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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113505
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 35/02 20060101AFI20240815BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20240815BHJP
   F03G 3/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H02K35/02
H02K7/18 A
F03G3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018544
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 仁
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB02
5H607BB08
5H607CC05
5H607DD03
5H607FF21
(57)【要約】
【課題】
幅広い環境下で不特定多数の動物の生態を利用して発電を行うことが可能な発電装置を提供する
【解決手段】
水を外部へ送出可能な水送出部と、水送出部から送出される水を受けて溜める水受け部と、水受け部に与えられる外力を利用して電力を生じさせる発電機構と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を外部へ送出可能な水送出部と、
前記水送出部から送出される水を受けて溜める水受け部と、
前記水受け部に与えられる外力を利用して電力を生じさせる発電機構と、
を有することを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記水受け部は、前記外力を受けて移動可能に支持され、
前記発電機構は、前記水受け部の移動に伴って移動する磁石及び前記磁石の移動により誘導起電力を生じさせるコイルを含むことを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記水受け部は、1の軸まわりに回動自在に支持され、前記磁石は前記水受け部と共に回動するようになされていることを特徴とする請求項2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記磁石と前記水受け部とが固定されており、前記磁石及び前記水受け部は吊り下げ支持されていることを特徴とする請求項2に記載の発電装置。
【請求項5】
前記磁石と前記水受け部とが固定されており、前記コイルは、前記磁石及び前記水受け部を支持するコイルばねであることを特徴とする請求項2に記載の発電装置。
【請求項6】
前記発電機構は、圧力を受けることで電力を生じさせる圧電素子を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項7】
前記水送出部から水を受ける前記水受け部の凹部面には、複数の突起が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項8】
前記水送出部は、水を貯蔵する貯蔵部及び前記貯蔵部から水を一定量ずつ送出する送出機構を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項9】
前記水送出部は、送出する水を周辺環境から収集する集水機構を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項10】
前記水送出部は、送出する水を大気中から収集する集水機構を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項11】
動物が摂取可能な物質を外部へ送出可能な物質送出部と、
前記物質送出部から送出される物質を受けて溜める物質受け部と、
前記物質受け部に与えられる外力を利用して電力を生じさせる発電機構と、
