(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113545
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】経路案内システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240815BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240815BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
G01C21/34
G09B29/10 A
G09B29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018612
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】家根原 久代
(72)【発明者】
【氏名】京田 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】藤中 和花
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2C032HB05
2C032HC11
2C032HD07
2C032HD16
2C032HD21
2F129AA02
2F129BB03
2F129DD20
2F129DD53
2F129EE02
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2F129FF20
2F129FF32
2F129FF36
2F129FF72
2F129HH12
2F129HH35
(57)【要約】
【課題】街灯による明るさについての正確な情報に基づいて経路を検索し、安全性が十分に高い最適な経路を案内することのできる経路案内システムを提供する。
【解決手段】経路案内システム1は、利用者に対し、出発地から目的地までの経路を案内する経路案内システムであって、利用者の携帯端末17から送信された出発地と、目的地を少なくとも取得する取得部4と、道路を含む地図に関する地図情報が格納される地図情報格納部9と、経路を検索するための経路情報が格納される経路情報格納部10と、地図情報と、経路情報に基づいて経路を決定する経路決定部5と、決定される経路を出力する出力部7を備え、経路情報は、出発地と目的地が含まれる地域に設置される街灯についての街灯情報を含み、街灯情報は、街灯の明るさについての明るさ情報を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に対し、出発地から目的地までの経路を案内する経路案内システムであって、
前記利用者の端末から送信された前記出発地と、前記目的地を少なくとも取得する取得部と、
道路を含む地図に関する地図情報が格納される地図情報格納部と、
前記経路を検索するための経路情報が格納される経路情報格納部と、
前記地図情報と、前記経路情報に基づいて前記経路を決定する経路決定部と、
決定される前記経路を出力する出力部を備え、
前記経路情報は、前記出発地と前記目的地が含まれる地域に設置される街灯についての街灯情報を含み、
前記街灯情報は、前記街灯の明るさについての明るさ情報を含むことを特徴とする経路案内システム。
【請求項2】
前記明るさ情報は、前記街灯が備える照明具の型式と、この照明具の出力と、前記地図上において前記街灯が設置される位置を示す街灯位置座標と、前記照明具の明るさを評価する明るさ評価点とが、前記街灯を識別するための識別番号に関連付けされる街灯識別情報を含み、
前記明るさ評価点は、前記照明具の前記型式又は前記照明具の前記出力に基づいて求められることを特徴とする請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項3】
前記経路決定部は、前記街灯情報に加えて、
前記地域における犯罪及び事故についての犯罪等情報と、前記道路における交通量についての交通量情報と、前記地域に存在する店舗についての店舗情報と、前記地域に設置されるカメラについてのカメラ情報のうちの少なくともいずれかに基づいて、前記経路を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の経路案内システム。
【請求項4】
前記取得部は、前記利用者が、前記犯罪等情報と、前記交通量情報と、前記カメラ情報のうちから選択する優先情報を取得し、
前記経路決定部は、前記明るさ情報と、前記優先情報に基づいて、前記経路を決定することを特徴とする請求項3に記載の経路案内システム。
【請求項5】
前記経路決定部を備える制御部と、前記犯罪等情報を格納する犯罪等情報格納部と、前記交通量情報を格納する交通量情報格納部と、前記店舗情報を格納する店舗情報格納部と、前記カメラ情報を格納するカメラ情報格納部と、前記利用者の個人情報を格納する個人情報格納部を備え、
前記取得部は、前記利用者が、
前記街灯情報について新たに提供する提供街灯情報と、
前記犯罪等情報について新たに提供する提供犯罪等情報と、
前記交通量情報について新たに提供する提供交通量情報と、
前記店舗情報について新たに提供する提供店舗情報と、
前記カメラ情報について新たに提供する提供カメラ情報を、それぞれ取得し、
