(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113654
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ブロックチェーンを利用する物流管理方法および装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0833 20230101AFI20240815BHJP
【FI】
G06Q10/0833
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195388
(22)【出願日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】10-2023-0017220
(32)【優先日】2023-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】506087336
【氏名又は名称】漢陽大学校産学協力団
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オ,ヒョン オク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュン ヒ
(57)【要約】
【課題】物流情報に対するプライバシーが保障され、かつ物流移動経路が追跡できる物流管理方法および装置を提供する。
【解決手段】本発明によるブロックチェーンを利用する物流管理方法は、少なくとも一つの下位ユニットを含むターゲットユニットの登録のための第1トランザクション情報を生成する段階、前記第1トランザクション情報をブロックチェーンネットワークに伝送する段階、前記ターゲットユニットの所有権移転による第2トランザクション情報を生成する段階、および前記第2トランザクション情報を前記ブロックチェーンネットワークに伝送する段階を含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの下位ユニットを含むターゲットユニットの登録のための第1トランザクション情報を生成する段階、
前記第1トランザクション情報をブロックチェーンネットワークに伝送する段階、
前記ターゲットユニットの所有権移転による第2トランザクション情報を生成する段階、および
前記第2トランザクション情報を前記ブロックチェーンネットワークに伝送する段階を含むことを特徴とするブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項2】
前記第1トランザクション情報は
前記ターゲットユニットに対する約定値および第1暗号文を含み、
前記ターゲットユニットに対する約定値は、前記ターゲットユニットに対する識別情報、前方向キー、所有権情報および前記ターゲットユニットの開封情報を含み、
前記ターゲットユニットに対する第1暗号文は、前記ターゲットユニットに対する識別情報、前記約定値、前記約定値に対するオープニングキー、前記所有権情報および物流段階情報を含むことを特徴とする請求項1に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項3】
前記第2トランザクション情報は、
前記ターゲットユニットの前方向キーに対する第2暗号文を含み、前記ターゲットユニットに対する所有権情報および前記物流段階情報が更新された、前記ターゲットユニットに対する約定値と第1暗号文を含むことを特徴とする請求項2に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項4】
前記ターゲットユニットに対する第1暗号文は
前記ターゲットユニットに対する逆方向キーで復号化され、
前記ターゲットユニットに対する逆方向キーは
前記ターゲットユニットに対する前方向キーから生成され、
前記ターゲットユニットに対する第2暗号文は、
前記ターゲットユニットの所有者の公開キーで暗号化され、前記所有者のシークレットキーで復号化される暗号文であることを特徴とする請求項3に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項5】
前記ターゲットユニットの開封による第3トランザクション情報を生成する段階、および
前記第3トランザクション情報を前記ブロックチェーンネットワークに伝送する段階をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項6】
前記第3トランザクション情報は
前記ターゲットユニットの前方向キーに対する第2暗号文を含み、前記ターゲットユニットに対する開封情報および前記物流段階情報が更新された、前記ターゲットユニットに対する約定値と第1暗号文を含むことを特徴とする請求項5に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項7】
前記下位ユニットの所有権移転による第4トランザクション情報を生成する段階、および
