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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113636
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】脱墨装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
B29B17/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104046
(22)【出願日】2023-06-26
(62)【分割の表示】P 2023018378の分割
【原出願日】2023-02-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】394008271
【氏名又は名称】日本シーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福田 理也
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA27
4F401AD02
4F401BA13
4F401BB12
4F401CA02
4F401CA35
4F401CA36
4F401CA38
4F401CA51
4F401CA54
4F401CA56
(57)【要約】
【課題】
廃プラスチックから塗料等を剥離するためには、アルカリ水に長時間(数十分)漬けておく必要があり、大量のアルカリ水を必要とした。廃プラスチックをアルカリ水に長時間漬けることなく、短時間(数分)で、かつ従来技術より少ないアルカリ水で、塗料等を剥離する。
【解決手段】
塗料等が付着したプラスチック片Pとアルカリ水を収容する容器11と、蓋12と、前記プラスチック片Pと前記アルカリ水を攪拌する撹拌機構13と、前記プラスチック片と前記アルカリ水を前記容器から排出する排出機構16を備えた、脱墨装置。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック片を脱墨する装置において、
塗装されたプラスチックを粉砕したプラスチック片と、アルカリ水を、収容する容器と、
前記容器内に収容された前記プラスチック片と前記アルカリ水を攪拌する撹拌機構と、
前記容器から前記プラスチック片と前記アルカリ水を排出する排出機構と、を備え、
前記プラスチック片が浮き上がらずに丁度浸かる程度に前記アルカリ水が前記容器に注入されたとき、前記撹拌機構によって攪拌されることで、前記プラスチック片が研磨され、前記プラスチック片が脱墨される、
脱墨装置。
【請求項2】
前記容器は二重壁になっていて内部に壁内空間を備え、該壁内空間に温水が流入されることで、前記容器を加熱および保温する加熱保温設備を、さらに備えた、
請求項1に記載の脱墨装置。
【請求項3】
前記アルカリ水を通し前記プラスチック片は通さない排水網、を有する排水機構と、
前記容器の側面に位置し、開閉可能で閉鎖時には前記プラスチック片および前記アルカリ水を塞き止める氾濫壁と、濯ぎ水を通し前記プラスチック片は通さない氾濫網、から成る氾濫機構を、さらに備え、
脱墨後に、前記排水機構によって前記アルカリ水のみを前記容器から排水し、前記容器内に濯ぎ水を注入することで、濯ぎ工程を行える、
請求項1または2に記載の脱墨装置。
【請求項4】
前記プラスチック片をアルカリ水に浸漬する浸漬槽を、さらに備え、
前記撹拌機構は、前記浸漬槽内でアルカリ水に浸漬された前記プラスチック片とアルカリ水を攪拌する、
請求項3に記載の脱墨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックの再資源化装置に関する。より詳しくは、使用済みの廃プラスチックから塗料等を剥離させる脱墨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、PETボトル等に巻かれているフィルムや食料品包装袋等の薄くて軽いものから、弁当容器等の硬いもの(硬質系)まで様々な用途で用いられている。これらには塗料によって商品名等の印刷が施されている。プラスチックを再資源化する際に、塗料が残っていると色が濁ってしまい再資源化後の使用用途が限られ不都合である。そのため、再資源化時にプラスチックから塗料を除去する脱墨と呼ばれる作業が行われる。
