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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113533
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20240815BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20240815BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20240815BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/50
H01L33/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018593
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 紘幹
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 敏伸
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA13
5F142AA25
5F142AA26
5F142BA32
5F142CA02
5F142CB12
5F142CB17
5F142CD02
5F142CD13
5F142CD43
5F142CE16
5F142CE32
5F142CG05
5F142DA12
5F142DA22
5F142DA73
5F142DB16
(57)【要約】
【課題】蛍光色を視認させず、光束量の低下を抑制しつつ、色度指向性が均一な光を出射可能な発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】発光装置1は、基板10上に円形に配置された枠樹脂12と、基板上に実装された複数の発光素子11と、複数の発光素子を覆うように基板上に配置された蛍光体含有樹脂層14と、蛍光体含有樹脂層の内側の基板表面を覆うように配置された透明樹脂層15と、蛍光体含有樹脂層及び透明樹脂層を覆うように配置された拡散層16とを有し、発光領域の中心部には発光素子は実装されず、拡散層は、0.10〔wt%〕以上、0.60〔wt%〕以下のTiO2を含み、拡散層は、0.050〔wt%〕以上、60.0〔wt%〕以下のSiO2を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に円形に配置された枠樹脂と、
前記基板上且つ前記枠樹脂の内側に実装された複数の発光素子と、
前記枠樹脂の内側であって、前記複数の発光素子を覆うように前記基板上に配置された蛍光体含有樹脂層と、
前記蛍光体含有樹脂層の内側の前記基板表面を覆うように配置された透明樹脂層と、
前記蛍光体含有樹脂層及び前記透明樹脂層を覆うように前記枠樹脂の内側に配置された拡散層と、を有し、
前記枠樹脂の内側を発光領域とした場合、前記発光領域の中心部には、前記発光素子は実装されず、
前記拡散層は、0.10〔wt%〕以上、0.60〔wt%〕以下のTiO2を含み、
前記拡散層は、0.050〔wt%〕以上、60.0〔wt%〕以下のSiO2を含む、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記拡散層は、0.30〔wt%〕以上、0.50〔wt%〕以下のTiO2を含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光領域の中心部における前記透明樹脂層の前記基板表面から最上部までの高さは、前記透明樹脂層の周辺部が前記蛍光体含有樹脂層に接する部分における前記透明樹脂層の前記基板表面からの高さに比べて高い、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光領域の中心部における前記拡散層の前記透明樹脂層の上面から最上部までの厚さは、前記拡散層の周辺部が前記枠樹脂に接する部分における前記拡散層の前記基板表面からの厚さに比べて薄い、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光領域の直径S〔mm〕は、4.5〔mm〕以上、32.8[mm〕以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子は、前記枠樹脂の内側に沿って円形に配置されている、請求項1~5の何れか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)チップ等の発光素子を搭載した発光装置において、発光特性を改善するための種々の技術が知られている。特許文献1には、第1領域に配置された導光材、第1領域の外縁に沿って配置されたLEDチップ、蛍光体を含有し且つLEDチップを覆う封止材、及び封止材の上方及び第1領域の反対側の側面を覆うように配置された反射材を有する発光措置が記載されている。特許文献1に記載される発光装置は、LEDチップ及び封止材が反射材で覆われるので、低輝度の発光において、LEDチップがホットスポットとも称される輝度ムラとして視認されるおそれがない。また、特許文献1に記載される発光装置は、輝度ムラの発生を防止するために拡散材を導光材に含有することはなく、拡散材を含有させることにより発光効率が低下することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2021/261567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される発光装置では、LEDチップから出射された光は、第1領域に配置される導光材を伝搬しながら外部に放射されるので、発光装置の外部に放射される光は、第1領域の中心で第1領域の外縁よりも照度が低くなるおそれがある。特許文献1に記載される発光装置では、発光装置の外部に放射される光は、第1領域の外縁よりも第1領域の中心で照度が低くなり、光が出射される出射面の面内照度の均一性が低下するおそれがある。また、特許文献1に記載される発光装置では、拡散材を含有しない導光材から外部に光が出射されるので、出射される光が混色されずに、出射される光の色度指向性がばらつくおそれがある。
