(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113551
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】整定ピン用ドライバ
(51)【国際特許分類】
B25B 23/10 20060101AFI20240815BHJP
B25B 15/00 20060101ALI20240815BHJP
H01H 43/06 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B25B23/10 A
B25B15/00 610B
H01H43/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018623
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】金岡 賢一
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA02
3C038AA06
3C038BB04
3C038BC01
(57)【要約】
【課題】作業性の向上した整定ピン用ドライバを提供すること。
【解決手段】整定ピン用ドライバ1は、使用者が指で把持可能な把持部2と、把持部2の断面視の略中心に接続され、把持部2から延びる軸部3と、略円筒状に形成され、一端側に軸部3が挿入可能な被挿入部4と、を備え、被挿入部4の他端側に整定ピン300が挿入可能に設けられる。整定機構100は、整定ピン用ドライバ1と、整定ピン300と、整定ピン300が設けられて回転可能な整定円盤200と、を備え、整定円盤200は、外縁側で円周方向に沿って互いに間をあけて配置される複数の貫通孔220を有し、貫通孔220は、整定円盤200の厚さ方向に沿う側壁部に形成されたねじ溝222を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が指で把持可能な把持部と、
前記把持部の断面視の略中心に接続され、前記把持部から延びる軸部と、
略円筒状に形成され、一端側に前記軸部が挿入可能な被挿入部と、を備え、
前記被挿入部の他端側に整定ピンが挿入可能に設けられる、整定ピン用ドライバ。
【請求項2】
前記被挿入部は、前記把持部と別体に設けられる円筒体により構成される、請求項1に記載の整定ピン用ドライバ。
【請求項3】
請求項1に記載の前記整定ピン用ドライバと、
前記整定ピンと、
前記整定ピンが設けられて回転可能な整定円盤と、を備え、
前記整定円盤は、外縁側で円周方向に沿って互いに間をあけて配置される複数の貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記整定円盤の厚さ方向に沿う側壁部に形成されたねじ溝を有する、整定機構。
【請求項4】
前記整定ピンは、前記被挿入部に挿入されて保持される保持部と、表面にねじ溝の形成されたねじ部と、を有する、請求項3に記載の整定機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整定ピン用ドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の動作を行うタイミングを設定する整定機構が設けられることが知られている。整定機構が機械式で構成される場合、円盤状で目盛の付された整定円盤を用いてタイミングを指定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
整定円盤の直径が小さい場合、整定円盤の任意の位置に時刻を指定するためのピンを挿入することが難しい場合があった。特に屋外や高所でピンを挿入する操作を行う場合、ピンが短すぎたり小さすぎたりし、操作が困難な場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、使用者が指で把持可能な把持部と、前記把持部の断面視の略中心に接続され、前記把持部から延びる軸部と、略円筒状に形成され、一端側に前記軸部が挿入可能な被挿入部と、を備え、前記被挿入部の他端側に整定ピンが挿入可能に設けられる、整定ピン用ドライバに関する。
【0006】
(2)前記被挿入部は、前記把持部と別体に設けられる円筒体により構成されることが好ましい。
【0007】
(3)(1)に記載の前記整定ピン用ドライバと、前記整定ピンと、前記整定ピンが設けられて回転可能な整定円盤と、を備え、前記整定円盤は、外縁側で円周方向に沿って互いに間をあけて配置される複数の貫通孔を有し、前記貫通孔は、前記整定円盤の厚さ方向に沿う側壁部に形成されたねじ溝を有する、整定機構であることが好ましい。
【0008】
(4)前記整定ピンは、前記被挿入部に挿入されて保持される保持部と、表面にねじ溝の形成されたねじ部と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に整定ピンを操作することができるドライバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本実施形態の整定ピン用ドライバを示す側面図である。
【
図3A】本実施形態の整定ピン用ドライバの軸部側から見た断面図である。
