(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113590
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/103 20210101AFI20240815BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240815BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240815BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20240815BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20240815BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240815BHJP
H01G 9/08 20060101ALI20240815BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20240815BHJP
H01M 50/159 20210101ALN20240815BHJP
H01M 50/16 20210101ALN20240815BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M10/04 Z
H01M50/15
H01M10/058
H01G2/10 M
H01G11/78
H01G9/08 F
H01M10/052
H01M50/159
H01M50/16
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018685
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】高松 寛史
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078HA01
5H011AA09
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC12
5H011DD13
5H011FF03
5H028AA07
5H028BB05
5H028CC08
5H028CC12
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AM03
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ05
5H029DJ02
5H029EJ01
5H029EJ12
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】信頼性が好適に向上された蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】ここで開示される蓄電デバイス(ここでは、電池)の一態様では、正極22および負極24を有する電極体20a,20b,20cと、電極体20a,20b,20cを収容するケース10と、を備えている。ケース10は、底壁12aと、底壁12aから延び相互に対向する一対の第1側壁12bと、底壁12aから延び相互に対向する一対の第2側壁12cと、底壁12aに対向する開口と、を有するケース本体12と、ケース本体12の開口12hを封口する封口板14と、を有しており、開口12hの周縁に沿ってケース本体12に封口板14が接合された接合部Aが存在しており、接合部Aの少なくとも一部は保護部材1によって覆われている。保護部材1は、接合部Aを覆った状態で封口板14の表面から第1側壁12bに至る位置まで配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極を有する電極体と、
前記電極体を収容するケースと、
を備えた蓄電デバイスであって、
前記ケースは、底壁と、該底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、該底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、該底壁に対向する開口と、を有するケース本体と、
前記ケース本体の前記開口を封口する封口板と、
を有しており、
前記開口の周縁に沿って前記ケース本体に前記封口板が接合された接合部が存在しており、
前記接合部の少なくとも一部は保護部材によって覆われており、
ここで、前記保護部材は、前記接合部を覆った状態で前記封口板の表面から前記第1側壁または前記第2側壁に至る位置まで配置されている、蓄電デバイス。
【請求項2】
前記開口および前記底壁は矩形状であり、前記第1側壁は前記開口の長手方向に沿って存在する幅広面であって、前記保護部材は、前記封口板から該幅広な第1側壁に至る位置まで配置されている、請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記第1側壁において、前記保護部材は、前記封口板から前記底壁に向かう方向において、前記接合部が存在する部分よりも前記底壁寄りの部位まで配置されている、請求項2に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
前記第1側壁において、前記保護部材は、該第1側壁の中央領域に配置されている、請求項2または3に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記保護部材は、前記第1側壁の一方から前記封口板を通って他方の該第1側壁に至る1または複数の架橋部を有する、請求項2または3に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1および2には、電極体を収容する六面体形状の角型のケースが開示されている。かかるケースは、ケース本体と、該ケース本体の開口を封口する封口板と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-114916号公報
