(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113548
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】樹脂管用継手
(51)【国際特許分類】
F16L 19/06 20060101AFI20240815BHJP
F16L 19/12 20060101ALI20240815BHJP
F16L 47/04 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
F16L19/06
F16L19/12
F16L47/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018616
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000201593
【氏名又は名称】前澤給装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 向
【テーマコード(参考)】
3H014
3H019
【Fターム(参考)】
3H014FA04
3H014GA05
3H019HA02
(57)【要約】
【課題】高密度ポリエチレン(PE100)管に適した構造を有する樹脂管用継手を提供すること。
【解決手段】樹脂管用継手100は、樹脂管Pの軸方向一方側内に挿し込まれるインコア4を有する継手本体1と、樹脂管Pの外周面Paに嵌められると共に、継手本体1内に形成されたパッキン挿入部1d内に挿入されたパッキン5と、樹脂管Pの外周面Paに嵌められると共に、パッキン5の軸方向他方側に配置された環状部材3と、樹脂管Pの外周面Paに嵌められると共に、環状部材3の軸方向他方側に配置されたリング6と、継手本体1の外周部1jに形成された雄ねじ部1iに、環状部材3及びリング6を覆うようにして螺合させる袋ナット2と、を備えている。樹脂管Pは、高密度ポリエチレン製で、基準外径を最小厚さで除した値であるSDRが6~11である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂管の軸方向一方側内が挿し込まれるインコアを有する継手本体と、
前記樹脂管の外周面に嵌められると共に、前記継手本体内に形成されたパッキン挿入部内に挿入されたパッキンと、
前記樹脂管の外周面に嵌められると共に、前記パッキンの軸方向他方側に配置された環状部材と、
前記樹脂管の外周面に嵌められると共に、前記環状部材の軸方向他方側に配置されたリングと、
前記継手本体の外周部に形成された雄ねじ部に、前記環状部材及び前記リングを覆うようにして螺合させる袋ナットと、を備えた樹脂管用継手であって、
前記樹脂管は、高密度ポリエチレン製で、基準外径を最小厚さで除した値であるSDRが6~11である、
樹脂管用継手。
【請求項2】
前記インコアは、該インコアが嵌められる前記継手本体のインコア挿入部に圧入、ねじ接合、接着あるいは溶着によって固定されている、
請求項1に記載の樹脂管用継手。
【請求項3】
前記インコアは、当該インコアのコア外周面に凹凸部を有し、金属製である、
請求項1に記載の樹脂管用継手。
【請求項4】
前記インコアは、当該インコアのコア外周面に凸部を有し、高密度ポリエチレン製であり、該インコアが嵌められる前記継手本体のインコア挿入部に前記凸部を潰して圧入によって固定されている、
請求項1に記載の樹脂管用継手。
【請求項5】
前記リングは、当該リングのリング内周面に複数の爪部を有する樹脂製であり、
前記複数の爪部は、前記樹脂管が挿入される管挿入側に形成された第1爪部の角度よりも、他の爪部の角度の方が、鋭角に形成されている、
請求項1に記載の樹脂管用継手。
【請求項6】
前記パッキンは、前記樹脂管において、当該樹脂管に挿入された前記インコアのコア外周面の凹凸部が無い部分の管外径部に配置されている、
請求項3に記載の樹脂管用継手。
【請求項7】
前記継手本体は、前記雄ねじ部の軸方向一方側にフランジ部を有し、
前記袋ナットの軸方向一方向側は、前記継手本体の前記雄ねじ部に前記袋ナットの雌ねじ部を螺合させて、前記樹脂管を締め付けたときに、前記フランジ部に突き当たる突き当て形状に形成されている、
請求項1に記載の樹脂管用継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂管用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、給水管には、長年に亘って軟質(低密度)のポリエチレン管(JIS K 6762 水道用ポリエチレン二層管 (1種二層管)、適用材料:PE50(密度0.915g/cm3以上))が使用されている。
【0003】
近年では、耐震性の向上及び長期での使用(より長寿命)が見込める高密度ポリエチレン管も使用されている。高密度ポリエチレン管用の継手としては、例えば、特許文献1に記載された管接合部の構造が知られている。
【0004】
