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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113570
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】回路遮断器、端子装置、及び分電盤
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/02 20060101AFI20240815BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H01H73/02 B
H02B1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018652
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 達也
(72)【発明者】
【氏名】毛 翔
【テーマコード(参考)】
5G030
5G211
【Fターム(参考)】
5G030XX06
5G030XX12
5G030YY04
5G211AA01
5G211AA12
5G211AA17
5G211BB03
5G211BB08
5G211GG10
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、組立作業の作業性の向上を図ることである。
【解決手段】回路遮断器は、端子装置B1と、筐体と、を有する。端子装置B1は、第2表示部材9と、ケース5と、を備える。第2表示部材9は、被支持部と、第1脚部91と、第2脚部92と、表示部93と、当接部と、を有する。被支持部は、ケース5に設けられた支持部に対して回転可能に支持される。第1脚部91は、被支持部から伸びる。第2脚部92は、被支持部から第1脚部91と離れる向きに伸びる。表示部93は、第1脚部91に設けられる。当接部は、第2脚部92に設けられる。当接部は、少なくとも端子板と電気的に接続された状態の導体に当接する位置に配置される。筐体は、外部から表示部93を視認可能とする表示窓を有する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側の電線の導体と電気的に接続される端子装置と、
前記端子装置と2次側端子の間の電路に挿入された接点部と、
前記接点部を開閉する開閉機構部と、
前記端子装置、前記接点部、前記開閉機構部を収容する筐体と、
を有し、
前記端子装置は、
前記電路と電気的に接続されている端子板と、
前記導体に対して前記端子板に接する向きの接圧力を付与するばね部材と、
前記端子板と前記導体の接続状態を表示する表示部材と、
少なくとも前記端子板と前記ばね部材を収容するケースと、
備え、
前記表示部材は、
前記ケースに設けられた支持部に対して回転可能に支持される被支持部と、
前記被支持部から伸びる第1脚部と、
前記被支持部から前記第1脚部と離れる向きに伸びる第2脚部と、
前記第1脚部に設けられる表示部と、
前記第2脚部に設けられる当接部と、
を有し、
前記当接部は、少なくとも前記端子板と電気的に接続された状態の前記導体に当接する位置に配置され、
前記筐体は、外部から前記表示部を視認可能とする表示窓を有する、
回路遮断器。
【請求項2】
前記端子装置は、
前記被支持部を一方の回転方向に付勢する付勢部材と、
前記ケースに設けられて前記被支持部の前記一方の回転方向における回転範囲を規制する規制部と、
を更に備え、
前記一方の回転方向は、前記当接部を前記導体に当接させる向きの回転方向である、
請求項1記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記規制部は、前記被支持部が前記一方の回転方向に回転したときに前記第1脚部又は前記第2脚部に当たることで前記回転範囲を規制する、
請求項2記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記表示部材は、前記規制部によって前記回転範囲が規制されている状態において、前記ケースの一部と接触可能である脱落防止部を更に有する、
請求項3記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記付勢部材は、コイル部及び前記コイル部の両端から突出する腕部を有するねじりコイルばねであり、
前記表示部材は、前記腕部を引っ掛ける引掛部を更に有する、
請求項2-4のいずれか1項に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記支持部又は前記被支持部は、柱状の回転軸を有し、
前記回転軸を有しない前記支持部又は前記回転軸を有しない前記被支持部は、前記回転軸が挿入される筒状の軸受を有し、
前記回転軸の長さは、前記軸受の深さよりも短い、
請求項1-4のいずれか1項に記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記表示部材は、前記ケースとの対向面及び前記筐体との対向面の少なくとも一方の対向面に、前記ケース又は前記筐体と接触可能な突部を更に有する、
請求項1-4のいずれか1項に記載の回路遮断器。
【請求項8】
電線の導体と電路を電気的に接続する端子装置であって、
前記電路と電気的に接続されている端子板と、
前記導体に対して前記端子板に接する向きの接圧力を付与するばね部材と、
前記端子板と前記導体の接続状態を表示する表示部材と、
少なくとも前記端子板と前記ばね部材を収容するケースと、
備え、
前記表示部材は、
前記ケースに対して回転可能に支持される被支持部と、
前記被支持部から伸びる第1脚部と、
前記被支持部から前記第1脚部と離れる向きに伸びる第2脚部と、
前記第1脚部に設けられる表示部と、
前記第2脚部に設けられる当接部と、
を有し、
前記当接部は、少なくとも前記端子板と電気的に接続された状態の前記導体に当接する位置に配置される、
端子装置。
【請求項9】
請求項1-4のいずれかの前記回路遮断器と、
前記回路遮断器を収容するボックスと、
を備える、
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路遮断器、端子装置、及び分電盤に関し、より詳細には、速結式端子(ねじなし端子)を有する回路遮断器、端子装置、及び分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1記載の端子構造を例示する。特許文献1記載の端子構造(以下、従来例という。)は、配線が挿入される配線挿入部と、配線が電気的に接続される配線接続部と、挿入された配線の先端が当接する配線当接部と、配線当接部に配線が当接したことを表示する当接表示部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-150171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例では、配線の接続状態を表示する機構が、配線当接部と当接表示部の2部品で構成されているため、組立作業の作業性の向上が困難であった。
