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特開2024-11364ノズル状態判定装置、レーザ加工機、及びノズル状態判定方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011364
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ノズル状態判定装置、レーザ加工機、及びノズル状態判定方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20240118BHJP
【FI】
B23K26/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113301
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】中西 啓一
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CA06
4E168CA07
4E168CB03
4E168CB15
4E168DA02
4E168EA17
4E168FB03
4E168KA15
(57)【要約】
【課題】レーザヘッドのノズルの状態を適切に判定することが可能なノズル状態判定装置、レーザ加工機、及びノズル状態判定方法を提供する。
【解決手段】レーザヘッド4から出射するレーザ光L1によりワークWを加工するレーザ加工機1におけるレーザヘッド4のノズル12の状態を判定するノズル状態判定装置11であって、ワークWの加工時にワークWから発せられた光をレーザヘッド4内におけるレーザ光通過空間の一部を介して検出することでワークWを撮像する撮像部27と、ノズル12の状態を判定する判定部42と、を備え、撮像部27は、レーザ加工機1によりレーザ光L1による加工が行われていない際にノズル12を撮像し、判定部42は、撮像部27によって撮像されたノズル12の画像に含まれるノズル穴121の形状に基づいてノズルの状態12を判定する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザヘッドから出射するレーザ光によりワークを加工するレーザ加工機における前記レーザヘッドのノズルの状態を判定するノズル状態判定装置であって、
前記ワークの加工時に前記ワークから発せられた光を前記レーザヘッド内におけるレーザ光通過空間の一部を介して検出することで前記ワークを撮像する撮像部と、
前記ノズルの状態を判定する判定部と、
を備え、
前記撮像部は、前記レーザ加工機により前記レーザ光による加工が行われていない際に前記ノズルを撮像し、
前記判定部は、前記撮像部によって撮像された前記ノズルの画像に含まれる前記ノズルの形状に基づいて前記ノズルの状態を判定する、
ノズル状態判定装置。
【請求項2】
前記撮像部は、前記ノズルの第1画像と、前記第1画像とは明度が異なる前記ノズルの第2画像とを撮像し、
前記判定部は、前記第1画像と前記第2画像との差分画像を生成し、前記差分画像に基づいて前記ノズルの状態を判定する、
請求項1に記載のノズル状態判定装置。
【請求項3】
照明光を発生させる照明部を備え、
前記第1画像は、第1テストプレートで反射した前記照明光が前記撮像部によって検出されることで生成された画像であり、
前記第2画像は、前記第1テストプレートとは反射率の異なる第2テストプレートで反射した前記照明光が前記撮像部によって検出されることで生成された画像である、
請求項2に記載のノズル状態判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記撮像部が撮像した画像に基づく前記ノズルの形状が、前記ワークの加工に使用される前記ノズルの初期形状に対して予め設定された所定範囲を超えている場合に、前記ノズルに異常があると判定する、
請求項1に記載のノズル状態判定装置。
【請求項5】
前記レーザ加工機は、前記ノズルを自動で交換するノズルチェンジャを備え、
前記判定部は、前記ノズルチェンジャによって行われる前記ノズルの交換に関する情報を取得し、前記ノズルの交換に前後して前記ノズルの状態を判定する、
請求項4に記載のノズル状態判定装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記レーザ加工機による前記ワークの加工に際して、前記ノズルの状態を判定する、
請求項1に記載のノズル状態判定装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記撮像部が撮像した前記ノズルの画像に対する楕円フィッティングの処理、又は前記撮像部が撮像した前記ノズルの画像に対する真円フィッティングの処理を実行し、前記処理の結果に基づいて前記ノズルの穴径、円形度、及び扁平率のうち少なくとも1つを求める、
請求項1に記載のノズル状態判定装置。
【請求項8】
ノズルからレーザ光を出射し、前記レーザ光により前記ワークを加工する前記レーザヘッドと、
前記レーザヘッドの前記ノズルの状態を判定する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のノズル状態判定装置と、
を備える、
レーザ加工機。
【請求項9】
前記ノズルを自動で交換するノズルチェンジャと、
前記ノズルチェンジャによる前記ノズルの交換を制御する交換制御部と、
前記ノズル状態判定装置により前記ノズルに異常があると判定された場合、前記ノズルチェンジャにより前記ノズルを交換させるように、前記交換制御部に指示する加工制御部と、
を備える、請求項8に記載のレーザ加工機。
【請求項10】
前記ノズルを自動で交換するノズルチェンジャと、
前記ノズルの交換に関する情報をユーザに通知する通知部と、
前記ノズル状態判定装置により前記ノズルに異常があると判定された場合、前記ノズルを交換すべき旨を前記通知部から通知するように指示する加工制御部と、
を備える、請求項8に記載のレーザ加工機。
【請求項11】
前記ノズル状態判定装置により前記ノズルの異常が判定された場合、前記ワークの加工を中止する加工制御部を備える、
請求項8に記載のレーザ加工機。
【請求項12】
前記レーザヘッドは、前記レーザ光によりワークの表面にマーキング加工を行い、
前記ノズル状態判定装置に備える前記撮像部により撮影される画像であって前記マーキング加工によって前記ワークに形成されるマーキング痕の画像と、予め取得している前記ノズルの穴の中心位置に関する情報とに基づいて、前記ノズルの穴の中心位置に対する前記レーザ光の中心位置の芯ずれを検出する検出部を備える、
請求項8に記載のレーザ加工機。
【請求項13】
レーザヘッドから出射するレーザ光によりワークを加工するレーザ加工機における前記レーザヘッドのノズルの状態を判定するノズル状態判定方法であって、
前記レーザ加工機は、前記ワークの加工時に前記ワークから発せられた光を前記レーザヘッド内におけるレーザ光通過空間の一部を介して検出することで前記ワークを撮像する撮像部を備えており、
前記レーザ光による加工が行われていない際に前記ノズルを前記撮像部により撮像することと、
前記撮像部によって撮像された前記ノズルの画像に含まれる前記ノズルの形状に基づいて前記ノズルの状態を判定することと、
を含む、ノズル状態判定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル状態判定装置、レーザ加工機、及びノズル状態判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザヘッドから出射するレーザ光によりワークを加工するレーザ加工機が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載のレーザ加工機は、レーザヘッドの外側に設けられた撮像部を用いてノズル穴をレーザヘッドの外側から撮像し、撮像した画像に基づいて、ノズルの異常などのノズルの状態を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6431937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のレーザ加工機では、ノズル穴をレーザヘッドの外側から撮像した画像に基づいてノズルの状態を判定している。従って、ノズルの状態がレーザヘッドの内側の構造に起因する場合には、その状態を適切に判定することが難しい場合がある。
【0005】
本発明は、レーザヘッドのノズルの状態を適切に判定することが可能なノズル状態判定装置、レーザ加工機、及びノズル状態判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るノズル状態判定装置は、レーザヘッドから出射するレーザ光によりワークを加工するレーザ加工機におけるレーザヘッドのノズルの状態を判定するノズル状態判定装置であって、ワークの加工時にワークから発せられた光をレーザヘッド内におけるレーザ光通過空間の一部を介して検出することでワークを撮像する撮像部と、ノズルの状態を判定する判定部と、を備え、撮像部は、レーザ加工機によりレーザ光による加工が行われていない際にノズルを撮像し、判定部は、撮像部によって撮像されたノズルの画像に含まれるノズルの形状に基づいてノズルの状態を判定する。
【0007】
本発明の態様に係るノズル状態判定方法は、レーザヘッドから出射するレーザ光によりワークを加工するレーザ加工機におけるレーザヘッドのノズルの状態を判定するノズル状態判定方法であって、レーザ加工機は、ワークの加工時にワークから発せられた光をレーザヘッド内におけるレーザ光通過空間の一部を介して検出することでワークを撮像する撮像部を備えており、レーザ光による加工が行われていない際にノズルを撮像部により撮像することと、撮像部によって撮像されたノズルの画像に含まれるノズルの形状に基づいてノズルの状態を判定することと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記態様に係るノズル状態判定装置又はレーザ加工機によれば、レーザ加工時に加工状態のモニタリングを行うための撮像部が撮像する、レーザヘッドの内側から撮像した画像を用いてノズルの状態を判定するため、レーザヘッドの内側の構造に起因する異常がノズルに発生した場合であってもその異常を検出することができ、ノズルの状態を適切に判定することができる。
