(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113586
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】レイアウト生成装置、レイアウト生成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03F 1/00 20120101AFI20240815BHJP
G03F 1/36 20120101ALI20240815BHJP
G03F 1/74 20120101ALI20240815BHJP
H01L 21/82 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
G03F1/00 M
G03F1/36
G03F1/74
H01L21/82 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018679
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 泰己
【テーマコード(参考)】
2H195
5F064
【Fターム(参考)】
2H195AC07
2H195BB02
5F064HH06
(57)【要約】
【課題】レイアウトの設計負荷の増加を抑制する。
【解決手段】一実施形態のレイアウト生成装置は、フォトマスクの設計データから複数の原点を抽出する抽出部と、複数の原点の各々に対応する領域を取得する取得部と、複数の原点を1又は複数のグループに分類するグループ化部と、1又は複数のグループの各々に対応する原点の分布を階層化する階層化部と、を備える。同一のグループには、対応する領域内のパターンが同等である原点の組が分類される。階層化部は、分布のうち最上の階層の第1分布から周期性を抽出することと、周期性に基づいて第1分布を第2分布に集約することと、第2分布を第1分布の上位に階層化することと、を繰り返すように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトマスクの設計データから複数の原点を抽出する抽出部と、
前記複数の原点の各々に対応する領域を取得する取得部と、
前記複数の原点を1又は複数のグループに分類するグループ化部と、
前記1又は複数のグループの各々に対応する原点の分布を階層化する階層化部と、
を備え、
同一のグループには、対応する領域内のパターンが同等である原点の組が分類され、
前記階層化部は、
前記分布のうち最上の階層の第1分布から周期性を抽出することと、
前記周期性に基づいて前記第1分布を第2分布に集約することと、
前記第2分布を前記第1分布の上位に階層化することと、
を繰り返すように構成された、
レイアウト生成装置。
【請求項2】
前記領域の中心は、対応する原点の位置であり、
前記領域のエッジは、前記中心から光学半径以上の距離に位置する、
請求項1記載のレイアウト生成装置。
【請求項3】
前記1又は複数のグループの各々に対応するパターンに対して、補助パターン生成処理を実行する補正部を更に備えた、
請求項1記載のレイアウト生成装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記補助パターン生成処理に際してルールベース処理を適用するかモデルベース処理を適用するかを、前記1又は複数のグループの各々に対して独立に選択するように構成された、
請求項3記載のレイアウト生成装置。
【請求項5】
前記1又は複数のグループの各々に対応するパターンに対して、光近接効果補正処理を実行する補正部を更に備えた、
請求項1記載のレイアウト生成装置。
【請求項6】
前記補正部は、前記光近接効果補正処理に際してルールベース処理を適用するかモデルベース処理を適用するかを、前記1又は複数のグループの各々に対して独立に選択するように構成された、
請求項5記載のレイアウト生成装置。
【請求項7】
前記領域に対する前記原点の位置は、前記パターンに対する前記光近接効果補正処理の処理中心に対応する、
請求項5記載のレイアウト生成装置。
【請求項8】
前記1又は複数のグループの各々に対応するパターンに対して、リソグラフィシミュレーション処理を実行する検証部を更に備えた、
請求項1記載のレイアウト生成装置。
【請求項9】
前記領域に対する前記原点の位置は、前記パターンに対する前記リソグラフィシミュレーション処理の処理中心に対応する、
請求項8記載のレイアウト生成装置。
【請求項10】
同一の階層構造を有する第1グループ及び第2グループを統合する統合部を更に備えた、
請求項1記載のレイアウト生成装置。
【請求項11】
前記分布は、互いに交差する第1方向及び第2方向に広がる2次元分布であり、
前記階層化部は、前記第1方向に関する繰り返し単位と、前記第2方向に関する繰り返し単位とを交互に繰り返すように構成された、
請求項1記載のレイアウト生成装置。
【請求項12】
前記周期性は、所定の方向に等しい間隔で並ぶ原点の数、及び前記間隔を含むパラメータによって定義される、
請求項1記載のレイアウト生成装置。
【請求項13】
同一のグループには、前記複数の原点のうち対応する領域内のパターンが同一である、線対称である、又は回転対称である原点の組が分類される、
請求項1記載のレイアウト生成装置。
【請求項14】
フォトマスクの設計データから複数の原点を抽出することと、
前記複数の原点の各々に対応する領域を取得することと、
前記複数の原点を1又は複数のグループに分類することと、
前記1又は複数のグループの各々に対応する原点の分布を階層化することと、
を備え、
同一のグループには、対応する領域内のパターンが同等である原点の組が分類され、
前記階層化することは、
前記分布のうち最上の階層の第1分布から周期性を抽出することと、
前記周期性に基づいて前記第1分布を第2分布に集約することと、
前記第2分布を前記第1分布の上位に階層化することと、
を繰り返すことを含む、
レイアウト生成方法。
【請求項15】
コンピュータに、
フォトマスクの設計データから複数の原点を抽出することと、
前記複数の原点の各々に対応する領域を取得することと、
前記複数の原点を1又は複数のグループに分類することと、
前記1又は複数のグループの各々に対応する原点の分布を階層化することと、
を実行させるためのプログラムであって、
同一のグループには、対応する領域内のパターンが同等である原点の組が分類され、
前記階層化することは、
前記分布のうち最上の階層の第1分布から周期性を抽出することと、
前記周期性に基づいて前記第1分布を第2分布に集約することと、
