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特開2024-113662ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置及び方法
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  • 特開-ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置及び方法 図1
  • 特開-ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置及び方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113662
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
E02D3/12 101
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000903
(22)【出願日】2024-01-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-14
(31)【優先権主張番号】202310052548.X
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518411338
【氏名又は名称】山東科技大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】江 寧
(72)【発明者】
【氏名】叶 磊
(72)【発明者】
【氏名】呂 科
(72)【発明者】
【氏名】孟 書宇
(72)【発明者】
【氏名】蘇 全寶
(72)【発明者】
【氏名】蒋 春林
(72)【発明者】
【氏名】張 立波
(72)【発明者】
【氏名】盛 守前
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲しん▼源
(72)【発明者】
【氏名】薛 守振
(72)【発明者】
【氏名】馬 行之
(72)【発明者】
【氏名】孫 玉
(72)【発明者】
【氏名】閻 至開
(72)【発明者】
【氏名】朱 寧強
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AA06
2D040AB01
2D040AC00
2D040GA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置及び方法を提供する。
【解決手段】試験台と、試験ルームとが含まれ、試験台の底板の底部には、試験台の傾斜角を調整する調節機構が設けられ、底板上には、現場の石炭層の起伏状況をシミュレーションするシミュレーション機構が設けられ、試験ルームは、側板としての第1の透明板、第2の透明板及び第3の透明板と、天板及び底板とにより共同に構成されたルーム体構造であり、第3の透明板にはナットを介して第1の液圧ロッドが連結され、第1の液圧ロッドにはバッフルが連結され、バッフルは試験ルームを2つのエリアに分けて、第1の液圧ロッドを通してバッフルを試験ルーム内で摺動させることができ、試験ルームには材料投入口が設けられ、前記材料投入口を介して前記試験ルーム内に材料が充填される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、底板と、天板と底板との間の四隅に配置された立柱とを含む試験台を備える、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置であって、
前記底板の底部には、試験台の傾斜角を調整する調節機構が設けられ、
前記底板上には、現場の石炭層の起伏状況をシミュレーションするシミュレーション機構が設けられ、前記シミュレーション機構は、昇降ブロック底部ブロックと、昇降ブロック頂部ブロックと、昇降ブロック液圧ロッドとを含み、前記昇降ブロック底部ブロックは前記昇降ブロック頂部ブロックの下方に位置し、前記各昇降ブロック底部ブロックと昇降ブロック頂部ブロックとは、複数設けられ、前記底板上に規則的に配置され、各昇降ブロック底部ブロックと昇降ブロック頂部ブロックとの間に前記昇降ブロック液圧ロッドが設置され、
前記天板と底板との間に試験ルームが配置され、前記試験ルームは、側板としての第1の透明板、第2の透明板及び第3の透明板と、前記天板及び底板とにより共同に構成されたルーム体構造であり、前記第1の透明板と第2の透明板とは反対する位置にあり、前記第3の透明板は前記第1の透明板と第2の透明板との間に移動可能に連結され、第1の透明板と第2の透明板の、前記第3の透明板と反対する位置にある端部にはそれぞれ第1の回動軸と第2の回動軸が設けられ、前記第1の回動軸には第1のロックノブが設けられ、前記第2の回動軸には第2のロックノブが設けられ、第1のロックノブには第1の回動摺動座が連結され、第2のロックノブには第2の回動摺動座が連結され、前記第1の回動摺動座には第1の固定板が連結され、前記第2の回動摺動座には第2の固定板が連結され、
