(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113632
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】雪下ろし装置
(51)【国際特許分類】
E04D 15/00 20060101AFI20240815BHJP
E04H 9/16 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
E04D15/00 Y
E04H9/16 E
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052464
(22)【出願日】2023-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】P 2023018095
(32)【優先日】2023-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314014025
【氏名又は名称】舟橋 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 達夫
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA03
2E139DA51
2E139DB04
2E139DB09
2E139DB14
2E139DB16
2E139DC14
(57)【要約】
【課題】軽量化され、かつ、コンパクトな雪下ろし装置を提供する。
【解決手段】雪下ろし装置10は、屋根101の周縁部105側、又は、棟103側に配設される。長尺薄板状であって、短手方向における断面が、上が凹である円弧状、又は、波形状に形成され、直線移動可能な直立性と、繰り出し巻き取り可能な柔軟性と、を有する滑落板21を備え、繰り出し方向において屋根101上に積もった雪Sに進入して、上に乗った雪Sを屋根101外に滑落させる滑落体20と、滑落体20を、屋根101の屋根面102の上方において、繰り出し巻き取り可能とする繰出巻取装置40と、を備える。繰出巻取装置40は、回転装置60により回転可能とされている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の周縁部側、又は、棟側に配設される雪下ろし装置であって、
長尺薄板状であって、短手方向における断面が、上が凹である円弧状、又は、波形状に形成され、直線移動可能な直立性と、繰り出し巻き取り可能な柔軟性と、を有する滑落板を備え、繰り出し方向において前記屋根上に積もった雪に進入して、上に乗った雪を前記屋根外に滑落させる滑落体と、
前記滑落体を、前記屋根の屋根面の上方において、繰り出し巻き取り可能とする繰出巻取装置と、
を備え、
前記繰出巻取装置は、回転装置により回転可能とされ、又は、棟側移動装置により前記棟に沿って移動可能とされ、若しくは、周縁部側移動装置により前記屋根の周縁部に沿って移動可能とされていることを特徴とする雪下ろし装置。
【請求項2】
前記滑落体は、一つの前記滑落板で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の雪下ろし装置。
【請求項3】
前記滑落体は、一対の前記滑落板と、一対の前記滑落板間に架け渡されるシート状部材と、一対の前記滑落板の先端部間に架け渡されるとともに、前記シート状部材と連設され、前記屋根に積もった雪を、前記屋根面に沿った方向において切断する連結切断部材と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の雪下ろし装置。
【請求項4】
前記滑落板の先端部の上面側には、前記滑落板の上方に延設され、前記屋根に積もった雪を少なくとも厚さ方向において切断する切断部が配設されていることを特徴とする請求項2に記載の雪下ろし装置。
【請求項5】
一対の前記滑落板のそれぞれの先端部の上面側には、前記滑落板の上方に延設され、前記屋根に積もった雪を少なくとも厚さ方向において切断する切断部が配設されていることを特徴とする請求項3に記載の雪下ろし装置。
【請求項6】
前記繰出巻取装置と、前記回転装置、又は、前記棟側移動装置、若しくは、前記周縁部側移動装置、を制御する制御手段と、
前記屋根上の積雪量を検知する検知手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段が、所定の積雪量を検知したら、
前記繰出巻取装置から、前記滑落体を繰り出させた後、巻き取らせ、前記回転装置、又は、前記棟側移動装置、若しくは、前記周縁部側移動装置、を前記繰出巻取装置の動作と対応する所定の動作をさせた後、停止させることを特徴とする請求項1記載の雪下ろし装置。
【請求項7】
前記屋根の周縁部側に配設され、
前記繰出巻取装置を移動させる周縁部側駆動装置と、前記屋根の周縁部に沿って配設される周縁部側移動ガイドと、を備える前記周縁部側移動装置により、前記繰出巻取装置が、前記屋根の周縁部に沿って移動可能とされ、
前記滑落体を、前記屋根面に対して所定の角度を有して繰り出し巻き取り可能、又は、前記屋根面に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされていることを特徴とする請求項1記載の雪下ろし装置。
【請求項8】
前記棟側に配設され、
前記繰出巻取装置を移動させる棟側駆動装置と、前記棟に沿って配設される棟側移動ガイドと、を備える前記棟側移動装置により、前記繰出巻取装置が、前記棟に沿って移動可能とされ、
前記滑落体を、前記屋根面に対して所定の角度を有して繰り出し巻き取り可能、又は、前記屋根面に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされていることを特徴とする請求項1記載の雪下ろし装置。
【請求項9】
前記屋根の周縁部側に配設され、前記繰出巻取装置は、前記回転装置により回転可能とされ、
前記回転装置は、前記繰出巻取装置を、上下方向を回転軸として、又は、前記屋根面に直交する方向を回転軸として回転可能とされ、
前記滑落体を、前記屋根面に対して所定の角度を有して繰り出し巻き取り可能、又は、前記屋根面に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされることを特徴とする請求項1記載の雪下ろし装置。
【請求項10】
前記棟側に配設され、前記繰出巻取装置は、前記回転装置により回転可能とされ、
前記回転装置は、前記繰出巻取装置を、上下方向を回転軸として、又は、前記屋根面に直交する方向を回転軸として、回転可能とされ、
前記滑落体を、前記屋根面に対して所定の角度を有して繰り出し巻き取り可能、又は、前記屋根面に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされていることを特徴とする請求項1記載の雪下ろし装置。
【請求項11】
前記屋根の前記滑落体が繰り出される位置には、前記滑落体と当接して、前記滑落体を屈曲させる当接屈曲部を有し、前記滑落体の繰り出し時に、前記屋根の形状に対応するように、前記滑落体の繰り出し方向を変換し、前記滑落体の巻き取り時に、前記滑落体の繰り出し時とは逆方向へ巻き取り方向を変換する、変換部材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の雪下ろし装置。
【請求項12】
前記繰出巻取装置が、回転駆動装置により、上下方向を回転軸として回転可能とされていることを特徴とする請求項8記載の雪下ろし装置。
【請求項13】
前記回転装置は、
前記棟、又は、前記屋根の周縁部、若しくは、前記屋根の周縁部周辺、に配設される固定部と、
前記固定部に対して、上下方向を回転軸として回転可能な回転部と、
を有し、
前記繰出巻取装置は、前記回転部に対して、水平方向を回転軸として回転可能とされていることを特徴とする請求項9又は10記載の雪下ろし装置。
【請求項14】
前記回転装置は、前記繰出巻取装置を、前記屋根面に直交する方向を回転軸として回転させ、
前記繰出巻取装置を、前記棟を挟んだ一方の前記屋根面の上方に、前記滑落体を繰り出し巻き取り可能な第一状態と、前記棟を挟んだ他方の前記屋根面の上方に、前記滑落体を繰り出し巻き取り可能な第二状態と、に変更可能な状態変更機構を備えていることを特徴とする請求項9又は10記載の雪下ろし装置。
【請求項15】
屋根の周縁部側、又は、棟側に配設される雪下ろし装置であって、
長尺薄板状であって、短手方向における断面の少なくとも一部が、屈曲、又は/及び、湾曲して形成され、直線移動可能な直立性と、繰り出し巻き取り可能な柔軟性と、を有する滑落板を備え、繰り出し方向において前記屋根上に積もった雪に進入して、上に乗った雪を前記屋根外に滑落させる滑落体と、
前記滑落体を、前記屋根の屋根面の上方において、繰り出し巻き取り可能とする繰出巻取装置と、
を備え、
前記繰出巻取装置は、回転装置により回転可能とされ、又は、棟側移動装置により前記棟に沿って移動可能とされ、若しくは、周縁部側移動装置により前記屋根の周縁部に沿って移動可能とされていることを特徴とする雪下ろし装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根に積もった雪を下ろす雪下ろし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の雪下ろし装置(除雪装置)として、特許文献1に記載されるものがあった。これによれば、屋根上に移動可能に設けられるシート状部材と、シート状部材の移動を制御する移動装置と、を有していた。シート状部材の少なくとも一部分は、屋根上となる位置から屋根外となる位置まで移動し、当該一部分上に堆積した雪を落下させる構成とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記雪下ろし装置では、屋根のほぼ全領域を覆う大きさとされるので、構成する部材の使用量が多くなるため、重量が重くなり、かつ、嵩が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて、軽量化され、かつ、コンパクトな雪下ろし装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、屋根の周縁部側、又は、棟側に配設される雪下ろし装置であって、
長尺薄板状であって、短手方向における断面が、上が凹である円弧状、又は、波形状に形成され、直線移動可能な直立性と、繰り出し巻き取り可能な柔軟性と、を有する滑落板を備え、繰り出し方向において前記屋根上に積もった雪に進入して、上に乗った雪を前記屋根外に滑落させる滑落体と、
前記滑落体を、前記屋根の屋根面の上方において、繰り出し巻き取り可能とする繰出巻取装置と、
を備え、
前記繰出巻取装置は、回転装置により回転可能とされ、又は、棟側移動装置により前記棟に沿って移動可能とされ、若しくは、周縁部側移動装置により前記屋根の周縁部に沿って移動可能とされている。
【0007】
これによれば、滑落体を構成する滑落板は、長尺薄板状であって、短手方向における断面が、上が凹である円弧状、又は、波形状に形成することで、屋根上に積もった雪内に直線状に繰り出し可能な直立性と、かつ、雪を滑落させた後に直線状に戻るときに巻き取り可能な柔軟性と、を有する。
【0008】
よって、滑落板を備える滑落体は、繰り出し方向において屋根上に積もった雪に進入して、滑落体の上に乗った雪を屋根外に滑落させることが可能となる。
【0009】
さらに、繰出巻取装置が、回転装置により回転可能とされ、又は、棟側移動装置により棟に沿って移動可能とされ、若しくは、周縁部側移動装置により屋根の周縁部に沿って移動可能とされることで、屋根全体に積もった雪を少しずつ屋根外に下ろすことが可能となる。
【0010】
よって、滑落体、繰出巻取装置、及び、回転装置、又は、棟側移動装置、若しくは、周縁部側移動装置のみで構成することで、部材の使用量を少なくできるため、軽量化され、かつ、コンパクトな雪下ろし装置とすることができる。