【0009】
また、上記態様に係るノズル状態判定装置又はレーザ加工機において、撮像部は、ノズルの第1画像と、第1画像とは明度が異なるノズルの第2画像とを撮像し、判定部は、第1画像と第2画像との差分画像を生成し、差分画像に基づいてノズルの状態を判定してもよい。これらの構成により、加工ヘッド内部から外部の像を撮影する構成であるため、画像上においてノズルの壁面をキャンセルすることができるので、明度の異なる複数の画像の差分をとってノズル形状を検出してノズルの異常を精度よく判定できる。
【0010】
また、上記態様に係るノズル状態判定装置又はレーザ加工機において、ノズル状態判定装置は、照明光を発生させる照明部を備え、第1画像は、第1テストプレートで反射した照明光が撮像部によって検出されることで生成された画像であり、第2画像は、第1テストプレートとは反射率の異なる第2テストプレートで反射した照明光が撮像部によって検出されることで生成された画像であってもよい。これらの構成により、明度の異なる第1画像及び第2画像を簡便に撮影することができる。
【0011】
また、上記態様に係るノズル状態判定装置又はレーザ加工機において、判定部は、撮像部が撮像した画像に基づくノズルの形状が、ワークの加工に使用されるノズルの初期形状に対して予め設定された所定範囲を超えている場合に、ノズルに異常があると判定してもよい。これらの構成により、レーザ加工によってノズル変形した場合又はノズルの誤装着をノズルの異常として判定することができる。
【0012】
また、上記態様に係るノズル状態判定装置又はレーザ加工機において、レーザ加工機は、ノズルを自動で交換するノズルチェンジャを備え、判定部は、ノズルチェンジャによって行われるノズルの交換に関する情報を取得し、ノズルの交換に前後してノズルの状態を判定してもよい。これらの構成により、穴径の異なるノズル、或いはダメージ等により変形したノズルでのレーザ加工を防止することができる。
【0013】
また、上記態様に係るノズル状態判定装置又はレーザ加工機において、判定部は、レーザ加工機によるワークの加工に際して、ノズルの状態を判定してもよい。これらの構成により、ワークのレーザ加工前、レーザ加工の工程中(レーザ照射中は除く)、及びレーザ加工後のいずれの場合においてノズルの状態の判定することができる。
【0014】
また、上記態様に係るノズル状態判定装置又はレーザ加工機において、判定部は、撮像部が撮像したノズルの画像に対する楕円フィッティングの処理、又は撮像部が撮像したノズルの画像に対する真円フィッティングの処理を実行し、処理の結果に基づいてノズルの穴径、円形度、及び扁平率のうち少なくとも1つを求めてもよい。これらの構成により、ノズルの形状を精度よく判定することができる。
【0015】
また、上記態様に係るレーザ加工機は、ノズルを自動で交換するノズルチェンジャと、ノズルチェンジャによるノズルの交換を制御する交換制御部と、ノズル状態判定装置によりノズルに異常があると判定された場合、ノズルチェンジャによりノズルを交換させるように、交換制御部に指示する加工制御部と、を有してもよい。これらの構成により、ノズルに異常があった場合に、ノズルチェンジャにより自動でそのノズルを交換できる。
【0016】
また、上記態様に係るレーザ加工機は、ノズルを自動で交換するノズルチェンジャと、ノズルの交換に関する情報をユーザに通知する通知部と、ノズル状態判定装置によりノズルに異常があると判定された場合、ノズルを交換すべき旨を通知部から通知するように指示する加工制御部と、を有してもよい。これらの構成により、ノズルに異常があった場合に、そのノズルの交換をユーザに促すことができる。
【0017】
また、上記態様に係るレーザ加工機は、ノズル状態判定装置によりノズルの異常が判定された場合、ワークの加工を中止する加工制御部を備えてもよい。これらの構成により、ノズルに異常があった場合には、加工を中止させることができる。
【0018】
また、上記態様に係るノズル状態判定装置又はレーザ加工機において、レーザヘッドは、レーザ光によりワークの表面にマーキング加工を行い、ノズル状態判定装置に備える撮像部により撮影される画像であってマーキング加工によってワークに形成されるマーキング痕の画像と、予め取得しているノズルの穴の中心位置に関する情報とに基づいて、ノズルの穴の中心位置に対するレーザ光の中心位置の芯ずれを検出する検出部を備えてもよい。これらの構成により、マーキングによりワーク表面だけ変質させる(焦がす)ことで、ドロスの発生を抑制し、画像処理で正確な中心位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係るレーザ加工機及びノズル状態判定装置の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係るレーザヘッドの構成の一例を示す図である。
図3】第1実施形態に係る画像処理装置の機能部の一例を示す図である。
図4】第1実施形態に係る画像によるカーフ幅測定の一例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る画像による燃焼状態の一例を示す図である。
図6】第1実施形態に係るテストプレートの配置の一例を示す図である。
図7】第1実施形態に係るテストプレートの配置の一例を示す図である。
図8】第1実施形態に係る第1画像及び第2画像の一例を示す図である。
図9】第1実施形態に係る差分画像の一例を示す図である。
図10】第1実施形態に係るノズルの穴径の算出方法を説明する図である。
図11】第1実施形態に係る扁平率の算出方法を示す図である。
図12】第1実施形態に係るノズル判定処理のフロー図である。
図13】第1実施形態に係るレーザ加工機の変形例である。
図14】第2実施形態に係るレーザ加工機を示す図である。
図15】第2実施形態に係る画像処理装置の機能部の一例を示す図である。
図16】第2実施形態に係るテストプレートの配置の一例を示す図である。
図17】第2実施形態に係るテストプレートの配置の一例を示す図である。
図18】第2実施形態に係るマーキング加工を説明する図である。
図19】第2実施形態に係るマーキング位置の一例を示す図である。
図20】第2実施形態に係る芯ずれの検出方法を説明する図である。
図21】第2実施形態に係る芯ずれ検出方法のフロー図である。
図22】第2実施形態に係るユーザインターフェースの一例を示す図である。
図23】第3実施形態に係るレーザ加工機を示す図である。
図24】第3実施形態に係る画像処理装置の機能部の一例を示す図である。
図25】第3実施形態に係るテストプレートの配置の一例を示す図である。
図26】第3実施形態に係るテストプレートの配置の一例を示す図である。
図27】第3実施形態に係るレーザ加工機の動作のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0021】
XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する場合がある。XYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が-方向であるものとして説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るレーザ加工機1及びノズル状態判定装置11の一例を示す図である。第1実施形態に係るレーザ加工機1は、レーザ光Lを出射して加工対象であるワークWに対して、切断,マーキング加工などのレーザ加工を行う。レーザ加工機1は、レーザ発振器2と、レーザヘッド4と、アシストガス供給部5と、ヘッド駆動部6と、加工制御部7と、ノズルチェンジャ8と、交換制御部9と、通知部10と、ノズル状態判定装置11とを備える。ノズル状態判定装置11は、照明部3と、観察光学系14と、撮像部27と、画像処理装置31とを備える。
【0023】
レーザ発振器2は、加工用レーザ光L1を発生させる。例えば、加工用レーザ光L1は、赤外レーザ光である。レーザ発振器2は、光ファイバFを介してレーザヘッド4に接続されている。光ファイバFは、レーザ発振器2から出力される加工用レーザ光L1をレーザヘッド4に導入する。
【0024】
照明部3は、レーザヘッド4に対して接続される。照明部3は、レーザ光源3A及びコリメータ3Bを備える。レーザ光源3Aは、加工用レーザ光L1と異なる波長の照明用レーザ光L2(照明光)を発する。コリメータ3Bは、レーザ光源3Aから照明用レーザ光L2が入射する位置に設けられ、レーザ光源3Aから入射する照明用レーザ光L2を平行光に変換する。
【0025】
レーザヘッド4は、ノズル12からレーザ光L(加工用レーザ光L1及び照明用レーザ光L2)をワークWに向けて照射する。レーザヘッド4は、ワークWに対して、X方向、Y方向、Z方向に相対的に移動可能に設けられる。レーザヘッド4は、ワークWに対して相対的に移動しながら、ワークWに対して加工用レーザ光L1を照射することでレーザ加工を行う。
【0026】
図2は、レーザヘッド4の構成の一例を示す図である。図2に示すように、レーザヘッド4は、ノズル12と、照射光学系13とを備える。ノズル12は、レーザヘッド4の下方に取り付けられる。ノズル12は、下方向に向けられている。ノズル12は、出射孔であるノズル穴121を有する。
【0027】
加工用レーザ光L1及び照明用レーザ光L2は、ノズル穴121から下方向に向けて照射される。ノズル12は、ガス供給管等を介してアシストガス供給部5に接続される。ノズル12は、加工用レーザ光L1を照射する領域に向けて、アシストガス供給部5からのアシストガスをワークWに供給する。
【0028】
照射光学系13は、レーザヘッド4の内部に設けられている。照射光学系13は、レーザ発振器2で発生した加工用レーザ光L1を、ワークWに向けて案内することにより、ノズル12のノズル穴121を通してワークWに照射する。例えば、照射光学系13は、コリメータ21と、ビームスプリッタ22と、集光レンズ23とを備える。
【0029】
