(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113490
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/00 20060101AFI20240815BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240815BHJP
C08K 5/17 20060101ALI20240815BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20240815BHJP
C08L 9/06 20060101ALI20240815BHJP
C08K 5/548 20060101ALI20240815BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B60C11/00 D
C08K3/36
C08K5/17
C08L7/00
C08L9/06
C08K5/548
B60C1/00 A
B60C11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018513
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】高田 善機
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131AA03
3D131BA05
3D131BA18
3D131BA20
3D131BB01
3D131BB03
3D131BB06
3D131BB09
3D131BB11
3D131BC01
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3D131EA02U
3D131EB11V
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3D131EB24V
3D131EB24X
3D131EB24Z
4J002AC012
4J002AC033
4J002AC081
4J002BC094
4J002BK004
4J002CP105
4J002DJ016
4J002EN127
4J002EX088
4J002FD016
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】ウェットグリップ性能及び低燃費性能の総合性能に優れたタイヤを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、
前記トレッドは、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカと、モノアミン化合物と、樹脂とを含むゴム組成物で構成され、
前記スチレンブタジエンゴム成分のスチレン量が、30質量%以下であり、
前記ゴム組成物のガラス転移温度が、-30℃以上であり、
前記ゴム組成物の30℃でのtanδ(30℃tanδ)をA、前記ゴム組成物の0℃でのtanδ(0℃tanδ)をB、前記周方向溝部の溝深さをT(mm)としたときの、Bに対するAの比とTとの積((A/B)×T)が、4.0以下であるタイヤ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、
前記トレッドは、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカと、モノアミン化合物と、樹脂とを含むゴム組成物で構成され、
前記スチレンブタジエンゴム成分のスチレン量が、30質量%以下であり、
前記ゴム組成物のガラス転移温度が、-30℃以上であり、
前記ゴム組成物の30℃でのtanδ(30℃tanδ)をA、前記ゴム組成物の0℃でのtanδ(0℃tanδ)をB、前記周方向溝部の溝深さをT(mm)としたときの、Bに対するAの比とTとの積((A/B)×T)が、4.0以下であるタイヤ。
【請求項2】
前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量%中、スチレンブタジエンゴムを30質量%以上含む請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記モノアミン化合物が、下記式(I)で表される化合物である請求項1又は2記載のタイヤ。
【化1】
(式(I)中、R
1は、炭化水素基を表す。R
2、R
3は、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又は-(AO)
n-H基(nは1以上の整数を表し、R
2、R
3の各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。AOは、同一又は異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基を表す。)を表し、R
2、R
3のうち少なくとも1つが-(AO)
n-H基である。)
【請求項4】
前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを60質量部以上含む請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項5】
前記シリカの平均粒子径が、16nm以下である請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項6】
前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、樹脂を5~50質量部含む請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項7】
前記周方向溝部の溝深さT(mm)が、5.0mm以下である請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項8】
前記ゴム組成物が、メルカプト系シランカップリング剤を含む請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項9】
前記ゴム組成物が、スチレン量が30質量%以下のスチレンブタジエンゴムを含む請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項10】
前記ゴム組成物のアセトン抽出量が、20.0質量%以上である請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記ゴム組成物の30℃でのtanδ(30℃tanδ)をA、前記ゴム組成物の0℃でのtanδ(0℃tanδ)をB、前記周方向溝部の溝深さをT(mm)としたときの、Bに対するAの比とTとの積((A/B)×T)が、3.0以下である請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項12】
前記ゴム組成物が、ブタジエンゴムを含む請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項13】
前記トレッドが、キャップ層である請求項1又は2記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安全性等の観点から、自動車用タイヤのグリップ性能を改善することが望まれ、特に低温でのウェットグリップ性能の改善が望まれている。これまでに、スチレンブタジエンゴムやシリカを用いることでウェットグリップ性能を向上させることができることが知られていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動車用タイヤに要求される他の性能である低燃費性能は、ウェットグリップ性能と背反する性能であるため、これらの性能をバランス良く改善することが望まれており、更なる改善の余地があると考えられる。
本発明は、前記課題を解決し、ウェットグリップ性能及び低燃費性能の総合性能に優れたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、前記トレッドは、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカと、モノアミン化合物と、樹脂とを含むゴム組成物で構成され、前記スチレンブタジエンゴム成分のスチレン量が、30質量%以下であり、前記ゴム組成物のガラス転移温度が、-30℃以上であり、前記ゴム組成物の30℃でのtanδ(30℃tanδ)をA、前記ゴム組成物の0℃でのtanδ(0℃tanδ)をB、前記周方向溝部の溝深さをT(mm)としたときの、Bに対するAの比とTとの積((A/B)×T)が、4.0以下であるタイヤである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、前記トレッドは、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカと、モノアミン化合物と、樹脂とを含むゴム組成物で構成され、前記スチレンブタジエンゴム成分のスチレン量が、30質量%以下であり、前記ゴム組成物のガラス転移温度が、-30℃以上であり、前記ゴム組成物の30℃でのtanδ(30℃tanδ)をA、前記ゴム組成物の0℃でのtanδ(0℃tanδ)をB、前記周方向溝部の溝深さをT(mm)としたときの、Bに対するAの比とTとの積((A/B)×T)が、4.0以下であるタイヤであるので、ウェットグリップ性能及び低燃費性能の総合性能に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】空気入りタイヤの一部が示された断面図である。
【
図2】
図1のタイヤ2のトレッド4の近辺が示された拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のタイヤは、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、前記トレッドは、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカと、モノアミン化合物と、樹脂とを含むゴム組成物で構成され、前記スチレンブタジエンゴム成分のスチレン量が、30質量%以下であり、前記ゴム組成物のガラス転移温度が、-30℃以上であり、前記ゴム組成物の30℃でのtanδ(30℃tanδ)をA、前記ゴム組成物の0℃でのtanδ(0℃tanδ)をB、前記周方向溝部の溝深さをT(mm)としたときの、Bに対するAの比とTとの積((A/B)×T)が、4.0以下である。前記タイヤは、ウェットグリップ性能及び低燃費性能の総合性能に優れている。
【0009】
上記ゴム組成物において、前述の効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
[1]トレッドを構成するゴム組成物に、シリカ及びモノアミン化合物を配合することにより、モノアミン化合物とシリカ表面の水酸基とが反応し、シリカが疎水化されやすくなることで、せん断変形を効率よく伝えることができ、ゴム中でのシリカの分散性を高めることができると考えられる。
[2]イソプレン系ゴムとスチレンブタジエンゴムとは互いに非相溶であり、海相及び島相を形成するため、通常はシリカが一方のポリマー相に偏在すると考えられるが、モノアミン化合物を配合することで、シリカの偏在を抑制でき、シリカの分散性が向上すると考えられる。