を有することを特徴とする発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微小なエネルギーを電力に変換する技術であるエネルギーハーベスティングを利用した発電装置が開示されている。例えば、特許文献1には、家畜である牛の口元に設けられた口輪と、牛の口の開閉に伴って口輪が広がる際又は元に戻る際に回転するギアと、当該ギアの回転によって発電を行う発電機を含む発電モジュールとからなる発電装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献1には、牛の首輪に設けられ、発電装置によって生成された電気を蓄える蓄電装置と、畜舎の餌場に設けられ、蓄電装置に蓄えられた電気を集電する集電装置とを有する集電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO2011/129121号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発電装置においては、畜舎で飼育されている特定の家畜に対してのみ発電装置が取り付けられるため、発電が行われる環境及び発電に寄与する行動を行う動物が限定されるという問題点が挙げられる。
【0006】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、幅広い環境下で不特定多数の動物の生態を利用して発電を行うことが可能な発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発電装置は、水を外部へ送出可能な水送出部と、前記水送出部から送出される水を受けて溜める水受け部と、前記水受け部に与えられる外力を利用して電力を生じさせる発電機構と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1に係る発電装置の使用時の状況を示す斜視図である。
図2】実施例1に係る発電装置の一部の側面を示す図である。
図3】実施例1に係る発電装置における構成部材の変形例を示す断面図である。
図4】実施例2に係る発電装置の使用時の状況を示す斜視図である。
図5】実施例3に係る発電装置の使用時の状況を示す斜視図である。
図6】実施例4に係る発電装置の使用時の状況を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施例を詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の符号を付している。
【実施例0010】
まず、図1を用いて実施例1について説明する。図1は、実施例1に係る発電装置100を使用時の状況を示す斜視図である。なお、図中上下方向が発電装置100の高さ方向である。発電装置100は、例えば、山中のような商用電源からの給電が困難な場所で使用可能な装置である。図1では、野鳥BDや、鹿などの獣BEが生息している山林のような中に発電装置100が設置されている場合を示している。
【0011】
物質送出部としての水送出部11は、ベース部12並びにその上に配される支柱13、貯蔵部14及び送出機構15から構成される。
【0012】
ベース部12は、上面形状が矩形の板状体である。ベース部12は、例えば、山中の平地や斜面などの土の上に配されても、上部に設けられる支柱13、貯蔵部14及び送出機構15共々倒れないように構成されている。
【0013】
例えば、ベース部12は、地中に挿入されるアンカー(図示せず)を有していてもよい。また、ベース部12は、地中に挿入してベース部12を固定するアンカーを挿入する穴を有していても良い。なお、図1において、ベース部12は地表に露出しているが、地中に埋められて設置されてもよい。
【0014】
支柱13は、ベース部12の上面の略中央に設けられており、高さ方向に延在している四角柱状の部分である。支柱13は、例えば、発電装置100が森林の中に設置された場合に、自然の情景に溶け込むように、樹木を模した形状を有しかつ樹木を模した色彩がなされていてもよい。
【0015】
貯蔵部14は、支柱13の頂部に取り付けられており、内部に空間を有する上面が開放されている箱体である。貯蔵部14は、上面が開放されているので、野外に置いた際に貯蔵部14に雨水が溜まり、水を収集できるようになっている。
【0016】
なお、貯蔵部14自体で水を収集しなくともよい。例えば、貯蔵部14に雨水、霧、川の水などの自然環境に存在する水を収集する集水器などの集水機構が接続されており、当該集水機構によって集められた水が貯蔵部14に貯蔵される態様となっていてもよい。
【0017】
その際、集水機構からの水を運搬するパイプが貯蔵部14に接続される等して、集水機構からの水が貯蔵部14に運搬されるように構成されていれば良く、貯蔵部14の上面が開放されている必要性はない。貯蔵部14は、それ自体によって集水されるか他の集水機構によって収集された水を貯蔵する貯水タンクとして機能する。
【0018】
送出機構15は、貯蔵部14の1の側面14Sに設けられ、貯蔵部14内の水を外部に送出する筒状体である。送出機構15は、側面14Sへの取付部を中心に回動可能で合っても良い。その場合、送出機構15は、貯蔵部14に貯蔵されている水を外部に送る際の送出方向を定めるノズルとして機能する。