【
図3B】本実施形態の整定ピン用ドライバを先端側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明ずる。
図1は、本実施形態の整定機構100の一部を示す図である。
図1に示すように、整定機構100は、整定円盤200と、整定ピン300と、検出機構400と、制御部500と、を有する。整定機構100は、例えば、変圧器や継電器等に設けられ、変圧のタイミングを操作するために設けられている。
【0012】
整定円盤200は、電力で駆動されて回転する歯車であり、円盤本体210と、時刻設定孔220と、を有する。
【0013】
円盤本体210は、所定の厚みを有し、金属で形成された平たい略円形の板である。円盤本体210の表面には、円周方向に沿って目盛り211が表示されている。目盛り211は、例えば、1~24の数字であり、時刻に対応している。
【0014】
時刻設定孔220は、円盤本体210の外縁側で円周方向に沿って、互いに間をあけて配置されている。時刻設定孔220は、正面視略円形の複数の貫通孔であり、任意の位置に整定ピン300が設けられる。時刻設定孔220は、円盤本体210の厚さ方向に貫通して形成され、円盤本体210の表面及び裏面に形成された孔220a、220bと、これらの孔220a、220bを接続するように円盤本体の厚さ方向に沿って延びる側壁部221と、を有する。側壁部221には、ねじ溝222が形成されており、このねじ溝222に、後述する整定ピン300がねじ留めされて係合する。時刻設定孔220は、円盤本体210が一周したときに、一日を刻むように配置されている。時刻設定孔220は、例えば、一時間で6個、24時間として計144個形成されていてよい。
【0015】
整定ピン300は、ねじ頭を有さない略円柱形の金属製の部材である。整定ピン300は、保持部310と、ねじ部320と、を有する。
【0016】
保持部310は、後述する整定ピン用ドライバ1に保持される基部側の部分であり、整定ピン300の長手方向における一方側に配置される。保持部310は、整定ピン300全体の半分程度を占める。保持部310は、一端が整定ピン用ドライバ1に保持され、他端がねじ部320と連続している。
図1に示すように、保持部310の一端の端面には、整定ピン用ドライバ1が係合可能な一文字の溝311が形成されている。一文字の溝311は、マイナスドライバが係合可能な溝である。
【0017】
ねじ部320は、整定ピン300の先端側の部分であり、整定ピン300の表面にねじ溝が形成された部分である。ねじ部320は、整定円盤200の時刻設定孔220のねじ溝222にねじ留めされて係合する。
【0018】
整定ピン300は、長い整定ピン301と、短い整定ピン302を有する。長い整定ピン301は、保持部310の長さが10mm前後、短い整定ピン302は、保持部310の長さが5mm前後である。整定円盤200に長い整定ピン301と、短い整定ピン302が整定円盤200に差し込まれて回転することにより、それぞれ所定の時刻に検出されるように構成されている。
【0019】
検出機構400は、整定円盤200に近接して設けられ、整定ピン300の移動によって整定する時刻を検出する機構である。検出機構400は、制御部500に接続されている。検出機構400は、具体的には、整定ピン300に係合可能な爪部410を有する。
【0020】
爪部410は、整定ピン300を受けることが可能な位置に配置されており、回転する整定円盤200に伴って移動する整定ピン300に係合する。爪部410は、長い整定ピン301と、短い整定ピン302とにそれぞれ係合し、長い整定ピン301及び短い整定ピン302を検知可能になっている。
【0021】
制御部500は、検出機構400に接続されている。制御部500は、爪部410が長い整定ピン301と短い整定ピン302とを検知することにより、ON、OFFの切り替えを判断して、予め設定された時刻に設定された動作、例えば変圧器による電圧の切り替え等の動作を行うよう信号を送信する。
【0022】
以上説明した整定機構100の整定円盤200に、整定ピン300を接続する際には、整定ピン用ドライバ1を用いる。整定ピン用ドライバ1は、
図2に示すように、把持部2と、軸部3と、被挿入部4と、を有する。
【0023】
把持部2は、使用者が指で把持可能な縦長の棒状の部材である。把持部2の長手方向が、軸方向となる。把持部2は、把持部本体20とフランジ部21とを有し、プラスチックで構成される。把持部本体20は、縦長の略六角柱状に形成され、整定ピン用ドライバ1の先端側が細くなるようにすぼまっている。フランジ部21は、把持部2における先端側の端部よりも外径が大きな断面視略円形に形成されている。
【0024】
軸部3は、
図3Aに示すように、把持部2の断面視の略中心に接続され、把持部2の先端側から軸方向に沿って延びる。軸部3は、把持部2の外径よりも小さな外径の金属の円柱体である。軸部3の先端は、向かい合う外周縁が互いに近づき、マイナスドライバの一文字状を形成するように接合されている。軸部3の先端は、整定ピン300の溝311に挿入される。軸部3の長さとしては、16mm~20mm程度を例示できる。
【0025】
被挿入部4は、