【0005】
本発明は、蛍光色を視認させず、光束量の低下を抑制しつつ、色度指向性が均一な光を出射可能な発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置は、基板と、基板上に円形に配置された枠樹脂と、基板上且つ枠樹脂の内側に実装された複数の発光素子と、枠樹脂の内側であって、複数の発光素子を覆うように基板上に配置された蛍光体含有樹脂層と、蛍光体含有樹脂層の内側の基板表面を覆うように配置された透明樹脂層と、蛍光体含有樹脂層及び透明樹脂層を覆うように枠樹脂の内側に配置された拡散層と、を有し、枠樹脂の内側を発光領域とした場合、発光領域の中心部には、発光素子は実装されず、拡散層は、0.10〔wt%〕以上、0.60〔wt%〕以下のTiO2を含み、拡散層は、0.050〔wt%〕以上、60.0〔wt%〕以下のSiO2を含む。
【0007】
本発明に係る発光装置では、拡散層は、0.30〔wt%〕以上、0.50〔wt%〕以下のTiO2を含む、ことが好ましい。
【0008】
本発明に係る発光装置では、発光領域の中心部における透明樹脂層の基板表面から最上部までの高さは、透明樹脂層の周辺部が蛍光体含有樹脂層に接する部分における透明樹脂層の基板表面からの高さに比べて高い、ことが好ましい。
【0009】
本発明に係る発光装置では、発光領域の中心部における拡散層の透明樹脂層の上面から最上部までの厚さは、拡散層の周辺部が枠樹脂に接する部分における拡散層の基板表面からの厚さに比べて薄い、ことが好ましい。
【0010】
本発明に係る発光装置では、発光領域の直径S〔mm〕は、4.5〔mm〕以上、32.8[mm〕以下である、ことが好ましい。
【0011】
本発明に係る発光装置では、複数の発光素子は、枠樹脂の内側に沿って円形に配置されている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る発光装置は、蛍光色を視認させず、光束量の低下を抑制しつつ、色度指向性が均一な光を出射することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は実施形態に係る発光装置の平面図であり、(b)は(a)に示すA-A線に沿う断面図である。
図2図1に示す発光装置の製造方法を説明するための図(その1)であり、(a)は平面図であり、(b)は図1(a)に示すA-A線に沿う断面図である。
図3図1に示す発光装置の製造方法を説明するための図(その2)であり、(a)は平面図であり、(b)は図1(a)に示すA-A線に沿う断面図である。
図4図1に示す発光装置の製造方法を説明するための図(その3)であり、(a)は平面図であり、(b)は図1(a)に示すA-A線に沿う断面図である。
図5図1に示す発光装置の製造方法を説明するための図(その4)であり、(a)は平面図であり、(b)は図1(a)に示すA-A線に沿う断面図である。
図6図1に示す発光装置の製造方法を説明するための図(その5)であり、(a)は平面図であり、(b)は図1(a)に示すA-A線に沿う断面図である。
図7図1に示す発光装置の製造方法を説明するための図(その6)であり、(a)は平面図であり、(b)は図1(a)に示すA-A線に沿う断面図である。
図8図1に示す発光装置の製造方法を説明するための図(その7)であり、(a)は平面図であり、(b)は図1(a)に示すA-A線に沿う断面図である。
図9】第2実施形態に係る発光装置の平面図である。
図10】第3実施形態に係る発光装置の平面図である。
図11】発光装置1~発光装置3の構成をまとめた表を示す図である。
図12】(a)~(f)は、拡散層16に含まれるTiO2濃度を変化させた場合の発光装置の光束量比又は色度指向性を測定した測定結果を示す図である。
図13】(a)~(f)は、拡散層16に含まれるSiO2濃度を変化させた場合の発光装置の光束量比又は色度指向性を測定した測定結果を示す図である。
図14】(a)~(b)は、面内均一性のシミュレーションについて説明するための図である。
図15】(a)~(c)は拡散層16に含まれるTiO2濃度を変化させた場合の発光装置の面内均一性を測定した測定結果を示す図であり、(d)~(f)は拡散層16に含まれるSiO2濃度を変化させた場合の発光装置の面内均一性を測定した測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る発光装置及び照明装置について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
以下の説明において、「LED(Light Emitting Diode)チップ」とは、基板上にInGaN系化合物、及び、GaASP系化合物等の半導体を発光層として成長させることにより形成された半導体素子をいう。LEDチップは、上面、下面、又は上面及び下面に配置されたアノード及びカソード間に所定の順方向電圧が印加されることによって、所定の発光波長の光を出射する。半導体の構造としては、MIS接合、PI接合、PN接合などであるホモ構造、ヘテロ構造、ダブルヘテロ構造等が含まれる。LEDチップの材料、成長温度等により、発光波長を様々なものに選択可能である。LEDチップが出射する光の波長については、対応する実施形態において説明する。
【0016】
