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特開2024-113536サッシの取付構造およびサッシの施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113536
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】サッシの取付構造およびサッシの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20240815BHJP
   E06B 1/28 20060101ALI20240815BHJP
   E06B 1/16 20060101ALN20240815BHJP
【FI】
E06B1/56 B
E06B1/28
E06B1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018601
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 奈実
(72)【発明者】
【氏名】相馬 剛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕樹
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KB03
2E011KB04
2E011KC01
2E011KC07
2E011KD14
2E011KF02
2E011KG06
(57)【要約】
【課題】室内側から施工でき、かつ、施工現場での作業性を向上できるサッシの取付構造およびサッシの施工方法を提供すること。
【解決手段】サッシ1は、開口を区画するまぐさ51、窓台52および左右の縦材を備えて構成されて外装材91の室内側に配置される躯体開口枠5に取り付けられるサッシである。サッシ1は、上枠21、下枠22および左右の縦枠を枠組みした窓枠2を有する。躯体開口枠5の少なくともまぐさ51および左右の縦材と、窓枠2の上枠21および縦枠との間は、シーリングテープ70で塞がれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を区画する上材、下材および左右の縦材を備えて構成されて外壁材の室内側に配置される開口枠に取り付けられるサッシの取付構造であって、
前記サッシは、上枠、下枠および左右の縦枠を枠組みした窓枠を有し、
前記開口枠の少なくとも前記上材および左右の前記縦材と、前記窓枠の少なくとも前記上枠および左右の前記縦枠との間は、緩衝部材で塞がれている
ことを特徴とするサッシの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のサッシの取付構造において、
前記緩衝部材は、前記上材および前記縦材の見込み面に取り付けられており、
前記上枠および前記縦枠の見込み面は、前記緩衝部材に当接されている
ことを特徴とするサッシの取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載のサッシの取付構造において、
前記縦枠には前記開口枠の室内面に当接する位置決め部材が取り付けられており、
前記上枠および前記下枠は、前記上材および前記下材にネジ止めされている
ことを特徴とするサッシの取付構造。
【請求項4】
請求項1に記載のサッシの取付構造において、
前記上枠の室外面には上見切り材が取り付けられ、
前記縦枠の室外面には縦見切り材が取り付けられ、
前記外壁材の開口面と、前記上見切り材および前記縦見切り材との間にはシール材が充填されている
ことを特徴とするサッシの取付構造。
【請求項5】
請求項1に記載のサッシの取付構造において、
前記下材にはアタッチメントが配置され、
前記アタッチメントと、前記下枠との間は止水材で塞がれ、
前記アタッチメントの室外面には水切り材が取り付けられ、
前記外壁材の開口面と、前記水切り材との間にはシール材が充填されている
ことを特徴とするサッシの取付構造。
【請求項6】
開口を区画する上材、下材および左右の縦材を備えて構成されて外壁材の室内側に配置される開口枠に取り付けられるサッシの施工方法であって、
前記サッシは、上枠、下枠および左右の縦枠を枠組みした窓枠を有し、
前記開口枠の少なくとも前記上材および左右の前記縦材、または、前記窓枠の少なくとも前記上枠および左右の前記縦枠に、緩衝部材を取り付ける緩衝部材取付工程と、
前記開口枠に室内側から前記窓枠を取り付けて、前記開口枠および前記窓枠間を前記緩衝部材で塞ぐ窓枠取付工程と、
前記窓枠の室内側に内装材を施工する内装材施工工程と、
を有することを特徴とするサッシの施工方法。
【請求項7】