【特許文献2】特開2006-040684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したようなケースは、例えばケース本体の開口の周縁に沿って該ケース本体と封口板とを接合することによって作製することができる。そして、本発明者の検討によると、近年の蓄電デバイス(例えば、電池)の高容量化に伴い、ケース内で発生するガス量が増加し、該ケースの内圧が上昇し易い傾向にあることがわかった。これによってケースが変形(膨張)し、ケース本体と封口板との接合部に負荷がかかるおそれがあるため、蓄電デバイスの信頼性の観点から好ましくない。
【0005】
本開示は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、信頼性が好適に向上された蓄電デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を実現すべく、本開示は、正極および負極を有する電極体と、上記電極体を収容するケースと、を備えた蓄電デバイスであって、上記ケースは、底壁と、該底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、該底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、該底壁に対向する開口と、を有するケース本体と、上記ケース本体の上記開口を封口する封口板と、を有しており、上記開口の周縁に沿って上記ケース本体に上記封口板が接合された接合部が存在しており、上記接合部の少なくとも一部は保護部材によって覆われており、上記保護部材は、上記接合部を覆った状態で上記封口板の表面から上記第1側壁または上記第2側壁に至る位置まで配置されている、蓄電デバイスを提供する。詳細については後述するが、かかる構成の蓄電デバイスによると、信頼性の向上を好適に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る電池を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1中のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図3】
図1中のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図4】
図1中のIV-IV線に沿う模式的な横断面図である。
【
図5】封口板に取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。
【
図6】正極第2集電部と負極第2集電部が取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。
【
図7】一実施形態に係る巻回電極体の構成を示す模式図である。
【
図8】
図1の電池を上面から視たときの模式図である。
【
図9】
図1の電池を第1側壁側から視たときの模式図である。
【
図10】
図8中のX-X線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図12】
図11中のXII-XII線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図13】他の実施形態に係る電池を複数備えた組電池の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、ここで開示される技術のいくつかの実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明は、当然のことながら、ここで開示される技術を以下の実施形態に限定することを意図したものではない。以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において範囲を示す「A~B」の表記は、「A以上B以下」を意味する。また、「Aを超える」および「B未満」の意を包含するものとする。
【0009】
なお、本明細書において「蓄電デバイス」とは、充電と放電とを行うことができるデバイスをいう。蓄電デバイスには、一次電池、二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池)等の電池と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)とが包含される。また、電解質は、液状電解質(電解液)、ゲル状電解質、固体電解質のいずれであってもよい。なお、以下では、蓄電デバイスの一実施形態であるリチウムイオン二次電池を例に本技術について説明する。
【0010】
<電池の構成>
図1は、電池100の斜視図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
図4は、
図1のIV-IV線に沿う模式的な横断面図である。以下の説明において、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表し、図面中の符号X、Y、Zは、電池100の短辺方向、短辺方向と直交する長辺方向、上下方向を、それぞれ表すものとする。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、電池100の設置形態を何ら限定するものではない。
【0011】
図2に示すように、電池100は、ケース10(電池ケース)と、電極体群20と、を備えている。また、本実施形態に係る電池100は、ケース10と電極体群20の他に、正極端子30と、正極外部導電部材32と、負極端子40と、負極外部導電部材42と、外部絶縁部材92と、正極集電部50と、負極集電部60と、正極内部絶縁部材70と、負極内部絶縁部材80と、を備えている。また、図示は省略するが、本実施形態に係る電池100は、さらに電解液を備えている。電池100は、ここではリチウムイオン二次電池である。
【0012】