【0003】
特許文献1の「プラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置及びその洗浄除去方法」には、アルカリ洗浄水を用いて印刷面を除去する、プラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置であって、アルカリ洗浄水で印刷面を除去したプラスチックフィルム片を排出させる排出口を筒体の下部に、溢流するプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を排出させる開口縁を該筒体の上部に具備した除去装置本体と、前記除去装置本体の筒体の内部に、隙間を設けて同じ軸方向になるように配置された、プラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を投入する上部開口と、これを撹拌すると共に下方へ移動させる第1スクリュウフィンが設けられた円筒状の投入筒と、前記投入筒に隙間を設けて同じ軸方向になるように配置された、該投入筒の下部開口から移動したプラスチックフィルム片と共にアルカリ洗浄水を上方へ溢流させる有底筒と、を備え、前記投入筒の上部開口から、細断したプラスチックフィルム片と、アルカリ洗浄水を投入し、ここで第1スクリュウフィンで撹拌してプラスチックフィルム片の印刷面とアルカリ洗浄水を反応させ、前記投入筒の下部開口から有底筒へ搬送し、前記有底筒の内面と該投入筒の外面との間を第2スクリュウフィンの回転でアルカリ洗浄水と反応させながら上昇させ、前記有底筒の上部開口から溢流したプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水は、前記除去装置本体へ搬送され、前記排出口から回収するように構成された、プラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置が記載されている。
つまり、塗料を剥離させるためには、長時間(数十分)プラスチックをアルカリ水に漬けておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-134153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
廃プラスチックから塗料等を剥離するためには、アルカリ水に長時間(数十分)漬けておく必要があった。また、アルカリ水を大量に必要とし、費用と手間がかかり、その処理の負荷が高かいという問題を有していた。
【0006】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、廃プラスチックをアルカリ水に長時間漬けることなく、従来技術と比して短時間(数分)かつ少ないアルカリ水で塗料等を剥離する脱墨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プラスチック片を脱墨する装置において、塗装されたプラスチックを粉砕したプラスチック片(P)と、アルカリ水を、収容する容器(11)と、容器内に収容されたプラスチック片とアルカリ水を攪拌する撹拌機構(13)と、容器からプラスチック片とアルカリ水を排出する排出機構(16)と、を備え、プラスチック片が浮き上がらずに丁度浸かる程度にアルカリ水が容器に注入されたとき、撹拌機構によって攪拌されることで、プラスチック片が研磨され、プラスチック片が脱墨される、脱墨装置(1)。
【0008】
容器は二重壁になっていて内部に壁内空間を備え、該壁内空間に温水が流入されることで、前記容器を加熱および保温する加熱保温設備を、さらに備えた、ものとすることもできる。
【0009】
アルカリ水を通しプラスチック片は通さない排水網(145)、を有する排水機構(14)と、前記容器の側面に位置し、開閉可能で閉鎖時には前記プラスチック片および前記アルカリ水を塞き止める氾濫壁(151)と、濯ぎ水を通し前記プラスチック片は通さない氾濫網(155)、から成る氾濫機構(15)を、さらに備え、脱墨後に、排水機構によってアルカリ水のみを容器から排水し、容器内に濯ぎ水を注入することで、濯ぎ工程を行える、ものとすることもできる。