前記第3の透明板にはナットを介して第1の液圧ロッドが連結され、前記第1の液圧ロッドにはバッフルが連結され、前記バッフルは前記試験ルームを2つのエリアに分けて、第1の液圧ロッドを通して前記バッフルを試験ルーム内で摺動させることができ、
前記試験ルームには材料投入口が設けられ、前記材料投入口を介して前記試験ルーム内に材料が充填される
ことを特徴とするショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置。
【請求項2】
前記調節機構は、ベースと、第2の液圧ロッドと、第3の液圧ロッドとを含み、前記底板の一方側の端部にそれぞれ第3の回動軸が設けられ、前記ベースは底板の下方に位置し、前記ベースと前記底板とが第3の回動軸と第3の回動軸ナットを介して回動可能に連結され、前記第2の液圧ロッドと第3の液圧ロッドとは、前記底板の、前記ベースと反対側の2つの端部にそれぞれ位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置。
【請求項3】
前記第2の液圧ロッド、第3の液圧ロッドは、前記底板と回動可能に連結されている
ことを特徴とする請求項2に記載のショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置。
【請求項4】
第2の液圧ロッド側に位置する底板の一方側端部には、第4の回動軸と第5の回動軸とがそれぞれ設けられ、前記底板と第3の液圧ロッドとは第4の回動軸と第1の回動軸ナットとにより回動可能に連結され、前記底板と第2の液圧ロッドとは第5の回動軸と第2の回動軸ナットとにより回動可能に連結されている
ことを特徴とする請求項3に記載のショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置。
【請求項5】
前記第1の透明板と第3の透明板との間、第2の透明板と第3の透明板との間は、いずれもヒンジにより連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載のショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置。
【請求項6】
前記材料投入口には第1の材料投入口バッフルと第2の材料投入口バッフルとが設けられ、前記第1の材料投入口バッフルには第1の回転機構が連結され、前記第2の材料投入口バッフルには第2の回転機構が連結され、前記第1の回転機構、第2の回転機構により材料投入口の大きさ及び位置を調節する
ことを特徴とする請求項1に記載のショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載のショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置を用いる、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験方法であって、
調節機構により試験台の傾斜角を調整して、現場の実際の傾斜角をシミュレーションするステップ1と、
第1の液圧ロッドの伸縮を制御してバッフルを押して移動させることにより、現場の実際の長さをシミュレーションするステップ2と、
底板上のシミュレーション機構内の昇降ブロック頂部ブロックと昇降ブロック底部ブロックとを制御して、現場の実際の起伏状况をシミュレーションするステップ3と、
第1の透明板、第2の透明板が第1の回動軸、第2の回動軸を中心に回転するように第1のロックノブ、第2のロックノブを調整し、調整後に第1のロックノブ、第2のロックノブをロックすることにより、現場が偽傾斜配置であるか否かをシミュレーションするステップ4と、
立柱の高さを調整し、適切な規格の透明板を選択することにより、坑道の高さをシミュレーションするステップ5と、
充填シミュレーションを開始し、流動パターンを観察するステップ6と、
を含むことを特徴とするショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシミュレーション装置及び方法の技術分野に関するものであり、具体的には、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集中的な採掘で発生するぼたの排出削減と地表面沈下の制御に対して、ショートウォール連続採掘連続充填により、地表面沈下を効果的に制御し、地表面の建築物、構造物、永久基本農地を保護するだけでなく、鉱山のぼたなどの固体廃棄物を処理するという2重の目標を達成し、著しい経済的、社会的及び環境的効果を持っている。