【0005】
本開示の目的は、組立作業の作業性の向上を図ることができる回路遮断器、端子装置、及び分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る回路遮断器は、端子装置と、接点部と、開閉機構部と、筐体と、を有する。前記端子装置は、1次側の電線の導体と電気的に接続される。前記接点部は、前記端子装置と2次側端子の間の電路に挿入される。前記開閉機構部は、前記接点部を開閉する。前記筐体は、前記端子装置、前記接点部、前記開閉機構部を収容する。前記端子装置は、端子板と、ばね部材と、表示部材と、ケースと、を備える。前記端子板は、前記電路と電気的に接続されている。前記ばね部材は、前記導体に対して前記端子板に接する向きの接圧力を付与する。前記表示部材は、前記端子板と前記導体の接続状態を表示する。前記ケースは、少なくとも前記端子板と前記ばね部材を収容する。前記表示部材は、被支持部と、第1脚部と、第2脚部と、表示部と、当接部と、を有する。前記被支持部は、前記ケースに設けられた支持部に対して回転可能に支持される。前記第1脚部は、前記被支持部から伸びる。前記第2脚部は、前記被支持部から前記第1脚部と離れる向きに伸びる。前記表示部は、前記第1脚部に設けられる。前記当接部は、前記第2脚部に設けられる。前記当接部は、少なくとも前記端子板と電気的に接続された状態の前記導体に当接する位置に配置される。前記筐体は、外部から前記表示部を視認可能とする表示窓を有する。
【0007】
本開示の一態様に係る端子装置は、電線の導体と電路を電気的に接続する。前記端子装置は、端子板と、ばね部材と、表示部材と、ケースと、を備える。前記端子板は、前記電路と電気的に接続されている。前記ばね部材は、前記導体に対して前記端子板に接する向きの接圧力を付与する。前記表示部材は、前記端子板と前記導体の接続状態を表示する。前記ケースは、少なくとも前記端子板と前記ばね部材を収容する。前記表示部材は、被支持部と、第1脚部と、第2脚部と、表示部と、当接部と、を有する。前記被支持部は、前記ケースに対して回転可能に支持される。前記第1脚部は、前記被支持部から伸びる。前記第2脚部は、前記被支持部から前記第1脚部と離れる向きに伸びる。前記表示部は、前記第1脚部に設けられる。前記当接部は、前記第2脚部に設けられる。前記当接部は、少なくとも前記端子板と電気的に接続された状態の前記導体に当接する位置に配置される。前記筐体は、外部から前記表示部を視認可能とする表示窓を有する。
【0008】
本開示の一態様に係る分電盤は、前記回路遮断器と、前記回路遮断器を収容するボックスと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の回路遮断器、端子装置、及び分電盤は、組立作業の作業性の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態に係る回路遮断器の正面図である。
図2図2は、同上の回路遮断器の分解斜視図である。
図3図3は、同上の回路遮断器の回路ブロック図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る端子装置の斜視図である。
図5図5は、同上の端子装置の別の方向から見た斜視図である。
図6図6は、同上の端子装置におけるケースボディの斜視図である。
図7図7は、同上の端子装置における第2表示部材の斜視図である。
図8図8は、同上の端子装置における第2表示部材の別の方向から見た斜視図である。
図9図9は、同上の端子装置における第2表示部材とねじりコイルばねの一部省略した正面図である。
図10図10は、同上の端子装置のケースカバーを外した正面図である。
図11図11は、同上の端子装置の固定部材の固定部が調整部材を固定している状態のケースカバーを外した要部の斜視図である。
図12図12は、同上の端子装置に電線を接続した状態のケースカバーを外した正面図である。
図13図13は、同上の端子装置に電線を接続した状態の背面図である。
図14図14Aは、同上の端子装置に電線を接続していない状態の要部の平面図である。図14Bは、同上の端子装置に電線を接続している状態の要部の平面図である。
図15図15は、同上の端子装置におけるケースの支持部と第2支持部材の被支持部を含む要部の断面図である。
図16図16は、同上の回路遮断器の要部の断面図である。
図17図17は、本開示の実施形態に係る分電盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る回路遮断器、端子装置及び分電盤について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)概要
実施形態に係る回路遮断器A1は、実施形態に係る端子装置B1と、接点部A11と、開閉機構部A12と、筐体7と、を有する(図1図3参照)。実施形態に係る回路遮断器A1は、例えば、住宅用分電盤(以下、住宅盤という。)の主開閉器(主幹ブレーカとも呼ばれる。)に用いられる。ただし、本開示は、回路遮断器だけでなく、開閉器及び断路器を含む開閉機器全般に適用可能である。
【0013】
実施形態に係る端子装置B1は、1次側の電線W1の導体W10と電気的に接続される(図12参照)。接点部A11は、実施形態に係る端子装置B1と2次側端子A15の間の電路A16に挿入される(図3参照)。開閉機構部A12は、接点部A11を開閉する。筐体7は、実施形態に係る端子装置B1、接点部A11、開閉機構部A12を収容する(図2参照)。ただし、図2においては、接点部A11及び開閉機構部A12の図示を省略している。
【0014】
実施形態に係る端子装置B1は、端子板(第1端子板1)と、ばね部材2と、表示部材(第2表示部材9)と、ケース5と、を備える(図4図5図10及び図12参照)。
【0015】
第1端子板1は、電路A16と電気的に接続されている。ばね部材2は、導体W10に対して第1端子板1に接する向き(図12における上向き)の接圧力を付与する。第2表示部材9は、第1端子板1と導体W10の接続状態を表示する。ケース5は、少なくとも第1端子板1とばね部材2を収容する。
【0016】
第2表示部材9は、被支持部90と、第1脚部91と、第2脚部92と、表示部93と、当接部94と、を有する(図7及び図8参照)。被支持部90は、ケース5に設けられた支持部570に対して回転可能に支持される(図5及び図6参照)。第1脚部91は、被支持部90から伸びる。第2脚部92は、被支持部90から第1脚部91と離れる向きに伸びる。表示部93は、第1脚部91に設けられる。当接部94は、第2脚部92に設けられる。当接部94は、少なくとも第1端子板1と電気的に接続された状態の導体W10に当接する位置に配置される(図12参照)。筐体7は、外部から表示部93を視認可能とする表示窓74を有する(図1参照)。
