IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特開-カメラ校正装置 図1
  • 特開-カメラ校正装置 図2
  • 特開-カメラ校正装置 図3
  • 特開-カメラ校正装置 図4
  • 特開-カメラ校正装置 図5
  • 特開-カメラ校正装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113618
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】カメラ校正装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/90 20230101AFI20240815BHJP
   G06T 7/80 20170101ALI20240815BHJP
   B60R 1/28 20220101ALI20240815BHJP
【FI】
H04N23/90
G06T7/80
B60R1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018758
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海野 和也
(72)【発明者】
【氏名】石沢 恒司
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】石塚 博基
【テーマコード(参考)】
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
5C122DA14
5C122EA55
5C122EA67
5C122FA18
5C122GE24
5C122GE26
5L096AA09
5L096BA04
5L096CA05
5L096DA02
5L096FA05
5L096FA12
5L096FA64
5L096FA69
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】周囲に大きなスペースを確保することなく車両に搭載されたカメラの校正作業を実施可能なカメラ校正装置を提供すること。
【解決手段】本開示のカメラ校正装置は、車両に搭載された第1のカメラ及び前記第1のカメラとは異なる位置に設置された第2のカメラを校正するものであって、前記第1のカメラの撮像領域内であって且つ前記第2のカメラの撮像領域外に配設された第1の校正パターンと、前記第2のカメラの撮像領域内であって且つ前記第1のカメラの撮像領域外に配設された第2の校正パターンと、前記第1の校正パターンと前記第2の校正パターンとが共に撮像可能な位置に配設された補助カメラと、前記第1のカメラ、前記第2のカメラ及び前記補助カメラの撮像画像に基づいて、第1のカメラ及び前記第2のカメラの位置を推定するカメラ位置推定装置と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された第1のカメラ及び前記第1のカメラとは異なる位置に設置された第2のカメラを校正するカメラ校正装置であって、
前記第1のカメラの撮像領域内であって且つ前記第2のカメラの撮像領域外に配設された第1の校正パターンと、
前記第2のカメラの撮像領域内であって且つ前記第1のカメラの撮像領域外に配設された第2の校正パターンと、
前記第1の校正パターンと前記第2の校正パターンとが共に撮像可能な位置に配設された補助カメラと、
前記第1のカメラ、前記第2のカメラ及び前記補助カメラの撮像画像に基づいて第1のカメラ及び前記第2のカメラの位置を推定するカメラ位置推定装置と、を備える、
カメラ校正装置。
【請求項2】
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラは、前記車両の後方に取り付けられた後方カメラと、前記車両の前方左右にそれぞれ取り付けられた側方カメラのいずれかで構成される、
請求項1に記載のカメラ校正装置。
【請求項3】
前記カメラ位置推定装置は、前記車両に接続可能なコンピュータで構成される、
請求項2に記載のカメラ校正装置。
【請求項4】
車両に搭載された第1のカメラ及び前記第1のカメラとは異なる位置に設置された第2のカメラを校正するカメラ校正装置であって、
前記第1のカメラの設置位置に配設された第1の校正パターンと、
前記第2のカメラの設置位置に配設された第2の校正パターンと、
前記第1の校正パターンと前記第2の校正パターンとが共に撮像可能な位置に配設された補助カメラと、