【0011】
また、前記滑落体は、一つの前記滑落板で形成されている。
【0012】
滑落体をこのように形成しても、雪を屋根外に滑落させることができる。
【0013】
また、前記滑落体は、一対の前記滑落板と、一対の前記滑落板間に架け渡されるシート状部材と、一対の前記滑落板の先端部間に架け渡されるとともに、前記シート状部材と連設され、前記屋根に積もった雪を、前記屋根面に沿った方向において切断する連結切断部材と、を有している。
【0014】
滑落体をこのような構成としても、雪を屋根外に滑落させることができる。また、滑落板を小さくでき、加工費用を少なくできるので、繰出巻取装置の駆動源を低出力で小さなものとできる。よって、雪下ろし装置全体の価格と重量を低減させることに寄与する。
【0015】
また、前記滑落板の先端部の上面側には、前記滑落板の上方に延設され、前記屋根に積もった雪を少なくとも厚さ方向において切断する切断部が配設されている。
【0016】
これによれば、滑落板が屋根に積もった雪に進入するときに、切断部により屋根に積もった雪が切断されるので、雪を屋根外に滑落させることに寄与する。
【0017】
また、一対の前記滑落板のそれぞれの先端部の上面側には、前記滑落板の上方に延設され、前記屋根に積もった雪を少なくとも厚さ方向において切断する切断部が配設されている。
【0018】
これによれば、滑落板が屋根に積もった雪に進入するときに、切断部により屋根に積もった雪が切断されるので、雪を屋根外に滑落させることに寄与する。
【0019】
また、前記繰出巻取装置と、前記回転装置、又は、前記棟側移動装置、若しくは、前記周縁部側移動装置、を制御する制御手段と、
前記屋根上の積雪量を検知する検知手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段が、所定の積雪量を検知したら、
前記繰出巻取装置から、前記滑落体を繰り出させた後、巻き取らせ、前記回転装置、又は、前記棟側移動装置、若しくは、前記周縁部側移動装置、を前記繰出巻取装置の動作と対応する所定の動作をさせた後、停止させる。
【0020】
これによれば、人の操作を介さずに、自動で雪下ろしすることができる。
【0021】
また、前記屋根の周縁部側に配設され、
前記繰出巻取装置を移動させる周縁部側駆動装置と、前記屋根の周縁部に沿って配設される周縁部側移動ガイドと、を備える前記周縁部側移動装置により、前記繰出巻取装置が、前記屋根の周縁部に沿って移動可能とされ、
前記滑落体を、前記屋根面に対して所定の角度を有して繰り出し巻き取り可能、又は、前記屋根面に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされている。
【0022】
雪下ろし装置を、軒先、ケラバ等の屋根の周縁部側に配設した場合に、このような構成としても、屋根に積もった雪を少しずつ下ろすことにつながる。
【0023】
また、前記棟側に配設され、
前記繰出巻取装置を移動させる棟側駆動装置と、前記棟に沿って配設される棟側移動ガイドと、を備える前記棟側移動装置により、前記繰出巻取装置が、前記棟に沿って移動可能とされ、
前記滑落体を、前記屋根面に対して所定の角度を有して繰り出し巻き取り可能、又は、前記屋根面に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされている。
【0024】
雪下ろし装置を棟側に配設した場合に、このような構成としても、屋根に積もった雪を少しずつ下ろすことにつながる。
【0025】
また、前記屋根の周縁部側に配設され、前記繰出巻取装置は、前記回転装置により回転可能とされ、
前記回転装置は、前記繰出巻取装置を、上下方向を回転軸として、又は、前記屋根面に直交する方向を回転軸として回転可能とされ、
前記滑落体を、前記屋根面に対して所定の角度を有して繰り出し巻き取り可能、又は、前記屋根面に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされる。
【0026】
雪下ろし装置を、軒先、ケラバ等の屋根の周縁部側に配設した場合に、このような構成としても、屋根に積もった雪を少しずつ下ろすことにつながる。さらに、繰出巻取装置の配置位置により、雪を滑落させたくない側を設定可能になる。
【0027】
また、前記棟側に配設され、前記繰出巻取装置は、前記回転装置により回転可能とされ、
前記回転装置は、前記繰出巻取装置を、上下方向を回転軸として、又は、前記屋根面に直交する方向を回転軸として、回転可能とされ、
前記滑落体を、前記屋根面に対して所定の角度を有して繰り出し巻き取り可能、又は、前記屋根面に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされている。
【0028】
雪下ろし装置を棟側に配設した場合に、このような構成としても、屋根に積もった雪を少しずつ下ろすことにつながる。
【0029】
また、前記屋根の前記滑落体が繰り出される位置には、前記滑落体と当接して、前記滑落体を屈曲させる当接屈曲部を有し、前記滑落体の繰り出し時に、前記屋根の形状に対応するように、前記滑落体の繰り出し方向を変換し、前記滑落体の巻き取り時に、前記滑落体の繰り出し時とは逆方向へ巻き取り方向を変換する、変換部材が配設されている。
【0030】
これによれば、変換部材により、屋根の形状に対応可能となるので、さまざまな種類の屋根に対応することができる。
【0031】
また、前記繰出巻取装置が、回転駆動装置により、上下方向を回転軸として回転可能とされている。
【0032】
棟側に配設する場合に、このような構成とすれば、棟を挟んだ二つの屋根面を一つの雪下ろし装置で雪下ろしすることができる。
【0033】
また、前記回転装置は、
前記棟、又は、前記屋根の周縁部、若しくは、前記屋根の周縁部周辺、に配設される固定部と、
前記固定部に対して、上下方向を回転軸として回転可能な回転部と、
を有し、
前記繰出巻取装置は、前記回転部に対して、水平方向を回転軸として回転可能とされている。
【0034】
これによれば、繰出巻取装置は、回転部に対して、水平方向を回転軸として回転可能とされるので、繰り出し、巻き取り角度を変更可能となるため、様々な形状の屋根に対応可能となる。
【0035】
また、前記回転装置は、前記繰出巻取装置を、前記屋根面に直交する方向を回転軸として回転させ、
前記繰出巻取装置を、前記棟を挟んだ一方の前記屋根面の上方に、前記滑落体を繰り出し巻き取り可能な第一状態と、前記棟を挟んだ他方の前記屋根面の上方に、前記滑落体を繰り出し巻き取り可能な第二状態と、に変更可能な状態変更機構を備えている。
【0036】
このような構成とすれば、棟を挟んだ二つの屋根面を一つの雪下ろし装置で雪下ろしすることができる。
【0037】
また、屋根の周縁部側、又は、棟側に配設される雪下ろし装置であって、
長尺薄板状であって、短手方向における断面の少なくとも一部が、屈曲、又は/及び、湾曲して形成され、直線移動可能な直立性と、繰り出し巻き取り可能な柔軟性と、を有する滑落板を備え、繰り出し方向において前記屋根上に積もった雪に進入して、上に乗った雪を前記屋根外に滑落させる滑落体と、
前記滑落体を、前記屋根の屋根面の上方において、繰り出し巻き取り可能とする繰出巻取装置と、
を備え、
前記繰出巻取装置は、回転装置により回転可能とされ、又は、棟側移動装置により前記棟に沿って移動可能とされ、若しくは、周縁部側移動装置により前記屋根の周縁部に沿って移動可能とされている。
【0038】
このような構成としても、軽量化され、かつ、コンパクトな雪下ろし装置とすることができる。
【0039】
ここで、本発明における、「直立性」とは、鋼製巻尺(コンベックス)のJIS規格に準じたもので、滑落板の短手方向における幅の所定倍以上の長さの自重で、滑落板が、折れ曲がらないことをいう。また、直立性の性能の測定方法は、凹面を上にした滑落板を、検査台の一端から所定の長さだけ静かに繰り出し、折れ曲がるか否かを確かめて行う。
【0040】
また、本発明においては、棟には、方形屋根等に生じる、かき合いとよばれる、屋根の頂部となる部分が含まれるものとする。また、屋根の周縁部には、雨押さえとよばれる、屋根と外壁の取り合い(つなぎ)の部分が含まれるものとする。
【0041】
さらに、「上下方向、水平方向、屋根面に直交する方向」の記載の解釈としては、物理的に「上下方向、水平方向、屋根面に直交する方向」であるものだけでなく、寸法公差、加工精度による製品のばらつき等、出願時の技術常識を参酌して「略上下方向、略水平方向、略屋根面に直交する方向」のものが含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の第一実施形態における雪下ろし装置の正面図である。
【
図9】同実施形態の雪下ろし装置を、(a)は切妻屋根の周縁部に配設する場合、(b)は棟に段差がある屋根に配設する場合、の説明図である。
【
図10】同実施形態の雪下ろし装置を、棟に段差がある屋根に配置するときの(a)は昇降機構の正面図、(b)は(a)のXb-Xb線矢視断面図である。
【
図11】同昇降機構の(a)は右側面図、(b)は落下防止部の部分拡大図である。
【
図12】本発明の第二実施形態における雪下ろし装置の正面図である。
【
図15】同実施形態の水平方向を回転軸とする部分の下側からみた説明図である。
【
図17】同実施形態の雪下ろし装置を屋根の周縁部に配置した説明図である。
【
図18】本発明の第三実施形態における雪下ろし装置の正面図である。
【
図22】本発明の第四実施形態における雪下ろし装置を屋根の周縁部に配置した説明図である。
【
図25】本発明の第五実施形態における雪下ろし装置の正面図である。
【
図29】(a)は切妻屋根、(b)は寄棟屋根、における動作説明図である。
【
図30】同実施形態の雪下ろし装置を取り合い部分に配置する場合の説明図である。
【
図31】二階建ての建物に変換部材を配置した説明図である。
【
図32】二階の軒先に配置される第一変換部材の説明図である。
【
図33】一階の屋根に配置される第二変換部材の説明図である。
【
図34】本発明の第六実施形態における雪下ろし装置の正面図である。
【
図39】同実施形態の変換部材を屋根の棟に配置した説明図である。
【
図43】滑落体のさらに他の変形例の説明図である。
【
図44】(a)~(h)は、滑落板の変形例の短手方向における断面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明による雪下ろし装置の第一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、各図面に矢印が付される場合には、Fを前、Bを後ろ、Rを右、Lを左、Uを上、Dを下、とする。また、各図面は、発明を理解するためのもので、縮尺、縦横の寸法比等は必ずしも整合していない。
【0044】
雪下ろし装置10は、概略的には、
図1~
図6に示すように、滑落体20と、繰出巻取装置40と、回転装置60と、を備えている。
【0045】
滑落体20は、本実施形態では、一つの滑落板21で構成されている。滑落板21は、金属製で、
図6に示すように、長尺薄板状とされ、短手方向における断面が、上が凹である円弧状に形成され、直線移動可能な直立性と、繰り出し巻き取り可能な柔軟性と、を有している。滑落板21は、コンベックス(鋼製巻尺)のメジャー部分を大型化したようなものである。また、滑落板21は、長手方向において屈曲すると短手方向に直線状となり、巻き取られるときには平たくなり、コンパクトになる。
【0046】
滑落板21の先端部21aの上面側には、滑落板21の上方に延設され、屋根101に積もった雪Sを、厚さ方向及び屋根面102に沿った方向において切断する切断部22が配設されている。
【0047】
本実施形態では、切断部22は、L字状に形成された一対のフレーム部22aと、一対のフレーム部22aの自由端どうしと連結するばね部22bと、を備えている。
【0048】
切断部22は、後述する変換部材110と当接して、滑落板21が平らに変形したとき、