ケース10は、電極体群20を収容する筐体である。ケース10は、ここでは扁平かつ有底の直方体形状(角型)の外形を有する。ケース10は、ここでは、六面体形状の角型の外形を有する。なお、角型のケースには、8つの角部が完全な角であるもの以外にも、該8つの角部のうち少なくとも一つの角部が角R(即ち、丸みを有する角)であるものも包含され得る。ケース10は、本実施形態のように扁平形状であってもよいし、扁平形状でなくてもよい(例えば、立方体形状等であってもよい)。ケース10の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。ケース10は、所定の強度を有する金属製であることが好ましい。ケース10を構成する金属材料の一例として、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等が挙げられる。
【0013】
そして、ケース10は、ケース本体12と、封口板14と、ガス排出弁17を備えている。ケース本体12は、一つの面が開口12hとなった扁平な角型の容器である。具体的には、ケース本体12は、
図1に示すように、略矩形状の底壁12aと、底壁12aの短辺から上方Uに延びて相互に対向する一対の第2側壁12cと、底壁12aの長辺から上方Uに延びて相互に対向する一対の第1側壁12bと、を備えている。第2側壁12cの面積は、第1側壁12bの面積よりも小さい。そして、開口12hは、上記一対の第1側壁12bと一対の第2側壁12cに囲まれたケース本体12の上面に形成されている。封口板14は、ケース本体12の開口12hを塞ぐようにケース本体12に取り付けられている。封口板14は、平面視において略矩形状の板材である。封口板14は、ケース本体12の底壁12aと対向している。ケース10は、ケース本体12の開口12hの周縁に封口板14が接合(例えば、溶接接合)されることによって形成される。封口板14の接合は、例えばレーザ溶接等の溶接によって行うことができる。具体的には、一対の第1側壁12bの各々は、封口板14の短辺と接合され、一対の第2側壁12cの各々は、封口板14の長辺と接合される。ケース10には、開口12hの周縁に沿ってケース本体12に封口板14が接合された接合部Aが存在している。また、詳細については後述するが、接合部Aの少なくとも一部は、保護部材1によって覆われている。
【0014】
図1および
図2に示すように、ガス排出弁17は、封口板14に形成されている。ガス排出弁17は、ケース10内の圧力が所定値以上になった際に開口して、ケース10内のガスを排出するように構成される。本実施形態におけるガス排出弁17は、封口板14の外面から電極体群20側に向って窪んだ平面略円形の凹部である。かかるガス排出弁17の底面には、封口板14の厚みよりも薄い薄肉部が形成される。このガス排出弁17は、ケース内圧が所定値以上になった際に薄肉部が破断する。これによって、ケース10内のガスを外部に排出し、上昇したケース内圧を低減できる。
【0015】
また、封口板14には、上記ガス排出弁17の他に、注液孔15と、2つの端子挿入穴18、19と、が設けられている。注液孔15は、ケース本体12の内部空間と連通しており、電池100の製造工程において電解液を注液するために設けられた開口である。注液孔15は、封止部材15aにより封止されている。かかる封止部材15aとしては、例えば、ブラインドリベットが好適である。これによって、ケース10の内部で封止部材15aを強固に固定できる。また、端子挿入穴18、19は、封口板14の長辺方向Yの両端部にそれぞれ形成されている。端子挿入穴18、19は、封口板14を上下方向Zに貫通している。
図2に示すように、長辺方向Yの一方(左側)の端子挿入穴18には正極端子30が挿入される。また、長辺方向Yの他方(右側)の端子挿入穴19には負極端子40が挿入される。
【0016】
図5は、封口板14に取り付けられた電極体群20を模式的に示す斜視図である。また、
図6は、正極第2集電部52と負極第2集電部62が取り付けられた電極体20aを模式的に示す斜視図である。本実施形態では、複数個(ここでは3個)の電極体20a,20b,20cがケース10の内部に収容される。なお、1つのケース10の内部に収容される電極体の数は特に限定されず、1つであってもよいし、2つ以上(複数)であってもよい。なお、
図5に示すように、各々の電極体の長辺方向Yの一方側(
図5の左側)には正極集電部50が配置され、長辺方向Yの他方(
図5の右側)には負極集電部60が配置される。そして、電極体20a,20b,20cの各々は、並列に接続されている。ただし、電極体20a,20b,20cは、直列に接続されていてもよい。電極体群20は、ここでは樹脂製シートからなる電極体ホルダ29(
図3参照)に覆われた状態でケース10のケース本体12の内部に収容される。
【0017】
図7は、電極体20aを模式的に示す斜視図である。なお、以下では電極体20aを例として詳しく説明するが、電極体20b、20cについても同様の構成とすることができる。
【0018】
図7に示すように、電極体20aは、正極22と負極24とセパレータ26とを有する。電極体20aは、ここでは、帯状の正極22と帯状の負極24とが2枚の帯状のセパレータ26を介して積層され、巻回軸WLを中心として巻回された巻回電極体である。ただし、電極体の構造は、ここに開示される技術を限定するものではない。例えば、電極体は、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の正極と、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の負極とが、絶縁された状態で積み重ねられてなる積層電極体であってもよい。
【0019】
電極体20aは、扁平形状を有している。電極体20aは、巻回軸WLが長辺方向Yと略平行になる向きで、ケース本体12の内部に配置されている。具体的には、
図3に示すように、電極体20aは、ケース本体12の底壁12aおよび封口板14と対向する一対の湾曲部(R部)20rと、一対の湾曲部20rを連結し、ケース本体12の第2側壁12cに対向する平坦部20fとを有している。平坦部20fは、第2側壁12cに沿って延びている。
【0020】
正極22は、
図7に示すように、正極集電体22cと、当該正極集電体22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aおよび正極保護層22pと、を有する。ただし、正極保護層22pは必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。正極集電体22cは、帯状である。正極集電体22cは、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。正極集電体22cは、ここでは金属箔、具体的にはアルミニウム箔である。