ショートウォール連続採掘連続充填式膠結充填採炭技術の採掘原理として、ショートウォール採掘生産システムに従って切羽を配置し、まず切羽運搬坑道、通気坑道及び開削部を貫通させて、全負圧通気システムを形成する。切羽の上下エントリー間の交叉坑道を順番にいくつかの分岐坑道に分けて、分岐坑道の長さは50m前後で、飛ばし採掘方式を採用して切羽の石炭資源を回収して、採炭と充填作業を異なる分岐坑道内で行い、採炭と充填の時間連続性と空間独立性を保証し、連続採炭と連続充填をして、1種の「採炭と充填とが並行する」効率的な充填方法である。ショートウォール連続採掘連続充填作業を行う際に、坑内の地質条件が複雑なため、施工条件、石炭層の起伏と傾斜角、分岐坑道の長さ及び偽傾斜配置であるか否かなどの影響を受け、充填材料の性能と充填品質は期待される効果を達成できない可能性がある。したがって、室内充填実験シミュレーションにより、分岐坑道充実率、充填速度及び充填体の流動状態などのデータが得られ、上記の要因により、室内充填試験シミュレーションにより得られるデータは、工事現場での充填作業を指導する上で重要な意味を持っている。
【0003】
CN206907330Uは、実験室内で工事現場の実際の状況をシミュレーションし、充填体の脱水率、沈下率、充填体の形態、底部退出坑道の浸出水頭、充填体の横方向圧力、充填擁壁圧力、充填体の脱水量の変化などの実験データを取得するができる、採掘空洞エリアの充填シミュレーション実験装置を公開し、現場の充填作業により正確で信頼性の高いデータ上の指導を提供するほか、採掘空洞エリアの充填プロセスの教学・実演及び科学研究により実用的で直感的な実験装置を提供する。
【0004】
CN103035158Aは、採掘空洞エリアのシミュレーション、坑道又は地下空間のスラリー注入プロセスのシミュレーション、採掘空洞エリアが土被り荷重の作用を受けるなどの情況のシミュレーションを行い、各種センサデータを収集し、炭鉱採掘空洞エリア充填プロセスにおける力学変化過程の分析を形成することができる採掘空洞エリア充填プロセスをシミュレーションする実験装置を公開する。採掘空洞エリア充填プロセスをシミュレーションする実験装置の模型本体は透明で観察可能であり、スラリー注入プロセスとデータ収集は自動化され、その構造は合理的で、制御可能で精度が高く、密封効果が良く、採掘空洞エリアの充填プロセスの教学・実演と科学研究・分析に用いることができる。
【0005】
CN210167022Uは、輸送ポンプによりスラリーを定量室内に輸送し、スラリーの流動作用の下で第1のターンテーブルと第2のターンテーブルとをそれぞれ回転させ、第1のターンテーブルと第2のターンテーブルとを弧状のゴムティースを介して噛合させることにより、採掘空洞エリア内にスラリー定量的に投入することが可能であり、採掘空洞エリア内の測定されたデータの利用を容易にする採掘空洞エリア充填シミュレーション実験装置を開示している。
【0006】
上述の従来技術はいずれもシミュレーション試験装置ではあるが、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションすることができない。ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンのシミュレーションでは、実際の現場条件の石炭層の起伏、傾斜角、分岐坑道及び偽傾斜配置であるか否かなどの要素を考慮する必要があり、従来技術では、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンに関するシミュレーション試験台がまだ見つかっていない。
【0007】
これにより分かるように、従来技術では、更なる改良が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つは、異なる動作状態条件の下での連続採掘連続充填における充填材料の流動パターンをシミュレーションし、連続採掘連続充填におけるスラリーの配合比率及び安全な採掘を支援することができる、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を実現するために、本発明は以下の技術案を採用する。
【0010】
ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置は、天板と、底板と、天板と底板との間の四隅に配置された立柱とを含む試験台を備え、前記底板の底部には、試験台の傾斜角を調整する調節機構が設けられ、
前記底板上には、現場の石炭層の起伏状況をシミュレーションするシミュレーション機構が設けられ、前記シミュレーション機構は、昇降ブロック底部ブロックと、昇降ブロック頂部ブロックと、昇降ブロック液圧ロッドとを含み、前記昇降ブロック底部ブロックは前記昇降ブロック頂部ブロックの下方に位置し、前記各昇降ブロック底部ブロックと昇降ブロック頂部ブロックとは、複数設けられ、前記底板上に規則的に配置され、各昇降ブロック底部ブロックと昇降ブロック頂部ブロックとの間に前記昇降ブロック液圧ロッドが設置され、