図6の左側に示すように、一対のフレーム部22aが、滑落板21の短手方向において拡開可能に形成されている。
【0049】
繰出巻取装置40は、シェル41と、第一モータM1と、繰出巻取用シャフト50と、回転ギア45と、を備えている。
【0050】
シェル41は、金属製で、箱状に形成され、半円筒状に形成されたシェル本体42と、左右方向の端部において、シェル本体42と連設されたサイドシェル43と、左右の端部が閉塞した円筒状に形成された円筒体44と、を備えている。
【0051】
シェル本体42は、底壁42aが下端より上側に配される上げ底状に形成され、底壁42aの下面側には、円環状に形成された回転ギア45が取り付けられている。
【0052】
シェル本体42内には、円筒体44と、第一モータM1と、が配設されている。
【0053】
円筒体44の下部前側には、滑落板21を挿通可能な挿通孔44aが配設されている。
【0054】
シェル本体42の
図3における前側下部には、筒状に形成されて挿通孔44aと連通して、滑落板21を挿通するとともに繰り出し巻き取り方向を規制可能な開口部42bが配設されている。
【0055】
サイドシェル43は、外形形状が略半円錐状に形成されている。
【0056】
第一モータM1は、既存のモータが用いられ、第一モータM1の回転軸M1aには、第一駆動ギアM1bが取り付けられている。
【0057】
繰出巻取用シャフト50は、円筒体44の左右の側壁を挿通させ、円筒体44の左右の側壁に配設された図示しない軸受を介して、左右方向を回転軸として回転可能に取り付けられている。
【0058】
繰出巻取用シャフト50の右端部には、第一従動ギア51が取り付けられている。
【0059】
第一駆動ギアM1bと、第一従動ギア51と、にチェーン52が架け渡されて、第一モータM1の駆動力が、繰出巻取用シャフト50に伝達可能とされている。
【0060】
繰出巻取用シャフト50に、滑落板21が繰り出し巻き取り可能に巻き付けられている。滑落板21は、
図3の状態においては、大部分が円筒体44内に配置され、挿通孔44a、開口部42bを挿通させた状態で、切断部22を含む先端部分が露出するように配置されている。
【0061】
なお、繰出巻取装置40には、巻き付けられた滑落板21が繰り出し巻き取り時に、繰出巻取用シャフト50から緩んで広がらないように、円筒体44の内周面から繰出巻取用シャフト50に向かって付勢する図示しない押さえ機構が配されている。後述する、繰出巻取装置40A、40B、40C、40D、40Eにおいても、同様である。
【0062】
回転装置60は、金属製で、固定台部61と、傾斜台部65と、を備えている。
【0063】
固定台部61は、屋根101に固定される脚部62と、脚部62の上部に形成される台座部63と、を備えている。
【0064】
脚部62は、柱状に形成され、台座部63の下面と連設されている。
【0065】
台座部63は、板状に形成され、上面から下面に向かう段付き貫通孔として形成された段付孔部63aを備えている。
【0066】
傾斜台部65は、傾斜台66と、下軸部67と、上軸部68と、を備えている。
【0067】
傾斜台66は、円柱状の部材を、上面から下面に向かって、斜めに切られた切頭円柱形状に形成されている。
【0068】
段付き円柱状に形成された下軸部67が、傾斜台66の下面から下側に向かって、延設されている。下軸部67の下部外側には、下軸部ギア69が取り付けられている。
【0069】
円柱状に形成された上軸部68が、傾斜台66の上面から斜め前上側に向かって、延設されている。
【0070】
台座部63の段付孔部63aに、傾斜台部65を下面側から進入させ、下軸部67を挿通させることで、傾斜台部65が、台座部63に対して上下方向を回転軸として回転可能に組み付けられている。傾斜台部65は、下軸部ギア69より上側に配設された抜止部材70によって上側への移動が規制されている。
【0071】
回転ギア45の孔部分に上軸部68を挿通させることで、繰出巻取装置40が、傾斜台部65に対して、屋根面102に直交する方向を回転軸として、回転可能に組み付けられている。
【0072】
傾斜台66の後部には、第二モータM2が取り付けられ、第二モータM2の回転軸M2aには、第二駆動ギアM2bが取り付けられている。回転装置60は、第二駆動ギアM2bと回転ギア45とが咬合することで、第二モータM2の駆動力が、繰出巻取装置40に伝達可能とされている。
【0073】
台座部63の下面側には、第三モータM3が取り付けられ、第三モータM3の回転軸M3aには、第三駆動ギアM3bが取り付けられている。回転装置60は、第三駆動ギアM3bと下軸部ギア69とが咬合することで、第三モータM3の駆動力が、傾斜台部65に伝達可能とされている。
【0074】
本実施形態では、回転装置60は、繰出巻取装置40を、屋根面102に直交する方向を回転軸として回転可能とされ、繰出巻取装置40は、滑落体20を、屋根面102に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされている。
【0075】
屋根101には、屋根101上の積雪量を検知する検知手段としての図示しない積雪センサSS(
図36参照)が、配設されている。積雪センサSSは、既存のセンサが用いられている。
【0076】
繰出巻取装置40及び回転装置60を制御する制御手段としてのコントローラユニットCUは、図示しない外部電源から電力を供給され、制御、入力、出力、通信機能、電源接続機能を有している。
【0077】
コントローラユニットCUは、第一モータM1、第二モータM2、第三モータM3、積雪センサSS、と接続されている。
【0078】
コントローラユニットCUは、積雪センサSSが、所定の積雪量を検知したら、繰出巻取装置40から、滑落体20を繰り出させた後、巻き取らせ、回転装置60を繰出巻取装置40の動作と対応する所定の動作をさせた後、停止させる。
【0079】
詳説すれば、コントローラユニットCUは、棟103を挟んだ一方の屋根面102aと傾斜台66の上面とが平行となるように、回転装置60を動作させ、繰出巻取装置40から滑落体20を繰り出させ、屋根面102aに積もった雪Sを滑落させ、その後、滑落体20を巻き取らせる。
【0080】
このとき、滑落体20は、雪Sの中を曲がることなく直線状に進むことができ、切断部22で、雪Sを厚さ方向及び屋根面102に沿った方向において切断できるので、雪Sを屋根101外に滑落させることができる。
【0081】
そして、コントローラユニットCUは、繰出巻取装置40を屋根面102aに垂直な方向を回転軸として所定角度回転させ、繰出巻取装置40から滑落体20を繰り出させ、屋根面102aに積もった雪Sを滑落させ、その後、滑落体20を巻き取らせる。
【0082】
コントローラユニットCUは、上記動作を繰り返すように制御する。
【0083】
コントローラユニットCUは、棟103を挟んだ一方の屋根面102aの繰り出した滑落体20の上にあった雪Sを滑落させたら、回転装置60を動作させ、棟103を挟んだ他方の屋根面102bと傾斜台66の上面とが平行となるように、回転装置60を動作させる。以後は、棟103を挟んだ一方の屋根面102aの雪下ろし動作と同様である。
【0084】
また、回転装置60は、繰出巻取装置40を、屋根面102に直交する方向を回転軸として回転させ、繰出巻取装置40を、棟103を挟んだ一方の屋根面102aの上方に、滑落体20を繰り出し巻き取り可能な第一状態と、棟103を挟んだ他方の屋根面102bの上方に、滑落体20を繰り出し巻き取り可能な第二状態と、に変更可能な状態変更機構85を備えているともいえる。
【0085】
本実施形態では、状態変更機構85は、傾斜台部65、第三モータM3、第三駆動ギアM3b、下軸部ギア69、で構成される。
【0086】
本実施形態の雪下ろし装置10を、寄棟屋根である建物100の棟103の中央部分に配設する場合を、
図7、
図8に示す。この場合には、屋根101の滑落体20が隅棟104に繰り出される位置に、変換部材110が複数配設されている。なお、
図7の仮想線は、雪下ろし装置10が、切妻屋根に配される場合を想定したものである。
【0087】
変換部材110は、下側が開く略くの字状に形成された下板部111と、断面L字状に形成され下板部111の端部から上方に延設された一対の上板部112と、を備えている。
【0088】
変換部材110は、滑落体20と当接して、滑落体20を屈曲させる当接屈曲部113を有している。当接屈曲部113は、下板部111と上板部112の、屈曲部分及びその周辺部分で構成されている。
【0089】
変換部材110は、
図8に示すように、屋根面102aに沿うとともに、隅棟104を挟んだ屋根面102cに沿うように形成されている。また、各変換部材110は、滑落体20の繰り出し方向、巻き取り方向に応じて形状が適宜変更されている。
【0090】
当接屈曲部113は、滑落体20の繰り出し時に、滑落体20と当接して、屋根101の形状に対応するように、滑落体20の繰り出し方向を変換し、滑落体20の巻き取り時に、滑落体20と当接して、滑落体20の繰り出し時とは逆方向へ巻き取り方向を変換する。
【0091】
このとき、滑落体20は、変換部材110と当接して屈曲するときに、滑落板21が平らに変形するが、
図6の左側に示すように、ばね部22bが伸びて、一対のフレーム部22aが、滑落板21の短手方向において拡開して、滑落板21の変形に対応する。また、滑落体20は、下板部111と上板部112の間を、外れないようにくぐり抜け可能とされている。
【0092】
この場合、コントローラユニットCUは、棟103を挟んだ前側の屋根面102aを雪下ろしさせて、隅棟104を挟んだ左側の屋根面102cを雪下ろしさせて、隅棟104を挟んだ右側の屋根面102bを雪下ろしさせて、隅棟104を挟んだ右側の屋根面102dを雪下ろしさせる。
【0093】
図7に示すように、雪下ろし装置10を寄棟屋根に配設した場合、雪Sは、軒先109側から落とされる。雪下ろし装置10を、
図7の仮想線に示す切妻屋根に配設した場合、雪Sは、軒先109又はケラバ121側から落とされる。
【0094】
本実施形態の雪下ろし装置10を、切妻屋根の屋根101の周縁部105に配設する場合を、
図9(a)に示す。雪下ろし装置10は、屋根101の周縁部105に配設されている。建物100の外壁106から支持台11を上方へ延設して、支持台11に回転装置60が固定されている。
【0095】
この場合の、雪下ろし装置10の動作は、コントローラユニットCUは、棟103を挟んだ前側の屋根面102aを雪下ろしさせて、棟103を挟んだ後側の屋根面102bを雪下ろしさせる。
【0096】
雪下ろし装置10を、
図9(a)に示す切妻屋根に配設した場合、雪Sは、軒先109又は雪下ろし装置10が配設されないケラバ121側から落とされる。
【0097】
本発明において、棟103の端部と、屋根101の周縁部105と、が重なり合う部分が生じるが、当該部分は、屋根101の周縁部105であるものとする。
【0098】
また、本実施形態の雪下ろし装置10を棟103に段差がある屋根101に配置する場合を、
図9(b)、
図10、
図11に示す。この場合には、段差のある棟103と棟103の間を上下方向において、昇降可能とする昇降機構130が用いられている。
【0099】
昇降機構130は、昇降部140と、落下防止部150と、を備えている。
【0100】
昇降部140は、昇降モータ141と、ローラチェーン142と、送りギア143と、を備えている。
【0101】
昇降モータ141は、既存のモータが用いられ、昇降モータ141の回転軸141aには、駆動ギア141bが取り付けられている。
【0102】
ローラチェーン142は、多列式のローラチェーンが用いられている。
【0103】
送りギア143は、円筒状に形成され、前後の端部には、前後方向にそれぞれ延びる回転軸143aが配設されている。送りギア143は、建物100の外壁106、屋根101にそれぞれ取り付けられた支柱144に、回転軸143aにおいて、前後方向を回転軸として回転可能に取り付けられている。