コリメータ21は、加工用レーザ光L1の入射側の焦点が光ファイバFの端部の位置と一致するように設けられ、レーザ発振器2から出力される加工用レーザ光L1を平行光に変換する。ビームスプリッタ22は、コリメータ21を通過した加工用レーザ光L1が入射する位置に設けられ、加工用レーザ光L1を透過し、照明用レーザ光L2を反射させる。集光レンズ23は、レーザヘッド4に収容されている。集光レンズ23は、ビームスプリッタ22からの加工用レーザ光L1が入射する位置に設けられ、入射する加工用レーザ光L1を集光する。集光レンズ23は、光学系駆動部(図示なし)によって光軸に沿って移動可能である。この光学系駆動部によってワークW側の焦点が調整される。
【0030】
観察光学系14は、レーザヘッド4の内部に設けられている。観察光学系14は、ハーフミラー24と、波長選択フィルタ25と、結像レンズ26とを備える。ハーフミラー24は、コリメータ3Bを通過した照明用レーザ光L2が入射する位置に設けられ、照明用レーザ光L2の一部を反射し、一部を通過させる。ハーフミラー24で反射した照明用レーザ光L2は、ビームスプリッタ22を反射する。集光レンズ23は、ビームスプリッタ22を反射した照明用レーザ光L2を集光する。ワークWにおいて照明用レーザ光L2が照射される領域は、ワークWに対して加工用レーザ光L1が照射される領域を含むように設定される。
【0031】
ワークWからの戻り光は、集光レンズ23を通過してビームスプリッタ22に入射する。戻り光は、照明用レーザ光L2がワークWで反射錯乱した光と、加工用レーザ光L1がワークWで反射した光とを含む。照明用レーザ光L2に由来する光は、ビームスプリッタ22で反射してハーフミラー24に入射する。同様に、加工用レーザ光L1に由来する光は、ビームスプリッタ22で反射してハーフミラー24に入射する。
【0032】
波長選択フィルタ25は、例えば、ダイクロイックミラー、ノッチフィルター等である。ハーフミラー24に入射した戻り光は、ハーフミラー24を通過して波長選択フィルタ25に入射する。照明用レーザ光L2に由来する光は、波長選択フィルタ25で反射して結像レンズ26に入射する。一方、加工用レーザ光L1に由来する光は、波長選択フィルタ25を透過する。結像レンズ26は、波長選択フィルタ25で反射した光を撮像部27に集光する。
【0033】
図1に示すように、アシストガス供給部5は、レーザヘッド4に接続されている。アシストガス供給部5は、ノズル12内にアシストガスを供給する。アシストガスは、レーザ加工において、溶融した材料を除去するために用いられる。アシストガスの供給源としては、例えば、ガスボンベ、工場の供給ライン等が用いられる。アシストガスとしては、例えば、窒素ガス、空気、窒素と酸素とを混合したガスが用いられる。
【0034】
ヘッド駆動部6は、加工制御部7に制御され、レーザヘッド4をX方向、Y方向、及びZ方向の各方向に移動させる。ヘッド駆動部6は、例えば、X方向に移動可能なガントリと、ガントリに対してY方向に移動可能なスライダと、スライダに対してZ方向に移動可能な昇降部とを有する。なお、ヘッド駆動部6は、上記の構成に限定されず、ロボットアーム等の他の構成により実現されてもよい。
【0035】
加工制御部7は、ヘッド駆動部6を制御することで、レーザヘッド4の移動を制御する。例えば、加工制御部7は、レーザヘッド4の位置情報を所定の周期で取得し、その取得した位置情報に基づいてヘッド駆動部6を制御することでレーザヘッド4の移動を制御する。また、加工制御部7は、アシストガス供給部5を制御してアシストガスの噴射を開始させ、レーザ発振器2から加工用レーザ光L1を出力させることで、照射光学系13からワークWに加工用レーザ光L1を照射させる。
【0036】
ノズルチェンジャ8は、交換制御部9からの制御に基づいて、ノズル12の交換を行う。ノズルチェンジャ8は、ノズル収容部(図示せず)に複数のノズル12を配置し、複数のノズル12のうち、いずれかのノズル12をレーザヘッド4の先端に装着する。交換制御部9は、ノズルチェンジャ8によるノズル12の交換を制御する。
【0037】
通知部10は、ノズル状態判定装置11に接続されている。通知部10は、ノズル状態判定装置11から得られた情報をユーザに通知する。例えば、通知部10は、ノズル12の交換に関する情報をユーザに通知する。ノズル12の交換に関する情報とは、例えば、ノズル12を交換することを示す情報と、ノズル12の交換が完了したことを示す情報とのいずれか又は両方である。通知部10は、例えば、表示部(ディスプレイ)又はスピーカを有する。ただし、これに限定されず、通知部10は、ノズル12の交換に関する情報をユーザに通知できればよく、例えば、ノズル12の交換に関する情報をユーザが利用する情報端末に通知してもよい。通知部10がユーザに通知する方法は、特に限定されないが、例えば、メールでの通知、ポップアップ通知、又はSNSを利用した通知であってもよい。ユーザが利用する情報端末とは、例えば、コンピュータ、携帯端末又はウェアラブル端末である。
【0038】
撮像部27は、レーザヘッド4に設けられる。撮像部27は、加工用レーザ光L1が照射される領域を撮像する。撮像部27は、撮像素子271を備える。撮像素子271は、照明用レーザ光L2の照明がワークWで反射錯乱した戻り光を検出し、画像Gを生成するイメージセンサである。すなわち、撮像部27は、ワークWの加工時にワークWから発せられた光をレーザヘッド4内におけるレーザ光通過空間の一部を介して検出することでワークWを撮像する。撮像部27は、撮像素子271により生成された画像Gをノズル状態判定装置11に送信する。
【0039】
画像処理装置31は、例えばコンピュータなどの情報処理装置である。画像処理装置31は、加工制御部7に接続されており、相互に情報を送受可能である。画像処理装置31は、撮像部27に接続されている。図3は、第1実施形態に係る画像処理装置31の機能部の一例を示す図である。画像処理装置31は、例えば、記憶部40と、加工状態計測部41と、判定部42とを備える。
【0040】
加工状態計測部41及び判定部42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integrated circuit)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0041】
記憶部40は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、又はRAM(Random Access Memory)等により構成される。上記のプログラムは、記憶部40に格納されていてもよい。
【0042】
加工状態計測部41は、レーザ加工中において、撮像部27により生成された画像Gを受信する。加工状態計測部41は、受信した画像Gに対する画像処理を実行し、加工状態に関する特徴量を求める。加工状態計測部41は、図4に例示するように、加工状態に関する特徴量として、例えばカーフ幅Kを算出する。例えば、加工状態計測部41は、レーザ加工によるカーフの両端のエッジを検出し、画像G上のエッジ間の距離を実スケールの距離に変換することでカーフ幅Kを算出する。加工状態計測部41は、加工状態に関する特徴量として、図5に例示するように、例えばレーザ加工によって加工されているワークWのエリアEの燃焼状態(例えば、輝度など)を数値化してもよい。
【0043】
判定部42は、レーザ加工機1によりレーザ光Lによる加工が行われていない際に撮像部27により生成されたノズル12の画像Gを受信する。判定部42は、受信したノズル12の画像Gに対する画像処理を実行し、画像Gに含まれるノズル穴121の形状に基づいてノズル12の状態を判定する処理(以下、「ノズル判定処理」という。)を実行する。ノズル12の状態とは、例えば、ノズル12の異常の有無である。
【0044】
判定部42は、例えば、ノズルチェンジャ8によるノズル12の交換が行われた場合にノズル判定処理を実行する。ただし、これに限定されず、ノズル判定処理は、ノズル12の交換に前後して実施されてもよい。換言すれば、ノズル判定処理は、ノズル12の交換の前及び後の少なくともいずれかの場合に実施されてもよい。また、ノズル判定処理は、ワークWの加工に際して実行されてもよい。ワークWの加工に際してとは、レーザ加工前、レーザ加工の工程中(レーザ照射中は除く)、及びレーザ加工の終了時の少なくともいずれかを含む。レーザ加工の工程中とは、レーザ加工が開始されてから一定時間が経過した場合と、異常が発生した場合など何らかの要因でレーザ加工が一時停止した場合との少なくともいずれかを含む。
【0045】
ここで、加工用レーザ光L1による加工が行われていない際に撮像される画像Gは、例えば、第1画像G1と第2画像G2を含む。第1画像G1と第2画像G2は、レーザ加工が行われていない場合において撮像部27が撮像したノズル12の画像であって、互いに明度が異なる。例えば、第1画像G1は、テスト用のワークWである第1テストプレートWt1で反射した照明用レーザ光L2が撮像部27によって検出されることで生成された画像である。例えば、第2画像G2は、テスト用のワークWであって、第1テストプレートWt1とは反射率の異なる第2テストプレートWt2で反射した照明用レーザ光L2が撮像部27によって検出されることで生成された画像である。第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2は、例えば、金属プレートである。例えば、第1テストプレートWt1は、ステンレスプレートである。例えば、第2テストプレートWt2は、黒メッキ処理された金属プレートである。なお、第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2は、一体型であってもよいし、別体であってもよい。
【0046】
図6及び図7は、第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2の配置の一例を示す図である。図6は、上面視での第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2の配置を示す。図7は、側面視での第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2の配置を示す。なお、図6及び図7は、加工用のワークWが加工領域に搬入された状態を示す。