前記第4トランザクション情報を前記ブロックチェーンネットワークに伝送する段階を含むことを特徴とする請求項6に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項8】
前記第4トランザクション情報は
前記ターゲットユニットの逆方向キーに対する第3暗号文、前記下位ユニットの前方向キーに対する第2暗号文、前記下位ユニットに対する約定値および第1暗号文を含み、
前記下位ユニットに対する約定値は、前記下位ユニットに対する識別情報、前方向キー、所有権情報を含み、
前記下位ユニットに対する第1暗号文は、前記下位ユニットに対する識別情報、前記約定値、前記約定値に対するオープニングキー、前記所有権情報および物流段階情報を含むことを特徴とする請求項7に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項9】
前記下位ユニットに対する第1暗号文は
前記下位ユニットに対する逆方向キーで復号化され、
前記下位ユニットに対する逆方向キーは
前記下位ユニットに対する前方向キーから生成され、
前記下位ユニットに対する第2暗号文は、
前記下位ユニットの所有者の公開キーで暗号化され、前記所有者のシークレットキーで復号化される暗号文であり、
前記ターゲットユニットの逆方向キーに対する第3暗号文は
前記下位ユニットに対する逆方向キーで復号化されることを特徴とする請求項8に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項10】
前記第2~第4トランザクション情報は
前記第2~第4トランザクション情報の有効性を検証するためのゼロ知式証明値をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項11】
少なくとも一つの製品を含むターゲットユニットの登録のための第1トランザクション情報を生成する段階、
前記第1トランザクション情報をブロックチェーンネットワークに伝送する段階、
前記ターゲットユニットの所有権移転による第2トランザクション情報を生成する段階、および
前記第2トランザクション情報を前記ブロックチェーンネットワークに伝送する段階を含むことを特徴とするブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項12】
前記第1トランザクション情報は
前記ターゲットユニットに対する約定値および第1暗号文を含み、
前記約定値は、前記ターゲットユニットに対する識別情報、前方向キーおよび所有権情報を含み、
前記第1暗号文は、前記ターゲットユニットに対する識別情報、前記約定値、前記約定値に対するオープニングキーおよび前記所有権情報を含むことを特徴とする請求項11に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項13】
前記第2トランザクション情報は、
前記ターゲットユニットの前方向キーに対する第2暗号文を含み、前記ターゲットユニットに対する所有権情報が更新された、前記ターゲットユニットに対する約定値と第1暗号文を含むことを特徴とする請求項12に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項14】
前記第1暗号文は
前記ターゲットユニットに対する逆方向キーで復号化され、
前記ターゲットユニットに対する逆方向キーは
前記ターゲットユニットに対する前方向キーから生成され、
前記第2暗号文は、
前記ターゲットユニットの所有者の公開キーで暗号化され、前記所有者のシークレットキーで復号化される暗号文であることを特徴とする請求項13に記載のブロックチェーンを利用する物流管理方法。
【請求項15】
通信部、
メモリ、および
前記メモリと電気的に連結された少なくとも一つのプロセッサを含み、
前記プロセッサは
少なくとも一つの製品を含むターゲットユニットの登録のための第1トランザクション情報および前記ターゲットユニットの所有権移転による第2トランザクション情報を生成し、
前記通信部は
前記第1および第2トランザクション情報をブロックチェーンネットワークに伝送することを特徴とするブロックチェーンを利用する物流管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブロックチェーンを利用する物流管理方法および装置に関し、さらに詳細には、物流情報に対するプライバシーが保障され、かつ物流移動経路が追跡できる物流管理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロックチェーンは、データをブロックに入れ、ブロックをチェーンの形態で連結した分散型データベースである。ブロックチェーンは、サトシナカモトが発表した、論文「Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System」で初めて概念が提示されたのであり、初期に提示されたシステムから多様な形態のシステムに変化しながら持続的に発展してきている。現在ブロックチェーン技術は多様な産業分野で活用されており、物流分野も例外ではない。