【0104】
本実施形態では、送りギア143は、上下方向に沿って四つ配されている。一番上と一番下以外の、中間部分の二つの送りギア143は、一番上と一番下の送りギア143より直径が小さく形成され、右側において、ローラチェーン142と咬合する構成とされ、左側において、ローラチェーン142と咬合しない構成とされている。
【0105】
ローラチェーン142は、送りギア143の前後の端部において、四つの送りギア143を取り囲むように取り付けられている。
【0106】
一番下の送りギア143の前側の回転軸143aには、従動ギア143bが取り付けられている。
【0107】
駆動ギア141bと、従動ギア143bと、にチェーン145が架け渡されて、昇降モータ141の駆動力が、送りギア143に伝達可能とされている。
【0108】
台座部63から、左側に向かって平板状の凸部64が延設され、凸部64とローラチェーン142とが、平板状のジョイント部材146で連結されている。
【0109】
昇降モータ141の駆動により、チェーン145、ローラチェーン142を介して、繰出巻取装置40を上下方向に沿って昇降させることが可能とされている。
【0110】
落下防止部150は、モータ支持台151と、前支持台152と、後支持台154と、モータ160と、固定バー162と、規制ローラ156と、を備えている。
【0111】
モータ支持台151は、ローラチェーン142の、後側、かつ、上下方向における中央上付近の、建物100の外壁106に固定されている。
【0112】
前支持台152は、建物100の外壁106の、ローラチェーン142の前側、かつ、モータ支持台151より上側、に固定されている。前支持台152の右端部には、後述するラック162aと咬合可能な従動ギア153が取り付けられている。
【0113】
後支持台154は、建物100の外壁106の、ローラチェーン142の後側、かつ、モータ支持台151より上側、に固定されている。
【0114】
後支持台154の右端部には、後述する、駆動ギア160b、ラック162aと咬合可能な従動ギア155が取り付けられている。
【0115】
前支持台152、及び、後支持台154には、固定バー162の、左右方向の移動を許容するとともに、上下方向の移動を規制する規制ローラ156が、図示しない取付部材を介して複数取り付けられている。
【0116】
前支持台152には固定バー162の前方向、後支持台154には固定バー162の後方向、への移動を規制するストッパ157がそれぞれ配設されている。
【0117】
モータ160は、既存のモータが用いられ、モータ160の回転軸160aには、駆動ギア160bが取り付けられている。モータ160は、モータ支持台151に、取り付けられている。
【0118】
固定バー162は、四角柱状に形成され、下面側に従動ギア153、従動ギア155と咬合可能なラック162aが配設されている。
【0119】
駆動ギア160bと従動ギア153、従動ギア153とラック162a、従動ギア155とラック162a、とが咬合することで、モータ160の駆動により、固定バー162は、前後方向への移動が可能とされている。
【0120】
固定バー162は、繰出巻取装置40が上側の棟103の右端部の右上方まで上げられた時に、前側に位置して台座部63と当接して、繰出巻取装置40の下側への移動を規制する。また、固定バー162は、上側の棟103の右端部の右上方から下側に移動する時、又は、下側の棟103の左端部の右上方から上側の棟103の右端部の右上方に移動する時、に後側に位置して、繰出巻取装置40の移動を許容する。
【0121】
繰出巻取装置40が、下側の棟103の左端部の右上方にある時、固定台部61に、台座部63と凸部64が嵌ることにより、台座部63の回転が規制される。
【0122】
繰出巻取装置40が、上側の棟103の右端部の右上方にある時、規制ローラ156により、固定バー162の上下方向の移動を規制され、前後に配されるストッパ157により、固定バー162の前後方向への移動が規制される。
【0123】
以上のことより、繰出巻取装置40の、繰り出し時、巻き取り時の、姿勢が安定する。
【0124】
上記構成の雪下ろし装置10では、屋根101の周縁部105側、又は、棟103側に配設される雪下ろし装置であって、
長尺薄板状であって、短手方向における断面が、上が凹である円弧状に形成され、直線移動可能な直立性と、繰り出し巻き取り可能な柔軟性と、を有する滑落板21を備え、繰り出し方向において屋根101上に積もった雪Sに進入して、上に乗った雪Sを屋根101外に滑落させる滑落体20と、
滑落体20を、屋根101の屋根面102の上方において、繰り出し巻き取り可能とする繰出巻取装置40と、
を備え、
繰出巻取装置40は、回転装置60により回転可能とされている。
【0125】
これによれば、滑落体20を構成する滑落板21は、長尺薄板状であって、短手方向における断面が、上が凹である円弧状に形成することで、屋根101上に積もった雪S内に直線状に繰り出し可能な直立性と、かつ、雪Sを滑落させた後に直線状に戻るときに巻き取り可能な柔軟性と、を有する。
【0126】
よって、滑落板21を備える滑落体20は、繰り出し方向において屋根101上に積もった雪Sに進入して、滑落体20の上に乗った雪Sを屋根外に滑落させることが可能となる。
【0127】
さらに、繰出巻取装置40が、回転装置60により回転可能とされることで、繰出巻取装置40から滑落体20を繰り出させて雪Sを屋根101外に下ろし、巻き取らせて繰出巻取装置40に戻させ、次に回転装置60を屋根面102に直交する方向を回転軸として屋根面102に平行に回転させて滑落体20を繰り出させて雪Sを屋根101外に下ろし、巻き取らせて繰出巻取装置40に戻させることを繰り返すことにより、屋根全体に積もった雪Sを少しずつ屋根101外に下ろすことが可能となる。
【0128】
よって、滑落体20、繰出巻取装置40、及び、回転装置60、のみで構成することで、部材の使用量を少なくできるため、軽量化され、かつ、コンパクトな雪下ろし装置とすることができる。
【0129】
加えて、ガイドレール等の他のサポート部材無しで、繰出巻取装置40だけで雪下ろし可能となるので、雪下ろし装置をコンパクトにすることにつながる。
【0130】
また、滑落体20は、一つの滑落板21で形成されている。
【0131】
滑落体20をこのように形成しているので、雪Sを屋根外に滑落させることができる。
【0132】
また、滑落板21の先端部21aの上面側には、滑落板21の上方に延設され、屋根101に積もった雪Sを少なくとも厚さ方向において切断する切断部22が配設されている。
【0133】
これによれば、滑落板21が屋根101に積もった雪Sに進入するときに、切断部22により屋根101に積もった雪Sが切断されるので、雪Sを屋根101外に滑落させることに寄与する。
【0134】
これを詳述すると、雪Sは滑落板21とコの字状の切断部22によって断面が略長方形に切り取られながら下に向かって切断され続ける。言い換えると、下側の側面が無い、言わば、ブロック的形状体の雪Sが下向きに伸びていくが、滑落体20の先端が軒先109に到達するまでは、滑落体20の先端よりも下側は切断されておらず周りの雪Sと繋がったままなので雪Sは滑落せず、滑落体20の先端が軒先109に到達して切断が完了すると、雪Sはトコロテンのように連なって一気に屋根101外へ滑落する。
【0135】
以下後述する、屋根101の上側の端から下側の端方向に滑落体20A、20B、20C、20Dを繰り出す場合も、同様に、雪Sはトコロテンのように連なって一気に屋根101外へ滑落する。
【0136】
また、繰出巻取装置40と、回転装置60、を制御する制御手段としてのコントローラユニットCUと、
屋根101上の積雪量を検知する検知手段としての積雪センサSSを備え、
コントローラユニットCUは、積雪センサSSが、所定の積雪量を検知したら、
繰出巻取装置40から、滑落体20を繰り出させた後、巻き取らせ、回転装置60を繰出巻取装置40の動作と対応する所定の動作をさせた後、停止させる。
【0137】
これによれば、人の操作を介さずに、自動で雪下ろしすることができる。
【0138】
また、屋根101の周縁部105側に配設され、繰出巻取装置40は、回転装置60により回転可能とされ、
回転装置60は、繰出巻取装置40を、屋根面102に直交する方向を回転軸として回転可能とされ、
滑落体20を、屋根面102に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされる。
【0139】
雪下ろし装置10を、軒先109、ケラバ121等の屋根101の周縁部105側に配設した場合に、このような構成としても、屋根101に積もった雪Sを少しずつ下ろすことにつながる。さらに、繰出巻取装置40の配置位置により、雪Sを滑落させたくない側を設定可能になる。
【0140】
また、棟103側に配設され、繰出巻取装置40は、回転装置60により回転可能とされ、
回転装置60は、繰出巻取装置40を、屋根面102に直交する方向を回転軸として、回転可能とされ、
滑落体20を、屋根面102に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされている。
【0141】
雪下ろし装置10を棟103側に配設した場合に、このような構成としても、屋根101に積もった雪Sを少しずつ下ろすことにつながる。
【0142】
また、屋根101の滑落体20が繰り出される位置には、滑落体20と当接して、滑落体20を屈曲させる当接屈曲部113を有し、滑落体20の繰り出し時に、屋根101の形状に対応するように、滑落体20の繰り出し方向を変換し、滑落体20の巻き取り時に、滑落体20の繰り出し時とは逆方向へ巻き取り方向を変換する、変換部材110が配設されている。
【0143】
これによれば、変換部材110により、屋根101の形状に対応可能となるので、さまざまな種類の屋根101に対応することができる。
【0144】
また、回転装置60は、繰出巻取装置40を、屋根面102に直交する方向を回転軸として回転させ、
繰出巻取装置40を、棟103を挟んだ一方の屋根面102aの上方に、滑落体20を繰り出し巻き取り可能な第一状態と、棟103を挟んだ他方の屋根面102bの上方に、滑落体20を繰り出し巻き取り可能な第二状態と、に変更可能な状態変更機構85を備えている。
【0145】
このような構成とすれば、棟103を挟んだ二つの屋根面102を一つの雪下ろし装置10で雪下ろしすることができる。
【0146】
また、滑落体20は、屋根面102とは上方に間隔をおいて繰り出され、屋根101上に積もった雪Sを全部落とさない。そして、滑落体20は、時間を空けて、屋根101上に残った雪Sを雪下ろしする。
【0147】
仮に、屋根101上に残った雪Sが、高さが低くなりしまり雪になっても、時間が経過して、その上に新たに積もった雪Sを下ろすとき、滑落体20は、新たな雪Sの中を進むので、滑落体20の繰り出し巻き取りに支障は無い。つまり、雪下ろし装置10は、屋根101上に積もった雪Sを全部落とさないことを利用しているといえる。
【0148】
本発明の第二実施形態を説明する。以下の説明において、第一実施形態と対応する構成については、同一符号にAを付加し、全部又は一部の説明を省略する。
【0149】
雪下ろし装置10Aは、
図12~
図16に示すように、滑落体20Aと、繰出巻取装置40Aと、回転装置60Aと、を備え、繰出巻取装置40Aが、回転装置60Aに対して、水平方向を回転軸として回転可能とされている。
【0150】
本実施形態では、切断部22Aは、コの字状に形成されたフレーム部22Acと、フレーム部22Acを支持する補助フレーム22Adと、を備え、切断部22のように拡開可能とはされていない。
【0151】
繰出巻取装置40Aは、シェル41Aと、第一モータM1Aと、繰出巻取用シャフト50Aと、を備えている。
【0152】
シェル41Aは、金属製で、箱状に形成され、左右の端部が閉塞した円筒状に形成されたシェル本体42Aと、シェル本体42Aより半径が小さく左右の端部が閉塞した円筒状に形成された円筒体44Aと、を備えている。
