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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113670
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】空気圧式釘打機
(51)【国際特許分類】
   B25C 1/04 20060101AFI20240815BHJP
   B25C 1/06 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B25C1/04
B25C1/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024012457
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】202310110657.2
(32)【優先日】2023-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521488738
【氏名又は名称】浙江普莱得電器股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG PRULDE ELECTRIC APPLIANCE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Industrial Development Park, Xiaoshun Town, Jindong District Jinhua, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】楊偉明
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC02
3C068CC06
3C068DD01
3C068HH19
3C068JJ20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】釘打ち力と釘打ち深さを増大できる空気圧式釘打機を提供する。
【解決手段】ボディにはシリンダモジュール及び駆動モジュールが設けられている。シリンダモジュールは、第1シリンダ、第2シリンダ、撃針及びロック構造を含む。第1シリンダは、シリンダハウジング311と、第1ピストン312と、第1室を含む。第1ピストンは前限界位置と後限界位置を有する。第2シリンダは、シリンダバレルと、第2ピストンと、第2室を含む。撃針と第2ピストンは同期する初期位置及び釘打ち位置を有する。前記シリンダハウジングと前限界位置にある第1ピストンとの間に給気隙間314が設けられることで、外部の空気が給気隙間を通って第1シリンダの第1室内に流入する。これにより、シリンダハウジングの側壁に孔を開設しなくても第1室への給気を実現できるため、第1室の給気効率を向上させることができ、釘打ち効果を向上させるのに有利となる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディ及び釘送り装置を含み、ボディにはシリンダモジュール及び駆動モジュールが設けられており、前記シリンダモジュールは、第1シリンダ、第2シリンダ、撃針及びロック構造を含み、前記第1シリンダは、シリンダハウジング、前記駆動モジュールにより駆動される第1ピストン、前記第1ピストンと前記シリンダハウジングとの嵌め合いにより形成される第1室を含み、前記第1ピストンは、前記シリンダハウジングに対して前限界位置と後限界位置を有し、前記第2シリンダは、シリンダバレル、前記シリンダバレル内に設けられる第2ピストン、前記第2ピストンと前記シリンダバレルとの嵌め合いにより形成される第2室を含み、前記撃針は前記第2ピストンに接続されており、且つ、これらは同期する初期位置及び釘打ち位置を有し、前記ロック構造は、前記第1ピストンが前記前限界位置から前記後限界位置へ運動する過程において、前記第2ピストンを初期位置に位置規制する空気圧式釘打機において、
前記シリンダハウジングと前記前限界位置にある前記第1ピストンとの間に給気隙間が設けられることで、外部の空気が前記給気隙間を通って前記第1シリンダの前記第1室内に流入することを特徴とする空気圧式釘打機。
【請求項2】
前記第1ピストンの外径は前記シリンダハウジングの内径よりも小さく、前記給気隙間は前記第1ピストンの外周壁と前記シリンダハウジングの内周壁との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の空気圧式釘打機。
【請求項3】
前記第1ピストンの外周には、前記シリンダハウジングの内周壁に締り嵌めされる第1シールリングが位置決め及び嵌設されており、前記シリンダハウジングの前端には、前記第1シールリングの少なくとも一部を前記シリンダハウジングの内周壁から離脱させる退避構造が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の空気圧式釘打機。
【請求項4】
前記退避構造は、前記シリンダハウジングの内周壁の前端に設けられる円錐面を含み、前記円錐面は、前方が大きく、後方が小さくなるよう設けられ、且つ、前記円錐面の内径は前記第1シールリングの外径よりも大きく、前記第1ピストンに付随して前記前限界位置となった前記第1シールリングは前記円錐面から離脱することを特徴とする請求項3に記載の空気圧式釘打機。
【請求項5】
前記退避構造は、前記シリンダハウジングの内周壁の前端に設けられる凹溝を含み、凹溝の溝深さは、前記第1シールリングと前記シリンダハウジングの内周壁との間の締り嵌め量よりも大きく、前記第1ピストンに付随して前記前限界位置となった前記第1シールリングは、凹溝に対応する部分において凹溝の溝壁から離脱することを特徴とする請求項3に記載の空気圧式釘打機。
【請求項6】
前記退避構造は、前記シリンダハウジングの前端に設けられる切欠きを含み、前記第1ピストンに付随して前記前限界位置となった前記第1シールリングは、切欠きに対応する部分において切欠きから外部に露出することで前記シリンダハウジングから離脱することを特徴とする請求項3に記載の空気圧式釘打機。
【請求項7】
前記第1ピストンの外周には、前記シリンダハウジングの内周壁に締り嵌めされる前記第1シールリングが位置決め及び嵌設されており、前記前限界位置にある前記第1ピストンの一部が前記シリンダハウジングから伸出することで、前記第1ピストンに付随して前記前限界位置となった前記第1シールリングが前記シリンダハウジングから離脱することを特徴とする請求項2に記載の空気圧式釘打機。