【0047】
図6及び図7に示すように、レーザ加工機1は、移動可能なパレット50と、載置台51とを備える。レーザ加工が行われるワークWは、パレット50に載置されたまま加工領域へ搬入される。レーザ加工機1は、加工領域に搬入されたパレット50上のワークWをレーザ加工する。パレット50に載置されたワークWは、加工用のワーク(以下、「加工用ワーク」という。)Wrである。第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2は、載置台51に載置されている。載置台51は、加工領域に配置されている。第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2は、パレット50が加工領域に搬入された状態において、レーザヘッド4のX方向の移動範囲Hx及びY方向の移動範囲Hyの少なくともいずれかに配置されている。また、第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2は、隣接しており、X方向に並べられて配置されている。
【0048】
レーザ加工機1は、第1画像G1を取得する場合には、ノズル12を第1テストプレートWt1の上方に移動させる。そして、レーザ加工機1は、第1テストプレートWt1で反射した照明用レーザ光L2を撮像部27にて検出することで第1画像G1を取得する。レーザ加工機1は、第2画像G2を取得する場合には、ノズル12を第2テストプレートWt2の上方に移動させる。そして、レーザ加工機1は、第2テストプレートWt2で反射した照明用レーザ光L2を撮像部27にて検出することで第2画像G2を取得する。なお、パレット50の動作は、加工制御部7によって制御されてもよいし、他の装置によって制御されてもよい。
【0049】
図8(A)は、本実施形態に係る第1画像G1の一例を示す図である。図8(B)は、本実施形態に係る第2画像G2の一例を示す図である。判定部42は、図8(A)に例示する第1画像G1と、図8(B)に例示する第2画像G2を取得する。判定部42は、取得した第1画像G1と第2画像G2との差分画像G3を生成する。図9は、本実施形態に係る差分画像G3の一例を示す図である。
【0050】
判定部42は、第1画像G1と第2画像G2との差分画像G3に基づいてノズル穴121の形状を求める。ここで、ノズル穴121の形状を求めるために使用される画像は、撮像部27によって撮像されたノズル12の画像又はその画像によって生成される画像であればよく、差分画像G3に限定されない。ただし、撮像部27によって撮像されたノズル12の画像は、ノズル12とノズル穴121のコントラスト(明度差)が小さくノズル穴121の輪郭が不鮮明になる場合がある。そのため、判定部42は、一例として、画像上においてノズル穴121の輪郭をより鮮明にするために、明度の異なる第1画像G1と第2画像G2との差分画像G3を生成する。そして、判定部42は、差分画像G3に基づいてノズル穴121の形状を求める。従って、判定部42は、より精度よくノズル穴121の形状を求めることができる。
【0051】
判定部42は、例えば、二値化、輪郭検出、フィッティング処理(例えば、楕円フィッティング又は真円フィッティング)などの公知の画像処理を差分画像G3に適用することによって、差分画像G3に含まれるノズル穴121の形状に関する特徴量を生成する。ノズル穴121の形状に関する特徴量とは、例えば、ノズル12の穴径R、円形度D、扁平率f、及びノズル穴121の中心位置のうち少なくとも1つである。
【0052】
判定部42は、例えば、差分画像G3に対して楕円フィッティングを適用することでノズル12の穴径Rを求める。例えば、判定部42は、図10(a)に例示するように、差分画像G3に含まれるノズル12の穴径Rの輪郭に対して楕円をフィッティングさせる楕円フィッティングを行う。判定部42は、楕円フィッティングにおいてフィッティングさせた楕円の長径R1と短径R2とを求める。そして、判定部42は、以下の式(1)に基づいて、ノズル12の穴径Rを求める。
【0053】
穴径R=((長径R1+短径R2)/2)×光学倍率 …(1)
【0054】
判定部42は、差分画像G3に対して真円フィッティングを適用することでノズル12の穴径Rを求めてもよい。例えば、判定部42は、図10(b)に例示するように、差分画像G3に含まれるノズル12の穴径Rの輪郭に対して真円(最小外接円)をフィッティングさせる真円フィッティングを行ってもよい。この場合には、判定部42は、真円フィッティングにおいてフィッティングさせた真円の直径R3を求める。そして、判定部42は、真円の直径R3に対して光学倍率を乗算することでノズル12の穴径Rを求める。なお、判定部42は、楕円フィッティングの処理及び真円フィッティングの処理のそれぞれを適用し、その2つの処理結果に基づいて、穴径R求めてもよい。なお、判定部42は、第1画像G1、第2画像G2又は差分画像G3に対して楕円フィッティング又は真円フィッティングを適用することで、画像上におけるノズル穴121の中心位置を求めてもよい。
【0055】
判定部42は、例えば、ノズル穴121の形状として、差分画像G3に含まれるノズル穴121の領域(図9に例示する符号NHの部分、つまり輝度の高い部分)の円形度Dを求める。ノズル12の孔の面積をSとし、周囲長をLとした場合に、円形度Dは、例えば、以下の式(2)で求められる。
【0056】
円形度D=4・π・S/(L) …(2)
【0057】
判定部42は、例えば、ノズル穴121の形状として、差分画像G3に含まれるノズル12の領域(図9に例示する符号NHの部分、つまり輝度の高い部分)の扁平率fを求める。例えば、判定部42は、差分画像G3に含まれるノズル穴121の輪郭に対して楕円フィッティングを行う。判定部42は、楕円フィッティングにおいてフィッティングさせた楕円の長半径r1と短半径r2とを求める。そして、判定部42は、以下の式(3)に基づいてノズル穴121の扁平率fを求める。図11は、楕円フィッティングによって求められる扁平率fの一例を示す図である。
【0058】
扁平率f=(r1-r2)/r1 …(3)
【0059】
判定部42は、差分画像G3に基づくノズル穴121の形状が、ワークWの加工に使用されるノズル12の初期形状に対して予め設定された所定範囲を超えている場合に、ノズル12に異常があると判定する。ノズル12の初期形状とは、ノズル12に異常が無い場合のノズル穴121の形状であって、例えば、レーザ加工の加工条件として設定されているノズル穴121の形状である。
【0060】
例えば、初期形状として、ノズル12の穴径Rの規定値Rthと、円形度Dの規定値Dthと、扁平率fの規定値fthとの少なくともいずれかが予め記憶部40に登録されている。判定部42は、差分画像G3から求めたノズルの穴径R、円形度D及び扁平率fの少なくともいずれかと、その規定値とを比較することでノズル12に異常があるか否かを判定してもよい。例えば、判定部42は、穴径Rと規定値Rthとの差である変動幅ΔR(=|R-Rth|)が第1閾値を超えた場合には、ノズル12に異常があると判定してもよい。判定部42は、円形度Dと規定値Dthとの差である変動幅ΔD(=|D-Dth|)が第2閾値を超えた場合には、ノズル12に異常があると判定してもよい。判定部42は、扁平率fと規定値fthとの差である変動幅Δf(=|f-fth|)が第3閾値を超えた場合にノズル12に異常があると判定してもよい。
【0061】
以下に、第1実施形態に係るノズル判定処理の流れを、図12を用いて説明する。図12は、第1実施形態に係るノズル判定処理のフロー図である。判定部42は、例えば、ノズル12の交換に関する情報を交換制御部9から受信した場合には、ノズル判定処理を実施する。例えば、判定部42は、加工制御部7から、レーザ加工が開始されること又はレーザ加工が終了したことを示す情報を受信した場合には、ノズル判定処理を実施する。判定部42は、何らかのトリガーの信号が入力されたことを契機として、ノズル判定処理を実施してもよい。
【0062】
画像処理装置31は、ノズル判定処理を実施する場合には、その旨を示す第1情報を加工制御部32に送信する。加工制御部32は、画像処理装置31から第1情報を受信した場合には、ヘッド駆動部6を制御してレーザヘッド4を第1テストプレートWt1の上方に移動させる(ステップS101)。レーザヘッド4が第1テストプレートWt1の上方に移動すると、撮像部27は、第1テストプレートWt1で反射した照明用レーザ光L2(戻り光)をレーザヘッド4内におけるレーザ光通過空間の一部を介して検出することでノズル12の第1画像G1を生成する(ステップS102)。撮像部27は、生成した第1画像G1を画像処理装置31に送信する。
【0063】
加工制御部32は、第1画像G1の生成が完了すると、ヘッド駆動部6を制御してレーザヘッド4を第2テストプレートWt2の上方に移動させる(ステップS103)。レーザヘッド4が第2テストプレートWt2の上方に移動すると、撮像部27は、第2テストプレートWt2で反射した照明用レーザ光L2(戻り光)をレーザヘッド4内におけるレーザ光通過空間の一部を介して検出することでノズル12の第2画像G2を生成する(ステップS104)。撮像部27は、生成した第2画像G2を画像処理装置31に送信する。
【0064】
判定部42は、第1画像G1と第2画像G2との差分画像G3を生成する(ステップS105)。判定部42は、差分画像G3に対して上記のフィッティング処理を含む画像処理を適用することで差分画像G3上のノズル穴121の形状を数値化する(ステップS106)。判定部42は、数値化したノズル穴121の形状に関する特徴量に基づいてノズル12に異常があるか否かを判定する(ステップS107)。判定部42は、数値化したノズル穴121の形状に関する特徴量と予め設定された規定値との差が閾値を超えた場合に、ノズル12に異常があると判定する。なお、ノズル穴121の形状に関する特徴量は、例えば、ノズル12の穴径R、円形度D、及び扁平率fのうちの1つ以上を含む。判定部42は、数値化したノズル穴121の形状に関する特徴量と予め設定された規定値との差が閾値以下の場合に、ノズル12に異常がないと判定してノズル判定処理を終了する。