請求項6に記載のサッシの施工方法において、
前記緩衝部材取付工程は、前記緩衝部材を、前記上材および前記縦材の見込み面に取り付け、
前記窓枠取付工程は、前記窓枠の前記上枠および左右の前記縦枠の見込み面を前記緩衝部材に当接させて前記窓枠を前記開口枠に取り付ける
ことを特徴とするサッシの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、躯体開口部に取り付けられるサッシの取付構造およびサッシの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
躯体開口部に取り付けられるサッシとして内付けのサッシが知られている(例えば、特許文献1参照)。このサッシの窓枠は、見込み片と見込み片の室外側端部から延出された見付け片とを備えて断面L字状に形成され、まぐさ、窓台、縦材などの躯体の室外面に見付け片をネジ止めし、見付け片と躯体とに跨がって防水テープや防水シートを貼り付けることで水密性や気密性を確保する構造が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-127930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、躯体の室外面にネジ止めされる見付け片を有する窓枠の場合、施工現場において躯体の室外側から窓枠を取り付ける必要があり、例えば戸建て住宅の2階や3階にサッシを取り付ける場合、足場を設置して作業する必要がある。このため、見付け片を備えない窓枠を用いることで、室内側から施工できるサッシが求められている。
また、見付け片を備えない窓枠を用いた場合、見付け片と躯体とに跨がる防水テープなどを用いることができない。このため、窓枠の設置後、窓枠と躯体開口部との間にシーリング材などを充填して気密性・水密性を確保することも考えられるが、施工現場においてシーリング材を充填する場合は作業性が低下するという課題もある。
【0005】
本発明の目的は、室内側から施工でき、かつ、施工現場での作業性を向上できるサッシの取付構造およびサッシの施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、開口を区画する上材、下材および左右の縦材を備えて構成されて外壁材の室内側に配置される開口枠に取り付けられるサッシの取付構造であって、前記サッシは、上枠、下枠および左右の縦枠を枠組みした窓枠を有し、前記開口枠の少なくとも前記上材および左右の前記縦材と、前記窓枠の少なくとも前記上枠および左右の前記縦枠との間は、緩衝部材で塞がれていることを特徴とする。
【0007】
本発明は、開口を区画する上材、下材および左右の縦材を備えて構成されて外壁材の室内側に配置される開口枠に取り付けられるサッシの施工方法であって、前記サッシは、上枠、下枠および左右の縦枠を枠組みした窓枠を有し、前記開口枠の少なくとも前記上材および左右の前記縦材、または、前記窓枠の少なくとも前記上枠および左右の前記縦枠に、緩衝部材を取り付ける緩衝部材取付工程と、前記開口枠に室内側から前記窓枠を取り付けて、前記開口枠および前記窓枠間を前記緩衝部材で塞ぐ窓枠取付工程と、前記窓枠の室内側に内装材を施工する内装材施工工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、室内側から施工でき、かつ、施工現場での作業性を向上できるサッシの取付構造およびサッシの施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】サッシの取付構造を示す縦断面図である。
図2】サッシの取付構造を示す横断面図である。
図3】サッシの施工方法における緩衝部材取付工程を説明する図である。
図4】サッシの施工方法における窓枠取付工程を説明する図である。
図5】サッシの施工方法における見切り材取付工程を説明する図である。
図6】変形例のサッシの取付構造を示す縦断面図である。
図7】変形例のサッシの取付構造を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1および図2は、サッシ1の取付構造を示す縦断面図および横断面図である。なお、以下の説明において、サッシ1の左右方向をX軸方向とし、サッシ1の上下方向をY軸方向とし、サッシ1の見込み方向(屋内外方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0011】
サッシ1は、建物の躯体開口枠5に取り付けられている。躯体開口枠5は、図1および図2に示すように、開口を区画する上材であるまぐさ51と、下材である窓台52と、左右の縦材53、54とを備えて構成される開口枠である。