【0153】
シェル本体42Aの下面側には、円弧状に形成された円弧状ラック46Aが取り付けられている。
【0154】
円弧状ラック46Aは、ギアが配設された頭部46Aaと、頭部46Aaより幅が狭く形成された首部46Abと、を備え、首部46Abにおいてシェル本体42Aの下面に取り付けられている。
【0155】
シェル本体42Aの左右の端部からは、それぞれ左右方向に沿って延びる回転軸42Acが配設されている。
【0156】
シェル本体42A内には、区画壁42Agと、円筒体44Aと、第一モータM1Aと、が配設されている。
【0157】
区画壁42Agは、矩形平板状で、シェル本体42A内を上下に区画している。
【0158】
円筒体44Aの下部前側には、滑落体20Aを挿通可能な挿通孔44Aaが配設されている。シェル本体42Aの前側下部には、筒状に形成されて挿通孔44Aaと連通して、滑落体20Aを挿通するとともに繰り出し巻き取り方向を規制可能な開口部42Abが配設されている。
【0159】
回転装置60Aは、固定部としての固定台部61Aと、回転部としての回転台部71Aと、を備えている。
【0160】
固定台部61Aは、屋根101に固定される脚部62Aと、脚部62Aの上部に形成される台座部63Aと、を備えている。
【0161】
脚部62Aは、柱状に形成され、台座部63Aの下面と連設されている。
【0162】
台座部63Aは、直方体状に形成され、シェル本体42Aを上面で受け止め可能とされている。台座部63Aは、上面から下面に向かう段付き貫通孔として形成された段付孔部63Aaを備えている。
【0163】
また、台座部63Aは、下面から上面に向かう有底孔として形成された凹部63Abを備えている。凹部63Ab内には第三モータM3Aが配置されている。段付孔部63Aaと凹部63Abとは連通して、第三モータM3Aの回転軸M3Aaが挿通可能とされている。第三モータM3Aの回転軸M3Aaには、第三駆動ギアM3Abが取り付けられている。
【0164】
回転台部71Aは、基台72Aと、下軸部73Aと、上支持部75Aと、を備えている。
【0165】
基台72Aは、箱状で、直方体状の部材を上面から下面に向かって、シェル本体42Aに対応するような形状に切り取られて形成されている。
【0166】
基台72Aの上壁には、上述した円弧状ラック46Aの首部46Abが挿通可能なスリット72Aaが形成されている。
【0167】
基台72Aの内部には、第四モータM4Aが配設され、第四モータM4Aの回転軸M4Aaには、第四駆動ギアM4Abが取り付けられている。基台72Aの内部には、第四駆動ギアM4Ab及び円弧状ラック46Aと咬合可能な第四従動ギアM4Acが配設されている。
【0168】
円柱状に形成された下軸部73Aが、基台72Aの下面から下側に向かって、延設されている。下軸部73Aの外側には、下軸部ギア74Aが取り付けられている。
【0169】
上支持部75Aは、四角柱状に形成され、基台72Aの側壁に上下方向に沿うように取り付けられている。
【0170】
台座部63Aの段付孔部63Aaに、回転台部71Aを下面側から進入させ、段付孔部63Aaの小径部分に下軸部73Aを挿入させることで、回転台部71Aが、台座部63Aに対して上下方向を回転軸として回転可能に組み付けられている。
【0171】
回転装置60Aは、第三駆動ギアM3Abと下軸部ギア74Aとを咬合させることで、第三モータM3Aの駆動力が、回転台部71Aに伝達可能とされている。
【0172】
円弧状ラック46Aの首部46Abを基台72Aのスリット72Aaに挿通させ、首部46Abとシェル本体42Aとを固定させ、円弧状ラック46Aの頭部46Aaのギア部分と第四従動ギアM4Acとを咬合させることで、第四モータM4Aの駆動力が、シェル41Aに伝達可能とされている。
【0173】
シェル本体42Aの回転軸42Acを、上支持部75Aに軸支させることで、繰出巻取装置40Aが、回転台部71Aに対して、水平方向を回転軸として回転可能とされている。
【0174】
コントローラユニットCUは、第一モータM1A、第三モータM3A、第四モータM4A、図示しない積雪センサSS(
図36参照)、と接続されている。
【0175】
本実施形態では、第四モータM4Aを駆動させることで、回転台部71Aに対して、水平方向を回転軸として繰出巻取装置40Aを回転させる以外は、雪下ろし装置10の動作と同様である。
【0176】
本実施形態の雪下ろし装置10Aを、屋根101の周縁部105に配設する場合を、
図17に示す。
図9(a)と同様に、建物100の外壁106から支持台11Aを延設して、支持台11Aに回転装置60Aが固定されている。雪下ろし装置10Aの動作は、
図9(a)における雪下ろし装置10の動作と同様である。
【0177】
本実施形態の雪下ろし装置10Aでは、屋根101の周縁部105、に配設される固定部としての固定台部61Aと、固定台部61Aに対して、上下方向を回転軸として回転可能な回転部としての回転台部71Aと、を有し、繰出巻取装置40Aは、固定台部61Aに対して、水平方向を回転軸として回転可能とされている。
【0178】
これによれば、繰出巻取装置40Aは、回転台部71Aに対して、水平方向を回転軸として回転可能とされるので、繰り出し、巻き取り角度を変更可能となるため、様々な形状の屋根101に対応可能となる。
【0179】
なお、雪下ろし装置10Aは、棟103、又は、屋根101の周縁部105周辺、にも配設可能である。
【0180】
本発明の第三実施形態を説明する。以下の説明において、第一実施形態、第二実施形態と対応する構成については、同一符号にBを付加し、全部又は一部の説明を省略する。
【0181】
雪下ろし装置10Bは、概略的には、
図18、
図19に示すように、滑落体20Bと、繰出巻取装置40Bと、回転装置60Bと、を備えている。
【0182】
本実施形態では、滑落体20Bは滑落体20と同様であり、切断部22Bは切断部22Aと同様である。
【0183】
繰出巻取装置40Bは、多少形状が異なるが、繰出巻取装置40と同様で、回転装置60Bは、回転装置60に対して傾斜台部65に相当する構成が無い。
【0184】
繰出巻取装置40Bは、円柱状に形成された下軸部42Bdが、シェル本体42Bの底壁42Baから下側に向かって、延設されている。また、開口部42Bbが、底壁42Baを挿通するように配設されている。シェル本体42Bの底壁42Baの下面側に、回転装置60Bを構成する、第五モータM5Bが配設されている。第五モータM5Bの回転軸M5Baに、第五駆動ギアM5Bbが取り付けられている点が、雪下ろし装置10、雪下ろし装置10Aと異なる。
【0185】
回転装置60Bは、固定台部61Bを備えている。
【0186】
固定台部61Bは、屋根101に固定される脚部62Bと、脚部62Bの上部に形成される台座部63Bと、を備えている。
【0187】
本実施形態では、台座部63Bは、板状に形成されている。台座部63Bの上面側には、円環状に形成された回転ギア63Bcが取り付けられている。
【0188】
台座部63Bの回転ギア63Bc孔部分に、下軸部42Bdを挿入させることで、繰出巻取装置40Bが、台座部63Bに対して上下方向を回転軸として回転可能に組み付けられている。
【0189】
回転装置60Bは、第五駆動ギアM5Bbと回転ギア63Bcとが咬合することで、第五モータM5Bの駆動力が、繰出巻取装置40Bに伝達可能とされている。
【0190】
本実施形態では、繰出巻取装置40Bは、回転装置60Bにより回転可能とされ、回転装置60Bは、繰出巻取装置40Bを、上下方向を回転軸として回転可能とされ、滑落体20Bを、屋根面102に対して所定の角度を有して、換言すれば、軒先109側に移動すると、屋根面102に近づくように、繰り出し巻き取り可能とされている。
【0191】
コントローラユニットCUは、第一モータM1B、第五モータM5B、積雪センサSS、と接続されている。
【0192】
本実施形態では、第五モータM5Bを駆動させることで、固定台部61Bに対して、上下方向を回転軸として繰出巻取装置40Bを直接回転させる以外は、雪下ろし装置10の動作と同様である。
【0193】
本実施形態の雪下ろし装置10Bを、切妻屋根の棟103の中央部分に配設する場合を、
図20、
図21に示す。この場合には、屋根101の滑落体20Bが繰り出される位置には、換言すれば、屋根面102上に変換部材110Bが配設されている。この場合、切断部22Bは、切断部22と同様とされる。
【0194】
変換部材110Bは、上側が開く略くの字状に形成された下板部114Bと、断面L字状に形成され下板部114Bの端部から上方に延設された上板部115Bと、を備え、滑落体20Bが進入しやすいように、滑落体20Bが進入する側(
図20の右側)の、上下方向の幅が広く形成されている。また、当接屈曲部116Bは、下板部114Bと上板部115Bの、屈曲部分及びその周辺部分で構成されている。
【0195】
変換部材110Bは、滑落体20Bが、屋根面102と接触しないように、繰り出し時と、巻き取り時と、に方向変換する。
【0196】
図21において、滑落体20Bの繰り出し方向を、屋根101の四隅部分で、滑落体20Bが当たらないぎりぎりの俯角に設定したときに、軒先109側では、雪は下ろせるが接触しない。
【0197】
図21の黒丸の位置が、滑落体20Bを繰り出した時に、変換部材110Bを設置しないとしたら、ケラバ121側において、滑落体20Bが屋根面102と接触する位置であり、繰出し方向における手前側に変換部材110Bが配置されている。これにより、滑落体20Bが、屋根面102に接触せずに、斜め上側に繰り出し方向が変換される。
【0198】
上記構成の雪下ろし装置10Bは、棟103側に配設され、繰出巻取装置40Bは、回転装置60Bにより回転可能とされ、回転装置60Bは、繰出巻取装置40Bを、上下方向を回転軸として回転可能とされ、滑落体20Bを、屋根面102に対して所定の角度を有して繰り出し巻き取り可能とされる。
【0199】
雪下ろし装置10Bを、このような構成としても、屋根101に積もった雪Sを少しずつ下ろすことにつながる。また、軒先109、ケラバ121等の屋根101の周縁部105側に配設した場合に、このような構成としても、屋根101に積もった雪Sを少しずつ下ろすことにつながる。さらに、繰出巻取装置40Bの配置位置により、雪Sを滑落させたくない側を設定可能になる。
【0200】
なお、雪下ろし装置10Bを、屋根101の周縁部105側に配設することも可能である。
【0201】
雪下ろし装置10Bは、モータの個数が少なく、また、そのため、ギア等の駆動伝達装置も減らせるので安価に製造することができ、かつ、コンパクトである。また、方形屋根、六柱屋根、八柱屋根等は、かき合いとよばれる屋根101の頂部から軒先109までの勾配が一定であるので、変換部材無しで雪を下ろせるため、雪下ろし装置10Bをかき合いに設置しても有効に雪を下ろすことができる。
【0202】
本発明の第四実施形態を説明する。以下の説明において、第一~第三実施形態と対応する構成については、同一符号にCを付加し、全部又は一部の説明を省略する。
【0203】
雪下ろし装置10Cは、
図22~
図24に示すように、滑落体20と同様な滑落体20Cと、切断部22Bと同様な、切断部22Cと、繰出巻取装置40Bと一部異なる繰出巻取装置40Cと、回転装置60Bと同様な回転装置60Cと、で構成されている。
【0204】
詳説すると、繰出巻取装置40Cは、開口部42Cbの配置を、繰出巻取装置40B(
図19参照)に対して、繰出巻取装置40の開口部42b(
図3参照)と同様にしている点が異なる。また、滑落体20Cが、屋根面102に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされている点が異なる。
【0205】