【0003】
ブロックチェーンが物流分野に適用される場合、最終消費者は製品の物流情報をブロックチェーンネットワークから容易に提供を受け、製品の製造業者から最終消費者に達する経路を確認できるため、製品の真偽の有無を容易に把握することができる。しかし、ブロックチェーンの特性上、製品を実際に購入した最終消費者だけでなく第三者も物流情報を確認できるため、物流情報に対するプライバシーが保障される方案が必要である。
【0004】
このために、閉鎖型または許可型ブロックチェーンを利用する物流システムが開発されているが、このような物流システムでは、最終消費者が直接物流情報を確認して製品の真偽の有無を把握することができず、製造業者で提供する情報に依存せざるを得ない問題がある。したがって、物流情報に対するプライバシーが保障されながらも最終消費者が容易に物流移動経路を追跡できる物流管理方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2022-0122940号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-2323755号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10-2289414号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10-2208411号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10-2333322号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】週間技術動向2020.7.1、ゼロ知式証明研究動向、オ・ヒョンオク、情報通信企画評価院
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ブロックチェーン基盤の物流管理方法および装置を提供することにある。特に本発明の目的は、物流情報に対するプライバシーが保障され、かつ物流移動経路が追跡できる物流管理方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるブロックチェーンを利用する物流管理方法は、少なくとも一つの下位ユニットを含むターゲットユニットの登録のための第1トランザクション情報を生成する段階、前記第1トランザクション情報をブロックチェーンネットワークに伝送する段階、前記ターゲットユニットの所有権移転による第2トランザクション情報を生成する段階、および前記第2トランザクション情報を前記ブロックチェーンネットワークに伝送する段階を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明による他のブロックチェーンを利用する物流管理方法は、少なくとも一つの製品を含むターゲットユニットの登録のための第1トランザクション情報を生成する段階、前記第1トランザクション情報をブロックチェーンネットワークに伝送する段階、前記ターゲットユニットの所有権移転による第2トランザクション情報を生成する段階、および前記第2トランザクション情報を前記ブロックチェーンネットワークに伝送する段階を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明によるブロックチェーンを利用する物流管理装置は、通信部、メモリ、および前記メモリと電気的に連結された少なくとも一つのプロセッサを含み、前記プロセッサは少なくとも一つの製品を含むターゲットユニットの登録のための第1トランザクション情報および前記ターゲットユニットの所有権移転による第2トランザクション情報を生成し、前記通信部は前記第1および第2トランザクション情報をブロックチェーンネットワークに伝送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施例によると、暗号化された所有権情報とゼロ知式証明アルゴリズムを利用することによって、トランザクション情報に対するプライバシーが保障できる。また、本発明の一実施例によると、暗号化された所有権情報を復号化できるキーを、製品を購入した消費者に提供することによって、消費者が物流移動経路を追跡して製品の真偽の有無を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例に係るブロックチェーンを利用する物流管理システムを説明する図面である。
【
図2】本発明の一実施例に係るブロックチェーンを利用する物流管理方法を説明する図面である。
【
図3】物流移動段階によるトランザクション情報を説明する図面である。
【
