(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113626
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】自動演算システム、自動演算方法、機械学習モデル、及び、機械学習モデルの生成方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/60 20170101AFI20240815BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240815BHJP
【FI】
G06T7/60 150Z
G06T7/00 350B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018791
(22)【出願日】2023-02-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】523048011
【氏名又は名称】株式会社H2Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【弁理士】
【氏名又は名称】林 司
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 均
(72)【発明者】
【氏名】グエン トゥン
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 啓嗣
(72)【発明者】
【氏名】グエン トゥアン アン
(72)【発明者】
【氏名】ファム ホアン アン
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096BA18
5L096CA24
5L096DA02
5L096FA02
5L096FA64
5L096HA11
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】設計図面から配管設備の長さ寸法を自動的に演算して、積算における拾い出しの作業負担を軽減可能な自動演算システムを提供する。
【解決手段】本発明の自動演算システム(1)は、設計図面の図面画像データ(2)を取得するデータ取得部と、図面画像データ(2)から配列データを生成する配列データ生成部と、配列データを入力とし、配列データにおいて配管設備(5)の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習により生成される機械学習モデルを用いて、配管設備(5)の設置領域を特定する特定部と、特定部によって特定された配管設備(5)の設置領域を表す配列データに基づいて、配管設備(5)の長さ寸法を演算する演算部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面から、前記配管設備の長さ寸法を自動的に演算する自動演算システムであって、
前記設計図面の図面画像データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得された前記図面画像データから、画像情報を含む配列データを生成する配列データ生成部と、
前記図面画像データの前記配列データを入力とし、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習により生成される機械学習モデルを用いて、前記配管設備の設置領域を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記配管設備の前記設置領域に基づいて、前記配管設備の長さ寸法を演算する演算部と
を有することを特徴とする自動演算システム。
【請求項2】
前記配列データは、前記画像情報として、画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む
請求項1記載の自動演算システム。
【請求項3】
前記演算部は、前記設計図面の縮尺情報を取得して前記配管設備の前記長さ寸法を演算する
請求項1記載の自動演算システム。
【請求項4】
前記特定部で特定された前記配管設備の領域に間違いが生じている場合に、前記配管設備の正しい領域を示す正解データを取得する正解データ取得部を有し、
前記特定部は、取得した前記正解データに基づいて前記配管設備の設置領域を再特定する
請求項1記載の自動演算システム。
【請求項5】
前記正解データを用いて前記機械学習モデルを更に学習させる学習部を有する
請求項4記載の自動演算システム。
【請求項6】
前記機械学習モデルがデプロイされるとともに、ウェブアプリケーションとの間でデータ送受信が行われる管理サーバーを有し、
前記ウェブアプリケーションは、前記データ取得部で取得された前記設計図面の前記図面画像データと、前記特定部で特定された前記配管設備の設置領域と、演算された前記配管設備の前記長さ寸法とを表示する
請求項1記載の自動演算システム。
【請求項7】
配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面から、前記配管設備の長さ寸法を自動的に演算する自動演算方法であって、
前記設計図面の図面画像データを取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得した前記図面画像データから、画像情報を含む配列データを生成する配列データ生成ステップと、
前記図面画像データの前記配列データを入力とし、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習により生成される機械学習モデルを用いて、前記配管設備の設置領域を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定された前記配管設備の前記設置領域に基づいて、前記配管設備の長さ寸法を演算する演算ステップと
を含むことを特徴とする自動演算方法。
【請求項8】
前記配列データは、前記画像情報として、画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む
請求項7記載の自動演算方法。
【請求項9】
配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面の図面画像データから生成されるとともに、画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む配列データが入力される入力層と、
前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力する出力層と、
前記図面画像データの前記配列データと、前記設備バイナリマスクとを関連付けて記録した複数の教師データを用いてパラメータが機械学習された中間層と
を備え、
前記図面画像データの前記配列データが前記入力層に入力された場合に、前記中間層による演算を行い、前記設備バイナリマスクを前記出力層から出力するようにコンピュータを機能させる
ことを特徴とする機械学習モデル。
【請求項10】
事前訓練モデルを生成する事前訓練処理と、前記事前訓練モデルの転移学習を行うことにより、配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面の図面画像データから得られる配列データを入力とし、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習モデルを生成する転移学習処理とを有し、
前記事前訓練処理は、前記配管設備が記載されていない第1設計図面の第1図面画像データに仮想の配管設備を表す仮想線が追加された仮図面画像データを取得するステップと、前記仮図面画像データから画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む仮想配列データを生成するステップと、前記仮想配列データを一定の割合で分割した複数の分割パッチデータを生成し、得られた前記分割パッチデータの一部をマスクするマスク処理を行うことによりマスク配列データを生成するステップと、前記マスク配列データを入力とし、前記仮想配列データを出力とする前記事前訓練モデルを誤差逆伝搬法により生成するステップとを有し、