前記制御部は、前記提供街灯情報と、前記提供犯罪等情報と、前記提供交通量情報と、前記提供店舗情報と、前記提供カメラ情報を、前記経路情報格納部と、前記犯罪等情報格納部と、前記交通量情報格納部と、前記店舗情報格納部と、前記カメラ情報格納部にそれぞれ格納することを特徴とする請求項3に記載の経路案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地から出発地までの経路を案内する経路案内システムに係り、特に、経路に設置される街灯の明るさに基づいて、経路を決定する経路案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地から出発地までの複数の経路のうち、最適な経路を案内する経路案内システムが多く利用されている。この最適な経路の決定は、経路の最短距離や、交通機関の運賃等に基づいてなされるのが一般的である。しかし、従来の経路案内システムには、経路における明るさの観点から、最適な経路を検索する機能は搭載されておらず、特に子供や高齢者といった犯罪弱者にとって、安全性が十分に高いとまではいえなかった。
そこで、近年、経路における明るさの観点に基づいて、最適な経路を決定するための技術が開発されており、それに関して既に発明が開示されている。
【0003】
特許文献1には「経路案内システム、経路案内方法、および、コンピュータプログラム」という名称で、日没時に暗がりが発生する場所を避ける経路を優先して探索する経路案内システムに関する発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された発明は、経路案内システムであって、利用者の現在位置を表す現在位置情報を取得する現在位置取得部と、出発地と、目的地とを取得する起終点取得部と、出発地から目的地までの安全性の高い経路を探索する経路探索部と、利用者に対して経路を案内すると共に、現在位置が安全性の低い場所である場合に、安全性の低い場所である旨を利用者に対して提示する案内部と、日没時に暗がりが発生する場所を記憶する暗がり記憶部と、を備え、経路探索部は、日没後は、暗がりが発生する場所を避ける経路を優先して探索することによって、安全性の高い経路を探索することを特徴とする。
このような特徴を有する発明において、暗がりの場所とは、街灯および明かりのある施設の間隔が所定の距離以上である場所や、施設等の地物の場所であると定義されている。経路探索部は、このような暗がりの場所を通過する経路のリンクコストを増加させることで、暗がりの場所を避ける経路を優先して探索する。よって、特許文献1に開示された発明によれば、特に犯罪弱者にとって安全性の高い経路を探索することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された発明においては、街灯および明かりのある施設の間隔等に注目して、暗がりの場所を定義している。しかしながら、街灯による明るさは、照明具の種類(例えば、蛍光灯か、LEDランプか)や、性能(例えば、ワット数や、照明具から放出されるすべての光の量)によって様々に異なっていることから、街灯の間隔にのみ注目したのでは、暗がりであると判断される場所の正確性に欠けるおそれがある。
そのため、実際には暗がりであるのに、暗がりでないとされる場所を含む経路が探索結果として出力される場合が考えられる。したがって、特許文献1に開示された発明によっても、利用者の安全性を確保できないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、街灯による明るさについての正確な情報に基づいて経路を検索し、安全性が十分に高い最適な経路を案内することのできる経路案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の発明は、利用者に対し、出発地から目的地までの経路を案内する経路案内システムであって、利用者の端末から送信された出発地と、目的地を少なくとも取得する取得部と、道路を含む地図に関する地図情報が格納される地図情報格納部と、経路を検索するための経路情報が格納される経路情報格納部と、地図情報と、経路情報に基づいて経路を決定する経路決定部と、決定される経路を出力する出力部を備え、経路情報は、出発地と目的地が含まれる地域に設置される街灯についての街灯情報を含み、街灯情報は、街灯の明るさについての明るさ情報を含むことを特徴とする。
【0008】
このような構成の発明において、経路案内システムは、1台または複数台のコンピュータで構成される。前者の場合、取得部と、地図情報格納部と、経路情報格納部と、経路決定部と、出力部のすべてが、1台のコンピュータに備えられる。後者の場合、例えば、地図情報格納部と、経路情報格納部の少なくともいずれかが、2台以上のコンピュータに備えられることになる。
【0009】
また、街灯の明るさについての明るさ情報として、例えば、経路に沿って設置される街灯の合計設置数や、この合計設置数を経路の距離で割った平均設置数のほか、街灯が備える照明具の出力(例えば、ワット数や全光束(単位:ルーメン))を採用することが考えられる。
【0010】
上記構成の発明においては、取得部が出発地と目的地を取得すると、経路決定部が、地図情報格納部を参照し、例えば、複数の道路を経路候補として抽出する。そして、経路決定部は、経路情報格納部を参照し、地域のうち、各経路候補を含む複数の区域毎に設置される街灯の明るさ情報を抽出し、複数の経路候補のうちで抽出した明るさ情報の程度が最大になる経路候補を最適な経路として決定する。その後、出力部が、決定される最適な経路を利用者へ通知する。
【0011】
次に、第2の発明は、第1の発明において、明るさ情報は、街灯が備える照明具の型式と、この照明具の出力と、地図上において街灯が設置される位置を示す街灯位置座標と、照明具の明るさを評価する明るさ評価点とが、街灯を識別するための識別番号に関連付けされる街灯識別情報を含み、明るさ評価点は、照明具の型式又は照明具の出力に基づいて求められることを特徴とする。
【0012】
このような構成の発明においては、第1の発明の作用に加えて、明るさ情報は、照明具の型式又は照明具の出力に基づいて求められる明るさ評価点であり、照明具の型式及び照明具の出力と、街灯位置座標は街灯の識別番号に関連付けされている。そのため、例えば、経路候補に沿って設置される街灯の街灯位置座標が抽出されると、識別番号を介し、抽出された街灯位置座標における街灯が備える照明具の型式及び照明具の出力が求められる。