【0021】
正極集電体22cの長辺方向Yの一方の端部(
図7の左端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、帯状の正極22の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。複数の正極タブ22tは、巻回軸WLの軸方向の一方側(
図7の左側)に向かって、セパレータ26よりも外側に突出している。なお、正極タブ22tは、巻回軸WLの軸方向の他方(
図7で示すと右側)に設けられていてもよいし、巻回軸WLの軸方向の両側の各々に設けられていてもよい。正極タブ22tは、正極集電体22cの一部であり、金属箔(アルミニウム箔)からなっている。ただし、正極タブ22tは、正極集電体22cとは別の部材であってもよい。正極タブ22tの少なくとも一部には、正極活物質層22aおよび正極保護層22pが形成されずに、正極集電体22cが露出した領域が形成される。
【0022】
図4に示すように、複数の正極タブ22tは、巻回軸WLの軸方向の一方の端部(
図4の左端部)で積層され、正極タブ群23を構成する。そして、複数の正極タブ22tの各々は、外方側の端が揃うように折り曲げられている。これにより、ケース10への収容性を向上して電池100を小型化することができる。
図2に示すように、正極タブ群23は、正極集電部50を介して正極端子30と電気的に接続される。具体的には、正極タブ群23と正極第2集電部52とは接続部Jにおいて接続される(
図4参照)。そして、正極第2集電部52は、正極第1集電部51を介して正極端子30と電気的に接続される。なお、複数の正極タブ22tのサイズ(長辺方向Yに沿った長さおよび長辺方向Yに直交する幅、
図7参照)は、正極集電部50に接続される状態を考慮し、例えばその形成位置等によって、適宜調整することができる。ここでは、湾曲させたときに外方側の端が揃うように、複数の正極タブ22tの各々のサイズが相互に異なっている。
【0023】
図7に示すように、正極活物質層22aは、帯状の正極集電体22cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。正極活物質層22aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な正極活物質(例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物)を含んでいる。正極活物質層22aの固形分全体を100質量%としたときに、正極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。正極活物質層22aは、正極活物質以外の任意成分、例えば、導電材、バインダー、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等の炭素材料を使用し得る。バインダーとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を使用し得る。
【0024】
正極保護層22pは、
図7に示すように、長辺方向Yにおいて正極集電体22cと正極活物質層22aとの境界部分に設けられている。正極保護層22pは、ここでは正極集電体22cの巻回軸WLの軸方向の一方の端部(
図7の左端部)に設けられている。ただし、正極保護層22pは、軸方向の両端部に設けられていてもよい。正極保護層22pは、正極活物質層22aに沿って、帯状に設けられている。正極保護層22pは、無機フィラー(例えば、アルミナ)を含んでいる。正極保護層22pの固形分全体を100質量%としたときに、無機フィラーは、概ね50質量%以上、典型的には70質量%以上、例えば80質量%以上を占めていてもよい。正極保護層22pは、無機フィラー以外の任意成分、例えば、導電材、バインダー、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材およびバインダーは、正極活物質層22aに含み得るとして例示したものと同じであってもよい。
【0025】
負極24は、
図7に示すように、負極集電体24cと、負極集電体24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aと、を有する。負極集電体24cは、帯状である。負極集電体24cは、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。負極集電体24cは、ここでは金属箔、具体的には銅箔である。
【0026】
負極集電体24cの巻回軸WLの軸方向の一方の端部(
図7の右端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、帯状の負極24の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。複数の負極タブ24tの各々は、軸方向の一方側(
図7の右側)に向かって、セパレータ26よりも外側に突出している。ただし、負極タブ24tは、軸方向の他方の端部(
図7の左端部)に設けられていてもよいし、軸方向の両端部の各々に設けられていてもよい。負極タブ24tは、負極集電体24cの一部であり、金属箔(銅箔)からなっている。ただし、負極タブ24tは、負極集電体24cとは別の部材であってもよい。負極タブ24tの少なくとも一部には、負極活物質層24aが形成されずに、負極集電体24cが露出した領域が設けられている。
【0027】
図4に示すように、複数の負極タブ24tは、軸方向の一方の端部(
図4の右端部)で積層されて負極タブ群25を構成する。負極タブ群25は、軸方向において、正極タブ群23と対称的な位置に設けられていることが好ましい。そして、複数の負極タブ24tの各々は、外方側の端が揃うように折り曲げられている。これにより、ケース10への収容性を向上して、電池100を小型化することができる。
図2に示すように、負極タブ群25は、負極集電部60を介して負極端子40と電気的に接続されている。具体的には、負極タブ群25と負極第2集電部62とは接続部Jにおいて接続される(