前記転移学習処理は、前記配管設備が記載されている第2設計図面の第2図面画像データを取得するステップと、前記第2図面画像データから画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む第2配列データを生成するステップと、前記第2配列データをアノテーション処理して生成される前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを取得するステップと、前記第2図面画像データを入力とし、前記設備バイナリマスクを出力とする複数の教師データを用いて誤差逆伝搬法により前記事前訓練モデルを転移学習させて前記機械学習モデルを生成するステップとを有する
ことを特徴とする機械学習モデルの生成方法。
【請求項11】
前記転移学習処理は、前記アノテーション処理により生成される前記設備バイナリマスクからヒントバイナリマスクを選択して指定するステップを有し、
前記転移学習処理の前記機械学習モデルを生成するステップにおいて、前記事前訓練モデルの前記転移学習に前記ヒントバイナリマスクを用いる
請求項10記載の機械学習モデルの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面から配管設備の長さ寸法を自動的に演算する自動演算システム及び自動演算方法と、それらに用いられる機械学習モデル及び機械学習モデルの生成方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
建物を建築する建築工事では、設計図面等に基づいて工事に必要な材料、工程、工期などを割り出して、建設工事にかかる費用を算出する積算の業務が行われている。建築工事の積算においては、一般的に、専門知識を有する建築積算士によって、設計図面から、建築工事で用いられる配管やダクトのような配管設備等の部材の種類や数量を計測する拾い出しが行われ、その拾い出しにより得られる情報等に基づいて工事費用が算出される。
【0003】
また、例えば特開2002-92393号公報(特許文献1)には、積算の業務に使用される配管設備の積算システムが開示されている。この特許文献1に記載されている積算システムでは、配管等が記載されている配管図面の図面データをパソコンのディスプレイに表示し、そのディスプレイに表示された図面データに対し、作業者が配管等の位置をマウスで指定して入力する作業や、配管等の高さ位置情報をキーボードで入力する作業等を行うことによって、その入力されたデータに基づいて配管等の長さ寸法を積算システムで計測し、また、その計測された長さ寸法がパソコンのディスプレイに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建築工事では、一般的に、初期の基本計画段階で概算見積りが作成されてから、最終的な見積りが作成されるまでに、精概算が繰り返して行われることが多い。また、精概算による見積りを作成する際や、最終的な見積りを作成する際には、上述した建築積算士による積算がその都度行われる。このため、1つの建築工事を受注する際には、複数回の積算の業務が行われている。
【0006】
また、積算の業務における拾い出しの作業には、例えば特許文献1に記載されているような積算システムが利用されることが多いものの、そのような従来の積算システムでは、マウスやキーボードによる入力といった手作業が必要とされることが多い。このため、従来の拾い出しの作業には多大な時間と労力が必要とされ、積算業務に大きな負担が生じていた。
【0007】
更に現在では、求められている積算業務に対して建築積算士の人数が不足している状況にあるため、拾い出しの作業を伴う積算業務がアウトソーシングされることもあるが、このような積算業務のアウトソーシングが増えていくと積算の品質低下を招くことが懸念されている。
【0008】
その上、建築工事や土木工事の元請けを担う企業(所謂、ゼネコン)から建設作業や設備に関する工事を請け負う企業(所謂、サブコン)では、積算業務の大きな負担や、建築積算士の不足等の要因によって工事の受注件数を増大させることが難しく、その結果、受注可能な工事の選択肢が制限されるという問題も生じていた。
【0009】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、設計図面から配管及びダクトを含む配管設備の長さ寸法を自動的に演算することによって、積算における拾い出しの作業負担を軽減可能な自動演算システム及び自動演算方法と、その自動演算システム及び自動演算方法に用いられる機械学習モデル及び機械学習モデルの生成方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明により提供される配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面から、前記配管設備の長さ寸法を自動的に演算する自動演算システムであって、前記設計図面の図面画像データを取得するデータ取得部と、前記データ取得部で取得された前記図面画像データから、画像情報を含む配列データを生成する配列データ生成部と、前記図面画像データの前記配列データを入力とし、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習により生成される機械学習モデルを用いて、前記配管設備の設置領域を特定する特定部と、前記特定部によって特定された前記配管設備の前記設置領域に基づいて、前記配管設備の長さ寸法を演算する演算部とを有する自動演算システムである。
【0011】
本発明の自動演算システムにおいて、前記配列データは、前記画像情報として、画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含むことが好ましい。
また、前記演算部は、前記設計図面の縮尺情報を取得して前記配管設備の前記長さ寸法を演算することが好ましい。
【0012】
本発明の自動演算システムは、前記特定部で特定された前記配管設備の領域に間違いが生じている場合に、前記配管設備の正しい領域を示す正解データを取得する正解データ取得部を有し、前記特定部は、取得した前記正解データに基づいて前記配管設備の設置領域を再特定することが好ましい。
この場合、自動演算システムは、前記正解データを用いて前記機械学習モデルを更に学習させる学習部を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明の自動演算システムは、前記機械学習モデルがデプロイされるとともに、ウェブアプリケーションとの間でデータ送受信が行われる管理サーバーを有し、前記ウェブアプリケーションは、前記データ取得部で取得された前記設計図面の前記図面画像データと、前記特定部で特定された前記配管設備の設置領域と、演算された前記配管設備の前記長さ寸法とを表示することが好ましい。
【0014】
本発明により提供される自動演算方法は、配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面から、前記配管設備の長さ寸法を自動的に演算する自動演算方法であって、前記設計図面の図面画像データを取得するデータ取得ステップと、前記データ取得ステップで取得した前記図面画像データから、画像情報を含む配列データを生成する配列データ生成ステップと、前記図面画像データの前記配列データを入力とし、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習により生成される機械学習モデルを用いて、前記配管設備の設置領域を特定する特定ステップと、前記特定ステップにおいて特定された前記配管設備の前記設置領域に基づいて、前記配管設備の長さ寸法を演算する演算ステップとを含む自動演算方法である。