[3]イソプレン系ゴムとスチレンブタジエンゴムとは互いに非相溶であるが、スチレンブタジエン成分中のスチレン量を小さくすることで、スチレンブタジエンゴムがイソプレン系ゴムと相溶しやすくなり、ポリマーのモルフォロジーがより均一に近い状態となるため、シリカが一方のポリマー相に偏在しにくくなり、シリカの分散性が向上すると考えられる。
[4]樹脂を配合すると、樹脂は粘着性があり、ゴム成分と馴染みやすいため、凝集したシリカを補足し、ゴム中への分散性を向上させ、シリカ表面の水酸基が露出させることができ、モノアミン化合物とシリカとの反応性を向上させることができると考えられる。
[5]前記ゴム組成物のガラス転移温度が-30℃以上であると低燃費性能に寄与する温度領域のtanδが高くなりすぎず、かつウェットグリップ性能に寄与する低温領域のtanδを高くし、よりウェットグリップ性能及び低燃費性能の総合性能に優れたトレッドゴムを提供することができると推察される。
[6]周方向溝部の溝深さはリブの変形量と相関があり、(30℃tanδ/0℃tanδ)×周方向溝部の溝深さ(mm)で示される指標を一定以下とすることで、リブの変形量に応じて適切なゴム組成物をトレッド部に配置できると考えられる。
上記[1]~[6]により、ウェットグリップ性能及び低燃費性能の総合性能に優れたタイヤを提供できると推察される。
【0010】
このように、本発明は、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、前記トレッドは、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカと、モノアミン化合物と、樹脂とを含むゴム組成物で構成され、前記スチレンブタジエンゴム成分のスチレン量が、30質量%以下であり、前記ゴム組成物のガラス転移温度が、-30℃以上であり、前記ゴム組成物の30℃でのtanδ(30℃tanδ)をA、前記ゴム組成物の0℃でのtanδ(0℃tanδ)をB、前記周方向溝部の溝深さをT(mm)としたときの、Bに対するAの比とTとの積((A/B)×T)が、4.0以下であるタイヤの構成にすることにより、ウェットグリップ性能及び低燃費性能の総合性能に優れたタイヤを提供するという課題(目的)を解決するものである。すなわち、「前記ゴム組成物の30℃でのtanδ(30℃tanδ)をA、前記ゴム組成物の0℃でのtanδ(0℃tanδ)をB、前記周方向溝部の溝深さをT(mm)としたときの、Bに対するAの比とTとの積((A/B)×T)が、4.0以下」のパラメータは課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、ウェットグリップ性能及び低燃費性能の総合性能に優れたタイヤを提供することであり、そのための解決手段として前記パラメータを満たすような構成としたものである。
【0011】
本発明のタイヤは、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、前記トレッドは、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカと、モノアミン化合物と、樹脂とを含むゴム組成物で構成される。
【0012】
本明細書において、ゴム成分は、重量平均分子量(Mw)が1万より大きく、架橋に寄与する成分であり、JIS K 6229:2015に準拠した方法で、ゴム組成物を24時間アセトン抽出した場合に抽出されないポリマー成分がゴム成分に該当する。
【0013】
上記ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0014】
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
【0015】
上記ゴム組成物は、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴム(SBR)を含有するゴム成分を含む。
【0016】
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20、SVR-L等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NRが好ましい。
【0017】
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できるが、効果がより良好に得られるという観点から、溶液重合スチレンブタジエンゴムが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
SBR成分のスチレン量は、30質量%以下であるが、効果がより良好に得られるという観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。また、該スチレン量は、効果がより良好に得られるという観点から、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。
なお、本明細書において、ゴム成分のスチレン量は、1H-NMR測定により算出される。
【0019】
SBR成分のビニル量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、ゴム成分のビニル量は、1H-NMR測定により算出される。
【0020】
SBRのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-80℃以上、より好ましくは-75℃以上、更に好ましくは-70℃以上、より更に好ましくは-65℃以上であり、また、好ましくは-35℃以下、より好ましくは-40℃以下、更に好ましくは-45℃以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、ガラス転移温度は、JIS K7121に従い、昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量測定(DSC)を行って測定される値である。
【0021】
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。また、公知の方法により合成したものを使用することもできる。
【0022】
なお、上述のSBR成分のスチレン量は、SBRが1種である場合、当該SBRのスチレン量を意味し、複数種である場合、平均スチレン量を意味する。
SBRの平均スチレン量は、{Σ(各SBRの含有量×各SBRのスチレン量)}/全SBRの合計含有量で算出でき、例えば、ゴム成分100質量%中、スチレン量40質量%のSBRが85質量%、スチレン量25質量%のSBRが5質量%である場合、SBRの平均スチレン量は、39.2質量%(=(85×40+5×25)/(85+5))である。
【0023】
また、上述のSBR成分のビニル量はSBR中におけるブタジエン部の総質量を100としたときのビニル結合の割合であり(単位:質量%)、ビニル量[質量%]+シス量[質量%]+トランス量[質量%]=100[質量%]となる。SBRが1種である場合、当該SBRのビニル量を意味し、複数種である場合、平均ビニル量を意味する。
SBRの平均ビニル量は、Σ{各SBRの含有量×(100[質量%]-各SBRのスチレン量[質量%])×各SBRのビニル量[質量%]}/Σ{各SBRの含有量×(100[質量%]-各SBRのスチレン量[質量%])}で算出でき、例えば、ゴム成分100質量部中、スチレン量40質量%、ビニル量30質量%のSBRが75質量部、スチレン量25質量%、ビニル量20質量%のSBRが15質量部、残り10質量部がSBR以外である場合、SBRの平均ビニル量は、28質量%(={75×(100[質量%]-40[質量%])×30[質量%]+15×(100[質量%]-25[質量%])×20[質量%])}/{75×(100[質量%]-40[質量%])+15×(100[質量%]-25[質量%])}である。
【0024】
SBRとしては、スチレン量が30質量%以下のSBRを含むことが好ましく、スチレン量が25質量%以下のSBRを含むことがより好ましく、スチレン量が20質量%以下のSBRを含むことが更に好ましい。また、効果がより良好に得られるという観点から、スチレン量が5質量%以上のSBRを含むことが好ましく、スチレン量が7質量%以上のSBRを含むことがより好ましく、スチレン量が10質量%以上のSBRを含むことが更に好ましい。
【0025】
SBRは、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。
変性SBRとしては、シリカ、カーボンブラック等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記官能基としては、例えば、窒素原子、酸素原子、及び珪素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、効果がより好適に得られるという理由から、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
【0028】
また、SBRとしては、水素添加されたSBR(水添SBR)を用いることもできる。
【0029】
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及びSBRの合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0030】
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0031】
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上である。また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。上記範囲内であると、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分において、スチレンブタジエンゴムの含有比率が高い方が、ゴム組成物のtanδの温度分散カーブのピークがよりシャープになりピークトップが高くなるため、ゴム組成物の30℃でのtanδの値を低く保ちつつ、0℃でのtanδの値が高くなり、よりウェットグリップ性能及び低燃費性能の総合性能に優れた配合設計とすることができ、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0032】
上記ゴム組成物は、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴム以外の他のゴム成分を含んでもよい。
他のゴム成分として、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、上記以外のゴム成分としては、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、BRが好ましい。
【0033】
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
BRのシス量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上であり、上限は特に限定されないが、例えば、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、ゴム成分のシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
