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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113543
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】石油ストーブ
(51)【国際特許分類】
   F24C 5/16 20060101AFI20240815BHJP
   F24C 5/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
F24C5/16 E
F24C5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018610
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】旅河 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 篤
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 哲平
(57)【要約】
【課題】設計自由度を高め部品の共通化が可能な石油ストーブを提供する。
【解決手段】芯燃焼部50と、芯燃焼部50に載置した燃焼筒30と、燃焼筒30の外周に燃焼筒30と間隔を隔てて配設した安全ガード11と、安全ガード11に係止した吊り手40と、安全ガード11の内側に突出した吊り手40の端部40aより燃焼筒30側に配置され、燃焼筒30側に垂直に立設した側面部21cを備える保護部21dとを備え、側面部21cの燃焼筒30側の下端21bは、燃焼筒30が転倒したとき、燃焼筒30の上部より下方に位置することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の下部に備えた芯燃焼部と、
前記芯燃焼部に載置した燃焼筒と、
前記燃焼筒の外周に前記燃焼筒と間隔を隔てて配設した安全ガードと、
前記安全ガードに係止した吊り手と、
前記安全ガードの内側に突出した前記吊り手の端部より前記燃焼筒側に配置され、前記燃焼筒側に垂直に立設した側面部を備える保護部と、
を備え、
前記側面部の前記燃焼筒側の下端は、前記燃焼筒が転倒したとき、前記燃焼筒の上部より下方に位置する
ことを特徴とする石油ストーブ。
【請求項2】
前記側面部の前記燃焼筒側の上端は、前記吊り手の端部より上方に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の石油ストーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石油ストーブに関し、特に石油ストーブの消火性能の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の石油ストーブは、芯燃焼部と当該芯燃焼部に燃焼筒を載置して構成されており、機具本体の転倒時に、燃焼筒が芯燃焼部から確実に離脱して、消火時間を短くしようとする工夫がなされてきた。
例えば、特許文献1に示す石油ストーブには、比較的背が高い燃焼筒を安定して載置するために、燃焼筒の下部が他より大きく外側に拡がった載置部を備えており、このような燃焼筒が器具本体の転倒時に、芯燃焼部の透孔を有した反射板と芯燃焼部の火皿部との間に、燃焼筒の載置部が引っかかり、燃焼筒が芯燃焼部から離脱できず消火時間が長くなるのを防止するため、反射板の透孔前面側に、引っかかりを防止する係合防止壁を設けたものが示されている。
【0003】
しかし、近年の石油ストーブの燃焼筒は、特許文献1に示す石油ストーブが備えた燃焼筒の下部が他より大きく外側に拡がった載置部を、備えていないものが多い。これは、外側に拡がった載置部を備えなくとも十分に安定して使用できるまでに製造技術が向上し、使用者の使用環境も十分に水平が確保できる場所で使用されていることが理由と考えられる。
【0004】
ところで、燃焼筒の高さが比較的低い場合は、燃焼筒の下部が他より大きく外側に拡がった載置部が必要なく、さらに燃焼筒上部の本体内の空間に燃焼筒が離脱するのに十分な空間が存在し(例えば、特許文献2)、転倒時に燃焼筒が芯燃焼部から十分な距離に離脱されるため、消火時間が長くなるような問題は発生しないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭62‐30642号公報
【特許文献2】実開平3-128214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、とりわけ小型でコンパクトな石油ストーブでは、片手でも運搬できるよう、吊り手が搭載されていることが多い。図7に示すように、このような吊り手の端部が安全ガードの内側に突出している場合、比較的背の高い燃焼筒を使用すると、転倒時に燃焼筒が芯燃焼部から離脱する際に、この吊り手の端部に引っかかり燃焼筒が芯燃焼部から十分な距離に離脱できず、燃焼筒の下部と芯燃焼部との間に空気が流れ込みにくくなり、完全消火まで時間がかかる虞があった。そのため、吊り手の位置を本体最上部の天板の位置に係止させるなどの対応が検討できるが、吊り手の取り付け位置の自由度が低くなり、部品の共通化もできなくなるという不具合があり、改善の余地があった。
【0007】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、設計自由度を高め部品の共通化が可能な石油ストーブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1では、本体と、前記本体の下部に備えた芯燃焼部と、前記芯燃焼部に載置した燃焼筒と、前記燃焼筒の外周に前記燃焼筒と間隔を隔てて配設した安全ガードと、前記安全ガードに係止した吊り手と、前記安全ガードの内側に突出した前記吊り手の端部より前記燃焼筒側に配置され、前記燃焼筒側に垂直に立設した側面部を備える保護部と、を備え、前記側面部の前記燃焼筒側の下端は、前記燃焼筒が転倒したとき、前記燃焼筒の上部より下方に位置することを特徴とした。