本発明の自動演算方法において、前記配列データは、前記画像情報として、画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含むことが好ましい。
【0015】
次に、本発明により提供される機械学習モデルは、配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面の図面画像データから生成されるとともに、画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む配列データが入力される入力層と、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力する出力層と、前記図面画像データの前記配列データと、前記設備バイナリマスクとを関連付けて記録した複数の教師データを用いてパラメータが機械学習された中間層とを備え、前記図面画像データの前記配列データが前記入力層に入力された場合に、前記中間層による演算を行い、前記設備バイナリマスクを前記出力層から出力するようにコンピュータを機能させる機械学習モデルである。
【0016】
本発明により提供される機械学習モデルの生成方法は、事前訓練モデルを生成する事前訓練処理と、前記事前訓練モデルの転移学習を行うことにより、配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面の図面画像データから得られる配列データを入力とし、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習モデルを生成する転移学習処理とを有し、前記事前訓練処理は、前記配管設備が記載されていない第1設計図面の第1図面画像データに仮想の配管設備を表す仮想線が追加された仮図面画像データを取得するステップと、前記仮図面画像データから画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む仮想配列データを生成するステップと、前記仮想配列データを一定の割合で分割した複数の分割パッチデータを生成し、得られた前記分割パッチデータの一部をマスクするマスク処理を行うことによりマスク配列データを生成するステップと、前記マスク配列データを入力とし、前記仮想配列データを出力とする前記事前訓練モデルを誤差逆伝搬法により生成するステップとを有し、前記転移学習処理は、前記配管設備が記載されている第2設計図面の第2図面画像データを取得するステップと、前記第2図面画像データから画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む第2配列データを生成するステップと、前記第2配列データをアノテーション処理して生成される前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを取得するステップと、前記第2図面画像データを入力とし、前記設備バイナリマスクを出力とする複数の教師データを用いて誤差逆伝搬法により前記事前訓練モデルを転移学習させて前記機械学習モデルを生成するステップとを有する生成方法である。
【0017】
本発明の機械学習モデルの生成方法において、前記転移学習処理は、前記アノテーション処理により生成される前記設備バイナリマスクからヒントバイナリマスクを選択して指定するステップを有し、前記転移学習処理の前記機械学習モデルを生成するステップにおいて、前記事前訓練モデルの前記転移学習に前記ヒントバイナリマスクを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の自動演算システム及び自動演算方法では、設計図面から配管及びダクトを含む配管設備の長さ寸法を自動的に精確に演算できるため、積算における拾い出しの作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例に係る自動演算システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】ダクトが記載されている設計図面の図面画像データを表示した例を示す模式図である。
【
図3】
図2に示した図面画像データの一部を拡大してダクトの設置領域を表示した例を示す模式図である。
【
図4】設備バイナリマスクで特定されるダクトの設置領域とその設置領域から抽出される中心線を表示した例を示す模式図である。
【
図5】機械学習モデルの生成方法における事前訓練処理を説明する説明図である。
【
図6】配管設備が記載されていない第1設計図面を示す図である。
【
図7】
図6に示した第1設計図面から生成される仮図面画像データを示す図である。
【
図8】仮図面画像データを生成するソフトウエアプログラムのアルゴリズムを示す説明図である。
【
図9】機械学習モデルの生成方法における転移学習処理を説明する説明図である。
【
図10】実施例に係る自動演算方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
【0021】
(自動演算システムの構成)
図1は、本実施例の自動演算システムの構成を模式的に示すブロック図である。
本実施例の自動演算システム1は、配管やダクト5等の配管設備が記載されている設計図面の図面画像データ2(
図2を参照)を用いて、配管設備が設置されている領域を特定して判別可能なように表示し(
図3を参照)、更に、領域が特定された配管設備の長さ寸法を自動的に演算して表示するシステムである。
【0022】
本実施例では、設計図面に配管設備としてダクト5が記載されている場合について説明する。なお本発明において、配管設備には、液体やガス等を流通させる配管、空気を流通させるダクト、電線やケーブル等を収容して保護するパイプ、その他の流体を流通させる管等が含まれる。
【0023】
本実施例の自動演算システム1は、
図1に示すように、管理サーバー10と、ネットワーク20を介して管理サーバー10と相互に通信可能に接続される複数のユーザー端末(クライアント端末)30とを有する。ネットワーク20は、インターネット、イントラネット、LAN、WAN等により形成される。
【0024】
本実施例の管理サーバー10は、1台又は複数台の仮想サーバー(クラウドサーバー)により形成される。なお、管理サーバー10は、1台又は複数台の物理サーバーにより形成されていてもよい。この管理サーバー10は、ユーザー端末30との間でデータの送受信を行うウェブサーバー11と、ウェブサーバー11からの要求を受けて各種処理を実行するアプリケーションサーバー12と、各種のデータを管理するデータベース(データベースサーバー)13とを有する。また、管理サーバー10は、本実施例の後述する機械学習モデル(以下、学習モデルと略記する)がデプロイされるサービングサーバー14と、学習モデル及び学習モデルに関連する種々のデータを格納するストレージ15(例えば、クラウドストレージ)とを有する。
【0025】
管理サーバー10のウェブサーバー11は、ユーザー端末30のウェブブラウザ31から要求された内容を受け付けて、その内容に応じた処理を行う。アプリケーションサーバー12は、ウェブサーバー11からの要求により各種の処理を実行し、また、データベース13にアクセスしてデータの読み込み、書き込み、加工、検索等の処理を行う。
【0026】
データベース13には、各処理や各機能を実行するためのプログラム、及び、プログラムに必要なデータやユーザーに関するデータ等の種々のデータ等が記憶されている。サービングサーバー14は、アプリケーションサーバー12からの入力を受けて学習モデルを実行させ、また、学習モデルで得られた結果をアプリケーションサーバー12に出力する。
【0027】
管理サーバー10は、ユーザー端末30で動作するウェブブラウザ31にウェブアプリケーションを提供する機能を有しており、ユーザー端末30のウェブブラウザ31には、ウェブアプリケーションが表示される。また、管理サーバー10のウェブサーバー11と、ユーザー端末30のウェブブラウザ31とは、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)経由でデータの送受信が行われる。