また、「LEDパッケージ」とは、基板上に「LEDチップ」を実装し、実装された「LEDチップ」を、樹脂又は蛍光材料を含有した樹脂で封止した部品、又は、「LEDチップ」の上面、又は、上面及び側面を蛍光材料含有の樹脂で被覆したのみの部品を言う。「LEDパッケージ」は、上面発光SMD(Surface Mounted Device)、側面発光SMD等を含む。蛍光材料とは、「LEDチップ」から出射された所定の波長の光を吸収して、異なる波長の光を出射する材料を言い、その結果、「LEDパッケージ」からは、「LEDチップ」から出射された光と蛍光材料から出射された光とが混色した光が出射されることとなる。なお、「LEDパッケージ」は、蛍光材料を含まず、含有する「LEDチップ」から出力された波長の光がそのまま出射するように構成されていても良い。
【0017】
さらに、「発光素子」とは、「LEDチップ」及び「LEDパッケージ」の両方の形態を含み、所定の波長の光を出射するものを言う。
【0018】
(第1実施形態)
図1(a)は第1実施形態に係る発光装置1の平面図であり、図1(b)は図1(a)に示すA-A線に沿う断面図である。
【0019】
発光装置1は、第1領域17及び第1領域17の周辺に配置される第2領域18を有する基板10と、18個の発光素子11と、枠樹脂12と、透明層13と、蛍光体含有樹脂層14と、透明樹脂層15と、拡散層16とを有する。蛍光体含有樹脂層14は発光素子11から出射された第1の色の光を吸収して第1の色と異なる第2の色の光を出射する蛍光材料30を含有し、透明樹脂層15は蛍光材料30を含有しない。蛍光体含有樹脂層14及び透明樹脂層15は発光素子11から出射された第1の色の光及び蛍光材料30から出射された第2の色の光を透過し、枠樹脂12は第1の色の光及び第2の色の光を反射する。
【0020】
基板10は、実装基板21と、回路基板22と、アノード電極23と、カソード電極24と、アノード配線25と、カソード配線26とを有する。実装基板21は、アルミニウム等の熱伝導率及び反射率が高い金属製の基板であり、略矩形状の平面形状を有する。実装基板21は、円形の平面形状を有する第1領域17を中心部に有すると共に、第1領域17の外周に沿って第2領域18を有する。基板10は、第1領域17及び第2領域18を含めて表面及び裏面の双方は平坦な面である。実装基板21は、対角に配置される一対の角が切り欠けている。
【0021】
回路基板22は、エポキシ材等の絶縁材で形成され、実装基板21と同一の平面形状を有すると共に、実装基板21に接着される。回路基板22は、第1領域17及び18個の発光素子11が実装される第2領域18を囲む開口部90が形成される。
【0022】
アノード電極23、カソード電極24、アノード配線25及びカソード配線26は、回路基板22の実装基板21に対向する面の反対の面に銅等の導電性薄膜により形成された配線パターンである。アノード電極23及びカソード電極24は、切り欠けが形成されていない角の近傍に配置される。アノード電極23及びカソード電極24は、不図示の電源に接続され、アノード配線25及びカソード配線26を介して、発光素子11のそれぞれに電力を供給する。
【0023】
アノード配線25及びカソード配線26の蛍光体含有樹脂層14及び枠樹脂12に覆われていない部分は、レジスト等の絶縁層に覆われる。アノード配線25はアノード電極23に接続されると共に、第1領域17のそれぞれの辺に沿って配置される4つの発光素子の1つにボンディングワイヤ27を介して接続される。カソード配線26はカソード電極24に接続されると共に、第1領域17のそれぞれの辺に沿って配置される4つの発光素子の1つにボンディングワイヤ27を介して接続される。
【0024】
18個の発光素子11は、例えば出射する光の波長域が440nm~455nmのInGaN系化合物半導体等により形成される青色発光する半導体素子である。24個の発光素子11のそれぞれは、略矩形の平面形状を有し、順方向電圧(forward voltage、VF)、温度特性及び寿命等の発光特性が略同一の素子を使用することが好ましい。
【0025】
18個の発光素子11は、第1領域17の外周に沿うように基板10上の枠樹脂12の内側の第2領域18に実装される。発光素子11は、発光領域19の中心部には配置されない。第1領域17の外縁に沿う第2領域18に実装される18個の発光素子11は、9個ずつアノード電極23とカソード電極24との間に直列接続される。発光素子11は、9個ずつ直列接続された2組の発光素子列を並列接続するように接続される。
【0026】
なお、発光装置1では、18個の発光素子11が配置されるが、搭載される発光素子11の数は、任意の個数であって良いが、7個以上、且つ、72個未満であることが好ましい。また、発光装置1では、9個の発光素子11が直列接続されるが、直列接続される発光素子11の数は、9個に限定されない。また、発光装置1では、2組の発光素子列が並列接続されるが、並列接続される組の数は、1組であってもよく、3組以上であってもよい。
【0027】
枠樹脂12は、酸化チタン等の反射性の微粒子が分散されたシリコーン樹脂等の合成樹脂であり、基板10上に円形に配置される。枠樹脂12は、発光素子11から出射される第1の色の光及び蛍光材料30から出射される第2の色の光を反射する反射材である。枠樹脂12は、第1領域17及び第2領域18を囲むように配置される。枠樹脂12は、第1領域17及び第2領域18を囲むリング状の平面形状を有する。
【0028】
枠樹脂12は、第2領域18を囲むようにリング状に形成されるので、18個の発光素子11から出射された第1の色の光及び蛍光材料30から出射される第2の色の光は、枠樹脂12に反射する。
【0029】
発光装置1において、枠樹脂12の内側の領域は、発光装置1から発光装置1の外部に光が出射される発光領域19と称される。発光装置1において、枠樹脂12は、略矩形の断面形状を有するので、発光領域19は、枠樹脂12の内壁に囲まれた領域である。
【0030】
枠樹脂12はリング状の平面形状を有するので、発光領域19は真円状の平面形状を有する。発光領域19の直径S〔mm〕は、14.5〔mm〕である。直径Sは、4.0〔mm〕以上、且つ、34.0〔mm〕以下であることが好ましい。直径Sが4.0〔mm〕未満になると、現在の製造技術では製造ばらつきにより発光装置1の発光特性のばらつきが大きくなる。また、直径Sが34.0〔mm〕より大きくなると、透明樹脂層15及び拡散層16の厚さが厚くなり製造コストが増加する。