サッシ1は内開き窓であり、窓枠2と、窓枠2内にヒンジ26によって開閉可能に配置された障子3とを備える。窓枠2は、上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24を四周枠組みすることで構成されている。障子3は、上框31、下框32および左右の縦框33、34とこれらに囲まれた面材35とを備えている。なお、各図では、図面を見やすくするために、窓枠2や障子3の主要構造材については、断面を示すハッチングを省略している。
【0012】
窓枠2の上枠21、下枠22および左右の縦枠23、24は、図1、2に示すように、同一断面形状を有した枠材で形成されている。これらの枠材は、合成樹脂製の押出形材で構成され、窓種である内開き窓に応じた断面形状とされている。また、各枠材の外周面つまり躯体開口枠5に対向する見込み面には、凹部が形成されている。
縦枠23、24には、位置決め部材であるブラケット40が設けられている。ブラケット40は、金属製の板材であり、室外側は縦枠23、24の見込み面に沿って折曲されて縦枠23、24の凹部にネジ48でネジ止めされ、室内側は外側に折曲されて縦材53、54の段部532、542に当接されてネジ49でネジ止めされている。このブラケット40が段部532、542の室内見付け面に当接することによって、縦枠23、24つまり窓枠2は、縦材53、54つまり躯体開口枠5に対して見込み方向に位置決めされている。本実施形態では、窓枠2の室外側の見付け面と、躯体開口枠5の室外面とが、ほぼ面一となるように位置決めされている。
なお、本実施形態では、ブラケット40は、縦枠23、24の上下方向の中間位置に配置されているが、縦枠23、24の高さ寸法に応じて、複数箇所に配置してもよい。また、本実施形態では、上枠21には位置決め部材であるブラケットは設けられていないが、例えば、上枠21の長手寸法が大きい場合、つまり窓枠2の左右の幅寸法が大きい場合には、例えば上枠21の左右方向の中間位置にブラケットを設けてもよい。
また、図1に示すように、下枠22の外周面の凹部にはスペーサ27が取り付けられている。これにより、下枠22に加わる荷重は、下枠22およびスペーサ27を介して窓台52で支持される。
【0013】
障子3は、矩形状を成す面材35の四周に上框31、下框32および左右の縦框33、34を装着して構成されている。上框31、下框32および左右の縦框33、34は、同一断面形状を有する合成樹脂製の押出形材である。面材35は、例えばトリプルガラスである。
障子3は、室内側から見て左側に位置する縦框33と縦枠23との間にヒンジ26を設け、上下に沿ったヒンジ軸を中心として障子3が室内側に開くように構成した内開き窓である。室内側から見て右側に位置する縦框34には、室内に臨む見付け面にハンドル36が設けてある。
【0014】
躯体開口枠5は、まぐさ51と、窓台52と、左右の縦材53、54とを備えて枠状に構成されている。縦材53,54の上端側は、まぐさ51よりも上方に延長され、縦材53,54の下端側は、窓台52よりも下方に延長され、縦材53、54の上端間および下端間にはそれぞれ横材55、56が横勝ちで取り付けられている。まぐさ51、窓台52、左右の縦材53、54、横材55、56は、例えば木材によって構成されている。なお、躯体開口枠5は、パネル工場において製造されて施工現場に搬送設置されたパネルでもよいし、木造軸組構造の建築物に施工現場で組み立てられるものでもよい。
上端側の横材55とまぐさ51との間と、窓台52と下端側の横材56との間には、図2に示すように、それぞれ断熱材60が配置されている。また、躯体開口枠5の室外面には表面材58が取り付けられている。表面材58は、複数の木質板材を重ね合わせたパーティクルボードなどの耐力面材で構成されている。
なお、サッシ1の高さ寸法と、躯体開口枠5の高さ寸法との関係によっては、横材55、56の一方または両方を設けずに躯体開口枠5を構成してもよい。
【0015】
まぐさ51は、図1に示すように、躯体開口枠5の開口に面する見込み面511を有し、見込み面511の室内側には段部512が形成されている。すなわち、まぐさ51は、上枠21に対向する見込み面511と、見込み面511の室内端から上方に延出され、さらに室内側に延出されて段部512を形成する鉛直面および水平面を有している。
窓台52は、躯体開口枠5の開口に面する見込み面521を有し、見込み面521の室内側および室外側には段部522、523が形成されている。すなわち、窓台52は、下枠22に取り付けられたスペーサ27が載置される上面である見込み面521と、見込み面521の室内端から下方に向かって設けられた鉛直面と、鉛直面の下端から室内側に向かって延出された水平面とで区画される段部522と、見込み面521の室外端から下方に向かって設けられる鉛直面と、鉛直面の下端から室外側に向かって延出された水平面とで区画される段部523とを有する。