前記補助カメラの撮像画像に基づいて第1のカメラ及び前記第2のカメラの位置を推定するカメラ位置推定装置と、を備える、
カメラ校正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラ校正装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の周囲の状況をより詳細に運転者等に提供するために、車両の複数箇所にカメラを搭載し、車両の周囲を撮像することが従来から行われている。また、複数のカメラで撮像した撮像画像内の共通する領域を重ねるように合成して合成画像を作成し、表示することも行われている(例えば下記特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-187566号公報
【特許文献2】特開2016-189576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のカメラが撮像した撮像画像を運転者等に提供するに際し、事前にカメラ同士の相対位置を正確に特定しておくことは、例えば画像を合成する際の位置ズレを抑制するためには重要である。したがって、車両に搭載されるカメラでは、例えば車両の製造時にカメラの校正作業が行われることが多い。例えば、上記特許文献1には、2つ以上のカメラに共通する撮影領域に校正パターンを配設し、各カメラで校正パターンを撮像することで各カメラの相対位置を特定する校正作業が記載されている。
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の校正手法では、例えば相対位置を特定したい2つのカメラ同士の撮像領域に共通する領域が小さい場合、当該共通する領域はカメラの画角の関係で車両から離れた位置となるため、校正パターンも車両から離れた位置に配置することとなる。このように、校正パターンを車両から離れた位置に配置するためには、車両の周囲に大きなスペースを確保する必要が生じるため、作業性等の観点で改善の余地がある。
【0006】
本開示は、上述した課題に鑑み、周囲に大きなスペースを確保することなく車両に搭載されたカメラの校正作業を実施可能なカメラ校正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様に係るカメラ校正装置は、車両に搭載された第1のカメラ及び前記第1のカメラとは異なる位置に設置された第2のカメラを校正するカメラ校正装置であって、前記第1のカメラの撮像領域内であって且つ前記第2のカメラの撮像領域外に配設された第1の校正パターンと、前記第2のカメラの撮像領域内であって且つ前記第1のカメラの撮像領域外に配設された第2の校正パターンと、前記第1の校正パターンと前記第2の校正パターンとが共に撮像可能な位置に配設された補助カメラと、前記第1のカメラ、前記第2のカメラ及び前記補助カメラの撮像画像に基づいて第1のカメラ及び前記第2のカメラの位置を推定するカメラ位置推定装置と、を含む。
【0008】
上記のようなカメラ校正装置においては、第1及び第2の校正パターンの配置の自由度が高いため、車両の周囲に大きなスペースを確保する必要がない。
【0009】
本開示の第2の態様に係るカメラ校正装置は、上記本開示の第1の態様に係るカメラ校正装置において、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラは、前記車両の後方に取り付けられた後方カメラと、前記車両の前方左右にそれぞれ取り付けられた側方カメラのいずれかで構成される。
【0010】
上記のようなカメラ校正装置においては、各カメラで撮像した画像を広視野角画像として合成する際、位置ズレが抑制された滑らかな画像が生成できるようになる。
【0011】
本開示の第3の態様に係るカメラ校正装置は、上記本開示の第2の態様に係るカメラ校正装置において、前記カメラ位置推定装置は、前記車両に接続可能なコンピュータで構成される。
【0012】
上記のようなカメラ校正装置においては、カメラ位置推定装置を車両とは別のコンピュータで構成でき、車両ECU内に当該校正作業のための作業スペース等を確保する必要がなくなる。
【0013】
本開示の第4の態様に係るカメラ校正装置は、車両に搭載された第1のカメラ及び前記第1のカメラとは異なる位置に設置された第2のカメラを校正するカメラ校正装置であって、前記第1のカメラの設置位置に配設された第1の校正パターンと、前記第2のカメラの設置位置に配設された第2の校正パターンと、前記第1の校正パターンと前記第2の校正パターンとが共に撮像可能な位置に配設された補助カメラと、前記補助カメラの撮像画像に基づいて、第1のカメラ及び前記第2のカメラの位置を推定するカメラ位置推定装置と、を含む。