【0031】
透明層13は、アクリル樹脂、フッ素化合物及びシリコーン樹脂を含有し、基板10と透明樹脂層15との間、蛍光体含有樹脂層14と拡散層16との間、18個の発光素子11と蛍光体含有樹脂層14との間に配置される。透明層13の剛性は、蛍光体含有樹脂層14、透明樹脂層15及び拡散層16の剛性よりも高く、基板10、18個の発光素子11及びボンディングワイヤ27を全面に亘ってコーティングする。透明層13の膜厚は、1μm以上、且つ、2μm以下であることが好ましい。透明層13は、透明層13が基板10、24個の発光素子11及びボンディングワイヤ27をコーティングするので、信頼性を向上させることができる。
【0032】
発光装置1では、透明層13は、透明層13が基板10、24個の発光素子11及びボンディングワイヤ27を全体に亘ってコーティングする。しかしながら、実施形態に係る発光装置では、透明層13は、基板10、24個の発光素子11及びボンディングワイヤ27のそれぞれの少なくとも一部をコーティングしていればよい。
【0033】
蛍光体含有樹脂層14は、蛍光材料30を含有するシリコーン樹脂等の合成樹脂である。蛍光体含有樹脂層14は、枠樹脂12の内側の基板10上に第1領域17の外周に沿って、発光素子11及びボンディングワイヤ27の一部を覆うように配置される。蛍光体含有樹脂層14は、第1領域17を囲むリング状の平面形状を有する。
【0034】
蛍光体含有樹脂層14に含有される蛍光材料30は、発光素子11から出射される第1の色である青色の光を吸収して第1の色と異なる第2の色の光を出射する蛍光材料である。蛍光材料30は、例えば550nm~580nmである黄色の光を出射するセレンで付活されたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光材料である。また、蛍光材料30は、黄色の光を出射するYAG系蛍光材料に加えて、ピーク波長の範囲が600nm~630nmである赤色の光を出射するEu2+(ユーロピウム)固溶のCaAlSiN3(カルシウム・アルミニウム・シリコーン酸窒化物)蛍光材料を添加されたものであってもよい。また、蛍光材料30は、ピーク波長の範囲が600nm~650nmの範囲に複数ある赤色の光を出射するMn4+(マンガン)で賦活されたフッ素物錯体蛍光体であっても良い。また、蛍光材料30は、例えばピーク波長の範囲が535nm~570nmである緑色の光を出射するセリウムで付活されたYAG系蛍光材料を添加してもよい。
【0035】
なお、蛍光材料30は、ピーク波長の範囲が480nm~500nmである青緑色の光を出射するEu2+(ユーロピウム)で付活されたシリケイト系蛍光材料、又はバリウムシリコーン酸窒化物の蛍光材料であってもよい。また、蛍光材料30は、ピーク波長の範囲が600nm~630nmである赤色の光を出射するEu2+(ユーロピウム)固溶のCaAlSiN3(カルシウム・アルミニウム・シリコーン酸窒化物)蛍光材料であってもよい。さらに、蛍光材料30は、複数種の蛍光材料を含んでもよい。蛍光材料30に含まれる蛍光材料の比率を相違させることで、色温度が同一であり且つ演色性が相違する発光装置を提供することができる。
【0036】
例えば、蛍光材料30は、ピーク波長が550nm~580nmである黄色の光を出射するユーロピウムで付活されたオルソ珪酸塩蛍光材料であってもよい。また、蛍光材料30は、黄色の光を出射するユーロピウムで付活されたオルソ珪酸塩蛍光材料、及びピーク波長が480nm~500nmである黄色の光を出射するユーロピウム付活ストロンチウムアルミン酸塩蛍光材料を含んでもよい。さらに、黄色の光を出射するユーロピウムで付活されたオルソ珪酸塩蛍光材料、及び赤色の光を出射するユーロピウム固溶のカルシウム・アルミニウム・シリコーン酸窒化物蛍光材料を含んでもよい。
【0037】
透明樹脂層15は、蛍光材料30が含有されず且つシリコーン樹脂等の合成樹脂であり、蛍光体含有樹脂層14の内側の基板10の表面を覆うように配置される。発光領域の中心部における透明樹脂層15の基板10の表面から最上部までの高さD2は、透明樹脂層15の周辺部が蛍光体含有樹脂層14に接する部分における透明樹脂層15の基板10の表面からの高さに比べて高い。透明樹脂層15は、発光素子11から出射される第1の色の光及び蛍光材料30から出射される第2の色の光を導光する導光層である。透明樹脂層15は、発光素子11から出射される第1の色の光及び蛍光材料30から出射される第2の色の光を第1領域17に導く。第1領域17に導光された光は、直接又は反射して、第1領域17の全体の上面から拡散層16に出射する。
【0038】
拡散層16は、シリコーン樹脂等の透明な合成樹脂材で形成され、TiO2及びSiO2を拡散材として含有し、蛍光体含有樹脂層14及び透明樹脂層15を覆うように枠樹脂12の内側に配置される。発光領域19の中心部における拡散層16の透明樹脂層15の上面から最上部までの厚さD1は、拡散層16の周辺部が枠樹脂12に接する部分における拡散層16の基板10の表面からの厚さに比べて薄い。拡散層16には、TiO2は0.10wt%以上且つ0.60wt%以下の濃度で含有され、SiO2は0.050wt%以上且つ60.0wt%以下の濃度で含有される。
【0039】
図1に示す様に、発光領域19の直径をS〔mm〕、拡散層16の中心部の厚さをD1〔mm〕、透明樹脂層15の中心部の厚さをD2〔mm〕、蛍光体含有樹脂層14の高さをHm〔mm〕、樹脂枠12の高さをH〔mm〕とする。発光装置1のサイズは、図11に示す。
【0040】
(実施形態1の製造方法)
図2図8を用いて、発光装置1の製造方法を説明する。図2は第1工程を示し、図3は第2工程を示し、図4は第3工程を示し、図5は第4工程を示し、図6は第5工程を示し、図7は第6工程を示し、図8は第7工程を示す。図2図8において、(a)は平面図であり、(b)は図1(a)に示すA-A線に沿う断面図に対応する断面図である。
