(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113526
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
H04W 28/08 20230101AFI20240815BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20240815BHJP
【FI】
H04W28/08
H04W52/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018578
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】泉井 康平
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】基地局の負荷を適切に低減させることが難しい。
【解決手段】処理装置500は、基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を前記基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して、所定の報酬を付与する報酬付与部521を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を前記基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して、所定の報酬を付与する報酬付与部を有する
処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記対象処理を前記端末装置に振り分ける振り分け部を有し、
前記報酬付与部は、前記振り分け部が振り分けた前記対象処理を実行する前記端末装置に対して所定の報酬を付与する
処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の処理装置であって、
前記振り分け部は、前記対象処理として、前記端末装置が実行することで前記基地局の補助となる処理を振り分ける
処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の処理装置であって、
前記振り分け部は、前記対象処理として、セルエッジに存在するUE(User Equipment)からのUL(uplink)信号を中継する処理を振り分ける
処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の処理装置であって、
前記報酬付与部は、前記振り分け部が振り分ける前記対象処理の種類に応じた報酬を付与する
処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記端末装置が前記対象処理を実行する際に取得するデータに基づいて、前記端末装置が前記対象処理を実行することによる貢献の大きさを示す貢献度を算出する算出部を有し、
前記報酬付与部は、前記算出部が算出した前記貢献度に応じた報酬を付与する
処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の処理装置であって、
前記端末装置から前記対象処理を実行する際に取得可能なデータである実行内容データを取得する取得部を有し、
前記算出部は、前記取得部が取得したデータに基づいて前記貢献度を算出する
処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の処理装置であって、
前記取得部は、前記対象処理を実行する際における前記端末装置の負荷を示す負荷情報を前記実行内容データとして前記端末装置から取得する
処理装置。
【請求項9】
情報処理装置が、
基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を前記基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して付与する報酬を決定し、決定した報酬を付与する
処理方法。
【請求項10】
情報処理装置に、
基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を前記基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して付与する報酬を決定し、決定した報酬を付与する
処理を実現するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信に関する技術が様々知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、バックホールトラフィックをオフロードする方法が記載されている。特許文献1によると、第1の基地局が、第1の基地局に関連付けられた無線送受信ユニット(WTRU)に関して、バックホールトラフィックオフロードを示す表示をネットワークから受信する。続いて、第1の基地局が、第2の基地局を、少なくとも第1の基地局と第2の基地局の間のリンクの容量、前記バックホールトラフィックのタイプ、または公平性インデックスパラメータに基づいて選択する。そして、第1の基地局が、第2の基地局との無線接続を確立する。その後、第1の基地局が、オフロードされたベアラは、第2の基地局および前記第1の基地局を介して、WTRUに、およびWTRUからルーティングされるように、WTRUの少なくとも一つのベアラをオフロードする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基地局の高度化や設置数の増大に伴い、基地局システム全体の消費電力の環境に及ぼす影響が問題となっている。このような問題に対処するためには、特許文献1に記載のようなバックホールトラフィックをオフロードするだけでは十分ではなく、基地局で行う処理や基地局の補助となる処理などのうちの少なくとも一部を端末側で実行する分散処理により基地局の負荷を減少させることが望ましい。しかしながら、現状では、当該処理を行うことによる端末側の消費電力増加に見合うメリットに乏しく、積極的な運用には問題がある。このように、基地局の負荷を適切に低減させることが難しい、という課題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決することが可能な処理装置、処理方法、プログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本開示の一形態である処理装置は、