【0017】
しかして、実施形態に係る回路遮断器A1及び実施形態に係る端子装置B1において、第1端子板1と電気的に接続された状態の導体W10が当接部94に当接することにより、被支持部90が支持部570に対して回転する。そのため、第1脚部91に設けられた表示部93が被支持部90の回転に伴って変位する。ゆえに、実施形態に係る回路遮断器A1及び実施形態に係る端子装置B1は、筐体7の表示窓74から視認される表示部93の位置(状態)が変わることにより、電線W1の接続が完了したことを作業者に知らせることができる。しかも、実施形態に係る回路遮断器A1及び実施形態に係る端子装置B1は、第2表示部材9が被支持部90と、第1脚部91と、第2脚部92と、表示部93と、当接部94と、を有しており、特許文献1記載の従来例のように配線当接部と当接表示部の2部品で構成される場合に比べて、部品点数の削減を図ることができる。
【0018】
その結果、実施形態に係る回路遮断器A1及び実施形態に係る端子装置B1は、従来例と比較して、組立作業の作業性の向上を図ることができる。
【0019】
また、実施形態に係る分電盤C1は、実施形態に係る回路遮断器A1と、実施形態に係る回路遮断器A1を収容するボックスC10と、を備える(図17参照)。
【0020】
実施形態に係る分電盤C1は、実施形態に係る回路遮断器A1を備えているので、従来例と比較して、組立作業の作業性の向上を図ることができる。
【0021】
(2)実施形態に係る回路遮断器及び実施形態に係る端子装置の詳細
次に、実施形態に係る回路遮断器A1(以下、回路遮断器A1と略す。)及び実施形態に係る端子装置B1(以下、端子装置B1と略す。)について詳細に説明する。
【0022】
回路遮断器A1は、図1図3に示すように、3つの端子装置B1と、3つの接点部A11と、開閉機構部A12と、筐体7と、を備える。また、回路遮断器A1は、引外し装置A14を更に備える。しかして、回路遮断器A1は、3極の中性線欠相保護機能付の漏電遮断器であり、単相3線式の住宅盤における主開閉器として用いられる。ただし、回路遮断器A1は、3極未満又は4極以上の回路遮断器であってもよいし、中性線欠相保護機能及び漏電遮断機能の少なくとも一方を有しない回路遮断器であってもよい。
【0023】
接点部A11は、端子装置B1の第1端子板1と電気的に接続された固定接点と、2次側端子A15と電気的に接続された可動接点と、を有する(図3参照)。可動接点は、固定接点に接触導通する閉極の状態と、固定接点に対して十分な絶縁距離をとって離れた開極の状態との間を移動可能である。
【0024】
開閉機構部A12は、操作ハンドルA17の操作に応じて可動接点を移動させることで接点部A11を開閉可能である。引外し装置A14は、過負荷電流、短絡電流、及び漏洩電流(地絡電流)などの異常な電流が電路A16に流れていることを検出すると、開閉機構部A12を介して3つの接点部A11を強制的に開極させる。また、引外し装置A14は、中性線が欠相していることを検出した場合も、開閉機構部A12を介して3つの接点部A11を強制的に開極させる。
【0025】
筐体7は、ボディ71とカバー72によって箱形に形成されている(図2参照)。なお、ボディ71及びカバー72は、いずれも電気絶縁性を有する合成樹脂の成形体で形成されている。
【0026】
ボディ71は、前面が開放された箱形に形成されている。カバー72は、後面が開放された箱形に形成されている。ボディ71の前面にカバー72が被せられ、ねじ止めなどの適宜の方法でボディ71とカバー72が結合されて筐体7が構成される。
【0027】
ボディ71の前面における長手方向の一端部に、3つの凹所710が横並びに設けられている(図2参照)。これら3つの凹所710には、端子装置B1が一つずつ収められる。カバー72の前面には、3つの窓720及び3つの表示窓74が横並びに設けられている(図1及び図2参照)。カバー72の前面に設けられた3つの窓720から3つの端子装置B1の一部が露出する(図1参照)。また、3つの表示窓74から3つの第2表示部材9の表示部93が視認可能である。なお、図示は省略しているが、ボディ71の前面における長手方向の他端部に3つの接点部A11、開閉機構部A12、引外し装置A14、2次側端子A15、電路A16、操作ハンドルA17などが収容される。ただし、操作ハンドルA17の一部は、筐体7の前面(カバー72の前面)から露出している(図1参照)。
【0028】
筐体7の側面から3つの2次側端子A15が突出している(図1参照)。これら3つの2次側端子A15は、筐体7の長手方向に沿って階段状に配置される。これら3つの2次側端子A15は、筐体7内において、3つの端子装置B1の第1端子板1と一つずつ電気的に接続される。なお、これら3つの2次側端子A15は、後述する分電盤C1のボックスC10内に設けられる3つの母線(導電バー)と一つずつ電気的に接続される。
【0029】
(2-1)端子装置
以下に説明する端子装置B1の構成は、3つの端子装置B1に共通する構成である。なお、以下の説明においては、図4に矢印で示す前後、上下、左右の各方向を端子装置B1の前後、上下、左右の各方向と定める。ただし、これらの方向は、端子装置B1の使用状態を限定するものではない。
【0030】
端子装置B1は、第1端子板1と、ばね部材2と、第2表示部材9と、を備える。端子装置B1は、調整部材3と、固定部材4と、ケース5と、第1表示部材8と、付勢部材(ねじりコイルばね60)と、を更に備える。
【0031】
(2-1-1)第1端子板
第1端子板1は、銅又は銅合金などの金属材料によって、長尺の帯状に形成されている(図10参照)。なお、第1端子板1の長手方向の一端部(上端部)は、V字状に折り曲げられている。
【0032】
(2-1-2)ばね部材
ばね部材2は、第1ばね21と、第2ばね22と、を有する(図10参照)。
【0033】
第1ばね21は、U字状の主部210と、主部210の一方の先端から他方の先端に向かって突出する弧状の接圧部211と、を有する。なお、主部210と接圧部211は、帯状の金属板(例えば、ステンレス鋼板)によって一体に形成されている。
【0034】
接圧部211には角穴212が設けられており、主部210の他方の先端部分と第1端子板1の上端部分が角穴212に挿通される。しかして、第1ばね21は、外力が加えられていないとき、接圧部211における角穴212の後端縁に接触片10の上端部分が当たった状態に維持される(図10参照)。以下、この状態をばね部材2の第1の状態と呼ぶことがある。
【0035】