特許文献1に記載の管接合部の構造は、インコアを挿入した高密度ポリエチレン管に、ロックリングを外嵌させることで、インコアが高密度ポリエチレン管から抜けるのを抑制している。さらに、管接合部の構造は、インコアを覆う押輪と、ゴム輪を覆うフランジ管継手との間にリテーナを介在して、押輪とフランジ管継手とを複数のボルト・ナットで締付けて押圧することで、ゴム輪で継手を止水している。
【0005】
なお、高密度ポリエチレン製の管には、次の3種類の規格がある。
一つ目が、「日本ポリエチレンパイプシステム協会 JP K 001 給水設備用ポリエチレン管(1種管)」(株式会社クボタケミックス 水道給水用高密度ポリエチレン1種管ブルー)と、「日本ポリエチレンパイプシステム協会 JP K 001 給水設備用ポリエチレン管(3種管)」(呼び20-Jのみ、株式会社クボタケミックス 水道給水用高密度ポリエチレン3種管ブルー)である。
【0006】
二つ目が、「日本ポリエチレンパイプシステム協会 JP K 002 PE100 水道用ポリエチレン二層管(1種二層管)」(株式会社クボタケミックス 水道給水用高密度ポリエチレン1種二層管)である。
三つ目が、「建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会 PWA005 給水用高密度ポリエチレン管」(積水化学工業株式会社 エスロハイパーAW)である。
【0007】
管寸法として、一つ目の一方の高密度ポリエチレン製の管と、二つ目の高密度ポリエチレン製の管は、同寸法であり、三つ目の高密度ポリエチレン製の管とは管外径が同じで厚さが異なる。このように、高密度ポリエチレン製の管には、管の寸法で二つの種類がある。
【0008】
また、例えば、呼び20では、一つ目の一方の高密度ポリエチレン製の管と、二つ目の高密度ポリエチレン製の管は同寸法であり、一つ目の他方の高密度ポリエチレン製の管と、三つ目の高密度ポリエチレン製の管とは管外径が同じで厚さが異なる。このように、高密度ポリエチレン製の管には、管の呼びで三つの種類がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001-82653号公報
【特許文献2】特開2018-71591号公報
【特許文献3】特開平11-248075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載されている管接合部の構造のような管継手に使用される高密度ポリエチレン管(PE100、密度0.942g/cm3以上)は、低密度のポリエチレン管と比べると固く、高強度である。
【0011】
このため、管端部にインコアを圧入した樹脂管を金属製の継手本体に挿入して袋ナットで固定する金属継手(例えば、特許文献2参照)では、インコアを高密度ポリエチレン管に打ち込めないという問題点があった。
【0012】
また、袋ナットを継手本体のねじ部にねじ込むことによって、袋ナットの絞り部内のテーパ面が、接続管を保持する締め付け環の外表面を絞ることで、接続管を接続する継手が知られてる(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3に記載の継手では、締め付け環の内面に形成された凹凸が当接する高密度ポリエチレン管が硬い場合、袋ナットの締め付けトルクが重くなるので、施工ができないといった問題点がった。
【0013】
本発明は、高密度ポリエチレン(PE100)管に適した構造を有する樹脂管用継手を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、本発明は、樹脂管の軸方向一方側内が挿し込まれるインコアを有する継手本体と、前記樹脂管の外周面に嵌められると共に、前記継手本体内に形成されたパッキン挿入部内に挿入されたパッキンと、前記樹脂管の外周面に嵌められると共に、前記パッキンの軸方向他方側に配置された環状部材と、前記樹脂管の外周面に嵌められると共に、前記環状部材の軸方向他方側に配置されたリングと、前記継手本体の外周部に形成された雄ねじ部に、前記環状部材及び前記リングを覆うようにして螺合させる袋ナットと、を備えた樹脂管用継手であって、前記樹脂管は、高密度ポリエチレン製で、基準外径を最小厚さで除した値であるSDR(Standard Dimension Ratio)が6~11である。
ここで「SDR」とは、樹脂管の基準外径と最小厚さの比(SDR=D/t)である。以下、樹脂管の基準外径と最小厚さの比を適宜「SDR」という。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、高密度ポリエチレン(PE100)管に適した構造を有する樹脂管用継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る樹脂管用継手の一例を示す断面図である。
【
図6】本発明に係る樹脂管用継手の変形例を示す断面図である。
【
図7A】本発明に係る樹脂管用継手の変形例を示す図であり、継手本体の側面図である。
【
図7B】本発明に係る樹脂管用継手の変形例を示す図であり、継手本体の中央縦断面図である。
【
図8A】本発明に係る樹脂管用継手の変形例を示す図であり、インコアの側面図である。
【
図8B】本発明に係る樹脂管用継手の変形例を示す図であり、インコアの中央縦断面図である。
【