窓台52の見込み面521から段部522の鉛直面、水平面を介して窓台52の室外側に設けられる表面材58の室外面まで防水シート59が取り付けられている。
【0016】
縦材53、54は、図2に示すように、躯体開口枠5の開口に面する見込み面531、541を有し、見込み面531、541の室内側には段部532、542が形成されている。すなわち、縦材53、54は、縦枠23、24に対向する見込み面531、541と、見込み面531、541の室内端から見付け方向外周側に延出され、さらに室内側に延出されて段部532、542を形成する見付け面および見込み面を有している。前述したブラケット40の室内側端部は、段部532、542の見付け面および見込み面に当接するように折曲され、見付け面に当接することで見込み方向に位置決めされ、見込み面に当接する部分でネジ49により縦材53、54に固定される。
【0017】
まぐさ51、縦材53、54の見込み面511、531、541には、緩衝部材であるシーリングテープ70が貼られている。シーリングテープ70は、見込み面511、531、541と、窓枠2の上枠21、縦枠23、24の見込み面との隙間を埋めることができる厚さ寸法を有し、まぐさ51、縦材53、54の見込み面511、531、541に固定できる粘着面を有するテープ状のシール材である。シーリングテープ70は、ポリウレタンなどで構成され、まぐさ51、縦材53、54と、窓枠2の上枠21、縦枠23、24との間に配置されて、それらが互いに衝突することを防止する緩衝機能を有する。さらに、シーリングテープ70は、まぐさ51、縦材53、54と、窓枠2の上枠21、縦枠23、24との間をシールする機能、つまり水密性や気密性を確保できる機能も有する。
このシーリングテープ70は、表面材58の開口端面から見込み面511、531、541の室内側端縁までの幅寸法を有し、まぐさ51、縦材53、54の3方に連続して貼付することができる長さ寸法とされている。
【0018】
躯体開口枠5の内周側に配置された窓枠2の上枠21、下枠22、縦枠23、24は、図1および図2に示すように、まぐさ51、窓台52、縦材53、54に固定されている。
すなわち、上枠21、下枠22の中空部には、角筒状の金属製の補強材28が挿入されている。窓枠2の内周面およびこの内周面に対向する補強材28の対向面には、ネジ100を挿通する挿通孔が予め形成されている。ネジ100は、上枠21および下枠22の内周側から差し込まれ、補強材28を介してまぐさ51、窓台52に螺合されている。
また、縦枠23、24は、ブラケット40の室内側端部の折曲部を、縦材53、54の段部532、542に当接させてネジ49で固定されている。
【0019】
図1および図2に示すように、躯体開口枠5の室外面には、上見切り材81、縦見切り材83、84が取り付けられている。
上見切り材81は、上枠21の室外面にネジ85で固定される固定片と、固定片から室外側に延出された見切り片とを備えて断面略L字状に構成されている。見切り片の下面にはビスホールが形成され、このビスホールには、縦見切り材83、84と上見切り材81とを連結する図示略のネジが螺合される。
縦見切り材83、84は、左右対称の同一断面形状であり、縦枠23、24の室外面にネジ85で固定される固定片と、固定片から室外側に延出された見切り片とを備えて断面L字状に形成されている。
【0020】
図1に示すように、窓台52の段部523には、防水シート59を挟んでアタッチメント86が固定され、このアタッチメント86には水切り材82が着脱可能に取り付けられている。
アタッチメント86は、見込み面521にネジ87で固定される固定片と、気密材88が取り付けられる保持片と、水切り材82が係合される上下一対の係合片とを有する。気密材88は、下枠22の下面に当接し、アタッチメント86および下枠22間をシールする止水材として機能する。また、アタッチメント86には、ビスホールが形成され、アタッチメント86の両端面に取り付けられるカバー89(図2参照)がビスホールに螺合されるネジで固定されている。
水切り材82は、アタッチメント86の係合片に係合されて取り付けられている。水切り材82のX軸方向の長さ寸法は、アタッチメント86の長さ寸法と略同じ寸法とされ、その両端部は縦見切り材83、84の下端に配置されている。このため、縦見切り材83、84の下端は、水切り材82の上面の形状に合わせて形成されている。縦見切り材83、84の下端と水切り材82の上面との間には、図2に示すように、シーラー77が配置されている。また、水切り材82にはビスホールが形成され、水切り材82の小口を塞ぐ端部キャップ821がビスホールに螺合されるネジで固定されている。
