(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113500
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
F15B 21/14 20060101AFI20240815BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
F15B21/14 A
E02F9/22 M
E02F9/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018530
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小竹 陽介
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB07
2D003BA05
2D003BB02
2D003BB03
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003FA02
3H089BB04
3H089CC01
3H089CC08
3H089CC11
3H089DA03
3H089DA13
3H089EE36
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ブームの下げ動作においてブームシリンダから排出された作動油でアキュムレータを効率良く蓄圧する。
【解決手段】作業機械は、ブームポンプ12の吐出ポート12Bに接続されるポンプポート22Aと、ブームシリンダ51のボトム室51Aに接続されるボトムポート22Cと、ヘッド室51Bに接続されるヘッドポート22Bと、作動油タンク16に接続されるタンクポート22Dと、吸込ポート12Aに接続される回生ポート22Eと、を有するブーム操作弁22と、アキュムレータライン36を介して回生ライン35に接続されるアキュムレータ14と、アキュムレータライン36の作動油の流量を調整するアキュムレータ切換弁23、ブームの下げ動作において、ボトム室51Aから排出された作動油が吸込ポート12A及びアキュムレータ14に分配されるように、ブーム操作弁22及びアキュムレータ切換弁23を制御するコントローラ6と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームと、
ボトム室及びヘッド室を有するブームシリンダ51と、
吸込ポート及び吐出ポートを有するブームポンプ12と、
作動油タンクと、
ポンプラインを介して前記吐出ポートに接続されるポンプポートと、ボトムラインを介して前記ボトム室に接続されるボトムポートと、ヘッドラインを介して前記ヘッド室に接続されるヘッドポートと、タンクラインを介して前記作動油タンクに接続されるタンクポートと、回生ラインを介して前記吸込ポートに接続される回生ポートと、を有するブーム操作弁と、
アキュムレータラインを介して前記回生ラインに接続されるアキュムレータと、
前記アキュムレータラインの作動油の流量を調整するアキュムレータ切換弁と、
前記ブームの下げ動作において、前記ボトム室から排出された作動油が前記吸込ポート及び前記アキュムレータのそれぞれに分配されるように、前記ブーム操作弁及び前記アキュムレータ切換弁を制御するコントローラと、を備える、
作業機械。
【請求項2】
前記コントローラは、前記ブームの上げ動作において、前記吐出ポートから吐出された作動油が前記ボトム室に供給され、前記アキュムレータから前記吸込ポートに作動油が供給されるように、前記ブーム操作弁及び前記アキュムレータ切換弁を制御する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記ボトム室と前記ヘッド室との断面積比に基づいて、前記ブームの下げ動作において、前記ボトム室から排出された作動油を前記吸込ポートと前記アキュムレータとに分配する分配比率が決定される、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
メイン油圧アクチュエータと、
前記ブームポンプに接続され、前記メイン油圧アクチュエータを作動させるための作動油を吐出するメイン油圧ポンプと、を備え、
前記ブームの下げ動作において、前記ブームポンプの回転エネルギーが前記メイン油圧ポンプに伝達される、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記ブームポンプは、斜板角度に基づいてポンプ容量が変化する可変容量型油圧ポンプであり、
前記メイン油圧ポンプ及び前記ブームポンプのそれぞれを駆動するためのエンジンと、
前記ブーム操作弁を作動させるために操作される操作レバーと、を備え、
前記コントローラは、前記ブームの下げ動作において、前記エンジンの回転数を示すエンジン回転数と前記操作レバーの操作角度を示すレバー角度とに基づいて、前記ブームポンプの回転数と前記ブームシリンダの伸縮速度との比が一定になるように、前記ブームポンプの斜板角度及び前記アキュムレータ切換弁の開口面積を制御する、
