる。
【0049】
各パーツ3~6の表面部1aと背面部1bの双方をCNF材で一体成形する方法としては、上記した第1変形例並びに第2変形例において行った方法を組み合わせればよい。CNF層7の厚さについても、上記した第1変形例並びに第2変形例と同様に数値限定はしない。
【0050】
更に、本変形例でも、既存のチャンネルベース1をそのまま利用し、当該チャンネルベース1の表面部1aと背面部1bの双方に沿って、溶液状のCNF材を塗布して乾燥させてもよい。なお、これ以外の構成並びに効果は、上記した一実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0051】
以上、本発明の一実施形態及びいくつかの変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1…チャンネルベース、1a…表面部、1b…背面部、1c…中間部、2…電力用盤、2h…筐体、3…第1パーツ、4…第2パーツ、5…第3パーツ、6…第4パーツ、7…CNF層、P1,P2…パーツ構成体、S1,S2…対向面。