【0028】
各ユーザー端末30は、それぞれのユーザーが使用するコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の形態で形成されており、ウェブアプリケーションを利用できるウェブブラウザ31を備える。ユーザー端末30が例えばコンピュータである場合、そのユーザー端末30は、図示を省略するが、端末全体の動作の処理・制御を行うCPUと、通信IF(インターフェイス)と、ユーザーからの入力操作を受け付ける入力装置と、ユーザーに情報を表示する出力装置と、プログラムやデータ等を一時的に記憶するメモリと、データを保存する記憶部とを備えており、これらが電気的に接続されている。
【0029】
この場合、入力装置は、例えばマウス、キーボード、タッチパネル、タッチパッド等により形成される。出力装置は、例えばディスプレイにより形成される。メモリは、例えばDRAM等の揮発性のメモリにより形成される。記憶部は、例えばHDD、フラッシュメモリ等により形成される。なお本発明において、ユーザー端末は、少なくともウェブアプリケーションを表示するウェブブラウザを備えていれば、特に限定されるものではない。
【0030】
各ユーザー端末30で利用されるウェブアプリケーションは、設計図面の図面画像データ2を取得するデータ取得部と、データ取得部で取得された図面画像データ2から画像情報を含む配列データを生成する配列データ生成部と、アプリケーションサーバー12から受信した配管設備の設置領域を表す配列データ又は設備バイナリマスクに基づいて配管設備の長さ寸法を演算する演算部とを有する。
【0031】
この場合、ウェブアプリケーションの演算部は、設計図面の縮尺情報を取得して配管設備の長さ寸法を演算することが可能である。更に、ウェブアプリケーションは、アプリケーションサーバー12の特定部で特定された配管設備の領域が間違えている場合に、配管設備の正しい領域を示す正解データを取得する正解データ取得部を有しており、ウェブアプリケーションの演算部は、その取得された正解データに基づいて配管設備の長さ寸法を改めて演算することができる。
【0032】
管理サーバー10のアプリケーションサーバー12は、後述する学習モデルから出力される設備バイナリマスク63に基づいて設計図面における配管設備の設置領域を特定して配列データを生成する特定部と、その特定部で特定された配管設備の領域に間違いが生じている場合に配管設備の正しい領域を示す正解データを用いて学習モデルを更に学習させる学習部とを有する。
【0033】
本実施例において、ウェブアプリケーションのデータ取得部、配列データ生成部、演算部、及び正解データ取得部と、アプリケーションサーバー12の特定部及び学習部とは、それぞれコンピュータプログラムにより形成されており、本実施例の自動演算システム1では、上述した各コンピュータプログラムを実行することによって、ソフトウエアとハードウエア資源との協働による自動演算システム1の各機能が実現されている。
【0034】
次に、本実施例の自動演算システム1で用いられる学習モデルについて説明する。
学習モデルは、機械学習を利用したモデルであり、機械学習は、人工知能と呼ばれることもある。機械学習自体は、公知の種々の方法を利用可能であり、例えば、ニューラルネットワークが利用されてもよい。なお、本実施例で機械学習により生成される学習モデルは、ファインチューニングモデルと言うこともある。
【0035】
本実施例の学習モデル(ファインチューニングモデル)は、配管設備が記載されている設計図面の図面画像データ2から生成される配列データが入力される入力層と、設備バイナリマスク63を出力する出力層と、図面画像データ2の配列データと設備バイナリマスク63とを関連付けて記録した複数の教師データを用いてパラメータが機械学習された中間層とを備えている。ここで、設備バイナリマスク63は、後述するように、配列データから配管設備を抽出して得られるバイナリデータである。
【0036】
本実施例において、設計図面には、基本設計図、実施設計図、施工図等が含まれる。また、設計図面は、建築図面と言われることもある。図面画像データ2は、設計図面を表す画像のデータであり、この図面画像データ2には、例えばJPEG、GIF、PNG、BMP等の画像ファイル、及びPDF等のドキュメントファイルが含まれる。
【0037】
配列データは、設計図面の図面画像データ2から変換されて生成されるデータであり、この配列データには画像情報が含まれている。例えば本実施例の場合、配列データには、図面画像データ2における画像の幅W、画像の高さH、及びグレースケールの画素値の情報が含まれている。なお本発明において、配列データには、グレースケールの画素値の代わりに、RGBの画素値が用いられてもよい。設備バイナリマスク63は、配列データにおける配管やダクト5等の配管設備以外の背景部分をマスキングすることにより、配管設備を背景部分から分離して抽出されるデータである(例えば、
図4を参照)。この設備バイナリマスク63は、「0」と「1」の2つの値で形成される。
【0038】
上述のような本実施例の学習モデル(ファインチューニングモデル)は、以下で説明する事前訓練モデル47を生成する事前訓練処理と、事前訓練モデル47の転移学習を行う転移学習処理とが行われることによって生成される。
先ず、事前訓練処理では、
図5に示すように、配管及びダクト5等の配管設備が記載されていない複数の第1設計図面の第1図面画像データ41を取得する第1訓練ステップを行う。この第1訓練ステップにおいて、第1設計図面の第1図面画像データ41には、一般に公開されている設計図面のパブリックデータ、概算段階(基本計画段階)の設計図面のデータ等が用いられる。この場合、例えば
図6に示すような配管設備が記載されていない設計図面が、第1設計図面として使用され、その第1設計図面のJPEG等の画像ファイル又はPDF等のドキュメントファイルを、第1図面画像データ41aとして取得する。ここで、
図6に示した第1図面画像データ41aは、概算段階における実際の設計図面の画像データである。
【0039】
続いて、取得した各第1図面画像データ41に、仮想の配管設備を表す線43aを自動的に追加して仮図面画像データ42を生成することにより、仮図面画像データ42を取得する第2訓練ステップ52を行う(
図5を参照)。この第2訓練ステップ52では、例えば
図8に示すようなアルゴリズムを備えたソフトウエアプログラムを用いて、第1訓練ステップで取得した第1設計図面の第1図面画像データ41a(
図6を参照)に対して、例えば配管設備を表す仮想上の実線(以下、仮想線と言う)43aを自動的に追加することによって、例えば
図7に示すような仮図面画像データ42aを生成する。これによって、第1図面画像データ41に仮想的な配管設備が加えられた仮図面画像データ42が得られる。
【0040】
なお、
図6に示した第1図面画像データ41aと、
図7に示した仮図面画像データ42aは一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。また、第2訓練ステップ52では、上述したような仮図面画像データ42を取得することができれば、第1設計図面の第1図面画像データ41aに仮想的な配管設備を追加する方法及び手段は特に限定されず、たとえば作業者が手作業で第1図面画像データに仮想の配管設備を追加してもよい。
【0041】
上述したような複数の仮図面画像データ42を生成した後、専用のソフトウエアプログラムを用いることによって、各仮図面画像データ42から画像情報(すなわち、画像の幅W、画像の高さH、及びグレースケールの画素値の情報)を含む仮想配列データ44を変換により生成する第3訓練ステップ53を行う(
図5を参照)。
【0042】
次に、第3訓練ステップ53で生成した仮想配列データ44を分割した複数の分割パッチデータと、得られた分割パッチデータの一部をマスクするマスク処理を行うことによりマスク配列データ45とを生成する第4訓練ステップ54を行う(
図5を参照)。