前記第2分布を前記第1分布の上位に階層化することと、
を繰り返すことを含む、
プログラム。
【請求項16】
コンピュータに、
フォトマスクの設計データから複数の原点を抽出することと、
前記複数の原点の各々に対応する領域を取得することと、
前記複数の原点を1又は複数のグループに分類することと、
前記1又は複数のグループの各々に対応する原点の分布を階層化することと、
を実行させるためのプログラムであって、
同一のグループには、対応する領域内のパターンが同等である原点の組が分類され、
前記階層化することは、
前記分布のうち最上の階層の第1分布から周期性を抽出することと、
前記周期性に基づいて前記第1分布を第2分布に集約することと、
前記第2分布を前記第1分布の上位に階層化することと、
を繰り返すことを含むプログラムが記憶された、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、レイアウト生成装置、レイアウト生成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスクのレイアウトデータを生成するレイアウト生成装置が知られている。フォトマスクは、NANDフラッシュメモリ等のメモリデバイスの製造に使用される。メモリデバイスの高集積化に伴い、レイアウトデータの作成時間及びデータサイズは増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォトマスクのレイアウトの設計負荷の増加を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様のレイアウト生成装置は、抽出部と、取得部と、グループ化部と、階層化部と、を備える。上記抽出部は、フォトマスクの設計データから複数の原点を抽出する。上記取得部は、上記複数の原点の各々に対応する領域を取得する。上記グループ化部は、上記複数の原点を1又は複数のグループに分類する。上記階層化部は、上記1又は複数のグループの各々に対応する原点の分布を階層化する。同一のグループには、対応する領域内のパターンが同等である原点の組が分類される。上記階層化部は、上記分布のうち最上の階層の第1分布から周期性を抽出することと、上記周期性に基づいて上記第1分布を第2分布に集約することと、上記第2分布を上記第1分布の上位に階層化することと、を繰り返すように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る回路パターン形成システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図2】実施形態に係るレイアウト生成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図3】実施形態に係るレイアウト生成装置の機能構成の一例を示すブロック図。
【
図4】実施形態に係る設計モジュールの機能構成の一例を示すブロック図。
【
図5】実施形態に係るフラットデータの構成の一例を示す図。
【
図6】実施形態に係る単位パターン及び単位パターンに対応するグループに属する原点の2次元分布の第1例を示す図。
【
図7】実施形態に係る単位パターン及び単位パターンに対応するグループに属する原点の2次元分布の第2例を示す図。
【
図8】実施形態に係る単位パターン及び単位パターンに対応するグループに属する原点の2次元分布の第3例を示す図。
【
図9】実施形態に係る第1階層の切り出し原点の2次元分布が有する周期性の一例を示す図。
【
図10】実施形態に係る第2階層の繰り返し原点の2次元分布が有する周期性の一例を示す図。
【
図11】実施形態に係る第3階層の繰り返し原点の2次元分布が有する周期性の一例を示す図。
【
図12】実施形態に係る第4階層の繰り返し原点の2次元分布が有する周期性の一例を示す図。
【
図13】実施形態に係る第5階層の繰り返し原点の2次元分布が有する周期性の一例を示す図。
【
図14】実施形態に係るレイアウト生成装置におけるレイアウトデータ生成処理の一例を示すフローチャート。
【
図15】実施形態に係る設計モジュールにおける設計データ生成処理の一例を示すフローチャート。
【
図16】実施形態に係る階層化データ生成部における階層化データ生成処理の一例を示すフローチャート。
【
図17】実施形態に係る補正モジュール及び検証モジュールにおける補正及び検証処理の一例を示すフローチャート。
【
図18】変形例に係る設計モジュールの機能構成の一例を示すブロック図。
【
図19】変形例に係る設計モジュールにおける設計データ生成処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。
【0008】
1. 実施形態
1.1 構成
1.1.1 フォトマスク製造システム
図1は、実施形態に係るフォトマスク製造システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。フォトマスク製造システム1は、フォトマスクを製造するためのシステムである。フォトマスク製造システム1は、レイアウト生成装置2、及びマスク製造装置3を備える。
【0009】
レイアウト生成装置2は、MDP(Mask Data Preparation)処理を実行するように構成されたコンピュータである。レイアウト生成装置2は、レイアウトデータを生成する。レイアウトデータは、フォトマスクに形成されるパターンのレイアウトを示すデータである。
【0010】
マスク製造装置3は、電子線描画装置である。マスク製造装置3は、フォトマスクの材料である基板に電子線を照射することにより、レイアウト生成装置2で生成されたレイアウトデータに基づくパターンを描画する。その後、パターンが描画された基板は、現像処理及びエッチング処理によってフォトマスクに加工される。
【0011】
フォトマスクは、例えば、メモリデバイスの製造に用いられる。メモリデバイスは、例えば、3次元構造のメモリセルアレイを備えるNANDフラッシュメモリである。メモリセルアレイは、複数のメモリピラー構造を有する。複数のメモリピラー構造の各々は、3次元に積層された複数のメモリセルによって構成される。
【0012】
1.1.2 レイアウト生成装置
図2は、実施形態に係るレイアウト生成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。レイアウト生成装置2は、制御部11、ユーザインタフェース12、ストレージ13、ドライブ14、及び記憶媒体15を含む。
【0013】