図4参照)。そして、負極第2集電部62は、負極第1集電部61を介して負極端子40と電気的に接続される。複数の正極タブ22tと同様に、ここでは、湾曲させたときの外方側の端が揃うように、複数の負極タブ24tの各々サイズが相互に異なっている。
【0028】
図7に示すように、負極活物質層24aは、帯状の負極集電体24cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。負極活物質層24aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な負極活物質(例えば、炭素材料やシリコン系材料)を含んでいる。例えば、負極活物質がシリコン系材料を含む場合、ケース10内にガスが発生し易いため、ここで開示される技術を適用する対象として好適であるということができる。ここで、かかる炭素材料の一例としては、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、非晶質炭素、これらの組み合わせ等が挙げられる。また、かかるシリコン系材料の一例としては、シリコン、シリコン酸化物(シリカ)、これらの組み合わせ等が挙げられる。シリコン系材料は、例えば他の金属元素(例えば、アルカリ土類金属)や、その酸化物等を含有していてもよい。負極活物質層24aの固形分全体を100質量%としたときに、負極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。負極活物質層24aは、負極活物質以外の任意成分、例えば、バインダー、分散剤、各種添加成分等を含んでいてもよい。バインダーとしては、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類を使用し得る。分散剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロール類を使用し得る。
【0029】
セパレータ26は、
図7に示すように、正極22の正極活物質層22aと、負極24の負極活物質層24aと、を絶縁する部材である。セパレータ26としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる樹脂製の多孔性シートが好適である。セパレータ26は、樹脂製の多孔性シートからなる基材部と、基材部の少なくとも一方の表面上に設けられ、無機フィラーを含む耐熱層(Heat Resistance Layer:HRL)と、を有していてもよい。無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、チタニア等を使用し得る。
【0030】
電解液は従来と同様でよく、特に制限はない。電解液は、例えば、非水系溶媒と支持塩とを含有する非水電解液である。非水系溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類を含んでいる。支持塩は、例えば、LiPF6等のフッ素含有リチウム塩である。ただし、電解液は固体状(固体電解質)で、電極体群20と一体化されていてもよい。
【0031】
正極端子30は、
図2に示すように、封口板14の長辺方向Yの一方の端部(
図2の左端部)に形成された端子挿入穴18に挿入されている。正極端子30は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。一方、負極端子40は、封口板14の長辺方向Yの他方の端部(
図2の右端部)に形成された端子挿入穴19に挿入されている。なお、負極端子40は、金属製であることが好ましく、例えば銅または銅合金からなることがより好ましい。これらの電極端子(正極端子30、負極端子40)は、ここでは、ケース10の同じ面(具体的には封口板14)からそれぞれ突出している。ただし、正極端子30および負極端子40は、ケース10の異なる面からそれぞれ突出していてもよい。また、端子挿入穴18、19に挿入された電極端子(正極端子30、負極端子40)は、カシメ加工などによって封口板14に固定されていることが好ましい。
【0032】
上述した通り、正極端子30は、
図2に示すように、ケース本体12の内部で正極集電部50(正極第1集電部51、正極第2集電部52)を介して、各々の電極体20a,20b,20cの正極22(
図7参照)と電気的に接続される。正極端子30は、正極内部絶縁部材70およびガスケット90によって、封口板14と絶縁される。なお、正極内部絶縁部材70は、正極第1集電部51と封口板14との間に介在するベース部70aと、当該ベース部70aから電極体20a側に突出する突出部70bとを備えている。そして、端子挿入穴18を通じてケース10の外部に露出した正極端子30は、封口板14の外部において正極外部導電部材32と接続される。一方、負極端子40は、
図2に示すように、ケース本体12の内部で負極集電部60(負極第1集電部61、負極第2集電部62)を介して、各々の電極体20aの負極24(
図7参照)と電気的に接続される。負極端子40は、負極内部絶縁部材80およびガスケット90によって、封口板14と絶縁される。なお、正極内部絶縁部材70と同様に、負極内部絶縁部材80も、負極第1集電部61と封口板14との間に介在するベース部80aと、当該ベース部80aから電極体20a側に突出する突出部80bとを備えている。そして、端子挿入穴19を通じてケース10の外部に露出した負極端子40は、封口板14の外部において負極外部導電部材42と接続される。そして、上述した外部導電部材(正極外部導電部材32、負極外部導電部材42)と封口板14の外面との間には、外部絶縁部材92が介在している。かかる外部絶縁部材92によって外部導電部材32、42と封口板14とを絶縁できる。
【0033】
また、上述した内部絶縁部材(正極内部絶縁部材70、負極内部絶縁部材80)の突出部70b、80bは、封口板14と電極体20aとの間に配置される。かかる内部絶縁部材の突出部70b、80bによって、上方への電極体20aの移動が規制され、封口板14と電極体20aとの接触を防止できる。
【0034】
続いて、本実施形態に係る電池100を特徴づける保護部材1について説明する。ここで、
図8は、
図1の電池100を上面から視たときの模式図である。
図9は、