図8D】本発明に係る樹脂管用継手の変形例を示す図であり、インコアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る樹脂管用継手100を、
図1~
図5を参照して説明する。
なお、方向を説明する際は、
図1に示す継手本体1側を前(一方側)、袋ナット2側を後(他方側)として説明する。
【0018】
≪樹脂管用継手≫
図1に示すように、樹脂管用継手100は、例えば、水道用の樹脂管Pを繋ぐための配管継手である。樹脂管用継手100は、継手本体1と、袋ナット2と、環状部材3と、パッキン5と、リング6と、を備えて構成されている。樹脂管用継手100は、継手本体1の接続部1k内にパッキン5を挿入し、継手本体1の端面1mに対向するように環状部材3を配置して樹脂管Pの先端部を挿入し、接続部1kの雄ねじ部1iに、リング6を挿入した袋ナット2の雌ねじ部2aを螺合させて、樹脂管Pを締め付けて接続する継手である。
【0019】
なお、本発明の実施形態に係る樹脂管用継手100は、水道水等の液体用を供給する配管の継手として利用されるものに限定されることはなく、気体のシールを必要とする場合を含め、流体の管路体の接続用として利用することができる。以下、本発明の樹脂管用継手100の一例として、水道用の樹脂管Pから成る配管を接続する場合を例に挙げて説明する。
【0020】
≪樹脂管≫
図1に示すように、樹脂管Pは、樹脂管用継手100によって接続される配管である。樹脂管Pは、例えば、耐震性及び長期静水圧強度が優れている水道給水用高密度ポリエチレン管(日本ポリエチレンパイプシステム協会規格:JP K 001,002、使用材料:PE100、あるいは、建築設備用ポリエチレンパイプシステム研究会 PWA005 給水用高密度ポリエチレン管)等の樹脂製のもので、基準外径と最小厚さの比SDR(Standard Dimension Ratio)が6~11(さらに詳しくは、SDR=6.71~10.91)のものが使用されている。
【0021】
樹脂管Pに使用する原料樹脂またはコンパウンドは、エチレン重合体を主体とし、ISO 9080の外挿方法、及び、ISO 12162の分類表でPE100に分類される高密度ポリエチレンである。
【0022】
樹脂管Pの接続側の開口端(前端部)内には、インコア4が挿入されている。インコア4及び樹脂管Pの前端部は、継手本体1の接続部1k内に挿入されている。この場合、樹脂管Pは、高密度ポリエチレン製であっても、管の厚さが薄ければ(基準外径と最小厚さの比SDRが大きければ)、袋ナット2の締め付けも容易に行うことができる。
【0023】
<インコア>
図1または
図5に示すように、インコア4は、樹脂管Pの前端部側(軸方向一方側)内に挿し込まれる部材である。インコア4に、樹脂管Pの前端部内が挿し込まれることで、樹脂管Pの前端部を保持すると共に、樹脂管Pを内側から補強して、樹脂管Pが縮径変形するのを抑制している。インコア4は、例えば、円筒形状の金属製部材によって形成されている。インコア4は、具体例を挙げると、呼び30または40で、銅合金(例えば、青銅)CAC902 JIS H 5120銅及び銅合金鋳物、あるいは、CAC902C JIS H 5121 銅合金連続鋳造鋳物から成る。インコア4は、樹脂管Pの大きさに対応したものが使用される。インコア4のコア外周面4aには、凹凸部4bと、大径部4cと、インコア雄ねじ部4dと、小径部4eと、を有している。インコア4の円筒状のコア内周面4fの前端部には、拡開部4gを有している。
【0024】
図5に示すように、インコア4のコア外周面4aは、前端部に大径部4cが形成され、大径部4cの後側に小径部4eが形成されている。このため、インコア4は、段付きの円筒形状に形成されている。
【0025】
図1または
図5に示すように、凹凸部4bは、樹脂管Pの内周面Pbに食い込んで、樹脂管Pが樹脂管用継手100から離脱するのを抑止するための抜け出し防止突起である。凹凸部4bは、インコア4のコア外周面4aの後端部に形成された断面視して爪形状の複数の環状突起と該環状突起に隣接する複数の環状凹部とから成る。凹凸部4bの環状突起は、後端部側が傾斜して形成されて、前端部側が垂直に形成され、断面視して直角三角形に形成されている。凹凸部4bの環状突起は、略鋸刃形状に形成されているので、樹脂管Pの抜けを防止できる。また、凹凸部4bの環状凹部に樹脂管Pの内周面Pbが縮径して入り込むため、締付トルクを低減させることができる。
【0026】
小径部4eは、樹脂管Pの前端部内に挿入される箇所である。小径部4eのコア外周面4aは、後端側に凹凸部4bが形成され、凹凸部4bの前端が円筒状に形成されている。
【0027】
このように形成されたインコア4は、樹脂管用継手100を袋ナット2で締め付けた際に、金属製のコア外周面4aの凹凸部4bに樹脂管Pを変形(縮径)させることで、樹脂管Pの抜け防止と、締付トルクの低減と、を図ることができる。樹脂管Pは、インコア4に挿入することで、縮径するのが抑制されるので、樹脂管Pの抜けを抑制することができる。このため、しっかりと樹脂管用継手100に固定させることができる。
【0028】
