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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113677
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】シューズのためのアウトソール
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20240815BHJP
   A43B 13/12 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
A43B13/14 B
A43B13/14 A
A43B13/12
【審査請求】有
【請求項の数】37
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024017682
(22)【出願日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】10 2023 201 065.8
(32)【優先日】2023-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100221327
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン アレクサンダー トムセット
(72)【発明者】
【氏名】マティアス エツォルド
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ハンネス シェフケ
(72)【発明者】
【氏名】クレメント アフォルダー
(72)【発明者】
【氏名】パン リュウ
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA09
4F050BA25
4F050HA56
4F050HA58
4F050HA60
4F050HA84
4F050JA06
4F050JA09
4F050KA04
4F050KA06
(57)【要約】
【課題】本開示は、シューズのためのアウトソール(10)、および、アウトソール(10)を含むそれぞれのシューズに向けられている。
【解決手段】アウトソール(10)は、アウトソール(10)のフォアフットエリア(11)に配置されているクッション要素(20)を含む。前記クッション要素(20)は、格子構造体(21)を含み、クッション要素(20)は、第1の部分(22)および第2の部分(23)を含む。第1の部分(22)は、第2の部分(23)と比較して、より低い剛性を有している。さらに、クッション要素(20)は、受け入れ部分(31)を含むソール要素(30)を含み、クッション要素(20)は、受け入れ部分(31)によって受け入れられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューズのためのアウトソールであって、前記アウトソールは、
前記アウトソールのフォアフットエリアに配置されているクッション要素であって、前記クッション要素は、格子構造体を含み、前記クッション要素は、第1の部分および第2の部分を含み、前記第1の部分は、前記第2の部分と比較して、より低い剛性を有している、クッション要素と、
受け入れ部分を含むソール要素であって、前記クッション要素は、前記受け入れ部分によって受け入れられている、ソール要素と
を含む、アウトソール。
【請求項2】
前記第1の部分は、前記第2の部分に対してさらに内側に位置付けられている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項3】
前記第1の部分は、最も内側の中足指節関節を支持するように構成されている前記アウトソールのエリアに配置されている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項4】
前記受け入れ部分は、前記クッション要素の形状に適合されている凹部である、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項5】
通常の使用の間に前記アウトソールが設置されることとなる表面に対して垂直の方向に測定される前記凹部の深さは、前記クッション要素の厚さに実質的に対応している、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項6】
前記クッション要素は、前記ソール要素に取り付けられているインサート要素である、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項7】
前記アウトソールのランニング表面の反対側にある支持表面は、前記クッション要素の上部表面および前記ソール要素の上部表面によって共同で画定されている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項8】
前記クッション要素の前記上部表面は、前記ソール要素の前記上部表面と実質的に同一面になっている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項9】
前記アウトソールは、カバープレートをさらに含み、前記クッション要素は、前記ソール要素と前記カバープレートとの間に挟まれている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項10】
前記カバープレートは、前記アウトソールの全長に沿って延在しているか、前記アウトソールの前記フォアフットエリアのみに沿って延在しているか、前記アウトソールのミッドフットエリアのみに沿って延在しているか、または、前記クッション要素の長さのみに沿って延在している、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項11】
前記アウトソールの長手方向に対して垂直であり、通常の使用の間に前記アウトソールがその上に設置されることとなる表面に対して平行である、曲げ軸線に関する前記ソール要素の曲げ剛性は、前記受け入れ部分に隣接している前記ソール要素の部分と比較して、前記受け入れ部分においてより小さくなっている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項12】
前記アウトソールの長手方向に対して垂直の平面において測定される前記受け入れ部分の断面積は、前記受け入れ部分に隣接している前記ソール要素の部分と比較して、より小さくなっている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項13】
前記クッション要素は、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されている前記アウトソールのエリアに配置されている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項14】
通常の使用の間に前記アウトソールが設置されることとなる表面に対して垂直の方向に測定されるクッション要素の厚さは、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されているエリアにおいて、最大に到達する、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項15】
前記クッション要素は、前記アウトソールの外側から前記アウトソールの内側へ実質的に延在している、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項16】
前記格子構造体は、複数のロッド要素を含む、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項17】
前記第1の部分のロッド要素は、前記第2の部分のロッド要素よりも低い平均直径を含む、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項18】
前記第1の部分の前記ロッド要素は、前記第2の部分の前記ロッド要素よりも低密度に配置されている、請求項16または17に記載のアウトソール。
【請求項19】
前記第1の部分は、前記第2の部分よりも前記アウトソールのつま先エリアの近くに位置付けられている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項20】
通常の使用の間に前記アウトソールが設置されることとなる表面に対して垂直の方向に測定される前記クッション要素の剛性は、前記第1の部分から前記第2の部分へ連続的に増加する、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項21】
前記クッション要素は、ボンディングマージン(27)を含む、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項22】
前記クッション要素は、アディティブマニュファクチャリングプロセスによって製造されている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項23】