図4】本発明の他の実施例に係るブロックチェーンを利用する物流管理方法を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定実施例を図面に例示して詳細な説明に詳細に説明する。これは本発明を特定の実施形態に対して限定するものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。各図面では、類似する参照符号を類似する構成要素に使用した。以下、本発明に係る実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施例に係るブロックチェーンを利用する物流管理システムを説明する図面である。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施例に係る物流管理システムは、製造業者端末110、販売業者端末120、ブロックチェーンネットワーク130および消費者端末140を含む。
【0016】
一般的に製造業者で製造された製品は販売業者を経て消費者に伝達されるので、物流段階は製品登録、販売業者への製品配送、製品開封、製品販売からなる。製品登録は製造された製品の物流管理のために物流管理システムに登録することを意味し、製品開封は製品販売前に配送された製品をパッケージングボックスから開封することを意味する。各物流段階に対する情報はトランザクション情報であってブロックチェーンネットワーク130に保存され、トランザクション情報は製品に対する所有権情報を含む。所有権情報は暗号文形態でトランザクション情報に含まれる。
【0017】
製造業者端末110は製造された製品の登録のためのトランザクション情報をブロックチェーンネットワーク130に伝送する。製品登録段階で製品に対する所有権は、製造業者が保有する。以後、製品が製造業者に販売業者に配送される場合、製造業者端末110は販売業者への製品配送のためのトランザクション情報をブロックチェーンネットワーク130に伝送する。販売業者に製品が配送されることにより、所有権は製造業者から販売業者に移転される。販売業者は配送された製品を開封し、販売業者端末120は製品開封に対するトランザクション情報をブロックチェーンネットワーク130に伝送する。製品開封段階で所有権は製造業者が保有する。
【0018】
以後、開封された製品を消費者が購入する場合、販売業者端末120は製品販売に対するトランザクション情報をブロックチェーンネットワーク130に伝送する。販売された製品に対する所有権は消費者が保有する。トランザクション情報には、暗号化された所有権情報を消費者が復号化できる復号化キーが共に含まれ、したがって消費者端末140は復号化キーを利用して、ブロックチェーンネットワーク130から提供されたトランザクション情報から暗号化された所有権情報を復号化できる。そして、消費者は各物流段階での製品の所有権を確認することによって、製品が製造業者から製造された本物であることを確認することができる。製造業者または販売業者も、暗号化された所有権情報を復号化して製品の所有権変更履歴を追跡することができる。
【0019】
また、本発明の一実施例はこのようなトランザクション情報に対するプライバシーが保障されるように、zk-SNARK(zero-knowledge Succinct Non-interactive ARguments of Knowledge)のようなゼロ知式証明(zero-knowledge proof)アルゴリズムを利用する。トランザクション情報にはトランザクション情報の有効性を検証するためのゼロ知式証明値が含まれ、ブロックチェーンネットワーク130はゼロ知式証明値を利用してトランザクション情報の有効性を検証し、検証が完了した場合、トランザクション情報をブロックチェーンネットワーク130に保存する。
【0020】
このように、本発明の一実施例によると、暗号化された所有権情報とゼロ知式証明アルゴリズムを利用することによって、トランザクション情報に対するプライバシーが保障されるだけでなく、暗号化された所有権情報を復号化できるキーを所有者に提供することによって、消費者が物流移動経路を追跡して製品の真偽の有無を確認することができる。
【0021】
図2は本発明の一実施例に係るブロックチェーンを利用する物流管理方法を説明するための図面であり、
図3は物流移動段階によるトランザクション情報を説明するための図面である。
【0022】
本発明の一実施例に係る物流管理方法は通信部、メモリおよび少なくとも一つのプロセッサを含む物流管理装置で遂行され、物流管理装置はコンピューティング装置の一例である。物流管理装置は物流管理システムに含まれたエンティティであって、製造業者端末または販売業者端末である。通信部はサーバーとデータを送受信し、メモリと電気的に連結されたプロセッサはトランザクション情報を生成することを含み、物流管理方法のための一連の過程を遂行する。
【0023】
図2および
図3を参照すると、本発明の一実施例に係るコンピューティング装置は少なくとも一つの下位ユニットを含むターゲットユニットの登録のための第1トランザクション情報tx
1を生成(S210)し、第1トランザクション情報tx
1をブロックチェーンネットワークに伝送(S220)する。
【0024】