【0021】
躯体開口枠5の室外側には、図1および図2に示すように、縦胴縁92や横胴縁93を介して外壁材として設けられる外装材91が取り付けられている。外装材91は、上見切り材81、水切り材82、縦見切り材83、84で区画される開口部分を除いて取り付けられている。外装材91つまり外壁材の開口面と、上見切り材81、水切り材82および縦見切り材83、84との間には、バックアップ材75およびシール材76が配置されている。
なお、窓枠2を躯体開口枠5に取り付けた後に、外装材91、縦胴縁92、横胴縁93を設置する場合は、上枠21、縦枠23、24の室外面と、表面材58とに跨がって防水テープを貼っても良い。また、表面材58の開口よりも上方の室外面には防水シート73が貼られている。
【0022】
躯体開口枠5の室内側には、サッシ1が配置される開口部分を除いて内壁材94が取り付けられている。また、躯体開口枠5の開口内周面には、内壁材94を見切る額縁95が四周に取り付けられている。すなわち、躯体開口枠5の室内側には、内装材として、内壁材94および額縁95が取り付けられている。
【0023】
[サッシの施工方法]
次に、施工現場において、サッシ1を躯体開口枠5に取り付ける施工方法について説明する。
まず、図3に示すように、まぐさ51、縦材53、54の見込み面511、531、541に、緩衝部材であるシーリングテープ70を貼り付ける緩衝部材取付工程を実行する。なお、図3(B)は、まぐさ51、縦材53、54に貼り付けられたシーリングテープ70を示す図である。
また、窓台52から表面材58に防水シート59を貼り付けた後、気密材88およびカバー89が取り付けられたアタッチメント86を窓台52の段部523に配置してネジ87で固定する。
【0024】
次に、図4に示すように、作業者は、サッシ1を躯体開口枠5の開口内周に配置し、窓枠2を躯体開口枠5に固定する窓枠取付工程を実行する。
窓枠取付工程では、窓枠2の縦枠23、24にブラケット40をネジ48で取り付けておき、ブラケット40の室内側端部の折曲部を、縦材53、54の段部532、542に当接させてネジ49で固定する。
次に、上枠21および下枠22の内周側からネジ100を差し込み、補強材28を介してネジ100をまぐさ51、窓台52に螺合する。これにより、窓枠2は、ブラケット40によって見込み方向に位置決めされた状態で、ネジ100により躯体開口枠5に固定される。
この際、窓枠2の下枠22は、スペーサ27を介して窓台52の見込み面521に載置され、アタッチメント86の気密材88に下枠22の下面が当接してシールされる。また、上枠21および縦枠23、24は、シーリングテープ70に密着してシールされる。シーリングテープ70は、まぐさ51、縦材53、54の見込み面511、531、541に固定され、上枠21、縦枠23、24の見込み面に当接されることにより、まぐさ51、縦材53、54と、上枠21、縦枠23、24との間の水密性・気密性が確保される。
【0025】
次に、図5に示すように、上見切り材81、水切り材82、縦見切り材83、84を取り付ける見切り材取付工程を実行する。水切り材82は、端部キャップ821を取り付けた状態でアタッチメント86の係合片に係合して取り付ける。上見切り材81、縦見切り材83は、三方枠組みし、かつ、シーラー77を配置した状態で、上枠21、縦枠23、24にネジ85で固定する。
【0026】
次に、図1および図2に示すように、外装材91つまり外壁材の開口面と、上見切り材81、水切り材82、縦見切り材83、84との間に、バックアップ材75、シール材76を充填して外壁部のシールを施工する外壁シール施工工程を実行する。また、まぐさ51、窓台52、縦材53、54の段部512、522、532、542に内装材である額縁95を取り付ける内装材施工工程を実行する。以上により、サッシ1の施工作業が完了する。
【0027】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、窓枠2は、躯体開口枠5の見付け面に室外側から当接する釘ヒレ等を備えていないため、躯体開口枠5に対してサッシ1を室内側から取り付けることができる。このため、建物の2階以上にサッシ1を施工する際に足場を設置する必要がなく、外装材91の施工後にサッシ1を取り付けることもでき、現場での施工工程の自由度が向上し、短期間かつ低コストでサッシ1を施工することができる。