前記ソール要素は、前記クッション要素と少なくとも部分的に重なる少なくとも1つのアパーチャーを含む、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項24】
前記少なくとも1つのアパーチャーは、少なくとも1つの底部アパーチャーを含み、前記少なくとも1つの底部アパーチャーは、前記クッション要素が、通常の使用の間に前記アウトソールがその上に設置されることとなる表面に面するように適合されている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項25】
前記少なくとも1つのアパーチャーは、少なくとも1つの側部アパーチャーを含み、前記少なくとも1つの側部アパーチャーは、前記クッション要素が前記アウトソールの外側方向および/または前記アウトソールの内側方向に面するように適合されている、請求項23または24に記載のアウトソール。
【請求項26】
前記少なくとも1つのアパーチャーは、カバー要素によってカバーされている、請求項23または24に記載のアウトソール。
【請求項27】
前記少なくとも1つの底部アパーチャーおよび前記少なくとも1つの側部アパーチャーは、前記カバー要素によってカバーされている、請求項24に記載のアウトソール。
【請求項28】
前記カバー要素は、透明なカバー要素である、請求項26に記載のアウトソール。
【請求項29】
前記クッション要素は、フォイルによって少なくとも部分的に囲まれている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項30】
前記ソール要素は、少なくとも1つのスタッドを含み、前記少なくとも1つのスタッドは、前記クッション要素と重なっている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項31】
前記ソール要素は、少なくとも2列のスタッドを含み、請求項24に記載の少なくとも1つの底部アパーチャーは、スタッドの前記列の間に配置されている、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項32】
前記クッション要素は、前記アウトソールのかかとエリアの中へは延在していない、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項33】
前記クッション要素は、前記アウトソールのかかとエリアから見られるときに、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されている前記アウトソールのエリアを実質的に越えて延在していない、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項34】
前記アウトソールは、複数のクッション要素を含む、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項35】
前記第1の部分は、前記第2の部分と比較して、通常の使用の間に前記アウトソールが設置されることとなる表面に対して垂直の方向に測定される、より低い剛性を有している、請求項1に記載のアウトソール。
【請求項36】
請求項1に記載のアウトソールを含むシューズ。
【請求項37】
前記シューズは、フットボールシューズである、請求項1に記載のシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シューズのためのアウトソール、および、前記アウトソールを含むシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
シューズのためのアウトソールおよび/またはシューズを設計するときに、アウトソールおよび/またはシューズが有するべき異なる特性の間で妥協がなされることが多い。例示的には、硬いアウトソールを備えたシューズ(たとえば、フットボールシューズなど)は、高い速度を伴うランニングのために優れた特性を提供することが可能であるが、一方では、硬いアウトソールは、快適性の低減を結果として生じさせる可能性がある。したがって、アウトソールおよび/またはそれぞれのシューズの全体的な特性を改善することが、基本的な目的である。この方向において、本発明は、異なる問題を解決することを目的としている。
【0003】
本発明が対象にする第1の問題は、硬い材料の挙動によって高速ランニング(すなわち、短距離走)のために最適化されているシューズ(たとえば、フットボールシューズ)のためのアウトソールが、通常は、着用者にとって重大な障害を示すという側面である。例示的には、硬いアウトソールは、着用者の快適性を低減させる可能性がある。そのうえ、硬いアウトソールは、シューズの全体的な柔軟性が低減されるので、ボールに対する感触を低減させる可能性がある。そのうえ、線形におよび/または均質に硬い挙動を示すアウトソールは、制限された中足骨および/またはつま先の屈曲に起因して、効果的に加速するための着用者の能力を阻害する可能性がある。これは、例示的には、より多くのつま先の屈曲が有益であると考えられるスプリントのスタートにおいて不利益である。したがって、要約すると、本発明による第1の目的は、高速ランニング(すなわち、短距離走)を可能にし、上述の欠点を少なくとも部分的に回避する、アウトソールを提供することである。
【0004】
本発明が対象にする第2の問題は、多くのスポーツが複数のスプリントを必要とするという側面である。それによって、真っ直ぐな表面(それは、ときには、芝生および/または土でカバーされている可能性もある)の上でスプリントをスタートすることは、スタッドを備えていても困難であるということが判明している。これは、陸上競技における短距離走(そこでは、スターティングブロックが通常は提供されている)のように、押し出し(pushing off)のための外部物体が存在していないからである。したがって、本発明による第2の目的は、スプリントの改善されたスタートおよび/または一般的な改善された押し出しを可能にする、シューズのためのアウトソールを提供することである。
【0005】
本発明が対象にする第3の問題は、シューズが、比較的に平坦なおよび/または硬いアウトソールを有することが多く、それは、ウォーキング、適度なランニング、および/または加速の間に、足が転がることを困難にする(または、少なくとも容易でなくする)という側面である。しかし、湾曲したアウトソールは、不安定性および/または限られた接地につながる可能性があるということも知られている。これは、通常は、スポーツ(たとえば、フットボール、ラグビーなど)には受け入れられない。したがって、本発明による第3の目的は、改善されたウォーキングおよび/または適度なランニングを可能にすると同時に、不安定性および/または限られた接地を少なくとも部分的に回避する、アウトソールを提供することである。
【0006】
本発明が対象にする第4の問題は、通常はクッション材を含むシューズのためのアウトソールが、アウトソール自体が変化させられることなく、クッション材によって提供される特性(たとえば、減衰および/またはクッション性)が適合されることを可能にしないという側面である。それによって、(たとえば、材料および/または幾何学形状を変化させることによる)アウトソールの適合は、通常は、多大な労力を伴う。したがって、本発明による第4の目的は、この欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【0007】
したがって、要約すると、本発明の全体的な目標は、上記の問題および/または目的に少なくとも部分的に対処および/または追求する、シューズのためのアウトソール、および、前記アウトソールを含むシューズを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/366405号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/035755号明細書
【発明の概要】
【0009】
この全体的な目標は、独立請求項に定義されているような、シューズのためのアウトソール、および、前記アウトソールを含むシューズによって(少なくとも部分的に)実現される。本開示のさらなる態様は、従属請求項に定義されている。
【0010】
とりわけ、全体的な目標は、シューズのためのアウトソールによって実現される。アウトソールは、アウトソールのフォアフットエリアに配置されているクッション要素を含み、クッション要素は、格子構造体を含み、クッション要素は、第1の部分および第2の部分を含み、第1の部分は、第2の部分と比較して、より低い剛性を有している。さらに、アウトソールは、受け入れ部分を含むソール要素を含み、クッション要素は、受け入れ部分によって受け入れられている。
【0011】
剛性は、材料剛性(すなわち、ヤング率)、構造的剛性、および/または、それらの組み合わせを指すことが可能である。例示的には、第1の部分および第2の部分は、同じ材料を含む(すなわち、同じヤング率を有する)ことが可能であり、一方では、剛性の差は、格子構造体の構成によって提供される。さらに例示的には、第1の部分および第2の部分の形状は、同一であることが可能であり、剛性の差は、第1の部分および第2の部分に関して選択される材料によって提供される。それらの2つの例の組み合わせが可能であるということが理解される。