制御部11は、レイアウト生成装置2の各構成要素を全体的に制御する回路である。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含む。制御部11のROMは、レイアウト生成装置2における各種処理で使用されるプログラム等を記憶する。制御部11のCPUは、制御部11のROMに記憶されるプログラムにしたがって、レイアウト生成装置2の全体を制御する。制御部11のRAMは、制御部11のCPUの作業領域として使用される。
【0014】
ユーザインタフェース12は、ユーザと制御部11との間の通信を司るインタフェースである。ユーザインタフェース12は、入力機器及び出力機器を含む。入力機器は、例えば、タッチパネル及び操作ボタン等を含む。出力機器は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又はEL(Electroluminescence)ディスプレイを含む。ユーザインタフェース12は、ユーザからの入力を電気信号に変換した後、制御部11に送信する。ユーザインタフェース12は、ユーザからの入力に基づく各種処理の実行結果を、ユーザに出力する。
【0015】
ストレージ13は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)を含む。ストレージ13は、レイアウト生成装置2における各種処理で使用されるデータが記憶される。
【0016】
ドライブ14は、記憶媒体15に記憶されたソフトウェアを読み込むための機器である。ドライブ14は、例えば、CD(Compact Disk)ドライブ、及びDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ等を含む。
【0017】
記憶媒体15は、ソフトウェアを、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって記憶する媒体である。記憶媒体15は、レイアウト生成装置2における各種処理を実行するためのプログラムを記憶してもよい。
【0018】
図3は、実施形態に係るレイアウト生成装置の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部11のCPUは、制御部11のROM又は記憶媒体15に記憶されたプログラムを制御部11のRAMに展開する。そして、制御部11のCPUは、制御部11のRAMに展開されたプログラムを解釈及び実行する。これにより、レイアウト生成装置2は、設計モジュール21、補正モジュール22、及び検証モジュール23を備えるコンピュータとして機能する。
【0019】
設計モジュール21は、設計データを生成するための機能ブロックである。設計データは、フォトマスクを用いて基板に転写されることが期待される理想的なパターンのレイアウトを示すデータである。設計モジュール21は、生成された設計データを補正モジュール22に送信する。
【0020】
補正モジュール22は、設計データを補正するための機能ブロックである。具体的には、補正モジュール22は、設計モジュール21によって生成された設計データ、又は検証モジュール23によって修正された設計データに対して光近接効果補正(Optical Proximity Correction:OPC)処理、及び微細補助パターン(Sub Resolution Assist Feature:SRAF)生成処理を実行する。OPC処理は、逆リソグラフィ技術(Inverse Lithography Technology:ILT)に基づく補正を含んでいてもよい。また、OPC処理及びSRAF生成処理の各々は、ルールベース処理であってもよいし、モデルベース処理であってもよい。補正モジュール22は、補正された設計データを検証モジュール23に送信する。
【0021】
検証モジュール23は、補正モジュール22によって補正された設計データを検証するための機能ブロックである。具体的には、検証モジュール23は、補正された設計データに対してリソグラフィシミュレーションを実行する。リソグラフィシミュレーションによって、検証モジュール23は、補正された設計データに基づくフォトマスクを用いたリソグラフィ処理によって、所望のパターンが得られるか否かを判定する。所望のパターンが得られない(検証NG)と判定される場合、検証モジュール23は、設計データに対して修正処理を施し、修正された設計データを補正モジュール22に送信する。所望のパターンが得られる(検証OK)と判定される場合、検証モジュール23は、補正された設計データをレイアウトデータとしてマスク製造装置3にテープアウトする。
【0022】
1.1.3 設計モジュール
図4は、実施形態に係る設計モジュールの機能構成の一例を示すブロック図である。設計モジュール21は、フラットデータ生成部31、原点抽出部32、クリップデータ取得部33、グループ化部34、及び階層化データ生成部35を含む。
【0023】
フラットデータ生成部31は、フラットな設計データ(フラットデータ)を生成する。フラットデータ生成部31は、生成されたフラットデータを原点抽出部32に送信する。フラットデータは、CAD(Computer-Aided Design)等で生成された、圧縮されていない状態の設計データである。フラットデータは、階層化されたデータ構造を有していない。このため、フラットデータのデータサイズは、非常に大きい。具体的には、例えば、メモリピラー構造のレイアウトに関するフラットデータのデータサイズは、ギガバイト(GB)オーダとなり得る。
【0024】
原点抽出部32は、フラットデータから複数の切り出し原点を抽出する。原点抽出部32は、抽出された複数の切り出し原点の各々の座標情報をクリップデータ取得部33に送信する。切り出し原点は、補正モジュール22によるOPC処理及び検証モジュール23によるリソグラフィシミュレーションにおける処理中心に対応する。具体的には、例えば、マスクパターンがライン系である場合、原点抽出部32は、当該マスクパターンをジョグ分割した際のエッジ中心を切り出し原点として抽出する。また、例えば、マスクパターンがホール系である場合、原点抽出部32は、当該マスクパターンの中心を切り出し原点として抽出する。すなわち、マスクパターンの形状がホール系である場合、原点抽出部32は、マスクパターンの数に対応した数の切り出し原点を抽出する。
【0025】
クリップデータ取得部33は、複数の切り出し原点の各々の座標情報に基づき、フラットデータからクリップデータを取得する。すなわち、クリップデータ取得部33は、切り出し原点の数に対応した数のクリップデータを取得する。クリップデータ取得部33は、取得された複数のクリップデータをグループ化部34に送信する。クリップデータは、フラットデータのうち、切り出し原点の座標情報を中心とし、かつ中心から光学半径以上の距離に位置するエッジを有する領域に対応するマスクパターンのデータである。すなわち、クリップデータは、パターンの一例である。