【0014】
上記のようなカメラ校正装置においては、第1及び第2の校正パターンがカメラの設置位置に配設されるため、構成パターンを設置するために車両の周囲に大きなスペースを確保する必要がない。
【発明の効果】
【0015】
本開示のカメラ校正装置によれば、周囲に大きなスペースを確保することなく車両に搭載されたカメラの校正作業を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の第1の実施の形態に係るカメラ校正装置の一例を示す概略図である。
図2】校正パターンの一例を示した説明図である。
図3図1に示すカメラ校正装置のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
図4】車両に搭載されたカメラで撮像した画像の一例を示した図であって、図4(A)は後方カメラが撮像した画像を示したものであり、図4(B)は左側方カメラが撮像した画像を示したものである。
図5】左補助カメラで撮像した画像の一例を示した図である。
図6】本開示の第2の実施の形態に係るカメラ校正装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本開示を実施するための各実施の形態について説明する。なお、以下では本開示の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。また、図中の互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。さらに、一の図面中に互いに同一又は相当する部材が複数個含まれている場合には、図を見易くするために、そのうちのいくつかにのみ符号を付している場合がある。
【0018】
図1は、本開示の第1の実施の形態に係るカメラ校正装置の一例を示す概略図である。本実施の形態に係るカメラ校正装置1は、車両2に搭載された複数のカメラのうちの第1及び第2のカメラを校正するための装置であってよい。本実施の形態において、カメラの校正(「キャリブレーション」ともいう)とは、各カメラが撮像した画像を合成するために、各カメラの相対位置を特定することをいう。なお、カメラの校正作業は、一般に、以降に説明する相対位置の特定作業のみならず、各カメラのレンズの歪みの特定作業等の種々の作業を含むが、ここでは各カメラの相対位置の特定作業を主に説明することとし、他の校正作業についてその説明を省略する。また、図1中の矢印FRは車両2の前方側を示し、矢印Wは車両2の左右方向(あるいは幅方向)を示している。
【0019】
また、以下の説明では、図1に示すような乗用車の後方及び左右後方を撮像するカメラの校正作業について説明するが、校正作業を行う第1のカメラ及び第2のカメラは以下に例示するものに限定されない。例えば、上記特許文献1に記載のもののように、車両の全方位を撮像するカメラに適用することもできる。
【0020】
上述した第1及び第2のカメラは、異なる位置に設置されたカメラを指すものである。また、この第1及び第2のカメラとしては、車両2に搭載された複数のカメラのうち、その撮像領域が一部重複するものが選択されるとよい。具体的には、図1に示すように、例えば車両2の後方正面を撮像することでルームミラーとしても機能し得る後方カメラ10と、車両の左右後方を撮像することでサイドミラー(ドアミラー)としても機能し得る左側方カメラ20L及び右側方カメラ20Rとのいずれか一方とすることができる。
【0021】
後方カメラ10は、車両2の後方の適所、例えば車両2の幅方向の略中央部に取り付けられ、車両2の後方を撮像可能なカメラで構成することができる。この後方カメラ10は、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子を用いた二次元カメラを用いることができる。また、後方カメラ10は1台で構成されるものを例示するが、複数台で構成されていてもよい。
【0022】
左側方カメラ20L及び右側方カメラ20Rは、車両2の前方左右の側面、例えば前方ドアに設置されるサイドミラーに代えて、あるいはサイドミラーの近傍にそれぞれ取り付けられ、車両の左右後方を撮像可能なカメラで構成することができる。この左側方カメラ20L及び右側方カメラ20Rは、後方カメラ10と同様に、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を用いた二次元カメラを用いることができる。