【請求項8】
前記第1ピストンの外径は前記シリンダハウジングの内径よりも小さく、前記第1ピストンの外周には、前記シリンダハウジングの内周壁に締り嵌めされる前記第1シールリングが位置決め及び嵌設されており、前記前限界位置にある前記第1ピストンが完全に前記シリンダハウジングから伸出することで、前記給気隙間が前記第1ピストンの後端と前記シリンダハウジングの前端との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の空気圧式釘打機。
【請求項9】
前記シリンダハウジングの内周壁の前端には、前記シリンダハウジング内への前記第1ピストンの進入を案内する前記円錐面が設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の空気圧式釘打機。
【請求項10】
前記第2シリンダは前記第1シリンダ内に設けられ、前記シリンダバレルは前記第1ピストンに挿通され、前記ロック構造は前記シリンダハウジングの後端内に設けられ、前記シリンダバレルには、前記第1室と前記第2室を連通させるための通気孔が設けられており、初期位置にある前記第2ピストンの後方に通気孔の少なくとも一部が位置することで、前記第1室内の圧縮空気が通気孔を通って前記第2室内に流入し、前記第2ピストンに作用して、前記第2ピストンが前記撃針を初期位置から前方に向かって釘打ち位置まで運動させることを特徴とする請求項1に記載の空気圧式釘打機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具の技術分野に関し、特に、空気圧式釘打機に関する。
【背景技術】
【0002】
釘打機とは、ハンディタイプの釘打ち工具であり、高速で運動する撃針によって釘を木材等の物体に打ち込むものである。動力源の違いによって、釘打機は、電動式釘打機、空気圧式釘打機、手動式釘打機等に分けられる。一般的に、従来の空気圧式釘打機にはデュアルシリンダ構造が採用されており、大シリンダ内の大ピストンが運動して大シリンダ内の空気を一定の度合いまで圧縮したあと、小シリンダ内のピストンが解放される。すると、大シリンダ内の圧縮空気が気流経路を通って小シリンダ内に流れ込み、小シリンダ内の小ピストンを高速で運動させる。高速で運動する小ピストンは撃針を同時に運動させ、高速で運動する撃針が釘を木材等の物体に打ち込むことで、釘打ちの目的が実現される。
【0003】
大シリンダへの給気を実現するために、従来の構造では、一般的に、大シリンダのシリンダハウジングにおける側壁に給気孔が開設されており、大ピストンが通気位置にあるときに、外部の空気が給気孔を通って大シリンダ内に流入可能となる。しかし、シリンダハウジングの側壁の給気孔は小さいため、大シリンダの給気効率は低い。よって、釘打ち速度が速い場合には、大シリンダへの毎回の給気量が少なくなり、大シリンダ内に十分な量の圧縮可能な空気が存在しなくなる。これにより、釘打ち力の不足や釘打ち深さが浅くなるとの事態が容易に発生するため、釘打ち要求を満たすのに不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術に存在する欠点及び瑕疵を解消するために、本発明は、シリンダハウジングと限界位置にある第1ピストンとの間に給気隙間が設けられ、外部の空気が給気隙間を通って第1シリンダ内に流入可能なため、第1室の給気効率が大幅に向上し、釘打ち力と釘打ち深さを増大させるのに有利である空気圧式釘打機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的目的を実現するために、本発明が提供する空気圧式釘打機は、ボディ及び釘送り装置を含む。ボディにはシリンダモジュール及び駆動モジュールが設けられている。シリンダモジュールは、第1シリンダ、第2シリンダ、撃針及びロック構造を含む。第1シリンダは、シリンダハウジング、駆動モジュールにより駆動される第1ピストン、第1ピストンとシリンダハウジングとの嵌め合いにより形成される第1室を含む。第1ピストンは、シリンダハウジングに対して前限界位置と後限界位置を有する。第2シリンダは、シリンダバレル、シリンダバレル内に設けられる第2ピストン、第2ピストンとシリンダバレルとの嵌め合いにより形成される第2室を含む。撃針は第2ピストンに接続されており、且つ、これらは同期する初期位置及び釘打ち位置を有する。ロック構造は、第1ピストンが前限界位置から後限界位置へ運動する過程において、第2ピストンを初期位置に位置規制する。前記シリンダハウジングと前限界位置にある第1ピストンとの間に給気隙間が設けられることで、外部の空気が給気隙間を通って第1シリンダの第1室内に流入する。
【0006】
好ましくは、前記第1ピストンの外径はシリンダハウジングの内径よりも小さく、給気隙間は第1ピストンの外周壁とシリンダハウジングの内周壁との間に位置する。
【0007】
好ましくは、前記第1ピストンの外周には、シリンダハウジングの内周壁に締り嵌めされる第1シールリングが位置決め及び嵌設されている。シリンダハウジングの前端には、第1シールリングの少なくとも一部をシリンダハウジングの内周壁から離脱させる退避構造が設けられている。
【0008】
好ましくは、前記退避構造は、シリンダハウジングの内周壁の前端に設けられる円錐面を含む。円錐面は、前方が大きく、後方が小さくなるよう設けられる。且つ、円錐面の内径は第1シールリングの外径よりも大きい。第1ピストンに付随して前限界位置となった第1シールリングは円錐面から離脱する。
【0009】
好ましくは、前記退避構造は、シリンダハウジングの内周壁の前端に設けられる凹溝を含む。凹溝の溝深さは、第1シールリングとシリンダハウジングの内周壁との間の締り嵌め量よりも大きい。第1ピストンに付随して前限界位置となった第1シールリングは、凹溝に対応する部分において凹溝の溝壁から離脱する。
【0010】
好ましくは、前記退避構造は、シリンダハウジングの前端に設けられる切欠きを含む。第1ピストンに付随して前限界位置となった第1シールリングは、切欠きに対応する部分において切欠きから外部に露出することでシリンダハウジングから離脱する。
【0011】
好ましくは、前記第1ピストンの外周には、シリンダハウジングの内周壁に締り嵌めされる第1シールリングが位置決め及び嵌設されている。前限界位置にある第1ピストンの一部がシリンダハウジングから伸出することで、第1ピストンに付随して前限界位置となった第1シールリングがシリンダハウジングから離脱する。