雪下ろし装置10Cでは、回転装置60Cは、繰出巻取装置40Cを屋根面102に直交する方向を回転軸として回転させ、繰出巻取装置40Cを、棟103を挟んだ一方の屋根面102aの上方に、滑落体20Cを繰り出し巻き取り可能な第一状態と、棟103を挟んだ他方の屋根面102bの上方に、滑落体20Cを繰り出し巻き取り可能な第二状態と、に変更可能な状態変更機構85Cを備えている。
【0206】
本実施形態における、状態変更機構85Cは、
図22~
図24に示すように、第六モータM6Cと、第六駆動ギアM6Cbと、シャフト86Cと、従動ギア88Cと、支持体89Cと、を備えている。
【0207】
第六モータM6Cは、既存のモータが用いられ、建物100の外壁106に固定された支持台11Cに、回転軸M6Caが左右方向(
図24参照)を回転軸として取り付けられている。第六モータM6Cの回転軸M6Caには、第六駆動ギアM6Cbが取り付けられている。
【0208】
シャフト86Cは、円柱状に形成され、建物100の外壁106に固定された軸受部材87Cに、左右方向を回転軸として回転可能に取り付けられている。シャフト86Cには、従動ギア88Cが取り付けられている。第六駆動ギアM6Cbと従動ギア88Cが咬合することで、第六モータM6Cの駆動力が、回転装置60Cに伝達可能とされている。
【0209】
支持体89Cは、円柱状の支持棒89Caと、板状の支持板89Cbと、を備え、支持棒89Caにおいて、シャフト86Cに取り付けられ、支持板89Cbにおいて、回転装置60Cと連結されている。
【0210】
図示しないコントローラユニットCUは、図示しない第一モータM1C(
図3参照)、図示しない第五モータM5C(
図19参照)、第六モータM6C、図示しない積雪センサSS(
図36参照)、と接続されている。
【0211】
このような構成とすれば、棟103を挟んだ二つの屋根面102を一つの雪下ろし装置10Cで雪下ろしすることができる。
【0212】
なお、支持板89Cbに配設される、繰出巻取装置、回転装置としては、他の実施形態のものを適宜変更して適用することが可能である。
【0213】
本発明の第五実施形態を説明する。以下の説明において、第一~第四実施形態と対応する構成については、同一符号にDを付加し、全部又は一部の説明を省略する。
【0214】
雪下ろし装置10Dは、概略的には、
図25~
図28に示すように、滑落体20Dと、繰出巻取装置40Dと、回転駆動装置170Dと、棟側移動装置200Dと、を備えている。
【0215】
滑落体20Dは滑落体20と同様であり、切断部22Dは切断部22Aと同様である。
【0216】
シェル41Dは、サイドシェルが無く、シェル本体42Dは、直方体状に形成されている。
【0217】
シェル本体42Dには、円柱状に形成された下軸部42Ddが、底壁42Daの下面から下側に向かって、延設されている。また、開口部42Dbが、底壁42Daを挿通するように配設されている。
【0218】
シェル本体42D内に第七モータM7Dが配設され、第七モータM7Dの回転軸M7Daがシェル本体42Dの底壁42Daを挿通して配設されている。回転軸M7Daには第七駆動ギアM7Dbが取り付けられている。
【0219】
シェル本体42D内には、非接触受電器RE及びバッテリBTが配設され、後述する棟側移動ガイド240Dに配設される非接触給電器SEから非接触受電器REに電力が供給され、非接触受電器REから供給される電力がバッテリBTに充電可能とされている。
【0220】
棟側移動装置200Dは、棟側駆動装置210Dと、棟103に沿って配設される棟側移動ガイド240Dと、を備えている。
【0221】
棟側駆動装置210Dは、台車211Dと、駆動ユニット230Dと、を備えている。
【0222】
台車211Dは、台車本体212Dと、車輪213Dと、を備えている。
【0223】
台車本体212Dは、金属製で、断面が、下側が開口したコの字状に形成されている。台車本体212Dに、車輪213Dが前後方向を回転軸として回転可能に取り付けられている。
【0224】
台車本体212Dの上側には、円筒状に形成された上軸部214Dが配設されている。上軸部214Dの外側には、上軸部ギア215Dが配設されている。
【0225】
台車本体212Dと上軸部ギア215Dとが、平板状に形成された連結部216Dによって連結されている。
【0226】
台車本体212Dの上軸部214Dに、下軸部42Ddを挿入させることで、繰出巻取装置40Dが、台車211Dに対して上下方向を回転軸として回転可能に組み付けられている。
【0227】
第七駆動ギアM7Dbと上軸部ギア215Dとが咬合することで、第七モータM7Dの駆動力が、繰出巻取装置40Dに伝達可能とされている。
【0228】
本実施形態では、上軸部214Dと、下軸部42Ddと、第七モータM7Dと、第七駆動ギアM7Dbと、上軸部ギア215Dと、で回転駆動装置170Dが構成される。
【0229】
駆動ユニット230Dは、第八モータM8Dと、第八駆動ギアM8Dbと、変換ギア231Dと、第八従動ギア232Dと、チェーン233Daと、チェーン233Dbと、を備えている。
【0230】
第八モータM8Dは、既存のモータが用いられ、建物100の外壁106に固定された支持台11Dに取り付けられている。第八モータM8Dの回転軸M8Daには第八駆動ギアM8Dbが取り付けられている。
【0231】
第八モータM8Dの上側には、変換ギア231Dが配設されている。変換ギア231Dは、一対の、ギア231Da、ギア231Db、を備えている。第八従動ギア232Dは、変換ギア231Dの左側、かつ、棟側移動ガイド240Dの左端部に前後方向を回転軸として配設されている。
【0232】
第八駆動ギアM8Dbと変換ギア231Dの前側のギア231Daとにチェーン233Daが、第八従動ギア232Dと変換ギア231Dの後側のギア231Dbとにチェーン233Dbがそれぞれ架け渡されて、さらに、チェーン233Dbと台車本体212Dが連結されることで、第八モータM8Dの駆動力が台車211Dに伝達可能とされている。
【0233】
棟側移動ガイド240Dは、長尺で直方体状な箱形状に形成されている。棟側移動ガイド240Dは、内部で台車211Dが移動可能とされている。
【0234】
棟側移動ガイド240の上壁240Daには、左右方向に沿って、上下方向に貫通するスリット242Dが形成されている。スリット242D内を連結部216Dが挿通可能とされている。棟側移動ガイド240Dの底壁240Dbには、上下方向に貫通して雪Sを落下させる雪抜き孔243Dが配設されている。
【0235】
棟側移動ガイド240Dの側壁に、変換ギア231D、第八従動ギア232Dが前後方向を回転軸として回転可能に取り付けられている。
【0236】
本実施形態では、繰出巻取装置40Dが、棟103に沿って移動可能とされ、滑落体20Dを、屋根面102に対して平行に繰り出し巻き取り可能とされている。
【0237】
コントローラユニットCUは、第一モータM1D、第七モータM7D、第八モータM8D、図示しない積雪センサSS(
図36参照)、と接続されている。
【0238】
切妻屋根では、
図29(a)に示すように、コントローラユニットCUは、棟103のT1の位置に繰出巻取装置40Dを配置させ、屋根面102aのA1の領域を雪下ろしさせる、その後T2の位置に繰出巻取装置40Dを移動させて、A2の領域を雪下ろしさせる。
【0239】
コントローラユニットCUは、上記動作を繰り返させて、A7の領域まで雪下ろしを行わせると、棟103のT7の位置で、繰出巻取装置40Dを、棟103を挟んだ反対側の屋根面102b側に繰り出し巻き取り可能な位置に回転させ、屋根面102bのB7の領域を雪下ろしさせる。コントローラユニットCUは、その後、T6の位置に繰出巻取装置40Dを移動させてB6領域を雪下ろしさせる。コントローラユニットCUは、上記動作を繰り返させ、B1の領域まで雪下ろしを行わせる。
【0240】
この場合、コントローラユニットCUが、滑落体20Dを棟103から軒先109に繰り出すことにより、雪Sは、軒先109から落とされ、その後、滑落体20Dは、逆方向に巻き取られる。
【0241】
寄棟屋根では、
図29(b)に示すように、コントローラユニットCUは、屋根101の三角形のC1、C3、C4、C5、C7、C8のそれぞれの領域では、繰出巻取装置40Dから滑落体20Dを棟103側から軒先109へ繰り出させて雪を下ろし、そして、巻き取らせ、次に回転駆動装置170Dを所定の角度を回転させて方向を変えることを繰り返して、雪を下ろす。
【0242】
また、屋根101の長方形のC2、C6のそれぞれの領域では、滑落体20Dを棟103に垂直に、棟103側から軒先109へ軒方向に繰り出させて雪を下ろし、そして、巻き取らせた後に、棟側移動装置200Dを駆動させて雪下ろし装置10Dを棟103の一方の端から他方の端へ所定の距離ずつ移動させ、この繰り出しと巻き取りをさせながら移動させて、順次雪を下ろしてゆく。
【0243】
雪を下ろす順番として、例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8の順に行う。
【0244】
本実施形態の雪下ろし装置10Dを、建物100の外壁106と屋根101との取り合い108の部分に配設する場合を、
図30に示す。このような構成としても、屋根101に積もった雪Sを少しずつ下ろすことにつながる。
【0245】
なお、この場合、当該棟側移動ガイド240Dの四隅部分は、円弧状に形成させ、一つの繰出巻取装置40Dで移動可能とすることで、取り合い108が最大で一周していても雪下ろしすることができる。
【0246】
本実施形態の雪下ろし装置10Dを、二階建ての建物100の切妻屋根の棟103に配設する場合を、
図31~
図33に示す。この場合には、屋根101の滑落体20Dが繰り出される位置には、変換部材110Dが配設されている。
【0247】
本実施形態では、変換部材110Dは、二階の屋根101の軒先109に、軒方向に雪下ろし装置10Dの左右(
図25参照)の幅ごとに並んで配置される第一変換部材117Dと、一階の屋根101と外壁106との取り合い108の部分、又は、一階の屋根101の上方に、一階の屋根101の軒先109と平行に雪下ろし装置10Dの左右(
図25参照)の幅ごとに並んで配置される第二変換部材118Dと、で構成されている。
【0248】
第一変換部材117Dは、
図32に示すように、変換部材110と屈曲方向が同様であり、第二変換部材118Dは、
図33に示すように、変換部材110Bと屈曲方向が同様である。
【0249】
詳説すれば、第一変換部材117Dは、二階の屋根面102の上方から、滑落体20Dが繰り出し巻き取りされる二階より下の一階の屋根面102の上方に向かって、滑落体20Dの繰り出し方向を変換する。第一変換部材117Dは、滑落体20Dの巻き取り時には、滑落体20Dの繰り出し時とは逆方向へ巻き取り方向を変換する。
【0250】
また、第二変換部材118Dは、第一変換部材117Dから送られてきた滑落体20Dを、滑落体20Dが繰り出し巻き取りされる二階より下の一階の屋根101の軒先109側に向かって、滑落体20Dの繰り出し方向を変換する。第二変換部材118Dは、滑落体20Dの巻き取り時には、滑落体20Dの繰り出し時とは逆方向へ巻き取り方向を変換する。
【0251】
図31の左側は、ベランダ120を有する場合の第一変換部材117D、第二変換部材118Dの設置態様を示している。
図31の右側は、ベランダ120を有さない場合の第一変換部材117D、第二変換部材118Dの設置態様を示している。
図31の左側と右側とでは、繰り出し、巻き取り方向の違いがあるため、第一変換部材117D、第二変換部材118Dの屈曲方向が異なる。
【0252】
上記構成の雪下ろし装置10Dでは、棟103側に配設され、
繰出巻取装置40Dを移動させる棟側駆動装置210Dと、棟103に沿って配設される棟側移動ガイド240Dと、を備える棟側移動装置200Dにより、繰出巻取装置40Dが、棟103に沿って移動可能とされ、
滑落体20Dを、屋根面102に対して所定の角度を有して繰り出し巻き取り可能とされている。
【0253】