この第4訓練ステップ54では、先ず、画像情報を含む仮想配列データ44を、専用のソフトウエアプログラムを用いて一定の割合で分割することによって、互いに同じ大きさの複数の分割パッチデータを生成する。例えば本実施例では、仮想配列データ44から、4ピクセル×4ピクセルの単位で分割された複数の小さな分割パッチデータを生成する。
【0043】
更に第4訓練ステップ54では、専用のソフトウエアプログラムを用いて、仮想配列データ44から、生成した複数の分割パッチデータのうちの一部の分割パッチデータをランダムにマスキングすることによって、マスク配列データ45を生成する。このようなマスキングによって得られるマスク配列データ45は、例えば
図5に模式的に示した「イメージ
図46」のように、ダクト5(配管設備)の一部分が隠されたよう設計図面に相応する配列データとなる。
【0044】
更に、第4訓練ステップ54において、1つの仮想配列データ44から得られる複数の小さな分割パッチデータと、マスク配列データ45の分割パッチデータとをペアとした大量のデータ群を作成する。なお、第4訓練ステップ54で一部の分割パッチデータをマスキングする処理の一部は、ソフトウエアプログラムを用いずに、例えば作業者等の手動で行われてもよい。
【0045】
第4訓練ステップ54を行った後、
図5に示すように、第4訓練ステップ54で生成した仮想配列データ44及びマスク配列データ45を用いて、事前訓練モデル47を誤差逆伝搬法により生成する第5訓練ステップ55を行う。
【0046】
この第5訓練ステップ55では、仮想配列データ44をマスキングして生成されるマスク配列データ45の分割パッチデータをインプットとし、当該仮想配列データ44(マスキングされていない配列データ)の分割パッチデータをアウトプットとしたペアのデータ群を複数組用いて、誤差逆伝搬法によって、マスク配列データ45から仮想配列データ44を復元できるように両データの関係性を学習させて、事前訓練モデル47の内部情報を更新していく。そして、事前訓練モデル47が、任意のインプットに対して期待のアウトプットが一定の確率で演算できるようになることによって、第5訓練ステップ55が完了して事前訓練モデル47が生成される。
【0047】
次に、事前訓練処理で生成された事前訓練モデル47を転移学習させる転移学習処理を行う(
図9を参照)。ここで、転移学習は、事前訓練処理で生成した事前訓練モデル47を、配管設備を認識するタスクに有効活用させるように機械学習させること、言い換えると、配列データのどの分割パッチデータが配管設備の領域に働くかどうかを機械学習させることを意味する。
【0048】
この転移学習処理では、先ず、転移学習処理の作業を行うコンピュータに、配管等を含む配管設備が既に記載されている大量の第2設計図面の第2図面画像データ61を取得する第1学習ステップを行う。この第1学習ステップにおいても、第2設計図面の第2図面画像データ61には、設計図面のパブリックデータ、精概算段階又は最終段階の設計図面のデータ等が用いられる。また、第2図面画像データ61としては、上述した事前訓練処理の第2訓練ステップ52で生成した仮図面画像データ42(例えば、
図7の仮図面画像データ42a)を利用してもよい。
【0049】
本実施例では、一例として、
図9に示すような配管設備が記載されている設計図面を、第2設計図面として使用する。この第2設計図面のJPEG等の画像ファイル又はPDF等のドキュメントファイルを読み込むことにより、第2図面画像データ61を取得できる。
【0050】
続いて、取得した第2図面画像データ61から、専用のソフトウエアプログラムを用いて、画像情報(すなわち、画像の幅W、画像の高さH、及びグレースケールの画素値の情報)を含む第2配列データ62に変換して第2配列データ62の生成を行う第2学習ステップ72を行う(
図9を参照)。なお、画像情報として、グレースケールの画素値の代わりに、RGBの画素値を用いてもよい。
【0051】
第2配列データ62を生成した後、その第2配列データ62にアノテーション処理が行われることによって生成される設備バイナリマスク63を取得する第3学習ステップ73を行う。
この第3学習ステップ73では、第2学習ステップ72で使用した第2図面画像データ61を、例えばコンピュータのGUI(グラフィカルユーザインターフェース)プログラムでディスプレイに表示し、アノテーション処理を行う作業者(アノテーション作業者)が、GUIプログラムを用いて、
図9に示すように、ディスプレイに表示されている第2図面画像データ61に、当該第2図面画像データ61に記載されている配管設備の領域を頂点で囲むようにマークする作業75を行う。このようなマークを付ける作業75は、例えばアノテーション作業者がコンピュータのマウスを操作すること等によって行うことができる。
【0052】
上述のようなマークを追加する作業75がアノテーション作業者により、第2図面画像データ61の配管設備に対して行われることによって、専用のソフトウエアプログラムが、元の第2配列データ62に属するピクセルデータを、アノテーション処理によってマークされた内側の領域(すなわち、配管設備の領域)と外側の領域(すなわち、配管設備以外の領域)とに適切な数値(「0(ゼロ)」又は「1(イチ)」)をアサインする(割り当てる)。
【0053】
これにより、上述した専用のソフトウエアプログラムが、第2配列データ62における配管設備以外の背景部分をマスキングして、配管設備を背景部分から分離できるため、第2配列データ62から配管設備の領域を抽出した設備バイナリマスク63を生成して取得できる。このような設備バイナリマスク63を用いることによって、実際の設計図面で配管やダクト5等の配管設備を特定するときに、その設計図面から取得した配列データのピクセルが配管設備を示しているものかどうか等を判定することが可能となる。
【0054】
また、例えば第2図面画像データ61として、上述したような仮図面画像データ42(具体的には、
図7の仮図面画像データ42aを参照)を用いた場合には、配管設備の抽出を行う第3学習ステップ73において、専用のソフトウエアプログラム(
図8を参照)で追加した仮想線(
図7の仮想線43a)に基づいて、自動的にアノテーション処理を行って配管設備の領域と配管設備以外の領域とをアサインできるため、アノテーション作業者による作業が行われなくても、設備バイナリマスク63を生成することが可能である。なお、このように仮図面画像データ42(
図7の仮図面画像データ42a)を用いる場合であっても、アノテーション作業者の作業に基づいて設備バイナリマスク63を生成してもよい。
【0055】
第3学習ステップ73によって設備バイナリマスク63を取得した後、
図9に示すように、第2図面画像データ61の第2配列データ62と、取得された設備バイナリマスク63とを用いて、事前訓練モデル47を転移学習させて学習モデルを生成する第4学習ステップ74を行う。この第4学習ステップ74では、第2図面画像データ61の第2配列データ62を入力とし、設備バイナリマスク63を出力として演算できるようにする複数の教師データを用いて、誤差逆伝搬法により、事前訓練モデル47を転移学習させる。この転移学習によって、学習モデルが、設計図面のどの部分が配管設備の領域であるかを演算できるように生成される。この第4学習ステップ74が行われて生成された学習モデルを、ファインチューニングモデルとする。
【0056】
また本実施例において、事前訓練モデル47を転移学習させる転移学習処理(
図9)では、上述したようなアノテーション処理が行われることによって設備バイナリマスク63を取得した後、ヒントマスク専用のソフトウエアプログラムを用いて、生成された設備バイナリマスク63から、一部のデータをランダムに選択して、ヒントバイナリマスク65として指定(生成)するヒントステップ76が行われることが好ましい。ここで用いるソフトウエアプログラムは、例えばアノテーション作業者が実際にヒントを与えることをシミュレートすることによって、ヒントマスクの指定を行うプログラムである。また、例えば第2図面画像データ61として、上述したような仮図面画像データ42(具体的には、
図7の仮図面画像データ42aを参照)を用いた場合には、仮図面画像データ42に追加した仮想線(