請求項4に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような建設機械の油圧駆動システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、ブームの下げ動作においてブームシリンダから排出された作動油は、回生弁、第1ポンプ、及びアキュムレータ切換弁を介してアキュムレータに供給される。特許文献1においては、アキュムレータを蓄圧するための作動油が第1ポンプを通過するため、アキュムレータが効率良く蓄圧されない可能性がある。
【0005】
本開示は、ブームの下げ動作においてブームシリンダから排出された作動油でアキュムレータを効率良く蓄圧することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、ブームと、ボトム室及びヘッド室を有するブームシリンダと、吸込ポート及び吐出ポートを有するブームポンプと、作動油タンクと、ポンプラインを介して吐出ポートに接続されるポンプポートと、ボトムラインを介してボトム室に接続されるボトムポートと、ヘッドラインを介してヘッド室に接続されるヘッドポートと、タンクラインを介して作動油タンクに接続されるタンクポートと、回生ラインを介して吸込ポートに接続される回生ポートと、を有するブーム操作弁と、アキュムレータラインを介して回生ラインに接続されるアキュムレータと、アキュムレータラインの作動油の流量を調整するアキュムレータ切換弁と、ブームの下げ動作において、ボトム室から排出された作動油が吸込ポート及びアキュムレータのそれぞれに分配されるように、ブーム操作弁及びアキュムレータ切換弁を制御するコントローラと、を備える、作業機械が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ブームの下げ動作においてブームシリンダから排出された作動油でアキュムレータが効率良く蓄圧される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る作業機械を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る作業機械の油圧システムを示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るブームポンプから吐出される作動油によってブームを上げ動作させるときの油圧システムを示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るブームを下げ動作させるときの油圧システムを示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るブームシリンダを模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る相関データの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るアキュムレータから放出される作動油によってブームを上げ動作させるときの油圧システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[作業機械]
図1は、実施形態に係る作業機械1を示す斜視図である。作業機械1は、作業現場において稼働する。実施形態において、作業機械1は、油圧ショベルである。以下の説明において、作業機械1を適宜、油圧ショベル1、と称する。油圧ショベル1は、走行体2と、旋回体3と、作業機4と、作業機シリンダ5と、コントローラ6とを備える。
【0011】
走行体2は、旋回体3を支持した状態で走行する。走行体2は、一対の履帯2Aを有する。履帯2Aは、走行モータにより回転する。履帯2Aの回転により、走行体2が走行する。旋回体3は、走行体2に支持される。旋回体3に運転室が設けられる。作業機4は、旋回体3に取り付けられる。作業機4は、ブーム41と、アーム42と、バケット43とを含む。作業機シリンダ5は、作業機4を動作させる。作業機シリンダ5は、油圧シリンダである。作業機シリンダ5は、ブームシリンダ51と、アームシリンダ52と、バケットシリンダ53とを含む。コントローラ6は、コンピュータシステムを含む。コントローラ6は、油圧ショベル1を制御する。
【0012】
[油圧システム]
図2は、実施形態に係る油圧ショベル1の油圧システム10を示す図である。油圧システム10は、エンジン15と、メイン油圧ポンプ11と、メインバルブ21と、アームシリンダ52と、バケットシリンダ53と、走行モータ7と、走行モータ8と、旋回モータ9と、ブームポンプ12と、ブームシリンダ51と、ブーム操作弁22と、アキュムレータ14と、アキュムレータ切換弁23と、作動油タンク16と、操作レバー17と、コントローラ6とを有する。
【0013】
エンジン15は、油圧ショベル1の動力源である。エンジン15は、メイン油圧ポンプ11及びブームポンプ12のそれぞれに接続(直結)される。エンジン15は、メイン油圧ポンプ11及びブームポンプ12のそれぞれを駆動する。
【0014】