なお、照明具の出力として、例えば、全光束が採用される。また、照明具の型式に対応する出力は既知であるから、型式のみを参照することによっても出力を知ることができる。
【0013】
ここで、従来、蛍光灯はワット数でその出力が評価されてきたのに対し、LEDランプは全光束(ルーメン:lm)でその出力が評価される。そのため、複数の街灯がそれぞれ備える照明具として、蛍光灯とLEDランプが混在していると、照明具同士の明るさを一律に比較できないという課題がある。
そこで、例えば、蛍光灯のワット数をLEDランプの全光束に変換する変換データを用いることで、上記の課題を解決することができる。そして、例えば、この変換データを用いて演算された全光束を、明るさ評価点をすると、抽出された街灯位置座標における照明具同士の明るさを直接比較することが可能となる。
また、求められた明るさ評価点は、街灯位置座標を利用し、利用者が地図で閲覧可能にプロットされてもよい。このとき、地図上に街灯が光を照射可能な範囲を、明るさ評価点の大小に比例した大きさに調整して表示してもよい。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、経路決定部は、街灯情報に加えて、地域における犯罪及び事故についての犯罪等情報と、道路における交通量についての交通量情報と、地域に存在する店舗についての店舗情報と、地域に設置されるカメラについてのカメラ情報のうちの少なくともいずれかに基づいて、経路を決定することを特徴とする。
このような構成の発明において、犯罪等情報は、例えば、警察が提供する事件事故発生マップを利用するものである。また、交通量情報は、例えば、自治体等が提供する交通量マップを利用するものである。
さらに、店舗情報とは、例えば、地図上において店舗が存在する位置を示す店舗位置座標と、店舗毎の開店時間に関する情報であり、カメラ情報とは、地図上においてカメラが存在する位置を示すカメラ位置座標である。
【0015】
上記構成の発明においては、第1又は第2の発明の作用に加えて、経路決定部は、例えば、犯罪等情報に基づき、所定の期間内において、経路候補に沿って発生した犯罪や事故の合計数である犯罪事故数を演算する。また、経路決定部は、例えば、交通量情報に基づき、所定の日、時間内において、経路候補を通過した自動車の合計台数である自動車台数を演算する。また、経路決定部は、例えば、店舗情報に基づき、経路候補に沿って開店している店舗の合計数である店舗数を演算し、カメラ情報に基づき、経路候補に沿って設置されるカメラの合計台数であるカメラ台数を演算する。
そして、経路決定部は、明るさ情報の程度が最大になることに加えて、犯罪等の発生や交通量が少ない、または開店している店舗数が多い、または設置されるカメラの台数が多いといった経路を、最適な経路として決定する。
【0016】
第4の発明は、第3の発明において、取得部は、利用者が、犯罪等情報と、交通量情報と、カメラ情報のうちから選択する優先情報を取得し、経路決定部は、明るさ情報と、優先情報に基づいて、経路を決定することを特徴とする。
このような構成の発明において、優先情報とは、犯罪等情報と、交通量情報と、カメラ情報のうちのいずれか一つである。また、経路決定部は、明るさ情報と優先情報を直接利用するほか、例えば、明るさ情報に含まれる明るさ評価点に対応する明るさ指数と優先情報に対応する優先指数をそれぞれ演算し、明るさ評価点や明るさ指数と、優先指数に基づいて、経路を決定してもよい。
【0017】
なお、明るさ指数として、明るさ評価点を経路候補の距離で割った平均明るさ評価点が考えられる。同様に、優先指数としては、犯罪事故数を経路候補の距離で割った平均犯罪事故数や、自動車台数を経路候補の距離で割った平均自動車台数のほか、カメラ台数を経路候補の距離で割った平均カメラ台数が考えられる。
上記構成の発明においては、第3の発明の作用に加えて、例えば、経路決定部は、明るさ評価点や平均明るさ評価点が最大となり、かつ犯罪事故数や平均犯罪事故数が最小である経路を最適の経路として決定することができる。
また、経路決定部は、明るさ評価点や平均明るさ評価点が最大となり、かつ自動車台数や平均自動車台数が最小である経路を最適の経路として決定することができる。
このほか、経路決定部は、明るさ評価点や平均明るさ評価点が最大となり、かつカメラ台数や平均カメラ台数が最大である経路を最適の経路として決定することができる。
【0018】
第5の発明は、第3の発明において、経路決定部を備える制御部と、犯罪等情報を格納する犯罪等情報格納部と、交通量情報を格納する交通量情報格納部と、店舗情報を格納する店舗情報格納部と、カメラ情報を格納するカメラ情報格納部と、利用者の個人情報を格納する個人情報格納部を備え、取得部は、利用者が、街灯情報について新たに提供する提供街灯情報と、犯罪等情報について新たに提供する提供犯罪等情報と、交通量情報について新たに提供する提供交通量情報と、店舗情報について新たに提供する提供店舗情報と、カメラ情報について新たに提供する提供カメラ情報を、それぞれ取得し、制御部は、提供街灯情報と、提供犯罪等情報と、提供交通量情報と、提供店舗情報と、提供カメラ情報を、経路情報格納部と、犯罪等情報格納部と、交通量情報格納部と、店舗情報格納部と、カメラ情報格納部にそれぞれ格納することを特徴とする。
【0019】
このような構成の発明においては、第3の発明の作用に加えて、格納直前の街灯情報乃至カメラ情報の各内容は、それぞれ提供街灯情報乃至提供カメラ情報の各内容に更新される。
また、上記構成の発明においても、第3の発明と同様に、経路決定部は、街灯情報に加えて、犯罪等情報と、交通量情報と、店舗情報と、カメラ情報のうちの少なくともいずれかに基づいて、経路を決定する。よって、経路決定部は、常に最新の街灯情報等に基づいて、経路を決定することになる。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、経路決定部は、複数の経路候補のうちで抽出した明るさ情報の程度が最大になる経路候補を最適な経路として決定することから、安全性が十分に高い最適な経路を案内することができる。