【0026】
図5は、実施形態に係るフラットデータ及びクリップデータの構成の一例を示す図である。
図5では、フラットデータの具体例として、XY平面上に配置される18個のホール系のマスクパターンM1~M18が実線で示される。また、
図5では、マスクパターンM8の切り出し原点P8に対応するクリップデータC8が一点鎖線で示される。なお、XY平面とは、互いに交差するX方向とY方向によって形成される平面である。
【0027】
原点抽出部32は、マスクパターンM8の中心の座標を、マスクパターンM8に対応する切り出し原点P8として抽出する。クリップデータ取得部33は、切り出し原点P8を中心とする、一辺の長さが光学半径Rの2倍となる矩形領域をクリップデータC8として取得する。
図5の例では、クリップデータC8内に5個のマスクパターンM5、M6、M8、M11、及びM12が含まれている。
【0028】
再び
図4を参照して、設計モジュール21の機能構成について説明する。
【0029】
グループ化部34は、複数のクリップデータを1又は複数のグループに分類する。同一のグループに分類される複数のクリップデータは、互いに同一とみなされる。ここで、「互いに同一とみなされるクリップデータ」とは、互いに完全に同一なクリップデータ、互いに線対称であるクリップデータ、及び互いに回転対称であるクリップデータのいずれかである。以下では、「同一とみなされる」ことを「同等である」とも呼ぶ。
【0030】
グループ化部34による分類の結果、各グループには、1個のユニークな(他のグループに対応づけられるクリップデータと識別可能な)クリップデータと、当該ユニークなクリップデータが取得される複数の切り出し原点と、が対応づけられる。以下では、各グループに対応づけられるユニークなクリップデータを、「単位パターン」とも呼ぶ。グループ化部34は、グループに属する単位パターン及び複数の切り出し原点の組を、グループ毎に階層化データ生成部35に送信する。
【0031】
図6は、実施形態に係る単位パターン及び単位パターンに対応するグループに属する切り出し原点の2次元分布の第1例を示す図である。
図7は、実施形態に係る単位パターン及び単位パターンに対応するグループに属する切り出し原点の2次元分布の第2例を示す図である。
図8は、実施形態に係る単位パターン及び単位パターンに対応するグループに属する切り出し原点の2次元分布の第3例を示す図である。
図6の部分(A)、
図7の部分(A)、及び
図8の部分(A)には、
図5に示されるフラットデータから抽出されるクリップデータをグループ化して得られる3種類の単位パターンが示される。
図6の部分(B)、
図7の部分(B)、及び
図8の部分(B)にはそれぞれ、
図6の部分(A)に示される単位パターン、
図7の部分(A)に示される単位パターン、及び
図8の部分(A)に示される単位パターンに対応するグループに属する切り出し原点の2次元分布が示される。
【0032】
図6に示される第1例の単位パターンは、単位パターン内に5個のマスクパターンが含まれる。フラットデータから取得される18個のクリップデータのうち、8個の切り出し原点P5、P6、P7、P8、P11、P12、P13、及びP14から取得される8個のクリップデータが、第1例の単位パターンと同等である。このため、グループ化部34は、第1例の単位パターンと、8個の切り出し原点P5、P6、P7、P8、P11、P12、P13、及びP14の組とを1個のグループに分類する。
【0033】
図7に示される第2例の単位パターンは、単位パターン内に3個のマスクパターンが含まれる。フラットデータから取得される18個のクリップデータのうち、8個の切り出し原点P1、P2、P4、P9、P10、P15、P17、及びP18から取得される8個のクリップデータが、第2例の単位パターンと同等である。このため、グループ化部34は、第2例の単位パターンと、8個の切り出し原点P1、P2、P4、P9、P10、P15、P17、及びP18の組とを1個のグループに分類する。
【0034】
図8に示される第3例の単位パターンは、単位パターン内に2個のマスクパターンが含まれる。フラットデータから取得される18個のクリップデータのうち、2個の切り出し原点P3、及びP16から取得される2個のクリップデータが、第3例の単位パターンと同等である。このため、グループ化部34は、第3例の単位パターンと、2個の切り出し原点P3、及びP16の組とを1個のグループに分類する。
【0035】
再び
図4を参照して、設計モジュール21の機能構成について説明する。
【0036】
階層化データ生成部35は、階層化された設計データ(階層化データ)を生成する。階層化データ生成部35は、生成された階層化データを設計データとして補正モジュール22に送信する。階層化データは、フラットデータが圧縮された状態の設計データであり、階層化されたデータ構造を有している。このため、階層化データのデータサイズは、フラットデータに対して小さい。具体的には、例えば、メモリピラー構造のレイアウトに関する階層化データのデータサイズは、メガバイト(MB)オーダとなり得る。
【0037】
階層化データ生成部35は、周期性抽出部35a、集約部35b、及び階層化部35cを含む。
【0038】
周期性抽出部35aは、グループ毎に、グループに属する複数の原点の2次元分布から周期性を抽出する。周期性抽出部35aは、抽出された周期性を示す情報を集約部35bに送信する。周期性とは、原点の2次元座標が或る方向に等間隔で分布する性質を意味する。例えば、m個の原点がX方向に間隔Dxで分布する場合、当該m個の原点は、X方向に周期性(Dx,m)を有する。また、例えば、n個の原点がY方向に間隔Dyで分布する場合、当該n個の原点は、Y方向に周期性(Dy,n)を有する。
【0039】
集約部35bは、グループ毎に、周期性抽出部35aによって抽出された周期性に基づき、グループに属する複数の原点の2次元分布を、より少ない数の原点の2次元分布に集約する。集約部35bは、集約された後の分布と、集約される前の分布と、の組を階層化部35cに送信する。
【0040】
階層化部35cは、集約される前の原点の2次元分布を下位の階層とし、集約された後の原点の2次元分布を上位の階層として、互いに関連づけることにより、原点の2次元分布を階層化する。階層化部35cは、階層化によって得られた上位の階層の原点の2次元分布を、周期性抽出部35aに送信する。
【0041】