【0012】
好ましくは、前記第1ピストンの外径はシリンダハウジングの内径よりも小さい。第1ピストンの外周には、シリンダハウジングの内周壁に締り嵌めされる第1シールリングが位置決め及び嵌設されている。前限界位置にある第1ピストンが完全にシリンダハウジングから伸出することで、給気隙間が第1ピストンの後端とシリンダハウジングの前端との間に位置する。
【0013】
好ましくは、前記シリンダハウジングの内周壁の前端には、シリンダハウジング内への第1ピストンの進入を案内する円錐面が設けられている。
【0014】
好ましくは、前記第2シリンダは第1シリンダ内に設けられ、シリンダバレルは第1ピストンに挿通される。ロック構造はシリンダハウジングの後端内に設けられる。シリンダバレルには、第1室と第2室を連通させるための通気孔が設けられている。初期位置にある第2ピストンの後方に通気孔の少なくとも一部が位置することで、第1室内の圧縮空気が通気孔を通って第2室内に流入し、第2ピストンに作用して、第2ピストンが撃針を初期位置から前方に向かって釘打ち位置まで運動させる。
【発明の効果】
【0015】
上記の技術方案を用いることで、本発明は以下のような利点を有する。
【0016】
1.本発明が提供する空気圧式釘打機は、第1ピストンが限界位置にあるとき、シリンダハウジングと第1ピストンの間に給気隙間が設けられる。外部の空気は、給気隙間を通って第1シリンダの第1室内に直接流入可能なため、第1室の給気効率を大幅に向上させられる。これにより、第1室内に十分な量の圧縮可能な空気が存在するよう保証されるため、釘打ち時にシリンダモジュールが第2ピストンに付与する空気圧の作用力を合理的に増大させることができ、釘打ち時の撃針の速度を合理的に向上させられる。このことは、連続釘打ち時の釘打ち力及び釘打ち深さを増大させるのに有利なため、釘打ち効果を向上させるのに有益である。
【0017】
2.第1ピストンが前限界位置にあるとき、給気隙間は第1ピストンの外周壁とシリンダハウジングの内周壁との間に位置する。この場合、第1ピストンがシリンダハウジングから完全に離脱しなくても給気隙間を形成可能なため、第1ピストンの運動の安定性を向上させるのに有利である。
【0018】
3.シリンダハウジングの前端には退避構造が設けられている。第1ピストンが前限界位置にあるとき、第1シールリングの少なくとも一部は退避構造によってシリンダハウジングの内周壁から離脱する。即ち、第1シールリングの少なくとも一部が退避構造によってシリンダハウジングの内周壁と接触しなくなる。これにより、第1ピストンの外周壁とシリンダハウジングの内周壁との間に位置する給気隙間が外部の空気と円滑に連通可能となるため、第1室に対し円滑に給気することができる。シリンダハウジングの構造を合理的に設けることで、外部の空気は給気隙間を通って円滑に第1室内に流入可能となる。
【0019】
4.第1の具体的構造において、退避構造は、シリンダハウジングの内周壁の前端に設けられる円錐面である。円錐面の内径は第1シールリングの外径よりも大きいため、第1ピストン及び第1シールリングが前限界位置にあるときには、第1シールリングが円錐面と接触しなくなる。これにより、給気隙間が外部の空気と円滑に連通可能となるため、外部の空気が給気隙間を通って円滑に第1室内に流入し得るよう保証される。
【0020】
5.第2の具体的構造において、退避構造は、シリンダハウジングの内周壁の前端に設けられる凹溝である。凹溝の溝深さは第1シールリングとシリンダハウジングの内周壁との間の締り嵌め量よりも大きいため、第1ピストン及び第1シールリングが前限界位置にあるときには、第1シールリングにおける凹溝に対応する部分が凹溝の溝壁と接触しなくなる。これにより、給気隙間が凹溝を通じて外部の空気と円滑に連通可能となるため、外部の空気が給気隙間を通って円滑に第1室内に流入し得るよう保証される。
【0021】
6.第3の具体的構造において、退避構造は、シリンダハウジングの前端に設けられる切欠きである。第1ピストン及び第1シールリングが前限界位置にあるときには、第1シールリングにおける切欠きに対応する部分が切欠きから外部に露出する。即ち、第1シールリングにおける切欠きに対応する部分がシリンダハウジングの内周壁と接触しなくなる。これにより、給気隙間が切欠きを通じて外部の空気と連通可能となるため、外部の空気が給気隙間を通って円滑に第1室内に流入し得るよう保証される。
【0022】
7.第1ピストン及び第1シールリングが前限界位置にあるときに、第1ピストンの一部がシリンダハウジングから伸出する場合、第1シールリングは第1ピストンに付随してシリンダハウジングから離脱するため、第1シールリングがシリンダハウジングの内周壁と接触しなくなる。これにより、給気隙間が外部の空気と円滑に連通可能となるため、外部の空気が給気隙間を通って円滑に第1室内に流入し得るよう保証される。
【0023】
8.第1ピストン及び第1シールリングが前限界位置にあるときに、第1ピストンが完全にシリンダハウジングから伸出する場合、第1シールリングは第1ピストンに付随してシリンダハウジングから離脱する。このとき、給気隙間は第1ピストンの後端とシリンダハウジングの前端との間に位置する。前限界位置にある第1ピストンについて、シリンダハウジングに対する具体的位置関係を合理的に設置することで、第1ピストンとシリンダハウジングの間に給気隙間を円滑に形成可能となる。
【0024】
9.シリンダハウジングの内周壁の前端には円錐面が設けられる。シリンダハウジングから伸出した第1ピストンは、前限界位置から後限界位置へ運動する際に、円錐面の案内作用によって再びシリンダハウジング内に円滑に進入し得る。第1ピストンが再びシリンダハウジング内に進入する際の難度を円錐面によって低下させることで、第1ピストンの運動の安定性が向上するため、空気圧式釘打機の釘打ちの安定性を向上させるのに有利である。
【0025】
10.第2シリンダが第1シリンダ内に設けられる場合、第2シリンダのシリンダバレルには通気孔が設けられる。これにより、第1室内の圧縮空気は、通気孔を通って第2室内に直接流入可能となり、第2ピストンに作用する。こうすることで、圧縮空気が第2ピストンに作用する際の有効接触面積を合理的に増大させられるため、第2ピストンは大きな初期作用力を得ることができ、第2ピストンがロック構造から解放されて撃針を運動させる際の初期速度が向上する。これにより、第2ピストンが撃針を動作させて釘打ちを行う際の速度が向上するため、釘打ち深さを増大させるのに有利となり、釘を硬い物体に打ち込むのにも有利となる。このことは、ユーザエクスペリエンスを向上させるのに有利である。そのほか、第1室内の圧縮空気は、通気孔を通って第2室内に直接流入可能なため、圧縮空気を第1室から第2室に流入させる経路構造をロック構造又はその他の部材に設ける必要がない。このことは、関連部材の構造難度や気密性要求を低下させるのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施例1の空気圧式釘打機の全体図である。
