(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113519
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】頭髪ケアシート
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20240815BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240815BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240815BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240815BHJP
D04H 1/495 20120101ALI20240815BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/02
A61Q5/00
A61K8/37
D04H1/495
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018570
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】302060568
【氏名又は名称】株式会社カナエテクノス
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 朋希
(72)【発明者】
【氏名】中野 智和
【テーマコード(参考)】
4C083
4L047
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB352
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC331
4C083AC332
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC582
4C083AC662
4C083AD092
4C083AD442
4C083AD532
4C083AD572
4C083AD662
4C083BB01
4C083CC31
4C083DD12
4C083EE21
4L047AA12
4L047AA14
4L047AA27
4L047AA28
4L047AA29
4L047AB02
4L047AB10
4L047BA04
4L047BA09
4L047BA24
4L047BB01
4L047BB09
4L047CA10
4L047CA12
4L047CC03
(57)【要約】
【課題】 ヘアスタイリング剤を有効に除去しうる頭髪ケアシートを提供する。
【解決手段】 この頭髪ケアシートは、表面に規則的な凹部1と凸部2が設けられている不織布3に薬液が含浸されてなる。凹部1は貫通孔であるのが好ましい。薬液は、ノンアルコール系薬液又はアルコール系薬液が用いられる。ノンアルコール系薬液は、エステル油系オイル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル及びポリオキシエチレンラウリルエーテル等の界面活性剤及び水を主成分とする。アルコール系薬液は、エタノール、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル及びポリオキシエチレンラウリルエーテル等の界面活性剤及び水を主成分とする。この頭髪ケアシートは、ヘアスタイリング剤除去シートとして用いられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に規則的な凹部と凸部が設けられている不織布に薬液が含浸されてなる頭髪ケアシート。
【請求項2】
凹部が貫通孔である請求項1記載の頭髪ケアシート。
【請求項3】
不織布の構成繊維として親水性繊維を含む請求項1又は2記載の頭髪ケアシート。
【請求項4】
薬液の主成分がエタノール、界面活性剤及び水である請求項1又は2記載の頭髪ケアシート。
【請求項5】
薬液の主成分がエステル油系オイル、界面活性剤及び水である請求項1又は2記載の頭髪ケアシート。
【請求項6】
頭髪ケアシートがヘアスタイリング剤除去シートである請求項1又は2記載の頭髪ケアシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪の手入れのために用いられる頭髪ケアシートに関し、特に頭髪に付与されたヘアスタイリング剤を除去するために用いられる頭髪ケアシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、頭髪を所定の形状に調整及び/又は保持するためにヘアスタイリング剤が用いられている。ヘアスタイリング剤は、頭髪を所定の形状に調整及び/又は保持するものであるため、ロウ、ワックス又はシリコーン系重合体等の比較的分子量の高い化合物を含んでいる。かかる化合物を含むヘアスタイリング剤は、界面活性剤を主成分とするシャンプーでは除去することが困難であった。たとえば、シャンプーによる毛髪洗浄を複数回行わなければ、ヘアスタイリング剤を除去することができず、煩わしいものであった。