図7の仮想線43a)に基づいて、ソフトウエアプログラムによりヒントバイナリマスク65を自動的に指定してもよい。
【0057】
本実施例の転移学習処理においては、上述した第4学習ステップ74で事前訓練モデル47を転移学習させるときに、上述のようなヒントステップ76で指定されるヒントバイナリマスク65を、第2図面画像データ61の第2配列データ62とともに入力として用いることによって、正答率をより向上させたファインチューニングモデル(学習モデル)を生成できる。なお本発明において、ヒントバイナリマスク65の指定は、ソフトウエアプログラムではなく、作業者によって行われてもよい。また本発明では、このようなヒントステップ76を行わずに、ファインチューニングモデルが生成されてもよい。
【0058】
以上のような事前訓練処理(
図5)及び転移学習処理(
図9)を行って生成された本実施例のファインチューニングモデルによれば、その入力層に、配管設備が記載された設計図面の図面画像データ2の配列データが入力されることにより、中間層で配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスク63を演算して、その演算された設備バイナリマスク63を出力層から高い精度で安定して出力することができる。
【0059】
次に、上述したファインチューニングモデル(学習モデル)が
図1に示した管理サーバー10にデプロイされた本実施例の自動演算システム1を用いて、例えば
図2に示したダクト5を含む設計図面の図面画像データ2(具体的には、図面画像データ2上で選択された一部の領域6)から、ダクト5の長さ寸法を自動的に演算する自動演算方法について、図面を参照しながら説明する。ここで、
図10は、実施例に係る自動演算方法のフローチャートである。
【0060】
本実施例の自動演算システム1を用いて、
図2の図面画像データ2からダクト5の長さ寸法を自動的に演算する場合、
図10に示すように、先ず、ユーザー端末30に表示されるウェブアプリケーションの上述したデータ取得部で、設計図面の図面画像データ2を取得するデータ取得ステップ81を行う。
【0061】
具体的に説明すると、このデータ取得ステップ81では、ダクト5等の配管設備が少なくとも記載された
図2の設計図面の画像ファイル(例えば、JPEGファイル)又はドキュメントファイル(例えば、PDFファイル)を、
図1に示すユーザー端末30で動作するウェブブラウザ31のウェブアプリケーションにロードする。これによって、ユーザー端末30のウェブアプリケーションが、
図2の設計図面の図面画像データ2を取得するとともに、そのウェブアプリケーションのGUIにより、図面画像データ2をユーザー端末30のディスプレイ(ウェブアプリケーション)に表示する。
【0062】
次に、ユーザー端末30におけるウェブアプリケーションの内部において、上述した配列データ生成部により、ウェブアプリケーションが取得した
図2の図面画像データ2から、画像の幅W、画像の高さH、及びグレースケールの画素値の情報を含む配列データを変換して生成する配列データ生成ステップ82を行う。更に、その生成した図面画像データ2の配列データを、API経由で管理サーバー10に送信することによって、管理サーバー10のウェブサーバー11を介してアプリケーションサーバー12に入力する(
図1を参照)。
【0063】
このとき、ユーザー端末30を使用するユーザーは、ユーザー端末30のディスプレイに表示された図面画像データ2に対し、例えばタッチペン又はマウス等を用いて、
図2に示すように、設計図面でダクト5の長さ寸法を演算したい領域6を選択して指定することができる。このようにユーザーによって、図面画像データ2の一部の領域6がディスプレイ上で指定された場合、ユーザー端末30に表示されるウェブアプリケーションは、ユーザーによって指定された領域6について、図面画像データ2から、画像の幅W、画像の高さH、及びグレースケールの画素値の情報を含む配列データを変換して、当該領域6の配列データを生成し、更に、その生成した配列データをAPI経由で管理サーバー10に送信する。以下では、
図2に示すようにユーザーによって設計図面上の一部の領域6が指定された場合について説明する。なお、ユーザーによって設計図面の全体が選択されて指定された場合には、上述したように、図面画像データ2の全体の配列データが生成される。
【0064】
またこのとき、
図2に示す図面画像データ2を取得したウェブアプリケーションでは、ウェブアプリケーションに備えられたOCRの機能を用いて、図面画像データ2に記載されている縮尺情報を読み取って取得する。なお、縮尺情報は、例えばユーザーが、ユーザー端末30の入力装置を用いて、手動でウェブアプリケーションに入力すること又はウェブアプリケーション上で選択すること等によって、ウェブアプリケーションが縮尺情報を取得してもよい。
【0065】
次に、図面画像データ2の配列データが入力された管理サーバー10のアプリケーションサーバー12では、アプリケーションサーバー12の上述した特定部において、管理サーバー10のファインチューニングモデル(学習モデル)に対して、ウェブアプリケーションで生成した配列データを入力することによって、
図2の設計図面の領域6の範囲内に記載されている配管設備(ダクト5)の設置領域を特定する特定ステップ83を行う。
【0066】
この特定ステップ83では、アプリケーションサーバー12において、ウェブアプリケーションで生成した配列データを、サービングサーバー14にデプロイされたファインチューニングモデル(学習モデル)の入力層に入力することによって、ファインチューニングモデルの中間層で演算が行われ、ファインチューニングモデルの出力層から、図面画像データ2の指定された領域6内における設備バイナリマスクを出力することができる。
【0067】
その後、アプリケーションサーバー12では、後処理用のソフトウエアプログラムを用いることによって、ウェブアプリケーションから入力された配列データと、ファインチューニングモデルの出力層から出力された設備バイナリマスクとに基づいて、ダクト5の設置領域が特定された配列データを生成する。更に、その生成した配列データを、設備バイナリマスクとともに、ウェブサーバー11を介して、ユーザー端末30のウェブアプリケーションに送信する。なお、ダクト5の設置領域が特定された配列データを生成する処理は、アプリケーションサーバー12ではなく、ユーザー端末30のウェブアプリケーションで行われてもよい。
【0068】
そして、ダクト5の設置領域を特定した配列データをアプリケーションサーバー12から受信したユーザー端末30のウェブアプリケーションでは、受信した配列データに基づいて図面画像データ2上におけるダクト5の設置領域を特定し、ウェブアプリケーションのGUIにより、
図3に示したように、特定されたダクト5の設置領域をユーザー端末30のディスプレイに表示する。なお、
図3では、特定されたダクト5の設置領域を斜線のハッチングで示している。
【0069】
更にウェブアプリケーションでは、上述した演算部において、アプリケーションサーバー12から受信した設備バイナリマスク又は配列データ(すなわち、ダクト5の設置領域を示す設備バイナリマスク又はダクト5の設置領域を特定した配列データ)と、OCRの機能(又はユーザーによる入力や選択)によって取得した縮尺情報とに基づいて、配管設備の長さ寸法を演算する演算ステップ84を行う。
【0070】
この演算ステップ84では、例えば
図4に示すような設備バイナリマスクに対し、専用のソフトウェアによってダクト5の設置領域(
図4の白色の部分)の中心線(
図4の白色部分内の実線)を抽出し、その中心線の長さを求める。本実施例の場合、設置領域の中心線は、ダクト5に沿った直線部分と、2つの直線部分が交わる交点とにより形成されている。更に、中心線の長さと縮尺情報とを用いて演算を行うことによって、実際のダクト5(配管設備)の長さ寸法を求めることができる。
【0071】
また演算ステップ84では、例えばダクト5の設置領域を特定した配列データの情報と縮尺情報とを用いて、