図2図2は、実施例1の空気圧式釘打機におけるボディの内部構造図である。
図3図3は、実施例1の空気圧式釘打機における第1ピストンが前限界位置にあるときのシリンダモジュールの構造図である。
図4図4は、実施例1の空気圧式釘打機における第1ピストンが後限界位置にあるときのシリンダモジュールの構造図である。
図5図5は、実施例1の空気圧式釘打機における第1ピストンが前限界位置にあるときのシリンダハウジングとの嵌め合いの部分構造図である。
図6図6は、実施例1の空気圧式釘打機における第2ピストンが初期位置にあるときのシリンダモジュールの部分構造図である。
図7図7は、実施例1の空気圧式釘打機における第2ピストンがロック構造から解放されたときの部分構造図である。
図8図8は、実施例1の空気圧式釘打機におけるロック構造と第2シリンダの部分構造図である。
図9図9は、実施例1の空気圧式釘打機における駆動モジュールの構造図である。
図10図10は、実施例2の空気圧式釘打機におけるシリンダハウジングの構造図である。
図11図11は、実施例2の空気圧式釘打機における第1ピストンが前限界位置にあるときのシリンダハウジングとの嵌め合いの概略構造図である。
図12図12は、実施例3の空気圧式釘打機におけるシリンダハウジングの構造図である。
図13図13は、実施例3の空気圧式釘打機における第1ピストンが前限界位置にあるときのシリンダハウジングとの嵌め合いの部分構造図である。
図14図14は、実施例4の空気圧式釘打機におけるシリンダモジュールの構造図である。
図15図15は、実施例4の空気圧式釘打機における第1ピストンが前限界位置にあるときのシリンダハウジングとの嵌め合いの部分構造図である。
図16図16は、実施例6の空気圧式釘打機における第1ピストンが前限界位置にあるときのシリンダハウジングとの嵌め合いの部分構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面と具体的実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。理解すべき点として、後述の「上」、「下」、「左」、「右」、「縦方向」、「横方向」、「内」、「外」、「垂直」、「水平」、「天井」、「底」等の方向又は位置関係を示す用語は、図示に基づく方向又は位置関係にすぎず、単に本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものであって、対象となる装置/部材が特定の方向を有することや、特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。従って、本発明を制限するものと解釈すべきではない。
【実施例0028】
図1図9を組み合わせて、本発明の実施例1で提供する空気圧式釘打機は、ボディ100及び釘送り装置200を含む。ボディ100には、シリンダモジュール300及び駆動モジュール400が設けられている。シリンダモジュール300は、第1シリンダ310、第2シリンダ320、撃針330及びロック構造340を含む。第1シリンダ310は、シリンダハウジング311、駆動モジュール400により駆動される第1ピストン312、第1ピストン312とシリンダハウジング311との嵌め合いにより形成される第1室313を含む。第1ピストン312は、シリンダハウジング311に対して前限界位置と後限界位置を有する。第2シリンダ320は、シリンダバレル321、シリンダバレル321内に設けられる第2ピストン322、第2ピストン322とシリンダバレル321との嵌め合いにより形成される第2室323を含む。撃針330は第2ピストン322に接続されており、且つ、これらは同期する初期位置及び釘打ち位置を有する。ロック構造340は、第1ピストン312が前限界位置から後限界位置へ運動する過程において、第2ピストン322を初期位置に位置規制する。シリンダハウジング311と前限界位置にある第1ピストン312との間には給気隙間314が設けられる。これにより、外部の空気は給気隙間314を通って第1シリンダ310の第1室313内に流入する。
【0029】
外部の空気は、給気隙間を通って第1シリンダの第1室内に直接流入可能なため、第1室の給気効率を大幅に向上させられる。これにより、第1室内に十分な量の圧縮可能な空気が存在するよう保証されるため、釘打ち時にシリンダモジュールが第2ピストンに付与する空気圧の作用力を合理的に増大させることができ、釘打ち時の撃針の速度を合理的に向上させられる。このことは、連続釘打ち時の釘打ち力及び釘打ち深さを増大させるのに有利なため、釘打ち効果を向上させるのに有益である。
【0030】
図3及び図4を組み合わせて、本実施例において、シリンダハウジング311は、前端が開口し、後端が閉塞された筐体状をなしている。第1シリンダ310は、更に、シリンダハウジング311の前端に設けられるシリンダベース315を含む。シリンダハウジング311とシリンダベース315は固定されている。図5を組み合わせて、第1ピストン312の外径D1はシリンダハウジング311の内径d1よりも小さい。また、第1ピストン312の外周には、軸方向に位置決めされる第1シールリング316が嵌設されている。第1シールリング316はシリンダハウジング311の内周壁に締り嵌めされる。即ち、第1シールリング316の外径D2はシリンダハウジング311の内径d1よりも大きく、第1シールリング316によって、第1ピストン312とシリンダハウジング311との周方向における密封状の嵌め合いが実現される。具体的に、本実施例における第1シールリング316にはO型のシールリングを用いる。しかし、当然ながら、第1シールリング316には、複数のシールエッジを備えるシールリング等のその他のタイプのシールリングを用いてもよく、ここでは過剰に制限しない。
【0031】