【0021】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、抽出された街灯位置座標における明るさ評価点が求められるので、街灯による明るさについての正確な情報に基づいて経路を検索することができる。
【0022】
第3の発明によれば、第1又は第2の発明の効果に加えて、経路決定部は、明るさ情報の程度が最大になることに加えて、上記の犯罪事故数等のうちの少なくともいずれかを利用して最適な経路を決定することから、利用者に対し、安全性が一層高く保障された経路を通知することができる。
【0023】
第4の発明によれば、第3の発明の効果に加えて、経路決定部は、利用者が選択する優先情報に基づいて、明るさ情報に基づく明るさ評価点等が最大となり、かつ犯罪事故数等が最小となる等の経路を最適の経路として決定することができる。すなわち、明るさの程度に加えて、利用者が最も重視する安全性に関する要素を経路の決定の際に取り込むことができる。
【0024】
第5の発明によれば、第3の発明の効果に加えて、街灯情報乃至カメラ情報の各内容は、それぞれ提供街灯情報乃至提供カメラ情報の各内容に更新されることから、経路決定部は、常に最新の街灯情報等に基づいて経路を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施例に係る経路案内システムの構成図である。
【
図2】実施例に係る経路案内システムの第1の処理工程を示す工程図である。
【
図3】実施例に係る経路案内システムの第2の処理工程を示す工程図である。
【
図4】実施例に係る経路案内システムの第3の処理工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0026】
本発明の実施の形態に係る経路案内システムについて、
図1乃至
図4を用いて詳細に説明する。
図1は、実施例に係る経路案内システムの構成図である。
図1に示すように、実施例に係る経路案内システム1は、利用者に対し、目的地から出発地までの経路を案内する経路案内システムであって、制御部2と、通信部3と、取得部4と、経路決定部5と、記憶部6と、出力部7を内蔵するコンピュータ8を備える。
さらに、経路案内システム1は、地図情報格納部9と、経路情報格納部10と、犯罪等情報格納部11と、交通量情報格納部12と、店舗情報格納部13と、カメラ情報格納部14と、個人情報格納部15からなる格納部16を備える。この格納部16を構成する地図情報格納部9乃至個人情報格納部15は、それぞれ独立して、ネットワーク30を介し、コンピュータ8と双方向通信可能に構成されるサーバーである。
ただし、後述するステップS4´の経路決定工程において、犯罪等情報、交通量情報、店舗情報、カメラ情報に基づかないで経路を決定する場合、すなわちステップS2の経路候補抽出工程において演算される経路候補の距離に基づいて経路を決定する場合は、犯罪等情報格納部11と、交通量情報格納部12と、店舗情報格納部13と、カメラ情報格納部14は省略されてもよい。
【0027】
また、利用者が用いる携帯端末17は、ネットワーク30を介して、ナビゲーション用サーバー18と双方向通信可能に構成されているスマートフォンや、タブレット端末であり、出発地等の入力や、経路の表示がなされる表示画面17aを備える。
そして、ナビゲーション用サーバー18は、ネットワーク30を介し、コンピュータ8と双方向通信可能に構成されるサーバーであって、複数の利用者がナビゲーション用サーバー18にアクセスして、経路案内システム1の機能を利用することができるアプリケーションがインストールされている。
【0028】
コンピュータ8のうち、制御部2は、経路案内システム1を構成する通信部3等のすべてを制御可能なCPUである。通信部3は、ナビゲーション用サーバー18から送信された目的地等のデータを受信したり、出力部7が出力する最適な経路等のデータをナビゲーション用サーバー18へ送信したりする。
取得部4は、通信部3から取得したデータ、すなわち、利用者の携帯端末17から送信された出発地と、目的地と、後述する優先情報等を取得して制御部2に伝達する。
制御部2は、このデータを記憶部6へ記憶させたり、経路決定部5にこのデータを用いた演算を実行させたりする。なお、経路決定部5は、後述する地図情報と、経路情報に基づいて利用者に案内するための最適な経路を決定する。また、記憶部6は、経路決定部5によって決定された最適な経路等のすべてのデータを記憶する。
また、出力部7は、経路決定部5によって決定される経路や、後述する利用者への問い合わせを出力し、通信部3へ伝達する。
【0029】
次に、格納部16のうち、地図情報格納部9は、道路を含む地図に関する地図情報が格納される。この地図情報は、例えば、二次元の位置座標(X,Y)で構成されるデータ群であって、道路等の位置座標を含んでいる。そして、この地図情報は、携帯端末17においても表示可能であるため、携帯端末17において出発地と目的地が入力されると、これらの座標が地図上で認識される。
【0030】
経路情報格納部10は、経路を検索するための経路情報が格納される。この経路情報は、出発地と目的地が含まれる地域に設置される街灯についての街灯情報を含んでいる。そして、この街灯情報は、街灯の明るさについての明るさ情報を含んでいる。
【0031】
犯罪等情報格納部11は、地域における犯罪及び事故についての犯罪等情報を格納する。この犯罪等情報は、例えば、警察が提供する事件事故発生マップを利用するものであって、事件や事故の発生日時や、発生場所が含まれている。