メイン油圧ポンプ11は、アームシリンダ52、バケットシリンダ53、走行モータ7、走行モータ8、及び旋回モータ9のそれぞれを作動させるための作動油を吐出する。メイン油圧ポンプ11は、ブームポンプ12に接続(直結)される。実施形態において、メイン油圧ポンプ11は、2つ設けられる。メイン油圧ポンプ11は、メイン油圧ポンプ111とメイン油圧ポンプ112とを含む。メイン油圧ポンプ111及びメイン油圧ポンプ112のそれぞれは、斜板角度に基づいてポンプ容量が変化する可変容量型油圧ポンプである。メイン油圧ポンプ11の吸込ポートは、作動油タンク16に接続される。メイン油圧ポンプ11の吐出ポートは、メインバルブ21に接続される。メイン油圧ポンプ11は、吐出ポートから作動油タンク16の作動油を吸い込んで、吐出ポートからメインバルブ21に吐出する。なお、メイン油圧ポンプ11は、1つでもよいし3つ以上の任意の複数でもよい。
【0015】
メインバルブ21は、メイン油圧ポンプ11からアームシリンダ52に供給される作動油の流量及び方向を制御する。メインバルブ21は、メイン油圧ポンプ11からバケットシリンダ53に供給される作動油の流量及び方向を制御する。メインバルブ21は、メイン油圧ポンプ11から走行モータ7に供給される作動油の流量及び方向を制御する。メインバルブ21は、メイン油圧ポンプ11から走行モータ8に供給される作動油の流量及び方向を制御する。メインバルブ21は、メイン油圧ポンプ11から旋回モータ9に供給される作動油の流量及び方向を制御する。
【0016】
アームシリンダ52、バケットシリンダ53、走行モータ7、走行モータ8、及び旋回モータ9のそれぞれは、ブームシリンダ51とは異なるメイン油圧アクチュエータである。アームシリンダ52は、アーム42を掘削動作及びダンプ動作させるための油圧シリンダである。バケットシリンダ53は、バケット43を掘削動作及びダンプ動作させるための油圧シリンダである。走行モータ7は、左側の履帯2Aを回転させるための油圧モータである。走行モータ8は、右側の履帯2Aを回転させるための油圧モータである。旋回モータ9は、旋回体3を旋回させるための油圧モータである。
【0017】
ブームポンプ12は、ブームシリンダ51を作動させるための作動油を吐出する油圧ポンプである。ブームポンプ12は、ブームシリンダ51に供給される作動油を吐出する。ブームポンプ12は、斜板角度に基づいてポンプ容量が変化する可変容量型油圧ポンプである。ブームポンプ12は、吸込ポート12A及び吐出ポート12Bを有する。ブームポンプ12は、吸込ポート12Aから吸い込んだ作動油を吐出ポート12Bから吐出する。ブームポンプ12の吸込ポート12Aは、作動油タンク16とは接続されない。ブームポンプ12は、作動油タンク16の作動油を直接的には吸い込まない。ブームポンプ12の吐出ポート12Bから吐出された作動油は、ブーム操作弁22を介してブームシリンダ51に供給される。ブームポンプ12は、油圧ポンプ・モータである。ブームポンプ12は、油圧モータとして機能することができる。
【0018】
ブームシリンダ51は、ブーム41を上げ動作及び下げ動作させるための油圧シリンダである。ブームシリンダ51は、ブーム41を上げ動作させるために伸びる。ブームシリンダ51は、ブーム41の下げ動作において縮む。ブームシリンダ51は、ボトム室51A及びヘッド室51Bを有する。ボトム室51Aに作動油が供給され、ヘッド室51Bから作動油が排出されることにより、ブームシリンダ51が伸びる。ヘッド室51Bに作動油が供給され、ボトム室51Aから作動油が排出されることにより、ブームシリンダ51が縮む。
【0019】
ブーム操作弁22は、ブームポンプ12からブームシリンダ51に供給される作動油の流量及び方向を制御する。ブーム操作弁22は、ブーム41を上げ動作させるときにブームポンプ12の吐出ポート12Bから吐出された作動油をボトム室51Aに供給する。ブーム41の下げ動作においてボトム室51Aから排出された作動油の少なくとも一部は、ブーム操作弁22を介してブームポンプ12の吸込ポート12Aに戻される。但し、後述する第1チェック弁24の作用により、ボトム室51Aから排出された作動油の圧力がアキュムレータ14の設定蓄圧以下である場合、ボトム室51Aから排出された作動油は、作動油タンク16に排出される。
【0020】
ブーム操作弁22は、ポンプポート22Aと、ヘッドポート22Bと、ボトムポート22Cと、タンクポート22Dと、回生ポート22Eとを有する。ポンプポート22Aは、ポンプライン31を介してブームポンプ12の吐出ポート12Bに接続される。ヘッドポート22Bは、ヘッドライン32を介してブームシリンダ51のヘッド室51Bに接続される。ボトムポート22Cは、ボトムライン33を介してブームシリンダ51のボトム室51Aに接続される。タンクポート22Dは、タンクライン34を介して作動油タンク16に接続される。回生ポート22Eは、回生ライン35を介してブームポンプ12の吸込ポート12Aに接続される。
【0021】
ブーム操作弁22は、上げ位置Rと中立位置Nと下げ位置Dとに移動可能である。ブーム操作弁22は、コントローラ6からの制御指令に基づいて移動する。ブーム41を上げ動作させるときに、ブーム操作弁22が上げ位置Rに配置される。ブーム41を下げ動作させるときに、ブーム操作弁22が下げ位置Dに配置される。ブーム41を停止させるときに、ブーム操作弁22が中立位置Nに配置される。