図2の図面画像データ2におけるピクセル間隔と実際の寸法の比率を演算することによって、実際のダクト5の長さ寸法を求めることも可能である。なお、本実施例では、このような長さ寸法の演算は、ウェブアプリケーションで行われるが、例えば長さ寸法の演算をアプリケーションサーバー12で行って、その後、その長さ寸法の演算結果をウェブアプリケーションに送信してもよい。
【0072】
続いて、ウェブアプリケーションは、演算によって求めた実際のダクト5の長さ寸法の数値をユーザー端末30のディスプレイに表示する表示ステップ85を行う。これにより、ユーザーは、ディスプレイの表示を見て、特定されたダクト5の設置領域と、そのダクト5の長さ寸法とを把握できる。なお、演算ステップ84及び表示ステップ85では、例えば取得した縮尺情報を用いずに、設計図面上における配管設備の長さ寸法(図面上での実際の長さ寸法)を表示するように設定することも可能である。
【0073】
更に本実施例の自動演算システム1では、アプリケーションサーバー12でファインチューニングモデル(学習モデル)による演算を行った結果、例えばユーザー端末30のディスプレイに表示されるダクト5の設置領域及び/又はダクト5の長さ寸法に間違いが生じていた場合に、そのユーザー端末30を操作するユーザー自身が、ユーザー端末30のタッチペン、マウス、キーボード等の入力装置を用いて、間違えているダクト5の設置領域及び/又はダクト5の長さ寸法を修正してウェブアプリケーションに入力することができる。
【0074】
このとき、ユーザー端末30で利用するウェブアプリケーションでは、上述した正解データ取得部で、ユーザーによって修正されたダクト5の正しい設置領域を示す配列データ(正解データ)を取得して、その取得した正しい配列データを管理サーバー10に送信する。
【0075】
続いて、正しい配列データを受信したアプリケーションサーバー12では、正しい配列データ(正解データ)からユーザーによって修正された部分をヒントバイナリマスクとして生成し、その生成されたヒントバイナリマスクをファインチューニングモデルに入力する。これにより、ファインチューニングモデルの出力層から正解データに基づく設備バイナリマスクを出力して、その設備バイナリマスクに基づいて、ダクト5の正しい設置領域が再特定された配列データを生成できる。その後、ダクト5の正しい設置領域が特定された配列データは、ユーザー端末30のウェブアプリケーションに送信されるため、ユーザー端末30のディスプレイでは、ダクト5の正しい設置領域と、その正しい配列データに基づいて再演算されたダクト5の長さ寸法とが表示される。なお、ユーザー端末30のウェブアプリケーションでは、ユーザーによって修正されたダクト5の設置領域及び/又はダクト5の長さ寸法をそのままウェブアプリケーションに表示してもよい。
【0076】
更に、正しい配列データ(正解データ)を受信したアプリケーションサーバー12では、上述した学習部により、上述した正解データに基づくヒントバイナリマスクをファインチューニングモデルに入力して、ファインチューニングモデル(学習モデル)を更に学習させることができる。これにより、ウェブアプリケーションで正しい配列データ(正解データ)を取得するほど、ファインチューニングモデル(学習モデル)の正解の確率をより高めて、本実施例の自動演算システム1の精度を向上させることができる。
【0077】
以上に説明したように、本実施例の自動演算システム1によれば、ダクト5等の配管設備が記載されている設計図面の図面画像データ2から、配管設備の実際の長さ寸法を自動的に演算して、ユーザー端末30のディスプレイに表示することができる。これによって、建築積算士が行う積算において、従来では主に手作業で行われていたダクト5等の配管設備の拾い出し作業の少なくとも一部を自動化して簡略化できる。このため、拾い出し作業に要する時間と労力を低減して、作業の効率化及び合理化や作業時間の短縮化を図ることができ、また、積算業務における作業負担を大幅に軽減できる。更にその結果、積算業務の品質の向上が図れるとともに、積算業務のアウトソーシングの必要性を低減するという効果も期待できる。また、従来から懸念されている建築積算士の不足の問題や、企業で受注可能な工事の選択肢が制限されるという問題の解消にも貢献することが期待できる。
【符号の説明】
【0078】
1 自動演算システム
2 図面画像データ
5 ダクト
6 領域
10 管理サーバー
11 ウェブサーバー
12 アプリケーションサーバー
13 データベース(データベースサーバー)
14 サービングサーバー
15 ストレージ
20 ネットワーク
30 ユーザー端末(クライアント端末)
31 ウェブブラウザ
41,41a 第1図面画像データ
42,42a 仮図面画像データ
43a 仮想の配管設備を表す実線
44 仮想配列データ
45 マスク配列データ
46 イメージ図
47 事前訓練モデル
52 第2訓練ステップ
53 第3訓練ステップ
54 第4訓練ステップ
55 第5訓練ステップ
61 第2図面画像データ
62 第2配列データ
63 設備バイナリマスク
65 ヒントバイナリマスク
72 第2学習ステップ
73 第3学習ステップ
74 第4学習ステップ
75 作業
76 ヒントステップ
81 データ取得ステップ
82 データ生成ステップ
83 特定ステップ
84 演算ステップ
85 表示ステップ
【手続補正書】
【提出日】2023-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面から、前記配管設備の長さ寸法を自動的に演算する自動演算システムであって、
前記設計図面の図面画像データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得された前記図面画像データから、画像情報を含む配列データを生成する配列データ生成部と、
前記図面画像データの前記配列データを入力とし、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習により生成される機械学習モデルを用いて、前記配管設備の設置領域を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記配管設備の前記設置領域に基づいて、前記配管設備の長さ寸法を演算する演算部と
を有することを特徴とする自動演算システム。
【請求項2】
前記配列データは、前記画像情報として、画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む
請求項1記載の自動演算システム。
【請求項3】
前記演算部は、前記設計図面の縮尺情報を取得して前記配管設備の前記長さ寸法を演算する
請求項1記載の自動演算システム。
【請求項4】
前記特定部で特定された前記配管設備の領域に間違いが生じている場合に、前記配管設備の正しい領域を示す正解データを取得する正解データ取得部を有し、
前記特定部は、取得した前記正解データに基づいて前記配管設備の設置領域を再特定する
請求項1記載の自動演算システム。
【請求項5】
前記正解データを用いて前記機械学習モデルを更に学習させる学習部を有する
請求項4記載の自動演算システム。
【請求項6】
前記機械学習モデルがデプロイされるとともに、ウェブアプリケーションとの間でデータ送受信が行われる管理サーバーを有し、
前記ウェブアプリケーションは、前記データ取得部で取得された前記設計図面の前記図面画像データと、前記特定部で特定された前記配管設備の設置領域と、演算された前記配管設備の前記長さ寸法とを表示する
請求項1記載の自動演算システム。
【請求項7】
配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面から、前記配管設備の長さ寸法を自動演算システムにより自動的に演算する自動演算方法であって、
前記自動演算システムのデータ取得部が、前記設計図面の図面画像データを取得するデータ取得ステップと、
前記自動演算システムの配列データ生成部が、前記データ取得ステップで取得した前記図面画像データから、画像情報を含む配列データを生成する配列データ生成ステップと、