【0035】
なお、上述のBRのシス量は、BRが1種である場合、当該BRのシス量を意味し、複数種である場合、平均シス量を意味する。
BRの平均シス量は、{Σ(各BRの含有量×各BRのシス量)}/全BRの合計含有量で算出でき、例えば、ゴム成分100質量%中、シス量:90質量%のBRが20質量%、シス量:40質量%のBRが10質量%である場合、BRの平均シス量は、73.3質量%(=(20×90+10×40)/(20+10))である。
【0036】
また、BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。変性BRとしては、変性SBRと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
【0037】
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
【0038】
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0039】
ゴム成分は、オイルで伸展された油展ゴム、樹脂で伸展された樹脂伸展ゴムであってもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、油展ゴムが好ましい。
なお、油展ゴムに使用されるオイル、樹脂伸展ゴムに使用される樹脂は、後述の可塑剤で説明したものと同様である。また、油展ゴム中のオイル分、樹脂伸展ゴム中の樹脂分は特に限定されないが、通常、ゴム固形分100質量部に対して10~50質量部程度である。
【0040】
前記ゴム成分中の総スチレン量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは18質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、特に好ましくは24質量%以下である。上記範囲内であると、フィラーのイソプレン系ゴム相への分配が容易になり、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0041】
ここで、ゴム成分中の総スチレン量は、ゴム成分全量中に含まれるスチレン部の合計含有量(単位:質量%)であり、Σ(各ゴム成分の含有量×各ゴム成分中のスチレン量/100)で算出できる。例えば、ゴム成分100質量%中、スチレン量:40質量%のSBRが85質量%、スチレン量:25質量%のSBRが5質量%、スチレン量:0質量%のBRが10質量%である場合、ゴム成分中の総スチレン量は、35.25質量%(=85×40/100+5×25/100+10×0/100)である。
【0042】
なお、ゴム成分中の総スチレン量は、核磁気共鳴(NMR)法によって測定できる。また、ゴム成分中の総スチレン量について、本明細書の実施例では、上述の計算式に沿って算出しているが、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置(Py-GC/MS)等により、タイヤから分析してもよい。
【0043】
上記ゴム組成物は、シリカを含有する。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。また、もみ殻などのバイオマス材料を原料としたバイオマスシリカを適宜用いてもよい。
【0044】
シリカとしては、例えば、エボニックデグサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
【0045】
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは80m2/g以上、より好ましくは100m2/g以上、更に好ましくは120m2/g以上、より更に好ましくは150m2/g以上、より更に好ましくは170m2/g以上、特に好ましくは180m2/g以上である。また、該N2SAは、好ましくは300m2/g以下、より好ましくは250m2/g以下、更に好ましくは240m2/g以下、特に好ましくは230m2/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037-81に準拠して測定できる。
【0046】
シリカの平均粒子径は、好ましくは6nm以上、より好ましくは9nm以上、更に好ましくは12nm以上であり、また、好ましくは30nm以下、より好ましくは24nm以下、更に好ましくは20nm以下、より更に好ましくは16nm以下である。上記範囲内(特に、16nm以下)であると、シリカの粒径が小さいため、フィラーの同士の摩擦が減り、低燃費性能の向上効果が大きくなると考えられる。また、シリカの粒径が小さいため、トレッドゴム表面に存在するシリカ表面の面積が大きくなるため、ウェットグリップ性能の向上効果が大きくなると考えられる。これらにより、上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0047】
なお、本明細書において、シリカの平均粒子径の測定方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察が用いられる。具体的には、シリカ粒子を透過型電子顕微鏡で写真撮影し、粒子の形状が球形の場合には球の直径を粒子径とし、針状又は棒状の場合には短径を粒子径とし、不定型の場合には中心部からの平均粒径を粒子径とし、微粒子400個の粒径の平均値を平均粒子径とする。
【0048】
ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは80質量部以上であり、また、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは130質量部以下である。上記範囲内であると、トレッドゴム表面に存在するシリカの表面積が大きくなり、水との親和性が高いシリカ表面のシラノール基によってゴムとウェット路面との凝集力が増大するため、ウェットグリップ性能の向上効果が得られやすいと考えられる。特に、60質量部以上130質量部以下の範囲内であると、上記の向上効果が特に得られやすいと考えられる。このことから、上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0049】
上記ゴム組成物は、シリカを含有する場合、シリカと共にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、下記のメルカプト系シランカップリング剤;ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤;等が挙げられる。なかでも、スルフィド系シランカップリング剤および/またはメルカプト系シランカップリング剤を含有することが好ましく、メルカプト系シランカップリング剤を含有することが更に好ましい。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
メルカプト系シランカップリング剤は、下記式(1)で表される化合物、及び/又は下記式(2)で表される結合単位Aと下記式(3)で表される結合単位Bとを含む化合物であることが好ましい。
【0051】
【0052】
上記式(1)中、R101、R102、およびR103は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル、炭素数1~12のアルコキシ、または-O-(R111-O)z-R112(z個のR111は、それぞれ独立して、炭素数1~30の2価の炭化水素基を表し;R112は、炭素数1~30のアルキル、炭素数2~30のアルケニル、炭素数6~30のアリール、または炭素数7~30のアラルキルを表し;zは、1~30の整数を表す)で表される基を表し;R104は、炭素数1~6のアルキレンを表す。
【0053】
【0054】
【0055】
上記式(2)及び式(3)中、xは0以上の整数を表し;yは1以上の整数を表し;R201は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシルもしくはカルボキシルで置換されていてもよい炭素数1~30のアルキル、炭素数2~30のアルケニル、または炭素数2~30のアルキニルを表し;R202は、炭素数1~30のアルキレン、炭素数2~30のアルケニレン、または炭素数2~30のアルキニレンを表し;ここにおいて、R201とR202とで環構造を形成してもよい。
【0056】
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランや、下記式(4)で表される化合物(エボニックデグサ社製のSi363)等が挙げられ、下記式(4)で表される化合物を好適に使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
【0058】
上記式(2)で表される結合単位Aと上記式(3)で表される結合単位Bとを含む化合物は、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤に比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。そのため、シリカの分散性がより良好となり、発明の効果がより向上すると考えられる。これは結合単位Aのスルフィド部分がC-S-C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
【0059】
結合単位Aの含有量は、加工中の粘度上昇を抑制する観点から、30~99モル%が好ましく、50~90モル%がより好ましい。また、結合単位Bの含有量は、1~70モル%が好ましく、5~65モル%がより好ましく、10~55モル%がさらに好ましい。また、結合単位AおよびBの合計含有量は、95モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(2)および式(3)と対応するユニットを形成していればよい。
【0060】
式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3~300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの-C7H15が覆うため、スコーチ時間が短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
【0061】
式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物としては、例えば、モメンティブ社製のNXT-Z30、NXT-Z45、NXT-Z60、NXT-Z100等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】
シランカップリング剤としては、例えば、エボニックデグサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
【0063】
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、8質量部以上が更に好ましく、10質量部以上がより更に好ましい。また、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0064】
上記ゴム組成物は、カーボンブラックを含有してもよい。