大径部4cは、小径部4eよりも外径が大きく、小径部4eに対して段差状に形成された環状の鍔部である。このため、大径部4cの後端面は、樹脂管Pにインコア4を圧入したときに、樹脂管Pの前端面が当接するストッパになっている。大径部4cには、インコア挿入部1bの雌ねじ部に螺着されるインコア雄ねじ部4dが形成されている。
【0029】
なお、インコア4は、継手本体1のインコア挿入部1bにインコア雄ねじ部4dが固定されればよく、ねじ接合することに限定されるものではない。インコア4は、インコア挿入部1bに圧入、接着あるいは溶着することによって固定してもよい。
【0030】
≪継手本体≫
図1、
図2Aあるいは
図2Bに示すように、継手本体1は、軸方向に延設された筒状の胴である。継手本体1は、例えば、CAC902、CAC902Cの銅合金等の金属製から成る。継手本体1には、通水孔1a、インコア挿入部1b、管挿入部1c、パッキン挿入部1d、小径雄ねじ部1f、工具係合部1g、フランジ部1h、雄ねじ部1i、接続部1k及び端面1mが形成されている。継手本体1は、インコア4が嵌められるインコア挿入部1bを有する。継手本体1は、雄ねじ部1iの軸方向一方側にフランジ部1hを有している。
【0031】
図1及び
図2Bに示すように、継手本体1の内周面1eには、軸心線方向に水道水が流れる通水孔1aが形成されている。その通水孔1aの内周面1eには、中央部から後端部に亘って順に、インコア挿入部1b、管挿入部1c、パッキン挿入部1dが形成されている。継手本体1の外周部1jには、前側から後端に亘って順に、小径雄ねじ部1f、工具係合部1g、フランジ部1h、雄ねじ部1iが形成されている。
【0032】
図1または
図2Bに示すように、インコア挿入部1bは、インコア4が装着される円筒状の箇所である。インコア挿入部1bには、例えば、インコア4のコア外周面4aにインコア雄ねじ部4dに螺合する雌ねじが形成されている。インコア挿入部1bの後側寄りの部位には、管挿入部1cが連続して形成されている。
【0033】
管挿入部1cは、樹脂管Pの外周面Paの前端部が挿入配置される箇所である。管挿入部1cは、ストレートの円筒形状に形成されている。
【0034】
パッキン挿入部1dは、樹脂管Pの外周面Paに外嵌されたパッキン5が内嵌される箇所である。パッキン挿入部1dは、接続部1kの内側内面に形成されている。パッキン挿入部1dは、前側に形成された第1拡径部1d1と、第1拡径部1d1の後側に連続形成された第2拡開部1d2と、から成る。第1拡径部1d1の傾斜角度は、第2拡開部1d2の傾斜角度よりも、大きく急な斜面に形成されている。
【0035】
図1及び
図2Bに示すように、小径雄ねじ部1fは、樹脂管用継手100の継手本体1を他の配管(図示省略)等に接続するための継手や止水栓等が取り付けられる螺合部位である。小径雄ねじ部1fの後側には、工具係合部1gが形成されている。
【0036】
図1、
図2A及び
図2Bに示すように、工具係合部1gは、小径雄ねじ部1fを取付部材(図示省略)のねじ部に螺合させたり、雄ねじ部1iに袋ナット2を螺合させたりする際に、スパナ等の工具を係合させる箇所である。工具係合部1gは、八角形のナット状に形成されている。工具係合部1gの後側には、適宜な間隔を介してフランジ部1hが形成されている。
【0037】
フランジ部1hは、袋ナット2を予め設定した所定値以上の締付力で締め付けたときに、雄ねじ部1iに螺合した袋ナット2の前端が当接するストッパである。フランジ部1hは、雄ねじ部1iの前側に形成された円板状に形成された鍔部から成る。
【0038】
図1または
図2Bに示すように、雄ねじ部1iは、袋ナット2の雌ねじ部2aが螺合する箇所である。雄ねじ部1iは、袋ナット2を標準の締付力で締め付ける(強く締め付ける)ことで、縮開傾斜面2bによってリング6が縮径して樹脂管Pを締め付けるように構成されている。
【0039】
接続部1kには、外周面1jに前記雄ねじ部1iが形成され、内周面1eに前記パッキン挿入部1dが形成されている。接続部1kは、雄ねじ部1iに袋ナット2を強く締め付けることで、パッキン挿入部1dによってパッキン5を縮径させて樹脂管Pを締め付けるように構成されている。接続部1kの後端には、端面1mが形成されている。
図1に示すように、端面1mは、環状部材3の前面が当接または対向して配置される箇所である。
【0040】
このように構成された継手本体1と、前記インコア4は、
図1に示すように、樹脂管Pの外径止水構造にすることで、内径寸法の異なる樹脂管Pにインコア4の交換で対応(継手本体1を兼用)できるように構成されている。樹脂管用継手100は、継手本体1と別部品としたインコア4を変更することで、内径の異なる樹脂管Pに対応できるので、施工を容易にすることができる。このため、インコア4を打ち込みでなく、継手本体1に圧入、ねじ接合等で取り付けることができる構造とした。
【0041】
<パッキン>
図1に示すように、パッキン5は、パッキン挿入部1dと、樹脂管Pの外周面Paとの間に介在されるゴム(例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム)製のリング状部材である。