図1の電池100を第1側壁12b側から視たときの模式図である。
図10は、
図8中のX-X線に沿う模式的な縦断面図である。上述したように、電池100は、正極22および負極24を有する電極体(ここでは、電極体20a,20b,20c)と、該電極体を収容するケース10と、を備えている。また、ケース10は、底壁12aと、底壁12aから延び相互に対向する一対の第1側壁12bと、底壁12aから延び相互に対向する一対の第2側壁12cと、底壁12aに対向する開口12hと、を有するケース本体12と、ケース本体12の開口12hを封口する封口板14と、を有している。そして、
図1および
図8に示すように、開口12hの周縁に沿ってケース本体12に封口板14が接合された接合部Aが存在しており、接合部Aの少なくとも一部は保護部材1によって覆われている。保護部材1は、ここでは、接合部Aを覆った状態で封口板14の表面から角を跨いで近接する第1側壁12bまたは第2側壁12cに至る位置まで配置されている。なお、
図1に示すように、本実施形態では、保護部材1は、接合部Aを覆った状態で封口板14の表面から角を跨いで近接する第1側壁12bに至る位置まで配置されている。
【0035】
例えば、従来の電池では、ケース内でガスが発生した場合に、該ケースの内圧が上昇して該ケースが変形(膨張)し、これによって、ケース本体と封口板との接合部に負荷がかかりやすい傾向にあった。これに対して、例えば本実施形態に係る電池100では、接合部Aの少なくとも一部を、封口板14の表面から第1側壁12bに至るまで配置されている。換言すると、接合部1と変形の生じやすい側壁(ここでは、第1側壁12b)とを保護部材1によって覆っている。これによって、電池100の内圧上昇時に、接合部Aに加わる負荷を分散させ、ケース10における耐圧のばらつきを抑制することができる。したがって、ケース10の損傷等を好適に防止することができるため、信頼性が好適に向上された電池100を得ることができる。
【0036】
保護部材1は、例えば金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。あるいは、これらの組み合わせ(例えば、金属製の保護部材の一部に樹脂が配置されたもの)であってもよい。なお、絶縁性の付与によりハンドリング性を好適に向上させるという観点からは、保護部材1は樹脂製であることが好ましい。保護部材1を構成する金属材料の一例としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼(SUS)、これらの組み合わせ等が挙げられる。また、保護部材1を構成する樹脂材料の一例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、これらの組み合わせ等が挙げられる。
【0037】
保護部材1の厚み(
図10のX方向における厚み)は、ここで開示される技術の効果が発揮される限りにおいて特に限定されないが、例えばケース10の厚み(
図10のX方向における厚み)以上であることが好ましい。かかる構成によると、ケース10の変形をより好適に抑制することができる。ここで、保護部材1の厚みをt3、ケース10の厚みをt4としたとき、t4に対するt3の比(t3/t4)は、例えば1以上であり、ケース10の変形をより好適に抑制するという観点から、好ましくは1.2以上であり、より好ましくは1.5以上であり、例えば2以上であってもよい。また、上記比(t3/t4)の上限は、例えば3以下であり、2.5以下であってもよい。そして、保護部材1の厚みは、例えば0.1mm~20mm(好ましくは、0.5mm~10mm)とすることができる。また、ケース10の厚みは、例えば0.1mm~20mm(好ましくは、0.5mm~10mm)とすることができる。
【0038】
図1に示すように、本実施形態では、長手方向における一対の第1側壁12bにおいて、挟み込むように接合部A側面を保持することによって、ケース10の変形(膨張)を好適に抑制することができる。また、好ましくは、本実施形態にように、保護部材1は、ガス排出弁17や電極端子(正極端子30および負極端子40)の上面を覆わないように配置されている。かかる構成によると、電池100においてガス排出弁17や電極端子の機能が好適に発揮され得る。また、好ましくは、本実施形態のように、封口板14の角部(角Rであってもよい)や封口板14の短辺には、保護部材1が配置されていない。かかる構成によると、コスト削減の観点から好ましい。封口板14の角部や該角部の近傍となる短辺では剛性が高いため、これらの部分は保護部材1によって覆われていなくてもよいとされる。また、接合部Aの腐食を抑制する訳ではないため、接合部Aは保護部材1によって完全に覆われていなくてもよい。なお、他の実施形態では、封口板14の角部(角Rであってもよい)や封口板14の短辺にも、保護部材1が配置されていてもよい。
【0039】
好ましい一態様では、開口12hおよび底壁12aは矩形状であり、第1側壁12bは開口12hの長手方向(
図1のY方向)に沿って存在する幅広面である。そして、保護部材1は、ここでは、封口板14から角を跨いで該幅広な第1側壁12bに至る位置まで配置されている。ケース10が変形(膨張)する場合、幅広な第1側壁12b側が変形し易いとされる。したがって、上述したような構成によると、ケース10の変形を好適に抑制することができるため、接合部Aに加わる負荷を好適に低減することができる。
【0040】
好ましい一態様では、第1側壁12bにおいて、保護部材1は、第1側壁12bの中央領域に配置されている。換言すると、保護部材1は、第1側壁12bの中央領域に配置された保護部材1bと、該中央領域以外に配置された保護部材1aと、を有しており、封口板14から底壁12aに向かう方向(
図9のD方向)において、上記中央領域に配置された保護部材1bは、上記中央領域以外に配置された保護部材1aよりも、より底壁12a寄りの部位に至るまで配置されている。ケース10が変形(膨張)する場合、幅広な第1側壁12b側のうち中央領域が特に変形し易いとされる。したがって、上述したような構成によると、ケース10の変形をより好適に抑制することができるため、接合部Aに加わる負荷を好適に低減することができる。なお、第1側壁12bの中央領域とは、例えば第1側壁12bの長辺を3等分、5等分、7等分したときの真ん中の範囲内の領域ということができる。なお、本実施形態では、かかる中央領域を、第1側壁12bの長辺をl1,l2,l3と3等分したときのl2の範囲内の領域としている。