ここでユニットとは、物流管理の対象となる製品または製品のグループであり、ユニットは少なくとも一つの上位ユニットまたは下位ユニットを含むことができる。
図3に示すように、製造業者で製造されたA
1~A
4という製品のグループがBでパッケージングされて配送される場合、Bがターゲットユニット、A
1~A
4はターゲットユニットの下位ユニットとなる。BはA
1~A
4の上位ユニットである。
【0025】
ユニットにはユニットに対する識別情報と前方向キー(forward key)、そして、逆方向キー(backward key)が割り当てられる。ユニットが製品それぞれに対応する場合、製品のIDのような識別番号がユニットの識別番号として割り当てられ、上位ユニットが下位ユニットを含んでいる場合、下位ユニットの識別番号の組み合わせから上位ユニットの識別番号が生成される。
【0026】
そして、前方向キーと逆方向キーはユニットの物流移動追跡のために利用される情報であって、逆方向キーは前方向キーから生成される。一例として、逆方向キーはハッシュ関数のような一方向関数に、ユニットの前方向キーを入力して獲得できる一種のハッシュ値である。そして、下位ユニットの前方向キーは上位ユニットの前方向キーから生成される。一例として、下位ユニットの前方向キーはハッシュ関数のような一方向関数に、下位ユニットの識別情報と上位ユニットの前方向キーを入力して獲得することができる。
【0027】
第1トランザクション情報tx1はターゲットユニットに対する約定値および第1暗号文を含む。ターゲットユニットに対する約定値は、ターゲットユニットに対する識別情報、前方向キー、所有権情報およびターゲットユニットの開封情報を含む。約定値(commitment)はターゲットユニットに対する識別情報、ターゲットユニットに対する前方向キー、ターゲットユニットに対する所有権情報およびターゲットユニットの開封情報に対する一種のハッシュ値であって、約定値はペダーセンコミットメント(Pedersen commitment)などの多様な約定値生成アルゴリズムによって生成される。約定値は第1暗号文に対する平文の偽・変造を確認するために利用される。
【0028】
そして、ターゲットユニットに対する第1暗号文は、ターゲットユニットに対する識別情報、ターゲットユニットに対する約定値、約定値に対するオープニングキー(opening key)、ターゲットユニットに対する所有権情報およびターゲットユニットに対する物流段階情報を含む暗号文である。オープニングキーは約定値を生成するために利用された一種のキーであって、約定値に対する有効性を確認するのに利用され、物流段階情報は製品が登録(Register)されたことを示す情報を含む。
【0029】
第1暗号文はターゲットユニットに対する逆方向キーで暗号化された暗号文であって、ターゲットユニットに対する逆方向キーによって復号化される。そして、ターゲットユニットに対する所有権情報は、ターゲットユニットだけでなくターゲットユニットに含まれた下位ユニットに対する所有権情報を含む。
図3の例示で、ターゲットユニットおよび下位ユニットの所有権情報は、製造業者に所有権があるという情報を含む。
【0030】
再び
図2に戻り、コンピューティング装置はターゲットユニットの所有権移転による第2トランザクション情報tx
2を生成(S230)し、第2トランザクション情報tx
2をブロックチェーンネットワークに伝送(S240)する。
図3にしめすように、ターゲットユニットが製造業者から販売業者に移動する場合、ターゲットユニットに対する所有権は製造業者から販売業者に移転され、コンピューティング装置はこのような所有権移転による第2トランザクション情報tx
2を生成する。
【0031】
第2トランザクション情報tx2は、ターゲットユニットに対する所有権情報と物流段階情報が更新された、ターゲットユニットに対する約定値と第1暗号文を含み、ターゲットユニットの前方向キーに対する第2暗号文を含む。更新された所有権情報はターゲットユニットおよび下位ユニットの所有権が販売業者にあるという情報を含み、更新された物流段階情報は販売業者に製品が配送(Send)されることを示す情報を含む。
【0032】
第2暗号文はターゲットユニットの前方向キーを新しい所有者に提供するための暗号文であって、ターゲットユニットの所有者の公開キーで暗号化され、所有者のシークレットキーで復号化される暗号文である。
図3のような例示で、ターゲットユニットの所有権移転による所有者は販売業者であるので、第2暗号文は販売業者の公開キーで暗号化され、販売業者のシークレットキーで復号化される。
【0033】
再び
図2に戻り、コンピューティング装置はターゲットユニットの開封による第3トランザクション情報tx
3を生成(S250)し、第3トランザクション情報tx
3をブロックチェーンネットワークに伝送(S260)することができる。
【0034】
図3に示すように、販売業者がターゲットユニットを開封する場合、コンピューティング装置は第3トランザクション情報tx
3を生成してブロックチェーンネットワークに伝送する。第3トランザクション情報tx