図4に示すように、パッキン5の外周面には、前端部に面取部5aを有し、面取部5aの後側に前方に向かって傾斜しているテーパ面5bを有している。このため、パッキン5の外周面は、継手本体1の第1拡径部1d1及び第2拡開部1d2に密着する形状に形成されている。
【0042】
パッキン5の内周面には、後半部に前方に向かって縮径した縮径傾斜面5cを有し、前半部に後方に向かって縮径している縮径傾斜面5dを有している。このため、パッキン5は、軸側に凸形状に形成されているので、パッキン5内に樹脂管Pを挿入し易く形成されている。また、パッキン5は、袋ナット2を締め付けると、環状部材3に押圧されて、樹脂管Pの外周面Paに密着し易い形状に形成されている。なお、パッキン5の内周面は、縮径傾斜面5dを樹脂管Pと平行、または、縮径傾斜面5cと同方向の異なる角度の傾斜面としてもよい。
【0043】
図1に示すように、パッキン5は、樹脂管Pの外周面Paに嵌められると共に、継手本体1内に形成されたパッキン挿入部1d内に挿入されている。パッキン5は、樹脂管Pにおいて、当該樹脂管Pに挿入されたインコア4のコア外周面4aの凹凸部4bが無い部分の管外径部に配置されている。つまり、パッキン5は、袋ナット2を締め付けることで、リング6を介在して環状部材3に押圧されて、継手本体1の第1拡径部1d1及び第2拡開部1d2により、インコア4のコア外周面4aの凹凸部4bがない部分の樹脂管Pの外周面Paに密着する。このため、パッキン5は、樹脂管用継手100の止水性を安定させる機能を有している。
【0044】
<環状部材>
図1に示すように、環状部材3は、袋ナット2を締め付けた際に、リング6を介在してパッキン5を押圧してパッキン挿入部1d及び樹脂管Pの外周面Paに押し当てて密着させる、リング6によりパッキン5が傷つくのを防ぐための部材である。また、環状部材3は、袋ナット2を締め付けた際に、継手本体1の端面1mに当接することで、パッキン5の締付力が過剰にならないように規制する機能を備えている。環状部材3は、平座金形状に形成された黄銅、真鍮、ステンレス鋼等の金属、または、ポリエチレン等の樹脂から成る。環状部材3は、樹脂管Pの外周面Paに嵌められると共に、継手本体1の軸方向一方側の端面1m、及び、パッキン5に当接または対向して配置されている。
【0045】
<袋ナット>
図1に示すように、袋ナット2は、環状部材3及びリング6を覆うように配置されて、継手本体1の外周部1jの後側(軸方向他方側)に形成された雄ねじ部1iに螺合されるナットである。袋ナット2は、継手本体1の雄ねじ部1iに、雌ねじ部2aを螺合させて、樹脂管Pと継手本体1とのシール及び抜け止めを行うように、リング6を締め付けるように設けられている。袋ナット2は、雌ねじ部2aと、縮開傾斜面2bと、フランジ部当接部2cと、段差形状部2dと、を有している。袋ナット2は、例えば、銅合金、CAC406によって形成されている。
【0046】
袋ナット2の前端(軸方向一方向側)は、継手本体1の雄ねじ部1iに袋ナット2の雌ねじ部2aを螺合させて、樹脂管Pを所望以上の大きな力で無理やり締め付けたときに、継手本体1のフランジ部1hに突き当たる突き当て形状に形成されている。袋ナット2は、継手本体1に突き当たるように構成されていることで、施工完了と、リング6の食い込み量と、を規定している。その食い込み量が少ない場合は、樹脂管Pが樹脂管用継手100から抜け、食い込み過ぎる場合は、樹脂管Pの破断に繋がる。
【0047】
図1に示すように、縮開傾斜面2bは、袋ナット2を締め付けた場合に、リング6の後端に形成されたテーパ面6bに接して、前方向に押圧するための部位である。この縮開傾斜面2bは、締付方向(前方向)へ徐々に拡径するように袋ナット2の内面にテーパ状に形成されている。縮開傾斜面2bは、袋ナット2が締め付けられて軸方向へ変位すると、リング6のテーパ面6bを押圧して樹脂管Pの挿入方向へ締め付けるようになっている。
【0048】
フランジ部当接部2cは、フランジ部1hの後側外周部と当接する箇所である。フランジ部当接部2cは、袋ナット2を締め付けた場合に、袋ナット2の締め付け過ぎるのを防ぐ役目を果たす箇所である。
段差形状部2dは、接続部1kと袋ナット2の間の環状部材3が配置されるスペースで、断面視して略L字状に形成された環状の段差部である。
【0049】
<リング>
図1に示すように、リング6は、樹脂管Pの前端部(軸方向一方側寄り)側の外周面Paに嵌められる抜け止め部材である。
図3Aに示すように、リング6は、スリット6eを有する正面視して、C字状の略筒形状に形成されている。リング6は、例えば、ポリアセタール(POM)等の樹脂によって形成されている。このように、リング6は、樹脂製にすることによって、袋ナット2の締付時に、樹脂管Pが共回りするのを抑制することができる。
【0050】
リング6は、
図1に示すように、樹脂管Pの外周面Paに嵌められると共に、環状部材3の後側に配置されている。
図3B及び
図3Cに示すように、リング6は、リング外周面6aにテーパ面6bを有し、リング内周面6cに複数の爪部6dを有し、前側に環状部材3に当接する前端面6fを有している。
【0051】
図1に示すように、リング6は、袋ナット2を継手本体1の雄ねじ部1iにねじ込むと、袋ナット2の縮開傾斜面2bによって前方向に押されて、前端面6fが継手本体1の端面1mに配置された環状部材3を押圧する。このため、リング6は、圧縮されて、リング内周面6cの複数の爪部6dが樹脂管Pの外周面Paに食い込むように構成されている。