交通量情報格納部12は、地域内の道路における交通量についての交通量情報を格納する。この交通量情報は、例えば、自治体等が提供する交通量マップを利用するものであって、道路を通過する自動車台数の時間毎の値が含まれている。
【0032】
店舗情報格納部13は、地域における店舗についての店舗情報を格納する。この店舗情報は、地図上において店舗が存在する位置を示す店舗位置座標と、店舗毎の開店時間に関する情報である。
カメラ情報格納部14は、地域に設置されるカメラ情報を格納する。このカメラ情報は、地図上においてカメラが存在する位置を示すカメラ位置座標である。
個人情報格納部15は、利用者の契約番号や、メールアドレス等の個人情報が格納される。
【0033】
次に、経路案内システム1の処理工程について、
図2を用いて説明する。
図2は、実施例に係る経路案内システムの第1の処理工程を示す工程図である。
図2に示すように、経路案内システム1は、経路案内方法100を実行する。この経路案内方法100は、第1の処理工程であるステップS1の出発地等取得工程乃至ステップS5の通知工程を備える。以下、各工程について説明する。
【0034】
まず、ステップS1の出発地等取得工程は、取得部4が、利用者が携帯端末17を用いて入力した出発地と、目的地と、出発地を出発する日時と、利用者の契約番号及びメールアドレスを、ナビゲーション用サーバー18と、通信部3を介して取得する工程である。この出発地と、目的地は、地図情報格納部9に格納されている地図上で認識可能な二次元座標データとして、携帯端末17において入力されたものである。
【0035】
そして、取得した目的地等のデータは、取得部4が制御部2へ伝達する。ここで、制御部2は、個人情報格納部15を参照し、伝達された利用者の契約番号及びメールアドレスが、個人情報格納部15に格納されている契約番号等と一致するか否かを判定し、一致すると判定する場合はステップS2の経路候補抽出工程を実行する。
これに対し、制御部2が契約番号等と一致しないと判定する場合は、出力部7と、通信部3と、ナビゲーション用サーバー18を介し、利用者に対して、経路案内ができない旨のメッセージ文を通知する。このメッセージ文は、記憶部6に記憶されているテキスト形式の定型文であり、制御部2によって読み出されるものである。
【0036】
ステップS2の経路候補抽出工程は、経路決定部5が、地図情報格納部9に格納されている地図情報を参照して、この地図情報に含まれる複数の道路を、経路候補として抽出する工程である。
この工程では、まず経路決定部5が、出発地から目的地までを結ぶ複数の道路を検索する。そして、経路決定部5は、抽出した複数の道路の全長についてそれぞれ距離を演算し、この距離が短い順にいくつかの道路を経路候補として抽出する。このような道路の検索や距離の演算は公知の方法による。
【0037】
ステップS3の明るさ評価点抽出工程は、経路決定部5が、経路候補に沿って設置される街灯が備える照明具の明るさ評価点を抽出する工程である。
この工程において、経路決定部5は、地図情報格納部9に格納されている地図情報と、経路情報格納部10に格納されている経路情報を参照する。経路情報は、出発地と目的地が含まれる地域に設置される街灯についての街灯情報を含んでいる。そして、この街灯情報は、街灯の明るさについての明るさ情報を含んでいる。
【0038】
明るさ情報は、街灯識別情報を含んでいる。この街灯識別情報は、街灯が備える照明具の型式と、照明具の出力と、照明具が点灯している日時と、地図上において街灯が設置される位置を示す街灯位置座標と、照明具の明るさを評価する明るさ評価点とが、街灯を識別するための識別番号に関連付けされている情報である。このうち、明るさ評価点は、照明具の型式又は照明具の出力に基づいて求められる。
詳細には、街灯識別情報は、識別番号毎に、照明具の型式と、型式に対応する照明具の種類(蛍光灯と、LEDランプ)と、型式に対応する照明具の出力(蛍光灯のワット数及びこのワット数に対応する全光束と、LEDランプの全光束)と、街灯位置座標と、明るさ評価点とが、配列されたテーブルである。このうち、照明具の出力である蛍光灯のワット数に対応する全光束は、予め蛍光灯のワット数を全光束に換算するデータを用いて演算され、街灯識別情報のテーブルに記憶された値である。よって、明るさ評価点とは、街灯位置座標毎の全光束である。
【0039】
また、経路候補に沿って設置される街灯とは、経路候補の道路を示す座標を中心にして、道路の幅方向に一定距離にある領域に設置されている街灯である。この一定距離は、地図情報上で、予め任意の値に設定されているので、領域も地図情報上の二次元座標として認識される。
よって、経路決定部5は、上記の領域の二次元座標と、街灯位置座標毎の明るさ評価点を参照し、経路候補に沿って設置される複数の街灯がそれぞれ備える照明具毎の明るさ評価点を抽出することができる。なお、この明るさ評価点は、照明具が点灯している日時によって異なる。例えば、照明具が点灯している日時には、明るさ評価点がそのまま用いられるが、照明具が消灯している日時には、明るさ評価点はゼロとされる。
【0040】
ステップS4の経路決定工程は、経路決定部5が、経路候補に沿って設置される街灯が備える照明具毎に抽出した明るさ評価点に基づいて、明るさ評価点が最大になる経路候補を、最適な経路として決定する工程である。
詳細には、経路決定部5は、例えば、予め設定された明るさ評価点の閾値以上となる明るさ評価点を合計し、この合計数が最大になる経路候補を、最適な経路として決定する。この場合、明るさ評価点の合計数は1以上である。
これに対し、明るさ評価点が閾値未満となるために、明るさ評価点の合計数がゼロになる場合には、経路決定部5が、この明るさ評価点の評価に加えて、例えば、地域に存在する店舗についての店舗情報に基づいて、経路を決定する。このような工程は、ステップS4´の経路決定工程である。
【0041】