周期性抽出部35aによる周期性の抽出、集約部35bによる原点の2次元分布の集約、及び階層化部35cによる階層化の組は、繰り返される。これにより、各グループに属する複数の原点の2次元分布は、多重階層化される。
【0042】
すなわち、複数の切り出し原点の2次元分布に基づいて最初の階層化処理が行われる場合、周期性抽出部35aは、グループ毎に、グループに属する複数の切り出し原点の2次元分布から周期性を抽出する。集約部35bは、グループ毎に、周期性抽出部35aによって抽出された周期性に基づき、グループに属する複数の切り出し原点の2次元分布を、より少ない数の繰り返し原点の2次元分布に集約する。階層化部35cは、集約される前の切り出し原点の2次元分布を下位の階層とし、集約された後の繰り返し原点の2次元分布を上位の階層として、互いに関連づけることにより、原点の2次元分布を階層化する。ここで、上位の階層に対応する繰り返し原点の2次元分布は、下位の階層に対応する切り出し原点の2次元分布に対して独立に定義される。
【0043】
また、複数の繰り返し原点の2次元分布に基づいて2回目以降の階層化処理が行われる場合、周期性抽出部35aは、グループ毎に、グループに属する複数の繰り返し原点の2次元分布から周期性を抽出する。集約部35bは、グループ毎に、周期性抽出部35aによって抽出された周期性に基づき、グループに属する複数の繰り返し原点の2次元分布を、より少ない数の新たな繰り返し原点の2次元分布に集約する。階層化部35cは、集約される前の繰り返し原点の2次元分布を下位の階層とし、集約された後の新たな繰り返し原点の2次元分布を上位の階層として、互いに関連づけることにより、原点の2次元分布を階層化する。ここで、上位の階層に対応する繰り返し原点の2次元分布は、下位の階層に対応する繰り返し原点の2次元分布に対して独立に定義される。
【0044】
以下では、切り出し原点と繰り返し原点を特に区別しない場合、単に“原点”と呼ぶ場合がある。
【0045】
図9は、実施形態に係る第1階層の切り出し原点の2次元分布が有する周期性の一例を示す図である。
図10は、実施形態に係る第2階層の繰り返し原点の2次元分布が有する周期性の一例を示す図である。
図11は、実施形態に係る第3階層の繰り返し原点の2次元分布が有する周期性の一例を示す図である。
図12は、実施形態に係る第4階層の繰り返し原点の2次元分布が有する周期性の一例を示す図である。
図13は、実施形態に係る第5階層の繰り返し原点の2次元分布が有する周期性の一例を示す図である。
図9~
図13では、フラットデータから取得された或るグループにおける切り出し原点の2次元分布がこの順に階層化される様子が示される。
図9では、第i階層における切り出し原点Pkが、“Pk_Li”のように示される(k及びiは、自然数)。また、
図10~
図13では、第i階層における繰り返し原点Pkが周期性(Dx,m)を有する場合、当該繰り返し原点Pkが、“Pk_Li(Dx,m)”のように示される。なお、
図9~
図13に示される原点の2次元分布は、
図5~
図8に示されるフラットデータとは関連していない。
【0046】
図9では、第1階層(すなわち、最も下位の階層)における25個の切り出し原点P1_L1~P25_L1の2次元分布が黒塗りの丸で示される。
【0047】
5個の切り出し原点P1_L1、P2_L1、P3_L1、P4_L1、及びP5_L1は、この順にそれぞれ間隔D1x、D2x、D3x、及びD3xでX方向に並ぶ。5個の切り出し原点P6_L1、P7_L1、P8_L1、P9_L1、及びP10_L1は、この順にそれぞれ間隔D1x、D2x、D3x、及びD3xでX方向に並ぶ。5個の切り出し原点P11_L1、P12_L1、P13_L1、P14_L1、及びP15_L1は、この順にそれぞれ間隔D1x、D2x、D3x、及びD3xでX方向に並ぶ。5個の切り出し原点P16_L1、P17_L1、P18_L1、P19_L1、及びP20_L1は、この順にそれぞれ間隔D1x、D2x、D3x、及びD3xでX方向に並ぶ。5個の切り出し原点P21_L1、P22_L1、P23_L1、P24_L1、及びP25_L1は、この順にそれぞれ間隔D1x、D2x、D3x、及びD3xでX方向に並ぶ。
【0048】
5個の切り出し原点P1_L1、P6_L1、P11_L1、P16_L1、及びP21_L1は、この順にそれぞれ間隔D1y、D2y、D3y、及びD3yでY方向に並ぶ。5個の切り出し原点P2_L1、P7_L1、P12_L1、P17_L1、及びP22_L1は、この順にそれぞれ間隔D1y、D2y、D3y、及びD3yでY方向に並ぶ。5個の切り出し原点P3_L1、P8_L1、P13_L1、P18_L1、及びP23_L1は、この順にそれぞれ間隔D1y、D2y、D3y、及びD3yでY方向に並ぶ。5個の切り出し原点P4_L1、P9_L1、P14_L1、P19_L1、及びP24_L1は、この順にそれぞれ間隔D1y、D2y、D3y、及びD3yでY方向に並ぶ。5個の切り出し原点P5_L1、P10_L1、P15_L1、P20_L1、及びP25_L1は、この順にそれぞれ間隔D1y、D2y、D3y、及びD3yでY方向に並ぶ。
【0049】
周期性抽出部35aは、
図9に示される第1階層の切り出し原点P1_L1~P25_L1の2次元分布から、X方向の周期性を抽出する。具体的には、周期性抽出部35aは、切り出し原点P1_L1及びP2_L1の組、切り出し原点P6_L1及びP7_L1の組、切り出し原点P11_L1及びP12_L1の組、切り出し原点P16_L1及びP17_L1の組、並びに切り出し原点P21_L1及びP22_L1の組からX方向の周期性(D1x,2)を抽出する。また、周期性抽出部35aは、切り出し原点P3_L1、P4_L1、及びP5_L1の組、切り出し原点P8_L1、P9_L1、及びP10_L1の組、切り出し原点P13_L1、P14_L1、及びP15_L1の組、切り出し原点P18_L1、P19_L1、及びP20_L1の組、並びに切り出し原点P23_L1、P24_L1、及びP25_L1の組からX方向の周期性(D3x,3)を抽出する。
【0050】
集約部35bは、X方向の周期性(D1x,2)に基づき、切り出し原点P1_L1及びP2_L1の組、切り出し原点P6_L1及びP7_L1の組、切り出し原点P11_L1及びP12_L1の組、切り出し原点P16_L1及びP17_L1の組、並びに切り出し原点P21_L1及びP22_L1の組をそれぞれ繰り返し原点P1_L2、P3_L2、P5_L2、P7_L2、及びP9_L2に集約する。また、集約部35bは、X方向の周期性(D3x,3)に基づき、切り出し原点P8_L1、P9_L1、及びP10_L1の組、切り出し原点P13_L1、P14_L1、及びP15_L1の組、切り出し原点P18_L1、P19_L1、及びP20_L1の組、並びに切り出し原点P23_L1、P24_L1、及びP25_L1の組をそれぞれ繰り返し原点P2_L2、P4_L2、P6_L2、P8_L2、及びP10_L2に集約する。