雪下ろし装置10Dを棟側に配設した場合に、このような構成としても、屋根101に積もった雪Sを少しずつ下ろすことにつながる。
【0254】
また、繰出巻取装置40Dが、回転駆動装置170Dにより、上下方向を回転軸として回転可能とされている。
【0255】
棟103側に配設する場合に、このような構成とすれば、棟103を挟んだ二つの屋根面102を一つの雪下ろし装置10Dで雪下ろしすることができる。
【0256】
本発明の第六実施形態を説明する。以下の説明において、第一~第五実施形態と対応する構成については、同一符号にEを付加し、全部又は一部の説明を省略する。
【0257】
雪下ろし装置10Eは、
図34~
図37に示すように、繰出巻取装置40Eと、周縁部側移動装置300Eと、を備え、周縁部側移動装置300Eにより、繰出巻取装置40Eが、屋根101の周縁部105に沿って、一例として、屋根101の軒先109を左右方向に沿って移動可能とされている。
【0258】
滑落体20Eは滑落体20と同様であり、切断部22Eは切断部22Aと同様である。
【0259】
シェル41Eは、サイドシェル、円筒部が無い、シェル本体42Eのみで構成されている。シェル本体42Eは、左右の端部が閉塞した円筒状に形成されている。
【0260】
シェル本体42E内に第一モータM1Eが配設されている。回転軸M1Eaには、繰出巻取用シャフト50Eの右端部が直接取り付けられている。
【0261】
繰出巻取用シャフト50Eの左端部は、シェル本体42Eに、図示しない軸受を介して、取り付けられている。繰出巻取用シャフト50Eは、シェル本体42Eに、左右方向を回転軸として回転可能に取り付けられている。
【0262】
シェル本体42Eの上部には、筒状に形成され、滑落体20Eを挿通するとともに繰り出し巻き取り方向を規制可能な開口部42Ebが配設されている。
【0263】
シェル本体42E内には、非接触受電器RE及びバッテリBTが配設され、後述する支持フレーム12Eに配設された非接触給電器SEから非接触受電器REに電力が供給され、非接触受電器REから供給される電力がバッテリBTに充電可能とされている。
【0264】
周縁部側移動装置300Eは、周縁部側駆動装置310Eと、屋根101の周縁部105に沿って配設される周縁部側移動ガイド340Eと、を備えている。
【0265】
周縁部側駆動装置310Eは、台車312Eと、駆動ユニット330Eと、を備えている。
【0266】
本実施形態では、台車312Eは、左右一対の台車ユニット313Eで構成されている。
【0267】
台車ユニット313Eは、左右一対の台車本体314Eと、車輪315Eと、連結部316Eを備えている。
【0268】
台車本体314Eは、金属製で、断面が下側が開口したコの字状に形成されている。各台車本体314Eに、一対の車輪315Eが前後方向を回転軸として回転可能にそれぞれ取り付けられ、一つの台車ユニット313Eとされている。
【0269】
各台車本体314Eの上面とシェル本体42Eの底壁42Eaとが、平板状に形成された連結部316Eによって連結されている。
【0270】
駆動ユニット330Eは、第九モータM9Eと、第九駆動ギアM9Ebと、第九従動ギア331Eと、チェーン333Eと、を備えている。
【0271】
第九モータM9Eは、既存のモータが用いられ、建物100の外壁106に固定された支持台11Eに、前後方向を回転軸として取り付けられている。第九モータM9Eの回転軸M9Eaには第九駆動ギアM9Ebが取り付けられている。
【0272】
第九従動ギア331Eは、建物100の外壁106に、前後方向を回転軸として複数取り付けられている。
【0273】
第九駆動ギアM9Ebと第九従動ギア331Eとに、チェーン333Eが架け渡されて、かつ、チェーン333Eと、シェル本体42Eと、が平板状に形成されたジョイント部材334Eにより連結されることで、第九モータM9Eの駆動力が、台車312Eに伝達可能とされている。
【0274】
周縁部側移動ガイド340Eは、棟側移動ガイド240D(
図25~
図28参照)と同様の構成とされ、上壁340Eaにスリット342Eが配設されている。周縁部側移動ガイド340Eは、建物100の外壁106に固定された支持フレーム12Eに取り付けられている。
【0275】
本実施形態では、繰出巻取装置40Eが、屋根101の周縁部105に沿って移動可能とされている。また、滑落体20Eは、屋根面102に対して平行、かつ、太陽光パネル14E、雪止め15Eに当たらないように、繰り出し巻き取り可能とされている。
【0276】
コントローラユニットCUは、第一モータM1E、第九モータM9E、積雪センサSS、と接続されている。
【0277】
本実施形態では、コントローラユニットCU、第九モータM9E、積雪センサSSは、電源PUから直接電力を供給され、第一モータM1Dは、電源PUから非接触給電器SE、非接触受電器REを介して電力が供給される。また、積雪センサSSは、地面上に配され、間接的に屋根101の積雪量を検知する構成とされている。もちろん、屋根101上に積雪センサSSを配することも可能である。
【0278】
切妻屋根では、
図38に示すように、コントローラユニットCUは、軒先109のF1の位置に繰出巻取装置40Eを配置し、屋根面102aのA1の領域を、滑落体20Eを屋根面102の勾配と平行に、棟103側に上向きに繰り出して雪下ろしをさせ、滑落体20Eを巻き取った後に、F2の位置に繰出巻取装置40Eを移動させて、A2の領域を同様に雪下ろしさせる。
【0279】
コントローラユニットCUは、上記動作を繰り返させ、A7の領域まで雪下ろしを行わせる。
【0280】
このとき、A1~A7の各領域では、滑落体20Eが棟103に進むとき、雪Sは滑落板21Eとコの字状の切断部22Eによって断面が略長方形に切断され続ける。言い換えると、上側の側面が無い言わばブロック的形状体の雪Sが上向きに伸びていくが、この雪Sのブロック的形状体は重力により斜め下方向に引っ張られるため、滑落体20Eが上に進む途中で、滑落板21Eとコの字状の切断部22Eの達した切断の先端の面に亀裂が入り、その亀裂面より下の雪Sは直方体に切れて滑落し、続いて滑落体20Eが上に進むにつれて、次々に直方体の雪Sが繰出巻取装置40Eに向かって滑落していく。
【0281】
この場合、屋根面102aしか雪下ろし出来ないので、反対側の軒先109にも、雪下ろし装置10Eを配置して、R1の位置に繰出巻取装置40Eを配置し、屋根面102bのB1の領域を雪下ろしさせる、その後R2の位置に繰出巻取装置40Eを移動させて、B2の領域を同様に雪下ろしさせる。
【0282】
コントローラユニットCUは、上記動作を繰り返させ、B7の領域まで雪下ろしを行わせる。
【0283】
図38に参照するように、雪下ろし装置10Eを、軒先109にそれぞれ配設する場合、雪Sは、繰出巻取装置40Eに向かって少しずつ軒先109側から落とされる。
【0284】
本実施形態において、棟103を挟んだ二つの屋根面102a、屋根面102bを、一つの雪下ろし装置10Eで雪下ろしする場合を、
図39~
図40に示す。この場合には、屋根101の棟103の、滑落体20Eが繰り出される位置には、変換部材110Eが配設されている。また、滑落体20Eの切断部22Eは、切断部22と同様とされている。
【0285】
本実施形態では、変換部材110Eは、
図40に示すように、変換部材110D(
図32参照)と屈曲方向が同様である。
【0286】
変換部材110Eは、棟103を跨いで設置され、滑落体20Eの繰り出し時に屋根面102aから棟103を経て屋根面102b向かうように方向を変換させ、また、滑落体20Eの巻き取り時にその逆に方向を変換させる。
【0287】
図38を援用して、変換部材110Eを棟103のT1~T7にそれぞれ配し、コントローラユニットCUは、周縁部側駆動装置310Eにより、繰出巻取装置40EをF1に位置させて、滑落体20Eを繰り出させる。
【0288】
コントローラユニットCUは、棟103を挟んだ、一方の屋根面102aから他方の屋根面102bに滑落体20Eを繰り出させ、変換部材110Eにより、棟103の上方で、滑落体20Eの繰り出し方向を変換させ、A1、B1の領域の雪下ろしをさせる。
【0289】
巻き取り時には、コントローラユニットCUは、棟103を挟んだ、他方の屋根面102bから一方の屋根面102aに滑落体20Eを巻き取らせる。変換部材110Eにより、棟103の上方で、滑落体20Eの巻き取り方向が変換される。
【0290】
コントローラユニットCUは、上記動作をF7の位置まで繰り返させ、A7、B7までの領域の雪下ろしをさせる。
【0291】
棟103を挟んだ二つの屋根面102a、屋根面102bを、一つの雪下ろし装置10Eで雪下ろしする場合、
図38を援用して、A1~A7の各領域では、滑落体20Eが棟103に進むとき、雪Sは滑落板21Eとコの字状の切断部22Eによって断面が略長方形に切断され続ける。言い換えると、上側の側面が無い言わばブロック的形状体の雪Sが上向きに伸びていくが、この雪Sのブロック的形状体は重力により斜め下方向に引っ張られるため、滑落体20Eが上に進む途中で、滑落板21Eとコの字状の切断部22Eの達した切断の先端の面に亀裂が入り、その亀裂面より下の雪Sは直方体に切れて滑落し、続いて滑落体20Eが上に進むにつれて、次々に直方体の雪Sが屋根面102a側の繰出巻取装置40Eに向かって滑落していく。
【0292】
これに対しB1~B7の各領域では、雪Sは滑落板21Eとコの字状の切断部22Eによって断面が略長方形状に下に向かって切断され続ける。言い換えると下側の側面が無い言わばブロック的形状体の雪Sが下向きに伸びていくが、滑落体20Eの先端がR1~R7に到達するまでは、滑落体20Eの先端よりも下は切断されておらず周りの雪Sと繋がったままなので雪Sは滑落しない。滑落体20Eの先端がR1~R7に到達すると、滑落板21Eとコの字状の切断部22Eによる切断が完了するので、B1~B7の各領域の、この切断が完了した直方体の雪Sは、屋根面102b側でトコロテンのように連なって一気に滑落する。
【0293】
上記構成の雪下ろし装置10Eでは、屋根101の周縁部105側に配設され、
繰出巻取装置40Eを移動させる周縁部側駆動装置310Eと、屋根101の周縁部105に沿って配設される周縁部側移動ガイド340Eと、を備える周縁部側移動装置300Eにより、繰出巻取装置40Eが、屋根101の周縁部105に沿って移動可能とされ、
滑落体20Eを、屋根面102に対して平行に繰り出し巻き取り可能、とされている。
【0294】
雪下ろし装置10Eを、軒先109、ケラバ121等の屋根101の周縁部105側に配設した場合に、このような構成としても、屋根101に積もった雪Sを少しずつ下ろすことにつながる。
【0295】
本発明の雪下ろし装置は上記第一、第二、第三、第四、第五、第六、の実施形態に限定されるものではない。即ち、第一、第二、第三、第四、第五、第六、の実施形態に表わされた発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。
【0296】
滑落体の変形例について説明する。
図41に示す、滑落体20Fは、一対の滑落板21Fと、可撓性を有する合成樹脂製で、一対の滑落板21F間に架け渡されるシート状部材23Fと、一対の滑落板21Fの先端部21Fa間に架け渡されるとともに、シート状部材23Fと連設され、屋根101に積もった雪Sを、屋根面102に沿った方向において切断する連結切断部材24Fと、巻き取り可能な可撓性を有する金属製薄板で、滑落板21Fの長手方向において、所定の間隔が設けられ、一対の滑落板21F間に架け渡され、シート状部材23Fを補強するブリッジ25Fと、を有している。
【0297】
滑落体20Fは、滑落体20(
図3、
図6参照)と同様な直立性、柔軟性を有している。
【0298】
滑落体20Fをこのような構成としても、雪Sを屋根101外に滑落させることができる。また、滑落板21Fを小さくでき、加工費用を少なくできるので、例えば、合成樹脂製の軽いシート状部材23Fを使用して、滑落体20Fを軽くできるのと相まって、繰出巻取装置の駆動源を低出力で小さなものとできる。よって、雪下ろし装置全体の価格と重量を低減させることに寄与する。