図5を組み合わせて、本実施例において、給気隙間314は第1ピストン312の外周壁とシリンダハウジング311の内周壁との間に位置する。給気隙間314が外部の空気と円滑に連通し得るよう、シリンダハウジング311の前端には、第1シールリング316の少なくとも一部をシリンダハウジング311の内周壁から離脱させる退避構造が設けられている。具体的に、退避構造は、シリンダハウジング311の内周壁の前端に設けられる円錐面3111を含む。円錐面3111は、前方が大きく、後方が小さくなるよう設けられる。また、円錐面3111の後端の直径d2は、第1シールリング316の外径D2よりも大きい。円錐面3111によりシリンダハウジング311の前端の内径を合理的に拡大することで、第1ピストン312及び第1シールリング316が前限界位置にあるときには、第1シールリング316が円錐面3111と接触しなくなり、第1ピストン312の外周壁とシリンダハウジング311の内周壁との間に位置する給気隙間314が外部の空気と円滑に連通可能となる。本実施例において、D1とd1の間の片側の隙間嵌め量は、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm等の合理的な大きさとしてもよく、D2とd1の間の片側の締り嵌め量は、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm等の合理的な大きさとしてもよく、d2とD2との差は、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm等の合理的な大きさとしてもよく、シリンダハウジング311の軸方向に対する円錐面3111の傾斜角度γは、0.6°、0.7°、0.8°、0.9°、1°、1.1°、1.2°、1.3°、1.4°、1.5°等の合理的な大きさとしてもよい。ただし、ここでは過剰に制限せず、給気要求を満たせればよい。
【0032】
図5を組み合わせて、円錐面3111とシリンダハウジング311の内周壁との間に直角の段差が形成されることで第1ピストン312の後方への運動が妨げられないよう、円錐面3111の後端とシリンダハウジング311の内周壁との間には、円錐状の移行面3112が設けられている。移行面3112は、前方が大きく、後方が小さくなるよう設けられる。移行面3112の前端の直径は円錐面3111の後端の直径d2と一致しており、移行面3112の後端の直径はシリンダハウジング311の内周壁の内径d1と一致している。給気隙間314の片側の幅を合理的に増大させるために、円錐面3111と移行面3112の軸方向の高さの和hは、第1ピストン312の軸方向の高さHよりも大きくなっている。
【0033】
図6及び図7を組み合わせて、本実施例において、第2ピストン322の外周には、軸方向に位置決めされる第2シールリング324が嵌設されている。第2ピストン322とシリンダバレル321の間は、第2シールリング324によって、周方向における密封状の嵌め合いが実現される。図3を組み合わせて、第2シリンダ320は、更に、シリンダバレル321の前端に設けられるストッパヘッド325を含む。第2シリンダ320は、第1シリンダ310の内部に偏心するよう設けられるとともに、シリンダベース315に固定される。また、第1ピストン312には、偏心するよう設置されて、シリンダバレル321と嵌め合わされる貫通口が設けられている。シリンダバレル321は、貫通口から第1ピストン312に挿通される。第1ピストン312は、第2シリンダ320に対し前後に運動可能である。貫通口の内壁又はシリンダバレル321の外壁には、第1ピストン312とシリンダバレル321の周方向における密封状の嵌め合いを維持する第3シールリング317が設けられている。
【0034】
第1室313と第2室323の間でのガスの通過を実現するために、シリンダバレル321には、第1室313と第2室323を連通させるための通気孔3211が設けられている。第2ピストン322と第2シールリング324が初期位置にあるとき、通気孔3211の少なくとも一部は第2ピストン322の後端面の後方に位置する。且つ、通気孔3211は、完全に第2シールリング324の後方に位置する。これにより、第1室313内の圧縮空気が通気孔3211を通って第2室323内に直接流入可能となり、第2ピストン322に作用することで、第2ピストン322が撃針330を初期位置から前方に向かって釘打ち位置まで運動させる。この場合、圧縮空気が第2ピストン322に作用する際の有効接触面積を合理的に増大させられるため、第2ピストン322は大きな初期作用力を得ることができ、第2ピストン322がロック構造340から解放されて撃針330を運動させる際の初期速度が向上する。これにより、第2ピストン322が撃針330を動作させて釘打ちを行う際の速度が向上するため、釘打ち深さを増大させるのに有利となり、釘を硬い物体に打ち込むのにも有利となる。また、第1室313内の圧縮空気は通気孔3211を通って第2室323内に直接流入し、第2ピストン322に作用し得るため、圧縮空気を第1室313から第2室323に流入させる経路構造をロック構造340又はその他の部材に設ける必要がない。このことは、関連部材の構造難度や気密性要求を低下させるのに有利である。
【0035】
図6を組み合わせて、シリンダバレル321の後端には一体的に成形される収縮部3212が設けられている。通気孔3211は、シリンダバレル321の後端に設けられるとともに、収縮部3212の前方に位置する。通気孔3211は、シリンダバレル321の周方向に間隔を開けて複数設けられている。理解し得るように、通気孔3211は、丸孔、角孔、矩形孔、楕円孔、円弧状孔、三角孔等の合理的な形状としてもよい。また、通気孔3211には異なる形状の数種類の孔を同時に用いてもよく、例えば、丸孔、角孔、矩形孔、楕円孔、円弧状孔及び三角孔のうちのいずれか2種類、又はいずれか3種類、又はいずれか複数種類を同時に用いる。ただし、ここでは通気孔3211の形状について過剰に制限しない。通気孔3211には、等間隔で分布する形式を用いてもよいし、非等間隔で分布する形式を用いてもよく、ここでは通気孔3211の分布について過剰に制限しない。そのほか、第2ピストン322が初期位置にあるとき、通気孔3211のうち第2ピストン322の後方に位置する面積の割合は、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%等の合理的な大きさとしてもよい。
【0036】