カーボンブラックとしては、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762などが挙げられる。カーボンブラックの原料は、リグニン、植物油等のバイオマス材料であってもよく、タイヤタイヤ等のゴム製品を熱分解して得られたるものであってもよい。また、カーボンブラックの製造方法は、ファーネス法等の燃焼によるものであってもよく、水熱炭化(HTC)によるものであってもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上が更に好ましく、110m2/g以上が特に好ましい。また、上記N2SAは、250m2/g以下が好ましく、200m2/g以下がより好ましく、160m2/g以下が更に好ましく、150m2/g以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
【0066】
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP吸油量)は、80ml/100g以上が好ましく、90ml/100g以上がより好ましく、100ml/100g以上が更に好ましく、110ml/100g以上が特に好ましい。また、上記DBP吸油量は、200ml/100g以下が好ましく、170ml/100g以下がより好ましく、150ml/100g以下が更に好ましく、125ml/100g以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量は、JIS K6217-4:2001に準拠して求められる。
【0067】
カーボンブラックとしては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
【0068】
ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、より更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0069】
上記ゴム組成物は、シリカ、カーボンブラック以外の他のフィラー(充填剤)を含んでもよい。他のフィラー(充填剤)としては、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー;難分散性フィラー等が挙げられる。
【0070】
ゴム成分100質量部に対する充填剤の総量(充填剤の合計含有量)は、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは70質量部以上、より更に好ましくは80質量部以上、より更に好ましくは85質量部以上であり、また、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは150質量部以下、特に好ましくは120質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0071】
上記ゴム組成物において、充填剤100質量%中のシリカ含有率は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上が好ましく、60質量%以上が更に好ましく、70質量%以上がより更に好ましく、80質量%以上が特に好ましく、85質量%以上が最も好ましい。上限は特に限定されないが、97質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0072】
上記ゴム組成物は、モノアミン化合物を含有する。
上記モノアミン化合物としては、分子中にアミノ基を1つ有する化合物であれば、上記本願発明のメカニズムによる効果を奏することができると考えられ、特に制限されないが、なかでも、下記式(I)で表される化合物を用いることが好ましい。なお、下記式(I)で表される化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0073】
【0074】
上記式(I)中、R1は、炭化水素基を表す。R2、R3は、同一若しくは異なって、水素原子(-H)、炭化水素基、又は-(AO)n-H基(nは1以上の整数を表し、R2、R3の各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。AOは、同一又は異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基を表す。)を表し、R2、R3のうち少なくとも1つが-(AO)n-H基である。
【0075】
上記R1~R3の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基が好ましい。炭化水素基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは8以上、特に好ましくは12以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは22以下、特に好ましくは20以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
【0076】
上記脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基、アルキニレン基等が挙げられる。なかでも、上記炭素数のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0077】
上記脂環式炭化水素基としては、炭素数3~8のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
【0078】
上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6~10のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル(tolyl)基、キシリル(xylyl)基、ナフチル基等が挙げられる。なお、トリル基及びキシリル基におけるベンゼン環上のメチル基の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置でもよい。
【0079】
上記R2、R3の-(AO)n-H基(nは1以上の整数を表し、R2、R3の各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)のAOは、同一又は異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基を表す。該炭素数は、好ましくは3以上であり、上限は特に限定されないが、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
【0080】
上記オキシアルキレン基AO中のアルキレン基Aは、直鎖状、分岐状のいずれでもよい。
効果がより好適に得られるという理由から、AOは、炭素数2~3のオキシアルキレン基(オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO))に分岐鎖R4(R4は、炭化水素基を表す。)が結合した基であることが好ましく、-(AO)n-H基は、下記式(A)、(B)で表される基であることがより好ましく、下記式(A)で表される基であることが更に好ましい。また、分岐鎖R4は、酸素原子に隣接する炭素原子に結合していることが好ましい。
【0081】
【0082】
上記式(A)、(B)中、R4は、炭化水素基を表す。nは-(AO)n-H基のnと同様である。
【0083】
上記R4の炭化水素基は、R1~R3の炭化水素基と同様の基が挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。炭化水素基(好ましくは脂肪族炭化水素基、より好ましくはアルキル基)の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
【0084】
上記(AO)nが2種以上のオキシアルキレン基を含む場合、オキシアルキレン基の配列はブロックでもランダムでもよい。
【0085】
上記nは、AOの付加モル数を表す。nは、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは10以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは3以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
【0086】
上記式(I)において、R2、R3のうち少なくとも1つが-(AO)n-H基であるが、R2、R3の全てが-(AO)n-H基であることがより好ましい。すなわち、上記式(I)で表される化合物は、下記式(I-1)で表される化合物であることが更に好ましい。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。
【0087】
【0088】
上記式(I-1)中、n1、n2が1以上の整数(nと同様の整数)を表す点以外は、式(I)と同様である。
【0089】
上記式(I)、式(I-1)において、AOの付加モル数の合計(n1+n2)は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上であり、好ましくは40以下、より好ましくは32以下、更に好ましくは20以下、特に好ましくは10以下、最も好ましくは6以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
【0090】
上記式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノール類(式(I)中、R2:-(CH2CH2)x-H、R3:-(CH2CH2)y-H)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0091】
上記式(I-1)で表される化合物の具体例としては、例えば、POE(2)オクチルアミン、POE(4)デシルアミン、POE(2)ドデシルアミン、POE(5)ドデシルアミン、POE(15)ドデシルアミン、POE(2)テトラデシルアミン、POE(2)ヘキサデシルアミン、POE(2)オクタデシルアミン、POE(20)オクタデシルアミン、POE(2)オクタデセニルアミンなども挙げられる。なお、POE(m)は、ポリオキシエチレンが平均mモル付加していることを示す。これらの市販品として、花王(株)製のアミート102(POE(2)ドデシルアミン)、アミート105(POE(5)ドデシルアミン)、アミート302(POE(2)オクタデシルアミン)、アミート320(POE(20)オクタデシルアミン)などを使用できる。
【0092】
上記式(I)で表される化合物としては上記市販品等を使用してもよく、またこれら市販品等とは別に製造したものを用いてもよい。製造方法としては例えば、多価アミン化合物に対してアルキレンオキサイドを、触媒存在下もしくは触媒を用いずに作用させることが考えられるが、この方法に限定されるものではない。
【0093】
ゴム成分100質量部に対する上記モノアミン化合物の含有量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上、特に好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、特に好ましくは7質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0094】