基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を前記基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して、所定の報酬を付与する報酬付与部を有する
という構成をとる。
【0008】
また、本開示の他の形態である処理方法は、
情報処理装置が、
基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を前記基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して付与する報酬を決定し、決定した報酬を付与する
という構成をとる。
【0009】
また、本開示の他の形態であるプログラムは、
情報処理装置に、
基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を前記基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して付与する報酬を決定し、決定した報酬を付与する
処理を実現するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
上述したような各構成によると、上述したような課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1の実施形態における通信システムの構成例を示す図である。
【
図5】基地局と端末装置の動作例を示すシーケンス図である。
【
図7】本開示の第2の実施形態における処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態について、
図1から
図6までを参照して説明する。
図1は、通信システム100の構成例を示す図である。
図2は、基地局200の構成例を示す図である。
図3は、振り分け処理の一例を示す図である。
図4は、端末装置300の構成例を示す図である。
図5は、基地局200と端末装置300の動作例を示すシーケンス図である。
図6は、通信システム100の他の構成例を示す図である。
【0013】
本開示の第1の実施形態においては、端末装置300に実行させることで通信システム100全体や基地局200における消費電力の削減に貢献可能な処理である対象処理を端末装置300に振り分けて実行させる基地局200について説明する。後述するように、基地局200は、所定の条件などに応じて、対象処理を端末装置300に振り分けて実行させる。また、基地局200は、上記対象処理を実行する端末装置300に対して、所定の報酬を付与する。これにより、基地局200は、端末装置300による積極的な対象処理実行の引き受けを実現させる。
【0014】
また、基地局200は、端末装置300が対象処理を実行することによる貢献の大きさを示す貢献度を算出するよう構成することができる。例えば、貢献度は、割り振られた対象処理を実行する際の端末装置300側の負担の大きさや、消費電力や負荷、消費通信リソースの減少など対象処理を割り振ることによる基地局200側の利点などに応じて算出することができる。基地局200は、算出した貢献度に応じた報酬を端末装置300に対して付与してもよい。
【0015】
なお、上述した対象処理は、基地局200自身が行う処理であってもよいし、端末装置300に実行させることで基地局200を補助可能な処理であってもよい。つまり、基地局200は、自装置が行う処理のうちの一部を端末装置300に対して振り分けてもよいし、自装置の補助となる処理を端末装置300に対して振り分けてもよい。具体的に、例えば、対象処理には、端末装置300に実行させることで基地局200における消費電力の低減や通信システム100全体における消費電力の低減に貢献する各種処理が含まれる。一例として、対象処理は、セルエッジUE(User Equipment)のUL(uplink)中継処理などであってよい。ULは通常、DL(downlink)に比べて送信電力が低く、セルエッジのUEではDLが導通したとしてもULが導通しないケースがある。そこで、基地局200は、セルエッジUEを検出すると、UL中継処理を端末装置300に振り分けて実行させる。これにより、セルエッジUEのULをより基地局200に近い端末装置300に中継させることができる。その結果、不要な再送リソースを低減させることなどができ、低消費電力を実現することができる。また、上記構成によると、実質的なエリア拡大につながるため、基地局200の台数を削減することができ、その結果、通信システム100全体の省電力化を実現することができる。
【0016】
なお、対象処理は、上記例示した場合に限定されない。対象処理には、基地局200における消費電力の低減に貢献する上記例示した以外の処理が含まれてよい。
【0017】
図1は、本開示における通信システム100の構成例を示している。