【0003】
しかるに、ヘアスタイリング剤を有効に除去する商品は、現状では提供されていない。たとえば、特許文献1には、疎水性シリカを含むヘアスタイリング剤の当該疎水性シリカを洗浄するのに、アルコールを用いることが記載されているだけである(特許文献1、段落0075~0077)。すなわち、ヘアスタイリング剤に一般的に含まれているロウ、ワックス又はシリコーン系重合体等の比較的分子量の高い化合物を有効に除去することは、開示されていないのである。
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ロウ、ワックス又はシリコーン系重合体等の比較的分子量の高い化合物を含んでいるヘアスタイリング剤を有効に除去しうる頭髪ケアシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、不織布の表面に凹凸を設け、ヘアスタイリング剤を掻き取ることにより、上記課題を解決したものである。すなわち、本発明は、表面に規則的な凹部と凸部が設けられている不織布に薬液が含浸されてなる頭髪ケアシートに関するものである。
【0007】
本発明に用いる不織布は、表面に規則的な凹部と凸部が設けられてなるものである。ここで、「規則的」という用語は、規則的な凹凸を持つエンボスロールやメッシュコンベア等の製造器具を用いて製造された不織布に付与される凹部と凸部のことを意味しており、不織布が完全な規則性のある凹部と凸部を有しているという意味ではない。したがって、不織布には、あまり規則的ではない凹部と凸部が設けられていても、規則的な凹凸を持つ製造器具を用いて製造された不織布が、当該製造器具の凹凸に概ね対応する凹部と凸部を有していれば、それは表面に規則的な凹部と凸部が設けられた不織布である。
【0008】
不織布の表面に設けられる凹部と凸部は、たとえば、
図1又は
図2の如き形状をしている。
図1及び
図2は、本発明の一例に係る頭髪ケアシートの模式的横断面端面図である。
図1の符号1が凹部であり、符号2が凸部である。
図1の凹部1は貫通孔となっている。
図2の凹部1は窪んでいるだけで、貫通孔とはなっていない。
図1及び
図2に示した頭髪ケアシートの場合、不織布3の両表面に凹部1と凸部2が設けられているが、いずれか一方の面のみに凹部1と凸部2が設けられていてもよい。両表面に凹部1と凸部2が設けられている方が、使用時に頭髪に接する面を気にしなくてもよいので好ましい。
【0009】
本発明で用いる不織布3としては、従来公知の任意のものを採用しうるが、アルコール系薬液又はノンアルコール系薬液を含浸させやすくするため、構成繊維として親水性繊維を含む不織布を採用するのが好ましい。親水性繊維としては、レーヨン繊維やコットン繊維等が用いられる。不織布3の目付も任意であるが、30g/m2以上であるのが好ましく、一般的に30~70g/m2程度である。目付が30g/m2未満であると、厚さが薄くなって、凹部1と凸部2の差が小さくなり、ヘアスタイリング剤の掻き取り性が低下する傾向が生じる。また、不織布3の厚さ(無荷重下の厚さ)は、0.1~1.0mm程度である。不織布3の表面に設けられる凹部1の大きさは、0.1~5mm2程度である。凹部1と凸部2の面積の割合は、凹部:凸部=10~50:90~50(%)程度である。
【0010】
次に、本発明で用いる不織布の製造方法の一例について説明する。親水性短繊維等を含む短繊維群をカード機等で開繊し集積して、繊維ウェブを得る。短繊維群中には、親水性短繊維と共に熱融着性短繊維(たとえば、芯鞘型複合熱融着性短繊維)を含有させておいてもよい。この繊維ウェブを、粗目の平織物(たとえば金網)よりなる搬送コンベアの上に載せ、繊維ウェブを搬送しながら、高圧水流を付与する。この高圧水流によって、短繊維群が交絡して不織布(いわゆるスパンレース不織布)となる。この不織布には、搬送コンベアである平織物の目に対応する箇所が凹部1となり、凹部1以外の箇所が凸部2となる。繊維ウェブ中に熱融着性短繊維を含有させておいた場合には、熱処理することにより短繊維相互間が融着し、形態安定性の良好な不織布が得られる。なお、スパンレース不織布の場合、凹部1が貫通孔となることが多い。
【0011】
また、本発明で用いる不織布は、以下の製造方法で得ることもできる。熱融着性繊維又は自己接着性繊維を含む繊維(これらは長繊維であっても短繊維であってもよい。)を集積して繊維ウェブを得る。この繊維ウェブを凹凸ロールと平滑ロール間又は凹凸ロール間に通して、加圧する。これにより、自己接着性繊維により繊維相互間が結合し、形態安定性の良好な不織布が得られる。また、繊維ウェブ中に熱融着性繊維が含まれている場合は、加圧と共に加熱を施すことにより、繊維相互間が熱融着し、形態安定性の良好な不織布が得られる。この不織布は、凹凸ロールの凸部に対応する箇所が凹部1となり、凹凸ロールの凹部に対応する箇所が凸部2となる。