第2ピストン322の後端には制震パッド326が設けられている。また、制震パッド326の後端面には、圧縮空気を流動させる溝構造が設けられている。制震パッド326の外径は第2ピストン322の外径よりも小さいため、通気孔3211を通って第2室323内に流入した圧縮空気は、第2ピストン322の天井面に直接的且つ有効に作用し得る。溝構造は、互い違いに分布し且つ互いに連通する径方向溝及び周方向溝を含む。これにより、第2室323内に流入した圧縮空気は、溝構造を通って第2ピストン322の後端面に平均的に作用可能となる。第2ピストン322が初期位置にあるとき、通気孔3211の一部は、同じく初期位置にある制震パッド326の後方に位置するため、通気孔3211を通って第2室323内に流入した圧縮空気を溝構造に直接流入させられる。
【0037】
図3及び図8を組み合わせて、ロック構造340は、シリンダハウジング311の後端内に固定される固定ベース341と、ナット345によりシリンダハウジング311の後端壁に締結されるとともに、固定ベース341に対して固定を維持するロックスリーブ342と、前後に運動可能にロックスリーブ342内に設けられるロックコア343と、金属製のカバー348を通じて固定ベース341内に設けられるスライダ344と、カバー348内に設けられるバネ346と、固定ベース341とシリンダハウジング311の後端壁との間に設けられる弾性パッド347、を含む。撃針330は、ロッド体350を介して第2ピストン322又はロックコア343に固定的に接続される。ロックコア343の後部には、スライダ344と係合するロック溝3431が設けられている。スライダ344は、固定ベース341のいずれかの径方向に沿って往復摺動可能である。バネ346は、一端が固定的に設置され、他端がスライダ344に当接する。スライダ344は、ロックコア343に面する一端に、ロック溝3431と係合して第2ピストン322を初期位置に位置規制する段差部3441が設けられている。ロックスリーブ342には、スライダ344を避けるためのスロット開口3421が設けられている。バネ346は、通常状態では、スライダ344をロックコア343に向かって付勢することで、段差部3441とロック溝3431をロック状態とする。空気の漏洩を回避するために、ロック構造340は、シールグリス又はOリング等の方式を組み合わせてシール処理してもよい。
【0038】
図3及び図4を組み合わせて、ロック構造340が第2ピストン322を迅速に解放し得るよう、ロック構造340は、更に、第1ピストン312に設けられてロック解除に用いられる押上ロッド349を含む。押上ロッド349の後端には第1斜面3491が設けられており、スライダ344には押上ロッド349が挿入される貫通溝3442が設けられている。貫通溝3442の一方の側には、第1斜面3491と平行な対応する第2斜面3443が設けられている。また、カバー348には、押上ロッド349を避けるための退避溝3481が設けられている。第1ピストン312が前限界位置から後方に向かって後限界位置まで運動する過程で、押上ロッド349は、第1ピストン312と同時に後方に向かって運動し、退避溝3481を通って貫通溝3442内に挿入可能となる。そして、第1斜面3491は、第2斜面3443と当接してスライダ344に力を付与し、ロックコア343から離隔する方向に運動させるとともに、バネ346に力を付与して圧縮する。これにより、スライダ344がロックコア343のロック溝3431から離脱することで、ロック解除との目的が実現される。
【0039】
図2を組み合わせて、ボディ100はケーシング500を含む。また、ケーシング500には持ち手部510が形成されている。駆動モジュール400の軸方向とシリンダモジュール300の軸方向は垂直に設けられる。図9を組み合わせて、駆動モジュール400は、互いに固定されるモータ410と減速器420を含む。減速器420は出力軸421を含む。出力軸421の末端は、シリンダベース315内に伸入するとともに、クランク430が配設されている。第1ピストン312内にはピンロッド318が設けられており、ピンロッド318とクランク430の間に接続ロッド440が設けられている。接続ロッド440の先端は、ピンロッド318に覆設されて第1ピストン312とのヒンジ接続を実現する。接続ロッド440の底端はクランク430にヒンジ接続される。駆動モジュール400は、クランク430と接続ロッド440を通じて第1ピストン312を前限界位置と後限界位置の間で往復運動させる。図3及び図4を組み合わせて、シリンダバレル321の前端には、間隔を開けて分布するいくつかの小孔3213が設けられている。また、シリンダバレル321の前端には、小孔3213を開閉するための弾性バルブスリーブ327が覆設されている。
【0040】
停止状態の場合、駆動モジュール400のクランク430と接続ロッド440は図3に示すような重なり合った状態となり、第1ピストン312は前限界位置となる。このとき、第1シールリング316は円錐面3111と接触せず、第1ピストン312の外周壁と円錐面3111との間に給気隙間314が設けられる。この場合には、外部の空気が給気隙間314を通って第1室313内に流入可能となり、第1室313内に十分な量の圧縮可能な空気が存在するよう保証される。
【0041】
駆動モジュール400がクランク430と接続ロッド440を通じて第1ピストン312を前限界位置から後方に向かって運動させる過程において、第1シールリング316がシリンダハウジング311の内周壁と接触すると、第1室313は外部の空気から遮断される。そして、第1ピストン312が引き続き後方へ運動する過程において、第1ピストン312は第1室313内の空気を圧縮して、第1室313内の空気圧を増大させる。
【0042】
図4を組み合わせて、クランク430と接続ロッド440が上下に分布し且つ同一直線上に位置するまで運動したとき、第1ピストン312は後限界位置となる。このとき、押上ロッド349の第1斜面3491がスライダ344の第2斜面3443と連携することで、スライダ344を摺動させるとともに、段差部3441をロック溝3431から離脱させる。これにより、第2ピストン322が解放される。そして、第1シリンダ310内の高圧の圧縮空気が通気孔3211を通って第2室323内に直接流入し、第2ピストン322に作用する。また、一部の圧縮空気が溝構造に流入し、制震パッド326を介して第2ピストン322に作用する。これにより、スライダ344から解放された第2ピストン322は、圧縮空気の作用によって撃針330を前方へ運動させる。第2ピストン322と撃針330が前方に向かって一定の距離だけ運動したあと、撃針330は釘送り装置200から送られた釘と接触し、釘に力を付与する。これにより、釘は釘送り装置200から離脱して木材等の物体に打ち込まれ、釘打ち動作が実現される。
【0043】