【0052】
図1に示すように、テーパ面6bは、袋ナット2を継手本体1に締め付けたときに、袋ナット2の内側の縮開傾斜面2bに押圧される面である。テーパ面6bは、縮開傾斜面2bと同じテーパ角度で傾斜している。つまり、テーパ面6bは、軸線に対して鋭角になるように、緩やかな傾斜面に形成されている。
【0053】
図3A及び
図3Bに示すように、爪部6dは、リング内周面6cに適宜な間隔で複数形成された環状の突起から成る。各爪部6dは、断面視して後側に傾斜面を有する直角三角形に形成されている。爪部6dは、第1爪部6d1と、第2爪部6d2と、第3爪部6d3と、第4爪部6d4との4つの突起から成る。
【0054】
図3Cに示すように、複数の爪部6dは、樹脂管Pが挿入される管挿入側(後側)に形成された第1爪部6d1の角度θ1よりも、他の第2爪部6d2、第3爪部6d3及び第4爪部6d4の角度θ2,θ3,θ4の方が、鋭角に形成されている。
【0055】
第1爪部6d1の角度θ1は、例えば、60度±10度である。第2爪部6d2、第3爪部6d3及び第4爪部6d4の角度θ2は、例えば、45度±5度である。複数の爪部6dは、このような角度θ1,θ2で形成することによって、リング6は、後端部側の第1爪部6d1が、樹脂管Pの外周面Paに食い込み難く、前端部側(リング6の奥側の方が樹脂管Pの外周面Paに食い込み易い。このように第2爪部6d2、第3爪部6d3及び第4爪部6d4は、先端が鋭利に形成した場合、樹脂管Pが破損し易い。このため、第2爪部6d2、第3爪部6d3及び第4爪部6d4の先端には、平面6gが形成されている。
【0056】
このように形成されたリング6は、樹脂管Pを後方向に引っ張って引き抜こうとすると、爪部6dが更に樹脂管Pの外周面Paに食い込み、樹脂管Pが樹脂管用継手100から抜けるのを防止することができる。
【0057】
図3Aに示すように、スリット6eは、リング6の後端から先端方向へ向けて切り込むように切欠形成された割溝である。スリット6eの大きさ等は、樹脂管Pのサイズや、袋ナット2を締め付けたときに、リング6が樹脂管Pを締め付ける締付力等に応じて適宜変更してもよい。
【0058】
[作用]
次に、
図1~
図5を参照して、本発明の実施形態に係る樹脂管用継手100の作用を組付順について説明する。
【0059】
始めに、継手本体1と袋ナット2のねじ接合を緩めておく。または、継手本体1から袋ナット2、リング6、環状部材3及びパッキン5を外し、樹脂管Pに嵌めておく。なお、この他、全部の部品を継手本体1から外しておいてもよい。
【0060】
次に、樹脂管Pの前端部を、継手本体1の管挿入部1cに挿入する。継手本体1から袋ナット2、リング6、環状部材3及びパッキン5を外し樹脂管Pに嵌めた場合は、パッキン5をパッキン挿入部1d内に挿入する。続いて、袋ナット2の雌ねじ部2aを、環状部材3及びリング6を介在して継手本体1の雄ねじ部1iに螺合させて軽くねじ込む。すると、袋ナット2の縮開傾斜面2bが、リング6及び環状部材3を介在して、パッキン5を押圧して、パッキン5の面取部5a及びテーパ面5bを第1拡径部1d1及び第2拡開部1d2に押し込む。
【0061】
さらに、袋ナット2を標準の締付力(さらに強い締付力)で締め付けると、
図1に示すように、袋ナット2の縮開傾斜面2bが、リング6のテーパ面6bを押圧して、リング6を介在して環状部材3を継手本体1の端面1mに押し当てる。すると、リング6は、圧縮して、リング内周面6cが樹脂管Pの外周面Paに押し当てられることで、複数の爪部6dが樹脂管Pの外周面Paに食い込む。このため、リング6の第1爪部6d1、第2爪部6d2、第3爪部6d3及び第4爪部6d4は、袋ナット2の締付力によって発生した押圧力で樹脂管Pに食い込んで、樹脂管Pが継手本体1から抜けるのを抑制することができる。
【0062】
これにより、例えば、地震等によって、樹脂管Pに後方向に引っ張る引張力がかかった場合、凹凸部4bが樹脂管Pの内周面Pbに食い込んだインコア4により、樹脂管Pが抜けるのが抑制される。さらに、リング6の爪部6dは、樹脂管Pの外周面Paに食い込むので、さらに樹脂管Pの抜け止めを抑制することができる。
【0063】
これにより、樹脂管用継手100は、樹脂管Pの接合強度が向上されて、耐震性及び長期静水圧強度が優れている水道給水用高密度ポリエチレン管を強固に接続することができる。また、樹脂管用継手100は、一般の継手と同程度の締付トルク(公益社団法人日本水道協会 JWWA B 116 水道用ポリエチレン管金属継手)で、樹脂管Pの共回りを防止する施工性と、樹脂管Pの抜出しの阻止力と、を有している。また、樹脂管用継手100は、継手本体1をそのまま使用して兼用し、インコア4を前記した三つの規格に対応したものに組み換えることによって、三つの規格に対応した継手とすることができる。このため、樹脂管用継手100は、安価に三つの規格に対応した継手を提供することができる。
【0064】
このように、本発明は、