前記自動演算システムの特定部が、前記図面画像データの前記配列データを入力とし、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習により生成される機械学習モデルを用いて、前記配管設備の設置領域を特定する特定ステップと、
前記自動演算システムの演算部が、前記特定ステップにおいて特定された前記配管設備の前記設置領域に基づいて、前記配管設備の長さ寸法を演算する演算ステップと
を含むことを特徴とする自動演算方法。
【請求項8】
前記配列データは、前記画像情報として、画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む
請求項7記載の自動演算方法。
【請求項9】
配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面の図面画像データから生成されるとともに、画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む配列データが入力される入力層と、
前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力する出力層と、
前記図面画像データの前記配列データと、前記設備バイナリマスクとを関連付けて記録した複数の教師データを用いてパラメータが機械学習された中間層と
を備え、
前記図面画像データの前記配列データが前記入力層に入力された場合に、前記中間層による演算を行い、前記設備バイナリマスクを前記出力層から出力するようにコンピュータを機能させる
ことを特徴とする機械学習モデル。
【請求項10】
コンピュータが事前訓練モデルを生成する事前訓練処理と、前記コンピュータが前記事前訓練モデルの転移学習を行うことにより、配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面の図面画像データから得られる配列データを入力とし、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習モデルを生成する転移学習処理とを有し、
前記事前訓練処理では、前記コンピュータが、前記配管設備が記載されていない第1設計図面の第1図面画像データに仮想の配管設備を表す仮想線が追加された仮図面画像データを取得するステップと、前記仮図面画像データから画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む仮想配列データを生成するステップと、前記仮想配列データを一定の割合で分割した複数の分割パッチデータを生成し、得られた前記分割パッチデータの一部をマスクするマスク処理を行うことによりマスク配列データを生成するステップと、前記マスク配列データを入力とし、前記仮想配列データを出力とする前記事前訓練モデルを誤差逆伝搬法により生成するステップとを行い、
前記転移学習処理では、前記コンピュータが、前記配管設備が記載されている第2設計図面の第2図面画像データを取得するステップと、前記第2図面画像データから画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む第2配列データを生成するステップと、前記第2配列データをアノテーション処理して生成される前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを取得するステップと、前記第2図面画像データを入力とし、前記設備バイナリマスクを出力とする複数の教師データを用いて誤差逆伝搬法により前記事前訓練モデルを転移学習させて前記機械学習モデルを生成するステップとを行う
ことを特徴とする機械学習モデルの生成方法。
【請求項11】
前記転移学習処理では、前記コンピュータが、前記アノテーション処理により生成される前記設備バイナリマスクからヒントバイナリマスクを選択して指定するステップを行い、
前記転移学習処理の前記機械学習モデルを生成するステップにおいて、前記コンピュータが、前記事前訓練モデルの前記転移学習に前記ヒントバイナリマスクを用いる
請求項10記載の機械学習モデルの生成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明により提供される自動演算方法は、配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面から、前記配管設備の長さ寸法を自動演算システムにより自動的に演算する自動演算方法であって、前記自動演算システムのデータ取得部が、前記設計図面の図面画像データを取得するデータ取得ステップと、前記自動演算システムの配列データ生成部が、前記データ取得ステップで取得した前記図面画像データから、画像情報を含む配列データを生成する配列データ生成ステップと、前記自動演算システムの特定部が、前記図面画像データの前記配列データを入力とし、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習により生成される機械学習モデルを用いて、前記配管設備の設置領域を特定する特定ステップと、前記自動演算システムの演算部が、前記特定ステップにおいて特定された前記配管設備の前記設置領域に基づいて、前記配管設備の長さ寸法を演算する演算ステップとを含む自動演算方法である。
本発明の自動演算方法において、前記配列データは、前記画像情報として、画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含むことが好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明により提供される機械学習モデルの生成方法は、コンピュータが事前訓練モデルを生成する事前訓練処理と、前記コンピュータが前記事前訓練モデルの転移学習を行うことにより、配管及びダクトを含む配管設備が記載されている設計図面の図面画像データから得られる配列データを入力とし、前記配列データにおいて前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを出力とする機械学習モデルを生成する転移学習処理とを有し、前記事前訓練処理では、前記コンピュータが、前記配管設備が記載されていない第1設計図面の第1図面画像データに仮想の配管設備を表す仮想線が追加された仮図面画像データを取得するステップと、前記仮図面画像データから画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む仮想配列データを生成するステップと、前記仮想配列データを一定の割合で分割した複数の分割パッチデータを生成し、得られた前記分割パッチデータの一部をマスクするマスク処理を行うことによりマスク配列データを生成するステップと、前記マスク配列データを入力とし、前記仮想配列データを出力とする前記事前訓練モデルを誤差逆伝搬法により生成するステップとを行い、前記転移学習処理では、前記コンピュータが、前記配管設備が記載されている第2設計図面の第2図面画像データを取得するステップと、前記第2図面画像データから画像の幅、画像の高さ、及び画素値の情報を含む第2配列データを生成するステップと、前記第2配列データをアノテーション処理して生成される前記配管設備の設置領域を示す設備バイナリマスクを取得するステップと、前記第2図面画像データを入力とし、前記設備バイナリマスクを出力とする複数の教師データを用いて誤差逆伝搬法により前記事前訓練モデルを転移学習させて前記機械学習モデルを生成するステップとを行う生成方法である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明の機械学習モデルの生成方法において、前記転移学習処理では、前記コンピュータが、前記アノテーション処理により生成される前記設備バイナリマスクからヒントバイナリマスクを選択して指定するステップを行い、前記転移学習処理の前記機械学習モデルを生成するステップにおいて、前記コンピュータが、前記事前訓練モデルの前記転移学習に前記ヒントバイナリマスクを用いることが好ましい。