図1を参照すると、通信システム100は、基地局200と、端末装置300と、を有している。基地局200と端末装置300とは、例えば、E-UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)や5G無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)などを使用して、互いに通信することができる。なお、通信システム100の構成は、
図1で例示する場合に限定されない。例えば、通信システム100は、複数の基地局200を含んでよいし、複数の端末装置300を含んでもよい。
【0018】
基地局200は、端末装置300やそのほかUEなどと無線通信を行う処理装置である。例えば、基地局200は、5GにおけるgNB(gNodeB)などであってよい。基地局200は、eNB(eNodeB)など上記例示した以外の通信装置であってもよい。
【0019】
本開示の場合、基地局200は、1台の装置により構成されてもよいし、複数の装置により構成されてもよい。例えば、基地局200は、1つまたは複数のRU(Radio Unit)と、DU(Distributed Unit)やCU(Central Unit)などの機能を有する処理装置であるサーバ装置などと、から構成されてもよい。また、上記サーバ装置としての機能は、クラウド上に実現されてもよい。
【0020】
図2は、基地局200の構成例を示している。
図2を参照すると、例えば、基地局200は、アンテナ210と、トランシーバ回路220と、ネットワークインタフェース230と、演算処理部240と、記憶部250と、を有する。基地局200は、上記例示した以外の構成を有してもよい。
【0021】
アンテナ210は、端末装置300やそのほかUEなどとの間で電波の送受信を行う。アンテナ210は、基板にアンテナ素子を配置することなどにより実現されるなど一般的なものであってよい。
【0022】
トランシーバ回路220は、一つまたは複数のアンテナ210を介して接続された端末装置300やそのほかUEなどとの間で信号の送受信を行うよう動作する。また、トランシーバ回路220は、ネットワークインタフェース230を介して、他のネットワークノードとの間で信号の送受信を行うことができる。
【0023】
演算処理部240は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置とその周辺回路を有する。演算処理部240は、記憶部250からプログラム252を読み込んで実行することにより、基地局200の動作を制御する。例えば、演算処理部240は、端末装置300やそのほかUE、他のネットワークノードなどとの間のシグナリングを処理する。シグナリングは、たとえば、無線接続やロケ―ション手続きに関連する接続確立、維持に関連するシグナリングメッセージなど、一般的な基地局200が有するシグナリングを含んでよい。
【0024】
また、演算処理部240は、記憶部250からプログラム252を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム252とを協働させて、本開示に特徴的な各種処理部を実現する。演算処理部240で実現される主な処理部としては、例えば、振り分け部241、実行内容データ取得部242、貢献度算出部243、報酬付与部244などがある。
【0025】
振り分け部241は、所定の条件などに応じて、対象処理を端末装置300に振り分けて実行させる。例えば、振り分け部241は、セルエッジにUEが存在する場合に、UL中継処理を端末装置300に振り分けて実行させる。振り分け部241は、上記例示した以外の条件に応じて、上記例示した以外の対象処理を振り分けてもよい。
【0026】
図3は、振り分け部241による対象処理振り分けの一例を示している。
図3を参照すると、UEの位置情報などに基づいてセルエッジにUEが存在すると判断される場合、振り分け部241は、予め定められた条件を満たす端末装置300を探索する。この際、振り分け部241は、1つの端末装置300のみを探索してもよいし、複数の端末装置300を探索してもよい。一例として、振り分け部241は、端末装置300の位置を示す情報などを有している。そして、振り分け部241は、端末装置300の位置を示す情報に基づいて、端末装置300を探索する。例えば、振り分け部241は、基地局200と端末装置300との間の距離が所定値以下であること、セルエッジに存在するUEと端末装置300との間の距離が所定値以下であること、基地局200と端末装置300との間の距離がセルエッジに存在するUEと端末装置300との間の距離よりも短いことなど、端末装置300の位置に応じた条件のうちの少なくとも1つまたは組み合わせに基づいて、条件を満たす端末装置300を探索する。振り分け部241は、事前に登録された端末装置300であること、事前に登録された情報に基づいて振り分ける対象処理を実行可能であると判断されること、端末装置300から対象処理の振り分けを受け付ける旨の許可を得ていることなど、上記例示した以外の条件も加えて端末装置300の探索を行ってもよい。
【0027】
また、振り分け部241は、探索した端末装置300に対して、対象処理を実行する旨の指示や対象処理の実行に必要となる各種情報などを含む処理情報を送信する。例えば、振り分け部241は、UL中継処理を実行する旨の指示とともに、UL中継処理を実行するために必要となる各種情報を含む処理情報を送信する。振り分け部241は、処理情報として、UL中継処理を行う送信元や送信先を示す情報などを送信してもよい。
【0028】