図1に示すように、樹脂管Pの軸方向前側内に挿し込まれるインコア4を有する継手本体1と、樹脂管Pの外周面Paに嵌められると共に、継手本体1内に形成されたパッキン挿入部1d内に挿入されたパッキン5と、樹脂管Pの外周面Paに嵌められると共に、パッキン5の軸方向後側に配置された環状部材3と、樹脂管Pの外周面Paに嵌められると共に、環状部材3の軸方向後側に配置されたリング6と、継手本体1の外周部1jに形成された雄ねじ部1iに、環状部材3及びリング6を覆うようにして螺合させる袋ナット2と、を備えた樹脂管用継手100であって、樹脂管Pは、高密度ポリエチレン製で、基準外径を最小厚さで除した値であるSDRが6~11である。
【0065】
かかる構成によれば、本発明の樹脂管用継手100は、樹脂管Pを、高密度ポリエチレン製で、SDRが6~11にしたことで、高密度ポリエチレン(PE100)管に適した構造を有している。
【0066】
また、
図1に示すように、インコア4は、該インコア4が嵌められる継手本体1のインコア挿入部1bに圧入、ねじ接合、接着あるいは溶着によって固定されている。また、インコア4は、樹脂管Pの大きさに合わせて交換することによって、内径寸法の異なる樹脂管Pに対応(継手本体1を兼用)させることができる。
【0067】
かかる構成によれば、インコア4は、継手本体1のインコア挿入部1bに圧入、ねじ接合、接着あるいは溶着によって固定されているので、継手本体1内に強固に固定することができる。
【0068】
また、
図1及び
図5に示すように、インコア4は、当該インコア4のコア外周面4aに凹凸部4bを有し、金属製である。
【0069】
かかる構成によれば、インコア4は、コア外周面4aに凹凸部4bを有し、金属製であるので、袋ナット2を締め付けたときに、凹凸部4bが樹脂管Pの内周面Pbに食い込んで、樹脂管Pをしっかりと固定することができる。このため、インコア4は、樹脂管Pを抜け難くすることができるので、PE100から成る樹脂管Pであっても、引張荷重に対して抜け難くすることができると共に、締付トルクを低減させることができる。
【0070】
また、
図3A~
図3Cに示すように、リング6は、当該リング6のリング内周面6cに複数の爪部6dを有する樹脂製であり、複数の爪部6dは、樹脂管Pが挿入される管挿入側に形成された第1爪部6d1の角度θ1よりも、他の爪部(第2爪部6d2、第3爪部6d3及び第4爪部6d4)の角度θ2,θ3,θ4の方が、鋭角に形成されている。
【0071】
かかる構成によれば、リング6は、樹脂製であることで、適宜な強度を有した複数の爪部6dを容易に形成することができる。また、複数の爪部6dは、第1爪部6d1の角度θ1よりも、他の第2爪部6d2、第3爪部6d3及び第4爪部6d4の角度θ2,θ3,θ4の方を鋭角に形成したことで、しっかりと樹脂管Pの外周面Paに食い込ませて固定させることができる。また、樹脂管用継手100は、地震等によって継手本体1から樹脂管Pが抜ける(引張)荷重が発生した際に、リング6によって樹脂管Pの抜け出し防止性(接合強度)を向上させて、抜け出しによる漏水を抑制することができる。
【0072】
また、
図1に示すように、パッキン5は、樹脂管Pにおいて、当該樹脂管Pに挿入されたインコア4のコア外周面4aの凹凸部4bが無い部分の管外径部に配置されている。
【0073】
かかる構成によれば、パッキン5は、インコア4のコア外周面4aの凹凸部4bが無い部分の管外径部に配置されている樹脂管Pに外嵌させて、袋ナット2を締め付けることで、軸線方向に沿って圧縮させて、樹脂管Pの外周面に密着させることができる。
【0074】
また、
図1に示すように、継手本体1は、雄ねじ部1iの軸方向他方側にフランジ部1hを有し、袋ナット2の軸方向一方向側は、継手本体1の雄ねじ部1iに袋ナット2の雌ねじ部2aを螺合させて、樹脂管Pを締め付けたときに、フランジ部1hに突き当たる突き当て形状に形成されている。
【0075】
かかる構成によれば、袋ナット2は、継手本体1の雄ねじ部1iに雌ねじ部2aを螺合させて、樹脂管Pを締め付けたときに、フランジ部1hに突き当たることで、常に予め設定した所望の締付力で締め付けることができる。
【0076】
[変形例]
以上、本実施形態に係る樹脂管用継手100について、
図1~
図5を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
次に、
図6~
図8Cを参照して本発明の変形例を説明する。以下、前記実施形態と同じ構成のものは、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0077】
図6は、本発明に係る樹脂管用継手100の変形例を示す断面図である。
図7Aは、本発明に係る樹脂管用継手100の変形例を示す図であり、継手本体1Aの側面図である。
図7Bは、本発明に係る樹脂管用継手100の変形例を示す図であり、継手本体1Aの中央縦断面図である。
図8Aは、本発明に係る樹脂管用継手100の変形例を示す図であり、インコア4Aの側面図である。
図8Bは、本発明に係る樹脂管用継手100の変形例を示す図であり、インコア4Aの中央縦断面図である。
図8Cは、
図8AのB部拡大図である。
図8Dは、本発明に係る樹脂管用継手100の変形例を示す図であり、インコア4Aの斜視図である。