【0023】
また、後方カメラ10の撮像領域11と、左側方カメラ20L及び右側方カメラ20Rのそれぞれの撮像領域21L、21Rとは、図1に示すように、撮像画像同士を合成するためにその一部が重複していてよい。このように、撮像領域が一部重複するカメラの相対位置を特定すると、撮像画像を合成した広視野画像を生成する際、画像同士の位置合わせ等を正確に行うことができるようになる。
【0024】
ここで、後方カメラ10と左側方カメラ20L又は右側方カメラ20Rの一方、例えば左側方カメラ20Lとの相対位置を特定したい場合、従来は以下のように当該相対位置を特定する方法がある。すなわち、後方カメラ10の撮像領域11と左側方カメラ20Lの撮像領域21Lとが重なる共通領域OAに、図1に点線で示したパターン形状が既知の校正パターン40を配置し、両カメラで当該校正パターン40を撮像することで、位置関係を推定する方法がある。しかし、この方法では、共通領域OAが車両2後方から離れた位置にしか形成されず、各カメラと校正パターン40との距離が遠くなり、校正の精度低下の要因となり得る。加えて、例えば図1に示すように、車両2後方に近い位置に壁Wがあるような空間では共通領域OAに校正パターン40が設置できないため、校正作業を行うことができない。本実施の形態は、上述の点を考慮したカメラ校正装置1を提供しようとするものである。
【0025】
本実施の形態に係るカメラ校正装置1は、第1のカメラ、例えば後方カメラ10の撮像領域内であって、且つ第2のカメラ、例えば左側方カメラ20L又は右側方カメラ20Rの撮像領域外に配設された第1の校正パターン41と、第2のカメラとしての左側方カメラ20L又は右側方カメラ20Rの撮像領域内であって且つ第1のカメラとしての後方カメラ10の撮像領域外に配設された第2の校正パターン42と、第1の校正パターン41と第2の校正パターン42とが共に撮像可能な位置に配設された補助カメラ30L、30Rと、各カメラの撮像画像に基づいて、各カメラの相対位置を推定するカメラ位置推定装置50と、を含む。
【0026】
図2は、校正パターンの一例を示した説明図である。第1及び第2の校正パターン41、42は、例えば任意の2次元パターンを組み合わせて構成することができる。また、当該2次元パターンは所定サイズの板体に印刷され、任意の位置に設置することができるものであってよい。上述した任意の2次元パターンとしては、図2に示すように、例えば黒色の正方形状の模様が複数個組み合わされた市松模様(あるいはチェッカーボード)状のパターンで構成することができる。正方形状の模様の一辺の長さは全て同一であり且つ既知であって、各正方形状の模様の各頂点Vの位置も既知である。なお、第1及び第2の校正パターン41、42は、上述のパターンに限定されるものではなく、また、第1及び第2の校正パターン41、42のパターン形状等が共通していてもよいし、異なっていてもよい。さらに、図2では、複数の頂点Vの一部にのみ符号を付している。
【0027】
図2に示すような校正パターンをカメラで撮像し、撮像画像内の校正パターンに含まれる頂点V等の特徴点の大きさや配置を特定すると、カメラと校正パターンとの相対位置を推定することができる。そして、共通する構成パターンを複数のカメラで撮像すれば、複数のカメラ同士の相対位置も推定することができる。なお、これらの相対位置の推定方法等については後述する。
【0028】
ここで、第1及び第2の校正パターン41、42は、後方カメラ10、あるいは左側方カメラ20L及び右側方カメラ20Rのいずれか一方の撮像領域に含まれていればよい。したがって、第1及び第2の校正パターン41、42は、その配置の自由度が高く、例えば撮像されるカメラに近い位置に配置することができる。したがって、後述する校正作業に際しては撮像画像内に校正パターンを大きく映し出すことができ、位置推定の際の精度を向上させることができる。また、車両2の近くに校正パターンが配置できるため、車両2の周囲に校正作業のための大きなスペースを確保する必要がない。
【0029】