【0012】
そのうえ、第1の部分および第2の部分の剛性は、通常の使用の間にアウトソールがその上に設置されることとなる表面に対して垂直の方向に測定されることが可能である。したがって、剛性は、圧縮剛性と称されることが可能である。第1の部分および第2の部分の剛性(すなわち、圧縮剛性)を測定するために、所定の力(たとえば、100N)が、それぞれ、垂直方向に第1の部分に対して印加され、垂直方向に第2の部分に対して印加されることが可能であり、この点において、「垂直方向」という用語は、通常の使用の間にアウトソールがその上に設置されることとなる表面に対して垂直の方向を指す。次いで、所定の力によって引き起こされる第1の部分の高さの第1の変化が、識別されることが可能であり、同様に所定の力によって引き起こされる第2の部分の高さの第2の変化が、識別されることが可能である。その後に、高さの第1の変化および高さの第2の変化が、比較されることが可能である。高さの第2の変化が高さの第1の変化よりも小さい場合には、第1の部分は、第2の部分と比較して、より低い剛性(すなわち、圧縮剛性)を有している。高さの第1のおよび/または第2の変化は、無負荷状態と負荷状態との間で垂直方向に測定される高さの差として定義されることが可能であるということが理解される。
【0013】
クッション要素は、たとえば、糊付け、溶接、および/または縫製によって、ソール要素に取り付けられることが可能である。クッション要素は、実質的に弾性的な材料挙動を含むことが可能である。したがって、クッション要素は、着用者への改善されたエネルギーリターンを可能にすることができる。しかし、クッション要素は、粘弾性であることも可能であり、すなわち、粘性の挙動および弾性的な挙動を同時に示すことが可能である。これは、特定のスポーツにとって典型的な負荷パターンにクッション要素が適合されることを可能にする。例示的には、柔らかいクッション要素が、ウォーキングのときに(すなわち、低負荷速度において)望まれる可能性があり、一方では、硬いクッション要素が、短距離走がスタートされるときに(すなわち、高負荷速度において)望まれる可能性がある。この点において、クッション要素は、材料挙動に依存する歪み速度を有する材料を含むことも可能であるということが理解される。
【0014】
アウトソールのフォアフットエリアは、着用者のつま先および中足骨を支持するように構成されているアウトソールの部分と称されることが可能である。クッション要素は、フォアフットエリアの一部分のみに位置付けられることが可能であるということが理解される。さらに、クッション要素は、フォアフットエリアを越えて、たとえば、つま先エリアおよび/またはかかとエリアの中へ延在することが可能である。
【0015】
格子構造体に関する詳細が、本開示の全体を通して説明されている。しかし、一般的に、格子構造体は、必ずしも材料を変化させることなく、特定の局所的な特性の調節に有利に働く。そのうえ、目視検査が、(たとえば、フォーム材料と比較して)促進され、クッション要素における(たとえば、外力または不適正な使用によって引き起こされる)材料破損が、より容易に識別されることが可能であるようになっている。
【0016】
第1の部分が、第2の部分と比較して、より低い剛性を有する態様は、第1の部分が、第2の部分と比較して、アウトソールの厚さ方向に測定される、より低い圧縮剛性を有することを指すことが可能である。
【0017】
第1の部分が、第2の部分と比較して、より低い剛性を有する態様は、さらに、第1の部分が、第2の部分と比較して、より低い曲げ剛性を有することを指すことが可能である。
【0018】
ソール要素に関して、アウトソールは、2つ以上のソール要素を含むことが可能であるということが留意されるべきである。そのうえ、ソール要素は、複数の層を含むことが可能である。例示的には、ソール要素は、ポリマーマトリックスの中に埋め込まれている複数の炭素繊維層および/またはガラス繊維層を含むことが可能である。それにもかかわらず、ソール要素は、単一の層であることも可能である。ソール要素は、閉じた層である必要はなく、グリッド状のおよび/またはフレーム状の構造体を有することも可能である。これは、アウトソールの重量の低減にとって、とりわけ有利である可能性がある。さらに、ソール要素は、ポリアミド11(PA11)および/またはポリアミド12(PA12)などのような、ポリマーを含むことが可能である。さらに、ソール要素は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)および/または熱可塑性ポリウレタン(TPU)などのような、熱可塑性エラストマー(TPE)を含むことが可能である。そのうえ、ソール要素は、射出成形によって少なくとも部分的に形成されることが可能である。例示的には、層が成形されることが可能であり、または、グリッド状のおよび/もしくはフレーム状の支持構造体がオーバーモールドされることが可能である。さらに、複合材料(たとえば、炭素繊維強化ポリマー、ガラス繊維強化ポリマー、および/または他の強化材料など)が、ソール要素によって含まれることが可能である。そのうえ、ソール要素は、アディティブマニュファクチャリング方法(たとえば、3Dプリント方法)および/または複合加工方法(composite processing method)によって少なくとも部分的に形成されることが可能である。
【0019】
本開示によるアウトソールは、さまざまな利点を提供し、および/または、異なるタスクを果たすことが可能である。
【0020】
第1に、クッション要素は、アウトソールの厚さを増加させる役割を果たすことが可能であり、アウトソールの断面二次モーメントが、とりわけ、重量を過度に増加させることなく、局所的に増加されることが可能であるようになっている。したがって、曲げ剛性は、局所的に適合されることが可能である。さらに、第1および第2の部分によって、アウトソールの圧縮剛性は、クッション要素によって局所的に適合されることが可能である。したがって、要約すると、重量を低く維持しながら、さまざまな観点でアウトソールの剛性を調節することを可能にする。
【0021】
第2に、クッション要素は、着用者の足のセクションを正確にクッション化する役割を果たし、それによって、快適性を増加させることが可能である。とりわけ、異なる剛性を有する第1および第2の部分によって。結果として、ソール要素は、より薄くされることが可能であり、したがって、快適性を低減させることなく、重量を節減する。
【0022】
第3に、クッション要素は、スプリントの改善されたスタートを可能にする(すなわち、より良好な押し出しを可能にする)、着用者のための「一体化されたスターティングブロック」としての役割を果たすことが可能である。これは、クッション要素が(たとえば、アウトソールの地面に面する表面に)隆起部が形成されることを可能にし、それが、より良好な押し出しを可能にするからである。とりわけ、異なる剛性を有する第1および第2の部分によって、「一体化されたスターティングブロック」としての機能性が、正確に調節および/または実装されることが可能である。
【0023】
第4に、クッション要素は、「ロッカー効果」をアウトソールに提供することが可能である。ロッカーアウトソール設計は、医療目的のために(たとえば、糖尿病を患う人々のためのフォアフット足底圧力を低減させるために)知られているが、レジャーシューズの快適性を増加させるためにも知られている。しかし、「ロッカー効果」は、改善されたランニング特性を有するアウトソールにとって(たとえば、フットボールシューズのアウトソールにとって)、とりわけ有利である可能性がある。以前の段落と同様に、クッション要素は、とりわけ、アウトソールの地面に面する表面に、隆起部が形成されることを可能にする。したがって、アウトソールのランニング表面の一部分は、ローリング効果(すなわち、「ロッカー効果」)が生成されるように隆起されることが可能である。これは、性能に対してプラスの効果を有することが可能である。その理由は、ウォーキング、および/または、適度なランニング、および/または加速の間に、着用者が枢動点を克服するために(すなわち、足を転がすために)より少ない力を働かせなければならないからである。それによって、加速は、とりわけ、着用者の本質的に立った位置からの加速を指す可能性がある。これは、とりわけ、立った位置からの加速のときに、「ロッカー効果」が性能に対する前記プラスの効果に寄与することが可能であるからである。
【0024】
「一体化されたスターティングブロック」としての役割を果たすクッション要素は、同時に「ロッカー効果」をアウトソールに提供することが可能であるということが理解される。さらに、クッション要素は、「一体化されたスターティングブロック」としての役割を果たし、および/または、「ロッカー効果」を提供することが可能であるので、その圧縮特性は、高いおよび/または垂直方向の荷重条件の間に(たとえば、短距離走の間に)、アウトソールの隆起部に起因する不利な影響(すなわち、不安定性)が回避されることを可能にすることができる。
【0025】