【0012】
不織布には、薬液が含浸されている。薬液の含浸量は、不織布重量に対して、1~5倍程度である。薬液は、ヘアスタイリング剤と相溶しやすいものであれば、従来公知のものを用いることができる。エタノール等のアルコール類は、ヘアスタイリング剤と相溶しやすいため、アルコール類、界面活性剤及び水を主成分とするアルコール系薬液を用いることができる。特に、エタノール、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル及びポリオキシエチレンラウリルエーテル等の界面活性剤及び水を主成分とするアルコール系薬液を用いるのが好ましい。かかる薬液は、ヘアスタイリング剤をエタノールで相溶させると共に、界面活性剤及び水で相溶したヘアスタイリング剤を頭髪から洗い流すことができる。
【0013】
また、エステル油系オイル、炭化水素油系オイル又は油脂系オイルのオイル類も、ヘアスタイリング剤と相溶しやすいため、これらのオイル類、界面活性剤及び水を主成分とするノンアルコール系薬液を用いることもできる。特に、エステル油系オイル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル及びポリオキシエチレンラウリルエーテル等の界面活性剤及び水を主成分とするノンアルコール系薬液を用いるのが好ましい。かかる薬液は、ヘアスタイリング剤をエステル油系オイルで相溶させると共に、界面活性剤及び水で相溶したヘアスタイリング剤を頭髪から洗い流すことができる。なお、アルコール系薬液及びノンアルコール系薬液中には、メントール等の清涼剤、グリセリン等の保湿剤及び/又はパラオキシ安息香酸メチル等の防腐剤等を含有させておいてもよい。
【0014】
本発明に係る頭髪ケアシートで頭髪を拭くことにより、頭髪に付与したヘアスタイリング剤を除去払拭することができる。具体的には、本発明に係る頭髪ケアシートを用いれば、ヘアスタイリング剤除去性能は、20~60%程度であり、好ましくは35~60%程度である。また、本発明に係る頭髪ケアシートは、ヘアスタイリング剤を除去するだけでなく、頭髪に付着した汚れを除去したり、頭髪の寝癖を治すこともできる。すなわち、本発明に係る頭髪ケアシートは、頭髪にヘアスタイリング剤を付与していなくても、頭髪の種々の手入れに用いうるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る頭髪ケアシートで頭髪を拭くと、頭髪に付与したヘアスタイリング剤等の汚れが、表面の凹部と凸部の段差によって掻き取られると共に、凹部に汚れが移行することにより、ヘアスタイリング剤等の汚れを良好に除去することができる。特に、凹部が貫通孔になっていると、汚れが貫通孔を通って外部に洗い流されるため、より良好にヘアスタイリング剤等の汚れを除去することができる。
【実施例0016】
実施例1
レーヨン短繊維と、芯がポリプロピレンで鞘がポリエチレンよりなる芯鞘型複合短繊維を準備した。レーヨン短繊維80重量%と芯鞘型複合短繊維20重量%とを混合して、カート機に通し繊維ウェブを得た。この繊維ウェブをメッシュコンベアに載置し搬送しながら、高圧水流処理を施した後、乾燥及び熱処理を行った。この結果、短繊維相互間が交絡すると共に、芯鞘型複合短繊維の鞘成分の融着によって短繊維相互間が結合されてなる不織布を得た。この不織布は目付40g/m
2であり、メッシュコンベアの目に対応する箇所が凹部(概ね貫通孔となっている。)となっており、メッシュコンベアの線状体に対応する箇所が凸部となっているものであった(
図3)。
【0017】
この不織布に、下記に示すノンアルコール系薬液を、不織布目付の3.5重量倍含浸して、頭髪ケアシートを得た。
[ノンアルコール系薬液]
水 93.18049重量%
イソノナン酸イソノニル 3.00000重量%
3-メチル-1,3-ブタンジオール 1.00000重量%
セバシン酸ジエチルヘキシル 0.10000重量%
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル 0.90000重量%
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 0.90000重量%
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.10000重量%
水酸化カリウム 0.05000重量%
N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)
0.01000重量%
水素添加大豆リン脂質 0.00120重量%
デカグリセリンモノラウレート 0.00080重量%
グリセリン 0.00250重量%