実行内容データ取得部242は、対象処理を振り分けた端末装置300から、対象処理を実行する際や実行後に取得可能なデータである実行内容データを取得する。例えば、実行内容データ取得部242は、実行内容データとして、端末装置300がUL中継処理を実行する際に中継したパケット数、データ量、中継処理を実行した時間を示す情報などの対象処理を実行する際における端末装置300の負荷を示す負荷データを端末装置300から取得する。実行内容データ取得部242は、実行内容データとして、端末装置300が実行した対象処理に応じた上記例示した以外のデータを取得してもよい。また、実行内容データ取得部242は、取得した実行内容データを実行内容情報251として記憶部250に格納する。
【0029】
貢献度算出部243は、実行内容データ取得部242が取得した実行内容データに基づいて、端末装置300による消費電力の低減への貢献の大きさを示す貢献度を算出する。
【0030】
例えば、貢献度算出部243は、予め定められた任意の数式を用いて貢献度の算出を行ってよい。一例として、貢献度算出部243は、UL中継処理を実行する際に中継したパケット数やデータ量が多くなるほど大きな値となるように貢献度を算出する。また、貢献度算出部243は、中継処理を実行した時間が長くなるほど大きな値となるように貢献度を算出することができる。貢献度算出部243は、実行内容データに基づいて通信システム100全体の消費電力や負荷の抑制量を推定して、推定した結果に応じて貢献度を算出してもよい。なお、上記推定は予め学習したモデルを用いるなど、任意の方法を用いて実現してよい。
【0031】
報酬付与部244は、対象処理を実行した端末装置300に対して所定の報酬を付与する。例えば、報酬付与部244は、貢献度算出部243が算出した貢献度に基づいて付与する報酬を決定して、決定した報酬を付与するよう構成してもよい。また、報酬付与部244は、必要に応じて、決定した報酬の内容や報酬自体を示す報酬情報を端末装置300に対して送信することができる。
【0032】
例えば、報酬付与部244は、下記で例示するような報酬のうちの少なくとも一部を端末装置300に対して付与することができる。報酬付与部244は、貢献度が大きいほどより多くの報酬を付与するよう構成してもよい。
・通信の優先
対象処理を実行した端末装置300以外の端末装置300やそのほかUEなどと比べた際に、より多くの通信機会を与えたり、一定の通信レートを保証したりするなど、対象処理を実行した端末装置300に対して優先的に帯域の割り当てを行う
・課金の割引
課金を割引、または無料化する
・通信量
一定期間または一定量のデータ通信を可能とする権利を付与する
・現金など
現金、仮想通貨、電子マネー、またはそれらに相当する価値を提供する
・現物や体験
端末装置300またはそのユーザにメリットをもたらす所定の物事、または、上記物事への招待コードなどを付与する
【0033】
なお、報酬付与部244は、貢献度によらずに報酬を決定するよう構成してもよい。例えば、報酬付与部244は、振り分ける対象処理の種類に応じて報酬を決定してもよいし、端末装置300の種類や端末装置300との間の事前の同意内容などに応じて報酬を決定してもよい。例えば、報酬付与部244は、対象処理を実行する際に予想される端末装置300に対する負荷の大きさや実行する際に必要となる処理の内容などに応じた対象処理の種類と、報酬の内容と、を関連付けた情報を予め有しており、当該情報を参照することで、種類に応じた報酬を決定してもよい。報酬付与部244は、上記例示した事項のうちの少なくとも一部と貢献度とを組み合わせて報酬を決定してもよい。
【0034】
以上が、演算処理部240の構成例である。なお、演算処理部240は、上述したCPUの代わりに、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを有してもよい。
【0035】
記憶部250は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部250は、演算処理部240における各種処理に必要な処理情報やプログラム252を記憶する。プログラム252は、演算処理部240に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現する。プログラム252は、アンテナ210やネットワークインタフェース230などのデータ入出力機能を介して外部装置や記録媒体から予め読み込まれ、記憶部250に保存されている。記憶部250で記憶される主な情報としては、例えば、実行内容情報251がある。
【0036】
実行内容情報251は、端末装置300において対象処理を実行した際や実行の後に取得可能なデータである実行内容データを含んでいる。例えば、実行内容情報251には、実行内容データとして、端末装置300がUL中継処理を実行する際に中継したパケット数、データ量、中継処理を実行した時間を示す情報などが含まれる。実行内容情報251には、上記例示した以外の各種データが含まれてもよい。例えば、実行内容情報251は、実行内容データ取得部242が端末装置300から実行内容データを取得することなどに応じて更新される。
【0037】
例えば、基地局200は、上述したような構成を有している。なお、基地局200と端末装置300との間における対象処理の振り分けや実行内容データの送受信は、例えば、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)/PUCCH(Physical Uplink Control CHannel)の様な制御チャネル、または、PDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)/PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)の様なデータチャネルを用いて行って良い。上記送受信に関する処理は、アプリケーションレイヤなどPDCCH/PUCCHなどよりもより上位のレイヤで行っても良い。