第5に、クッション要素は、アウトソールの特性(たとえば、減衰および/またはクッション性)が、ソール要素自体が変化されることなく、特定の着用者に適合され得ることを可能にする。
【0026】
当業者は、上述した利点が、異なる強調点において、以下の実施形態にも適用され得るということを理解する。
【0027】
第1の部分は、第2の部分に対してさらに内側に位置付けられることが可能である。第1の部分をさらに内側に配置することによって、「一体化されたスターティングブロック」効果がさらに改善されることが可能であると同時に、アウトソールの安定性はマイナスの影響を及ぼされないということが見出されている。より内側の場所は、中足指節関節が足の他のパーツよりも容易にクッション要素の中へ押圧されることを引き起こすことが可能であり、それは、クッション要素の外側パーツが安定化効果を有しながら、押し出しを改善する。
【0028】
第1の部分は、最も内側の中足指節関節を支持するように構成されているアウトソールのエリアに配置されることが可能である。この構成は、最も内側の中足指節関節が足の他のパーツよりも容易にクッション要素の中へ押圧されることを可能にし、それは、より良好な押し出しを可能にすると想定される。これは、着用者のための「一体化されたスターティングブロック」としてのアウトソールの機能性をさらに改善することが可能である。要約すると、これは、アウトソールがスプリントにより良好なスタートを提供することを可能にする。
【0029】
代替的に、第1の部分は、第2の部分に対してさらに外側に位置付けられることが可能である。第1の部分をさらに外側に配置することによって、「一体化されたスターティングブロック」効果は、外側方向に向かう移動の間の押し出しを改善するために使用されることが可能である。
【0030】
受け入れ部分は、クッション要素の形状に適合されている凹部であることが可能であり、好ましくは、凹部は、アウトソールのランニング表面の反対側にあるソール要素の表面に配置されている。この構成は、具体的に適合された特性を有するアウトソールが、低減された数のコンポーネントを提供され得るという点において、有利であることが判明している。そのうえ、アウトソールのランニング表面の反対側にあるソール要素の表面に凹部が配置されているので、アウトソールの曲げ剛性とアウトソールの圧縮剛性の両方が、選択されたクッション要素に応じて正確に調節されることが可能である。
【0031】
通常の使用の間にアウトソールが設置されることとなる表面に対して垂直の方向に測定される凹部の深さは、クッション要素の厚さに実質的に対応することが可能である。これは、追加的なコンポーネントによって高さの差を補正する必要性を回避することが可能である。
【0032】
クッション要素は、好ましくは、接着剤、溶接、および/または縫製によって、ソール要素に取り付けられているインサート要素であることが可能である。「インサート要素」という用語は、クッション要素がソール要素の中へ入れられた態様を指すことが可能である。クッション要素がインサート要素であることは、低い製造公差でアウトソールが提供されることを可能にすることができる。特に、層が手作業で積み重ねられるアウトソールと比較して。加えて、クッション要素がインサート要素であることは、ソール要素の中に安定的に保たれることが可能である。
【0033】
アウトソールのランニング表面の反対側にある支持表面は、クッション要素の上部表面およびソール要素の上部表面によって共同で画定されることが可能である。支持表面は、たとえば、他の層が支持表面の上に設置されているときに、着用者の足を直接的にまたは間接的に完全にまたは少なくとも部分的に支持することが可能である。したがって、この構成は、ソール要素およびクッション要素を使用して(すなわち、より少ないコンポーネントによって)、具体的に設定された特性を有する、着用者の足を完全に支持することができる支持表面を提供することを可能にすることができる。
【0034】
さらに、クッション要素の上部表面は、ソール要素の上部表面と実質的に同一面になっていることが可能である。この特徴によって可能にされる機能性は、凹凸が回避され得るということにあり、凹凸は、シューズの着用者によって不快なものとして知覚される可能性がある。特に、そのような凹凸を補正することとなるさらなる手段を提供する必要性がない場合に。
【0035】
そのうえ、アウトソールは、カバープレートをさらに含むことが可能であり、クッション要素は、ソール要素とカバープレートとの間に挟まれている。この構成は、シューズアッパーをアウトソールに接続するために使用されることが可能である。たとえば、シューズアッパーは、ソール要素とカバープレートとの間にクランプされることが可能である。したがって、アウトソールのこの構成は、少ないコンポーネントによるシューズの完成を可能にすることができる。
【0036】
カバープレートは、アウトソールの全長に沿って延在することが可能であるか、アウトソールのフォアフットエリアのみに沿って延在することが可能であるか、アウトソールのミッドフットエリアのみに沿って延在することが可能であるか、または、クッション要素の長さのみに沿って延在することが可能である。アウトソールのミッドフットエリアは、着用者の中足骨を支持するように構成されているアウトソールの部分と称されることが可能である。それによって、中足指節関節は、フォアフットの一部として考えられることが可能であるが、しかし、ミッドフットの一部として考えられないことが可能であるということが理解される。
【0037】
アウトソールの長手方向に対して垂直であり、通常の使用の間にアウトソールがその上に設置されることとなる表面に対して平行である、曲げ軸線に関するソール要素の曲げ剛性は、受け入れ部分に隣接しているソール要素の部分と比較して、受け入れ部分においてより小さくなっていることが可能である。さらに、ソール要素の前記曲げ剛性は、受け入れ部分において最小を有することが可能である。好ましくは、前記最小は、ソール要素のフレックス部分に位置付けられている。フレックス部分は、ランニングの間に最大曲げを経験するソール要素の部分と称されることが可能である。そのうえ、フレックス部分は、受け入れ部分に沿って少なくとも部分的に延在することが可能である。上記の構成は、受け入れ部分におけるアウトソールの曲げ剛性が、選択されたクッション要素によって主におよび/または正確に調節されることを可能にする。したがって、正確に設定された特性を有するアウトソールは、選択されたクッション要素に応じて提供されることが可能である。
【0038】
アウトソールの長手方向に対して垂直の平面で測定される受け入れ部分の断面積は、受け入れ部分に隣接しているソール要素の部分と比較して、より小さくなっていることが可能である。これは、受け入れ部分におけるアウトソールの特性(圧縮剛性、曲げ剛性、クッション性、減衰など)が、選択されたクッション要素によって主におよび/または正確に調節されることを可能にする。したがって、正確に設定された特性を有するアウトソールは、選択されたクッション要素に応じて提供されることが可能である。とりわけ、アウトソールの長手方向に対して垂直の平面で測定されるフレックス部分の断面積は、フレックス部分に隣接しているソール要素の部分と比較して、より小さくなっていることが可能である。
【0039】
クッション要素は、中足骨脂肪パッド(Metatarsal fat pad)を支持するように構成されているアウトソールのエリアに配置されることが可能である。この構成によって、たとえば、アウトソールの地面に面する表面に、隆起部が形成されることが可能であり、それは、とりわけ、より良好な押し出しを可能にする。したがって、この隆起部は、着用者のための「一体化されたスターティングブロック」としての役割を果たすことが可能である。したがって、アウトソールは、スプリントの改善されたスタートを可能にすることができる。
【0040】
通常の使用の間にアウトソールがその上に設置されることとなる表面に対して垂直の方向に測定されるクッション要素の厚さは、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されているエリアにおいて、最大に到達することが可能であり、好ましくは、かかとエリアおよび/またはつま先エリアに向けて減少する。この構成は、とりわけ、クッション要素が、上述の「ロッカー効果」を提供しながら、着用者のための「一体化されたスターティングブロック」としての役割を果たすことを可能にする。さらに、本発明者らによってとりわけ必要であると見なされる場合に、減衰を改善することおよび/または曲げ剛性を増加させることが可能である。加えて、アウトソールの特性の連続的なプロファイルが保証される。たとえば、剛性におけるジャンプが回避される。そのうえ、前記最大厚さは、1mmから20mmの範囲にあることが可能であり、好ましくは、2mmから10mmの範囲にあることが可能である。これらの厚さは、有益であることが判明している。その理由は、それらが、あまりに多くの材料(すなわち、重量)をアウトソールに追加することなく、十分にクッション性を改善し、および/または、曲げ剛性を増加させるからである。さらに、これらの厚さは、着用者が地面から離れるように過度に上昇されることに起因する不安定性を引き起こすことなく、スプリントの改善されたスタートを可能にする(すなわち、より良好な押し出しを可能にする)、着用者のための「一体化されたスターティングブロック」としての役割をクッション要素が果たすことができることを可能にする。さらに、これらの厚さは、上述の「ロッカー効果」を提供するのに十分であることが判明している。