【0041】
第1工程において、図2に示す基板10が提供される。次いで、図3に示す様に、第2工程において、18個の発光素子11が第1領域17の外周に沿って第2領域18に実装される。18個の発光素子11は、第1領域17の外縁に沿って、ダイボンド(不図示)により実装される。
【0042】
次いで、図4に示す様に、第3工程において、18個の発光素子11がアノード配線25とカソード配線26との間に9個ずつボンディングワイヤ27によって直列接続される。第1領域17の外縁に沿って実装される9個の発光素子11の一端に配置される発光素子11は、アノード配線25にボンディングワイヤ27を介して接続される。また、第1領域17の外縁に沿って実装される9個の発光素子11の他端に配置される発光素子11は、カソード配線26にボンディングワイヤ27を介して接続される。
【0043】
次いで、図5に示す様に、第4工程において、枠樹脂12が第1領域17及び第2領域18を囲むように配置される。次いで、図6に示す様に、第5工程において、透明層13が発光素子11及びボンディングワイヤ27を覆うように第1領域17及び第2領域18に配置される。
【0044】
次いで、図7に示す様に、第6工程において、蛍光体含有樹脂層14が透明層13を介して発光素子11及びボンディングワイヤ27を覆うように第2領域18に配置される。次いで、図8に示す様に、第7工程において、透明樹脂層15が第1領域17に配置される。最後に、枠樹脂12の内側で、透明樹脂層15の上部に拡散層16が配置されて、発光装置1の製造工程が終了する(図1参照)。
【0045】
蛍光体含有樹脂層14、枠樹脂12及び透明樹脂層15は、チクソ性が高い樹脂材を使用してもよい。チクソ性が高い樹脂材を蛍光体含有樹脂層14、枠樹脂12及び透明樹脂層15として使用するとき、第8工程の後に蛍光体含有樹脂層14、枠樹脂12及び透明樹脂層15が一斉に固化されてもよい。また、チクソ性が低い樹脂材を蛍光体含有樹脂層14、枠樹脂12及び透明樹脂層15として使用するときは、第5工程、第7工程及び第8工程のそれぞれにおいて、蛍光体含有樹脂層14、枠樹脂12及び透明樹脂層15は、別個に固化される。
【0046】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る発光装置2の平面図である。図9では、主に発光装置2における基板10上の発光素子11の配置状況のみを示している。図9において、図1(a)及び図1(b)と同じ構成には同じ番号を付して説明を省略する。発光装置1と発光装置2との差異は、発光素子11の配置個数が7個であることと、それに伴って装置のサイズが異なっている点のみである。発光装置2のサイズは、図11に示す。
【0047】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係る発光装置3の平面図である。図10では、主に発光装置3における基板10上の発光素子11の配置状況のみを示している。図10において、図1(a)及び図1(b)と同じ構成には同じ番号を付して説明を省略する。発光装置1と発光装置3との差異は、発光素子11の配置個数が72個であることと、それに伴って装置のサイズが異なっている点のみである。発光装置3のサイズは、図11に示す。
【0048】
図11は、発光装置1~発光装置3の構成をまとめた表を示す図である。図11に示す様に、発光装置1において、発光領域19の直径Sは14.5〔mm〕、拡散層16(不図示)の中心部の厚さD1は0.30〔mm〕、透明樹脂層15の中心部の厚さD2は1.65〔mm〕、蛍光体含有樹脂層14の高さHmは0.75〔mm〕、及び、樹脂枠12の高さHは1.95〔mm〕である。発光装置2において、発光領域19の直径Sは4.5〔mm〕、拡散層16(不図示)の中心部の厚さD1は0.15〔mm〕、透明樹脂層15の中心部の厚さD2は1.04〔mm〕、蛍光体含有樹脂層14の高さHmは0.75〔mm〕、及び、樹脂枠12の高さHは1.19〔mm〕である。発光装置3において、発光領域19の直径Sは32.8〔mm〕、拡散層16(不図示)の中心部の厚さD1は0.30〔mm〕、透明樹脂層15の中心部の厚さD2は2.55〔mm〕、蛍光体含有樹脂層14の高さHmは0.75〔mm〕、及び、樹脂枠12の高さHは2.85〔mm〕である。
【0049】
(比較の発光装置)
発光装置1と同じ発光領域の直径S、発光領域面積、発光素子数、樹脂枠12の高さを有し、透明樹脂層及び拡散層を有さず、樹脂枠12の内側に発光装置1と同数の発光素子が均等に配置された発光装置を比較の発光装置1´とする。発光装置1´では、蛍光体を含む蛍光体含有樹脂層が、発光素子を覆う様に、樹脂枠12の内側に配置されているものとする。
【0050】
同様に、発光装置2と同じ発光領域の直径S、発光領域面積、発光素子数、樹脂枠12の高さを有し、透明樹脂層及び拡散層を有さず、樹脂枠12の内側に発光装置2と同数の発光素子が均等に配置された発光装置を比較の発光装置2´とする。発光装置2´では、蛍光体を含む蛍光体含有樹脂層が、発光素子を覆う様に、樹脂枠12の内側に配置されているものとする。
【0051】
同様に、発光装置3と同じ発光領域の直径S、発光領域面積、発光素子数、樹脂枠12の高さを有し、透明樹脂層及び拡散層を有さず、樹脂枠12の内側に発光装置3と同数の発光素子が均等に配置された発光装置を比較の発光装置3´とする。発光装置3´では、蛍光体を含む蛍光体含有樹脂層が、発光素子を覆う様に、樹脂枠12の内側に配置されているものとする。
【0052】
(発光装置の光学特性)
本発明の発光装置は、少なくとも以下の3つの光学特性を充足することが必要である。
(1)消灯時に蛍光体の色が外部から視認されるおそれがないこと。
(2)光束量比(光束量比の測定については後述する)が70%以上であること。
(3)色度指向性(ΔCIEy)(色度指向性の測定については後述する)の値が、0.015以下であること。
【0053】