【0010】
プラスチック片をアルカリ水に浸漬する浸漬槽(7)を、さらに備え、撹拌機構は、浸漬槽内でアルカリ水に浸漬されたプラスチック片とアルカリ水を攪拌する、ものとすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の脱墨装置には、次のような効果がある。
・従来技術と比して、短時間(数分)でプラスチックから塗料等を剥離することができる。
・従来技術と比して、少ないアルカリ水で処理ができ、その供給コストおよび排水処理コストを削減することができる。
・排水口および氾濫口を備えることで、脱墨工程と濯ぎ工程を同一装置で処理することができる。
・化学的に塗料等を剥離するだけでなく、プラスチックの表面が研磨されることで、従来と比べて、高品質なプラスチックのリサイクル材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】脱墨装置の鉛直断面図。
図2】温水による加熱保温設備の説明断面図。
図3】電熱線による加熱保温設備の説明断面図。
図4】撹拌研磨する際の脱墨装置の鉛直断面図。
図5】排水する際の脱墨装置の鉛直断面図。
図6】濯ぐ際の脱墨装置の鉛直断面図。
図7】排出する際の脱墨装置の鉛直断面図。
図8】再資源化工程全体を表す模式図。
図9】浸漬工程を含む再資源化工程全体を表す模式図。
図10】再資源化工程の一連の流れを表すフロー図。
図11】再資源化工程で経由する装置を表すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の脱墨装置の実施の一例について図を用いて説明する。
ここで、プラスチックとは、可塑性を持つ合成樹脂をさす。
【0014】
<全体概要>
図1は、脱墨装置1の鉛直断面図である。
脱墨装置1は、容器11、蓋12、撹拌機構13、排水機構14、氾濫機構15および排出機構16から構成される。
脱墨工程の手順は以下の通りである。開口111から、粉砕されたプラスチックの欠片(プラスチック片P)およびアルカリ水を容器11内に投入し、蓋12を閉じる。撹拌機構13を作動して、プラスチック片Pおよびアルカリ水を撹拌・研磨する。排出機構16にてプラスチック片Pおよびアルカリ水を容器11から排出する。
【0015】
<加熱・保温機能>
図2は、温水による加熱保温設備の説明断面図である。
容器11および蓋12は、壁内に空間を備える二重構造となっている。
容器11の下部に設けられた第一流入口112から加熱した水(温水)等を流入することで、二重壁内が温水等で満たされ、容器11が加熱・保温される。(例えば80~90℃程度に)加熱・保温されることで、アルカリ水の塗料剥離効果が高まる。内部の温水等は容器11の上部に設けられた第一流出口113から排出される。流入および流出を常時行い循環させることで、常に温められた水等が容器11を温め、その内部を一定の温度に保つことができる。また、第一流入口112を下部に設け、第一流出口113を上部に設け、流入の圧力によって温水等を循環させることで、重力によって隙間なく温水等で二重壁内を満たすことができる。温水等は、熱を媒介できればよく、水に限らずその他の液体でもいいし、空気や蒸気等の気体でもいい。
【0016】
蓋12も、容器11と同様に、第二流入口121から加熱した水等を流入し、第二流出口122から排出させることで加熱・保温する機能を備えることができる。第二流出口122を、蓋12を閉じたときの鉛直上側に設け流入圧によって温水等を循環させることで、容器11と同様に、重力によって隙間なく温水等で二重壁内を満たすことができる。
蓋12に加熱保温機構を備えず、容器11のみに備えることもできる。
【0017】
図3は、電熱線による加熱保温設備の説明断面図である。
容器11および蓋12は、二重壁内を加熱した水等で満たす仕様に代えて(あるいは加えて)、壁内に第一電熱線114および第二電熱線124を埋め込み、通電させることで加熱・保温することもできる。もちろん、この場合も、蓋12には電熱線を備えず、容器11のみに備えることもできる。
【0018】