【0051】
これにより、階層化部35cは、
図10に示されるような、10個の繰り返し原点P1_L2~P10_L2の2次元分布を、第2階層の2次元分布として第1階層の2次元分布上に階層化することができる。
図10では、第2階層における10個の繰り返し原点P1_L2~P10_L2が黒塗りの三角形で示される。
【0052】
2個の繰り返し原点P1_L2及びP2_L2は、この順に間隔(D1x+D2x)でX方向に並ぶ。2個の繰り返し原点P3_L2及びP4_L2は、この順に間隔(D1x+D2x)でX方向に並ぶ。2個の繰り返し原点P5_L2及びP6_L2は、この順に間隔(D1x+D2x)でX方向に並ぶ。2個の繰り返し原点P7_L2及びP8_L2は、この順に間隔(D1x+D2x)でX方向に並ぶ。2個の繰り返し原点P9_L2及びP10_L2は、この順に間隔(D1x+D2x)でX方向に並ぶ。
【0053】
5個の繰り返し原点P1_L2、P3_L2、P5_L2、P7_L2、及びP9_L2は、この順にそれぞれ間隔D1y、D2y、D3y、及びD3yでY方向に並ぶ。5個の繰り返し原点P2_L2、P4_L2、P6_L2、P8_L2、及びP10_L2は、この順にそれぞれ間隔D1y、D2y、D3y、及びD3yでY方向に並ぶ。
【0054】
周期性抽出部35aは、
図10に示される第2階層の繰り返し原点P1_L2~P10_L2の2次元分布から、Y方向の周期性を抽出する。具体的には、周期性抽出部35aは、繰り返し原点P1_L2及びP3_L2の組、並びに繰り返し原点P2_L2及びP4_L2の組からY方向の周期性(D1y,2)を抽出する。また、周期性抽出部35aは、繰り返し原点P5_L2、P7_L2、及びP9_L2の組、並びに繰り返し原点P6_L2、P8_L2、及びP10_L2の組からY方向の周期性(D3y,3)を抽出する。
【0055】
集約部35bは、Y方向の周期性(D1y,2)に基づき、繰り返し原点P1_L2及びP3_L2の組、並びに繰り返し原点P2_L2及びP4_L2の組をそれぞれ新たな繰り返し原点P1_L3及びP2_L3に集約する。また、集約部35bは、Y方向の周期性(D3y,3)に基づき、繰り返し原点P5_L2、P7_L2、及びP9_L2の組、並びに繰り返し原点P6_L2、P8_L2、及びP10_L2の組をそれぞれ新たな繰り返し原点P3_L3及びP4_L3に集約する。
【0056】
これにより、階層化部35cは、
図11に示されるような、4個の繰り返し原点P1_L3~P4_L3の2次元分布を、第3階層の2次元分布として第2階層の2次元分布上に階層化することができる。
図11では、第3階層における4個の繰り返し原点P1_L3~P4_L3が黒塗りの四角形で示される。
【0057】
2個の繰り返し原点P1_L3及びP2_L3は、この順に間隔(D1x+D2x)でX方向に並ぶ。2個の繰り返し原点P3_L3及びP4_L3は、この順に間隔(D1x+D2x)でX方向に並ぶ。
【0058】
2個の繰り返し原点P1_L3及びP3_L3は、この順に間隔(D1y+D2y)でY方向に並ぶ。2個の繰り返し原点P2_L3及びP4_L3は、この順に間隔(D1y+D2y)でY方向に並ぶ。
【0059】
周期性抽出部35aは、
図11に示される第3階層の繰り返し原点P1_L3~P4_L3の2次元分布から、X方向の周期性を抽出する。具体的には、周期性抽出部35aは、繰り返し原点P1_L3及びP2_L3の組、並びに繰り返し原点P3_L3及びP4_L3の組からX方向の周期性(D1x+D2x,2)を抽出する。
【0060】
集約部35bは、X方向の周期性(D1x+D2x,2)に基づき、繰り返し原点P1_L3及びP2_L3の組、並びに繰り返し原点P3_L3及びP4_L3の組をそれぞれ新たな繰り返し原点P1_L4及びP2_L4に集約する。
【0061】
これにより、階層化部35cは、
図12に示されるような、2個の繰り返し原点P1_L4及びP2_L4の2次元分布を、第4階層の2次元分布として第3階層の2次元分布上に階層化することができる。
図12では、第4階層における2個の繰り返し原点P1_L4及びP2_L4が黒塗りの五角形で示される。
【0062】
2個の繰り返し原点P1_L4及びP2_L4は、この順に間隔(D1y+D2y)でY方向に並ぶ。
【0063】
周期性抽出部35aは、
図12に示される第4階層の繰り返し原点P1_L4及びP2_L4の2次元分布から、Y方向の周期性を抽出する。具体的には、周期性抽出部35aは、繰り返し原点P1_L4及びP2_L4の組からY方向の周期性(D1y+D2y,2)を抽出する。
【0064】
集約部35bは、Y方向の周期性(D1y+D2y,2)に基づき、繰り返し原点P1_L4及びP2_L4の組を新たな繰り返し原点P1_L5に集約する。
【0065】
これにより、階層化部35cは、
図13に示されるような、1個の繰り返し原点P1_L5の2次元分布を、第5階層の2次元分布として第4階層の2次元分布上に階層化することができる。
図13では、第5階層における1個の繰り返し原点P1_L5が黒塗りの星形で示される。
【0066】
1.2 動作
1.2.1 レイアウトデータ生成処理
図14は、実施形態に係るレイアウト生成装置におけるレイアウト生成データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0067】
ユーザからレイアウトデータ生成開始の指示を受けると(開始)、設計モジュール21は、設計データ生成処理を実行する(S11)。これにより、設計モジュール21は、設計データを生成する。設計データ生成処理の詳細は、後述する。
【0068】
補正モジュール22及び検証モジュール23は、S11の処理で生成された設計データに対して、補正及び検証処理を実行する(S12)。補正及び検証処理の詳細は、後述する。
【0069】
S12の処理が終了すると、レイアウトデータ生成処理は終了となる(終了)。
【0070】
1.2.2 設計データ生成処理
図15は、実施形態に係る設計モジュールにおける設計データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
図15に示されるS21~S27の処理は、
図14に示されるS11の処理の詳細に対応する。
【0071】