補助カメラ30L、30Rは、車両2外の任意の位置に設置され、後方カメラ10等と同様に、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を用いた二次元カメラで構成することができる。この補助カメラ30L、30Rは、その画角が固定されているものとする。本実施の形態に係る補助カメラ30L、30Rは、図1に示すように、車両2の側面後方から左右方向に所定距離離れた位置に1つずつ配置されているものとする。以下、これら2つの補助カメラを区別するために、車両2の左側に配置されたものを左補助カメラ30Lとし、車両2の右側に配置されたものを右補助カメラ30Rというものとする。
【0030】
上述の補助カメラ30L、30Rのそれぞれの撮像領域31L、31R内には、第1及び第2の校正パターン41、42がそれぞれ少なくとも1つずつ含まれる。なお、本実施の形態では、補助カメラとして、第1の校正パターン41と第2の校正パターン42とを1つずつ撮像領域に含むようにそれぞれ設置された2つの補助カメラ30L、30Rを例示しているが、補助カメラの数は1つであってもよい。その場合は、補助カメラの撮像領域内に第1の校正パターン41と2つの第2の校正パターン42とが含まれるようにするとよい。
【0031】
補助カメラ30L、30Rの配置は、図1のものに限定されない。また、補助カメラ30L、30Rに広角レンズを採用すれば、補助カメラ30L、30Rを、撮像対象となる第1及び第2の校正パターン41、42により近い位置に配置することができる。補助カメラ30L、30Rと撮像対象となる第1及び第2の校正パターン41、42とを近接させることにより、カメラの位置推定の際の精度を向上させることができる。また、校正パターン41、42の近くに補助カメラ30L、30Rが配置できるため、車両2の周囲に校正作業のための大きなスペースを確保する必要もない。
【0032】
カメラ位置推定装置50は、各カメラで撮像された撮像画像に基づいて、校正対象となる第1及び第2のカメラの相対位置を推定するための装置である。このカメラ位置推定装置50は、例えばマイクロコントローラを含む周知のコンピュータで構成することができる。また、カメラ位置推定装置50を構成するコンピュータは、車両2とは別に準備されかつ車両2に接続可能なコンピュータで構成すると好ましい。なお、カメラ位置推定装置50は、車両2内のECU(Electronic Control Unit)の一部等を用いて実現することもできる。
【0033】
図3は、図1に示すカメラ校正装置のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。このカメラ位置推定装置50は、図3に示すように、少なくとも、プロセッサ51と、メモリの一例としてのROM(Read Only Memory)52及びRAM(Random Access Memory)53と、ストレージ54と、入出力インタフェース55とを含んでいてよい。また、これらの構成は、内部バスを介して相互に通信可能に接続されていてよい。なお、カメラ位置推定装置50を構成するコンピュータは、上述した構成に加えて、モニタやキーボード、タッチパネル等に代表されるユーザインタフェース等を含んでいてもよい。
【0034】
プロセッサ51は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成することができ、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりすることができるものであってよい。具体的にいえば、このプロセッサ51は、ROM52又はストレージ54に格納されている種々のプログラムを読み出し、RAM53を作業領域として当該プログラムを実行することができるものであってよい。プロセッサ51は、プログラムに従ってカメラ校正装置1を構成する各構成要素の制御や各種の演算処理を行うことができるものであってよい。
【0035】
ROM52は、各種プログラム及び各種データを格納することができるものであってよい。また、RAM53は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶することができるものであってよい。
【0036】
ストレージ54は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリといった記録媒体で構成することができる。このストレージ54には、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや、カメラ校正装置1を動作させるために必要な各種データ(例えば、第1及び第2の校正パターン41、42の頂点V間の距離に関する情報)が格納されていてよい。本実施の形態においては、ROM52又はストレージ54には、各カメラで撮像された撮像画像に基づいてカメラの位置を推定するためのプログラムや各種データが格納され得る。