ステップS4´の経路決定工程は、経路決定部5が、街灯情報である明るさ情報に加えて、店舗情報に基づき、複数の経路候補に沿ってそれぞれ開店している店舗の合計数である各店舗数を演算する。そして、経路決定部5は、複数の経路候補のうち、演算した店舗数が最大の経路を最適な経路として決定する。
なお、経路決定部5は、ステップS4´の経路決定工程として、店舗数の代わりに、地域における犯罪及び事故についての犯罪等情報、道路における交通量についての交通量情報、地域に設置されるカメラについてのカメラ情報、のいずれか、またはこれらの組み合わせに基づいて、経路を決定してもよい。あるいは、経路決定部5は、店舗数や犯罪等情報等の代わりに、地域における経路候補の距離に基づいて、経路を決定してもよい。
前述の組み合わせにより経路を決定する場合、例えば、犯罪等情報と、交通量情報を組み合わせるとき、経路決定部5は、それぞれに基づいて独立に抽出した二つの経路が一致する場合は、一方の経路を最適な経路として決定し、二つの経路が一致しない場合は、双方の経路を最適な経路として決定することができる。
【0042】
上記のうち、経路決定部5が犯罪等情報に基づいて経路を決定する場合は、後述するステップS3-2の平均犯罪事故数演算工程において演算される犯罪事故数が最小である経路を最適の経路として決定する。
また、経路決定部5が交通量情報に基づいて経路を決定する場合は、後述するステップS3-3の平均自動車台数演算工程において演算される自動車台数が最小である経路を最適の経路として決定する。
さらに、経路決定部5がカメラ情報に基づいて経路を決定する場合は、後述するステップS3-4の平均カメラ台数演算工程において演算されるカメラ台数が最大である経路を最適の経路として決定する。
そして、経路決定部5が経路候補の距離に基づいて経路を決定する場合は、ステップS2の経路候補抽出工程において演算される経路候補の距離が最短である経路を最適の経路として決定する。
【0043】
ステップS5の通知工程は、経路決定部5が決定した最適な経路を、利用者へ通知する工程である。この最適な経路は、地図情報上で認識可能な二次元座標データであって、出力部7が出力して通信部3へ伝達する。
次いで、通信部3は、最適な経路をナビゲーション用サーバー18へ送信し、このナビゲーション用サーバー18が最適な経路を携帯端末17に対して送信する。これにより、携帯端末17は、その表示画面17aに表示された地図上において、最適な経路を表示する。なお、経路決定部5が複数の経路を決定するときは、例えば、一方の経路は犯罪等情報に、他方の経路は交通量情報に基づいて決定したものであるといった注釈が、表示画面17aに表示されるようにしてもよい。
そして、通信部3が最適な経路を携帯端末17に対して送信すると、経路決定部5は経路案内方法100を終了する。
【0044】
以上説明したように、経路案内システム1によれば、実行する経路案内方法100において、街灯位置座標毎の全光束を明るさ評価点として用いているため、街灯が備える照明具の種類の関わらず、その明るさについての正確な情報に基づいて経路を検索することができる。
また、経路決定部5が、明るさ評価点の合計点が最大になる経路候補を最適な経路として決定することから、安全性が十分に高い最適な経路を案内することができる。
さらに、経路決定部5は、明るさ評価点の合計点に加えて、犯罪事故数等のうちの少なくともいずれかを利用して最適な経路を決定することもできるので、利用者に対し、安全性が一層高く保障された経路を通知することができる。
【0045】
次に、実施例の経路案内システムについて、
図3を用いて説明する。
図3は、実施例に係る経路案内システムの第2の処理工程を示す工程図である。
図3に示すように、実施例に係る経路案内システム1は、犯罪等情報格納部11と、交通量情報格納部12と、店舗情報格納部13と、カメラ情報格納部14が省略されない場合の、経路案内システム1であり、第2の処理工程を備える経路案内方法100Aを実行する。
【0046】
経路案内方法100Aは、経路案内方法100が備えるステップS1の出発地等取得工程と、ステップS2の経路候補抽出工程と、ステップS5の通知工程に加えて、ステップS1-1の優先情報取得工程を備える。
さらに、経路案内方法100Aは、ステップS3の明るさ評価点抽出工程の代わりに、ステップS3-1の平均明るさ評価点演算工程と、ステップS3-2の平均犯罪事故数演算工程と、ステップS3-3の平均自動車台数演算工程と、ステップS3-4の平均カメラ台数演算工程を備える。
加えて、経路案内方法100Aは、ステップS4,S4´の経路決定工程の代わりに、ステップS4-1の犯罪事故数経路決定工程と、ステップS4-2の自動車台数経路決定工程と、ステップS4-3のカメラ台数経路決定工程を備える。以下、各工程について説明する。
【0047】
ステップS3-1の平均明るさ評価点演算工程では、経路決定部5が、経路候補に沿って設置される街灯が備える照明具の明るさ評価点を抽出することに加えて、明るさ評価点に対応する明るさ指数を演算する。この明るさ指数として、例えば、抽出した明るさ評価点の経路候補毎の合計数(個)を、ステップS2の経路候補抽出工程で演算した経路候補毎の距離(km)でそれぞれ割った平均明るさ評価点(個/km)が用いられる。よって、平均明るさ評価点は、経路候補毎に、単位距離当たりの街灯の明るさを把握し得る値となる。
【0048】
ステップS1-1の優先情報取得工程では、取得部4が、通信部3等を介して優先情報を取得する工程である。この優先情報とは、利用者が、犯罪等情報と、交通量情報と、カメラ情報のうちから選択して、携帯端末17に入力し、ナビゲーション用サーバー18が、入力された優先情報を通信部3へ送信する。
この後、取得部4が優先情報を制御部2へ伝達すると、経路決定部5が、優先情報の内容に応じて、これ以降に実行する工程を選択する。