上記の3つの光学特性を有することにより、外部から蛍光体の色が視認されないことから、発光装置を照明器具等に採用しても、非消灯時の配色に違和感を生じさせない。また、外部から蛍光体を視認させないようにしているにも拘わらず、発光装置の光束量比が70%以上であれば、照明器具等として充分な光束量を確保することができる。さらに、発光装置の色度指向性の値が0.015以下であれば、発光装置から全方向へ出射する光の色度が均一であって、照明器具等として問題が生じない。
【0054】
光学装置1~3は、上記の光学特性(1)を満足するために、少なくとも以下の構成を備えている。
基板上に円形に配置された枠樹脂と、基板上且つ枠樹脂の内側に実装された複数の発光素子と、枠樹脂の内側であって複数の発光素子を覆うように基板上に配置された蛍光体含有樹脂層と、蛍光体含有樹脂層の内側の基板表面を覆うように配置された透明樹脂層と、蛍光体含有樹脂層及び透明樹脂層を覆うように枠樹脂の内側に配置された拡散層を有し、枠樹脂の内側を発光領域とした場合に発光領域の中心部には発光素子は実装されないこと(以下、「基本構成」という)。
【0055】
(光束量比の測定方法)
発光装置の光束量の測定は、全光束測定装置(大塚電子社製の全光束測定システム)を用いて行った。積分球は、ネムテック社製の1000型を用いた。また、発光装置に含まれる発光素子には、1素子当たり90mAを印加して測定した。測定対象の発光装置に対応する比較の発光装置(例えば、発光装置1に対しては比較の発光装置1´)についても同様の方法で光束量を測定した。光束量比=(測定対象の発光装置の光束量)/(対応する比較の発光装置の光束量)と定義した。
【0056】
(ΔCIEyの測定方法)
発光装置のΔCIEyの測定は、Radiant Vision Systems社のニアフィールド配光用ゴニオメータシステム(SIG-400(登録商標))を用いて行った。発光装置を発光させた際の直上から80°までの色度を測定し、色度の変化の度合いをΔCIEyとした。
【0057】
以下、「基本構成」を有する光学装置において、上記の2つの光学特性(2)及び(3)を有する条件について検討する。
図12(a)は、拡散層16に含まれるTiO2濃度を変化させた発光装置2を複数製造し、それぞれ光束量比を測定した測定結果を示す図である。発光装置2のサイズは、図11に示した通りであり、光束量比の測定は、前述した方法による。図中のa1~a8は、TiO2濃度を、0.00、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、及び、0.60(wt%)とした場合の光束量比を示している。図中のa1~a8において、SiO2濃度は0.50(wt%)に統一している。
【0058】
図12(b)は、拡散層16に含まれるTiO2濃度を変化させた発光装置2を複数製造し、それぞれのΔCIEyを測定した測定結果を示す図である。発光装置2のサイズは、図11に示した通りであり、ΔCIEyの測定は、前述した方法による。図中のb1~b8は、TiO2濃度を、0.00、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、及び、0.60(wt%)とした場合のΔCIEyを示している。図中のb1~b8において、SiO2濃度は0.50(wt%)に統一している。
【0059】
図12(c)は、拡散層16に含まれるTiO2濃度を変化させた発光装置1を複数製造し、それぞれ光束量比を測定した測定結果を示す図である。発光装置1のサイズは、図11に示した通りであり、光束量比の測定は、前述した方法による。図中のc1~c8は、TiO2濃度を、0.00、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、及び、0.60(wt%)とした場合の光束量比を示している。図中のc1~c8において、SiO2濃度は0.50(wt%)に統一している。
【0060】
図12(d)は、拡散層16に含まれるTiO2濃度を変化させた発光装置1を複数製造し、それぞれのΔCIEyを測定した測定結果を示す図である。発光装置1のサイズは、図11に示した通りであり、ΔCIEyの測定は、前述した方法による。図中のd1~d8は、TiO2濃度を、0.00、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、及び、0.60(wt%)とした場合のΔCIEyを示している。図中のd1~d8において、SiO2濃度は0.50(wt%)に統一している。
【0061】
図12(e)は、拡散層16に含まれるTiO2濃度を変化させた発光装置3を複数製造し、それぞれ光束量比を測定した測定結果を示す図である。発光装置3のサイズは、図11に示した通りであり、光束量比の測定は、前述した方法による。図中のe1~e8は、TiO2濃度を、0.00、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、及び、0.60(wt%)とした場合の光束量比を示している。図中のe1~e8において、SiO2濃度は0.50(wt%)に統一している。
【0062】
図12(f)は、拡散層16に含まれるTiO2濃度を変化させた発光装置3を複数製造し、それぞれのΔCIEyを測定した測定結果を示す図である。発光装置3のサイズは、図11に示した通りであり、ΔCIEyの測定は、前述した方法による。図中のf1~f8は、TiO2濃度を、0.00、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、及び、0.60(wt%)とした場合のΔCIEyを示している。図中のf1~f8において、SiO2濃度は0.50(wt%)に統一している。
【0063】
図13(a)は、拡散層16に含まれるSiO2濃度を変化させた発光装置2を複数製造し、それぞれ光束量比を測定した測定結果を示す図である。発光装置2のサイズは、図11に示した通りであり、光束量比の測定は、前述した方法による。図中のa1~a7は、SiO2濃度を、0.050、10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、及び、60.0(wt%)とした場合の光束量比を示している。図中のa1~a7において、TiO2濃度は0.30(wt%)に統一している。