【0078】
前記実施形態では、
図1に示すように、インコア4を、該インコア4が嵌められる継手本体1のインコア挿入部1bにねじ接合で固定する場合を説明したが、
図6に示すように、インコア4Aは、該インコア4が嵌められる継手本体1Aのインコア挿入部1Abに圧入して固定したり、接着剤等で接着して固定したり、ろう付け等によって溶着したりして固定してもよい。
【0079】
かかる構成によれば、インコア4は、継手本体1Aのインコア挿入部1Abに圧入、接合、接着あるいは溶着によって固定されているので、継手本体1内に強固に固定することができる。
【0080】
また、
図6、
図8A~
図8Dに示すように、インコア4Aは、当該インコア4Aのコア外周面4Aaに凸部4Abを有し、高密度ポリエチレン製であり、該インコア4Aが嵌められる継手本体1Aのインコア挿入部1Abに凸部4Abを潰して圧入によって固定されてるようにしてもよい。
【0081】
かかる構成によれば、インコア4Aは、継手本体1Aのインコア挿入部1Abが嵌められるコア外周面4Aaに凸部4Abを有している。このため、インコア4Aは、継手本体1Aに嵌めた際に、凸部4Abが継手本体1Aのインコア挿入部1Abに圧し潰されて圧接するので、しっかりと継手本体1に固定することができ、継手本体1の接続強度を上げることができる。
【0082】
この場合、
図6、
図7Bあるいは
図8Bに示すように、樹脂管用継手100Aの継手本体1Aは、後記するインコア4Aの大径部4Ac及び鍔部4Aiに形状を合わせて、インコア挿入部1Ab及び鍔部係合部1Anを有するものであってもよい。また、
図2Aに示す前記実施形態の継手本体1の八角形の工具係合部1gは、
図7Aに示す継手本体1Aの工具係合部1Agのように、六角形等の多角形のナット状に形成されたものであってもよい。
【0083】
また、
図6及び
図8Bに示すように、インコア4Aは、樹脂製のものであってもよい。インコア4Aは、袋ナット2の締め付けによって樹脂管Pを縮径させたときに、インコア4Aにも縮径する力が加わり変形するが、そのときに、破損しない強度を有する高密度ポリエチレン製のものであってもよい。なお、インコア4Aは、ポリアセタール等の樹脂で形成した場合、変形が大きくなり、破損することがあるため、高密度ポリエチレンで形成することが好ましい。
【0084】
インコア4Aの大径部4Acには、継手本体1Aのインコア挿入部1Abに圧入して固定する際に、インコア挿入部1bに圧接して潰れる凸部4Abを形成してもよい。
図8A~
図8Dに示すように、凸部4Abは、例えば、正面視して三角形状の山状突起から成り、大径部4Acの前端部から後端部に亘って軸線方向に延設されている。
図8Aに示すように、凸部4Abは、大径部4Acの外周面の上下左右の四カ所に形成されている。
また、大径部4Acの後側には、大径部4Acよりも大径な環状の鍔部4Aiを形成してもよい。
【0085】
また、
図5に示す前記実施形態のインコアAのコア外周面4aに形成した凹凸部4bは、
図8Bに示すように、インコア4Aのコア外周面4Aaに無くてもよい。インコア4Aのコア外周面4Aaには、樹脂管Pに圧入し易くするためのテーパ面4Ajを後端部に形成してもよい。
【0086】
また、
図8Bに示すように、継手本体1Aのコア内周面4Afの前側開口部内には、拡径部4Agを形成してもよい。
【0087】
[その他の変形例]
また、実施形態では、
図3Aに示すように、リング6の一例として、前端面6fから後端に亘って形成されたスリット6eを有する正面視してC字状の略筒状の割リングの場合を説明したが、リング6はこれに限定されるものではない。
図1、
図3A~
図3Cに示すリング6は、例えば、前端面6fから後側方向に向けて後端の手前まで形成した切欠溝、または、前端面6fに向けて後側方向から前端面6fの手前まで形成した切欠溝を少なくとも一つ以上有する円筒状のものであってもよい。
リング6に形成する切欠溝は、正面視して、前端面6fに円周方向に適宜な間隔で、軸線に沿って前記切欠溝を複数形成したものであってもよい。
このように形成しても、リング6は、実施形態と同様な作用効果を奏する。
【0088】
また、実施形態では、リング6をポリアセタール(POM)等の樹脂によって形成した場合を説明したが、リング6は、スリット6eまたは切欠溝を有するものであれば、金属製のものであってもよい。なお、樹脂管Pを締め付ける締付力等に応じて、爪の数は、例えば、3~5個と適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1,1A 継手本体
1b,1Ab インコア挿入部
1d パッキン挿入部
1h フランジ部
1i 雄ねじ部
1j 外周部
1m 端面
2 袋ナット
2a 雌ねじ部
3 環状部材
4,4A インコア
4a,4Aa コア外周面
4b 凹凸部
4Ab 凸部
5 パッキン
6 リング
6c リング内周面
6d 爪部
6d1 第1爪部
6d2 第2爪部(他の爪部)
6d3 第3爪部(他の爪部)
6d4 第4爪部(他の爪部)
100,100A 樹脂管用継手
P 樹脂管
Pa 外周面
θ1 第1爪部の角度
θ2 第2爪部、第3爪部及び第4爪部の角度