図2は、ブーム操作弁22が中立位置Nに配置されている状態を示す。
【0022】
アキュムレータ14は、アキュムレータライン36を介して回生ライン35に接続される。ブーム41の下げ動作においてボトム室51Aから排出された作動油の少なくとも一部は、アキュムレータライン36を介してアキュムレータ14に供給される。アキュムレータ14は、ボトム室51Aから供給された作動油により蓄圧される。但し、後述する第1チェック弁24の作用により、ボトム室51Aから排出された作動油の圧力がアキュムレータ14の設定蓄圧以下である場合、ボトム室51Aから排出された作動油は、作動油タンク16に排出され、アキュムレータ14は蓄圧されない。
【0023】
アキュムレータライン36は、回生ポート22Eと吸込ポート12Aとの間の回生ライン35の接続部61に接続される。回生ポート22Eと接続部61との間の回生ライン35に第1チェック弁24が配置される。第1チェック弁24は、回生ポート22Eから接続部61への作動油の流通を許容し、接続部61から回生ポート22Eへの作動油の流通を阻止する。
【0024】
アキュムレータ切換弁23は、アキュムレータライン36の作動油の流量を調整する。アキュムレータ切換弁23は、アキュムレータライン36に配置される。アキュムレータ切換弁23の開口面積が調整されることにより、アキュムレータライン36の作動油の流量が調整される。
【0025】
アキュムレータ切換弁23は、全開位置Aと全閉位置Bとに移動可能である。アキュムレータ切換弁23は、コントローラ6からの制御指令に基づいて移動する。コントローラ6は、アキュムレータ切換弁23の開口面積を調整可能である。アキュムレータ切換弁23が全開位置Aに配置されることにより、アキュムレータ切換弁23の開口面積が100%になり、作動油は、アキュムレータライン36を流通することができる。アキュムレータ切換弁23が全閉位置Bに配置されることにより、アキュムレータ切換弁23の開口面積が0%になり、作動油は、アキュムレータライン36を流通することができない。
図2は、アキュムレータ切換弁23が全閉位置Bに配置されている状態を示す。
【0026】
操作レバー17は、ブーム操作弁22を作動させるために操作される。操作レバー17は、油圧ショベル1の運転室に配置される。操作レバー17は、油圧ショベル1の運転室に搭乗したオペレータにより操作される。操作レバー17は、傾動するように操作される。操作レバー17が操作されることにより生成された操作信号は、コントローラ6に送信される。
【0027】
コントローラ6は、操作レバー17からの操作信号に基づいて、ブーム操作弁22を介してブームシリンダ51に供給される作動油の流量及び方向を制御する。コントローラ6は、操作レバー17の操作角度を示すレバー角度に基づいて、ブームシリンダ51に供給される作動油の流量を調整する。レバー角度が大きいほど、ブームシリンダ51に供給される作動油の流量が多くなり、ブームシリンダ51の伸縮速度が高くなる。レバー角度が小さいほど、ブームシリンダ51に供給される作動油の流量が少なくなり、ブームシリンダ51の伸縮速度が低くなる。
【0028】
実施形態において、ブームポンプ12にチャージポンプ13が接続(直結)される。チャージポンプ13の吸込ポートは、作動油タンク16に接続される。チャージポンプ13の吐出ポートは、チャージライン37を介して回生ライン35の接続部62に接続される。接続部62は、接続部61と吸込ポート12Aとの間の回生ライン35に設けられる。
【0029】
チャージライン37の接続部63にリリーフライン38が接続される。リリーフライン38にリリーフ弁26が配置される。チャージポンプ13とリリーフ弁26とは、並列に接続される。接続部63と接続部62との間のチャージライン37に第2チェック弁25が配置される。第2チェック弁25は、接続部63から接続部62への作動油の流通を許容し、接続部62から接続部63への作動油の流通を阻止する。
【0030】
[ブームポンプによるブームの上げ動作]
図3は、実施形態に係るブームポンプ12から吐出される作動油によってブーム41を上げ動作させるときの油圧システム10を示す図である。なお、
図3において、矢印Faは、作動油が流れる方向を示し、矢印Fbは、ブームシリンダ51の伸縮方向を示す。また、
図3に示すブーム操作弁22は、上げ位置Rに配置されたブーム操作弁22の一部を抽出して図示したものであり、
図3に示すアキュムレータ切換弁23は、全開位置Aに配置されたアキュムレータ切換弁23の一部を抽出して図示したものである。
【0031】
ブーム41が上げ操作するように操作レバー17が操作されることにより、コントローラ6は、操作レバー17からの操作信号に基づいて、ブーム操作弁22が上げ位置Rに配置されるように、ブーム操作弁22に制御指令を出力する。ブーム41が上げ動作されるとき、コントローラ6は、アキュムレータ切換弁23が全開位置Aに配置されるように、アキュムレータ切換弁23に制御指令を出力する。
【0032】