【0065】
加工制御部7は、判定部42によりノズル12に異常があると判定された場合、レーザ加工機1によるワークWの加工を中止してもよい(ステップS108)。例えば、加工制御部7は、ノズル状態判定装置11と通信を行い、ノズル状態判定装置11が行ったステップS107の処理の判定結果がノズル12の異常を示す結果である場合には、ワークWの加工を中止する。加工制御部7は、判定部42によりノズル12に異常があると判定された場合、ノズルチェンジャ8によりノズル12を交換させるように、交換制御部9に指示してもよい(ステップS109)。交換制御部9は、加工制御部7からの指示に基づいてノズルチェンジャ8を制御する。例えば、交換制御部9は、加工制御部7からの指示があった場合には、レーザ加工の停止後に、予備のノズル12に交換するようにノズルチェンジャ8を制御する。
【0066】
ステップS109において、加工制御部7は、判定部42によりノズル12に異常があると判定された場合、ノズル12を交換すべき旨を通知部10からユーザへ通知するように指示してもよい。通知部10は、加工制御部7からの指示があった場合には、ノズル12を交換すべき旨の情報をユーザに通知する。この場合には、ユーザは、手動にてノズル12の交換を行ってもよい。
【0067】
以下に、第1実施形態の作用効果について説明する。レーザ加工機1は、レーザヘッド4の先端のノズル穴121から加工用レーザ光L1とアシストガスとを出力することでワークWの一部を溶融し、アシストガスで溶融した材料を除去しながらワークWをレーザ加工する。アシストガスが酸素の場合には、燃焼を促進させる働きもある。ここで、ノズル穴121が真円又はほぼ真円である場合には、レーザ加工の加工品質は高い。ノズル12がレーザ加工中の熱によって焼損したり、ワークWと衝突したりするなどによりノズル穴121が変形してしまうと、ノズル穴121が真円ではなくなる場合がある。ノズル穴121が変形して真円ではなくなると、アシストガスの効果が一様でなくなり、加工品質が加工方向によってばらつく場合がある。また、ノズル穴121の変形によって、ノズル穴121の開口面積が小さくなると、アシストガスの供給量が低下し、加工品質が低下する場合がある。
【0068】
一般的に、ワークWの材質、ワークWの板厚、及びアシストガスの種類によって、最適な穴径のノズル12を選定してレーザヘッド4に装着することが求められる。しかしながら、ユーザが間違って不適切な穴径のノズル12をレーザヘッド4に装着してしまう誤装着が発生する場合がある。ノズル12の誤装着は、レーザ加工が実施される前には発覚せず、レーザ加工が開始されてからレーザ加工の加工不良が発生することで発覚する場合がある。
【0069】
このような問題を解決するために、レーザヘッドの外部にノズルの状態を判定するための新たなセンサを設け、そのセンサの検出結果に基づいてノズルの状態を判定することも考えられるが、コストアップの要因になる。また、レーザヘッドの外部に配置された上記の新たなセンサでは、レーザヘッドの内側の構造に起因する異常がノズルに発生した場合には、その状態を適切に判定することが難しい場合がある。
【0070】
第1実施形態に係るレーザ加工機1では、レーザ加工が行われていない場合に撮像部27によりノズル12を撮像し、撮像部27によって撮像されたノズル12の画像に含まれるノズル穴121の形状に基づいてノズル12の状態を判定する。これらの構成により、新たなセンサを用いることなく、ノズル12の状態を判定することができる。その結果、上記のコストアップを発生させることなく、ノズル穴121の変形及びノズル12の誤装着を検出することができる。また、撮像部27は、ワークWから発せられた光をレーザヘッド4内におけるレーザ光通過空間の一部を介して検出することでノズル12を撮像する。すなわち、第1実施形態においてノズル12の状態を判定するために用いる画像は、ノズル穴121をレーザヘッド4の外側から撮像した画像ではなく、レーザヘッド4の内側から撮像した画像である。従って、レーザ加工機1は、レーザヘッド4の内側の構造に起因する異常がノズル12に発生した場合には、その異常を検出することができ、ノズル12の状態を適切に判定することができる。
【0071】
第1実施形態において、レーザ加工機1は、第1テストプレートWt1と第2テストプレートWt2を用いて第1画像G1及び第2画像G2を生成したが、これに限定されない。すなわち、レーザ加工機1は、撮像部27によって第1画像G1及び第2画像G2を生成できればよく、その生成方法には特に限定されない。例えば、レーザ加工機1は、照明光L3を照射する照明装置200を用いて第1画像G1及び第2画像G2を生成してもよい。図13は、レーザ加工機1の変形例を示す図である。例えば、レーザ加工機1は、照明装置200を備える。例えば、照明装置200は、載置台51に載置され、移動範囲Hx及び移動範囲Hyの少なくともいずれかの移動範囲内に配置されている。
【0072】
照明装置200は、ノズル12の下方からノズル穴121に向けて照明光L3を照射可能である。例えば、画像処理装置31は、照明装置200に接続されており、画像処理装置31による制御によって、ノズル穴121に向けて照明光L3を照射する第1状態と、照明光L3を照射しない第2状態とのいずれかに切り替えられる。撮像部27は、レーザヘッド4が照明装置200の上方に位置している場合において、照明装置200が第1状態と第2状態とのそれぞれの状態のときにノズル12を撮像する。すなわち、撮像部27は、照明装置200が第1状態のときに撮像することで第1画像G1を生成する。撮像部27は、照明装置200が第2状態のときに撮像することで第2画像G2を生成する。なお、第2状態では、第1状態よりも照度が低い状態であれば照明光L3が照射されてもよい。
【0073】
レーザ加工機1は、照明装置200を用いる場合には、第1状態で撮像した画像のみを用いてノズル穴121の形状を求めてもよい。ノズル穴121に向けて照明光L3を照射する第1状態で撮像した画像は、ノズル12とノズル穴121のコントラスト(明度差)が大きく、ノズル穴121の輪郭が鮮明になる場合がある。よって、判定部42は、第1画像G1と第2画像G2との差分画像G3を生成する必要がなく、第1状態で撮像したノズル12の画像に対して上記の画像処理を適用することでノズル穴121の形状を求めてもよい。
【0074】
第1実施形態において、第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2を覆う、開閉可能なカーバ等の防塵機構を設けてもよい。第1画像G1及び第2画像G2を生成する場合には、防塵機構が開状態に制御される。
【0075】
第1実施形態において、判定部42は、1つ以上の差分画像G3に基づいてノズル12の状態を判定すればよく、複数の差分画像G3に基づいてノズル12の状態を判定してもよい。この場合には、判定部42は、各差分画像G3に基づいて求めたノズル穴121の形状に関する特徴量を平均化し、その平均化したノズル穴121の形状に関する特徴量と規定値とを比較することでノズル12の状態を判定してもよい。
【0076】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図14は、第2実施形態に係るレーザ加工機1Aを示す図である。第2実施形態に係るレーザ加工機1Aは、加工用レーザ光L1を出射して加工対象であるワークWに対して、切断,マーキング加工などのレーザ加工を行う。ここで、第2実施形態のマーキング加工は、貫通孔を形成することなくワークWの表面にマーキングする加工であって、レーザの出力及び周波数を適切に調整することで、ワーク表面だけを変質させ(焦がす)、元のワークWの色とは異なる色に変色させる。マーキング加工によってワークWに形成されたマークを「マーキング痕MK」と称する場合がある。
【0077】
レーザ加工機1Aは、レーザ発振器2と、レーザヘッド4と、アシストガス供給部5と、ヘッド駆動部6と、加工制御部7Aと、ノズルチェンジャ8と、交換制御部9と、通知部10Aと、アクチュエータ60と、調整制御部61と、芯ずれ検出装置62とを備える。芯ずれ検出装置62は、照明部3と、観察光学系14と、撮像部27と、画像処理装置31Aとを備える。
【0078】
加工制御部7Aは、ヘッド駆動部6を制御することで、レーザヘッド4の移動を制御する。例えば、加工制御部7Aは、レーザヘッド4の位置情報を所定の周期で取得し、その取得した位置情報に基づいてヘッド駆動部6を制御することでレーザヘッド4の移動を制御する。また、加工制御部7Aは、アシストガス供給部5を制御してアシストガスの噴射を開始させ、レーザ発振器2から加工用レーザ光L1を出力させることで、照射光学系13からワークWに加工用レーザ光L1を照射させる。
【0079】
通知部10Aは、芯ずれ検出装置62に接続されている。通知部10Aは、芯ずれ検出装置62から得られた情報をユーザに通知する。例えば、通知部10Aは、芯ずれに関する情報をユーザに通知する。芯ずれに関する情報とは、例えば、芯ずれがあることを示す情報と、芯ずれの量(以下、「芯ずれ量」という。)を示す情報とのいずれか又は両方である。通知部10Aは、通知部10と同様に、例えば、表示部(ディスプレイ)又はスピーカを有してもよい。ただし、これに限定されず、通知部10Aは、芯ずれに関する情報をユーザに通知できればよく、例えば、芯ずれに関する情報をユーザが利用する上記の情報端末に通知してもよい。通知部10Aによるユーザへの通知の方法は、通知部10と同様であってもよい。
【0080】
アクチュエータ60は、集光レンズ23の位置を自動で調整する。例えば、アクチュエータ60は、集光レンズ23の光軸に垂直な面内における集光レンズ23の位置を調整する。集光レンズ23の位置の調整によって、加工用レーザ光L1の中心位置(光軸)が調整される。調整制御部61は、アクチュエータ60を制御する。調整制御部61は、アクチュエータ60を制御して加工用レーザ光L1の中心位置を調整する。
【0081】