【0041】
ここで、第1側壁12bの短辺方向(
図9のZ方向)において、第1側壁12bの中央領域以外に配置された保護部材1aの長さをt1、第1側壁12bの中央領域に配置された保護部材1bの長さをt2、としたとき、t1に対するt2の比(t2/t1)の下限は、例えば1.2以上であり、第1側壁12b側の変形をより好適に抑制するという観点から、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは2以上(あるいは、2超)である。また、上記比(t2/t1)の上限は、例えば5以下であり、4以下や3以下であってもよい。また、保護部材1bは、例えば後述するL2の範囲内とすることが好ましい。L2の範囲では、L1やL3の範囲と比較して、ケース10が変形し易いとされているため、ここで開示される効果を得易い。
【0042】
好ましい一態様では、保護部材1は、第1側壁12bの一方から封口板14を通って他方の第1側壁12bに至る1または複数の架橋部1cを有する。かかる構成によると、保護部材1の枠内の剛性が向上されるため、ケース10の変形を好適に抑制することができる。なお、
図8に示すように、本実施形態では、保護部材1は、2つの架橋部1cを有しているが、他の実施形態では、架橋部は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、架橋部1cの配置位置は、ここで開示される技術の効果が発揮される限りにおいて特に限定されないが、封口板14の長手方向(
図8のY方向)における中央領域に配置されることが好ましい。かかる構成によると、保護部材1の枠内の剛性をより好適に向上させることができる。なお、封口板14の中央領域とは、例えば封口板14の長辺を3等分、5等分、7等分したときの真ん中の範囲内の領域ということができる。なお、本実施形態では、かかる中央領域を、封口板14の長辺をL1,L2,L3と3等分したときのL2の範囲内の領域としている。
【0043】
好ましい一態様では、第1側壁12bにおいて、保護部材1は、封口板14から底壁12aに向かう方向(
図10のD方向)において、接合部Aが存在する部分(換言すると、接合部Aの下端Q)よりも底壁12a寄りの部位まで配置されている。かかる構成によると、電池100の内圧が上昇した際に接合部Aに加わる負荷を好適に抑制することができる。また、より好ましい一態様では、1側壁12bにおいて、保護部材1は、封口板14から底壁12aに向かう方向(
図10のD方向)において、封口板14の下端Rよりも底壁12a寄りの部位まで配置されている。かかる構成によると、電池100の内圧が上昇した際に接合部Aに加わる負荷をより好適に分散させることができる。
【0044】
好ましい一態様では、ケース10の上面において、保護部材1は、接合部Aの内周端Pよりも内側まで延在している。かかる構成によると、電池100の内圧が上昇した際に接合部Aに加わる負荷をより好適に分散させることができる。
【0045】
例えば、ケース内でガスが発生することでケース内の内圧が上昇し易い大型電池(例えば、高容量電池)は、ここで開示される技術を適用する対象として好適である。かかる大型電池の外寸の一例としては、縦:80mm~100mm,横:200mm~300mm,幅:30mm~40mmが挙げられる。なお、上述した縦,横,幅とはそれぞれ、電池100を例に挙げて説明すると、第1側壁12bの短辺方向における長さ(
図1のZ方向における長さ),第1側壁12bの長辺方向における長さ(
図1のY方向における長さ),ケース10の厚み(
図1のX方向における厚み)ということができる。かかる大型電池は、長手方向(
図1のY方向)における長さを大きくしていることで、電池の内圧上昇によるケースの変形が相対的に上昇し易くなる傾向にある。
【0046】
<電池の製造方法>
次に、本実施形態に係る電池100の製造方法の一例について説明する。本実施形態に係る電池100は、例えば、電極体20a,20b,および20cを用意し、ケース10に挿入し、封口することにより、作製することができる。より具体的には、先ず、
図5に示すように、各々の電極体の正極タブ群23に正極第2集電部52を接合し、負極タブ群25に負極第2集電部62を接合する。そして、
図4に示すように、各々の電極体を、平坦部同士が対向するように配列する。各々の電極体の上方に封口板14を配置し、正極第2集電部52と電極体の一方の側面20eとが対向するように、各々の電極体の正極タブ群23を折り曲げる。これによって、正極第1集電部51と正極第2集電部52とが接続される。同様に、負極第2集電部62と電極体の他方の側面20hとが対向するように、各々の電極体20の負極タブ群25を折り曲げる。これによって、負極第1集電部61と負極第2集電部62とが接続される。この結果、正極集電部50と負極集電部60を介して封口板14に電極体が取り付けられる。次いで、封口板14に取り付けられた各々の電極体を、電極体ホルダ29(
図3参照)で覆った後にケース本体12の内部に収容する。この結果、電極体20の平坦部がケース本体12の長側壁12b(すなわち、ケース10の扁平面)と対向する。また、上側の湾曲部20rが封口板14と対向し、下側の湾曲部20rがケース本体12の底壁12aと対向する。そして、ケース本体12の上面の開口12hを封口板14で塞いだ後に、ケース本体12と封口板14とを接合(溶接)することによってケース10を構築する。その後、封口板14の注液孔15からケース10の内部に電解質を注入し、注液孔15を封止部材15aで塞ぐ。
【0047】
続いて、ケース10に対して保護部材1を固定(配置)する。保護部材1をケース10に固定する方法としては、例えば、保護部材1をケース10に対して機械的に嵌合する方法や、保護部材1をケース10に対して接着剤等で固定する方法、UV硬化樹脂等によって接合部Aに対して直接的に保護部材1を形成する方法等が挙げられる。かかる接着剤の一例としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、が挙げられる。また、かかるUV硬化樹脂としては、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。以上のようにして、保護部材1を備えた電池100を得ることができる。