ブームポンプ12は、エンジン15が発生する回転力により駆動する。
図3の矢印Fcで示すように、エンジン15が発生した回転力は、メイン油圧ポンプ11を介してブームポンプ12に伝達される。エンジン15の回転力がブームポンプ12に伝達されることにより、ブームポンプ12が駆動する。ブームポンプ12は、吸込ポート12Aから吸い込んだ作動油を吐出ポート12Bから吐出する。吐出ポート12Bから吐出された作動油は、ポンプライン31、ブーム操作弁22のポンプポート22A、ブーム操作弁22のボトムポート22C、及びボトムライン33を介して、ブームシリンダ51のボトム室51Aに供給される。ボトム室51Aに作動油が供給されることにより、ブームシリンダ51が伸び、ブーム41が上げ動作する。
【0033】
実施形態において、ブーム操作弁22は、ヘッドポート22Bからの作動油をタンクポート22Dと回生ポート22Eとに分配する分岐部22Fと、分岐部22Fとタンクポート22Dとの間に配置される絞り22Gとを有する。ヘッド室51Bから排出された作動油の一部は、ヘッドライン32、ブーム操作弁22のヘッドポート22B、ブーム操作弁22の分岐部22F、ブーム操作弁22のタンクポート22D、及びタンクライン34を介して、作動油タンク16に排出される。ヘッド室51Bから排出された作動油の一部は、ヘッドライン32、ブーム操作弁22のヘッドポート22B、ブーム操作弁22の分岐部22F、ブーム操作弁22の回生ポート22E、及び回生ライン35を介して、ブームポンプ12の吸込ポート12Aに供給される。
【0034】
チャージポンプ13は、吸込ポート12Aに供給される作動油を補う。チャージポンプ13は、吐出ポート12Bから吐出される作動油の流量と吸込ポート12Aに流入する作動油の流量とが一致するように、チャージライン37、接続部62、及び回生ライン35の一部を介して、吸込ポート12Aに作動油を供給する。吐出ポート12Bから吐出される作動油の流量と吸込ポート12Aに流入する作動油の流量とが一致するように、チャージポンプ13から作動油が吐出されることにより、吸込ポート12A及び回生ライン35が負圧になることが抑制される。吸込ポート12A及び回生ライン35が負圧になることが抑制されるので、吸込ポート12A及び回生ライン35においてキャビテーションが発生することが抑制される。
【0035】
[ブームの下げ動作]
図4は、実施形態に係るブーム41を下げ動作させるときの油圧システム10を示す図である。なお、
図4において、矢印Faは、作動油が流れる方向を示し、矢印Fbは、ブームシリンダ51の伸縮方向を示す。また、
図4に示すブーム操作弁22は、下げ位置Dに配置されたブーム操作弁22の一部を抽出して図示したものであり、
図4に示すアキュムレータ切換弁23は、全開位置Aに配置されたアキュムレータ切換弁23の一部を抽出して図示したものである。
【0036】
ブーム41の下げ動作において、ブーム41の重量によりブームシリンダ51が縮み、ボトム室51Aから作動油が排出される。コントローラ6は、ブーム41の下げ動作において、ボトム室51Aから排出された作動油がブームポンプ12の吸込ポート12A及びアキュムレータ14のそれぞれに分配されるように、ブーム操作弁22及びアキュムレータ切換弁23を制御する。すなわち、ブーム41が下げ操作するように操作レバー17が操作されることにより、コントローラ6は、操作レバー17からの操作信号に基づいて、ブーム操作弁22が下げ位置Dに配置されるように、ブーム操作弁22に制御指令を出力する。また、コントローラ6は、アキュムレータ14が全開位置Aに配置されるように、アキュムレータ14に制御指令を出力する。
【0037】
ボトム室51Aから排出された作動油の一部は、ボトムライン33、ブーム操作弁22のボトムポート22C、ブーム操作弁22の回生ポート22E、及び回生ライン35を介して、ブームポンプ12の吸込ポート12Aに供給される。ブームポンプ12は、吸込ポート12Aに供給された作動油に基づいて駆動する。ブームポンプ12は、ブーム41の下げ動作において、油圧モータとして機能する。
図4の矢印Fdで示すように、ブーム41の下げ動作において、ブームポンプ12の回転エネルギーは、回生エネルギーとしてメイン油圧ポンプ11に伝達される。ブームポンプ12の回転エネルギーは、メイン油圧ポンプ11の回転をアシストする。メイン油圧ポンプ11は、エンジン15の回転力とブームポンプ12の回転力とに基づいて駆動する。
【0038】
ボトム室51Aから排出された作動油の一部は、ボトムライン33、ブーム操作弁22のボトムポート22C、ブーム操作弁22の回生ポート22E、回生ライン35の一部、接続部61、及びアキュムレータライン36を介して、アキュムレータ14に供給される。アキュムレータ14は、ボトム室51Aから供給された作動油により蓄圧される。
【0039】
実施形態においては、ボトム室51Aとヘッド室51Bとの断面積比に基づいて、ブーム41の下げ動作において、ボトム室51Aから排出された作動油を吸込ポート12Aとアキュムレータ14とに分配する分配比率が決定される。
【0040】
図5は、実施形態に係るブームシリンダ51を模式的に示す図である。