画像処理装置31Aは、例えばコンピュータなどの情報処理装置である。画像処理装置31Aは、加工制御部7Aに接続されており、相互に情報を送受可能である。画像処理装置31Aは、撮像部27に接続されている。画像処理装置31Aは、ノズルチェンジャ8に接続されている。図15は、第2実施形態に係る画像処理装置31Aの機能部の一例を示す図である。画像処理装置31Aは、例えば、記憶部40と、加工状態計測部41と、検出部70と、異常判定部71とを備える。
【0082】
撮像部27は、レーザ加工が行われていていない際にマーキング痕MKを撮像する。検出部70は、撮像部27が撮像したマーキング痕MKの画像G(以下、「画像Gm」という。)に基づいて、ノズル穴121の中心位置Onに対するレーザ光の中心位置Orのずれ、すなわち芯ずれを検出する。ここで、マーキング痕MKは、例えば、テスト用のワークWである第3テストプレートWmに対してマーキング加工が行われることで、第3テストプレートWmの表面に形成される。図16及び図17は、第3テストプレートWmの配置の一例を示す図である。図16は、上面視での第3テストプレートWmの配置を示す。図17は、側面視での第3テストプレートWmの配置を示す。なお、図16及び図17は、加工用ワークWrが加工領域に搬入された状態を示す。
【0083】
図16及び図17に示すように、レーザ加工機1Aは、移動可能なパレット50と、載置台51Aとを備える。レーザ加工が行われる加工用ワークWrは、パレット50Aに載置されたまま加工領域へ搬入される。レーザ加工機1Aは、加工領域に搬入されたパレット50上の加工用ワークWrをレーザ加工する。第3テストプレートWmは、載置台51Aに載置されている。載置台51Aは、加工領域に配置されている。第3テストプレートWmは、パレット50が加工領域に搬入された状態において、レーザヘッド4のX方向の移動範囲Hx及びY方向の移動範囲Hyの少なくともいずれかに配置されている。
【0084】
レーザ加工機1Aは、画像Gmを取得する場合には、レーザヘッド4を第3テストプレートWmの上方に移動させる。そして、レーザ加工機1Aは、第3テストプレートWmに対してマーキング加工を行うことで、第3テストプレートWmの表面にマーキング痕MKを形成する。図18は、第3テストプレートWmに対するマーキング加工を説明する図である。例えば、レーザヘッド4は、第3テストプレートWmに対するマーキング加工の回数は、1回以上である。加工制御部7Aは、マーキング加工の回数をカウンタ72などで管理している。なお、図18に示すかっこ内の数字は、その数字に対応するマーキング痕MKが何回目のマーキング加工によって形成されたかを示す情報である。
【0085】
加工制御部7Aは、第3テストプレートWmに対してマーキング加工を行う位置(以下、「マーキング位置」という。)を制御している。マーキング位置は、例えば、XY平面における第3テストプレートWm上の位置である。マーキング加工が2回以上行われる場合には、第3テストプレートWm上の同じ箇所にマーキング加工を行わないようにマーキング加工を行う順序が設定されている。
【0086】
例えば、加工制御部7Aは、カウンタ72のカウント値からマーキング加工を行うべきマーキング位置を算出する。加工制御部7Aは、算出したマーキング位置に対してマーキング加工を実行させる。すなわち、加工制御部7Aは、カウンタ72のカウント値に応じたマーキング位置に対してマーキング加工を実行させる。ただし、これに限定されず、例えば、加工制御部7Aは、マーキング回数と、マーキング位置とが対応づけられたマーキング情報を有してもよい。
【0087】
加工制御部7Aは、カウンタ72のカウント値に基づいて、次のマーキング加工を行うマーキング回数を求め、求めたマーキング回数に対応するマーキング位置をマーキング情報から取得する。加工制御部7Aは、取得したマーキング位置にマーキング加工を行う。マーキング位置の間隔は、過去のマーキングの影響を受けない間隔で、等間隔に設定されてもよい。また、マーキング位置の配置は、図19(A)に示すように正四角形の格子状であってもよいし、図19(B)に示すように正六角形の格子状であってもよい。撮像部27は、マーキング痕MKを撮像することで、マーキング痕MKの画像Gmを生成する。撮像部27は、生成した画像Gmを画像処理装置31Aに送信する。
【0088】
図20は、検出部70による芯ずれの検出方法を説明する図である。検出部70は、マーキング痕MKの画像Gmに対する画像処理を実行し、マーキング痕MKの画像Gm上におけるレーザ光の中心位置Orを検出する。レーザ光の中心位置Orは、例えば、マーキング痕MKの中心位置である。画像処理は、例えば、二値化、輪郭検出、楕円又は真円フィッティングなどの既存の処理を含む。また、検出部70は、撮像部27が撮像した画像上のノズル穴121の中心位置Onを検出する。検出部70による中心位置Onの検出方法は、第1実施形態で説明した方法と同様である。なお、中心位置Onを検出するために使用される画像は、マーキング痕MKの画像Gであってもよいが、これに限定されず、マーキング痕MK以外の画像であってもよい。検出部70は、検出したレーザ光の中心位置Orとノズル穴121の中心位置Onとの偏差である芯ずれ量Sを求める。
【0089】
異常判定部71は、検出部70が検出した芯ずれ量Sが規定の閾値Sth以上であるか否かを判定する。異常判定部71は、芯ずれ量Sが規定の閾値Sth以上であると判定した場合には異常と判定する。異常判定部71により異常と判定された場合には、加工制御部7Aは、レーザ加工機1Aによる加工用ワークWrの加工を中止してもよい。加工制御部7Aは、異常判定部71により異常と判定された場合には、加工制御部7Aは、異常判定部71が検出した芯ずれ量に応じた、集光レンズ23の位置の調整量を通知部10Aからユーザに通知するように指示してもよい。
【0090】
加工制御部7Aは、異常判定部71により異常と判定された場合には、異常判定部71が芯ずれ量に応じて集光レンズ23の位置を自動で調整させるように調整制御部52に指示してもよい。例えば、加工制御部7Aは、調整制御部52に指示を行うにあたって、芯ずれ量Sの情報を異常判定部71から取得し、その取得した芯ずれ量Sの情報を調整制御部52に送信してもよいし、その取得した芯ずれ量Sに応じた調整量を調整制御部52に送信してもよい。調整制御部52は、芯ずれ量Sを受信した場合には、その芯ずれ量Sがなくなるようにアクチュエータ60を制御する。調整制御部52は、調整量を受信した場合には、その調整量に応じてアクチュエータ60を制御する。
【0091】
以下に、芯ずれ検出処理の流れを、図21を用いて説明する。図21は、芯ずれ検出方法のフロー図である。検出部70は、例えば、ノズルチェンジャ8によるノズル12の交換が行われた場合に、芯ずれ検出処理を実施する。ただし、これに限定されず、芯ずれ検出処理を実施するタイミングは、レーザ加工の開始時であってもよいし、レーザ加工の終了時であってもよい。例えば、検出部70は、ノズル12の交換に関する情報としてノズル12の交換が行われたことを示す情報を交換制御部9から受信した場合には、芯ずれ検出処理を実施してもよい。例えば、検出部70は、加工制御部7Aから、レーザ加工が開始されること又はレーザ加工が終了したことを示す情報を受信した場合には、芯ずれ検出処理を実施してもよい。異常判定部71は、何らかのトリガーの信号が入力されたことを契機として、芯ずれ検出処理を実施してもよい。
【0092】
画像処理装置31Aは、検出部70によって芯ずれ検出処理を実施する際には、まず、その旨を示す第2情報を加工制御部32に送信する。加工制御部32は、画像処理装置31Aから第2情報を受信した場合には、ヘッド駆動部6を制御し、レーザヘッド4に対して、第3テストプレートWmの表面に貫通孔を形成しないマーキング加工を実行させる(ステップS201)。レーザヘッド4によって第3テストプレートWmにマーキング加工が行われると、撮像部27は、レーザ加工が行われていていない際に、マーキング加工によって第3テストプレートWmに形成されたマーキング痕MKを撮像することでマーキング痕MKの画像Gmを生成する(ステップS202)。撮像部27は、生成したマーキング痕MKの画像Gmを画像処理装置31Aに送信する。
【0093】
検出部70は、撮像部27からマーキング痕MKの画像Gmを取得する。検出部70は、取得したマーキング痕MKの画像Gmに対して真円フィッティングを含む画像処理を適用することで画像Gm上における加工用レーザ光L1の中心位置Orを検出する(ステップS203)。
【0094】
検出部70は、検出した加工用レーザ光L1の中心位置Orと、ノズル穴121の中心位置Onとの偏差を求めることで芯ずれ量Sを検出する(ステップS204)。なお、検出部70は、事前に撮像部27で撮像したノズル12の画像に対して真円フィッティングを含む画像処理を適用することでノズル穴121の中心位置Onを検出している。異常判定部71は、検出部70が検出した芯ずれ量が閾値Sth以上であるか否かを判定する(ステップS205)。
【0095】
異常判定部71は、検出部70が検出した芯ずれ量Sが閾値Sth以上である場合には異常と判定する。加工制御部7Aは、異常判定部71と通信し、異常判定部71により異常と判定された場合には、レーザ加工機1AによるワークWの加工を中止してもよい(ステップS206)。加工制御部7Aは、異常判定部71により異常と判定された場合には、芯ずれ量Sに応じた、集光レンズ23の位置の調整量を通知部10Aからユーザへ通知するように指示してもよい。通知部10Aは、加工制御部7Aからの指示があった場合には、芯ずれ量に応じた、集光レンズ位置の調整量をユーザに通知する。
【0096】
図22は、レーザ加工機1Aのユーザインターフェース(例えば、GUI)の一例を示す図である。例えば、図22に例示するように、レーザ加工機1Aが有する表示装置(例えば、通知部10A)には、ユーザインターフェースの一例として、加工条件及び芯出しの調整に関する情報の表示画面80が表示される。芯出しとは、ノズル穴121の中心位置と加工用レーザ光の中心位置とを一致させることである。表示画面80は、第1表示領域81Aと、第2表示領域81Bとを有する。第1表示領域81Aには、レーザ加工機1Aの加工条件が表示される。例えば、加工条件は、レーザ加工に使用される、加工用ワークWrの材質、板厚、レンズの焦点距離、ノズル径、アシストガスなどの情報である。これらの加工条件は、ファイルに登録されており、読込ボタンを操作して上記のファイルを読み込むことでレーザ加工機1Aに設定される。