第2ばね22は、帯状の金属板(例えば、ステンレス鋼板)がU字状に曲げられてトング状に形成されている。第2ばね22は、第1ばね21の主部210の内側に収められる(図10参照)。しかして、第2ばね22は、第1ばね21のばね力を補いつつばね部材2の耐久性の向上を図っている。
【0036】
(2-1-3)調整部材
調整部材3は、円柱状の本体30と、本体30の外周面に本体30と一体に形成されたねじ山31と、を有している(図10参照)。また、本体30は、本体30の軸方向に沿った六角穴300を有している(図11参照)。さらに、本体30の外周面の一部に、台形状の溝301が形成されている(図11参照)。
【0037】
(2-1-4)固定部材
固定部材4は、操作部40と、固定部41と、一対のばね部42と、を有する(図10及び図11参照)。操作部40は、直方体状に形成されている。操作部40の背面における長手方向の両端からフランジ400がそれぞれ突出している。
【0038】
一対のばね部42はそれぞれ、長方形状に形成されている。片方のばね部42は、操作部40の背面における短手方向の一端から、操作部40の背面に対して略45度の角度に突出している。もう片方のばね部42は、操作部40の背面における短手方向の他端から、操作部40の背面に対して略45度の角度に突出している。
【0039】
固定部41は、角柱状に形成されている。固定部41は、操作部40の背面から当該背面の法線方向に沿って突出している。なお、固定部41は、操作部40の背面の長手方向において一対のばね部42の間に位置している(図11参照)。固定部41の先端面が弧状に湾曲しており、先端面に沿って湾曲する弧状の爪410が設けられている(図11参照)。また、固定部41の側面には突部43が設けられている。突部43は、角柱状に形成されて固定部41の側面から固定部41の長手方向に沿って突出している。なお、突部43の一方の端面(操作部40に近い側の端面)は、固定部41の側面から離れるにつれて操作部40から離れる向きに傾斜する傾斜面となっている(図11参照)。
【0040】
(2-1-5)第1表示部材
第1表示部材8は、円環状の表示部80と、台形状の脚部81と、を有する。脚部81は、表示部80の後面から表示部80の厚み方向(前後方向)に沿って突出している(図11参照)。なお、表示部80と脚部81は、合成樹脂の成形体として一体に形成されている。
【0041】
(2-1-6)第2表示部材
第2表示部材9は、被支持部90と、第1脚部91と、第2脚部92と、表示部93と、当接部94と、を有する(図7及び図8参照)。なお、以下の第2表示部材9の説明においては、図7に矢印で示す前後、上下、左右の各方向を第2表示部材9の前後、上下、左右の各方向と定める。ただし、これらの方向は、端子装置B1の前後、上下、左右の各方向と一致している。
【0042】
被支持部90は、軸受穴900を有する円筒状に形成されている(図8参照)。なお、被支持部90の軸方向は、第2表示部材9の左右方向と一致している。
【0043】
第1脚部91は、長方形の板状に形成されている。第1脚部91は、被支持部90の右端部における前面から前方へ伸びるように被支持部90と一体に形成されている。なお、第1脚部91の前端部における左右両側面に突部98が一つずつ設けられている(図7及び図8参照)。これらの突部98は、半球状に形成されている。
【0044】
第1脚部91の先端(前端)に表示部93が一体に設けられている。表示部93は、長方形の平板状に形成されている。表示部93は、長手方向を上下方向に一致させるように第1脚部91の先端(前端)に設けられている。ただし、表示部93は、第1脚部91の先端面(前端面)よりも大きく形成されており、第1脚部91から下向き及び左向きにはみ出している(図7及び図8参照)。表示部93の前面は、長手方向(上下方向)の中央を境にして2つの領域(第1領域931と第2領域932)に分けられている。第1領域931は、表示部93の前面において第2領域932の下方に位置している(図7参照)。なお、第1領域931と第2領域932は、目視で識別しやすい2色(例えば、緑色と赤色など)に色分けされることが好ましい。
【0045】
第2脚部92は、左右方向から見た平面視の形状が逆L字形の板状に形成されている(図7参照)。第2脚部92は、被支持部90の右端部における後面から後方へ伸びるように被支持部90及び第1脚部91と一体に形成されている。なお、第2脚部92の後端部における左右両側面に、半球状の突部98が一つずつ設けられている(図7及び図8参照)。
【0046】
また、第2脚部92には、脱落防止部95と引掛部96が設けられている(図7及び図9参照)。引掛部96は、第2脚部92の後端部における左側面の下端に設けられている。引掛部96は、第2脚部92の他の部分よりも厚み(第2脚部92の左右方向の幅)を小さくした階段状に形成されている(図9参照)。引掛部96は、付勢部材であるねじりコイルばね60の第1腕部601が引っ掛けられる(図9参照)。
【0047】
脱落防止部95は、第2脚部92の前端部における右側面の前端、及び第2脚部92の後端部における右側面の後端にそれぞれ一つずつ設けられている(図7参照)これら2つの脱落防止部95は、第2脚部92の他の部分よりも厚み(第2脚部92の左右方向の幅)を小さくした階段状に形成されている。
【0048】
当接部94は、角の丸い4角形の平板状に形成されている。当接部94は、第2脚部92の後端部における左側面から左方へ突出するように第2脚部92と一体に形成されている(図8参照)。当接部94は、第2脚部92の長手方向(前後方向)に対して傾いている。
【0049】
なお、第2表示部材9が有する被支持部90、第1脚部91、第2脚部92、表示部93、当接部94、脱落防止部95及び引掛部96は、合成樹脂成形体として一体に形成される。
【0050】
(2-1-7)ケース
ケース5は、左右の幅が前後の幅及び上下の高さよりも十分に短い箱状に形成されている(図4及び図5参照)。ケース5は、ケース5を左右方向の中央で2分割したケースボディ5Aとケースカバー5Bを有する。ケース5は、ケースカバー5Bに設けられた複数の係合部をケースボディ5Aに設けられた被係合部に係合させて組み立てられる。
【0051】
ケース5内には、第1収容空間501、第2収容空間502、及び第3収容空間503が設けられる(図10参照)。第1収容空間501は、第1端子板1を収容する。第1収容空間501は、ケース5内の上後方部分に設けられた案内路50によって、ケース5の上面に開口した挿入口500とつながっている(図4及び図10参照)。案内路50は、挿入口500から挿入される電線W1の導体W10を、第1端子板1の後方の空間に案内する。
【0052】
第2収容空間502は、ばね部材2を収容する。第2収容空間502には、ばね部材2を支持するばね支持部53が設けられている。ばね支持部53は、左右方向から見て、円柱の周面から長方形の板状の部分が突出する形状に形成されている(図10参照)。ばね支持部53は、第1ばね21の主部210及び第2ばね22の内側に配置されることによってばね部材2を支持する。