具体的には、経路決定部5は、優先情報が犯罪等情報である場合(図中A)、ステップS3-2の平均犯罪事故数演算工程を実行し、優先情報が交通量情報である場合(図中B)、ステップS3-3の平均自動車台数演算工程を実行し、優先情報がカメラ情報である場合(図中C)、ステップS3-4の平均カメラ台数演算工程を実行する。
また、ステップS1-1の優先情報取得工程では、利用者が、優先情報を携帯端末17に入力できるように、制御部2は、出力部7と、通信部3等を介して、利用者に対して犯罪等情報等のうちから選択して、優先情報として入力するよう案内するメッセージ文を予め携帯端末17へ送信して表示させる。このメッセージ文は、記憶部6に記憶されており、制御部2によって読み出されるものである。なお、携帯端末17での表示は、ステップS1の出発地等取得工程の直後に行われてもよい。
【0049】
ステップS3-2の平均犯罪事故数演算工程では、経路決定部5が、犯罪等情報に基づき、所定の期間内において、経路候補に沿って発生した犯罪や事故の合計数である犯罪事故数(件)を演算する。さらに、経路決定部5は、経路候補毎の犯罪事故数(件)を、ステップS2の経路候補抽出工程で演算した経路候補毎の距離(km)でそれぞれ割った平均犯罪事故数(件/km)を演算する。よって、平均犯罪事故数は、経路候補毎に、単位距離当たりの犯罪や事故の発生件数を把握し得る値となる。
【0050】
ステップS3-3の平均自動車台数演算工程では、経路決定部5が、交通量情報に基づき、所定の日、時間内において、経路候補を通過した自動車の合計台数である自動車台数を演算する。さらに、経路決定部5は、経路候補毎の自動車台数(台)を、ステップS2の経路候補抽出工程で演算した経路候補毎の距離(km)でそれぞれ割った平均自動車台数(台/km)を演算する。よって、平均自動車台数は、経路候補毎に、単位距離当たりを通過する自動車台数を把握し得る値となる。
【0051】
ステップS3-4の平均カメラ台数演算工程では、経路決定部5が、カメラ情報に基づき、所定の期間内において、経路候補に沿って設置されるカメラの合計台数であるカメラ台数(台)を演算する。さらに、経路決定部5は、経路候補毎のカメラ台数を、ステップS2の経路候補抽出工程で演算した経路候補毎の距離(km)でそれぞれ割った平均犯罪事故数(台/km)を演算する。よって、平均カメラ台数は、経路候補毎に、単位距離当たりに設置されるカメラ台数を把握し得る値となる。
【0052】
そして、ステップS3-2の平均犯罪事故数演算工程が実行された後、ステップS4-1の犯罪事故数経路決定工程が実行される。このステップS4-1の犯罪事故数経路決定工程では、経路決定部5が、街灯情報に加えて、犯罪等情報に基づいて、最適な経路を決定する。
具体的には、経路決定部5は、平均明るさ評価点が最大であり、かつ平均犯罪事故数が最小である経路を、最適な経路として決定する。より詳細には、経路決定部5は、平均明るさ評価点が最大である経路(1)と、平均犯罪事故数が最小である経路(2)をそれぞれ独立に抽出し、経路(1)と経路(2)が一致する場合に、経路(1)を最適な経路として決定する。ただし、これは、街灯の点灯時間を考慮して平均明るさ評価点がゼロより大きい場合であり、ステップS3-3の平均自動車台数演算工程とステップS3-4の平均カメラ台数演算工程においても同様である。
また、経路決定部5は、経路(1)と経路(2)が一致しない場合に、経路(1)と経路(2)の双方を最適な経路として決定し、あるいは、街灯の消灯時間を考慮して平均明るさ評価点の合計数がゼロになる場合には、経路(2)を最適な経路として決定する。
【0053】
また、ステップS3-3の平均自動車台数演算工程が実行された後、ステップS4-2の自動車台数経路決定工程が実行される。ステップS4-2の自動車台数経路決定工程は、経路決定部5が、街灯情報に加えて、交通量情報に基づいて、最適な経路を決定する。
具体的には、経路決定部5は、平均明るさ評価点が最大であり、かつ平均自動車台数が最小である経路を、最適な経路として決定する。より詳細には、経路決定部5は、平均明るさ評価点が最大である経路(1)と、平均自動車台数が最小である経路(3)をそれぞれ独立に抽出し、経路(1)と経路(3)が一致する場合に、経路(1)を最適な経路として決定する。
また、経路決定部5は、経路(1)と経路(3)が一致しない場合に、経路(1)と経路(3)の双方を最適な経路として決定し、あるいは、街灯の消灯時間を考慮して平均明るさ評価点の合計数がゼロになる場合には、経路(3)を最適な経路として決定する。
【0054】
このほか、ステップS3-4の平均カメラ台数演算工程が実行された後、ステップS4-3のカメラ台数経路決定工程が実行される。ステップS4-3のカメラ台数経路決定工程は、経路決定部5が、街灯情報に加えて、カメラ情報に基づいて、最適な経路を決定する。
具体的には、経路決定部5は、平均明るさ評価点が最大であり、かつ平均カメラ台数が最大である経路を、最適な経路として決定する。より詳細には、経路決定部5は、平均明るさ評価点が最大である経路(1)と、平均カメラ台数が最大である経路(4)をそれぞれ独立に抽出し、経路(1)と経路(4)が一致する場合に、経路(1)を最適な経路として決定する。
また、経路決定部5は、経路(1)と経路(4)が一致しない場合に、経路(1)と経路(4)の双方を最適な経路として決定し、あるいは、街灯の消灯時間を考慮して平均明るさ評価点の合計数がゼロになる場合には、経路(4)を最適な経路として決定する。
【0055】
上記のとおり、経路決定部5が最適な経路を決定すると、経路決定部5はステップS5の通知工程を実行した後、経路案内方法100Aを終了する。なお、ステップS5の通知工程においては、経路決定部5は、経路(1)は最も明るい経路であり、経路(2)は最も犯罪事故数が少ない経路である、といった、経路(1)乃至経路(4)についての注釈が、携帯端末17の表示画面17aに表示されるようにしてもよい。
【0056】