<脱墨工程>
図4は、撹拌研磨する際の脱墨装置の鉛直断面図である。
アルカリ水は、投入されたプラスチック片Pが浮き上がらず丁度浸かる程度に注入するとよい。プラスチック片Pどうしに隙間ができず効果的に研磨されるようにするためである。図では、プラスチック片Pを円形で描いているが、実際には破砕された廃プラスチックであり矩形等の様々な形の物が混合している。
【0019】
撹拌機構13は、回転軸131、第一羽根132および第二羽根133から構成される。回転軸131は、動力(例えばモータ)によって任意の速さで回転し、回転軸131に固定された第一羽根132および第二羽根133を回転(例えば、300~2,000 rpm)する。第一羽根132および第二羽根133が回転することで、水流が発生し容器11内のプラスチック片Pおよびアルカリ水を上下左右の各方向に立体的に撹拌する。アルカリ水によってプラスチック表面から浮いた塗料等が、撹拌によってプラスチック片Pどうしが擦れることで剥離する。
【0020】
容器11の底部は、湾曲していることが望ましい。角をなくし撹拌時に滞留しないようにするためである。また、第一羽根132は、底部の形状に合わせて湾曲しているとよい。
【0021】
なお、撹拌機構13は、前述の構造に限らず、第一羽根132または第二羽根133を備えず羽根を一つしか備えない構造としてもよいし、3つ以上備えてもよい。また、羽根の枚数も2枚でもよいし、3枚以上でもよい。
【0022】
<通気口>
蓋12には、通気口123を備えることができる。通気することで、容器11内外の圧力を調整するためである。なお、通気口123は蓋12ではなく容器11の側面等に設ける(不図示)こともできる。
【0023】
<排水機構>
図5は、排水する際の脱墨装置の鉛直断面図である。
排水機構14は、排水止水壁141、排水棒142、排水持ち手143、排水口144および排水網145から構成される。排水止水壁141は、容器11の底部に位置し内部に接し、排水時以外にアルカリ水等を塞き止める。排水止水壁141と排水持ち手143は、排水棒142によって繋がれており、排水持ち手143を引くことで排水止水壁141が図4の位置から図5の位置まで動き、アルカリ水等が排水口144から排出される。この際、撹拌機構13は低速(例えば、500rpm以下)で回転させるとよい。
排水時、プラスチック片Pは排水網145に塞き止められる。排水網145はプラスチック片Pを通さない直径1~3mmの径の孔を多数有する網やパンチングメタルである。
なお、排水機構14は、プラスチック片Pを塞き止めアルカリ水等のみを排水できれば前述の構造に限られない。例えば、排水棒142および排水持ち手143を有さず、電気等によって自動で動く(開閉する)構造としてもよい。
【0024】
<濯ぎ工程>
図6は、濯ぎ工程を行う際の脱墨装置の鉛直断面図である。
排水持ち手143を押して、排水止水壁141を図5の位置から図6の位置に戻し、開口111から濯ぎ水を注水し、撹拌機構13を稼働してプラスチック片Pおよび濯ぎ水を撹拌する。濯ぎ工程は、開口111から濯ぎ水を注水し続け、オーバーフローとして氾濫機構15から排水し続けながら行う。
なお、蓋12に濯ぎ水の給水口(不図示)を設け、蓋12を閉じたまま濯ぎ工程を行えるようにすることもできる。
【0025】
氾濫機構15は、氾濫壁151、氾濫棒152、氾濫持ち手153、氾濫口154および氾濫網155から構成される。
氾濫壁151は、容器11の側面に位置し内部に接し、濯ぎ時以外にアルカリ水等を塞き止める。氾濫壁151と氾濫持ち手153は、氾濫棒152によって繋がれており、氾濫持ち手153を引くことで氾濫壁151が図5の位置から図6の位置まで動き、オーバーフローした濯ぎ水が氾濫口154から排出される。この際、プラスチック片Pは氾濫網155に塞き止められる。
氾濫網155は、排水網145と同様にプラスチック片Pを通さない直径1~3mmの径の孔を多数有する網やパンチングメタルである。濯ぎ水のみを通し、プラスチック片Pを塞き止めるためである。
氾濫機構15は、エアーで稼働するものでもよいし、電動としてもよい。
【0026】
<排出機構>
図7は、容器11内からプラスチック片Pおよび濯ぎ水等を排出する際の脱墨装置1の鉛直断面図である。