【0038】
なお、基地局200の構成は、上記例示した場合に限定されない。例えば、基地局200は、実行内容データ取得部242や貢献度算出部243などを有さなくてもよい。
【0039】
端末装置300は、基地局200などと無線通信を行う通信装置である。例えば、端末装置300は、スマートフォン、タブレット端末、IoT(Internet of Things)デバイス、そのほか任意のUEなどのうちのいずれかであってよい。
【0040】
図4は、端末装置300の構成例を示している。
図4を参照すると、例えば、端末装置300は、アンテナ310と、トランシーバ回路320と、ユーザインタフェース330と、演算処理部340と、記憶部350と、を有する。端末装置300は、上記例示した以外の構成を有してもよい。
【0041】
アンテナ310は、基地局200などとの間で電波の送受信を行う。アンテナ310は、基板にアンテナ素子を配置することなどにより実現されるなど一般的なものであってよい。
【0042】
トランシーバ回路320は、一つまたは複数のアンテナ310を介して接続された基地局200などのノードとの間で信号の送受信を行うよう動作する。また、トランシーバ回路320は、ユーザインタフェース330などの一般的なモバイルデバイスが有する構成を介して、端末装置300を操作する操作者からの入力などを受け付けることができる。
【0043】
演算処理部340は、CPUなどの演算装置とその周辺回路を有する。演算処理部340は、記憶部350からプログラム352を読み込んで実行することにより、端末装置300の動作を制御する。また、演算処理部340は、記憶部350からプログラム352を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム352とを協働させて、本開示に特徴的な各種処理部を実現することができる。演算処理部340で実現される主な処理部としては、例えば、処理実行部341、実行内容データ送信部342、報酬情報受取部343などがある。
【0044】
処理実行部341は、基地局200から振り分けられた対象処理を実行する。例えば、処理実行部341は、UEから受信したUL信号を基地局200に対して送信するUL中継処理を実行する。換言すると、処理実行部341は、基地局200から受信した処理情報などに基づいて中継処理の対象となるUL信号をUEから受信したと判断される場合に、処理情報などに基づいて、受信したUL信号を基地局200に対して送信する。なお、処理実行部341は、上記例示した以外の対象処理を実行してもよい。
【0045】
また、処理実行部341は、上記対象処理を実行する際や対象処理の終了後に、対象処理の実行により取得可能なデータである実行内容データを取得するとともに、取得した実行内容データを実行内容情報351として記憶部350に格納する。例えば、処理実行部341は、実行内容情報351として、中継したパケット数、データ量、中継処理を実行した時間を示す情報などのデータを記憶部350に格納する。
【0046】
実行内容データ送信部342は、記憶部350に実行内容情報351として格納されている実行内容データを基地局200に対して送信する。実行内容データ送信部342は、処理実行部341が対象処理の実行を終了した際など任意のタイミングで実行内容データを基地局200に対して送信してよい。
【0047】
報酬情報受取部343は、基地局200が報酬情報を端末装置300に対して送信する場合に、基地局200が送信した報酬情報を受け取る。報酬情報受取部343は、受け取った報酬情報を記憶部350などに格納してもよい。
【0048】
以上が、演算処理部340の構成例である。なお、演算処理部340は、上述した基地局200が有する演算処理部240と同様に、CPUの代わりに、GPUなどを有してもよい。
【0049】
記憶部350は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部350は、演算処理部340における各種処理に必要な処理情報やプログラム352を記憶する。プログラム352は、演算処理部340に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現する。プログラム352は、アンテナ310やユーザインタフェース330などのデータ入出力機能を介して外部装置や記録媒体から予め読み込まれ、記憶部350に保存されている。記憶部350で記憶される主な情報としては、例えば、実行内容情報351がある。
【0050】
実行内容情報351は、処理実行部341が対象処理を実行した際や実行の後に取得したデータである実行内容データを含んでいる。例えば、実行内容情報351には、実行内容データとして、UL中継処理を実行する際に中継したパケット数、データ量、中継処理を実行した時間を示す情報などが含まれる。実行内容情報351には、上記例示した以外の対象処理を実行した内容に応じたデータが含まれてもよい。例えば、実行内容情報351は、処理実行部341が対象処理を実行することなどに応じて更新される。
【0051】
本開示の場合、端末装置300は、上述したような構成を有している。なお、端末装置300の構成は、上記例示した場合に限定されない。例えば、端末装置300は、実行内容データ送信部342や報酬情報受取部343などを有さなくてもよい。
【0052】
続いて、
図5を参照して、基地局200と端末装置300の動作例について説明する。
図5は、基地局200と端末装置300の動作例を示すシーケンス図である。
図5を参照すると、振り分け部241は、所定の条件などに応じて、対象処理を端末装置300に振り分けて実行させる(ステップS101)。例えば、振り分け部241は、所定の条件を満たす場合に、対象処理を振り分ける端末装置300を探索する。また、振り分け部241は、探索した端末装置300に対して、対象処理を実行する旨の指示や対象処理の実行に必要となる各種情報などを含む処理情報を送信する。