上記ゴム組成物は、可塑剤を含有する。
本明細書において、可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、重量平均分子量(Mw)が1万以下の成分であり、JIS K 6229:2015に準拠した方法で、ゴム組成物を24時間アセトン抽出した場合に抽出される成分を指す。なお、常温(25℃)において、液体であっても、固体であっても良い。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0095】
上記ゴム組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、より更に好ましくは35質量部以上、より更に好ましくは40質量部以上、特に好ましくは45質量部以上であり、また、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは150質量部以下、特に好ましくは110質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、可塑剤の含有量には、ゴム(油展ゴム、樹脂伸展ゴム)、硫黄(オイル含有硫黄)に含まれるオイルや樹脂の量も含まれる。
【0096】
上記可塑剤としては、オイル、液状ポリマー、樹脂類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0097】
上記オイルとしては、特に限定されず、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、ミネラル系プロセスオイルなどのプロセスオイル、TDAE、MES等の低PCA(多環式芳香族)プロセスオイル、植物油、及びこれらの混合物等、従来公知のオイルを使用できる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ライフサイクルアナリシスの観点から、ゴム混合用ミキサーや自動車エンジンなどで使用されたあとの潤滑油や廃食油などを適宜用いても良い。
【0098】
上記植物油としては、例えば、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。
【0099】
上記オイルとしては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。
【0100】
上記液状ポリマーとしては、例えば、25℃で液状ジエン系ポリマー(液状ゴム)や液状ファルネセン系ポリマーなどが挙げられる。液状ゴムとしては液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
【0101】
上記液状ジエン系ポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1.0×103~5.0×104であることが好ましく、3.0×103~1.5×104であることがより好ましい。また、該液状ジエン系ポリマーのMwの下限又は上限は、4500、8500でもよい。
なお、本明細書において、液状ジエン系ポリマーのMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。
【0102】
上記液状ジエン系ポリマーとしては、例えば、サートマー社、(株)クラレ等の製品を使用できる。
【0103】
上記樹脂としては、タイヤ配合物として、通常用いられる樹脂(レジン)を使用でき、常温(25℃)において液体(液状樹脂)であっても固体(固体樹脂)であっても良い。例えば芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、樹脂自体が複数の由来のモノマー成分を共重合したものでもよい。これらのなかでも、効果がより良好に得られる観点から、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましく、芳香族ビニル重合体が特に好ましい。
【0104】
上記樹脂の軟化点は、常温において固体である樹脂を用いる場合は50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上が更に好ましく、80℃以上がより更に好ましく、90℃以上がより更に好ましく、100℃以上がより更に好ましく、110℃以上が特に好ましい。また、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、140℃以下が更に好ましく、130℃以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、樹脂が常温において液体である場合には軟化点は20℃以下が好ましく、10℃以下が好ましく、0℃以下であることが好ましい。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
【0105】
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
【0106】
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
【0107】
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
【0108】
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
【0109】
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
【0110】
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
【0111】
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、C9/DCPD樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂、C9/DCPD樹脂、C9/水添DCPD樹脂が好ましい。
【0112】
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり、例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂、テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、テルペン化合物としては、α-ピネン、β-ピネンなど、フェノール系化合物としては、フェノール、ビスフェノールAなど、芳香族化合物としては、スチレン系化合物(スチレン、α-メチルスチレンなど)が挙げられる。
【0113】
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
【0114】
上記樹脂としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、エクソンモービル社、KRATON社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)、JXTGエネルギー(株)等の製品を使用できる。
【0115】
ここで、上記ゴム組成物は、上述の可塑剤として、上記樹脂を含む。
該樹脂の中でも、固体樹脂が好ましく、25℃で固体の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂、及びこれらの水素添加物が好ましく、25℃で固体の芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂、及びこれらの水素添加物がより好ましく、25℃で固体の芳香族ビニル重合体及びその水素添加物が特に好ましい。
【0116】
上記ゴム組成物において、上記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは8質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、より更に好ましくは15質量部以下、より更に好ましくは12質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0117】
上記ゴム組成物は、老化防止剤を含有してもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0118】
上記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下、より更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0119】
上記ゴム組成物は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品としては、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0120】
上記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0121】
上記ゴム組成物は、加工助剤を含有してもよい。
加工助剤としては、金属塩(酸の水素原子が金属イオンで置換された化合物)、脂肪酸アミド、アミドエステル、脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、金属塩、脂肪酸アミドが好ましく、金属塩がより好ましい。
【0122】
金属塩に使用される金属としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属や、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属等が挙げられる。また、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、モリブデン等も使用可能である。なかでも、アルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましい。
【0123】
金属塩に使用される酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の脂肪酸等が挙げられる。また、ホウ酸、炭酸、塩酸、硝酸、硫酸等も使用可能である。
【0124】
加工助剤の市販品としては、キシダ化学(株)、健栄製薬(株)、ストラクトール社、Performance Additives社等の製品を使用できる。
【0125】
加工助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~15質量部であることが好ましい。
【0126】
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0127】
上記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上、より更に好ましくは3.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0128】
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0129】