【0097】
第2表示領域81Bには、芯出しの調整方法が表示される。例えば、レーザヘッド4には、手動でアクチュエータ60を動作させる操作部が設けられている。この操作部は、加工用レーザ光L1の中心位置(光軸)をXY方向に調整する第1操作部82Lと第2操作部82Rとを有している。なお、第2表示領域81Bには、第1操作部82Lと第2操作部82Rとが模式的に示されている。第2表示領域81Bには、芯出しが必要な場合、すなわち芯ずれ量Sが閾値Sth以上である場合において、芯出しを行うための操作部の操作方法が表される。
【0098】
図22の例では、操作部の操作方法として、8つの操作パターンP1~P8のうち、芯出しを行うパターンがどのパターンであるかが表示されている。また、第2表示領域81Bには、ステップS208の処理の判定結果(例えば、「OK」又は「NG」)83と、芯ずれ量Sに応じた、集光レンズ23の位置の調整量84とが表示される。例えば、芯ずれ量Sに応じた、集光レンズ23の位置の調整量とは、操作部の操作量(例えば、第1操作部82Lの回転量84Lと第2操作部82Rの回転量84R)である。図22の例では、芯出しの調整方法として、第1操作部82Lのみを左側に回転させる操作パターンP8が選択されている。従って、この場合には、第2表示領域81Bには第1操作部82Lの回転量が回転量84Lとして表示される。
【0099】
以下に、第2実施形態の作用効果について説明する。ノズル穴121の中心位置と加工用レーザ光の中心位置が一致していない、すなわち芯ずれが発生している場合には、第1実施形態で説明したアシストガスの効果が一様でなくなり、加工品質が加工方向によってばらつく場合がある。そのため、芯ずれを検出し、その芯ずれを補正する芯出しを行うことが求められる。ところで、芯ずれを検出するにあたって、レーザ加工によってワークに形成された貫通孔の画像に対して画像処理を行うことで貫通孔の中心位置(レーザ光の中心位置)と、ノズル穴121の中心位置とのずれである芯ずれを検出することが考えられる。ただし、レーザ加工による貫通孔の形成時には、ワークの溶融物であるドロスが噴出し、このドロスがワークに付着することがある。従って、上記した画像処理で正確な中心位置を検出できるようなきれいな貫通孔を安定的に形成することができないため、芯ずれの検出精度が悪いといった問題がある。
【0100】
第2実施形態では、貫通孔を形成することなくワークWの表面にマーキング加工することによって形成されたマーキング痕MKの画像Gmを用いて芯ずれを検出する。このような構成により、ドロスの噴出を抑制することができ、芯ずれの検出精度が低下するのを抑制することができる。
【0101】
第2実施形態において、レーザ加工機1Aは、カウンタ72のカウント値が所定数に到達した場合には、第3テストプレートWmを交換するようにユーザに促してもよい。例えば、レーザ加工機1Aは、カウンタ72のカウント値が所定数に到達した場合には、第3テストプレートWmを交換することを通知部10Aから通知するように指示してもよい。
【0102】
第2実施形態において、カウンタ72のカウント値のリセットは、第3テストプレートWmの交換時において、ユーザによる手動によって実行されてもよい。また、カウンタ72のカウント値のリセットは、第3テストプレートWmの交換がセンサ(図示せず)により検出された場合に実行されてもよい。
【0103】
第2実施形態において、第3テストプレートWmを覆う、カーバなどの防塵機構を設けてもよい。マーキング加工が行われる場合には、当該防塵機構が開状態に制御される。また、マーキング加工が実施される前に、第3テストプレートWm上にガスを吹き付けてクリーニングしてもよい。
【0104】
第2実施形態において、検出部70は、1つ以上の画像Gmに基づいて、加工用レーザ光L1の中心位置Orと、ノズル穴121の中心位置Onとの偏差である芯ずれ量を求めればよく、複数の画像Gmに基づいて芯ずれ量を求めてもよい。検出部70は、各画像Gmに基づいて求めた芯ずれ量を平均化し、その平均化した芯ずれ量を最終的な芯ずれ量としてもよい。
【0105】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図23は、第3実施形態に係るレーザ加工機1Bを示す図である。第3実施形態に係るレーザ加工機1Bは、第1実施形態のレーザ加工機1の機能と、第2実施形態のレーザ加工機1Aの機能とを有する。レーザ加工機1Bは、ノズル12の異常を判定し、かつ、芯ずれを検出する。レーザ加工機1Bは、加工用レーザ光L1を出射して加工対象であるワークWに対して、切断,マーキング加工などのレーザ加工を行う。ここで、第3実施形態のマーキング加工は、第2実施形態と同様であって、ワークWの表面にマーキング痕MKを形成する。
【0106】
レーザ加工機1Bは、レーザ発振器2と、レーザヘッド4と、アシストガス供給部5と、ヘッド駆動部6と、加工制御部7Bと、ノズルチェンジャ8と、交換制御部9と、通知部10Bと、アクチュエータ60と、調整制御部61と、画像処理システム100とを備える。画像処理システム100は、照明部3と、観察光学系14と、撮像部27と、画像処理装置31Bとを備える。画像処理システム100は、本発明のノズル状態判定装置又は芯ずれ検出装置の一例である。
【0107】
加工制御部7Bは、ヘッド駆動部6を制御することで、レーザヘッド4の移動を制御する。例えば、加工制御部7Bは、レーザヘッド4の位置情報を所定の周期で取得し、その取得した位置情報に基づいてヘッド駆動部6を制御することでレーザヘッド4の移動を制御する。また、加工制御部7Bは、アシストガス供給部5を制御してアシストガスの噴射を開始させ、レーザ発振器2から加工用レーザ光L1を出力させることで、照射光学系13からワークWに加工用レーザ光L1を照射させる。
【0108】
通知部10Bは、画像処理装置31Bに接続されている。通知部10Bは、画像処理装置31Bから得られた情報をユーザに通知する。例えば、通知部10Bは、ノズル12の交換に関する情報及び芯ずれに関する情報をユーザに通知する。通知部10Bは、通知部10と同様に、例えば、表示部(ディスプレイ)又はスピーカを有してもよい。ただし、これに限定されず、通知部10Bは、ノズル12の交換に関する情報及び芯ずれに関する情報をユーザに通知できればよく、例えばユーザが利用する上記の情報端末に通知してもよい。通知部10Bによるユーザへの通知の方法は、通知部10と同様であってもよい。
【0109】
画像処理システム100は、例えば、撮像部27と、画像処理装置31Bとを備える。画像処理装置31Bは、例えばコンピュータなどの情報処理装置である。画像処理装置31Bは、加工制御部7Bに接続されており、相互に情報を送受可能である。画像処理装置31Bは、撮像部27に接続されている。画像処理装置31Bは、ノズルチェンジャ8に接続されている。画像処理装置31Bは、通知部10Bに接続されている。画像処理装置31Bは、第1実施形態の画像処理装置31の機能と、第2実施形態の画像処理装置31Aの機能とを備える。図24は、第3実施形態に係る画像処理装置31Bの機能部の一例を示す図である。画像処理装置31Bは、例えば、記憶部40と、加工状態計測部41と、判定部42と、検出部70と、異常判定部71とを備える。
【0110】
加工状態計測部41、判定部42、検出部70、及び異常判定部71は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部又は全部は、LSI又はASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0111】
図25及び図26は、加工用ワークWrが加工領域に搬入された状態を示す。図25及び図26に示すように、レーザ加工機1Bは、移動可能なパレット50と、載置台51Bとを備える。レーザ加工機1Bは、載置台51Bを有する。載置台51Bは、加工領域に配置され、第1テストプレートWt1、第2テストプレートWt2及び第3テストプレートWmが載置されている。第1テストプレートWt1、第2テストプレートWt2及び第3テストプレートWmは、パレット50が加工領域に搬入された状態において、レーザヘッド4のX方向の移動範囲Hx及びY方向の移動範囲Hyの少なくともいずれかに配置されている。また、第1テストプレートWt1、第2テストプレートWt2及び第3テストプレートWmは、隣接しており、X方向に並べられて配置されている。
【0112】
以下に、第3実施形態に係るレーザ加工機1Bの動作の流れを、図27を用いて説明する。図27は、第3実施形態に係るレーザ加工機1Bの動作のフロー図である。レーザ加工機1Bは、まず、ノズル判定処理を実行する。ノズル判定処理に関するステップS301~ステップS309の処理は、ステップS101~ステップS109と同様であるため、説明を省略する。
【0113】
画像処理装置31Bは、ステップS309の処理が行われることによってノズル12が手動又は自動で交換された場合には、ステップS311の処理に移行して芯ずれ判定処理を開始する。一方、画像処理装置31Bは、ステップS307の処理においてノズル12に異常がないと判定された場合には、芯ずれ判定処理の実施タイミングにおいて、ステップS311の処理に移行して芯ずれ判定処理を開始する。例えば、画像処理装置31Bは、ステップS307の処理においてノズル12に異常がないと判定された場合には、芯ずれ検出処理の実施タイミングが到来した場合に(ステップS310:YES)、ステップS311の処理に移行する。芯ずれ検出処理の実施タイミングとは、例えば、ノズル12が交換されたタイミングで行われてもよいし、加工用ワークW2の加工に際して行われてもよい。
【0114】
ステップS311~ステップS316までの処理は、ステップS201~ステップS205及びステップS207の処理と同様であるため、説明を省略する。ここで、検出部70は、ステップ314の処理、すなわち芯ずれ量の検出にあたって、ノズル状態判定処理において撮像された第1画像G1又は第2画像G2に対して真円フィッティングを含む画像処理を適用することでノズル穴121の中心位置Onを予め検出してもよい。また、検出部70は、判定部42からノズル穴121の中心位置Onを取得してもよい。