図5に示すように、ブームシリンダ51は、シリンダチューブ511と、ピストン512と、ピストンロッド513とを有する。ピストンロッド513は、ヘッド室51Bに配置される。ピストンロッド513がヘッド室51Bに配置されるので、ボトム室51Aの断面積Abは、ヘッド室51Bの断面積Ahよりも小さい。実施形態においては、ヘッド室51Bの断面積Ahがボトム室51Aの断面積の1/2であることとする(Ab:Ah=2:1)。
【0041】
ブーム41の下げ動作においてブームシリンダ51が縮むとき、ヘッド室51Bが負圧になることが抑制されるように、コントローラ6は、ボトム室51Aとヘッド室51Bとの断面積比に基づいて、ボトム室51Aから排出された作動油を吸込ポート12Aとアキュムレータ14とに分配する分配比率を決定する。実施形態においては、ボトム室51Aとヘッド室51Bとの断面積比が[Ab:Ah=2:1]なので、コントローラ6は、ボトム室51Aから排出された作動油を吸込ポート12Aとアキュムレータ14とに分配比率[1:1]で分配する。
【0042】
図4において、例えば、ボトム室51Aから排出される作動油の流量が150[L/min]である場合、コントローラ6は、吸込ポート12Aに75[L/min]で作動油が供給され、アキュムレータ14に75[L/min]で作動油が供給されるように、アキュムレータ切換弁23の開口面積及びブームポンプ12の斜板角度を制御する。例えば、ブーム41の下げ動作において、アキュムレータ切換弁23の開口面積が100%になるようにアキュムレータ切換弁23が全開位置Aに配置された場合、アキュムレータ切換弁23の開口面積に合わせて、ブーム操作弁22の開口面積が調整される。吸込ポート12Aに75[L/min]で作動油が供給されるので、吐出ポート12Bからヘッド室51Bに75[L/min]で作動油が供給される。
【0043】
ボトム室51Aから排出される作動油の流量が150[L/min]である場合、ボトム室51Aとヘッド室51Bとの断面積比に基づいて、ヘッド室51Bに供給される作動油の流量が75[L/min]に調整されるので、ヘッド室51Bが負圧になることが抑制される。ヘッド室51Bが負圧になることが抑制されるので、ヘッド室51Bにおいてキャビテーションが発生することが抑制される。
【0044】
また、コントローラ6は、ブーム41の下げ動作において、エンジン15の回転数を示すエンジン回転数と操作レバー17の操作角度を示すレバー角度とに基づいて、ブームポンプ12の回転数を示すブームポンプ回転数とブームシリンダ51の伸縮速度を示すブームシリンダ速度との比が一定になるように、ブームポンプ12の斜板角度及びアキュムレータ切換弁23の開口面積を制御する。コントローラ6は、エンジン回転数とレバー角度とに基づいて、ブームシリンダ51が意図したブームシリンダ速度で動作するように、ブームポンプ12の斜板角度及びアキュムレータ切換弁23の開口面積を制御する。エンジン回転数とブームポンプ回転数とは、一致する。ブームシリンダ速度は、ブームポンプ12から吐出される作動油の流量に比例する。ブームポンプ12から吐出される作動油の流量は、ブームポンプ回転数とブームポンプ12の斜板角度(ブームポンプ12の容積)との積に一致する。実施形態においては、ブームポンプ回転数とブームシリンダ速度との比を一定にするための、エンジン回転数とレバー角度とブームポンプ12の斜板角度とアキュムレータ切換弁23の開口面積との関係を示す相関データが予め求められ、コントローラ6に記憶されている。コントローラ6は、エンジン回転数とレバー角度と相関データとに基づいて、ブームポンプ回転数とブームシリンダ速度との比が一定になるように、ブームポンプ12の斜板角度及びアキュムレータ切換弁23の開口面積を制御する。
【0045】
図6は、実施形態に係る相関データの一例を示す図である。
図6に示すように、ブームポンプ回転数とブームシリンダ速度との比を一定にするための、エンジン回転数の最高値を100%とした場合のエンジン回転数の割合と、レバー角度の最大値を100%とした場合のレバー角度の割合と、ブームポンプ12の斜板角度の最大値を100%とした場合の斜板角度の割合と、アキュムレータ切換弁23の開口面積の最大値を100%とした場合のアキュムレータ切換弁23の開口面積の割合との関係を示す相関データが予め求められ、コントローラ6に記憶されている。相関データは、予備実験又はシミュレーションにより求めることができる。
【0046】
図6は、エンジン回転数の割合と、レバー角度の割合と、斜板角度の割合と、アキュムレータ切換弁の開口面積との割合との関係を示すチャートである。
図6に示すチャートにおいて、縦軸は、エンジン回転数の割合であり、横軸は、レバー角度の割合である。また、1つのセルのうち、上段に記載されている数値が斜板角度の割合であり、下段に記載されている数値がアキュムレータ切換弁の開口面積の割合である。
【0047】