さらに、サッシ1の施工現場では、まぐさ51、縦材53、54にシーリングテープ70を貼り付け、このシーリングテープ70に窓枠2の上枠21、縦枠23、24を当接させることで水密性、気密性を確保している。このため、施工現場において、湿式のシーリング材を、まぐさ51、縦材53、54と、上枠21、縦枠23、24との間に充填して水密性や気密性を確保する場合に比べて作業性を向上できる。また、シーリングテープ70を用いているので、湿式のシーリング材を用いる場合に比べて、水密性や気密性の品質を安定させることができる。
【0028】
シーリングテープ70は、表面材58の開口部分から見込み面511、531、541の室内側端部までの大きな見込み寸法を有するため、まぐさ51、縦材53、54の見込み面511、531、541と、上枠21、縦枠23、24との間に見込み方向に沿って配置されるシーリングテープ70によって、水密性や気密性を容易に向上できる。さらに、シーリングテープ70は、まぐさ51、縦材53、54の3方に連続して貼り付けることができるので、改修現場において容易に設置でき、改修時の作業性を向上できる。
【0029】
窓枠2は、ブラケット40によって見込み方向に位置決めされて縦材53、54にネジ49で固定され、ネジ100によってまぐさ51、窓台52に固定されるので、躯体開口枠5に強固に固定できる。特に、窓枠2に補強材28を配置し、この補強材28にネジ100の頭を係止しているので、ネジ100による固定強度を向上できるとともに、窓枠2自体の強度も向上できる。
【0030】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は本発明に含まれる。
例えば、緩衝部材は、シーリングテープ70に限らず、躯体開口枠5と、窓枠2との間を塞ぐことができるものであればよく、例えばスポンジ等を用いることができる。また、シーリングテープ70等の緩衝部材は、躯体開口枠5のまぐさ51、縦材53、54の三方に連続して設けられるものに限定されず、窓台52を含む四方に連続して設けてもよい。また、シーリングテープ70等の緩衝部材は、まぐさ51、縦材53、54の三方に連続して設けられる長さ寸法を有するものに限定されず、まぐさ51、縦材53、54にそれぞれ別体のシーリングテープ70等の緩衝部材を設けてもよい。
さらに、シーリングテープ70等の緩衝部材は、まぐさ51、縦材53、54等の躯体開口枠5側に取り付けられるものに限定されず、窓枠2側に取り付けられるものでもよい。
【0031】
また、図6に示すように、下枠22の室内側端部と、窓台52の段部522との間に、湿式のシーリング材61を充填して、気密性や水密性を向上させてもよい。このシーリング材61は、下枠22および窓台52間に限らず、図6および図7に示すように、上枠21、縦枠23、24およびまぐさ51、縦材53、54間にも設けてもよい。窓枠2の室内側に四周連続するシーリング材61を設けることで、窓枠2の水密性や気密性を向上できる。
【0032】
前記実施形態では、上枠21、下枠22をネジ100で躯体開口枠5に固定していたが、上枠21、下枠22に加えて縦枠23、24にも補強材28を配置し、ネジ100で縦枠23、24を縦材53、54に固定してもよい。
【0033】
サッシ1は、合成樹脂製に限定されず、アルミニウム等の金属製の押出形材で構成してもよい。
サッシ1は、内開き窓に限定されず、FIX窓、外開き窓、上げ下げ窓など、様々な建具を利用できる。FIX窓の場合、ガラスを保持する框材が躯体開口枠5に直接固定されるため、前記框材が枠体となる。
【0034】
[まとめ]
本発明は、開口を区画する上材、下材および左右の縦材を備えて構成されて外壁材の室内側に配置される開口枠に取り付けられるサッシの取付構造であって、前記サッシは、上枠、下枠および左右の縦枠を枠組みした窓枠を有し、前記開口枠の少なくとも前記上材および左右の前記縦材と、前記窓枠の少なくとも前記上枠および左右の前記縦枠との間は、緩衝部材で塞がれていることを特徴とする。
本発明によれば、窓枠の下枠を開口枠の下材上に載置した際に、隙間が生じる上材および左右の縦材と、上枠および左右の縦枠との間に緩衝部材を設けているので、前記隙間を塞ぐことができ、水密性や気密性を確保できる。このため、施工現場において、湿式のシーリング材を用いる場合に比べて、作業性を向上でき、水密性や気密性の品質を安定させることができる。
【0035】
本発明のサッシの取付構造において、前記緩衝部材は、前記上材および前記縦材の見込み面に取り付けられており、前記上枠および前記縦枠の見込み面は、前記緩衝部材に当接されていることが好ましい。
緩衝部材を上材、縦材の見込み面に取り付け、窓枠の上枠、縦枠の見込み面に当接させているので、緩衝部材の見込み方向の幅寸法を、開口枠や窓枠の見込み寸法と同程度まで大きくできる。このため、開口枠と緩衝部材の粘着面との見込み寸法や、緩衝部材と窓枠の当接面との見込み寸法を十分に確保でき、水密性や気密性も十分に確保できる。