【0115】
第3実施形態によれば、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、レーザ加工機1Bは、ノズル判定処理及び芯ずれ判定処理を実行可能であり、レーザヘッド4のノズル12の状態を適切に判定し、かつ、芯ずれの検出精度が低下するのを抑制することができる。
【0116】
第3実施形態において、レーザ加工機1Bは、第1テストプレートWt1、第2テストプレートWt2、及び第3テストプレートWmの3つのテストプレートを用いているが、これに限定されない。例えば、レーザ加工機1Bは、第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2の2つのテストプレートを用いてノズル判定処理及び芯ずれ検出処理を実施してもよい。一例として、レーザ加工機1Bは、第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2を用いて第1画像G1及び第2画像G2を生成した後に、第1テストプレートWt1及び第2テストプレートWt2のいずれかに対してマーキング加工を行ってもよい。
【0117】
<付記>
上記実施形態は、少なくとも以下の構成を開示する。
(構成1)
レーザヘッドから出射するレーザ光によりワークを加工するレーザ加工機における前記レーザヘッドのノズルの状態を判定するノズル状態判定装置であって、
前記ワークの加工時に前記ワークから発せられた光を前記レーザヘッド内におけるレーザ光通過空間の一部を介して検出することで前記ワークを撮像する撮像部と、
前記ノズルの状態を判定する判定部と、
を備え、
前記撮像部は、前記レーザ加工機により前記レーザ光による加工が行われていない際に前記ノズルを撮像し、
前記判定部は、前記撮像部によって撮像された前記ノズルの画像に含まれる前記ノズルの形状に基づいて前記ノズルの状態を判定する、
ノズル状態判定装置。
(構成2)
前記撮像部は、前記ノズルの第1画像と、前記第1画像とは明度が異なる前記ノズルの第2画像とを撮像し、
前記判定部は、前記第1画像と前記第2画像との差分画像を生成し、前記差分画像に基づいて前記ノズルの状態を判定する、
構成1に記載のノズル状態判定装置。
(構成3)
照明光を発生させる照明部を備え、
前記第1画像は、第1テストプレートで反射した前記照明光が前記撮像部によって検出されることで生成された画像であり、
前記第2画像は、前記第1テストプレートとは反射率の異なる第2テストプレートで反射した前記照明光が前記撮像部によって検出されることで生成された画像である、
構成1又は構成2に記載のノズル状態判定装置。
(構成4)
前記判定部は、前記撮像部が撮像した画像に基づく前記ノズルの形状が、前記ワークの加工に使用される前記ノズルの初期形状に対して予め設定された所定範囲を超えている場合に、前記ノズルに異常があると判定する、
構成1から構成3のいずれかの構成に記載のノズル状態判定装置。
(構成5)
前記レーザ加工機は、前記ノズルを自動で交換するノズルチェンジャを備え、
前記判定部は、前記ノズルチェンジャによって行われる前記ノズルの交換に関する情報を取得し、前記ノズルの交換に前後して前記ノズルの状態を判定する、
構成4に記載のノズル状態判定装置。
(構成6)
前記判定部は、前記レーザ加工機による前記ワークの加工に際して、前記ノズルの状態を判定する、
構成1から構成5のいずれかの構成に記載のノズル状態判定装置。
(構成7)
前記判定部は、前記撮像部が撮像した前記ノズルの画像に対する楕円フィッティングの処理、又は前記撮像部が撮像した前記ノズルの画像に対する真円フィッティングの処理を実行し、前記処理の結果に基づいて前記ノズルの穴径、円形度、及び扁平率のうち少なくとも1つを求める、
構成1から構成6のいずれかの構成に記載のノズル状態判定装置。
(構成8)
ノズルからレーザ光を出射し、前記レーザ光により前記ワークを加工する前記レーザヘッドと、
前記レーザヘッドの前記ノズルの状態を判定する、構成1から構成7のいずれかの構成に記載のノズル状態判定装置と、
を備える、
レーザ加工機。
(構成9)
前記ノズルを自動で交換するノズルチェンジャと、前記ノズルチェンジャによる前記ノズルの交換を制御する交換制御部と、
前記ノズル状態判定装置により前記ノズルに異常があると判定された場合、前記ノズルチェンジャにより前記ノズルを交換させるように、前記交換制御部に指示する加工制御部と、
を備える、構成8に記載のレーザ加工機。
(構成10)
前記ノズルを自動で交換するノズルチェンジャと、
前記ノズルの交換に関する情報をユーザに通知する通知部と、
前記ノズル状態判定装置により前記ノズルに異常があると判定された場合、前記ノズルを交換すべき旨を前記通知部から通知するように指示する加工制御部と、
を備える、構成8又は構成9に記載のレーザ加工機。
(構成11)
前記ノズル状態判定装置により前記ノズルの異常が判定された場合、前記ワークの加工を停止する加工制御部を備える、
構成8から構成10のいずれかの構成に記載のレーザ加工機。
(構成12)
前記レーザヘッドは、前記レーザ光によりワークの表面にマーキング加工を行い、
前記ノズル状態判定装置に備える前記撮像部により撮影される画像であって前記マーキング加工によって前記ワークに形成されるマーキング痕の画像と、予め取得している前記ノズルの穴の中心位置に関する情報とに基づいて、前記ノズルの穴の中心位置に対する前記レーザ光の中心位置の芯ずれを検出する検出部を備える、
構成8から構成11のいずれかの構成に記載のレーザ加工機。
【0118】
また、上記実施形態は、少なくとも以下の構成をさらに開示する。
(構成13)
加工用のレーザ光を発生させるレーザ発振器と、前記レーザ発振器が発生させた前記レーザ光を集光してワークに照射する集光レンズを収容するレーザヘッドとを備えたレーザ加工機における前記レーザ光の芯ずれを検出する芯ずれ検出装置であって、
前記ワークの加工時に前記ワークから発せられた光を前記レーザヘッド内におけるレーザ光通過空間の一部を介して検出することで前記ワークを撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像される画像であって前記ワークに対して貫通孔を形成しないマーキング加工によって前記ワークに形成されるマーキング痕の画像 と、予め取得している前記レーザヘッドのノズル穴の中心位置に関する情報と、に基づいて前記レーザ光の前記芯ずれを検出する画像処理装置と、
を備える、芯ずれ検出装置。
(構成14)
前記レーザ加工機は、前記レーザヘッドのノズルを自動で交換するノズルチェンジャを備え、
前記画像処理装置は、前記ノズルチェンジャによって行われる前記ノズルの交換に関する情報を取得し、前記ノズルチェンジャによる前記ノズルの交換に前後して前記芯ずれを検出する、
構成13に記載の芯ずれ検出装置。
(構成15)
前記画像処理装置は、前記レーザ加工機による前記ワークの加工に際して前記芯ずれを検出する、
構成13又は構成14に記載の芯ずれ検出装置。
(構成16)
前記画像処理装置は、前記マーキング痕の画像から前記レーザ光の中心位置を算出し、前記ノズル穴の中心位置に対する前記レーザ光の中心位置のずれを前記芯ずれとして検出する、
構成13から構成15のいずれかの構成に記載の芯ずれ検出装置。
(構成17)
加工用のレーザ光を発生させる前記レーザ発振器と、
前記レーザ発振器が発生させた前記レーザ光を集光してワークに照射する前記集光レンズと、
構成13から構成16のいずれかの構成に記載の芯ずれ検出装置と、
を備えるレーザ加工機。
(構成18)
前記芯ずれ検出装置により検出された前記芯ずれの量が規定値以上である場合、前記レーザ加工機による前記ワークの加工を中止する加工制御部を備える、
構成17に記載のレーザ加工機。
(構成19)
前記芯ずれに関する情報をユーザに通知する通知部と、
前記芯ずれ検出装置により検出された前記芯ずれの量が規定の閾値以上である場合、前記芯ずれの量に応じた、前記集光レンズの位置の調整量を前記通知部から通知するように指示する加工制御部と、
を備える、構成17又は構成18に記載のレーザ加工機。
(構成20)
前記集光レンズの位置を調整するアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する調整制御部と、
前記芯ずれ検出装置により検出された前記芯ずれの量が規定の閾値以上である場合、前記芯ずれの量に応じて前記集光レンズの位置を調整させるように、前記調整制御部に指示する加工制御部と、
を備える、構成17から構成19のいずれかの構成に記載のレーザ加工機。
(構成21)
前記アクチュエータは、前記集光レンズの光軸に垂直な面内における前記集光レンズの位置を調整する、
構成20に記載のレーザ加工機。
【0119】
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態に限定されない。また、上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、上記した実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、実施形態において示した各手順の実行順序は、前の手順の結果を後の手順で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0120】
1、1A、1B・・・レーザ加工機
2・・・レーザ発振器
3・・・照明部
4・・・レーザヘッド
7・・・加工制御部
8・・・ノズルチェンジャ
9・・・交換制御部
10、10A、10B・・・通知部
11・・・ノズル状態判定装置
12・・・ノズル
27・・・撮像部
31、31A、31B・・・画像処理装置
42・・・判定部
50・・・アクチュエータ
60・・・アクチュエータ
61・・・調整制御部
62・・・芯ずれ検出装置
70・・・検出部
Wt1・・・第1テストプレート
Wt2・・・第2テストプレート
Wm・・・第3テストプレート

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27