【0041】
第1の部分および第2の部分は、第1の未変形の高さおよび第2の未変形の高さ(すなわち、クッション要素の上部表面と底部表面との間の距離)(それらは、等しい)をそれぞれ含むことが可能である。第1の部分は、第1の未変形の高さを含むことが可能であり、第2の部分は、第1の未変形の高さよりも小さい第2の未変形の高さを含むことが可能である。
【0042】
上述の第2の高さの変化は、上述の第1の高さの変化の10%から95%の範囲にあることが可能であり、好ましくは、第1の高さの変化の30%から60%の範囲にあることが可能である。これらの範囲は、有益であることが判明している。その理由は、それらが、着用者が地面から離れるように過度に上昇されることに起因する不安定性を引き起こすことなく、スプリントの改善されたスタートを可能にする(すなわち、より良好な押し出しを可能にする)、着用者のための「一体化されたスターティングブロック」としての役割をクッション要素が果たすことができることを可能にするからである。
【0043】
本開示によれば、アウトソールのつま先エリアは、着用者のつま先を支持するように構成されているアウトソールの部分と称されることが可能である。一般的に、着用者のミッドフットは、中足指節関節においてつま先部分から分離されることが可能であるということが理解される。
【0044】
クッション要素は、アウトソールの外側からアウトソールの内側へ実質的に延在することが可能である。これは、アウトソールの特性がアウトソールの幅を横切って具体的におよび連続的に調節されることを可能にする。
【0045】
代替的に、クッション要素は、外側と内側との間に部分的に延在することが可能である。クッション要素は、ソールのクッション性のない部分の中に延在していなくてもよい。クッション要素は、クッション性のない部分よりも低い剛性を含むことが可能である。クッション要素は、クッション性のない部分よりもさらに内側にまたはさらに外側に位置付けられることが可能である。したがって、この代替例は、着用者が地面から離れるように過度に上昇されることに起因する不安定性を引き起こすことなく、スプリントの改善されたスタートを可能にする(すなわち、より良好な押し出しを可能にする)、着用者のための「一体化されたスターティングブロック」としての役割を、クッション性のない部分と組み合わせたクッション要素が果たすことができることを可能にする。
【0046】
格子構造体は、複数のロッド要素を含むことが可能である。前記ロッド要素は、それぞれの節点において接続されることが可能である。しかし、代替的な構成も考えることができる。例示的には、ロッド要素は、2つの対向する表面の間に延在することが可能であり、これらの表面によって支持されることが可能である。
【0047】
第1の部分のロッド要素は、第2の部分のロッド要素よりも低い平均直径を含むことが可能である。このように、クッション要素の剛性の特定の調節は、ロッド要素の材料および/または配置を変化させることなく実現されることが可能である。他の態様のなかでも、これは、リサイクルを促進させ、製造を改善し、連続的に変化する特性を可能にし、および/または、ロッド要素の複雑な配置を回避することが可能である。
【0048】
さらに、第1の部分のロッド要素は、第2の部分のロッド要素よりも低密度に配置されることが可能である。このように、クッション要素の剛性の特定の調節は、ロッド要素の材料および/または直径を変化させることなく実現されることが可能である。これは、また、リサイクルを促進させ、製造を改善し、および/または、連続的に変化する特性を可能にすることができる。
【0049】
第1の部分のロッド要素は、第2の部分のロッド要素よりも低い平均直径を含むことが可能であり、および/または、第1の部分のロッド要素は、第2の部分のロッド要素よりも低密度に配置されることが可能であるということが理解される。
【0050】
そのうえ、第1の部分は、第2の部分よりもアウトソールのつま先エリアの近くに位置付けられることが可能である。この点において、とりわけ、第1の部分が第2の部分に対してさらに内側に位置付けられている、上述の構成との組み合わせでは、アウトソールの安定性がマイナスに影響を及ぼされない状態で、「一体化されたスターティングブロック」効果がさらに改善されることが可能であるということが見出された。そのうえ、第1の部分が第2の部分よりもアウトソールのつま先エリアの近くに位置付けられていることによって、さまざまなスポーツ(たとえば、フットボール/サッカーなど)にとって必須である十分なつま先の柔軟性が与えられることが保証されることが可能である。
【0051】
通常の使用の間にアウトソールが設置されることとなる表面に対して垂直の方向に測定されるクッション要素の剛性は、第1の部分から第2の部分へ連続的に増加することが可能である。これは、剛性のジャンプを回避することを可能にし、剛性のジャンプは、着用者によって厄介なものとして知覚され、および/または、機能的に不利である。
【0052】
クッション要素は、ボンディングマージンを含むことが可能であり、ボンディングマージンは、好ましくは、クッション要素と一体的に形成されている。これは、たとえば、接着剤によって、クッション要素がソール要素に取り付けられることを可能にする。ボンディングマージンがクッション要素と一体的に形成されていることによって、アウトソールのパーツの数が、低く維持されることが可能である。
【0053】
クッション要素は、アディティブマニュファクチャリングプロセスによって製造されることが可能である。アディティブマニュファクチャリングプロセス(たとえば、3Dプリントなど)によってクッション要素を製造することは、有利であることが判明している。その理由は、それらが複雑な構造体および/または異方性材料挙動を可能にするからである。したがって、アウトソールの幾何学形状および/または特性は、正確に適合されることが可能である。加えて、特定の着用者に個別に適合されている特性を有するアウトソールが現実化されることが可能である。
【0054】
ソール要素は、クッション要素と少なくとも部分的に重なる少なくとも1つのアパーチャーを含むことが可能である。第1に、少なくとも1つのアパーチャーは、目視検査を強化することが可能であり、クッション要素における(たとえば、外力または不適正な使用によって引き起こされる)材料破損が、より容易に識別されることが可能であるようになっている。第2に、少なくとも1つのアパーチャーは、ソール要素の剛性を適合させる役割を果たすことが可能である。第3に、少なくとも1つのアパーチャーは、アパーチャーが重なるクッション要素の圧縮特性を適合させる役割を果たすことも可能である。ソール要素における少なくとも1つのアパーチャーは、閉じた輪郭を必ずしも必要としないということが理解される。それにもかかわらず、少なくとも1つのアパーチャーは、ソール要素の中に閉じた輪郭を含むことが可能である。それによって、少なくとも1つのアパーチャーの安定性は、増加されることが可能である。少なくとも1つのアパーチャーは、切り取られた開口部であることが可能である。さらに、少なくとも1つのアパーチャーは、たとえば、射出成型によって、一体的に形成された開口部であることが可能である。
【0055】
少なくとも1つのアパーチャーは、少なくとも1つの底部アパーチャーを含むことが可能であり、少なくとも1つの底部アパーチャーは、クッション要素が、通常の使用の間にアウトソールがその上に設置されることとなる表面に面するように適合されている。少なくとも1つの底部アパーチャーは、アウトソールの(すなわち、ソール要素の)剛性を局所的に低減させおよび/または適合させる役割を果たすことが可能である。
【0056】
少なくとも1つのアパーチャーは、少なくとも1つの側部アパーチャーを含むことが可能であり、少なくとも1つの側部アパーチャーは、クッション要素がアウトソールの外側方向および/またはアウトソールの内側方向に面するように適合されており、好ましくは、少なくとも1つのアパーチャーは、少なくとも2つの側部アパーチャーを含み、少なくとも2つの側部アパーチャーは、クッション要素がアウトソールの外側方向およびアウトソールの内側方向に面するように適合されている。少なくとも1つの側部アパーチャーは、アパーチャーが重なるクッション要素の剛性を適合させることを可能にすることができる。とりわけ、少なくとも1つの側部アパーチャーは、圧縮剛性を適合させることを可能にすることができる。これは、クッション要素の垂直方向の圧縮がソール要素の材料によって少なくとも局所的には制限されないからである。むしろ、クッション要素の実質的に自由な圧縮は、側部アパーチャーが閉じられるまで可能である。この点において、「垂直方向」という用語は、通常の使用の間にアウトソールがその上に設置されることとなる表面に対して垂直の方向を指す。
【0057】
少なくとも1つのアパーチャーは、カバー要素によってカバーされることが可能である。これは、クッション要素の機能性に悪影響を与える可能性のある土および/または環境の影響(たとえば、湿分など)からクッション要素が保護されることを可能にする。