【0009】
請求項2では、前記側面部の前記燃焼筒側の上端は、前記吊り手の端部より上方に位置することを特徴とした。
【発明の効果】
【0010】
この本発明によれば、設計自由度を高め部品の共通化が可能な石油ストーブを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態の石油ストーブの概略構成図
図2】本発明の第1の実施形態の要部拡大図
図3】本発明の第1の実施形態のA矢視図
図4】本発明の第1の実施形態の転倒直後の状態を示した説明図
図5】本発明の第1の実施形態の転倒直後の状態を示した要部拡大図
図6】本発明の第1の実施形態の転倒後の状態を示した説明図
図7】従来の実施形態の転倒状態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかる石油ストーブの第1の実施形態を図1から図6を参照して説明する。
【0013】
1は、第1の実施形態の係止金具20を備える円筒形の石油ストーブの本体で、置台56に固定され燃油を貯留した平面視で丸型の油タンク55と、この油タンク55の中央上方に芯燃焼部50と、芯燃焼部50の上方に安全ガード11で囲まれ、放熱を行う全周開放型の燃焼室14と、安全ガード11に係止された吊り手40および天板10とを備える。
【0014】
芯燃焼部50は、油タンク55に連通した燃芯53を上下動自在に内外方から案内する芯案内パイプ54および案内筒52と、この芯案内パイプ54の上端部と、この芯案内パイプ54の外周で外方に広がった図示しない案内板とで形成された火皿部51から構成される。
【0015】
30は、燃焼室14の中央に位置し、芯燃焼部50の上端の火皿部51に着脱自在に載置され、外周にガラス外筒32を、下部に燃焼筒載置部34を、上部に燃焼筒リング31を備えた比較的背が高い復筒式の燃焼筒である。
【0016】
安全ガード11は、金属製の棒状部材を縦向きに全周にわたって等間隔に配置した縦ガード12と、環状の棒状部材で縦ガード12に沿って水平方向に配置した横ガード13とで形成したもので、下部は芯燃焼部50の上部にねじ等で締結され、上部は天板10にねじ等で締結されているものである。
【0017】
吊り手40は、棒状部材をU字型に形成した一方と他方を、安全ガード11の左右に対称に備わる係止金具20に係止し、吊り手40の中央に図示しない握り部を備える。
【0018】
次に、係止金具20の構成について説明する。なお、係止金具20は石油ストーブ1の右側と左側に対称に備わるため、図2図3図5は左側のみを図示した。
【0019】
図2に示すように、係止金具20は、安全ガード11の内側の第1係止金具21と、安全ガード11の外側の第2係止金具22と、これらを締結するねじ部23から成り、第1係止金具21と第2係止金具22とを向かい合わせにして、離接する2本の縦ガード12と1本の横ガード13を挟み、ねじ部23で締結してあり、第2係止金具22に設けた開口部22aに吊り手40の一方端を通してある。
係止金具20は、安全ガード11の燃焼室14を挟んで対称となる位置にも設けてあり、対称となる側の第2係止金具22に設けた開口部22aに吊り手40の他方端を通して、吊り手40を回動自在に係止するものである。
【0020】
第1係止金具21は、図3に示すように、安全ガード11の内側(図3では「右」側)に突出した吊り手40の端部40aより燃焼筒30側に、垂直に立設した側面部21cを備える保護部21dを備え、この保護部21dの側面部21cの燃焼筒30側の下端21bは、図4のように石油ストーブ1が転倒した場合に、図5のように燃焼筒30の上部の燃焼筒リング31の当接部31aより下方に位置するように構成してある。
【0021】
さらに、側面部21cの燃焼筒30側の上端21aは、吊り手40の端部40aより上方に位置するように構成した。
【0022】
次に、第1の実施形態の係止の作用について図4から図6に基づいて説明する。
【0023】
側面部21cの燃焼筒30側の下端21bは、図5のように燃焼筒30の上部の燃焼筒リング31の当接部31aより下方に位置するように構成したので、図4のように石油ストーブ1が転倒し、吊り手40の一方または他方が燃焼筒30の下側(図4では「左」側)になるような転倒となった場合に、図5のように燃焼筒30の上部は、確実に係止金具20の側面部21cに当接し、図6のように側面部21cの表面を滑って燃焼筒30が芯燃焼部50から離脱し、燃焼筒30の下部と芯燃焼部50との間に空気が流れ込み、完全消火まで時間を要すことなく、消火できるものである。
【0024】
これにより、吊り手40の安全ガード11への取り付けでは、本発明の係止金具20を用いることで、転倒時の消火性能に影響することなく、吊り手40の取り付け位置の自由度が高くなるばかりか、他の製品と吊り手40の部品共通化ができるものである。
また、吊り手40を係止するための最低限必要な部品に、以上のごとく説明した保護部21dの機能を果す僅かな部品を追加して設けるだけで、万一の転倒時の安全消火に寄与でき、しかも消火時間が短く火災等を的確に防止でき安心して使用できるものである。
【0025】
なお、保護部21dは、保護部21dの側面部21cの上端21aと下端21bを上下に結ぶ稜線部21eを備えるような板金部品の構成で説明したが、稜線部21eを備えるよう棒状部材で構成してもよいものである。
【0026】
なお、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 :石油ストーブ
11 :安全ガード
21a :上端
21b :下端
21c :側面部
21d :保護部
30 :燃焼筒
40 :吊り手
40a :端部
50 :芯燃焼部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7