【0037】
入出力インタフェース55は、上述した各カメラから撮像画像を取得し、各カメラの位置情報を車両2へ送信することが可能なものであってよい。具体的には、入出力インタフェース55は、左補助カメラ30Lと、右補助カメラ30Rと、車両2内の車両ECU3とに有線又は無線通信を介して接続され、相互にデータ通信が可能とされたものであってよい。車両ECU3は、少なくとも後方カメラ10、左側方カメラ20L及び右側方カメラ20Rを制御可能なものであってよく、より好ましくは、各カメラの撮像画像を合成した合成画像の生成をも可能なものであってよい。
【0038】
次に、上述の構成を含むカメラ校正装置1を用いた校正作業の一例を説明する。なお、以下には、校正を実施する第1及び第2のカメラが、後方カメラ10と左側方カメラ20Lである場合について説明する。なお、第1及び第2のカメラが他のカメラである場合、例えば後方カメラ10と右側方カメラ20Rである場合には、右補助カメラ30Rの撮像画像を利用することで同様に校正作業を行うことができる。
【0039】
図4は、車両に搭載されたカメラで撮像した画像の一例を示した図であって、図4(A)は後方カメラが撮像した画像を示したものであり、図4(B)は左側方カメラが撮像した画像を示したものである。また、図5は、左補助カメラで撮像した画像の一例を示した図である。カメラ校正装置1を用いて後方カメラ10及び左側方カメラ20Lの校正作業を開始すると、先ず、車両2を所定の作業スペースに停車させて、第1及び第2の校正パターン41、42を配置する。具体的には、後方カメラ10の撮像領域11内に第1の校正パターン41を配置すると共に左側方カメラ20Lの撮像領域21L内に第2の校正パターン42を配置する。このとき、第1の校正パターン41は左側方カメラ20Lの撮像領域21L内には含まれず、第2の校正パターン42は後方カメラ10の撮像領域11内には含まれない。
【0040】
次いで、後方カメラ10及び左側方カメラ20Lを動作させて、撮像画像12、22Lをそれぞれ取得する。後方カメラ10の撮像画像12内には、図4(A)に示すように、その略中央部分に第1の校正パターン41が映し出される。また、左側方カメラ20Lの撮像画像22L内には、図4(B)に示すように、その略中央部に第2の校正パターン42が映し出される。
【0041】
次に、左補助カメラ30Lを所定の位置、具体的には第1及び第2の校正パターン41、42の両方がその撮像領域31Lに含まれる位置に配置する。そして、左補助カメラ30Lを動作させて、撮像画像32Lを取得する。このとき、左補助カメラ30Lの撮像画像32L内には、図5に示すように、第1及び第2の校正パターン41、42が共に映し出される。なお、上述した左補助カメラ30Lの配置及び撮像動作は、第1及び第2の校正パターン41、42を配置した後であれば任意のタイミング、例えば、後方カメラ10及び左側方カメラ20Lによる撮像動作の前あるいは同時に実行することもできる。
【0042】
後方カメラ10の撮像画像12、左側方カメラ20Lの撮像画像22L及び左補助カメラ30Lの撮像画像32Lは、入出力インタフェース55を介してカメラ位置推定装置50に送られる。そして、カメラ位置推定装置50にて、これらの撮像画像12、22L、32Lに基づく各カメラの位置の推定が実施される。具体的には、先ず、後方カメラ10の撮像画像12と左補助カメラ30Lの撮像画像32Lに映し出された第1の校正パターン41の各頂点Vの3次元座標を算出する。当該頂点Vの3次元座標は、撮像画像12、32Lに映し出された第1の校正パターン41の各頂点Vの位置と、ストレージ54に格納された第1の校正パターン41の各頂点V間の既知の距離等とを比較することで算出することができる。そして、撮像画像12内の第1の校正パターン41の各頂点Vの3次元座標と、撮像画像32L内の第1の校正パターン41の各頂点Vの3次元座標とから、後方カメラ10と左補助カメラ30Lとの相対位置が推定できる。
【0043】
同様に、左側方カメラ20Lの撮像画像22Lと左補助カメラ30Lの撮像画像32Lに映し出された第2の校正パターン42の各頂点Vの3次元座標を算出する。当該3次元座標は、撮像画像22L、32Lに映し出された第2の校正パターン42の各頂点Vの位置と、ストレージ54に格納された第2の校正パターン42の各頂点V間の既知の距離等とを比較することで、算出することができる。そして、撮像画像22L内の第2の校正パターン42の各頂点Vの3次元座標と、撮像画像32L内の第2の校正パターン42の各頂点Vの3次元座標とから、左側方カメラ20Lと左補助カメラ30Lとの相対位置が推定できる。