【0058】
少なくとも1つの底部アパーチャーおよび少なくとも1つの側部アパーチャーは、カバー要素によってカバーされることが可能である。これは、ソール要素におけるとりわけ固定された位置にカバー要素が配置されることを可能にし、1つのコンポーネントだけによってアパーチャーが閉じられることを可能にする。
【0059】
カバー要素は、透明なカバー要素であることが可能である。これは、クッション要素が視覚的に検査されることを可能にし、クッション要素における材料破損(たとえば、外力または不適正な使用によって引き起こされる)が識別されることが可能であるようになっていると同時に、クッション要素が、土および/または潜在的に有害な環境の影響から保護されるようになっている。
【0060】
カバー要素は、ソール要素と比較して、より低い剛性を含むことが可能である。さらに、カバー要素は、ソール要素の材料と比較して、より小さな剛性および/または硬度を有する材料を含むことが可能である。これは、ソール要素およびクッション要素の機能性に対するカバー要素の影響を最小化することを助ける。
【0061】
クッション要素は、フォイルによって少なくとも部分的に囲まれることが可能であり、フォイルは、好ましくは透明である。これは、また、クッション要素が視覚的に検査されることを可能にし、クッション要素における材料破損(たとえば、外力または不適正な使用によって引き起こされる)が識別されることが可能であるようになっていると同時に、クッション要素が、土および/または潜在的に有害な環境の影響から保護されるようになっている。
【0062】
ソール要素は、少なくとも1つのスタッドを含むことが可能であり、少なくとも1つのスタッドは、クッション要素と重なっている。本発明によるスタッド(それは、クリートとも称され得る)は、柔らかい地面(たとえば、芝生のフィールドなど)の上で着用者にトラクションを提供する役割を果たすことが可能である。スタッドの使用は、フットボール(すなわち、サッカー)、アメリカンフットボール、ラグビーおよび/または陸上競技の分野から知られている。スタッドは、ソール要素と一体的に形成されることが可能である。さらに、スタッドは、ベース材料の上に少なくとも部分的に(たとえば、スタッドの先端部に)射出されることが可能である。そのうえ、スタッドは、事前に製作されたスタッド先端部を金型の中に設置することによって、および、アウトソールの少なくとも一部(たとえば、プレートおよび/またはベース材料)とそれらをオーバーインジェクションする(over-injecting)ことによって、形成されることが可能である。ベース材料は、ソール要素を含むことが可能である。そのうえ、スタッドは、TPUに基づくことが可能である。上述のものは、スタッドをネジで留めるおよび/またはスタッドを交換する必要性を排除する。しかし、相互交換可能なスタッドまたはネジ式のスタッドが使用されることも可能である。したがって、異なる長さおよび/または材料のスタッドが、異なる地面条件に関して使用されることが可能である。クッション要素が少なくとも1つのスタッドと重なるので、スタッドから着用者の足に不快な圧力を伝達することが回避されることが可能である。結果として、ソール要素は、より薄くされることが可能であり、したがって、快適性を低減させることなく、重量を節減する。
【0063】
ソール要素は、少なくとも2列のスタッドを含むことが可能であり、上記に説明されているような少なくとも1つの底部アパーチャーは、スタッドの前記列の間に配置されることが可能であり、好ましくは、ソール要素は、少なくとも3列のスタッドを含み、スタッドの前記列のそれぞれの対の間に、上記に説明されているような少なくとも1つの底部アパーチャーが配置されている。この構成は、アウトソールの曲げ剛性および/または圧縮剛性が少なくとも1つの底部アパーチャーによって選択的に調節されることを可能にすると同時に、スタッドがアウトソールに信頼性高く取り付けられている。加えて、クッション要素は、より容易に検査されることが可能である。
【0064】
クッション要素は、随意的に、アウトソールのかかとエリアの中へは延在していない。これは、クッション要素がかかとエリアの中へ延在するときよりもアウトソールのかかとエリアを安定させることを可能にする。これは、(たとえば、捩じれに起因する)怪我のリスクが低減されることを可能にする。
【0065】
クッション要素は、アウトソールのかかとエリアから見られるときに、随意的に、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されているアウトソールのエリアを実質的に越えて延在していない。したがって、前記エリアを越えたアウトソールの増加した剛性が回避される。これは、前記エリアにおけるクッション要素が、アウトソールの断面二次モーメントを増加させないからである。したがって、つま先の屈曲は、強化されることが可能であり、それは、スプリントのスタートにおいて有利である(そこでは、つま先の屈曲が有益である)。「実質的に」という用語は、クッション要素が、アウトソールのかかと部分から見られるときに、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されているアウトソールのエリアを越えて、1cmよりも多く(随意的に、0.5cm)延在しない態様を指すことが可能である。
【0066】
アウトソールは、上記に特定されているような複数のクッション要素を含むことが可能である。たとえば、クッション要素は、互いに積み重ねられることが可能である。そのうえ、クッション要素は、アウトソールの内側パーツからアウトソールの外側パーツへ延在する積み重ね方向に積み重ねられることが可能であり、または、反対方向に積み重ねられることが可能である。
【0067】
第1の部分は、第2の部分と比較して、通常の使用の間にアウトソールが設置されることとなる表面に対して垂直の方向に測定される、より低い剛性を有することが可能である。
【0068】
代替的な実施形態によれば、上述したクッション要素は、格子構造体の代わりにまたは格子構造体に加えて、フォーム材料および/またはゲル材料を含むことが可能である。この代替的な実施形態に関して、上記に説明されている特徴および/または利点が同様に適用され得るということが理解される。フォーム材料は、有益であることが判明している。その理由は、それらが、減衰(すなわち、快適性)と弾性(すなわち、エネルギー回復性)との間の妥協を可能にするからである。フォーム材料は、ポリアミド、ポリエーテルブロックアミド、膨張ポリエーテルブロックアミド、熱可塑性ポリウレタン、膨張熱可塑性ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱硬化性ポリウレタンフォーム、および/または熱可塑性コポリエステルを含むことが可能である。そのうえ、フォーム材料は、有利な特性を実現するために特定のプロセスで製造されることが可能である。例示的には、米国特許出願公開第2014/366405号明細書および米国特許出願公開第2018/035755号明細書において例示的に説明されているように、粒子フォームを利用することは、スポーツ用品産業において有利であるということが示されている。それによって、コンパクトなポリマー顆粒が、膨張フォームビーズを形成するために発泡される。次いで、これらのビーズは、粒子表面を少なくとも部分的に溶融させる熱を加える手段によって、それらの表面において一緒に接合される。たとえば、スチームチェスト成形(Steam Chest Moulding)および/または高周波融着(Radio Frequency Fusion)が、それらに適用されることが可能である。他の特定のプロセス適合も有利である可能性がある。たとえば、オートクレーブ/押出/射出成形プロセスにおけるガス状発泡剤が、超臨界状態における発泡剤によって交換されることが可能である。そのうえ、ゲル材料は、有利であることが判明している。その理由は、とりわけ良好な減衰を可能にするからである。
【0069】
さらに、上述の全体的な目標は、本明細書で説明されているようなアウトソールを含むシューズ(とりわけ、フットボール/サッカーシューズ)によって実現される。アウトソールを参照して上記に説明されているような利点は、シューズにも適用されるということが理解されることとなる。
【0070】
本発明は、以下の実施形態を含む。
【0071】
[1] シューズのためのアウトソール(10)であって、アウトソール(10)は、
アウトソール(10)のフォアフットエリア(11)に配置されているクッション要素(20)であって、クッション要素(20)は、格子構造体(21)を含み、クッション要素(20)は、第1の部分(22)および第2の部分(23)を含み、第1の部分(22)は、第2の部分(23)と比較して、より低い剛性を有している、クッション要素(20)と、
受け入れ部分(31)を含むソール要素(30)であって、クッション要素(20)は、受け入れ部分(31)によって受け入れられている、ソール要素(30)と
を含む、アウトソール(10)。
【0072】
[2] 第1の部分(22)は、第2の部分(23)に対してさらに内側に位置付けられている、先行する実施形態に記載のアウトソール(10)。