【0053】
第3収容空間503は、調整部材3と第1表示部材8を収容する。第3収容空間503は、ケース5の前面に開口部5030を有して円筒状に形成されている。また、第3収容空間503の内周面には、調整部材3のねじ山31とはまり合うねじ溝504が形成されている(図12参照)。さらに、第3収容空間503の前端部分に、第1表示部材8の表示部80を回転可能に保持する保持溝505が形成されている(図10参照)。第1表示部材8は、表示部80の周縁部分を保持溝505に挿入し、かつ、調整部材3の本体30に設けられた溝301に脚部81を挿入するようにして第3収容空間503に収容される。
【0054】
第3収容空間503に収容された調整部材3は、ケース5の外から左回り(反時計回り)に回転させられると、第3収容空間503から第2収容空間502に向かって移動する。このとき、第1表示部材8は、溝301に挿入された脚部81を介して調整部材3とともに回転するが、表示部80が保持溝505に回転可能に保持されているので、第3収容空間503から第2収容空間502へは移動しない。つまり、ケース5の開口部5030から視認される表示部80の回転角は、調整部材3の前後方向の移動量(第3収容空間503と第2収容空間502の間を移動する量)に比例する。したがって、表示部80は、その回転角によって調整部材3の前後方向の位置を表示することができる。
【0055】
ケース5は、固定部材4を収容する収容部51を更に有している(図10参照)。ケース5の前面には収容部51の開口510が設けられている。また、収容部51は、第3収容空間503とつながっている。収容部51は、操作部40を開口510からケース5の外に突出させ、固定部41の先端(下端)を第3収容空間503に臨ませるように固定部材4を移動可能に収容する(図10参照)。なお、固定部材4の一対のばね部42は、収容部51の内壁と接触している。したがって、固定部材4は、操作部40を開口510から突出させる向きの力を一対のばね部42から受けている。ただし、ケース5は規制部52を有しており、操作部40を開口510からケース5の外に突出させる向きの固定部材4の移動を規制部52によって規制している。なお、規制部52は、収容部51において固定部材4の突部43が移動可能に収容される空間の内壁で構成される。つまり、規制部52は、固定部材4の突部43が内壁に当たることにより、固定部材4の移動を規制する(図10参照)。
【0056】
ここで、ケースボディ5Aは、その外表面(ケース5の右側面)に、第2表示部材9及び付勢部材を収容する収容凹部57を有する(図5及び図6参照)。付勢部材は、コイル部600及びコイル部600の両端から突出する第1腕部601と第2腕部602を有するねじりコイルばね60である(図9参照)。ただし、付勢部材はねじりコイルばねに限定されず、例えば、板ばねなどであっても構わない。
【0057】
収容凹部57は、ケースボディ5Aの右側面における下部に設けられる(図6参照)。収容凹部57には、第2表示部材9の被支持部90を支持する支持部570と、ねじりコイルばね60のコイル部600を保持する保持部571と、ねじりコイルばね60の第2腕部602が係止される係止部572と、が設けられる(図6参照)。
【0058】
支持部570は、収容凹部57の底面(ケースボディ5Aの右側面)に設けられた円筒状の凹部5701と、凹部5701の底面中央から突出する円柱状の回転軸5700と、を有する(図6参照)。支持部570は、凹部5701に被支持部90を挿入し、かつ、回転軸5700を被支持部90の軸受穴900に挿入することで被支持部90(第2表示部材9)を回転可能に支持する(図5及び図15参照)。なお、回転軸5700の長さL1(凹部5701の底面から回転軸5700の先端までの長さ)は、被支持部90の軸受穴900の深さL2(被支持部90の先端面から軸受穴900の底面までの距離)よりも短い(L1<L2)。つまり、被支持部90(第2表示部材9)は、回転軸5700の先端面を軸受穴900の底面と接触させずに回転可能であるので(図15参照)、回転時における摩擦力及びがたつきを低減してスムーズに回転することができる。
【0059】
ここで、ケースボディ5Aは、収容凹部57の後端部と第1収容空間501をつなぐ開口部573を有する(図6及び図10参照)。開口部573は、収容凹部57に収容される第2表示部材9の当接部94が挿通される。つまり、第2表示部材9の当接部94は、収容凹部57から開口部573を通して第1収容空間501に進出する(図10参照)。なお、開口部573は、第1収容空間501に進出する当接部94が、被支持部90の回転に伴って移動可能な大きさに形成される。
【0060】
保持部571は、円柱状に形成されて収容凹部57の底面から突出する(図6参照)。保持部571は、ねじりコイルばね60のコイル部600に挿通される(図5参照)。係止部572は、角柱状に形成され、収容凹部57の底面における保持部571の前方から突出する(図6参照)。係止部572は、ねじりコイルばね60の第2腕部602を係止する(図5参照)。
【0061】
また、ケースボディ5Aは、収容凹部57の前方、後方及び上方を囲む周壁58を有する(図5及び図6参照)。さらに、周壁58の上方における前後両端には、収容凹部57に向かって突出する突片581、582がそれぞれ設けられている(図6参照)。これら2つの突片581、582は、端子装置B1の左右方向から見て、第2表示部材9の第2脚部92に設けられた2つの脱落防止部95と一つずつ重なり合う(図5参照)。
【0062】
(2-1-8)ケースボディへの第2表示部材の取付手順
次に、ケースボディ5Aへの第2表示部材9の取付手順を説明する。
【0063】
まず、ねじりコイルばね60のコイル部600にケースボディ5Aの保持部571が挿通される。このとき、ねじりコイルばね60の第2腕部602がケースボディ5Aの係止部572に係止される。
【0064】
続いて、被支持部90が支持部570の凹部5701に挿入されるとともに、支持部570の回転軸5700が被支持部90の軸受穴900に挿入され、当接部94が開口部573に挿通されて、第2表示部材9が収容凹部57に収容される。また、収容凹部57に収容された第2表示部材9の引掛部96にねじりコイルばね60の第1腕部601が引っ掛けられる(図9参照)。
【0065】
上述のような手順で第2表示部材9がケースボディ5Aに取り付けられる(図5参照)。なお、第2表示部材9は、引掛部96に引っ掛けた第1腕部601に押されることにより、第2脚部92を周壁58の内側面(上面)に近付ける向き(図5における反時計回り)に回転する。ただし、第2表示部材9は、第2脚部92が周壁58に当たる位置で停止する。つまり、第2表示部材9の回転範囲は、周壁58によって規制される。