排出機構16は、排出止水壁161、排出棒162、排出持ち手163および排出口164から構成される。排出止水壁161は、容器11の底部に位置し内部に接し、排出時以外にプラスチック片Pおよび濯ぎ水(濯ぎを行わない場合はアルカリ水)を塞き止める。排出止水壁161と排出持ち手163は、排出棒162によって繋がれており、排出持ち手163を引くことで排出止水壁161が図6の位置から図7の位置まで動き、プラスチック片Pおよび濯ぎ水等が排出口164から排出される。この際、撹拌機構13は低速で回転させるとよい。
なお、排出機構16は、プラスチック片Pおよび濯ぎ水等を排出できれば前述の構造に限られない。例えば、排水機構14の例と同様に、電動とすることもできる。
【0027】
図8は、脱墨装置1を含む廃プラスチックの再資源化工程全体を表す模式図である。再資源化工程は、脱墨装置1のほかに、洗浄粉砕装置2および脱水装置3を備える。
洗浄粉砕装置2は、上部から廃プラスチックが投入されると、内部で水等を用いて洗浄と粉砕を同時に行う装置である。
脱水装置3は、遠心力を利用してプラスチック片を脱水する装置である。
【0028】
図9は、浸漬装置7を含む廃プラスチックの再資源化工程全体を表す模式図である。
プラスチック片を脱墨装置1にかける前に、浸漬装置7を用いて短時間(例えば、10分)アルカリ水に浸すことで塗料等の分解が進み、脱墨工程の時間を短縮したり、研磨による脱墨効果を高めたりすることができる。脱墨装置1による脱墨工程は蓋を閉じて一定量毎に処理を行うため、前工程から順次流れてくるプラスチック片を浸漬装置7で受け止めて貯め、所定量貯まったら脱墨装置1にかけるようにすると、効果的に利用できる。
【0029】
脱墨装置1に、排水機構14および氾濫機構15を備えず、脱墨装置1にて濯ぎを行わない場合には、さらに第一濯ぎ装置4および第二濯ぎ装置5を設ける。
第一濯ぎ装置4は、温水を用いて剥離した塗料等およびアルカリ水をプラスチック片から洗い流す装置である。
第二濯ぎ装置5は、水を用いて不純物をプラスチック片からさらに洗い流す装置である。
【0030】
図10は、再資源化工程の一連の流れを表すフロー図である。なお、設けないこともできる工程は破線で囲っている。また、脱墨装置1にて行うことができる工程は、まとめて実線で囲っている。
洗浄粉砕工程S1は、廃プラスチックを投入し水等を用いて洗浄と粉砕を同時に行い、廃プラスチックを細かくしつつ不純物を洗い取る工程である。
第一脱水工程S2は、前工程で洗うのに用いた水等を遠心力を用いて脱水する工程である。
浸漬工程S3は、プラスチック片をアルカリ水に漬け置く工程である。この工程は、浸漬装置にて行うこともできるし、脱墨装置1にて行うこともできる。前述したようにこの工程は設けないこともできる。
脱墨工程S4は、脱墨装置1にてプラスチック片を研磨し、塗料等を剥離する工程である。
排水工程S5は、脱墨に用いたアルカリ水を排水する工程である。脱墨装置1に排水機構を備える場合は脱墨装置1内で、備えない場合は脱墨装置1から排出して第一濯ぎ装置に移す際に行う。
第一濯ぎ工程S6は、温水を用いて、前工程で剥離した塗料等およびアルカリ水をプラスチック片から洗い流す工程である。脱墨装置1に排水機構および氾濫口を備える場合は脱墨装置1内で、備えない場合は第一濯ぎ装置4にて行う。
第二脱水工程S7は、前工程で洗うのに用いた水等を遠心力を用いて脱水する工程である。
第二濯ぎ工程S8は、水を用いて不純物をプラスチック片から再度洗い流す工程である。濯ぎを1回のみとし本工程を設けないこともできる。
第三脱水工程S9は、前工程で洗うのに用いた水等を遠心力を用いて脱水する工程である。第二濯ぎ工程S8を行わない場合は、本工程は設けない。
以上の工程により、ゴミとして回収された廃プラスチックが、利用しやすい一定の大きさになり、洗われ、再資源化される。
【0031】
図11は、再資源化工程で経由する装置を表すフロー図である。