【0064】
図13(b)は、拡散層16に含まれるSiO2濃度を変化させた発光装置2を複数製造し、それぞれのΔCIEyを測定した測定結果を示す図である。発光装置2のサイズは、図11に示した通りであり、ΔCIEyの測定は、前述した方法による。図中のb1~b7は、SiO2濃度を、0.050、10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、及び、60.0(wt%)とした場合のΔCIEyを示している。図中のb1~b7において、TiO2濃度は0.30(wt%)に統一している。
【0065】
図13(c)は、拡散層16に含まれるSiO2濃度を変化させた発光装置1を複数製造し、それぞれ光束量比を測定した測定結果を示す図である。発光装置1のサイズは、図11に示した通りであり、光束量比の測定は、前述した方法による。図中のc1~c7は、SiO2濃度を、0.050、10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、及び、60.0(wt%)とした場合の光束量比を示している。図中のc1~c7において、TiO2濃度は0.30(wt%)に統一している。
【0066】
図13(d)は、拡散層16に含まれるSiO2濃度を変化させた発光装置1を複数製造し、それぞれのΔCIEyを測定した測定結果を示す図である。発光装置1のサイズは、図11に示した通りであり、ΔCIEyの測定は、前述した方法による。図中のd1~d7は、SiO2濃度を、0.050、10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、及び、60.0(wt%)とした場合のΔCIEyを示している。図中のd1~d7において、TiO2濃度は0.30(wt%)に統一している。
【0067】
図13(e)は、拡散層16に含まれるSiO2濃度を変化させた発光装置3を複数製造し、それぞれ光束量比を測定した測定結果を示す図である。発光装置3のサイズは、図11に示した通りであり、光束量比の測定は、前述した方法による。図中のe1~e7は、SiO2濃度を、0.050、10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、及び、60.0(wt%)とした場合の光束量比を示している。図中のe1~e7において、TiO2濃度は0.30(wt%)に統一している。
【0068】
図13(f)は、拡散層16に含まれるSiO2濃度を変化させた発光装置3を複数製造し、それぞれのΔCIEyを測定した測定結果を示す図である。発光装置3のサイズは、図11に示した通りであり、ΔCIEyの測定は、前述した方法による。図中のf1~f7は、SiO2濃度を、0.050、10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、及び、60.0(wt%)とした場合のΔCIEyを示している。図中のf1~f7において、TiO2濃度は0.30(wt%)に統一している。
【0069】
図12(a)~図12(f)を参照すると、TiO2濃度は、0.10以上且つ0.60(wt%)以下であれば、光束量比は70%以上、且つ、ΔCIEyが0.015以下となる。また、図13(a)~図13(f)を参照すると、SiO2濃度は、0.050以上且つ60.0(wt%)以下であれば、光束量比は70%以上、且つ、ΔCIEyが0.015以下となる。なお、図12(a)~図12(f)及び図13(a)~図13(f)で製造した全ての光学装置1~3において、蛍光体の色は視認されなかった。
【0070】
以上より、「基本構成」を有する光学装置1~3において、TiO2濃度が0.10以上且つ0.60(wt%)以下、及び、SiO2濃度が0.050以上且つ60.0(wt%)以下であれば、以下の3つの光学特性を満足することが確認できた。
(1)消灯時に蛍光体の色が外部から視認されるおそれがないこと。
(2)光束量比が70%以上であること。
(3)色度指向性(ΔCIEy)の値が、0.015以下であること。
【0071】
光学装置1~3の発光領域Sは、4.5mmから32.8mmであるが、少なくとも、その範囲であれば、発光領域Sの値が変化しても、TiO2濃度が0.10以上且つ0.60(wt%)以下、及び、SiO2濃度が0.050以上且つ60.0(wt%)以下であれば、上記の3つの光学特性を満足すると考えられる。
【0072】
(発光装置の追加の光学特性)
光学装置では、更に以下の光学特性を有することが好ましい。
(4)面内均一性(面内均一性の測定方法については後述する)が70%以上であること。
前述した3つの光学特性(1)~(3)に加えて、光学特性(4)を有することによって、発光装置の発光領域が均等に発光するので、照明器具等としてより好ましい。
【0073】
(面内均一性)
面内均一性の測定は、Radiant Vision Systems社の2次元色彩輝度計(PrоMetric)を用いて行い、照度値の変動率を面内均一性(%)と定義した。
【0074】
図14は、面内均一性の測定について説明するための図である。図14(a)は発光装置1の上面図を示し、図14(b)は照度値の測定結果の一例を示している。具体的には、図14(a)に示すBB線に沿って、照度値の測定を行った結果の一例を図14(b)に示す。図14(b)において、領域S内の最大値(max)と最小値(min)を求めて、面内均一性(%)=(min/max)×100と定義する。図14では、発光装置1に関する面内均一性の測定について説明したが、発光装置2及び発光装置3についても同様である。
【0075】
以下、「基本構成」を有する光学装置において、更に光学特性(4)を有する条件について検討する。
【0076】