上記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.5質量部以上、更に好ましくは3.5質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0130】
上記ゴム組成物は、硫黄を含有してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に架橋剤として用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0131】
上記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.4質量部以上、更に好ましくは1.8質量部以上であり、また、好ましくは3.5質量部以下、より好ましくは2.8質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0132】
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0133】
上記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは2.5質量部以上、更に好ましくは3.5質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは8.0質量部以下、更に好ましくは7.0質量部以下、より更に好ましくは5.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0134】
上記ゴム組成物には、上記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、有機過酸化物等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましい。
【0135】
上記ゴム組成物(加硫後)のガラス転移温度(tanδピーク温度)は、-30℃以上であるが、効果がより良好に得られるという観点から、-25℃以上が好ましく、-21℃以上がより好ましい。また、該ガラス転移温度は、効果がより良好に得られるという観点から、0℃以下が好ましく、-5℃以下がより好ましく、-10℃以下が更に好ましく、-15℃以下がより更に好ましい。
なお、上記ガラス転移温度は、粘弾性温度分散測定試験により後述の実施例に記載の方法で測定できる。
【0136】
上記ゴム組成物は、例えば、上述の各成分をオープンロール、バンバリーミキサー等のゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
【0137】
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは80~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫等の加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。加硫時間は、通常5~15分である。
【0138】
上記ゴム組成物は、該ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)のアセトン抽出量が、15.0質量%以上であることが好ましく、より好ましくは17.0質量%以上であり、更に好ましくは19.0質量%以上であり、20.0質量%以上が特に好ましい。該アセトン抽出量の上限は特に制限されないが、例えば、60.0質量%以下が好ましく、50.0質量%以下がより好ましく、40.0質量%以下が更に好ましい。上記範囲内であると、トレッドの剛性が低下することで路面への追従性が向上しやすく、かつ、シリカの分散も促進されやすくなるため、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0139】
本明細書において、前記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)のアセトン抽出量は、作製した加硫ゴム試験片について、JIS K 6229:2015に準拠したアセトン抽出量の測定方法により測定される(単位:前記ゴム組成物(試料)中の質量%)。なお、加硫ゴム試験片は、加硫後のゴム組成物から採取しても良く、タイヤから採取しても良い。
【0140】
また、前記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)のアセトン抽出量を調整する方法としては、当業者に公知の方法を採用できる。例えば、ゴム組成物中の、オイル等の可塑剤の量が増加すると、大きくなる傾向がある。
【0141】
上記ゴム組成物は、該ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の30℃でのtanδ(30℃tanδ)が、0.35以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.25以下が更に好ましく、0.21以下がより更に好ましく、0.19以下がより更に好ましい。また、上記30℃tanδの下限は特に限定されないが、例えば、0.005以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.05以上が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0142】
上記ゴム組成物は、該ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の0℃でのtanδ(0℃tanδ)が、0.60以下が好ましく、0.55以下がより好ましく、0.50以下が更に好ましく、0.45以下がより更に好ましく、0.41以下がより更に好ましく、0.40以下がより更に好ましく、0.38以下がより更に好ましい。また、上記0℃tanδの下限は特に限定されないが、例えば、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.10以上が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0143】
本明細書において、上記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の30℃でのtanδは、作製したゴム試験片について、EPLEXOR(GABO社製)を用いて、初期歪5%、振幅±1%、周波数10Hz、温度30℃の条件のもと測定される。また、上記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の0℃でのtanδは、作製したゴム試験片について、RSA-G2(TA instruments社製)を用いて、初期歪10%、振幅±2.5%、周波数10Hz、温度0℃の条件のもと測定される。なお、加硫ゴム試験片は、タイヤから採取するものとする。
【0144】
上記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の30℃でのtanδを調整する方法としては、当業者に公知の方法を採用できる。例えば、ゴム成分の種類や配合比を変更したり、可塑剤や充填剤の種類や配合量を変更したりして調整することができる。具体的には、充填剤量を増量したり、オイル量を増量したり、硫黄量を減量したり、加硫促進剤量を減量したり、シランカップリング剤量を減量したりすることにより、30℃でのtanδは大きくなる傾向がある。
【0145】
また、上記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の0℃でのtanδを調整する方法としては、当業者に公知の方法を採用できる。例えば、ゴム成分の種類や配合比を変更したり、可塑剤や充填剤の種類や配合量を変更したりして調整することができる。具体的には、充填剤量、SBR量、カーボンブラック量を増量したり、液状樹脂、液状ポリマー、シリカや水酸化アルミニウムを配合したり、小粒径の充填剤を配合したりすると、0℃でのtanδは大きくなる傾向がある。
【0146】
本発明のタイヤは、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備え、前記トレッドが前記ゴム組成物で形成されている。
【0147】
以下、適宜図面を参照しつつ、好ましい実施形態の一例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本例に制限されるものではない。
【0148】
本明細書において、「正規状態」とは、タイヤが正規リム(図示省略)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。
【0149】
本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法は、正規状態で測定された値である。
正規リムにタイヤを組んだ状態で測定できない場合、タイヤの子午線断面における各部の寸法及び角度は、回転軸を含む平面に沿ってタイヤを切断することにより得られる、タイヤの断面において、左右のビード間の距離を、正規リムに組んだタイヤにおけるビード間の距離に一致させて、測定される。
【0150】
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMA(日本自動車タイヤ協会)であれば「JATMA YEAR BOOK」に記載されている適用サイズにおける“標準リム”、ETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)であれば「STANDARDS MANUAL」に記載されている“Measuring Rim”、TRA(The Tire and Rim Association,Inc.)であれば「YEAR BOOK」に記載されている“Design Rim”を指し、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。そして規格に定められていないタイヤの場合には、リム組み可能であって、内圧が保持できるリム、即ちリム/タイヤ間からエア漏れを生じさせないリムの内、最もリム径が小さく、次いでリム幅が最も狭いものを指す。
【0151】
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば“最高空気圧”、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値を指し、「正規リム」の場合と同様にJATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、その規格に従う。そして、規格に定められていないタイヤの場合、前記正規リムを標準リムとして記載されている別のタイヤサイズ(規格に定められているもの)の正規内圧(但し、250kPA以上)を指す。なお、250kPa以上の正規内圧が複数記載されている場合には、その中の最小値を指す。
【0152】
また、本明細書において、「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値を指し、前記した「正規リム」や「正規内圧」の場合と同様に、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、その規格に従う。そして、規格に定められていないタイヤの場合は以下の計算により、正規荷重WLを求める。
V={(Dt/2)2-(Dt/2-Ht)2}×π×Wt
WL=0.000011×V+175