【0066】
また、第2表示部材9は、第2脚部92が周壁58に当たって停止した状態(以下、接続未完了状態と呼ぶ。)において、2つの脱落防止部95がケースボディ5Aの2つの突片581、582と一つずつ重なり合うので、ケースボディ5Aからの脱落が防止される(図5参照)。
【0067】
(2-2)端子装置に対する結線作業の手順
次に、端子装置B1に対して電線W1を接続する作業(結線作業)の手順を説明する。
【0068】
まず、作業者は、六角レンチなどの工具を使用して調整部材3を反時計回りに回転させる。調整部材3は、反時計回りに回転することで第3収容空間503から第2収容空間502に向かう向き(以下、第1の向きD1という。)に移動する(図10参照)。調整部材3は、第1の向きD1に移動しながらばね部材2をたわませる。
【0069】
作業者は、調整部材3と連動して回転する表示部80が所定の位置(以下、ロック位置という。)に達したら、操作部40を押操作して固定部材4をケース5内に進入する向きに移動させる。なお、操作部40が押操作されておらず、固定部材4が調整部材3から最も離れているときの固定部材4の位置を非固定位置と呼ぶ(図10参照)。
【0070】
作業者が工具による調整部材3の反時計回りの回転を停止すると、ばね部材2のばね力を受けた調整部材3が時計回りに回転しながら第1の向きD1と反対の向き(以下、第2の向きD2という。)に移動する。そして、第2の向きD2に移動した調整部材3の本体30に固定部41の爪410が引っ掛かる(図11参照)。その結果、調整部材3が固定部材4によって固定される。ここで、固定部材4が調整部材3を固定しているときの固定部材4の位置を固定位置と呼ぶ。そして、固定部材4が固定位置にあるとき、ばね部材2の第1ばね21が調整部材3に押されてたわんでいるため、第1ばね21の角穴212がケース5の案内路50とつながる。なお、第2表示部材9は、導体W10から当接部94に力が加わっていないために接続未完了状態に留まっている。ゆえに、表示部93は、ケース5に対して下方の位置(以下、接続未完了位置と呼ぶ。)にある(図5及び図14A参照)。
【0071】
作業者は、電線W1の導体W10をケース5の挿入口500から案内路50に挿入する。そして、案内路50に挿入される導体W10の先端が当接部94に当たり、導体W10に押された当接部94が導体W10の挿入方向(図12における右向き)に移動する。第2表示部材9は、導体W10に押された当接部94が導体W10の挿入方向に移動することにより、第2脚部92を周壁58から遠ざける向き(図5における時計回り)に回転する。そして、第2表示部材9の回転に伴って、表示部93がケース5に対して上方の位置(以下、接続完了位置と呼ぶ。)に移動する(図13及び図14B参照)。このとき、作業者は、回路遮断器A1の筐体7の表示窓74を通して表示部93の第1領域931を視認することによって、導体W10を正しい位置まで挿入できたことを確認できる。なお、第2表示部材9は、第1脚部91及び第2脚部92にそれぞれ設けられた突部98の先端でケース5と筐体7に接触する(図16参照)。したがって、回路遮断器A1は、回転時における摩擦力及びがたつきを低減して第2表示部材9をスムーズに回転させることができる。
【0072】
続いて、作業者は、表示部93が接続未完了位置から接続完了位置に移動したことを確認した後、工具を使って調整部材3を反時計回りに回転させる。そうすると、調整部材3が第1の向きD1に移動し、固定部41の爪410が本体30から外れる。固定部材4は、固定部41の爪410が調整部材3の本体30から外れると、一対のばね部42のばね力によって固定位置から非固定位置に移動する。そして、作業者が工具による調整部材3の反時計回りの回転を停止すると、ばね部材2のばね力を受けて調整部材3が時計回りに回転しながら第2の向きD2に移動する。そして、第1ばね21の接圧部211の角穴212の縁が導体W10に当たり、ばね部材2のばね力(第1ばね21のばね力と第2ばね22のばね力の合成力)によって導体W10が第1端子板1の接触片10に押し当てられる(図12参照)。その結果、電線W1の導体W10と第1端子板1が電気的かつ機械的に接続されるとともに、接圧部211の角穴212の縁が導体W10に当たることによって、電線W1が抜け止めされる。
【0073】
以上の手順で端子装置B1に対する電線W1の結線作業が完了する。
【0074】
(2-3)実施形態に係る回路遮断器の利点
上述のように回路遮断器A1(端子装置B1)において、第1端子板1と電気的に接続された状態の導体W10が当接部94に当接すれば、被支持部90が回転して第1脚部91に設けられた表示部93が接続未完了位置から接続完了位置に移動(変位)する。ゆえに、回路遮断器A1(端子装置B1)は、筐体7の表示窓74から視認される表示部93の位置(状態)が変わることにより、電線W1の接続が完了したことを作業者に知らせることができる。なお、回路遮断器A1は、筐体7の正面(前面)に表示窓74を設けているので、作業者による視認性の向上を図ることができる。また、回路遮断器A1は、第1表示部材8の表示位置(ケース5の開口部5030)の近傍に表示窓74を設けているので(図1参照)、作業者による結線作業の作業性の向上を図ることができる。
【0075】
しかも、回路遮断器A1(端子装置B1)は、第2表示部材9が被支持部90と、第1脚部91と、第2脚部92と、表示部93と、当接部94と、を有しており、特許文献1記載の従来例のように配線当接部と当接表示部の2部品で構成される場合に比べて、部品点数の削減を図ることができる。その結果、回路遮断器A1(端子装置B1)は、従来例と比較して、組立作業の作業性の向上を図ることができる。さらに、回路遮断器A1(端子装置B1)は、被支持部90、第1脚部91、第2脚部92、表示部93、及び当接部94を一体に形成して第2表示部材9を一つの部品として構成することにより、第2表示部材9の回転に伴って表示部93が変位する際のがたつきを抑制できる。その結果、回路遮断器A1(端子装置B1)は、表示部材を複数部品で構成する場合に比べて、表示部93による接続完了状態の表示精度の向上を図ることができる。
【0076】
ここで、回路遮断器A1(端子装置B1)において、第2表示部材9は、付勢部材(ねじりコイルばね60)によって当接部94を導体W10に当接させる向きの回転方向(図5における反時計回り)に付勢されている。さらに、回路遮断器A1(端子装置B1)は、ケース5(ケースボディ5A)に設けられた規制部(周壁58)に第2脚部92を当てることによって、第2表示部材9の回転範囲を規制している。これにより、回路遮断器A1(端子装置B1)は、第2表示部材9がケース5から脱落することを抑制して組立作業の作業性の向上を図ることができる。しかも、回路遮断器A1(端子装置B1)は、ケース5に設けられる周壁58に第2脚部92を当てることで回転範囲を規制するので、ケース5と別の部品で回転範囲を規制する場合に比べて、部品点数の削減を図ることができる。さらに、回路遮断器A1(端子装置B1)は、周壁58に第2脚部92が当たっている状態(回転範囲が規制されている状態)において、第2表示部材9に設けた2つの脱落防止部95をケースボディ5Aの2つの突片581、582と一つずつ重ね合わせている。その結果、回路遮断器A1(端子装置B1)は、ケース5(ケースボディ5A)から第2表示部材9が脱落することを防止できる(図5参照)。