図3Bに示すように、軸部3及び整定ピン300が挿入可能な略円筒状に形成される。被挿入部4は、把持部2に接続されていない、把持部2と別体の円筒体により構成される。被挿入部4は、樹脂製のチューブであり、一端側である基端側に軸部3が挿入可能であり、他端側である先端側には整定ピン300の保持部310が挿入される。したがって、被挿入部4は、軸部3に対して着脱可能である。
図2に示すように、被挿入部4内には、軸部3の全長が挿入される。被挿入部4は、基端側に軸部3が挿入された状態で先端側に整定ピン300の保持部310を挿入可能な中空部が残る程度の長さを有する。
【0026】
被挿入部4の内径は、軸部3及び整定ピン300が圧入される程度の寸法であることが好ましい。また、被挿入部4は、圧入された軸部3及び整定ピン300が抜けずに、かつ変形せずに、整定ピン300を回転させることの可能な硬度を有することが好ましい。詳細には、被挿入部4の中空部40の内径と軸部3及び整定ピン300の外径とはほぼ等しい程度の寸法に構成され、被挿入部4の中空部40の内壁を弾性変形させるようにして軸部3及び整定ピン300を押し込み、抜けにくい状態で保持されることが好ましい。
【0027】
例として、被挿入部4は、加圧式ボールペンの内部に配置されているインクを保持するチューブ程度の硬度及び内径を有することが好ましい。例えば、被挿入部4は、内径は1~1.5mm程度、被挿入部4の管の厚みが0.3~0.6mm程度のプラスチックで構成されていてよい。
【0028】
被挿入部4は、軸部3を圧入した状態で、把持部2のフランジ部21の表面から先端までの長さが、例えば15mm~25mmの長さが好ましく、18mm~22mm程度の長さがより好ましい。この長さによれば、把持部2を把持した状態で、管状の被挿入部4が折れたりねじれたりすることなく、整定ピン300を回転させることができる。また、把持部2から整定円盤200の時刻設定孔220に整定ピン300を差しやすい。軸部3の先端がマイナスドライバ状に形成されているので、軸部3の先端を、整定ピン300の溝311に係合させて軸部3と整定ピン300を連結させ、この状態で被挿入部4が整定ピン300の保持部310を覆う程度までの長さを有するように、調節してもよい。被挿入部4が整定ピン300の保持部310を覆うことで、整定ピン300がより確実に支持される。
【0029】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。整定ピン用ドライバ1を、使用者が指で把持可能な把持部2と、把持部2の断面視の略中心に接続され、把持部2から延びる軸部3と、略円筒状に形成され、一端側に軸部3が挿入可能な被挿入部4と、を含んで構成し、被挿入部4の他端側に整定ピン300を挿入可能に設けた。これにより、整定ピン300が非常に小さく短い場合でも、被挿入部4に挿入した状態で把持部2を回転させることにより、整定ピン300を操作することができる。よって、整定円盤200の小さな時刻設定孔220に整定ピン300をねじ留めする作業も容易になり、作業性が向上する。
【0030】
本実施形態によれば、被挿入部4を、把持部2と別体の円筒体により構成した。これにより、被挿入部4を使用するかしないかを、作業者によって、選択することができる。さらに、被挿入部4に整定ピン300を挿入する際、被挿入部4と整定ピン300のみを把持して挿入操作を行うことができるので、作業性がさらに向上する。
【0031】
本実施形態によれば、整定機構100を、整定ピン用ドライバ1と、整定ピン300と、整定ピン300が設けられて回転可能な整定円盤200と、を備え、整定円盤200は、外縁側で円周方向に沿って互いに間をあけて配置される複数の時刻設定孔220を含んで構成した。時刻設定孔220を、整定円盤200の厚さ方向に沿う側壁部に形成されたねじ溝222を含んで構成した。これにより、整定円盤200の時刻設定孔220に整定ピン300をねじ留めする際に、整定ピン300を挿入可能な被挿入部4を有する整定ピン用ドライバ1を用いてねじ留めすることができる。よって、ねじ留めする作業も容易になり、上記と同様の効果を奏する。
【0032】
本実施形態によれば、整定ピン300を、被挿入部4に挿入されて保持される保持部310と、表面にねじ溝の形成されたねじ部320と、を含んで構成した。これにより、保持部310を被挿入部4に保持させた状態で時刻設定孔220にねじ留めすることができるので、ねじ留めの操作が容易になり、作業性が向上する。
【0033】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。例えば、上記実施形態では、軸部3は先端がマイナスドライバ状にすぼまった軸を有している。しかし、軸部3は単に被挿入部4を取り付けるための円柱状の突起であってもよい。また、被挿入部4は、上記実施形態では、把持部2と別体に構成されているが、把持部2に接続されていてもよい。把持部2は、使用者が指で把持可能な形状を有していれば、形状は特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
1 整定ピン用ドライバ
2 把持部
3 軸部
4 被挿入部
200 整定円盤
220 時刻設定孔(貫通孔)
222 ねじ溝
300 整定ピン
310 保持部
320 ねじ部