【0053】
処理実行部341は、基地局200から振り分けられた対象処理を実行する(ステップS201)。処理実行部341は、任意の方法を用いて対象処理を実行してよい。また、実行内容データ送信部342は、処理実行部341が対象処理の実行を終了した際などに、実行内容データを基地局200に対して送信する。
【0054】
実行内容データ取得部242は、実行内容データを取得する。また、貢献度算出部243は、実行内容データ取得部242が取得した実行内容データに基づいて、端末装置300による消費電力の低減への貢献の大きさを示す貢献度を算出する(ステップS102)。
【0055】
報酬付与部244は、対象処理を実行した端末装置300に対して所定の報酬を付与する(ステップS103)。例えば、報酬付与部244は、貢献度算出部243が算出した貢献度に基づいて付与する報酬を決定して、決定した報酬を付与する。また、報酬付与部244は、決定した報酬の内容や報酬自体を示す報酬情報を端末装置300に対して送信することができる。
【0056】
以上が、基地局200と端末装置300の動作例である。
【0057】
このように、基地局200は、振り分け部241と、報酬付与部244と、を有している。このような構成によると、報酬付与部244は、対象処理を実行した端末装置300に対して所定の報酬を付与することができる。その結果、基地局200は、端末装置300による積極的な対象処理実行の引き受けを実現させることができる。これにより、積極的に端末装置300に対して対象処理の実行を引き受けさせることができ、その結果として適切に基地局200の負荷を低減させることができる。
【0058】
また、基地局200は、貢献度算出部243を有している。このような構成によると、報酬付与部244は、貢献度算出部243が算出した貢献度に応じた報酬を付与することができる。その結果、より適切な報酬を付与することができ、より適切に端末装置300による積極的な対象処理実行の引き受けを実現させることができる。
【0059】
なお、通信システム100の構成は、上述した場合に限定されない。例えば、
図6は、通信システム100の他の構成例を示している。
図6を参照すると、通信システム100は、基地局200と端末装置300とのほかに、処理装置400を有してもよい。
【0060】
処理装置400は、
図2で例示した基地局200の構成のうち、貢献度算出部243や報酬付与部244としての機能を有する情報処理装置である。例えば、処理装置400は、CPUなどの演算装置と記憶装置とを有している。処理装置400は、記憶装置に格納されたプログラムを演算装置が実行することで、上記各処理部を実現することができる。なお、通信システム100が処理装置400を有する場合、基地局200は処理装置400が有する構成に応じた機能を有さなくてもよい。
【0061】
[第2の実施形態]
次に、本開示の第2の実施形態について、
図7、
図8を参照して説明する。
図7は、処理装置500のハードウェア構成例を示す図である。
図8は、処理装置500の構成例を示すブロック図である。
【0062】
本開示の第2の実施形態においては、処理装置500の構成例について説明する。
図7は、処理装置500のハードウェア構成例を示している。
図7を参照すると、処理装置500は、一例として、以下のようなハードウェア構成を有している。
・CPU(Central Processing Unit)501(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)502(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)503(記憶装置)
・RAM503にロードされるプログラム群504
・プログラム群504を格納する記憶装置505
・情報処理装置外部の記録媒体510の読み書きを行うドライブ装置506
・情報処理装置外部の通信ネットワーク511と接続する通信インタフェース507
・データの入出力を行う入出力インタフェース508
・各構成要素を接続するバス509
【0063】
また、処理装置500は、プログラム群504をCPU501が取得して当該CPU501が実行することで、
図8に示す報酬付与部521しての機能を実現することができる。なお、プログラム群504は、例えば、予め記憶装置505やROM502に格納されており、必要に応じてCPU501がRAM503などにロードして実行する。また、プログラム群504は、通信ネットワーク511を介してCPU501に供給されてもよいし、予め記録媒体510に格納されており、ドライブ装置506が該プログラムを読み出してCPU501に供給してもよい。
【0064】
なお、
図7は、処理装置500のハードウェア構成例を示している。処理装置500のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、処理装置500は、ドライブ装置506を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。また、CPU501は、第1の実施形態で例示したGPUなどであってもよい。
【0065】
報酬付与部521は、基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を前記基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して、所定の報酬を付与する。
【0066】