【0077】
また、回路遮断器A1(端子装置B1)は、コイル部600及び第1腕部601を有するねじりコイルばね60を付勢部材とし、第2表示部材9に設けた引掛部96に第1腕部601を引っ掛けて第2表示部材9を付勢している(図5参照)。したがって、回路遮断器A1(端子装置B1)は、第1腕部601を引っ掛けた引掛部96でねじりコイルばね60のばね力を受けるので、第1腕部601が引掛部96からずれることを抑制し、第2表示部材9の回転を安定させることができる。
【0078】
さらに、回路遮断器A1(端子装置B1)は、支持部570の回転軸5700の長さL1を、被支持部90の軸受穴900の深さL2よりも短くしている(図15参照)。そのため、回路遮断器A1(端子装置B1)は、回転軸5700の先端面を軸受穴900の底面と接触させずに第2表示部材9を回転可能とするので、回転時における摩擦力及びがたつきを低減して第2表示部材9をスムーズに回転させることができる。
【0079】
しかも、回路遮断器A1(端子装置B1)は、第2表示部材9の第1脚部91及び第2脚部92にそれぞれ設けた突部98の先端で第2表示部材9をケース5と筐体7に接触させる(図16参照)。したがって、回路遮断器A1(端子装置B1)は、回転時における摩擦力及びがたつきを低減して第2表示部材9を更にスムーズに回転させることができる。
【0080】
(3)実施形態に係る分電盤の詳細
実施形態に係る分電盤C1(以下、分電盤C1と略す。)は、主幹ブレーカとして使用される回路遮断器A1と、回路遮断器A1を収容するボックスC10と、を備える(図17参照)。なお、分電盤C1は住宅盤を例示するが、住宅盤以外の分電盤、例えば、事務所、店舗、工場などで使用されるキャビネット型の分電盤であっても構わない。
【0081】
ボックスC10は、合成樹脂によって前面が開放された長方形の箱状に形成されている。ボックスC10は、屋内の造営材、例えば、住宅内の壁に取り付けられる。なお、図示は省略しているが、ボックスC10の前面は、ボックスC10に取り付けられるドアによって開閉可能に塞がれる。
【0082】
回路遮断器A1は、ボックスC10内の左右方向の中央から左寄りの位置に収容される。ボックスC10内において、回路遮断器A1の右側のスペースに3つの母線及び複数の分岐ブレーカ(分岐開閉器)が収容される。ただし、図17においては母線及び分岐ブレーカの図示を省略している。
【0083】
3つの母線は、それぞれ銅又は銅合金によって長方形の板状に形成された導電バーで構成されている。3つの母線は、ボックスC10内における上下方向の中央に、ボックスC10の奥行き方向に沿って等間隔に並べて配置される。なお、3つの母線は、回路遮断器A1の3つの2次側端子A15と一つずつ電気的に接続される。
【0084】
複数の分岐ブレーカは、3つの母線の上方と下方に配置され、3つの母線のうちのいずれか2つの母線に電気的に接続される。
【0085】
しかして、分電盤C1は、回路遮断器A1を備えているので、回路遮断器A1の1次側の端子(3つの端子装置B1)に電線W1を接続する際の接続作業における作業性の向上を図ることができる。さらに、分電盤C1は、回路遮断器A1を備えるので、従来例と比較して、組立作業の作業性の向上を図ることができる。
【0086】
(4)まとめ
本開示の第1の態様に係る回路遮断器(A1)は、端子装置(B1)と、接点部(A11)と、開閉機構部(A12)と、筐体(7)と、を有する。端子装置(B1)は、1次側の電線(W1)の導体(W10)と電気的に接続される。接点部(A11)は、端子装置(B1)と2次側端子(A15)の間の電路(A16)に挿入される。開閉機構部(A12)は、接点部(A11)を開閉する。筐体(7)は、端子装置(B1)、接点部(A11)、開閉機構部(A12)を収容する。端子装置(B1)は、端子板(第1端子板1)と、ばね部材(2)と、表示部材(第2表示部材9)と、ケース(5)と、を備える。端子板は、電路(A16)と電気的に接続されている。ばね部材(2)は、導体(W10)に対して端子板に接する向きの接圧力を付与する。表示部材は、端子板と導体(W10)の接続状態を表示する。ケース(5)は、少なくとも端子板とばね部材(2)を収容する。表示部材は、被支持部(90)と、第1脚部(91)と、第2脚部(92)と、表示部(93)と、当接部(94)と、を有する。被支持部(90)は、ケース(5)に設けられた支持部(570)に対して回転可能に支持される。第1脚部(91)は、被支持部(90)から伸びる。第2脚部(92)は、被支持部(90)から第1脚部(91)と離れる向きに伸びる。表示部(93)は、第1脚部(91)に設けられる。当接部(94)は、第2脚部(92)に設けられる。当接部(94)は、少なくとも端子板と電気的に接続された状態の導体(W10)に当接する位置に配置される。筐体(7)は、外部から表示部(93)を視認可能とする表示窓(74)を有する。
【0087】
第1の態様に係る回路遮断器(A1)は、端子板と電気的に接続された状態の導体(W10)を当接部(94)に当接させることにより、被支持部(90)を支持部(570)に対して回転させ、第1脚部(91)に設けた表示部(93)を被支持部(90)の回転に伴って変位させる。これにより、第1の態様に係る回路遮断器(A1)は、筐体(7)の表示窓(74)から視認される表示部(93)の位置(状態)を変えて、電線(W1)の接続が完了したことを作業者に知らせることができる。そして、第1の態様に係る回路遮断器(A1)は、表示部材が被支持部(90)と、第1脚部(91)と、第2脚部(92)と、表示部(93)と、当接部(94)と、を有するので、従来例と比較して、組立作業の作業性の向上を図ることができる。
【0088】
本開示の第2の態様に係る回路遮断器(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る回路遮断器(A1)において、端子装置(B1)は、付勢部材(ねじりコイルばね60)と、規制部(周壁58)と、を更に備えることが好ましい。付勢部材は、被支持部(90)を一方の回転方向に付勢することが好ましい。規制部は、ケース(5)に設けられて被支持部(90)の一方の回転方向における回転範囲を規制することが好ましい。(規制部が規制する被支持部(90)の)一方の回転方向は、当接部(94)を導体(W10)に当接させる向きの回転方向であることが好ましい。