以上説明したように、経路案内システム1が実行する経路案内方法100Aによれば、経路決定部5は、明るさ評価点や平均明るさ評価点に加えて、優先情報に基づいて最適な経路を決定することから、利用者に対し、安全性が一層高く保障された経路を通知することができる。
そして、優先情報は、利用者が、平均犯罪事故数、平均自動車台数、平均カメラ台数のうちから選択するため、利用者が最も重視する安全性に関する要素を経路の決定の際に取り込むことができる。その結果、利用者の希望に応じた、精度の高い経路案内が可能である。これ以外の経路案内方法100Aの効果は、経路案内方法100の効果と同様である。
【0057】
さらに、実施例の経路案内システムについて、
図4を用いて説明する。
図4は、実施例に係る経路案内システムの第3の処理工程を示す工程図である。
図4に示すように、実施例に係る経路案内システム1は、犯罪等情報格納部11と、交通量情報格納部12と、店舗情報格納部13と、カメラ情報格納部14が省略されない場合の、経路案内システム1であり、第3の処理工程を備える経路案内方法100Bを実行する。
【0058】
経路案内方法100Bは、経路案内方法100,100Aがそれぞれ備えるステップS1の出発地等取得工程乃至ステップS5の通知工程の後に、ステップS6の問い合わせ工程と、ステップS7の街灯情報等取得工程と、ステップS8の街灯情報等格納工程を備える。以下、各工程について説明する。
ステップS6の問い合わせ工程は、利用者が新たな情報を提供する意思があるか否かを問い合わせるための工程である。この新たな情報とは、街灯情報について新たに提供する提供街灯情報、犯罪等情報について新たに提供する提供犯罪等情報、交通量情報について新たに提供する提供交通量情報、店舗情報について新たに提供する提供店舗情報、カメラ情報について新たに提供する提供カメラ情報の少なくともいずれかである。
【0059】
このステップS6の問い合わせ工程では、経路決定部5が、記憶部6に記憶されているテキスト形式の定型のメッセージ文を読み出して出力部7に伝達する。
出力部7は、通信部3を介し、このメッセージ文をナビゲーション用サーバー18へ送信する。次いで、ナビゲーション用サーバー18は、携帯端末17の表示画面17aに、最適な経路と、送信されたメッセージ文を表示させるとともに、このメッセージ文に対する利用者の回答を入力するための入力欄を表示する。利用者は、この入力欄へ、新たな情報を提供する意思がある、意思がない、のいずれかと、意思がある場合はその内容を入力する。
【0060】
次に、ステップS7の街灯情報等取得工程は、取得部4が、利用者の回答を、ナビゲーション用サーバー18と、通信部3を介して取得する工程である。そして、取得した回答は、取得部4が制御部2へ伝達する。
そして、制御部2に伝達された回答が新たな情報を提供する意思がないというものであった場合は、制御部2は、経路案内方法100Bを終了する。
これに対し、制御部2に伝達された回答が新たな情報を提供する意思があるというものであった場合は、制御部2は、ステップS8の街灯情報等格納工程を実行する。
【0061】
ステップS8の街灯情報等格納工程では、制御部2は、伝達された提供街灯情報を経路情報格納部10に、提供犯罪等情報を犯罪等情報格納部11に、提供交通量情報を交通量情報格納部12に、提供店舗情報を店舗情報格納部13に、提供カメラ情報をカメラ情報格納部14に、それぞれ格納する。これにより、格納直前の街灯情報乃至カメラ情報の各内容は、それぞれ提供街灯情報乃至提供カメラ情報の各内容に更新される。なお、格納のためには、コンピュータ8の操作者が、提供街灯情報乃至提供カメラ情報をコンピュータ8の表示画面(図示省略)に表示して、格納直前の街灯情報乃至カメラ情報に上書き、または別ファイルにて保存する操作を行う。
そして、制御部2は、出力部7と、通信部3と、ナビゲーション用サーバー18を介し、情報提供に対するお礼を述べるメッセージ文を記憶部6から読み出して利用者に送信し、経路案内方法100Bを終了する。
【0062】
以上説明したように、経路案内システム1が実行する経路案内方法100Bによれば、格納直前の街灯情報乃至カメラ情報の各内容は、それぞれ提供街灯情報乃至提供カメラ情報の各内容に更新されることから、経路決定部5は、常に最新の街灯情報等に基づいて経路を決定することができる。よって、以前よりも明るさが減った経路や、犯罪等の発生件数が増加した経路等が案内されることがないので、利用者は、長期に亘り、安心して経路案内システム1を利用することができる。これ以外の経路案内方法100Bの効果は、経路案内方法100または経路案内方法100Aの効果と同様である。
【0063】
なお、本発明に係る経路案内システム1及び経路案内方法100,100A,100Bは、実施例に示すものに限定されない。例えば、経路案内システム1において、地図情報格納部9乃至個人情報格納部15は、コンピュータ8を構成する記憶部6に設けられていてもよい。
また、経路案内方法100,100A,100Bにおいて、取得部4が利用者の携帯端末17の位置を示すGPS(全地球測位システム)データを経時的に取得しておき、経路決定部5がこのGPSデータと決定された最適の経路の座標位置と比較した結果、両者が異なると判定する場合、ステップS5の通知工程の直後に、注意喚起をするメッセージ文を携帯端末17に送信する注意喚起工程が実行されてもよい。
さらに、経路案内方法100のステップS4´の経路決定工程は、省略されてもよい。
1…経路案内システム 2…制御部 3…通信部 4…取得部 5…経路決定部 6…記憶部 7…出力部 8…コンピュータ 9…地図情報格納部 10…経路情報格納部 11…犯罪等情報格納部 12…交通量情報格納部 13…店舗情報格納部 14…カメラ情報格納部 15…個人情報格納部 16…格納部 17…携帯端末 17a…表示画面 18…ナビゲーション用サーバー 30…ネットワーク 100,100A,100B…経路案内方法