WL:正規荷重(kg)
V:タイヤの仮想体積(mm3)
Dt:タイヤ外径(mm)
Ht:タイヤの断面高さ(mm)
Wt:タイヤの断面幅(mm)
【0153】
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。
図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
【0154】
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のウィング8、一対のクリンチ10、一対のビード12、カーカス14、ベルト16、バンド18、インナーライナー20及び一対のチェーファー22を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
【0155】
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面24を形成する。トレッド4には、周方向溝部26が刻まれている。周方向溝部26とは、タイヤの周方向に沿って設けられた溝である。周方向溝部26は、周方向に連通していれば、ジグザグ状でも、湾曲状でも、直線状でもよい。この周方向溝部26により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、ベース層28とキャップ層30とを有している。キャップ層30は、ベース層28の半径方向外側に位置している。キャップ層30は、ベース層28に積層されている。
【0156】
なお、
図1では、キャップ層30及びベース層28からなる2層構造トレッド4の例が示されているが、単層構造トレッド4、3層以上の構造を有するトレッド4でもよい。
【0157】
本発明において、トレッド4を構成するゴム層(架橋後のゴム組成物の層)のうち、少なくとも最表面の層が前記ゴム組成物からなることが好ましい。具体的には、単層構造トレッドの場合は単層構造トレッド、2層構造トレッドの場合は2層構造トレッドのキャップ層、3層以上の構造を有するトレッドの場合はキャップ層(最表面層)が該ゴム組成物で構成されることが望ましい。
【0158】
図2は、
図1のタイヤ2のトレッド4の近辺が示された拡大断面図である。
図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
【0159】
図2の拡大断面図に示されるタイヤ2において、周方向溝部26の溝深さT(mm)は、好ましくは10.0mm以下、より好ましくは8.0mm以下、更に好ましくは7.0mm以下、より更に好ましくは5.0mm以下であり、また、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは3.0mm以上、更に好ましくは4.0mm以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0160】
なお、本明細書において、周方向溝部の溝深さとは、トレッド最表面の接地面を形成する面を延長した面の法線に沿って計測され、該接地面を形成する面を延長した面から最深の溝底までの距離を意味するものである。例えば、
図2では、周方向溝部26の溝深さは、Tの長さを意味する。
【0161】
図1のタイヤ2は、前述の前記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の30℃でのtanδ(30℃tanδ)をA、前記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の0℃でのtanδ(0℃tanδ)をB、周方向溝部26の溝深さをT(mm)としたときの、Bに対するAの比とTとの積((A/B)×T)が4.0以下である。
上記(A/B)×Tは、好ましくは3.6以下、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.3以下、より更に好ましくは3.0以下、より更に好ましくは2.5以下である。また、上記(A/B)×Tの下限は特に限定されないが、例えば、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.5以上、特に好ましくは2.0以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
【0162】
図1のタイヤ2において、それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側部分は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6の半径方向内側部分は、クリンチ10と接合されている。
【0163】
それぞれのウィング8は、トレッド4とサイドウォール6との間に位置している。ウィング8は、トレッド4及びサイドウォール6のそれぞれと接合している。
【0164】
それぞれのクリンチ10は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。
【0165】
それぞれのビード12は、クリンチ10の軸方向内側に位置している。ビード12は、コア32と、このコア32から半径方向外向きに延びるエイペックス34とを備えている。コア32はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーなどを含む。エイペックス34は、半径方向外向きに先細りである。
【0166】
カーカス14は、カーカスプライ36を備えている。このタイヤ2では、カーカス14は1枚のカーカスプライ36からなるが、2枚以上で構成されてもよい。
【0167】
このタイヤ2では、カーカスプライ36は、両側のビード12の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ36は、それぞれのコア32の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ36には、主部36aと一対の折り返し部36bとが形成されている。すなわち、カーカスプライ36は、主部36aと一対の折り返し部36bとを備えている。
【0168】
図示されていないが、カーカスプライ36は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなるもの等が挙げられる。このカーカス14はラジアル構造を有することが好ましい。
【0169】
ベルト16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト16は、カーカス14と積層されている。ベルト16は、内側層38及び外側層40からなる。
【0170】
図示されていないが、内側層38及び外側層40のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなるもの等が挙げられる。それぞれのコードは、例えば、赤道面に対して傾斜している。内側層38のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層40のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。
【0171】
バンド18は、ベルト16の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド18はベルト16の幅と同等の幅を有している。このバンド18が、このベルト16の幅よりも大きな幅を有していてもよい。
【0172】
図示されていないが、バンド18は、コードとトッピングゴムとからなるもの等が挙げられる。コードは、例えば、螺旋状に巻かれている。
【0173】
ベルト16及びバンド18は、補強層を構成している。ベルト16のみから、補強層が構成されてもよい。
【0174】
インナーライナー20は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー20は、カーカス14の内面に接合されている。
【0175】
それぞれのチェーファー22は、ビード12の近傍に位置している。この実施形態では、チェーファー22は布とこの布に含浸したゴムとからなるもの等が挙げられる。このチェーファー22が、クリンチ10と一体とされてもよい。
【0176】
図1に示されているように、タイヤ2のトレッド4には、複数本、詳細には、3本の周方向溝部26が刻まれている。これらの周方向溝部26は、軸方向に間隔をあけて配置されている。このトレッド4には、3本の周方向溝部26が刻まれることにより、周方向に延在する4本のリブ44が形成されている。つまり、リブ44とリブ44との間が周方向溝部26である。
【0177】
それぞれの周方向溝部26は、周方向に延在している。周方向溝部26は、周方向に途切れることなく連続している。
【0178】
タイヤ2の製造では、複数のゴム部材がアッセンブリーされて、ローカバー(未加硫タイヤ2)が得られる。このローカバーが、モールドに投入される。ローカバーの外面は、モールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのポリマー組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。そのキャビティ面に凸凹模様を有するモールドが用いられることにより、タイヤ2に凹凸模様が形成される。
【0179】
タイヤ2としては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。特に、夏用タイヤ(サマータイヤ)、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤなど)、オールシーズンタイヤ、等として好適に使用できる。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用タイヤ、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。なかでも、乗用車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)に好適に使用できる。なお、乗用車用タイヤとは、四輪以上で走行する自動車に装着されることを前提としたタイヤであって、その最大負荷能力(正規荷重)が1400kg以下のものを指す。
【実施例0180】
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本発明の範囲は実施例に限られない。
【0181】
以下に示す各種薬品を用いて各表に従って配合等を変化させて得られるタイヤを検討し、下記評価方法に基づいて算出した結果を各表に示す。
【0182】
NR:SVR-L
SBR1:下記製造例1で製造されるS-SBR(スチレン量:30質量%、ビニル量:22質量%、ガラス転移温度:-45℃、Mw:85万、非油展品)
SBR2:下記製造例2で製造されるS-SBR(スチレン量:40質量%、ビニル量:25質量%、ガラス転移温度:-35℃、Mw:190万、非油展品)
SBR3:旭化成(株)製のタフデン4850(未変性S-SBR、スチレン量:40質量%、ビニル量:46質量%、Mw:35万、ゴム成分100質量部に対してオイル分50質量部を含む油展品)
SBR4:下記製造例3で製造されるS-SBR(スチレン量:25質量%、ビニル量:25質量%、ガラス転移温度:-51℃、Mw:75万、非油展品)