コントローラ6は、ボトム室51Aとヘッド室51Bとの断面積比に基づいて吸込ポート12Aとアキュムレータ14とに分配する作動油の分配比率(流量)を決定する。コントローラ6は、決定した流量の作動油を吸込ポート12Aに流入させたときに、ブームポンプ回転数とブームシリンダ速度との比が一定になるように、エンジン回転数とレバー角度と相関データとに基づいて、ブームポンプ12の斜板角度及びアキュムレータ切換弁23の開口面積を制御する。例えばエンジン15にエンジン回転数センサが設けられている場合、コントローラ6は、エンジン回転数センサの検出データに基づいて、エンジン回転数をモニタすることができる。コントローラ6は、操作レバー17からの操作信号に基づいて、レバー角度をモニタすることができる。
【0048】
上述のように、エンジン15とメイン油圧ポンプ11とブームポンプ12とは、接続(直結)される。ブーム41の下げ動作においては、エンジン15の回転力及びブームポンプ12の回転力のそれぞれがメイン油圧ポンプ11に伝達される。ブーム41の下げ動作において、ブームポンプ回転数とブームシリンダ速度との比が一定になるように、ブームポンプ12の斜板角度及びアキュムレータ切換弁23の開口面積が制御されることにより、エンジン15、メイン油圧ポンプ11、及びブームポンプ12のそれぞれは、円滑に駆動することができる。
【0049】
[アキュムレータのアシストによるブームの上げ動作]
図7は、実施形態に係るアキュムレータ14から放出される作動油によってブーム41を上げ動作させるときの油圧システム10を示す図である。なお、
図7において、矢印Faは、作動油が流れる方向を示し、矢印Fbは、ブームシリンダ51の伸縮方向を示す。また、
図7に示すブーム操作弁22は、上げ位置Rに配置されたブーム操作弁22の一部を抽出して図示したものであり、
図7に示すアキュムレータ切換弁23は、全開位置Aに配置されたアキュムレータ切換弁23の一部を抽出して図示したものである。
【0050】
アキュムレータ14が蓄圧されている場合、ブームポンプ12は、エンジン15が発生する回転力及びアキュムレータ14から放出された作動油の圧力により駆動する。コントローラ6は、ブーム41の上げ動作において、ブームポンプ12の吐出ポート12Bから吐出された作動油がブームシリンダ51のボトム室51Aに供給され、アキュムレータ14からブームポンプ12の吸込ポート12Aに作動油が供給されるように、ブーム操作弁22及びアキュムレータ切換弁23を制御する。すなわち、ブーム41が上げ操作するように操作レバー17が操作されることにより、コントローラ6は、操作レバー17からの操作信号に基づいて、ブーム操作弁22が上げ位置Rに配置されるように、ブーム操作弁22に制御指令を出力する。また、コントローラ6は、アキュムレータ14が全開位置Aに配置されるように、アキュムレータ14に制御指令を出力する。
【0051】
アキュムレータ14から放出された作動油は、アキュムレータライン36、接続部61、及び回生ライン35の一部を介して、ブームポンプ12の吸込ポート12Aに供給される。吸込ポート12Aには高圧の作動油がアキュムレータ14から供給される。また、
図7の矢印Fcで示すように、エンジン15が発生した回転力は、メイン油圧ポンプ11を介してブームポンプ12に伝達される。ブームポンプ12は、吸込ポート12Aから吸い込んだ作動油を吐出ポート12Bから吐出する。吐出ポート12Bから吐出された作動油は、ポンプライン31、ブーム操作弁22のポンプポート22A、ブーム操作弁22のボトムポート22C、及びボトムライン33を介して、ブームシリンダ51のボトム室51Aに供給される。ボトム室51Aに作動油が供給されることにより、ブームシリンダ51が伸び、ブーム41が上げ動作する。
【0052】
ヘッド室51Bから排出された作動油は、ヘッドライン32、ブーム操作弁22のヘッドポート22B、ブーム操作弁22のタンクポート22D、及びタンクライン34を介して、作動油タンク16に排出される。
【0053】
アキュムレータ14から作動油が放出される場合、回生ライン35の圧力は、アキュムレータ14から作動油が放出される作動油により高くなる。ヘッド室51Bから排出される作動油の圧力は、アキュムレータ14から作動油が放出される作動油の圧力よりも低い。そのため、ヘッド室51Bから排出された作動油は、ブーム操作弁22を介して回生ライン35に流入しない。例えば、アキュムレータ14から放出される作動油の流量が150[L/min]であり、アキュムレータ14からブームポンプ12の吸込ポート12Aに流入する作動油の流量が150[L/min]であり、吐出ポート12Bからボトム室51Aに供給される作動油の流量が150[L/min]であり、ヘッド室51Bから排出される作動油の流量が75[L/min]である場合、ヘッド室51Bから排出された作動油の全てが作動油タンク16に排出される。
【0054】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、油圧ショベル1は、ブーム41と、ボトム室51A及びヘッド室51Bを有するブームシリンダ51と、吸込ポート12A及び吐出ポート12Bを有するブームポンプ12と、ポンプライン31を介して吐出ポート12Bに接続されるポンプポート22Aと、ボトムライン33を介してボトム室51Aに接続されるボトムポート22Cと、ヘッドライン32を介してヘッド室51Bに接続されるヘッドポート22Bと、回生ライン35を介して吸込ポート12Aに接続される回生ポート22Eと、を有するブーム操作弁22と、アキュムレータライン36を介して回生ライン35に接続されるアキュムレータ14と、アキュムレータライン36の作動油の流量を調整するアキュムレータ切換弁23と、ブーム41の下げ動作において、ボトム室51Aから排出された作動油が吸込ポート12A及びアキュムレータ14のそれぞれに分配されるように、ブーム操作弁22及びアキュムレータ切換弁23を制御するコントローラ6と、を備える。