図15(a)は、拡散層16に含まれるTiO2濃度を変化させた発光装置2を複数製造し、それぞれ面内均一性を測定した測定結果を示す図である。発光装置2のサイズは、図11に示した通りであり、面内均一性の測定は、前述した方法による。図中のa1~a8は、TiO2濃度を、0.00、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、及び、0.60(wt%)とした場合の面内均一性を示している。図中のa1~a8において、SiO2濃度は0.50(wt%)に統一している。
【0077】
図15(b)は、拡散層16に含まれるTiO2濃度を変化させた発光装置1を複数製造し、それぞれ面内均一性を測定した測定結果を示す図である。発光装置1のサイズは、図11に示した通りであり、面内均一性の測定は、前述した方法による。図中のb1~b8は、TiO2濃度を、0.00、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、及び、0.60(wt%)とした場合の面内均一性を示している。図中のb1~b8において、SiO2濃度は0.50(wt%)に統一している。
【0078】
図15(c)は、拡散層16に含まれるTiO2濃度を変化させた発光装置3を複数製造し、それぞれ面内均一性を測定した測定結果を示す図である。発光装置3のサイズは、図11に示した通りであり、面内均一性の測定は、前述した方法による。図中のc1~c8は、TiO2濃度を、0.00、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、及び、0.60(wt%)とした場合の面内均一性を示している。図中のc1~c8において、SiO2濃度は0.50(wt%)に統一している。
【0079】
図15(d)は、拡散層16に含まれるSiO2濃度を変化させた発光装置2を複数製造し、それぞれ面内均一性を測定した測定結果を示す図である。発光装置2のサイズは、図11に示した通りであり、面内均一性の測定は、前述した方法による。図中のd1~d7は、SiO2濃度を、0.050、10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、及び、60.0(wt%)とした場合の面内均一性を示している。図中のd1~d7において、TiO2濃度は0.30(wt%)に統一している。
【0080】
図15(e)は、拡散層16に含まれるSiO2濃度を変化させた発光装置1を複数製造し、それぞれ面内均一性を測定した測定結果を示す図である。発光装置1のサイズは、図11に示した通りであり、面内均一性の測定は、前述した方法による。図中のe1~e7は、SiO2濃度を、0.050、10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、及び、60.0(wt%)とした場合の面内均一性を示している。図中のe1~e7において、TiO2濃度は0.30(wt%)に統一している。
【0081】
図15(f)は、拡散層16に含まれるSiO2濃度を変化させた発光装置3を複数製造し、それぞれ面内均一性を測定した測定結果を示す図である。発光装置3のサイズは、図11に示した通りであり、面内均一性の測定は、前述した方法による。図中のf1~f7は、SiO2濃度を、0.050、10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、及び、60.0(wt%)とした場合の面内均一性を示している。図中のf1~f7において、TiO2濃度は0.30(wt%)に統一している。
【0082】
図15(a)~図15(c)を参照すると、TiO2濃度は、0.30以上且つ0.50(wt%)以下であれば、面内均一性は70%以上となる。また、図15(d)~図15(f)を参照すると、SiO2濃度は、0.050以上且つ60.0(wt%)以下であれば、面内均一性は70%以上となる。
【0083】
以上より、「基本構成」を有する光学装置1~3において、TiO2濃度が0.30以上且つ0.50(wt%)以下、及び、SiO2濃度が0.050以上且つ60.0(wt%)以下であれば、以下の4つの光学特性を満足することが確認できた。
(1)消灯時に蛍光体の色が外部から視認されるおそれがないこと。
(2)光束量比が70%以上であること。
(3)色度指向性(ΔCIEy)の値が、0.015以下であること。
(4)面内均一性が70%以上であること。
【0084】
光学装置1~3の発光領域Sは、4.5mmから32.8mmであるが、少なくとも、その範囲であれば、発光領域Sの値が変化しても、TiO2濃度が0.30以上且つ0.50(wt%)以下、及び、SiO2濃度が0.050以上且つ60.0(wt%)以下であれば、上記の4つの光学特性を満足すると考えられる。
【0085】
また、発光装置1~3では、更に以下の構成を備えることによって、前記の4つの光学特性を更に向上させることが可能となる。
(a)発光装置1~3では、発光領域の中心部における透明樹脂層の基板表面から最上部までの高さ(D2)は、透明樹脂層の周辺部が蛍光体含有樹脂層に接する部分における透明樹脂層の基板表面からの高さに比べて高い。
(b)発光装置1~3では、発光領域の中心部における拡散層の透明樹脂層の上面から最上部までの厚さ(D1)は、拡散層の周辺部が枠樹脂に接する部分における拡散層の基板表面から最上部までの厚さに比べて薄い。
(c)発光装置1~3では、複数の発光素子は枠樹脂の内側に沿って円形に単一の実装基板に実装される。このように構成されると、複数の発光素子の全ての温度変化が互いに連動し、温度特性に依存する発光特性が互いにばらつくおそれが低くなる。
【符号の説明】
【0086】
1 発光装置
10 基板
11 発光素子
12 枠樹脂
13 透明層
14 蛍光体含有樹脂層
15 透明樹脂層
16 拡散層
17 第1領域
18 第2領域
19 発光領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15