【0073】
[3] 第1の部分(22)は、最も内側の中足指節関節を支持するように構成されているアウトソール(10)のエリアに配置されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載のアウトソール(10)。
【0074】
[4] 受け入れ部分(31)は、クッション要素(20)の形状に適合されている凹部であり、好ましくは、凹部は、アウトソール(10)のランニング表面(17)の反対側にあるソール要素(30)の表面に配置されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載のアウトソール(10)。
【0075】
[5] 通常の使用の間にアウトソール(10)が設置されることとなる表面(50)に対して垂直の方向に測定される凹部の深さは、クッション要素(20)の厚さに実質的に対応している、先行する実施形態に記載のアウトソール(10)。
【0076】
[6] クッション要素(20)は、好ましくは、接着剤および/または溶接によって、ソール要素(30)に取り付けられているインサート要素である、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0077】
[7] アウトソール(10)のランニング表面(17)の反対側にある支持表面(16)は、クッション要素(20)の上部表面(24)およびソール要素(30)の上部表面(32)によって共同で画定されている、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0078】
[8] クッション要素(20)の上部表面(24)は、ソール要素(30)の上部表面(32)と実質的に同一面になっている、先行する実施形態に記載のアウトソール(10)。
【0079】
[9] アウトソール(10)は、カバープレートをさらに含み、クッション要素(20)は、ソール要素(30)とカバープレートとの間に挟まれている、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0080】
[10] カバープレートは、アウトソール(10)の全長に沿って延在しているか、アウトソール(10)のフォアフットエリア(11)のみに沿って延在しているか、アウトソール(10)のミッドフットエリア(13)のみに沿って延在しているか、または、クッション要素(20)の長さのみに沿って延在している、先行する実施形態に記載のアウトソール(10)。
【0081】
[11] アウトソール(10)の長手方向に対して垂直であり、通常の使用の間にアウトソール(10)がその上に設置されることとなる表面(50)に対して平行である、曲げ軸線に関するソール要素(30)の曲げ剛性は、受け入れ部分(31)に隣接しているソール要素(30)の部分と比較して、受け入れ部分(31)においてより小さくなっており、好ましくは、前記曲げ剛性は、受け入れ部分(31)において最小を有しており、さらに好ましくは、前記最小は、ソール要素(30)のフレックス部分(37)に位置付けられている、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0082】
[12] アウトソール(10)の長手方向に対して垂直の平面において測定される受け入れ部分(31)の断面積は、受け入れ部分(31)に隣接しているソール要素(30)の部分と比較して、より小さくなっている、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0083】
[13] クッション要素(20)は、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されているアウトソール(10)のエリア(12)に配置されている、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0084】
[14] 通常の使用の間にアウトソール(10)が設置されることとなる表面(50)に対して垂直の方向に測定されるクッション要素(20)の厚さは、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されているエリア(12)において、最大に到達し、好ましくは、かかとエリア(15)および/またはつま先エリア(14)に向けて減少する、先行する実施形態に記載のアウトソール(10)。
【0085】
[15] クッション要素(20)は、アウトソール(10)の外側からアウトソール(10)の内側へ実質的に延在している、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0086】
[16] 格子構造体(21)は、複数のロッド要素(25a、25b、25c、26a、26b、26c)を含む、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0087】
[17] 第1の部分(22)のロッド要素(25a、25b、25c)は、第2の部分(23)のロッド要素(26a、26b、26c)よりも低い平均直径を含む、先行する実施形態に記載のアウトソール(10)。
【0088】
[18] 第1の部分(22)のロッド要素(25a、25b、25c)は、第2の部分(23)のロッド要素(26a、26b、26c)よりも低密度に配置されている、実施形態[16]または[17]に記載のアウトソール(10)。
【0089】
[19] 第1の部分(22)は、第2の部分(23)よりもアウトソール(10)のつま先エリア(14)の近くに位置付けられている、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0090】
[20] 通常の使用の間にアウトソール(10)が設置されることとなる表面(50)に対して垂直の方向に測定されるクッション要素(20)の剛性は、第1の部分(22)から第2の部分(23)へ連続的に増加する、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0091】
[21] クッション要素(20)は、ボンディングマージン(27)を含み、ボンディングマージン(27)は、好ましくは、クッション要素(20)と一体的に形成されている、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0092】
[22] クッション要素(20)は、アディティブマニュファクチャリングプロセスによって製造されている、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0093】
[23] ソール要素(30)は、クッション要素(20)と少なくとも部分的に重なる少なくとも1つのアパーチャー(33a、33b、33c、34a、34b)を含む、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0094】
[24] 少なくとも1つのアパーチャー(33a、33b、33c、34a、34b)は、少なくとも1つの底部アパーチャー(33a、33b、33c)を含み、少なくとも1つの底部アパーチャー(33a、33b、33c)は、クッション要素(20)が、通常の使用の間にアウトソール(10)がその上に設置されることとなる表面(50)に面するように適合されている、先行する実施形態に記載のアウトソール(10)。
【0095】
[25] 少なくとも1つのアパーチャー(33a、33b、33c、34a、34b)は、少なくとも1つの側部アパーチャー(34a、34b)を含み、少なくとも1つの側部アパーチャー(34a、34b)は、クッション要素(20)がアウトソール(10)の外側方向および/またはアウトソール(10)の内側方向に面するように適合されており、好ましくは、少なくとも1つのアパーチャー(33a、33b、33c、34a、34b)は、少なくとも2つの側部アパーチャー(34a、34b)を含み、少なくとも2つの側部アパーチャー(34a、34b)は、クッション要素(20)がアウトソール(10)の外側方向およびアウトソール(10)の内側方向に面するように適合されている、実施形態[23]または[24]に記載のアウトソール(10)。
【0096】
[26] 少なくとも1つのアパーチャー(33a、33b、33c、34a、34b)は、カバー要素(40)によってカバーされている、実施形態[23]から[25]のいずれか1つに記載のアウトソール(10)。
【0097】
[27] 少なくとも1つの底部アパーチャー(33a、33b、33c)および少なくとも1つの側部アパーチャー(34a、34b)は、カバー要素(40)によってカバーされている、実施形態[24]、[25]、および[26]に記載のアウトソール(10)。
【0098】
[28] カバー要素(40)は、透明なカバー要素(40)である、実施形態[26]または[27]に記載のアウトソール(10)。
【0099】
[29] クッション要素(20)は、フォイルによって少なくとも部分的に囲まれており、フォイルは、好ましくは透明である、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0100】