設計データ生成処理が開始すると(開始)、フラットデータ生成部31は、フラットデータを生成する(S21)。
【0072】
原点抽出部32は、S21の処理で生成されたフラットデータから、複数の切り出し原点を抽出する(S22)。
【0073】
クリップデータ取得部33は、S22の処理で抽出された複数の切り出し原点の各々についてクリップデータを取得する(S23)。
【0074】
グループ化部34は、S23の処理で複数の切り出し原点毎に取得されたクリップデータのうち、同等なクリップデータに対応する切り出し原点の集合をグループ化する(S24)。
【0075】
階層化データ生成部35は、S24の処理で分類されたグループのうちの1個を選択する(S25)。
【0076】
階層化データ生成部35は、S25の処理で選択されたグループに対する階層化データ生成処理を実行する(S26)。これにより、S25の処理で選択されたグループに属する複数の切り出し原点の2次元分布が階層化された階層化データが生成される。階層化データ生成処理の詳細については、後述する。
【0077】
S26の処理の後、階層化データ生成部35は、全てのグループが選択されたか否かを判定する(S27)。
【0078】
未選択のグループが存在する場合(S27;no)、階層化データ生成部35は、未選択のグループのうちの1個を選択する(S25)。そして、後続するS26及びS27の処理が実行される。このように、全てのグループが選択されるまで、S25~S27の処理が繰り返される。
【0079】
全てのグループが選択された場合(S27;yes)、階層化データ生成部35は、グループ毎の階層化データの集合を設計データとして補正モジュール22に送信する。
【0080】
以上により、設計データ生成処理は終了となる(終了)。
【0081】
1.2.3 階層化データ生成処理
図16は、実施形態に係る階層化データ生成部における階層化データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示されるS31~S37の処理は、
図15に示されるS26の処理の詳細に対応する。
【0082】
階層化データ生成処理が開始されると(開始)、階層化データ生成部35は、変数iを例えば“1”に初期化する(S31)。
【0083】
周期性抽出部35aは、S25の処理で選択されたグループの第i階層の原点の2次元分布がX方向に周期性を有するか否かを判定する(S32)。
【0084】
第i階層の原点の2次元分布がX方向に周期性を有する場合(S32;yes)、集約部35bは、S32の処理で有すると判定されたX方向の周期性に基づいて、原点の2次元分布を集約する。そして、階層化部35cは、第i階層の原点の2次元分布に対して、集約された2次元分布を第(i+1)階層の原点の2次元分布として階層化する(S33)。
【0085】
S33の処理の後、階層化データ生成部35は、変数iをインクリメントする(S34)。
【0086】
第i階層の原点の2次元分布がX方向に周期性を有しない場合(S32;no)、又はS34の処理の後、周期性抽出部35aは、S25の処理で選択されたグループの第i階層の原点の2次元分布がY方向に周期性を有するか否かを判定する(S35)。
【0087】
第i階層の原点の2次元分布がY方向に周期性を有する場合(S35;yes)、集約部35bは、S35の処理で有すると判定されたY方向の周期性に基づいて、原点の2次元分布を集約する。そして、階層化部35cは、第i階層の原点の2次元分布に対して、集約された2次元分布を第(i+1)階層の原点の2次元分布として階層化する(S36)。
【0088】
S36の処理の後、階層化データ生成部35は、変数iをインクリメントする(S37)。
【0089】
S37の処理の後、周期性抽出部35aは、S25の処理で選択されたグループの第i階層の原点の2次元分布がX方向に周期性を有するか否かを判定する(S32)。そして、後続するS33~S37の処理が実行される。このように、S25の処理で選択されたグループに属する最も上位の階層における原点の2次元分布がX方向の周期性、及びY方向の周期性のいずれも有さなくなるまで、S32~S37の処理が繰り返される。
【0090】
第i階層の原点の2次元分布がY方向に周期性を有さない場合(S35;no)、階層化データ生成処理は終了となる(終了)。
【0091】
1.2.4 補正及び検証処理
図17は、実施形態に係る補正モジュール及び検証モジュールにおける補正及び検証処理の一例を示すフローチャートである。
図17に示されるS41~S47の処理は、
図14に示されるS12の処理の詳細に対応する。
【0092】
補正及び検証処理が開始されると(開始)、補正モジュール22は、S24の処理で分類されたグループのうちの1個を選択する(S41)。
【0093】
補正モジュール22は、S41の処理で選択されたグループに対応する単位パターンを取得する(S42)。
【0094】
補正モジュール22は、S42の処理で取得された単位パターンに対して補正処理を実行する(S43)。具体的には、補正モジュール22は、S42の処理で取得された単位パターンに対してOPC処理及び/又はSRAF生成処理を実行する。OPC処理及び/又はSRAF生成処理は、モデルベース処理であってもよいし、ルールベース処理であってもよい。
【0095】
検証モジュール23は、S43の処理で補正された単位パターンに対して検証処理を実行する(S44)。具体的には、検証モジュール23は、S43の処理で補正された単位パターンに対してリソグラフィシミュレーションを実行する。
【0096】
検証モジュール23は、S44の検証処理の結果が検証OKであるか否かを判定する(S45)。
【0097】
検証NGである場合(S45;no)、検証モジュール23は、検証NGとなった単位パターンを修正する(S46)。
【0098】
補正モジュール22は、S46の処理で修正された単位パターンに対して、補正処理を実行する(S43)。このように、検証OKとなるまで、S43~S46の処理が繰り返される。
【0099】
検証OKの場合(S45;yes)、補正モジュール22は、全てのグループが選択されたか否かを判定する(S47)。
【0100】
選択されていないグループが存在する場合(S47;no)、補正モジュール22は、選択されていないグループを選択する(S41)。このように、全てのグループが選択されるまで、S41~S47の処理が繰り返される。なお、S43のOPC処理及び/又はSRAF生成処理は、ルールベース処理を適用するか、モデルベース処理を適用するかを選択されるグループ毎に切り替えてもよい。
【0101】