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B(ビニル含量:1.5質量%、シス含量:97質量%、Tg:-108℃、Mw:44万)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(N2SA:111m2/g、DBP吸油量:115ml/100g)
シリカ1:エボニックデグサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g、平均粒子径:18nm)
シリカ2:エボニックデグサ社製のウルトラシル9100Gr(N2SA:228m2/g、平均粒子径:15nm)
シランカップリング剤1:エボニックデグサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
シランカップリング剤2:Momentive社製のNXT-Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%))
モノアミン化合物:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールHT/14(上記式(I-1)で表される化合物)
樹脂1:クレイトン社製のSYLVATRAXX 4401(α-メチルスチレン樹脂、Mw:700、軟化点:85℃)
樹脂2:JXTGエネルギー(株)製のT-REZ PR801(水添DCPD/C9樹脂、軟化点87~93℃)
樹脂3:クレイトン社製のSYLVATRAXX 4150(テルペン系樹脂、Mw:2500、軟化点:115℃)
加工助剤:Performance Additives社製のウルトラフロー440
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N´-フェニル-p-フェニレンジアミン)
オイル:出光興産(株)製のNH-70S(ミネラル系プロセスオイル)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ-G(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N´-ジフェニルグアニジン)
【0183】
(製造例1)
十分に窒素置換した耐熱反応容器にn-ヘキサン2000ml、スチレン60g、ブタジエン140g、TMEDA0.93g、n-ブチルリチウム0.45mmolを加えて、50℃で5時間攪拌し、重合反応を行う。次いでメタノールを20ml添加して未反応の反応容器より抜き出し、反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒をスチームストリッピングにより除去することによって、SBR1を得る。得られるSBR1の重量平均分子量(Mw)は85万である。また、スチレン量は30質量%であり、ビニル量は22質量%である。ガラス転移温度は、-45℃である。
【0184】
(製造例2)
製造例1に基づき、各材料の添加量、反応温度、時間等の条件を調節し、SBR2(Mw:190万、スチレン量:40質量%、ビニル量:25質量%、ガラス転移温度:-35℃)を得る。
【0185】
(製造例3)
製造例1に基づき、各材料の添加量、反応温度、時間等の条件を調節し、SBR4(Mw:75万、スチレン量:25質量%、ビニル量:25質量%、ガラス転移温度:-51℃である)を得る。
【0186】
<試験用タイヤの製造>
各表に示す配合処方、及び、溝深さTにしたがい、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を160℃の条件下で4分間混練りし、混練り物を得る。次に、得られる混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。得られる未加硫ゴム組成物を170℃で12分間、2mm厚の金型プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得る。
また、得られる未加硫ゴム組成物をトレッド(キャップトレッド)の形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、次いで、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造する。
【0187】
各表に従って配合を変化させた組成物により得られる加硫ゴム組成物、試験用タイヤを想定して、下記評価方法に基づいて、算出した結果を各表に示す。
なお、ウェットグリップ性能及び低燃費性能の基準比較例は、比較例1である。
【0188】
(粘弾性温度分散測定試験)
各試験用タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が長辺となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmで切り出して作成する各加硫ゴム試験片について、EPLEXOR(GABO社製)を用い、周波数10Hz、初期歪1%、振幅±0.1%および昇温速度3℃/minの条件下で、加硫ゴム組成物のtanδの温度分布曲線を作成し、得られた温度分布曲線における最も大きいtanδ値に対応する温度をtanδピーク温度(Tg(℃))とする。tanδピーク温度は、ゴム組成物(加硫後)のガラス転移温度(配合Tg(℃))に相当する。
【0189】
<アセトン抽出量>
各試験用タイヤのトレッド部から採取するゴム試験片について、JIS K 6229:2015に準拠したアセトン抽出量の測定方法により、該試験片中に含まれるアセトンにより抽出される物質の量(質量%)を測定する。
アセトン抽出成分量(質量%)=(抽出前のサンプルの質量-抽出後のサンプルの質量)/抽出前のサンプルの質量×100
【0190】
(30℃でのtanδ)
各試験用タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が長辺となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmで切り出して作成する各加硫ゴム試験片について、EPLEXOR(GABO社製)を用い、初期歪5%、振幅±1%、周波数10Hz、温度30℃の条件のもとで、加硫ゴム組成物のtanδを測定する。
【0191】
(0℃でのtanδ)
各試験用タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が長辺となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmで切り出して作成する各加硫ゴム試験片について、RSA-G2(TA instruments社製)を用いて、初期歪10%、振幅±2.5%、周波数10Hz、温度0℃の条件のもとで、加硫ゴム組成物のtanδを測定する。
【0192】
<ウェットグリップ性能>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着し、ウェット路面のコースを10周走行させ、その際のウェット路面領域でのブレーキ性能を20人のテストドライバーが1点から5点の5段階で評価する。評点が大きいほど、性能が優れている。20人の評点の合計点を算出し、基準比較例の合計点を100とし、指数化する。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れている。
【0193】
<低燃費性能>
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを時速80kmで走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100として指数化する。指数が大きいほど、転がり抵抗が小さく、低燃費性能が良好であることを示す。
【0194】
<総合性能>
ウェットグリップ性能の指数、低燃費性能の指数の和を総合性能として評価する。
【0195】
【0196】
本発明(1)は、少なくとも1つの周方向溝部を有するトレッドを備えたタイヤであって、
前記トレッドは、イソプレン系ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカと、モノアミン化合物と、樹脂とを含むゴム組成物で構成され、
前記スチレンブタジエンゴム成分のスチレン量が、30質量%以下であり、
前記ゴム組成物のガラス転移温度が、-30℃以上であり、
前記ゴム組成物の30℃でのtanδ(30℃tanδ)をA、前記ゴム組成物の0℃でのtanδ(0℃tanδ)をB、前記周方向溝部の溝深さをT(mm)としたときの、Bに対するAの比とTとの積((A/B)×T)が、4.0以下であるタイヤである。
【0197】
本発明(2)は、前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量%中、スチレンブタジエンゴムを30質量%以上含む本発明(1)記載のタイヤである。
【0198】
本発明(3)は、前記モノアミン化合物が、下記式(I)で表される化合物である本発明(1)又は(2)記載のタイヤである。
【0199】
【0200】
上記式(I)中、R1は、炭化水素基を表す。R2、R3は、同一若しくは異なって、水素原子(-H)、炭化水素基、又は-(AO)n-H基(nは1以上の整数を表し、R2、R3の各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。AOは、同一又は異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基を表す。)を表し、R2、R3のうち少なくとも1つが-(AO)n-H基である。
【0201】
本発明(4)は、前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを60質量部以上含む本発明(1)~(3)のいずれかに記載のタイヤである。
【0202】
本発明(5)は、前記シリカの平均粒子径が、16nm以下である本発明(1)~(4)のいずれかに記載のタイヤである。
【0203】
本発明(6)は、前記ゴム組成物が、前記ゴム成分100質量部に対して、樹脂を5~50質量部含む本発明(1)~(5)のいずれかに記載のタイヤである。
【0204】
本発明(7)は、前記周方向溝部の溝深さT(mm)が、5.0mm以下である本発明(1)~(6)のいずれかに記載のタイヤである。
【0205】
本発明(8)は、前記ゴム組成物が、メルカプト系シランカップリング剤を含む本発明(1)~(7)のいずれかに記載のタイヤである。
【0206】
本発明(9)は、前記ゴム組成物が、スチレン量が30質量%以下のスチレンブタジエンゴムを含む本発明(1)~(8)のいずれかに記載のタイヤである。
【0207】
本発明(10)は、前記ゴム組成物のアセトン抽出量が、20.0質量%以上である本発明(1)~(9)のいずれかに記載のタイヤである。
【0208】
本発明(11)は、前記ゴム組成物の30℃でのtanδ(30℃tanδ)をA、前記ゴム組成物の0℃でのtanδ(0℃tanδ)をB、前記周方向溝部の溝深さをT(mm)としたときの、Bに対するAの比とTとの積((A/B)×T)が、3.0以下である本発明(1)~(10)のいずれかに記載のタイヤである。
【0209】
本発明(12)は、前記ゴム組成物が、ブタジエンゴムを含む本発明(1)~(11)のいずれかに記載のタイヤである。
【0210】
本発明(13)は、前記トレッドが、キャップ層である本発明(1)~(12)のいずれかに記載のタイヤである。