中央の列が経由する装置を、左の列が左の装置を経由したときに行われる工程を、右の列が右の装置を経由したときに行われる工程を、表す。なお、各分岐は適宜組み合わせることができる。例えば、浸漬装置を備えず(左ルート)に第一濯ぎ装置を備える(右ルート)こともできる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の脱墨装置によれば、廃プラスチックを従来と比べて少ないアルカリ水でかつ短時間で脱墨でき、アルカリ水等の溶剤の供給コストおよび排水・中和処理コストを削減でき、産業上利用できる ばかりでなく、プラスチックの再資源化を促進することができ、社会的にも大きな貢献を期待し得る発明である。
【符号の説明】
【0033】
1 脱墨装置
11 容器
111 開口
112 第一流入口
113 第一流出口
114 第一電熱線
12 蓋
121 第二流入口
122 第二流出口
123 通気口
124 第二電熱線
13 撹拌機構
131 回転軸
132 第一羽根
133 第二羽根
14 排水機構
141 排水止水壁
142 排水棒
143 排水持ち手
144 排水口
145 排水網
15 氾濫機構
151 氾濫壁
152 氾濫棒
153 氾濫持ち手
154 氾濫口
155 氾濫網
16 排出機構
161 排出止水壁
162 排出棒
163 排出持ち手
164 排出口
2 洗浄粉砕装置
3 脱水装置
4 第一濯ぎ装置
5 第二濯ぎ装置
S1 洗浄粉砕工程
S2 第一脱水工程
S3 浸漬工程
S4 脱墨工程
S6 第一濯ぎ工程
S7 第二脱水工程
S8 第二濯ぎ工程
S9 第三脱水工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック片を脱墨する装置において、
塗装されたプラスチックを粉砕したプラスチック片と、アルカリ水を、収容する容器と、
前記容器内に収容された前記プラスチック片と前記アルカリ水を攪拌する撹拌機構と、
前記容器から前記プラスチック片と前記アルカリ水を排出する排出機構と、
前記アルカリ水および前記プラスチック片を塞き止める排水止水壁と、前記アルカリ水を通し前記プラスチック片は通さない排水網、を有する排水機構と、
前記容器の側面に位置する氾濫口を開閉し、閉鎖時には前記プラスチック片および前記アルカリ水を塞き止める氾濫壁と、濯ぎ水を通し前記プラスチック片は通さない氾濫網、から成る氾濫機構、を備え、
前記プラスチック片が浮き上がらずに丁度浸かる程度に前記アルカリ水が前記容器に注入されたとき、前記撹拌機構によって攪拌されることで、前記プラスチック片が研磨され、前記プラスチック片が脱墨され、
脱墨後に、前記排水機構によって前記アルカリ水のみを前記容器から排水し、前記容器内に濯ぎ水を注入することで、濯ぎ工程を行える、
脱墨装置。
【請求項2】
前記容器は二重壁になっていて内部に壁内空間を備え、該壁内空間に温水が流入されることで、前記容器を加熱および保温する加熱保温設備を、さらに備えた、
請求項1に記載の脱墨装置。
【請求項3】
前記プラスチック片をアルカリ水に浸漬する浸漬槽を、さらに備え
請求項1または2に記載の脱墨装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、プラスチック片を脱墨する装置において、塗装されたプラスチックを粉砕したプラスチック片(P)と、アルカリ水を、収容する容器(11)と、容器内に収容されたプラスチック片とアルカリ水を攪拌する撹拌機構(13)と、容器からプラスチック片とアルカリ水を排出する排出機構(16)と、アルカリ水およびプラスチック片を塞き止める排水止水壁(141)と、アルカリ水を通しプラスチック片は通さない排水網(145)、を有する排水機構(14)と、容器の側面に位置する氾濫口(154)を開閉し、閉鎖時にはプラスチック片およびアルカリ水を塞き止める氾濫壁(151)と、濯ぎ水を通しプラスチック片は通さない氾濫網(155)、から成る氾濫機構(15)、を備え、プラスチック片が浮き上がらずに丁度浸かる程度にアルカリ水が容器に注入されたとき、撹拌機構によって攪拌されることで、プラスチック片が研磨され、プラスチック片が脱墨され、脱墨後に、排水機構によってアルカリ水のみを容器から排水し、容器内に濯ぎ水を注入することで、濯ぎ工程を行える、脱墨装置(1)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
プラスチック片をアルカリ水に浸漬する浸漬槽(7)を、さらに備え、ものとすることもできる。