【0019】
送出機構15は、貯蔵部14に貯蔵されている水が一定量ずつ送出されるように流量を調整するように構成されている。例えば、送出機構15には、一定以上の水の重みを受けると開状態となり当該水が流れ終わると閉状態となるフラッパー弁が設けられている。
【0020】
発電機構部16は、ベース部17並びにその上に設けられる支柱18、支柱19を含んで構成されている。
【0021】
ベース部17は、上面形状が矩形の板状体である。ベース部17は、例えば、山中などの土の上に配されても、上部に設けられる支柱18及び支柱19共々倒れないように構成されている。
【0022】
例えば、ベース部17は、地中に挿入されるアンカー(図示せず)を有していてもよい。また、ベース部17は、地中に挿入してベース部17を固定するアンカーを挿入する穴を有していてもよい。また、ベース部17は、ベース部12と一体に形成されていてもよい。
【0023】
支柱18は、ベース部17の上面の互いに対向する二辺のうちの一方側において高さ方向に延在している柱状の部分である。支柱18は、上端部が2つに枝分かれしており、枝分かれした2つの部分が共に上方に伸張している部分を有する支持構造18Aを有している。具体的には、支柱18は、先端においてY字状に分岐している支持構造18Aを有している。
【0024】
支柱19は、ベース部17の上面の互いに対向する二辺のうちの他方側において高さ方向に延在している柱状の部分である。支柱19は、支柱18と同様に、上端部が2つに枝分かれしており、枝分かれした2つの部分が共に上方に伸張している部分を有する支持構造19Aを有している。具体的には、支柱19は、先端においてY字状に分岐している支持構造19Aを有している。
【0025】
コイル部分21は、支柱18の支持構造18Aの枝分かれした部分の上端にそれぞれ設けられており、横方向に延在している円筒体21Aを有している。円筒体21Aは、例えばプラスチックなどの非磁性体からなる。
【0026】
また、コイル部分21は、円筒体21Aの外周面にらせん状に巻き付けられているソレノイドコイルであるコイル21Bを有している。コイル21Bは、例えば、円筒体21Aの延在方向に直交するように円筒体21Aの外周に単層巻きの態様で巻き付けられている。
【0027】
回動ロッド24は、一端側が支柱18によって支持され、他端側が支柱19によって支持されている断面が円形の棒状部材である。回動ロッド24は、長さ方向に沿った軸を回動軸として回動自在となっている。
【0028】
回動ロッド24は、回動ロッド24に外力が加わっていない初期状態において、回動ロッド24の長さ方向の中央部から鉛直方向下向きに突出している棒状の第1の部分24A及び回動ロッド24の支持構造18Aに支持されている部分から鉛直方向上向きに突出している棒状の第2の部分24Bを有している。
【0029】
物質受け部としての水受け部25は、第1の部分24Aの先端に取り付けられており、上面に凹部を有する皿状部材である。水受け部25は、貯蔵部14から送出機構15を介して送出される水を受けて溜める。図1では、水受け部25の凹部内には、水Lが溜められた状態となっている。なお、上記した水送出部11は、水受け部25内の水が溢れない程度に水を送出するように構成されているのが好ましい。
【0030】
磁石26は、第2の部分24Bの先端に取り付けられており、上述の初期状態において2つのコイル部分21の間に位置するように配されている直方体状の磁石である。磁石26は、例えばネオジム磁石などの永久磁石である。磁石26は、回動ロッド24が回動すると、2つのコイル部分21の間で移動し、2つのコイル部分21の各々に対する距離が変わるようになっている。
【0031】
本実施例においては、外力が加わっていないときに回動ロッド24が勝手に回動してしまわないように、回動ロッド24に接続された水受け部25が重りとして作用することによって全体のバランスを保っている。
【0032】
電源モジュール28は、支柱18の内部を通って外部に取り出されている2つの配線Wにそれぞれ電気的に接続されており、コイル部分21において発生した電力を充電可能な外部装置である。
【0033】
電源モジュール28は、例えば、コイル21Bと磁石26との作用によってコイル21Bに発生し得る交流電圧を直流電圧に変換可能な整流器を含む。また、電源モジュール28は、例えば、整流器によって整流された直流電力を蓄える蓄電池を含む。
【0034】
次に、図1及び図2を用いて本実施例における発電装置100の発電の仕組みについて説明する。図2は、図1に示したA部、具体的には発電機構としてのコイル部分21及び磁石26の側面を示す図である。