このように、処理装置500は、報酬付与部521を有している。このような構成によると、報酬付与部521は、基地局からの振り分けに応じて対象処理を実行する端末装置に対して、所定の報酬を付与することができる。その結果、処理装置500は、端末装置による積極的な対象処理実行の引き受けを実現させることができる。これにより、積極的に端末装置に対して対象処理の実行を引き受けさせることができ、その結果として適切に基地局の負荷を低減させることができる。
【0067】
なお、上述した処理装置500は、当該処理装置500などの情報処理装置に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、処理装置500などの情報処理装置に、基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して付与する報酬を決定し、決定した報酬を付与する、処理を実現するためのプログラムである。
【0068】
また、上述した処理装置500などの情報処理装置により実行される処理方法は、情報処理装置が、基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して付与する報酬を決定し、決定した報酬を付与する、という方法である。
【0069】
上述した構成を有する、プログラム、又は、プログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体、又は、処理方法、の発明であっても、上述した処理装置500と同様の作用・効果を奏するために、上述した本開示の目的を達成することができる。
【0070】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における処理装置などの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0071】
(付記1)
基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を前記基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して、所定の報酬を付与する報酬付与部を有する
処理装置。
(付記2)
付記1に記載の処理装置であって、
前記対象処理を前記端末装置に振り分ける振り分け部を有し、
前記報酬付与部は、前記振り分け部が振り分けた前記対象処理を実行する前記端末装置に対して所定の報酬を付与する
処理装置。
(付記3)
付記2に記載の処理装置であって、
前記振り分け部は、前記対象処理として、前記端末装置が実行することで前記基地局の補助となる処理を振り分ける
処理装置。
(付記4)
付記2または付記3に記載の処理装置であって、
前記振り分け部は、前記対象処理として、セルエッジに存在するUE(User Equipment)からのUL(uplink)信号を中継する処理を振り分ける
処理装置。
(付記5)
付記2から付記4までのうちのいずれか1項に記載の処理装置であって、
前記報酬付与部は、前記振り分け部が振り分ける前記対象処理の種類に応じた報酬を付与する
処理装置。
(付記6)
付記1から付記5までのうちのいずれか1項に記載の処理装置であって、
前記端末装置が前記対象処理を実行する際に取得するデータに基づいて、前記端末装置が前記対象処理を実行することによる貢献の大きさを示す貢献度を算出する算出部を有し、
前記報酬付与部は、前記算出部が算出した前記貢献度に応じた報酬を付与する
処理装置。
(付記7)
付記6に記載の処理装置であって、
前記端末装置から前記対象処理を実行する際に取得可能なデータである実行内容データを取得する取得部を有し、
前記算出部は、前記取得部が取得したデータに基づいて前記貢献度を算出する
処理装置。
(付記8)
付記7に記載の処理装置であって、
前記取得部は、前記対象処理を実行する際における前記端末装置の負荷を示す負荷情報を前記実行内容データとして前記端末装置から取得する
処理装置。
(付記9)
情報処理装置が、
基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を前記基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して付与する報酬を決定し、決定した報酬を付与する
処理方法。
(付記10)
情報処理装置に、
基地局を用いた通信システムにおける消費電力の低減に貢献可能な処理である対象処理を前記基地局からの振り分けに応じて実行する端末装置に対して付与する報酬を決定し、決定した報酬を付与する
処理を実現するためのプログラム。
【0072】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0073】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0074】
100 通信システム
200 基地局
210 アンテナ
220 トランシーバ回路
230 ネットワークインタフェース
240 演算処理部
241 振り分け部
242 実行内容データ取得部
243 貢献度算出部
244 報酬付与部
250 記憶部
251 実行内容情報
252 プログラム
300 端末装置
310 アンテナ
320 トランシーバ回路
330 ユーザインタフェース
340 演算処理部
341 処理実行部
342 実行内容データ送信部
343 報酬情報受取部
350 記憶部
351 実行内容情報
352 プログラム
400 処理装置
500 処理装置
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 プログラム群
505 記憶装置
506 ドライブ装置
507 通信インタフェース
508 入出力インタフェース
509 バス
510 記録媒体
511 通信ネットワーク
521 報酬付与部