【0048】
<電池の用途>
電池100は各種用途に利用可能であるが、例えば、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)等が挙げられる。電池100は、電池反応のバラつきが低減されているため、組電池の構築に好適に用いることができる。
【0049】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本開示は、他にも種々の形態にて実施することができる。本開示は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態では、接合部Aの一部が保護部材1によって覆われているが、他の実施形態では、接合部Aの全体が保護部材1によって覆われていてもよい。また、例えば、上記実施形態では、保護部材1は、接合部Aを覆った状態で封口板14の表面から角を跨いで近接する第1側壁12bに至る位置まで配置されているが、これに限定されない。他の実施形態では、保護部材1は、接合部Aを覆った状態で封口板14の表面から角を跨いで近接する第2側壁12cに至る位置まで配置されていてもよいし、第1側壁12bおよび第2側壁12cに至る位置まで配置されていてもよい。また、保護部材1は、接合部Aの全体を覆っていてもよい。
【0051】
図11は、他の実施形態に係る
図8対応図である。
図12は、
図11中のXII-XII線に沿う模式的な縦断面図である。また、
図13は、他の実施形態に係る電池を複数備えた組電池の模式図である。
図11に示すように、他の実施形態では、保護部材101は、封口板14から角を跨いで第1側壁12bに至る位置まで配置されており、第1側壁12bに配置された保護部材101には、1または複数のリブ101aが存在している。かかる構成によると、例えば保護部材101を備えた電池200を複数並べて組電池300としたときに、電池200の強度が好適に向上するため、接合部Aを好適に保護することができる。
【0052】
好ましい一態様では、封口板14の長辺をL1,L2,L3と3等分したときのL2の範囲の領域に設けられたリブ101aの数は、L1,L3に範囲の領域に設けられたリブ101aの数よりも多い。L2の範囲の領域では、L1,L3の範囲に領域と比較して、ケース10の変形が大きいため、L2におけるリブ101aの数を相対的に多くすることで、ケース10の強度を好適に向上させることができる。また、好ましい一態様では、リブ101aの厚み(
図12のX方向における厚み)は、保護部材101の厚み(
図12のX方向における厚み)よりも大きい。かかる構成によると、ケース10の強度を好適に向上させることができる。ここで、リブ101aの厚みをt5、保護部材101の厚みをT6としたとき、t6に対するt5に比(t5/t6)の下限は、例えば1.2以上であり、第1側壁12b側の変形をより好適に抑制するという観点から、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは2以上である。また、上記比(t5/t6)の上限は、例えば5以下であり、4以下や3以下であってもよい。
【0053】
好ましい一態様では、一対の第1側壁12bのうち一方の第1側壁12b側に配置されたリブ101aと、他方の第1側壁12b側に配置されたリブ101aは、第1側壁12bの長辺方向において、左右非対称となるように配置されている。かかる構成によると、電池200を複数並べて組電池300したとき、リブ101aどうしが重ならないため、電池200間の距離を小さくすることができる。これによって、ケース10の強度を好適に向上させることができるとともに、組電池300の容量を好適に大きくすることができる。
【0054】
以上のとおり、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項(item)に記載のものが挙げられる。
項1:正極および負極を有する電極体と、上記電極体を収容するケースと、を備えた蓄電デバイスであって、上記ケースは、底壁と、該底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、該底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、該底壁に対向する開口と、を有するケース本体と、上記ケース本体の上記開口を封口する封口板と、を有しており、上記開口の周縁に沿って上記ケース本体に上記封口板が接合された接合部が存在しており、上記接合部の少なくとも一部は保護部材によって覆われており、ここで、上記保護部材は、上記接合部を覆った状態で上記封口板の表面から上記第1側壁または上記第2側壁に至る位置まで配置されている、蓄電デバイス。
項2:上記開口および上記底壁は矩形状であり、上記第1側壁は上記開口の長手方向に沿って存在する幅広面であって、上記保護部材は、上記封口板から該幅広な第1側壁に至る位置まで配置されている、項1に記載の蓄電デバイス。
項3:上記第1側壁において、上記保護部材は、上記封口板から上記底壁に向かう方向において、上記接合部が存在する部分よりも上記底壁寄りの部位まで配置されている、項2に記載の蓄電デバイス。
項4:上記第1側壁において、上記保護部材は、該第1側壁の中央領域に配置されている、項2または項3に記載の蓄電デバイス。
項5:上記保護部材は、上記第1側壁の一方から上記封口板を通って他方の該第1側壁に至る1または複数の架橋部を有する、項2~項4のいずれか一つに記載の蓄電デバイス。
【符号の説明】
【0055】
1 保護部材
10 ケース
12 ケース本体
14 封口板
15 注液孔
15a 封止部材
17 ガス排出弁
18,19 端子挿入穴
20 電極体群
20a~20c 電極体
22 正極
23 正極タブ群
24 負極
25 負極タブ群
26 セパレータ
27 基材層
28 耐熱層
30 正極端子
32 正極外部導電部材
40 負極端子
42 負極外部導電部材
50 正極集電部
60 負極集電部
70 正極内部絶縁部材
80 負極内部絶縁部材
90 ガスケット
92 外部絶縁部材
100 電池
A 接合部