【0035】
発電装置100は、上述のように、商用電源からの給電が困難な場所、例えば、山中の自然公園や自然保護区などの自然が多い環境下において図1の態様で設置されて用いられる。発電装置100は、例えば、大気中の温湿度を計測するセンサや当該計測したデータを他の機器へ送信する送信機器に給電するための電源として用いられ得る。このようなセンサや送信機器は、例えば上述した電源モジュール28内の蓄電池に接続される。
【0036】
図1においては、水Lが溜まった水受け部25が静止している状態を示している。ここで、図1に示すように、水受け部25に溜まった水Lを飲みに野鳥BDや鹿などの獣BEなどの野生動物が図中右側からやってきた場合について説明する。
【0037】
例えば、水Lを飲もうとした野鳥BDや獣BEが水受け部25を揺らした場合、すなわち水受け部25が外力を受けた場合、水受け部25は振り子運動をするように図中左右方向に移動する。
【0038】
このとき、回動ロッド24は、水受け部25の移動を受けて上述した回動軸まわりに回動する。回動ロッド24に接続されている磁石26は、回動ロッド24が回動することにより、振り子運動をするように図中左右方向に移動する。
【0039】
具体的には、磁石26は、図2中矢印にて示すように、コイル部分21に対して近づくか又は離れるように移動する。このとき、磁石26のコイル部分21に対する距離が変わることにより磁束密度が変化する。すなわち、電磁誘導現象が生じてコイル21Bに誘導起電力が発生する。
【0040】
この電磁誘導現象は、磁石26の移動が止まるまで、すなわち回動ロッド24の回動が止まるまで継続する。そのため、コイル21Bに生じた誘導起電力は、磁石26の移動が止まるまでの間、例えば上述した電源モジュール28内の蓄電池に蓄電される。
【0041】
本実施例における発電装置100は、上述したような山中の自然公園や自然保護区などに設置することによって、野鳥BDや獣BEなどの野生動物の生態を利用して発電を行うことができる。
【0042】
なお、発電装置100は、野生動物のみならず、動物園や畜舎の中で飼育されている飼育動物の生態を利用して発電を行うこともできる。発電装置100は、例えば、動物園や畜舎内において電源確保が困難な場所に設置される。発電装置100は、例えば、動物の健康状態を定期的に記録する画像記録装置の電源として用いられ得る。
【0043】
このように、本実施例の発電装置100によれば、発電装置100の設置環境及び水受け部25に集まる動物の種類や大きさに影響されることなく発電を行うことができる。従って、本実施例によれば、幅広い環境下で不特定多数の動物の生態を利用して発電を行うことができる。
【0044】
なお、本実施例においては、貯蔵部14に雨水などの自然環境からの水が貯蔵される場合について説明したが、例えば人が定期的に行ける場所に発電装置100を設置する場合には、貯蔵部14内に水を定期的に補充する態様としてもよい。
【0045】
本実施例において、集水機構による集水の方法は、電源モジュール28の電源を不要とする、例えば自然の力を用いる様々な方法を取ることができる。例えば、上述したが、収集される水は雨水でもよいし、発電装置100を設置した周辺にある河川の水でもよい。
【0046】
また、上記方法のほか、集水機構によって大気中の水蒸気や結露によって生じる水分を収集してもよい。その場合、例えば、ネットを備える集水機構を用いて、風によってネットを通過する霧が水滴となってこれを収集する技術や、特殊コーティングがなされたガラス板及び放射シールドからなる集水機構を用いて、ガラス板による太陽光の反射によって温度差を生じさせて結露を生じさせる技術を適用してもよい。
【0047】
本実施例において、水受け部25には、水送出部11から送出された水を受けて溜めるとしたが、水送出部11から水受け部25に送出される物質は水以外のものであってもよい。例えば、貯蔵部14には動物のえさを混ぜた粘性を有する液体状の物質を定期的に補充する態様としてもよく、当該物質が送出機構15を介して水受け部25に送出される態様としてもよい。
【0048】
本実施例の発電装置100においては、コイル部分21と磁石26とによって電磁誘導現象が生じればよく、その設置態様や形状はこれに限られない。例えば、円筒体21Aへのコイル21Bの巻き付け方は単層巻のほか、二層巻、三層巻と多層として重ねてもよく、円筒体21Aを用いずにコイル21Bのみを用いる態様としてもよい。また、磁石26は、直方体状のほかに球状や円柱状を有していてもよい。
【0049】
本実施例において、水受け部25の図中左右方向の移動を大きくするためには、水受け部25がなるべく図中右側又は左側から外力を受けることが好ましい。そのため、例えば、予め支柱18及び支柱19に野生動物の進行方向を制限するためのガイドを設ける態様としてもよい。