【0299】
また、一対の滑落板21Fのそれぞれの先端部21Faの上面側には、滑落板21Fの上方に延設され、屋根101に積もった雪Sを少なくとも厚さ方向において切断する切断部22Fが配設されている。
【0300】
本変形例では、切断部22Fは、一対の滑落板21Fから略コの字状に形成されたフレーム部22Faが延設されて構成されている。
【0301】
これによれば、滑落板21Fが屋根101に積もった雪Sに進入するときに、切断部22Fにより屋根101に積もった雪Sが切断されるので、雪Sを屋根101外に滑落させることに寄与する。
【0302】
また、
図42に示す、滑落体20Gは、滑落体20Fと比べて、シート状部材23Gが鋼板で形成され、ブリッジ25Fがない構成とされている。滑落体20Fと対応する構成については、同一符号にGを付加し、全部又は一部の説明を省略する。
【0303】
滑落体20Gは、滑落体20Fと同様の効果を奏する。
【0304】
また、
図43に示す、滑落体20Hは、一つの滑落板21Hで構成され、滑落板21Hの短手方向からみて、波形状に形成されている。滑落体20Aと対応する構成については、同一符号にHを付加し、全部又は一部の説明を省略する。
【0305】
滑落体20Hをこのように形成しても、直立性を確保して、雪Sを屋根101外に滑落させることができる。また、滑落体20Hは、巻き取り時に、柔軟性により平らになり、コンパクトに巻き取ることができる。なお、滑落板21Hの波形状の、凹凸の数、凹凸の形態は適宜変更することができる。
【0306】
また、本発明における、繰出巻取装置、回転装置、回転駆動装置、棟側移動装置、周縁部側移動装置の駆動、制御方式は、上述した方式に限定されない。例えば、積雪を目視して手動、又は/及び、モータで駆動させる等、使用態様に応じて適宜変更することができる。
【0307】
また、本発明における、滑落体を構成する滑落板の素材は、直線移動可能な直立性と、繰り出し巻き取り可能な柔軟性と、を有するのであれば、金属以外の素材を用いることができる。
【0308】
また、本発明における滑落体の先端部に、風等にあおられて滑落体が跳ね上がらないように、重量を増加させるウエイト部材を配設することも可能である。
【0309】
また、開口部の外側入口部分に、内部に雪が入らないように、滑落体の形状に対応したヘラ部材を配設することも可能である。
【0310】
また、第一、第二、第三、第四、の実施形態において、滑落体20、滑落体20A、滑落体20B、滑落体20Cを、屋根面102に対して平行に繰り出し巻き取り可能とするか、屋根面102に対して所定の角度を有して繰り出し巻き取り可能とするか、は使用態様に応じて変更することができる。
【0311】
また、第五、第六、の実施形態において、滑落体20D、滑落体20Eを、屋根面102に対して所定の角度を有して、繰り出し巻き取り可能とすることもできる。
【0312】
また、切断部22は、ばね部22bと、フレーム部22a上部の左右方向に延びる部分と、を省略した、フレーム部22aの縦方向に延びる部分のみとすることも可能である。
【0313】
また、第三実施形態において、雪下ろし装置10Bを、例えば、ケラバ121、軒先109に配設することができる。軒先109に配設した場合、滑落体20Bを上側に繰り出すので、繰出巻取装置40Bに向かって軒先109側に雪Sを落とし、ケラバ121に配設した場合、滑落体20Bを上側に繰り出すときには、繰出巻取装置40Bに向かって繰出巻取装置40Bが配設される側のケラバ121側に雪Sを落とし、滑落体20Bを下側に繰り出すときには、繰出巻取装置40Bが配設されない側のケラバ121、軒先109側に雪Sを落とすことができる。
【0314】
また、風速センサを配設して、コントローラユニットCUにより、所定の風速以上となったときに雪下ろし装置の動作を停止させ、所定の風速未満のときに雪下ろし装置を動作可能とさせることもできる。
【0315】
また、雪下ろし装置10Dにおいて、シェル41Dの左右の端部に、例えば、雪をかき分け可能な外形形状が三角柱形状とした、張り出しを設けることができる。
【0316】
また、
図9(b)、
図10、
図11では、棟103に段差が垂直方向にある屋根101に垂直に昇降する昇降機構130が配設されているが、二つの棟103の段差が斜め方向にある屋根101には、二つの棟103の斜め方向に昇降する昇降機構130とすることも可能である。
【0317】
また、切断部22、22Aから22Hは、フレーム部がL字状の自由端どうしを連結するバネ部を有する、または、コの字状に形成されているが、滑落板21、21Aから21Hのそれぞれに対し、コの字状の中央のブリッジ部分を有しない切断部とすることも可能である。
【0318】
滑落板の変形例について説明する。
図44は、滑落板の変形例の短手方向における断面の説明図である。以下の説明では、屈曲は、曲率半径が小さくて折れ線として視認可能なもの、湾曲は、曲率半径が屈曲より大きく、緩やかに曲がっているものとする。
【0319】
図44(a)に示すように、滑落板21は、滑落板21の短手方向における、中央部が湾曲して形成され、両端部が直線状に形成され、中央部と両端部の境界部分が屈曲して形成され、両端部が斜め上方に延びるように形成されている。
図44(a)では上が凹であるが、下が凹とすることもできる。
【0320】
図44(b)に示すように、滑落板21は、滑落板21の短手方向における、中央部が直線上に形成され、両端部が直線状に形成され、中央部と両端部の境界部分が屈曲して形成され、両端部が斜め上方に延びるように形成されている。
図44(b)では上が凹であるが、下が凹とすることもできる。
【0321】
図44(c)に示すように、滑落板21は、滑落板21の短手方向における、中央部が直線状に形成され、両端部が直線状に形成され、中央部と両端部の境界部分が屈曲して形成され、左端部が斜め上方に延び、右端部が斜め下方に延びるように形成されている。
図44(c)の滑落板21を、上下反転させた形状に形成することもできる。
【0322】
図44(d)に示すように、滑落板21は、滑落板21の短手方向における、中央部が直線状に形成され、両端部が上側に湾曲して形成されている。
図44(d)では上が凹であるが、下が凹とすることもできる。
【0323】
図44(e)に示すように、滑落板21は、滑落板21の短手方向における、中央部が直線状に形成され、左端部が上側に湾曲し、右端部が下側に湾曲して形成されている。
図44(e)の滑落板21を、上下反転させた形状に形成することもできる。
【0324】
図44(f)に示すように、滑落板21は、滑落板21の短手方向における、中央部が直線状に形成され、左端部が上側に湾曲し、右端部が直線状に形成され、中央部と右端部の境界部分が屈曲して形成され、右端部が斜め上方に延びるように形成されている。
図44(f)の滑落板21を、上下反転させて形成したり、左右逆に形成したりすることもできる。
【0325】
図44(g)に示すように、滑落板21は、滑落板21の短手方向における、中央部が波形状に形成され、両端部が直線状に形成され、中央部と両端部の境界部分が屈曲して形成されて、左端部が斜め下方に延び、右端部が斜め上方に延びるように形成されている。
図44(e)の滑落板21を、上下反転させた形状に形成することもできる。
【0326】
図44(h)に示すように、滑落板21は、滑落板21の短手方向における、中央部が波形状に形成され、両端部が直線状に形成され、中央部と両端部の境界部分が屈曲して形成され、両端部が斜め上方に延びるように形成されている。
図44(h)の滑落板21を、上下反転させた形状に形成することもできる。
【0327】
滑落板21は、屋根上に積もった雪内に直線状に繰り出し可能な直立性と、かつ、雪Sを滑落させた後に直線状に戻るときに巻き取り可能な柔軟性と、を有するのであれば、上記変形例には限定されない。
【0328】
滑落板21A、21B、21C、21D、21E、21F、21G、21Hにおいても、同様である。
【0329】
また、滑落板の中央部と両端部との境界部分は、湾曲、屈曲どちらでも適用することができる。
【0330】
滑落板をこのように形成しても、軽量化され、かつ、コンパクトな雪下ろし装置とすることができる。
【符号の説明】
【0331】
10 雪下ろし装置
10A 雪下ろし装置
10B 雪下ろし装置
10C 雪下ろし装置
10D 雪下ろし装置
10E 雪下ろし装置
20 滑落体
21 滑落板
21a 先端部
22 切断部
20A 滑落体
21A 滑落板
21Aa 先端部
22A 切断部
20B 滑落体
21B 滑落板
21Ba 先端部
22B 切断部
20D 滑落体
21D 滑落板
21Da 先端部
20E 滑落体
21E 滑落板
21Ea 先端部
22E 切断部
20F 滑落体
21F 滑落板
21Fa 先端部
22Fa フレーム部
23F シート状部材
24F 連結切断部材
20G 滑落体
21G 滑落板
21Ga 先端部
22G 切断部
23G シート状部材
23G 連結切断部材
20H 滑落体
21H 滑落板
21Ha 先端部
22H 切断部
40 繰出巻取装置
40A 繰出巻取装置
40B 繰出巻取装置
40D 繰出巻取装置
40E 繰出巻取装置
60 回転装置
60A 回転装置
61A 固定台部
71A 回転台部
60B 回転装置
61B 固定台部
85C 状態変更機構
100 建物
101 屋根
102 屋根面
103 棟
105 周縁部
110 変換部材
113 当接屈曲部
110B 変換部材
116B 当接屈曲部
110D 変換部材
113D 当接屈曲部
116D 当接屈曲部
117D 第一変換部材
118D 第二変換部材
110E 変換部材
113E 当接屈曲部
170D 回転駆動装置
200D 棟側移動装置
210D 棟側駆動装置
240D 棟側移動ガイド
300E 周縁部側移動装置
310 周縁部側駆動装置
340E 周縁部側移動ガイド
CU コントローラユニット
SS 積雪センサ
S 雪
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の周縁部側、又は、棟側に配設される雪下ろし装置であって、
長尺薄板状であって、短手方向における断面が、上が凹である円弧状、又は、波形状に形成され、直線移動可能な直立性と、繰り出し巻き取り可能な柔軟性と、を有する滑落板を備え、繰り出し方向において前記屋根上に積もった雪に進入して、上に乗った雪を前記屋根外に滑落させる滑落体と、
前記滑落体を、前記屋根の屋根面の上方において、繰り出し巻き取り可能とする繰出巻取装置と、
を備え、
前記繰出巻取装置は、回転装置により回転可能とされ、又は、棟側移動装置により前記棟に沿って移動可能とされ、若しくは、周縁部側移動装置により前記屋根の周縁部に沿って移動可能とされていることを特徴とする雪下ろし装置。
ここで、「直立性」とは、鋼製巻尺(コンベックス)のJIS規格に準じたもので、滑落板の短手方向における幅の所定倍以上の長さの自重で、滑落板が、折れ曲がらないことをいう。
【請求項2】
屋根の周縁部側、又は、棟側に配設される雪下ろし装置であって、
長尺薄板状であって、短手方向における断面の少なくとも一部が、屈曲、又は/及び、湾曲して形成され、直線移動可能な直立性と、繰り出し巻き取り可能な柔軟性と、を有する滑落板を備え、繰り出し方向において前記屋根上に積もった雪に進入して、上に乗った雪を前記屋根外に滑落させる滑落体と、
前記滑落体を、前記屋根の屋根面の上方において、繰り出し巻き取り可能とする繰出巻取装置と、
を備え、
前記繰出巻取装置は、回転装置により回転可能とされ、又は、棟側移動装置により前記棟に沿って移動可能とされ、若しくは、周縁部側移動装置により前記屋根の周縁部に沿って移動可能とされていることを特徴とする雪下ろし装置。
ここで、「直立性」とは、鋼製巻尺(コンベックス)のJIS規格に準じたもので、滑落板の短手方向における幅の所定倍以上の長さの自重で、滑落板が、折れ曲がらないことをいう。