トコフェロール 0.00001重量%
1,3-ブタンジオール 0.00300重量%
加水分解ケラチン成分 0.00100重量%
EDTA-2Na 0.05000重量%
フェノキシエタノール 0.50100重量%
パラオキシ安息香酸メチル 0.20000重量%
【0018】
実施例2
不織布の目付を60g/m
2に変更する他は、実施例1と同様の方法で不織布を得た(
図4)。この不織布に、実施例1で用いたノンアルコール系薬液を、不織布目付の3.5重量倍含浸して、頭髪ケアシートを得た。
【0019】
実施例3
実施例1で用いたメッシュコンベアの目を粗くしたものを用いる他は、実施例1と同様の方法で不織布を得た(
図5)。この不織布に、実施例1で用いたノンアルコール系薬液を、不織布目付の3.5重量倍含浸して、頭髪ケアシートを得た。
【0020】
実施例4
コットン繊維100重量%をカート機に通し繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを孔開きドラムの上に通過させながら、水流を付与して不織布を得た。この結果、コットン繊維相互間が交絡すると共に、コットン繊維が孔開きドラムの孔に対応する箇所に偏在されてなる不織布を得た。この不織布は目付40g/m
2であり、孔開きドラムの孔に対応する箇所が凸部となっており、孔開きドラムのその他の箇所が凹部となっているものであった(
図6)。なお、この凹部には殆ど貫通孔が存在しなかった。実施例1で用いたノンアルコール系薬液を、不織布目付の3.5重量倍含浸して、頭髪ケアシートを得た。
【0021】
実施例5
ビスコースを湿式紡糸した後、集積して繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを、凹凸ロールと平滑ロール間に通してエンボス加工した後、凝固浴に導入して不織布を得た。この不織布は目付50g/m
2であり、凹凸ロールの凸部に対応する箇所が凹部となっており、凹凸ロールの凹部に対応する箇所が凸部となっているものであった(
図7)。なお、この凹部には貫通孔は存在せず、フィルム状となっていた。実施例1で用いたノンアルコール系薬液を、不織布目付の3.5重量倍含浸して、頭髪ケアシートを得た。
【0022】
実施例6
実施例1で用いた不織布に、下記に示すアルコール系薬液を、不織布目付の3.5重量倍含浸して、頭髪ケアシートを得た。
[アルコール系薬液]
水 57.5525重量%
エタノール 40.0000重量%
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル 0.9000重量%
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 0.9000重量%
カキタンニン 0.0025重量%
グリシン 0.0060重量%
グリセリン 0.0100重量%
硫酸亜鉛・7水和物 0.0040重量%
l-メントール 0.1000重量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40EO) 0.2000重量%
クエン酸(無水物) 0.0100重量%
クエン酸三ナトリウム 0.0650重量%
EDTA-2Na 0.0500重量%
パラオキシ安息香酸メチル 0.2000重量%
【0023】
実施例7
実施例2で用いた不織布に、実施例6で用いたアルコール系薬液を、不織布目付の3.5重量倍含浸して、頭髪ケアシートを得た。
【0024】
比較例1
実施例1で得られた繊維ウェブを平板コンベアに載置し搬送しながら、高圧水流処理を施した後、乾燥及び熱処理を行った。この結果、短繊維相互間が交絡すると共に、芯鞘型複合短繊維の鞘成分の融着によって短繊維相互間が結合されてなる不織布を得た。この不織布は目付40g/m22 であり、平板コンベア上で高圧水流処理されているため、規則的な凹部及び凸部の存在しないものであった。この不織布に、実施例1で用いたノンアルコール系薬液を、不織布目付の3.5重量倍含浸して、頭髪ケアシートを得た。
【0025】
比較例2
実施例1で用いた不織布に、精製水100%を、不織布目付の3.5重量倍含浸して、頭髪ケアシートを得た。
【0026】
比較例3
実施例2で用いた不織布に、精製水100%を、不織布目付の3.5重量倍含浸して、頭髪ケアシートを得た。
【0027】
[ヘアスタイリング剤除去性能の評価1]
実施例1~7及び比較例1~3の頭髪ケアシートを用い、以下の方法により(
図8を参照のこと。)、ヘアスタイリング剤除去性能を評価した。その結果を表1に示した。
(1)アクリル板10(重量w0)の上に、オーシャンズワールド社製のヘアスタイリング剤11(商品名「オーシャントリコヘアスタイリングクレイ」)をφ55mmの大きさに均一に塗布する。
(2)ヘアスタイリング剤11を乾燥させた後、アクリル板10とヘアスタイリング剤11の合計重量を測定し、合計重量からアクリル板10の重量w0を減じて、ヘアスタイリング剤11の重量w1を算出する。