前記天板と底板との間に試験ルームが配置され、前記試験ルームは、側板としての第1の透明板、第2の透明板及び第3の透明板と、前記天板及び底板とにより共同に構成されたルーム体構造であり、前記第1の透明板と第2の透明板とは反対する位置にあり、前記第3の透明板は前記第1の透明板と第2の透明板との間に移動可能に連結され、第1の透明板と第2の透明板の、前記第3の透明板と反対する位置にある端部にはそれぞれ第1の回動軸と第2の回動軸が設けられ、前記第1の回動軸には第1のロックノブが設けられ、前記第2の回動軸には第2のロックノブが設けられ、第1のロックノブには第1の回動摺動座が連結され、第2のロックノブには第2の回動摺動座が連結され、前記第1の回動摺動座には第1の固定板が連結され、前記第2の回動摺動座には第2の固定板が連結され、
前記第3の透明板にはナットを介して第1の液圧ロッドが連結され、前記第1の液圧ロッドにはバッフルが連結され、前記バッフルは前記試験ルームを2つのエリアに分けて、第1の液圧ロッドを通して前記バッフルを試験ルーム内で摺動させることができ、
前記試験ルームには材料投入口が設けられ、前記材料投入口を介して前記試験ルーム内に材料が充填される。
【0011】
本発明の好ましい態様として、前記調節機構は、ベースと、第2の液圧ロッドと、第3の液圧ロッドとを含み、前記底板の一方側の端部にそれぞれ第3の回動軸が設けられ、前記ベースは底板の下方に位置し、前記ベースと前記底板とが第3の回動軸と第3の回動軸ナットを介して回動可能に連結され、前記第2の液圧ロッドと第3の液圧ロッドとは、前記底板の、前記ベースと反対側の2つの端部にそれぞれ位置する。
【0012】
本発明の別の好ましい態様として、前記第2の液圧ロッド、第3の液圧ロッドは、前記底板と回動可能に連結されている。
【0013】
さらに、第2の液圧ロッド側に位置する底板の一方側端部には、第4の回動軸と第5の回動軸とがそれぞれ設けられ、前記底板と第3の液圧ロッドとは第4の回動軸と第1の回動軸ナットとにより回動可能に連結され、前記底板と第2の液圧ロッドとは第5の回動軸と第2の回動軸ナットとにより回動可能に連結されている。
【0014】
さらに、前記第1の透明板と第3の透明板との間、第2の透明板と第3の透明板との間は、いずれもヒンジにより連結されている。
【0015】
さらに、前記材料投入口には第1の材料投入口バッフルと第2の材料投入口バッフルとが設けられ、前記第1の材料投入口バッフルには第1の回転機構が連結され、前記第2の材料投入口バッフルには第2の回転機構が連結され、前記第1の回転機構、第2の回転機構により材料投入口の大きさ及び位置を調節する。
【0016】
本発明の別の目的は、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験方法を提供することにあり、前記方法は、
調節機構により試験台の傾斜角を調整して、現場の実際の傾斜角をシミュレーションするステップ1と、
第1の液圧ロッドの伸縮を制御してバッフルを押して移動させることにより、現場の実際の長さをシミュレーションするステップ2と、
底板上のシミュレーション機構内の昇降ブロック頂部ブロックと昇降ブロック底部ブロックとを制御して、現場の実際の起伏状况をシミュレーションするステップ3と、
第1の透明板、第2の透明板が第1の回動軸、第2の回動軸を中心に回転するように第1のロックノブ、第2のロックノブを調整し、調整後に第1のロックノブ、第2のロックノブをロックすることにより、現場が偽傾斜配置であるか否かをシミュレーションするステップ4と、
立柱の高さを調整し、適切な規格の透明板を選択することにより、坑道の高さをシミュレーションするステップ5と、
充填シミュレーションを開始し、流動パターンを観察するステップ6と、を含む。
【発明の効果】
【0017】
先行技術と比べて、本発明は以下の有益な技術的効果をもたらす。
【0018】
本発明は、従来の充填シミュレーション装置における、1つの石炭層傾斜角及び起伏しかシミュレーションできないという欠点、1種類の分岐坑道長さしかシミュレーションできないという欠点、及び1種類の傾斜配置しかシミュレーションできないという欠点を解決する、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置を提案する。
【0019】
本発明によれば、異なる動作状態条件の下での連続採掘連続充填における充填材料の流動パターンを同時にシミュレーションし、連続採掘連続充填におけるスラリーの配合比率及び安全な採掘を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下では、図面と結びつけて本発明をさらに説明する。
図1】本発明にかかる、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置の全体構造模式図である。