【0044】
最後に、推定された後方カメラ10と左補助カメラ30Lとの相対位置、及び、左側方カメラ20Lと左補助カメラ30Lとの相対位置から、後方カメラ10と左側方カメラ20Lとの相対位置を推定する。これにより得られた推定位置は、例えば車両ECU3に送られて、車両ECU3において実施される画像合成の際に利用される。
【0045】
以上説明した通り、本実施の形態に係るカメラ校正装置1は、カメラの校正を行う際に2つのカメラの撮像領域の共通領域OAに校正パターン40を配置する必要がないため、車両2の周囲に大きなスペースを確保する必要がない。また、校正パターンを各カメラに近い位置に配置することができるため、校正パターン内の頂点を精度良く計測でき、相対位置の推定精度が高くなる。
【0046】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態においては、校正作業を行うカメラの撮像領域内に校正パターンを配置したものを例示したが、本開示はこのような配置には限定されない。そこで以下には、本開示の第2の実施の形態に係るカメラ校正装置1Aとして、上述したカメラ校正装置1とは異なる位置に第1及び第2の校正パターンを配置した場合について説明を行う。
【0047】
図6は、本開示の第2の実施の形態に係るカメラ校正装置の一例を示す概略図である。本実施の形態に係るカメラ校正装置1Aは、図6に示すように、主に第1及び第2の校正パターン61、62の配置と、補助カメラ70L、70Rの向きが異なる点以外は上述した第1の実施の形態に係るカメラ校正装置1と同様である。そこで以下には、本実施の形態に係るカメラ校正装置1Aのうち、第1の実施の形態に係るカメラ校正装置1と異なる構成部分を中心に説明し、第1の実施の形態に係るカメラ校正装置1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略するものとする。
【0048】
本実施の形態に係るカメラ校正装置1Aは、車両に搭載された第1及び第2のカメラを校正するためのものである。このカメラ校正装置1Aは、少なくとも、第1のカメラ、例えば後方カメラ10の設置位置に配設された第1の校正パターン61と、第2のカメラ、例えば左側方カメラ20L及び右側方カメラ20Rの設置位置に配設された第2の校正パターン62と、第1の校正パターン61と第2の校正パターン62とが共に撮像可能な位置に配設された補助カメラ70L、70Rと、補助カメラ70L、70Rの撮像画像に基づいて、第1のカメラ及び第2のカメラの位置を推定するカメラ位置推定装置80と、を含むものである。
【0049】
第1及び第2の校正パターン61、62は、上述した第1の実施の形態の第1及び第2の校正パターン41、42と同様のパターンで構成することができる。この第1及び第2の校正パターン61、62は、車両に搭載されたカメラの設置位置に合わせて配置される。配置の具体的な方法や位置は特に限定されないが、好ましくは、第1及び第2の校正パターン61、62は、後方カメラ10、左側方カメラ20L及び右側方カメラ20Rのレンズ表面を覆うように各カメラに一時的に取り付けられるものとするとよい。
【0050】
補助カメラ70L、70Rは、図6に示すように、車両2の左側に配置され第1の校正パターン61と左側方カメラ20Lに設置された第2の校正パターン62とがその撮像領域71L内に含まれる左補助カメラ70Lと、車両の右側に配置され第1の校正パターン61と右側方カメラ20Rに設置された第2の校正パターン62とがその撮像領域71R内に含まれる右補助カメラ70Rと、で構成することができる。補助カメラ70L、70Rの具体的な構成は、上述した第1の実施の形態の補助カメラ30L、30Rと同様のものであってよい。
【0051】
補助カメラ70L、70Rは、車両2外の任意の位置に設置されるが、その設置位置の座標は既知の情報としてカメラ位置推定装置80内に記録されるとよい。当該補助カメラ70L、70Rの設置位置の情報は、本実施の形態に係るカメラ校正装置1Aによるカメラ校正作業に用いられる。
【0052】
カメラ位置推定装置80は、補助カメラ60L、60Rにデータ通信可能に接続されていればよく、校正作業の際に後方カメラ10や左右の側方カメラ20L、20Rの撮像画像を利用しない点を除き、第1の実施の形態のカメラ位置推定装置50と同様の構成を有していてよい。