【0089】
第2の態様に係る回路遮断器(A1)は、表示部材がケース(5)から脱落することを抑制して組立作業の作業性の向上を図ることができる。
【0090】
本開示の第3の態様に係る回路遮断器(A1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る回路遮断器(A1)において、規制部は、被支持部(90)が一方の回転方向に回転したときに第1脚部(91)又は第2脚部(92)に当たることで回転範囲を規制することが好ましい。
【0091】
第3の態様に係る回路遮断器(A1)は、規制部をケース(5)と別の部品で構成する場合に比べて、部品点数の削減を図ることができる。
【0092】
本開示の第4の態様に係る回路遮断器(A1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る回路遮断器(A1)において、表示部材は、規制部によって回転範囲が規制されている状態において、ケース(5)の一部(突片581、582)と接触可能である脱落防止部(95)を更に有することが好ましい。
【0093】
第4の態様に係る回路遮断器(A1)は、表示部材に設けた脱落防止部(95)をケース(5)の一部(突片581、582)と接触させるので、ケース(5)から表示部材が脱落することを防止できる。
【0094】
本開示の第5の態様に係る回路遮断器(A1)は、第2-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る回路遮断器(A1)において、付勢部材は、コイル部(600)及びコイル部(600)の両端から突出する腕部(第1腕部601)を有するねじりコイルばね(60)であることが好ましい。表示部材は、腕部を引っ掛ける引掛部(96)を更に有することが好ましい。
【0095】
第5の態様に係る回路遮断器(A1)は、腕部を引っ掛けた引掛部(96)でねじりコイルばね(60)のばね力を受けるので、腕部が引掛部(96)からずれることを抑制し、表示部材の回転を安定させることができる。
【0096】
本開示の第6の態様に係る回路遮断器(A1)は、第1-第5のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る回路遮断器(A1)において、支持部(570)又は被支持部(90)は、柱状の回転軸(5700)を有することが好ましい。回転軸(5700)を有しない支持部(570)又は回転軸(5700)を有しない被支持部(90)は、回転軸(5700)が挿入される筒状の軸受(軸受穴900)を有することが好ましい。回転軸(5700)の長さ(L1)は、軸受の深さ(L2)よりも短いことが好ましい。
【0097】
第6の態様に係る回路遮断器(A1)は、回転軸(5700)の先端面を軸受の底面と接触させずに表示部材を回転可能とするので、回転時における摩擦力及びがたつきを低減して表示部材をスムーズに回転させることができる。
【0098】
本開示の第7の態様に係る回路遮断器(A1)は、第1-第6のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る回路遮断器(A1)において、表示部材は、ケース(5)との対向面及び筐体(7)との対向面の少なくとも一方の対向面に、ケース(5)又は筐体(7)と接触可能な突部(98)を更に有することが好ましい。
【0099】
第7の態様に係る回路遮断器(A1)は、表示部材に設けた突部(98)の先端で表示部材をケース(5)及び筐体(7)に接触させるので、回転時における摩擦力及びがたつきを低減して表示部材をスムーズに回転させることができる。
【0100】
本開示の第8の態様に係る端子装置(B1)は、電線(W1)の導体(W10)と電路(A16)を電気的に接続する。第8の態様に係る端子装置(B1)は、端子板(第1端子板1)と、ばね部材(2)と、表示部材(9)は、ケース(5)と、を備える。端子板は、電路(A16)と電気的に接続されている。ばね部材(2)は、導体(W10)に対して端子板に接する向きの接圧力を付与する。表示部材(9)は、端子板と導体(W10)の接続状態を表示する。ケース(5)は、少なくとも端子板とばね部材(2)を収容する。表示部材(9)は、被支持部(90)と、第1脚部(91)と、第2脚部(92)と、表示部(93)と、当接部(94)と、を有する。被支持部(90)は、ケース(5)に対して回転可能に支持される。第1脚部(91)は、被支持部(90)から伸びる。第2脚部(92)は、被支持部(90)から第1脚部(91)と離れる向きに伸びる。表示部(93)は、第1脚部(91)に設けられる。当接部(94)は、第2脚部(92)に設けられる。当接部(94)は、少なくとも端子板と電気的に接続された状態の導体(W10)に当接する位置に配置される。
【0101】
第8の態様に係る端子装置(B1)は、端子板と電気的に接続された状態の導体(W10)を当接部(94)に当接させることにより、被支持部(90)を支持部(570)に対して回転させ、第1脚部(91)に設けた表示部(93)を被支持部(90)の回転に伴って変位させる。これにより、第8の態様に係る端子装置(B1)は、表示部(93)の位置(状態)を変えて、電線(W1)の接続が完了したことを作業者に知らせることができる。そして、第8の態様に係る端子装置(B1)は、表示部材が被支持部(90)と、第1脚部(91)と、第2脚部(92)と、表示部(93)と、当接部(94)と、を有するので、従来例と比較して、組立作業の作業性の向上を図ることができる。
【0102】
本開示の第9の態様に係る分電盤(C1)は、第1-第7のいずれかの態様に係る回路遮断器(A1)と、回路遮断器(A1)を収容するボックス(C10)と、を備える。
【0103】
第9の態様に係る分電盤(C1)は、第1-第7のいずれかの態様に係る回路遮断器(A1)を備えるので、従来例と比較して、組立作業の作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0104】
A1 回路遮断器
A11 接点部
A12 開閉機構部
A15 2次側端子
A16 電路
B1 端子装置
C1 分電盤
C10 ボックス
W1 電線
W10 導体
L1 回転軸の長さ
L2 軸受穴の深さ
1 第1端子板(端子板)
2 ばね部材
5 ケース
7 筐体
9 第2表示部材(表示部材)
58 周壁(規制部)
60 ねじりコイルばね(付勢部材)
74 表示窓
90 被支持部
91 第1脚部
92 第2脚部
93 表示部
94 当接部
95 脱落防止部
96 引掛部
98 突部
570 支持部
581 突片
582 突片
600 コイル部
601 第1腕部(腕部)
900 軸受穴(軸受)
5700 回転軸
図1
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