【0050】
すなわち、上記ガイドによって野生動物が図中右側又は左側からのみ水受け部25に近づけるような態様とすることにより、効率的に水受け部25を移動させることができ、それ故、磁石26の移動を大きくすることができる。従って、発電装置100の発電効率が向上し得る。
【0051】
[変形例]
以下に、図3を用いて実施例1の水受け部25の変形例について説明する。図3は、変形例に係る水受け部25の断面図である。
【0052】
本変形例において、水受け部25の水受け面である凹部面には、複数の突起25Pが形成されている。突起25Pがこのように形成されていることにより、例えば、野鳥BDが水受け部25に水を飲みに来た際に突起25Pを止まり木の替わりとして使用することで、水受け部25により大きな移動が生じ得る。
【0053】
また、水受け部25の上を野鳥BDが移動したり、水をついばむ動きをした際に野鳥BDが突起25Pにぶつかる力も水受け部25に動きを生じさせることができる。
【0054】
これにより、水受け部25の動きが大きくなったり水受け部25が動く回数が増えたりし、それによって磁石26の移動が大きくなったり動く回数が増えたりする。従って、発電装置100における発電量を上げることができる。
【0055】
なお、本変形例においては、突起25Pの形成態様はこれに限られず、水受け部25の凹部面に突起25Pをドーナツ状に連続的にまたは断続的に形成させる態様としてもよい。
【実施例0056】
次に、図4を用いて実施例2について説明する。図4は、実施例2に係る発電装置200の斜視図である。発電装置200は、発電機構の構成が発電装置100と異なっており、それ以外の点、例えば水送出部11の構成などは発電装置100と同様の構成を有する。
【0057】
ベース部31は、上面形状が矩形の直方体状の部分である。ベース部31は、図中前面側を開口部とする開口31Oを有する。ベース部31は、実施例1と同様に、地中に挿入されるアンカーなどによって固定され得る。
【0058】
ベース部31の開口31O内には、円筒体21Aに巻き付けられたコイル21Bからなるコイル部分21が複数配されている。図4においては、例示として、4つのコイル部分21を示しており、当該4つのうち1のコイル部分21が配線Wを介して電源モジュール28に電気的に接続されている。
【0059】
ジョイント33は、ベース部31の上面上に配されており、ベース部31の上面の四角の各々からジョイント33に向けて伸長している棒状の4つの支持ポールSPによって保持されているジョイントである。ジョイント33は、例えば、金属球に丸棒を付けたボールスタッドとそれに球面接触するソケットからなるボールジョイントである。
【0060】
ジョイント33の上記ソケットには、棒状の接続ポール34が設けられている。これにより、接続ポール34はジョイント33を介して任意の方向に回転可能となっている。接続ポール34の先端には水受け部25が接続されており、水受け部25の底面には磁石26が接合されている。すなわち、本実施例においては、水受け部25と磁石26とが一体化されている。
【0061】
実施例1と同様の態様で水受け部25が野鳥BDや獣BEから外力を受けた場合、水受け部25は、発電装置200を上から見た平面視において2次元的に移動し得る。これにより、水受け部25に接合されている磁石26も2次元的に移動し得る。
【0062】
本実施例においては、上述したようにベース部31内にコイル部分21が複数配されている。そのため、磁石26が上記平面内のどの方向に移動した場合であっても複数のコイル部分21のコイル21Bに誘導起電力が生じ得る。
【0063】
従って、本実施例によれば、磁石26の移動によってコイル21Bの各々に生じる誘導起電力を電源モジュール28に送ることができる。よって、本実施例によれば、実施例1と同様に、幅広い環境下で不特定多数の動物の生態を利用して発電を行うことができる。
【0064】
なお、本実施例において、水送出部11及び水受け部25は別体として構成されているものとして説明したが、これに限られない。例えば、水受け部25の上方、すなわちジョイント33上に貯蔵部14を設け、当該貯蔵部14の底面から接続ポール34を介して水受け部25に水が送出される構成としてもよい。
【実施例0065】
次に、図5を用いて実施例3について説明する。図5は、実施例3に係る発電装置300の斜視図である。発電装置300は、発電機構の構成が発電装置100と異なっており、それ以外の点、例えば水送出部11の構成などは発電装置100と同様の構成を有する。
【0066】