【0055】
実施形態によれば、ブーム41の下げ動作においてブームシリンダ51から排出された作動油は、ブームポンプ12の吸込ポート12Aに流入する前に、アキュムレータ14に供給される。アキュムレータ14を蓄圧するための作動油がブームポンプ12を通過しないため、アキュムレータ14が効率良く蓄圧される。
【0056】
また、ブームシリンダ51から排出された作動油の一部がブームポンプ12に戻される。ブームシリンダ51から排出された作動油の全てがブームポンプ12に戻されないので、ブームポンプ12のポンプ容量を不必要に大きくする必要がない。そのため、ブームポンプ12の大型化が抑制される。
【0057】
コントローラ6は、ブーム41の上げ動作において、吐出ポート12Bから吐出された作動油がボトム室51Aに供給され、アキュムレータ14から吸込ポート12Aに作動油が供給されるように、ブーム操作弁22及びアキュムレータ切換弁23を制御する。アキュムレータ14に蓄圧された作動油が、ブーム41の上げ動作においてブームポンプ12の駆動をアシストする。また、アキュムレータ14と吸込ポート12Aとは、アキュムレータライン36及び回生ライン35を介して接続される。そのため、アキュムレータ14から吸込ポート12Aに作用する圧力が過度に大きくなくても、アキュムレータ14は、ブームポンプ12の駆動をアシストすることができる。また、ブーム41の上げ動作において、エンジン15が発生する回転力とアキュムレータ14から放出された作動油の圧力との両方がブームポンプ12に入力されるので、エンジン15の回転力が小さくてもブームポンプ12が駆動できるため、エンジン15の燃料消費量が削減される。
【0058】
ボトム室51Aとヘッド室51Bとの断面積比に基づいて、ブーム41の下げ動作において、ボトム室51Aから排出された作動油を吸込ポート12Aとアキュムレータ14とに分配する分配比率が決定される。これにより、ブーム41の下げ動作においてヘッド室51Bが負圧になることが抑制される。ボトム室51Aが負圧になることが抑制されるので、ボトム室51Aにおいてキャビテーションが発生することが抑制される。
【0059】
ブーム41の下げ動作において、ブームポンプ12の回転エネルギーがメイン油圧ポンプ11に伝達される。これにより、ブーム41の下げ動作において発生するブームポンプ12の回転エネルギーが回生エネルギーとして有効活用される。
【0060】
コントローラ6は、ブーム41の下げ動作において、ボトム室51Aとヘッド室51Bとの断面積比に基づいて吸込ポート12Aに流入させる作動油の流量を決定した後、決定された流量とエンジン回転数とレバー角度とに基づいて、ブームポンプ12の回転数とブームシリンダ51の伸縮速度を示すブームシリンダ速度との比が一定になるように、ブームポンプ12の斜板角度及びアキュムレータ切換弁23の開口面積を制御する。ブーム41の下げ動作において、ブームポンプ12の回転数とブームシリンダ速度との比が一定になるので、エンジン15、メイン油圧ポンプ11、及びブームポンプ12のそれぞれは、円滑に駆動することができる。
【符号の説明】
【0061】
1…油圧ショベル(作業機械)、2…走行体、2A…履帯、3…旋回体、4…作業機、5…作業機シリンダ、6…コントローラ、7…走行モータ(メイン油圧アクチュエータ)、8…走行モータ(メイン油圧アクチュエータ)、9…旋回モータ(メイン油圧アクチュエータ)、10…油圧システム、11…メイン油圧ポンプ、12…ブームポンプ、12A…吸込ポート、12B…吐出ポート、13…チャージポンプ、14…アキュムレータ、15…エンジン、16…作動油タンク、17…操作レバー、21…メインバルブ、22…ブーム操作弁、22A…ポンプポート、22B…ヘッドポート、22C…ボトムポート、22D…タンクポート、22E…回生ポート、22F…分岐部、22G…絞り、23…アキュムレータ切換弁、24…第1チェック弁、25…第2チェック弁、26…リリーフ弁、31…ポンプライン、32…ヘッドライン、33…ボトムライン、34…タンクライン、35…回生ライン、36…アキュムレータライン、37…チャージライン、38…リリーフライン、41…ブーム、42…アーム、43…バケット、51…ブームシリンダ、51A…ボトム室、51B…ヘッド室、52…アームシリンダ(メイン油圧アクチュエータ)、53…バケットシリンダ(メイン油圧アクチュエータ)、61…接続部、62…接続部、63…接続部、111…メイン油圧ポンプ、112…メイン油圧ポンプ、511…シリンダチューブ、512…ピストン、513…ピストンロッド、A…全開位置、B…全閉位置、D…下げ位置、N…中立位置、R…上げ位置。