【0036】
本発明のサッシの取付構造において、前記縦枠には前記開口枠の室内面に当接する位置決め部材が取り付けられており、前記上枠および前記下枠は、前記上材および前記下材にネジ止めされていることが好ましい。
窓枠は、開口枠の室内面に当接する位置決め部材を有するため、開口枠に対して見込み方向に容易に位置決めすることができる。このため、窓枠は、見込み方向に位置決めして固定する釘ヒレが不要であるため、室内側から容易に取り付けることができる。
【0037】
本発明のサッシの取付構造において、前記上枠の室外面には上見切り材が取り付けられ、前記縦枠の室外面には縦見切り材が取り付けられ、前記外壁材の開口面と、前記上見切り材および前記縦見切り材との間にはシール材が充填されていることが好ましい。
上見切り材、縦見切り材を窓枠に取り付けているので、窓枠を開口枠に取り付けた後に各見切り材を取り付けることができ、外壁材の開口に対して各見切り材を容易に位置決めして設置できる。
【0038】
本発明のサッシの取付構造において、前記下材にはアタッチメントが配置され、前記アタッチメントと、前記下枠との間は止水材で塞がれ、前記アタッチメントの室外面には水切り材が取り付けられ、前記外壁材の開口面と、前記水切り材との間にはシール材が充填されていることが好ましい。
下材にアタッチメントを配置し、このアタッチメントと下枠との間をAT材などの止水材で塞いでいるため、下材に緩衝部材を配置しなくても止水材によって水密性、気密性を確保することができる。また、水切り材をアタッチメントに取り付けているので、下枠や縦見切り材の下側に水切り材を配置できる。また、水切り材と外壁材の開口面との間にシール材を充填しているので、水切り材の下方に配置される外壁材部分からの浸水を防止できる。
【0039】
本発明は、開口を区画する上材、下材および左右の縦材を備えて構成されて外壁材の室内側に配置される開口枠に取り付けられるサッシの施工方法であって、前記サッシは、上枠、下枠および左右の縦枠を枠組みした窓枠を有し、前記開口枠の少なくとも前記上材および左右の前記縦材、または、前記窓枠の少なくとも前記上枠および左右の前記縦枠に、緩衝部材を取り付ける緩衝部材取付工程と、前記開口枠に室内側から窓枠を取り付けて、前記開口枠および前記窓枠間を前記緩衝部材で塞ぐ窓枠取付工程と、前記窓枠の室内側に内装材を施工する内装材施工工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、開口を区画する上材、下材および左右の縦材のうち、少なくとも上材および左右の縦材に緩衝部材を取り付けているので、窓枠の下枠を開口枠の下材上に載置した際に、隙間が生じる上材および左右の縦材と、上枠および左右の縦枠間の水密性や気密性を確保できる。このため、施工現場において、湿式のシーリング材を用いる場合に比べて、作業性を向上でき、水密性や気密性の品質を安定させることができる。
【0040】
本発明のサッシの施工方法において、前記緩衝部材取付工程は、前記緩衝部材を、前記上材および前記縦材の見込み面に取り付け、前記窓枠取付工程は、前記窓枠の上枠および左右の縦枠の見込み面を前記緩衝部材に当接させて前記窓枠を前記開口枠に取り付けることが好ましい。
緩衝部材を上材、縦材の見込み面に取り付け、窓枠の上枠、縦枠の見込み面に当接させているので、緩衝部材の見込み方向の幅寸法を、開口枠や窓枠の見込み寸法と同程度まで大きくできる。このため、開口枠と緩衝部材の粘着面との見込み寸法や、緩衝部材と窓枠の当接面との見込み寸法を十分に確保でき、水密性や気密性も十分に確保できる。
また、緩衝部材を、開口枠の見込み面および窓枠の見込み面間に配置できるため、開口枠や窓枠に互いに見込み方向に重なる突出部を設ける必要が無く、窓枠を開口枠の室内側から容易に取り付けることができ、施工作業性を向上できる。
【符号の説明】
【0041】
1…サッシ、2…窓枠、3…障子、5…躯体開口枠、21…上枠、22…下枠、23…縦枠、24…縦枠、26…ヒンジ、27…スペーサ、28…補強材、31…上框、32…下框、33…縦框、34…縦框、35…面材、40…ブラケット、51…まぐさ、52…窓台、53…縦材、54…縦材、58…表面材、70…シーリングテープ、73…防水シート、75…バックアップ材、76…シール材、77…シーラー、81…上見切り材、82…水切り材、83…縦見切り材、84…縦見切り材、86…アタッチメント、88…気密材、91…外装材、94…内壁材、95…額縁、100…ネジ、511…見込み面、512…段部、521…見込み面、522…段部、523…段部、531…見込み面、532…段部、541…見込み面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7