支柱36は、ベース部17の上面の互いに対向する二辺のうちの一方側において高さ方向に延在している四角柱状の部分である。また、支柱37は、ベース部17の上面の互いに対向する二辺のうちの他方側において高さ方向に延在している四角柱状の部分である。
【0067】
連絡部38は、支柱36と支柱37とによって挟持されるように支柱36と支柱37とを連絡している平板状の部分である。
【0068】
コイル41は、一端が連絡部38の下面中央部に接続され、他端が磁石26に接続されている。本実施例において、コイル41は、静止状態から引張り荷重を受けて伸ばされると元に戻る動きをする引張りコイルばねである。
【0069】
コイル41の両端には配線Wが接続されており、連絡部38及び支柱36の内部を通って外部に取り出されて電源モジュール28に電気的に接続されている。
【0070】
磁石26は、接続ポール34を介して水受け部25に接続されている。本実施例において、例えば、野鳥BDが水Lを飲もうと水受け部25に乗った場合、水受け部25に下向きの力が掛かると共に静止状態にあったコイル41が下向きに引っ張られる。
【0071】
そして、例えば、野鳥BDが水受け部25から飛び立った場合、水受け部25に掛かっている力が解放されることで、コイル41が元の形状に戻ろうとする。このとき、コイル41に接続されている磁石26も上方に移動することにより、電磁誘導現象によってコイル41に誘導起電力が生じる。
【0072】
従って、本実施例の発電装置300においても、実施例1と同様に、磁石26の移動によってコイル41に生じる誘導起電力を電源モジュール28に送ることができる。よって、本実施例によれば、幅広い環境下で不特定多数の動物の生態を利用して発電を行うことができる。
【実施例0073】
次に、図6を用いて実施例4について説明する。図6は、実施例4に係る発電装置400の斜視図である。発電装置400は、発電機構が発電装置100と異なっており、それ以外の点、例えば水送出部11の構成などは発電装置100と同様の構成を有する。
【0074】
本実施例において、ベース部44は、互いに対向する薄い平板状の第1の部分45及び第2の部分46から構成される。第1の部分45は、例えば圧力を受けても変形しにくい硬い材質を有する。第2の部分46は、例えば圧力を受けて変形しやすい柔らかい材質を有する。
【0075】
圧電素子47は、第1の部分45と第2の部分46との間に複数設けられている素子である。圧電素子47は、表面に圧力が加わることによって電流を生じさせる圧電効果を発する圧電体を有している。図6においては、例示として、6つの圧電素子47を示しており、当該6つのうち1の圧電素子47が配線Wを介して電源モジュール28に接続されている。
【0076】
水受け部25は、支持棒48を介してベース部44の第2の部分46の上面の中央に固定されている。なお、水受け部25は、ベース部44に直接固定されていなくてもよく、第2の部分46上に配されるように固定されていればよい。
【0077】
本実施例において、例えば、図1に示した鹿などの獣BEが水受け部25に集まることにより、第2の部分46の下に配されている圧電素子47に圧力が掛かる。これにより、圧電素子47に電力が生じ、当該電力が上述した電源モジュール28内の蓄電池に蓄電される。
【0078】
従って、本実施例の発電装置400においては、野生動物から与えられる外力を利用して圧電素子47に生じる電力を電源モジュール28に送ることができる。よって、本実施例においても、実施例1と同様に、幅広い環境下で不特定多数の動物の生態を利用して発電を行うことができる。
【0079】
なお、本実施例における圧電素子47を用いた構成は、実施例1と組み合わせて用いてもよい。具体的には、実施例1における発電装置100のベース部17に替えて、本実施例の発電装置400におけるベース部44及び圧電素子47を用いた構成としてもよい。
【0080】
なお、上述したベース部44の第2の部分46と各圧電素子47との間には、圧力が加わった際に全面に亘って振動を生じさせる振動板を設けてもよい。これにより、第2の部分46の一部分に圧力が掛かった際においても、振動板を介して複数の圧電素子47に振動を伝えることができ、当該複数の圧電素子47において電力を生じさせることができる。
【符号の説明】
【0081】
100、200、300、400 発電装置
11 水送出部
12、17、31、44 ベース部
13、18、19、36、37 支柱
14 貯蔵部
15 送出機構
21 コイル部
41 コイル
24 回動ロッド
25 水受け部
26 磁石
28 電源モジュール
33 ジョイント
34 接続ポール
47 圧電素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6