第2ピストン322が前方に向かってストッパヘッド325と当接するまで運動するときに、第2ピストン322と撃針330は前方に向かって釘打ち位置まで運動する。このとき、釘打ち動作が終了し、第2ピストン322が小孔3213の前方に位置する。すると、第2室323内の空気圧が大きくなっているため、圧力差の作用で弾性バルブスリーブ327が小孔3213を開放し、第2室323内の高圧ガスを小孔3213から外部に排出可能とする。そして、第2室323内の空気圧と外部の空気圧が平衡になると、弾性バルブスリーブ327が小孔3213を閉止して、第2室323を外部の空気から遮断する。
【0044】
駆動モジュール400が、クランク430と接続ロッド440を通じて第1ピストン312を後限界位置から前方に向かって運動させ、前限界位置に復帰させる過程において、第1室313及び第2室323内の空気圧は小さくなる。よって、第2ピストン322は、負圧の作用で釘打ち位置から後方に向かって運動し、初期位置に復帰する。第2ピストン322が後方に向かって初期位置付近まで運動する際には、ロックコア343の後部がロックスリーブ342内に挿入される。すると、ロックコア343の後端の錐状面がスライダ344の段差部3441と当接することで、まずは、バネ346の弾性力に抗してスライダ344をロックコア343から離隔する方向へ一定の距離だけ摺動させる。そして、第2ピストン322がロックコア343を伴って後方に向かって初期位置まで運動したときに、段差部3441がロック溝3431に対応する。また、スライダ344がバネ346の弾性力の作用でロックコア343に向かって摺動し、段差部3441をロック溝3431に挿入することで、第2ピストン322と撃針330を初期位置に位置規制する。第1ピストン312が前方に向かって前限界位置まで運動する際には、第1シールリング316が円錐面3111から離脱して、第1ピストン312の外周壁とシリンダハウジング311の内周壁との間に給気隙間314が形成される。これにより、外部の空気が給気隙間314を通って第1室313内に流入し、次の釘打ち動作が行われる。
【0045】
釘打ち時には、第1室313内の圧縮空気が通気孔3211を通って第2室323内に直接流入し、第2ピストン322に作用するため、圧縮空気を通過させる経路構造を固定ベース341やロックスリーブ342に設ける必要はない。これにより、固定ベース341の気密性構造に対する要求も相応に低下するため、関連部材の構造難度や気密性要求を低下させるのに有利である。
【0046】
本実施例の空気圧式釘打機における釘送り装置200等のその他の構造については、中国特許出願公開第109623736号明細書、米国特許第11478912号明細書といった特許文献を参照すればよいため、ここではこれ以上詳述しない。
【0047】
理解し得るように、第2シリンダ320を第1シリンダ310の外部に設け、第1シリンダ310と並べて設置してもよい。この場合には、ロック構造340を2つのシリンダの後方に設けるとともに、第1室313内の圧縮空気を第2室323内に流入させる経路構造を2つのシリンダの間に設けてもよい。
【0048】
理解し得るように、シリンダバレル321から収縮部3212を省略してもよい。
【0049】
理解し得るように、ロック構造340に従来の磁気吸着構造を用いてもよい。
【実施例0050】
図10及び図11を組み合わせて、本実施例において、退避構造は、シリンダハウジング311の内周壁の前端に設けられる凹溝3113を含む。凹溝3113の溝深さsは、第1シールリング316とシリンダハウジング311の内周壁との間の締り嵌め量(D2-d1)よりも大きい。第1ピストン312及び第1シールリング316が前限界位置にあるときには、第1シールリング316における凹溝3113に対応する部分が凹溝3113の溝壁から離脱する。即ち、第1シールリング316における凹溝3113に対応する部分がシリンダハウジング311の内壁と接触しなくなる。これにより、第1ピストン312の外周壁とシリンダハウジング311の内周壁との間に位置する給気隙間314が凹溝3113を通じて外部の空気と連通可能となる。具体的に、本実施例における凹溝3113は、シリンダハウジング311の前端面から後方へと延伸しており、且つ長尺状をなしている。凹溝3113は、シリンダハウジング311の周方向に間隔を開けて複数設けられている。
【0051】
実施例2におけるその他の構造は実施例1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0052】
理解し得るように、凹溝3113は、s形、円弧形等のその他の合理的な形状としてもよい。
【0053】
理解し得るように、凹溝3113は、シリンダハウジング311の周方向に間隔を開けて2つ、3つ、4つ、5つ、6つ等の合理的な数を設けてもよい。
【0054】
理解し得るように、給気要求を満たすために、凹溝3113は一定の溝深さと溝幅を保証する必要がある。
【0055】
理解し得るように、退避構造として、実施例1の円錐面3111と実施例2の凹溝3113を同時に設けてもよい。この場合、凹溝3113は円錐面3111に設けられる。
【実施例0056】
図12及び図13を組み合わせて、本実施例において、退避構造は、シリンダハウジング311の前端に設けられる切欠き3114を含む。第1ピストン312及び第1シールリング316が前限界位置にあるときには、第1シールリング316における切欠き3114に対応する部分が、切欠き3114から外部に露出することでシリンダハウジング311から離脱する。即ち、第1シールリング316における切欠き3114に対応する部分がシリンダハウジング311の内周壁と接触しなくなる。これにより、給気隙間314が切欠き3114を通じて外部の空気と連通可能となるため、外部の空気を給気隙間314から第1室313内に流入させられる。好ましくは、切欠き3114の高さは第1ピストン312の軸方向の高さHよりも小さく、第1ピストン312が前限界位置にあるとき、第1ピストン312の後端面は切欠き3114の後溝壁の後方に位置する。
【0057】
実施例3におけるその他の構造は実施例1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0058】
理解し得るように、切欠き3114は、1つ、2つ、3つ等の合理的な数を設けてもよく、給気要求を満たせればよい。
【0059】
理解し得るように、給気隙間314の幅を適切に増大させるために、第1ピストン312の外周壁に、第1シールリング316の後方に位置し、且つ、前方が大きく後方が小さくなった錐状面を設けてもよい。