全てのグループが選択された場合(S47;yes)、補正及び検証処理は終了となる(終了)。
【0102】
1.3 実施形態に係る効果
実施形態によれば、周期性抽出部35aは、同一のグループに分類された原点の2次元分布のうち、最上の階層の第1分布(階層化されていない場合は、同一のグループに分類された切り出し原点の2次元分布)から周期性を抽出する。集約部35bは、周期性抽出部35aによって抽出された周期性に基づいて、第1分布を、より少ない数の新たな繰り返し原点の第2分布に集約する。階層化部35cは、集約される前の第1分布の上位に、集約された後の第2分布を階層化する。階層化データ生成部35は、周期性抽出部35a、集約部35b、及び階層化部35cによる上記処理の組を繰り返す。これにより、同一のグループに分類された原点の2次元分布が、周期性に基づく階層構造に多重化される。このため、数GBオーダのフラットデータに対して、階層化データのデータサイズを数MBオーダに低減させることができる。したがって、後続する補正及び検証処理の結果をレイアウトデータ全体に展開する際の処理負荷を低減させることができる。
【0103】
また、階層化データ生成部35は、X方向の周期性に関する繰り返し単位と、Y方向の周期性に関する繰り返しと、を交互に繰り返す。これにより、2次元分布の任意の方向に関する周期性を考慮することができる。
【0104】
また、周期性は、所定の方向に等しい間隔で並ぶ原点の数、及び当該間隔を含むパラメータによって定義される。これにより、集約部35bは、等間隔で並ぶ任意の数の原点を、1個の原点に集約することができる。
【0105】
2. 変形例
上述の実施形態には、種々の変形が適用され得る。
【0106】
上述の実施形態では、単位パターンのサイズが1個のクリップデータと等しい場合について説明したが、これに限られない。例えば、単位パターンは、複数のクリップデータを統合したものであってもよい。以下では、実施形態と異なる構成及び動作について主に説明する。実施形態と同等の構成及び動作については、適宜説明を省略する。
【0107】
2.1 設計モジュール
図18は、変形例に係る設計モジュールの機能構成の一例を示すブロック図である。
図18は、実施形態における
図4に対応する。
図18に示される設計モジュール21は、フラットデータ生成部31、原点抽出部32、クリップデータ取得部33、グループ化部34、階層化データ生成部35、及び統合部36を含む。
【0108】
変形例に係るフラットデータ生成部31、原点抽出部32、クリップデータ取得部33、グループ化部34、及び階層化データ生成部35の構成は、実施形態に係るフラットデータ生成部31、原点抽出部32、クリップデータ取得部33、グループ化部34、及び階層化データ生成部35の構成と同等であるため、説明を省略する。
【0109】
統合部36は、階層化データの階層構造に基づき、複数のグループを1個のグループに統合する。具体的には、統合部36は、階層化データの階層構造をグループ毎に比較し、同一の階層構造を有する複数のグループを1個のグループに統合する。グループを統合する際、統合部36は、統合対象の複数のグループにそれぞれ対応する複数の単位パターンを重ね合わせることにより、1個の単位パターンを合成する。
【0110】
以上のような構成により、同じ周期性の繰り返しパターンを有する複数の単位パターンを、クリップデータよりも大きいサイズの1個の単位パターンにまとめることができる。
【0111】
2.2 設計データ生成処理
図19は、変形例に係る設計モジュールにおける設計データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
図19は、実施形態における
図15に対応する。
【0112】
図19におけるS21~S27の処理は、
図15におけるS21~S27の処理と同等であるため、説明を省略する。
【0113】
全てのグループが選択された場合(S27;yes)、統合部36は、複数のグループのうち、同一の階層構造を有する複数のグループを1個のグループに統合する(S28)。統合されたグループに対応する単位パターンは、統合対象の複数のグループにそれぞれ対応する複数のクリップデータを重ね合わせたパターンとなる。
【0114】
S28の処理が終了すると、設計データ生成処理は終了となる(終了)。
【0115】
2.3 変形例に係る効果
変形例によれば、統合部36は、同一の階層構造を有する複数のグループを1個のグループに統合する。統合されたグループの単位パターンは、統合対象の複数のグループの単位パターンを重ね合わせたパターンとなる。これにより、同一の階層構造を有する複数のグループに対して、補正及び検証処理を同時に実行することができる。このため、補正及び検証処理の負荷を更に低減することができる。また、レイアウトパターン内の最も基本的な繰り返しパターンのうち、最大のパターンを把握することができる。
【0116】
3. その他
なお、上述した実施形態及び変形例には、種々の変形が適用可能である。
【0117】
上述した実施形態及び変形例では、階層化データ生成処理において、X方向の周期性に基づく階層化処理と、Y方向の周期性に基づく階層化処理とが互いに異なる階層構造に対応する場合について説明したが、これに限られない。例えば、X方向の周期性に基づく階層化処理と、Y方向に周期性に基づく階層化処理との組は、同一の階層構造に対応づけられてもよい。すなわち、互いに隣り合う2階層がX方向の周期性に基づく階層化処理によって形成された階層と、Y方向の周期性に基づく階層化処理によって形成された階層である場合、これら2階層は、1階層に集約されてもよい。
【0118】
上述した実施形態及び変形例では、設計データ生成処理、階層化データ生成処理、及びレイアウトデータ生成処理を実行するプログラムが、レイアウト生成装置2で実行される場合について説明したが、これに限られない。例えば、設計データ生成処理、階層化データ生成処理、及びレイアウトデータ生成処理を実行するプログラムは、クラウド上の計算リソースで実行されてもよい。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0120】
1…フォトマスク製造システム
2…レイアウト生成装置
3…マスク製造装置
11…制御部
12…ユーザインタフェース
13…ストレージ
14…ドライブ
15…記憶媒体
21…設計モジュール
22…補正モジュール
23…検証モジュール
31…フラットデータ生成部
32…原点抽出部
33…クリップデータ取得部
34…グループ化部
35…階層化データ生成部
35a…周期性抽出部
35b…集約部
35c…階層化部
36…統合部