図2】本発明にかかる、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置の昇降ブロックの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置及び方法を提案し、本発明の利点、技術的手段をより明らかにするために、以下では、具体的な実施例と結びつけて、本発明をさらに説明する。
【0022】
図1に示すように、本発明にかかる、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験装置は、試験台と、試験ルームとを含み、試験台は、天板26と、底板25と、天板と底板との間の四隅に配置された立柱とを含み、立柱はそれぞれ、第1の立柱6と、第2の立柱7と、第3の立柱8と、第4の立柱4と(図示せず)であり、4つの立柱により、天板と底板とが固定的に連結されている。
【0023】
石炭層の傾斜角と起伏との同時シミュレーション、異なる分岐坑道長さにおける充填効果のシミュレーション、真傾斜又は偽傾斜のシミュレーションを可能にするために、試験台及び試験ルームに対して改良が行われ、試験台についての創造的なポイントは、調節機構を設置して試験台の傾斜角を調整することにある。
【0024】
調節機構は主に、ベース31と、第2の液圧ロッド17と、第3の液圧ロッド18とを含み、底板の一方側の端部にそれぞれ第3の回動軸19が設けられ、ベースは底板の下方に位置し、ベースと前記底板とが第3の回動軸と第3の回動軸ナット24を介して回動可能に連結され、前記第2の液圧ロッドと第3の液圧ロッドとは、前記底板の、前記ベースと反対側の2つの端部にそれぞれ位置する。第2の液圧ロッド、第3の液圧ロッドは、前記底板と回動可能に連結され、第2の液圧ロッド側に位置する底板の一方側端部には、第4の回動軸20と第5の回動軸21とがそれぞれ設けられ、底板と第3の液圧ロッドとは第4の回動軸と第1の回動軸ナット22とにより回動可能に連結され、前記底板と第2の液圧ロッドとは第5の回動軸と第2の回動軸ナット23とにより回動可能に連結されている。
【0025】
第2の液圧ロッドと第3の液圧ロッドが昇降する時、制御されて試験台を昇降させることにより、石炭層の傾斜角をシミュレーションする目的を達成することができる。
【0026】
図2に示すように、底板上には、現場の石炭層の起伏状況をシミュレーションするシミュレーション機構が設けられ、シミュレーション機構は、昇降ブロック底部ブロック251、昇降ブロック頂部ブロック253及び昇降ブロック液圧ロッド252を含み、昇降ブロック底部ブロックと昇降ブロック頂部ブロックとの位置が反対であり、昇降ブロック液圧ロッドが両者の間に位置し、昇降ブロック液圧ロッドにより昇降ブロック頂部ブロックを上方又は下方に移動させることができ、昇降ブロック頂部ブロック、昇降ブロック底部ブロック及び昇降ブロック液圧ロッドは複数組設けられ、底板上に規則的に配置され、シミュレーション機構により石炭層の起伏をシミュレーションすることができ、また、石炭層の起伏をシミュレーションすると同時に、試験台を調節することにより石炭層の傾斜角をシミュレーションする目的を達成することができる。すなわち、上記装置は石炭層の傾斜角と起伏とを同時にシミュレーションすることができる。
【0027】
また、ショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンのシミュレーションにおいて、異なる分岐坑道長さにおける充填効果及び偽傾斜であるか否かを考慮する必要もある。そのため、上記の装置は、石炭層の傾斜角、起伏、異なる分岐坑道長さにおける充填効果及び偽傾斜であるか否かを同時にシミュレーションできるように、更なる改良が必要である。
【0028】
さらに、天板と底板との間に位置する試験ルームは、その天板及び底板が試験台と共有されるものであり、側板が、第1の透明板1、第2の透明板2及び第3の透明板3により構成され、前記第1の透明板と第2の透明板とが対向し、前記第3の透明板が前記第1の透明板と第2の透明板との間に移動可能に連結され、すなわち、試験ルームの一面が開放された設計であり、全体として一面が開口である直方体構造である。
【0029】
試験ルームの開口面に材料投入口32が設けられ、材料投入口には第1の材料投入口バッフル33と第2の材料投入口バッフル34とが設けられ、第1の材料投入口バッフルには第1の回転機構35が連結され、第2の材料投入口バッフルには第2の回転機構36が連結され、第1の回転機構、第2の回転機構により材料投入口の大きさ及び位置を調節する。
【0030】
第1の回転機構と第2の回転機構の具体的な構造によれば、回転機構は回転摺動座、ロックノブ、固定板及び回動軸を含み、固定板は、バッフルと連結して、回転摺動座を通して回動軸周りに回動し、材料投入口の大きさ及び方向を変え、最後にロックノブをロックする。
【0031】