【0053】
次に、上述の構成を含むカメラ校正装置1Aを用いた校正作業の一例を説明する。なお、以下には、校正を実施する第1及び第2のカメラが、後方カメラ10と左側方カメラ20Lである場合について説明する。
【0054】
カメラ校正装置1Aを用いた後方カメラ10及び左側方カメラ20Lの校正作業は、先ず、車両2を所定の作業スペースに停車させて、第1及び第2の校正パターン61、62を配置する。具体的には、後方カメラ10のレンズを覆うように第1の校正パターン61を配置すると共に、左側方カメラ20Lのレンズを覆うように第2の校正パターン62を配置する。
【0055】
次に、左補助カメラ70Lを所定の位置、具体的には第1及び第2の校正パターン61、62の両方がその撮像領域71Lに含まれる位置に配置する。そして、左補助カメラ70Lを動作させて、撮像画像を取得する。このとき、左補助カメラ70Lの撮像画像内には、第1及び第2の校正パターン61、62が共に映し出される。また、左補助カメラ70Lは、第1及び第2の校正パターン61、62の両方がその撮像領域71Lに含まれる位置であればその具体的な位置は限定されない。したがって、左補助カメラ70Lを車両2に近い位置に設置すれば、校正作業のための車両2の周囲に大きなスペースを確保する必要がない。
【0056】
左補助カメラ70Lの撮像画像は、カメラ位置推定装置80に送られる。そして、カメラ位置推定装置80にて、撮像画像に基づく各カメラの位置推定が実施される。具体的には、左補助カメラ70Lの撮像画像に映し出された第1の校正パターン61の各頂点Vの3次元座標と、第2の校正パターン62の各頂点Vの3次元座標とを算出する。当該頂点Vの3次元座標は、撮像画像に映し出された第1及び第2の校正パターン61、62の各頂点Vの位置と、情報としてカメラ位置推定装置80内に格納された第1及び第2の校正パターン61、62の各頂点V間の既知の距離等とを比較することで、算出することができる。そして、算出された第1及び第2の校正パターン61、62の各頂点Vの3次元座標と、情報としてカメラ位置推定装置80内に格納された左補助カメラ70Lの設置位置の座標とから、各校正パターン61、62の位置、すなわち後方カメラ10と左側方カメラ20Lの位置を推定する。
【0057】
以上説明した通り、本実施の形態に係るカメラ校正装置1Aにおいては、第1及び第2のカメラの撮像領域を考慮して校正パターンを設置する必要がなく、且つ補助カメラを車両の近くに設置できるため、車両2の周囲に大きなスペースを確保する必要がない。また、校正パターンを補助カメラに近い位置に配置することができるため、校正パターン内の頂点を精度良く計測でき、相対位置の推定精度が高くなる。
【0058】
上記各実施の形態においては、CPU等で構成されるプロセッサ51がROM52あるいはストレージ54に格納されたプログラムを読み込んで実行した処理を、プロセッサ51以外の他のプロセッサが実行するようにしてもよい。この場合の他のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等を挙げることができる。また、カメラの校正プロセスを、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせで実行してもよく、例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア構成は、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路であり得る。
【0059】
本開示は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本開示の技術思想に含まれるものである。また、本開示において、各構成要素は、矛盾が生じない限りは1つのみ存在しても2つ以上存在してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、1A カメラ校正装置
2 車両
10 後方カメラ(第1のカメラの一例)
20L 左側方カメラ(第2のカメラの一例)
20R 右側方カメラ(第2のカメラの一例)
30L、30R、70L、70R 補助カメラ
41、61 第1の校正パターン
42、62 第2の校正パターン
50、80 カメラ位置推定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6