3はターゲットユニットの前方向キーに対する第2暗号文を含み、ターゲットユニットに対する開封情報および物流段階情報が更新された、ターゲットユニットに対する約定値と第1暗号文を含む。ターゲットユニットの開封以後にもターゲットユニットに対する所有権は販売業者が保有するので、所有権情報は更新されず、開封情報および物流段階情報が更新された約定値と第1暗号文が第3トランザクション情報tx
3に含まれる。ここで、物流段階情報は製品が開封(Unpack)されたことを示す情報を含む。
【0035】
再び
図2に戻って、コンピューティング装置は下位ユニットの所有権移転による第4トランザクション情報tx
4を生成(S270)し、第4トランザクション情報tx
4をブロックチェーンネットワークに伝送(S280)することができる。
【0036】
図3に示すように、販売業者が下位ユニットであるA
1~A
4のうち一つを消費者に販売した場合、コンピューティング装置は第4トランザクション情報tx
4を生成してブロックチェーンネットワークに伝送する。第4トランザクション情報tx
4は下位ユニットに対する約定値および第1暗号文と、下位ユニットの前方向キーに対する第2暗号文だけでなく、ターゲットユニットの逆方向キーに対する第3暗号文を含む。
【0037】
下位ユニットに対する約定値は下位ユニットに対する識別情報、下位ユニットに対する前方向キー、下位ユニットに対する所有権情報を含み、下位ユニットに対する第1暗号文は下位ユニットに対する識別情報、下位ユニットに対する約定値、下位ユニットの約定値に対するオープニングキー、下位ユニットに対する所有権情報および下位ユニットに対する物流段階情報を含む。下位ユニットに対する所有権情報は下位ユニットの所有権が消費者にあるという情報を含み、物流段階情報は下位ユニットが販売(Unload)されたことを示す情報を含む。
【0038】
そして、上位ユニットに対する第1暗号文のように、下位ユニットに対する第1暗号文は下位ユニットに対する逆方向キーで復号化され、下位ユニットに対する逆方向キーは下位ユニットに対する前方向キーから生成される。そして、下位ユニットに対する第2暗号文は、下位ユニットの所有者の公開キーで暗号化され、所有者のシークレットキーで復号化される。
図3のような例示で、第2暗号文は消費者の公開キーで暗号化されて消費者のシークレットキーで復号化される。
【0039】
また、ターゲットユニットの逆方向キーに対する第3暗号文は下位ユニットに対する逆方向キーで暗号化された暗号文であって、下位ユニットに対する逆方向キーで復号化される。第2~第4トランザクション情報(tx2~tx4)の有効性を検証するためのゼロ知式証明値をさらに含むことができ、実施例にしたがってトランザクション情報の再使用防止のための値をさらに含むことができる。第2~第4トランザクション情報(tx2~tx4)は通信部を通じてブロックチェーンネットワークに伝送され、第2~第4トランザクション情報(tx2~tx4)の有効性が検証された場合、ブロックチェーンネットワークに保存される。
【0040】
一方、前述された通り、消費者は暗号文に含まれたキーを利用して購入した製品の物流移動経路を逆方向320に追跡して真偽の有無を確認することができる。消費者はブロックチェーンネットワークから第4トランザクション情報tx4を受信し、消費者のシークレットキーを利用して第4トランザクション情報tx4に含まれた第2暗号文を復号化して、下位ユニットに対する前方向キーを獲得することができる。そして、下位ユニットに対する前方向キーから下位ユニットに対する逆方向キーを獲得し、第4トランザクション情報tx4に含まれた第1暗号文を復号化することで、第1暗号文に含まれた下位ユニットの所有権情報を確認することができる。
【0041】
そして、下位ユニットに対する逆方向キーを利用して第3暗号文を復号化してターゲットユニットに対する逆方向キーを獲得でき、ターゲットユニットに対する逆方向キーを利用して第1~第3トランザクション情報(tx1~tx3)に含まれた第1暗号文を復号化して第1暗号文に含まれたターゲットユニットの所有権情報を確認することができる。消費者はこのような逆追跡を通じて、消費者が購入した製品が製造業者で製造されたことを確認することができる。
【0042】
その反対に、製造業者は物流移動経路を前方向310に追跡して、ユニットの物流移動を管理することができる。製造業者はターゲットユニットの前方向キーを利用してターゲットユニットの逆方向キーを獲得でき、ターゲットユニットの逆方向キーを利用して第2および第3トランザクション情報(tx2およびtx3)に含まれた第1暗号文を復号化して第1暗号文に含まれたターゲットユニットの所有権情報を確認することができる。そして、ターゲットユニットの前方向キーと、下位ユニットの識別情報を利用して、下位ユニットの前方向キーを獲得し、下位ユニットの前方向キーから下位ユニットの逆方向キーを獲得した後、下位ユニットの逆方向キーを利用して、第4トランザクション情報tx4に含まれた第1暗号文を復号化することによって、第1暗号文に含まれた下位ユニットの所有権情報を確認することができる。したがって、製造業者は、ターゲットユニットおよび下位ユニットの所有権移動を管理することができる。