(3)実施例1~7及び比較例1~3の頭髪ケアシートを、各々、切断して120mm×85mmの大きさの試験片12とする。ヘアスタイリング剤11の上に、この試験片12を被せて被覆し、30秒間なじませる。
(4)試験片12の上に、120gの錘13を載せて、試験片12を左右に15cmのピッチで15回往復運動させる。
(5)錘13及び試験片12を取り除き、アクリル板10と残存するヘアスタイリング剤11の合計重量を測定し、この合計重量からアクリル板10の重量w0を減じて、残存するヘアスタイリング剤11の重量w2を算出する。
(6)[(w1-w2)/w1]×100なる式で、ヘアスタイリング剤除去率を算出する。これを三回行って ヘアスタイリング剤除去率の平均値を算出し、ヘアスタイリング剤除去性能(%)として、表1に示した。
【0028】
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヘアスタイリング剤除去性能(%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 43.16%
実施例2 43.56%
実施例3 47.56%
実施例4 29.37%
実施例5 29.61%
実施例6 40.86%
実施例7 40.36%
比較例1 15.90%
比較例2 12.96%
比較例3 13.54%
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0029】
表1の結果から明らかなように、実施例に係る頭髪ケアシートは、規則的な凹部と凸部が設けられていない不織布に薬液を含浸したもの(比較例1)や、薬液を含浸せずに水を含浸したもの(比較例2及び3)に比べて、ヘアスタイリング剤除去性能に優れていることが分かる。特に、凹部が貫通孔となっている実施例1~3、6及び7に係る頭髪ケアシートは、凹部が貫通孔となっていない実施例4及び5に係る頭髪ケアシートに比べて、よりヘアスタイリング剤除去性能に優れていることが分かる。
【0030】
[ヘアスタイリング剤除去性能の評価2]
ヘアスタイリング剤として、柳屋本店社製の商品名「ヘアグリース エクストラハード」を用いる他は、ヘアスタイリング剤除去性能の評価1と同一の方法で、実施例1、3及び比較例1に係る頭髪ケアシートについて、そのヘアスタイリング剤除去性能を評価した。その結果を表2に示した。
[表2]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヘアスタイリング剤除去性能(%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 49.61%
実施例3 35.63%
比較例1 15.85%
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【0031】
[ヘアスタイリング剤除去性能の評価3]
ヘアスタイリング剤として、マンダム社製の商品名「ギャツビー スタイリングジェルスーパーハードG」を用いる他は、ヘアスタイリング剤除去性能の評価1と同一の方法で、実施例1、3及び比較例1に係る頭髪ケアシートについて、そのヘアスタイリング剤除去性能を評価した。その結果を表3に示した。
[表3]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヘアスタイリング剤除去性能(%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 40.86%
実施例3 56.74%
比較例1 12.55%
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0032】
[ヘアスタイリング剤除去性能の評価4]
ヘアスタイリング剤として、花王社製の商品名「ヘアスプレーケープ(ソフト)D」を用いる他は、ヘアスタイリング剤除去性能の評価1と同一の方法で、実施例1、3及び比較例1に係る頭髪ケアシートについて、そのヘアスタイリング剤除去性能を評価した。その結果を表4に示した。
[表4]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヘアスタイリング剤除去性能(%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 46.13%
実施例3 50.16%
比較例1 5.56%
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0033】
表2~4の結果から明らかなように、規則的な凹部(貫通孔)と凸部が設けられている不織布に薬液を含浸した実施例1及び3に係る頭髪ケアシートは、規則的な凹部と凸部が設けられていない不織布に薬液を含浸した比較例1に係る頭髪ケアシートに比べて、ヘアスタイリング剤除去性能に優れていることが分かる。