第1の透明板と第2の透明板の、前記第3の透明板と反対する位置にある端部にはそれぞれ第1の回動軸4と第2の回動軸5が設けられ、第1の回動軸には第1のロックノブ9が設けられ、前記第2の回動軸には第2のロックノブ10が設けられ、第1のロックノブには第1の回動摺動座27が連結され、第2のロックノブには第2の回動摺動座28が連結され、前記第1の回動摺動座には第1の固定板29が連結され、前記第2の回動摺動座には第2の固定板30が連結され、
前記第3の透明板にはナットを介して第1の液圧ロッド12が連結され、第1の液圧ロッド12にはバッフル11が連結され、バッフル11は試験ルームを2つのエリアに分けて、第1の液圧ロッドを通してバッフルを試験ルーム内で摺動させることができ、バッフル11が試験ルーム内で摺動することにより、異なる分岐坑道長さにおける充填効果をシミュレーションすることができる。
【0032】
さらに、第1の透明板と第3の透明板との間、第2の透明板と第3の透明板との間は、いずれもヒンジにより連結されている。具体的には、第1の透明板と第3の透明板との間は第1のヒンジ13、第2のヒンジ14により連結され、第2の透明板と第3の透明板との間は、第3のヒンジ15、第4のヒンジ16により連結され、第1の液圧ロッド12は、第3の透明板の中心部に連結されている。
【0033】
試験ルームを上記構成とすることにより、バッフルが試験ルーム内で摺動可能であるため、異なる分岐坑道長さにおける充填効果をシミュレーションすることができ、第1のロックノブ、第2のロックノブにより、第1の透明板、第2の透明板が第1の回動軸、第2の回動軸を中心に回転するようにして、偽傾斜配置であるか否かをシミュレーションすることができる。
【0034】
すなわち、本発明によれば、試験台と試験ルームとに対する同時改良により、石炭層の傾斜角、起伏、異なる分岐坑道長さにおける充填効果、偽傾斜であるか否かの同時シミュレーションを実現することができる。本発明にかかる装置をショートウォール連続採掘連続充填に適用すれば、連続採掘連続充填におけるスラリーの配合比率及び安全な採掘に理論的支援を提供することができる。
【0035】
以下では、上述したショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験方法と結びつけてさらに説明する。
【0036】
具体的に、
第2の液圧ロッド、第3の液圧ロッドを制御することにより試験台の傾斜角を調整して、現場の実際の傾斜角をシミュレーションするステップ(1)と、
第1の液圧ロッドの伸縮を制御してバッフルを押して移動させることにより、現場の実際の長さをシミュレーションするステップ(2)と、
底板上の昇降ブロックを制御して、現場の実際の起伏状况をシミュレーションするステップ(3)と、
第1の透明板、第2の透明板が第1の回動軸、第2の回動軸を中心に回転するように第1のロックノブ、第2のロックノブを調整し、調整が完了してから第1のロックノブ、第2のロックノブをロックすることにより、現場が偽傾斜配置であるか否かをシミュレーションするステップ(4)と、
立柱の高さを調整し、それに合わせて適切な規格の透明板を選択し、透明板の周りを密封することにより、坑道の高さをシミュレーションするステップ(5)と、
充填シミュレーションを開始し、流動パターンを観察するステップ(6)と、を含む。
【0037】
以上のように、本発明にかかるショートウォール連続採掘連続充填における材料の流動パターンをシミュレーションする実験方法によれば、異なる動作状態条件の下での連続採掘連続充填における充填材料の流動パターンを同時にシミュレーションし、連続採掘連続充填におけるスラリーの配合比率及び安全な採掘を支援することができる。
【0038】
本発明に言及されていない部分は、従来技術を参考にして実現することができる。
【0039】
なお、本明細書の教示の下で当業者が行う如何なる均等の方法、又は明らかなバリエーションは、本発明の保護範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0040】
1 第1の透明板
2 第2の透明板
3 第3の透明板
4 第1の回動軸
5 第2の回動軸
6 第1の立柱
7 第2の立柱
8 第3の立柱
9 第1のロックノブ
10 第2のロックノブ
11 バッフル
12 第1の液圧ロッド
13 第1のヒンジ
14 第2のヒンジ
15 第3のヒンジ
16 第4のヒンジ
17 第2の液圧ロッド
18 第3の液圧ロッド
19 第3の回動軸
20 第4の回動軸
21 第5の回動軸
22 第1の回動軸ナット
23 第2の回動軸ナット
24 第3の回動軸ナット
25 底板
26 天板
27 第1の回動摺動座
28 第2の回動摺動座
29 第1の固定板
30 第2の固定板
31 ベース
32 材料投入口
33 第1の材料投入口バッフル
34 第2の材料投入口バッフル
35 第1の回転機構
36 第2の回転機構
251 昇降ブロック底部ブロック
252 昇降ブロック液圧ロッド
253 昇降ブロック頂部ブロック
図1
図2