【0043】
図4は、本発明の他の実施例に係る物流移動管理方法を説明するための図面である。
【0044】
図4に示すように、本発明の一実施例に係るコンピューティング装置は少なくとも一つの製品を含むターゲットユニットの登録のための第1トランザクション情報を生成(S410)し、第1トランザクション情報をブロックチェーンネットワークに伝送(S420)する。そして、ターゲットユニットの所有権移転による第2トランザクション情報を生成(S430)し、第2トランザクション情報をブロックチェーンネットワークに伝送(S440)する。ここで、ターゲットユニットの所有権は製造業者から直接消費者に移転される。
【0045】
第1トランザクション情報はターゲットユニットに対する約定値および第1暗号文を含み、約定値は、ターゲットユニットに対する識別情報、前方向キーおよび所有権情報を含む。そして、ターゲットユニットに対する第1暗号文は、ターゲットユニットに対する識別情報、ターゲットユニットに対する約定値、ターゲットユニットの約定値に対するオープニングキーおよびターゲットユニットに対する所有権情報を含む。
【0046】
そして、第2トランザクション情報は、ターゲットユニットの前方向キーに対する第2暗号文を含み、ターゲットユニットに対する所有権情報が更新された、ターゲットユニットに対する約定値と第1暗号文を含む。第1暗号文はターゲットユニットに対する逆方向キーで暗号化された暗号文であって、ターゲットユニットに対する逆方向キーによって復号化される。そして、ターゲットユニットに対する逆方向キーはターゲットユニットに対する前方向キーから生成され、第2暗号文は、ターゲットユニットの所有者の公開キーで暗号化され、所有者のシークレットキーで復号化される暗号文である。
【0047】
したがって、消費者にターゲットユニットの所有権が移転された場合、消費者は第2トランザクション情報に含まれた第2暗号文をシークレットキーで復号化してターゲットユニットの前方向キーを獲得でき、ターゲットユニットの前方向キーからターゲットユニットの逆方向キーを獲得することができる。そして、ターゲットユニットの逆方向キーを利用して、第1および第2トランザクション情報に含まれた第1暗号文を復号化して、ターゲットユニットに対する所有権情報を確認することができる。
【0048】
その反対に、製造業者はターゲットユニットの前方向キーを利用してターゲットユニットの逆方向キーを獲得でき、ターゲットユニットの逆方向キーを利用して第2トランザクション情報に含まれた第1暗号文を復号化してターゲットユニットの所有権情報を確認することができる。
【0049】
前述した技術的内容は多様なコンピュータ手段を通じて遂行されるプログラム命令形態で具現されてコンピュータ読み取り可能媒体に記録される。前記コンピュータ読み取り可能媒体はプログラム命令、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。前記媒体に記録されるプログラム命令は実施例のために特別に設計されて構成されたものであるかコンピュータソフトウェア当業者に公知の使用可能なものであってもよい。
【0050】
コンピュータ読み取り可能記録媒体の例にはハードディスク、フロッピーディスクおよび磁気テープのような磁気媒体。(magnetic media)、CD-ROM、DVDのような光記録媒体。(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気-光媒体(magneto-optical media)、およびロム(ROM)、ラム(RAM)、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存し遂行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。
【0051】
プログラム命令の例にはコンパイラによって作られるような機械語コードだけでなくインタープリタなどを使ってコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。ハードウェア装置は実施例の動作を遂行するために一つ以上のソフトウェアモジュールで作動するように構成され、その逆も同様である。
【0052】
以上のように、本発明では具体的な構成要素を限定された実施例および図面によって説明したが、本発明の全般的な理解を助けるもので、本発明が実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば多様な修正および変形が可能である。したがって、後述する特許請求の範囲だけでなく、特許請求の範囲と均等または等価的な変形のすべてが、本発明思想の範疇に属すると言える。
【符号の説明】
【0053】
310 前方向
320 逆方向
B ターゲットユニット
A1~A4 ターゲットユニットの下位ユニット
tx1~tx4 第1~4トランザクション情報