【0060】
理解し得るように、第1ピストン312が前限界位置にあるとき、第1ピストン312の後端面と切欠き3114の後溝壁は前後に整列するよう設けられてもよい。また、当然ながら、第1ピストン312が前限界位置にあるとき、第1ピストン312の後端面は切欠き3114の後溝壁の前方に位置してもよい。
【0061】
理解し得るように、退避構造として、実施例1の円錐面3111と実施例3の切欠き3114を同時に設けてもよい。この場合、切欠き3114の高さは円錐面3111の軸方向の高さと一致していてもよいし、円錐面3111の軸方向の高さよりやや小さくてもよい。
【0062】
理解し得るように、退避構造として、実施例2の凹溝3113と実施例3の切欠き3114を同時に設けてもよい。この場合には、凹溝3113と切欠き3114をシリンダハウジング311の周方向にずらして分布させる。
【0063】
理解し得るように、退避構造として、実施例1の円錐面3111、実施例2の凹溝3113及び実施例3の切欠き3114を同時に設けてもよい。この場合、切欠き3114の高さは円錐面3111の軸方向の高さと一致していてもよいし、円錐面3111の軸方向の高さよりやや小さくてもよい。また、凹溝3113と切欠き3114をシリンダハウジング311の周方向にずらして分布させる。
【実施例0064】
図14及び図15を組み合わせて、本実施例において、第1ピストン312が前限界位置にあるときには、第1ピストン312の一部がシリンダハウジング311から伸出する。このとき、第1シールリング316は、第1ピストン312に付随してシリンダハウジング311から離脱し、シリンダハウジング311の外部に位置するため、第1シールリング316がシリンダハウジング311の内周壁と接触しなくなる。これにより、給気隙間314が第1ピストン312の後端の外周壁とシリンダハウジング311の内周壁との間に位置することで、外部の空気が給気隙間314から第1室313内に流入可能となる。具体的に、本実施例におけるシリンダハウジング311の軸方向の高さは適切に小さくなっている。また、シリンダハウジング311は、支持柱319を介してシリンダベース315に間隔を開けて固定される。即ち、シリンダハウジング311とシリンダベース315の間には一定の前後の間隔が存在している。これらの間の前後の間隔を利用することで、第1ピストン312がシリンダハウジング311から伸出するのに必要な空間が付与される。
【0065】
実施例4におけるその他の構造は実施例1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【実施例0066】
実施例4をベースとして、第1ピストン312が再びシリンダハウジング311内に進入する際の難度を低下させるために、シリンダハウジング311の内周壁の前端には実施例1の円錐面3111が設けられている。当該円錐面3111は、第1ピストン312がシリンダハウジング311内に進入する際に案内作用を奏するため、第1ピストン312の運動の安定性を向上させるのに有利である。そのほか、第1ピストン312が前限界位置にあるときには、円錐面3111によって給気隙間314の幅を適切に増大させることも可能なため、給気効率を向上させるのに有利である。
【0067】
実施例5におけるその他の構造は実施例1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【実施例0068】
図16を組み合わせて、本実施例において、第1ピストン312及び第1シールリング316が前限界位置にあるときには、第1ピストン312が完全にシリンダハウジング311から伸出する。即ち、第1ピストン312の後端面が前方に向かってシリンダハウジング311の前端面から飛び出す。このとき、第1シールリング316は第1ピストン312に付随してシリンダハウジング311から離脱し、シリンダハウジング311の外部に位置するため、第1シールリング316がシリンダハウジング311の内周壁と接触しなくなる。これにより、給気隙間314が第1ピストン312の後端とシリンダハウジング311の前端との間に位置することで、外部の空気が給気隙間314から第1室313内に流入可能となる。
【0069】
実施例6におけるその他の構造は実施例1と同様のため、ここでは改めて詳述しない。
【0070】
理解し得るように、第1ピストン312が再びシリンダハウジング311内に進入する際の難度を低下させるために、シリンダハウジング311の内周壁の前端に実施例1の円錐面3111を設けてもよい。当該円錐面3111は、第1ピストン312がシリンダハウジング311内に進入する際に案内作用を奏するため、第1ピストン312の運動の安定性を向上させるのに有利である。
【0071】
上記の好ましい実施例以外にも、本発明は更にその他の実施形態を有する。当業者であれば、本発明に基づき各種の変更や変形が可能であって、本発明の精神を逸脱しない限り、いずれも本発明の請求項で定義した範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0072】
100 ボディ
200 釘送り装置
300 シリンダモジュール
310 第1シリンダ
311 シリンダハウジング
3111 円錐面
3112 移行面
3113 凹溝
3114 切欠き
312 第1ピストン
313 第1室
314 給気隙間
315 シリンダベース
316 第1シールリング
317 第3シールリング
318 ピンロッド
319 支持柱
320 第2シリンダ
321 シリンダバレル
3211 通気孔
3212 収縮部
3213 小孔
322 第2ピストン
323 第2室
324 第2シールリング
325 ストッパヘッド
326 制震パッド
327 弾性バルブスリーブ
330 撃針
340 ロック構造
341 固定ベース
342 ロックスリーブ
3421 スロット開口
343 ロックコア
3431 ロック溝
344 スライダ
3441 段差部
3442 貫通溝
3443 第2斜面
345 ナット
346 バネ
347 弾性パッド
348 カバー
3481 退避溝
349 押上ロッド
3491 第1斜面
350 ロッド体
400 駆動モジュール
410 モータ
420 減速器
421 出力軸
430 クランク
440 接続ロッド
500 ケーシング
510 持ち手部
図1
図2
図3
図4
図5
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