[30] ソール要素(30)は、少なくとも1つのスタッド(35a、35b)を含み、少なくとも1つのスタッド(35a、35b)は、クッション要素(20)と重なっている、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0101】
[31] ソール要素(30)は、少なくとも2列のスタッド(36a、36b、36c)を含み、実施形態[24]に記載の少なくとも1つの底部アパーチャー(33a、33b、33c)は、スタッド(36a、36b、36c)の前記列の間に配置されており、好ましくは、ソール要素(30)は、少なくとも3列のスタッド(36a、36b、36c)を含み、スタッド(36a、36b、36c)の前記列のそれぞれの対の間に、実施形態[24]に記載の少なくとも1つの底部アパーチャー(33a、33b、33c)が配置されている、先行する実施形態に記載のアウトソール(10)。
【0102】
[32] クッション要素(20)は、アウトソール(10)のかかとエリア(15)の中へは延在していない、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0103】
[33] クッション要素(20)は、アウトソール(10)のかかとエリア(15)から見られるときに(18)、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されているアウトソール(10)のエリア(12)を実質的に越えて延在していない、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0104】
[34] アウトソール(10)は、先行する実施形態に特定されているような複数のクッション要素(20)を含む、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0105】
[35] 第1の部分(22)は、第2の部分(23)と比較して、通常の使用の間にアウトソール(10)が設置されることとなる表面(50)に対して垂直の方向に測定される、より低い剛性を有している、先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)。
【0106】
[36] 先行する実施形態のうちの1つに記載のアウトソール(10)を含むシューズ。
【0107】
[37] シューズは、フットボールシューズである、先行する実施形態に記載のシューズ。
【0108】
以下において、添付の図が簡潔に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1】本発明によるアウトソールの側面図である。
図2】本発明による別のアウトソールの上面図である。
図3図2のアウトソールの底面図である。
図4】分解されている図2のアウトソールの上面図である。
図5】クッション要素がない状態の図2のアウトソールの前方部の側面図である。
図6】本発明によるアウトソールのためのクッション要素の上面図である。
図7】本発明によるアウトソールのための別のクッション要素の上面図である。
図8】本発明による別のアウトソールの斜視図である。
図9】クッション要素が除去された状態の図8に対応する図である。
図10】本発明によるアウトソールのカバー要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0110】
以下では、本発明の好適な実施形態が、図を参照して説明される。図1図2図3、および図4に描かれているように、本発明によるアウトソール10の実施形態は、アウトソール10のフォアフットエリア11に配置されているクッション要素20を含む。前記クッション要素20は、格子構造体21を含む。さらに、アウトソール10は、受け入れ部分31を含むソール要素30を含み、クッション要素20は、受け入れ部分31によって受け入れられる。
【0111】
図1図2図4、および図9によれば、受け入れ部分31は、クッション要素20の形状に適合されている凹部であり、凹部は、アウトソール10のランニング表面17の反対側にあるソール要素30の表面に配置されている。とりわけ、図2および図8に示されているように、通常の使用の間にアウトソール10がその上に設置されることとなる表面50に対して垂直の方向に測定される凹部の深さは、クッション要素20の厚さに実質的に対応している。そのうえ、アウトソール10のランニング表面17の反対側にある支持表面16は、クッション要素20の上部表面24およびソール要素30の上部表面32によって共同で画定されており、クッション要素20の上部表面24は、ソール要素30の上部表面32と実質的に同一面になっている。
【0112】
さらに、図2図4図6、および図7に示されているように、クッション要素20は、第1の部分22および第2の部分23を含む。それらの部分22、23は、格子構造体21によって含まれている。この点において、図のいずれにおいても、格子構造体21、第1の部分22、および第2の部分23は、概略的に図示されているということが留意されるべきである。とりわけ、格子構造体21の示された構造体は、特定の格子構成として理解されるべきではない。第1の部分22は、第2の部分23と比較して、より低い剛性を有している。詳細には、第1の部分22は、第2の部分23と比較して、通常の使用の間にアウトソール10がその上に設置されることとなる表面50に対して垂直の方向に測定される、より低い剛性を有している。前記第1の部分22は、最も内側の中足指節関節を支持するように構成されているアウトソール10のエリアに配置されている。そのうえ、第1の部分22は、第2の部分23に対してさらに内側に位置付けられている。加えて、第1の部分22は、第2の部分23よりもアウトソール10のつま先エリア14の近くに位置付けられている。概略的な格子構造体21には図示されていないが、通常の使用の間にアウトソール10がその上に設置されることとなる表面50に対して垂直の方向に測定されるクッション要素20の剛性は、第1の部分22から第2の部分23へ連続的に増加する。
【0113】
そのうえ、図2図6、および図7にも示されているように、格子構造体21は、複数のロッド要素25a、25b、25c、26a、26b、26cを含む。図2では、第1の部分22のロッド要素25a、25b、25cは、第2の部分23のロッド要素26a、26b、26cよりも低密度に配置されている。図6では、第1の部分22のロッド要素25a、25b、25cは、第2の部分23のロッド要素26a、26b、26cよりも低い平均直径を含む。そのうえ、図7では、第1の部分22のロッド要素25a、25b、25cは、第2の部分23のロッド要素26a、26b、26cよりも低密度に配置されており、第2の部分23のロッド要素26a、26b、26cよりも低い平均直径を含む。
【0114】
そのうえ、とりわけ図2および図4から、当業者は、クッション要素20が、(たとえば、接着剤および/または溶接によって)ソール要素30に取り付けられているインサート要素であるということを理解する。この点において、クッション要素20は、(たとえば、アディティブマニュファクチャリングプロセスによって)クッション要素20と一体的に形成されるボンディングマージン27を含む。
【0115】
図1図2、および図8に描かれているように、クッション要素20は、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されているアウトソール10のエリア12に配置されている。それによって、とりわけ図1に示されているように、クッション要素20は、アウトソール10のかかとエリア15から見られるとき18に、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されているアウトソール10のエリア12を実質的に越えて延在しないことが可能である。さらに、通常の使用の間にアウトソール10がその上に設置されることとなる表面50に対して垂直の方向に測定されるクッション要素20の厚さは、中足骨脂肪パッドを支持するように構成されているエリア12において最大に到達し、かかとエリア15およびつま先エリア14に向けて減少している。さらに、とりわけ図2に示されているように、クッション要素20は、アウトソール10の外側からアウトソール10の内側へ実質的に延在している。そのうえ、描かれているクッション要素20のいずれも、アウトソール10のかかとエリア15の中へは延在していない。
【0116】
図9は、曲げ軸線(それは、アウトソール10の長手方向に対して垂直であり、通常の使用の間にアウトソール10がその上に設置されることとなる表面50に対して平行である)に関するソール要素30の曲げ剛性が、受け入れ部分31に隣接しているソール要素30の部分と比較して、受け入れ部分31においてより小さくなっているということを図示している。さらに、前記曲げ剛性は、受け入れ部分31において最小を有している。とりわけ、前記最小は、ソール要素30のフレックス部分37に位置付けられており、フレックス部分37は、ランニングの間に最大曲げを経験するソール要素30の部分である。前記フレックス部分37は、受け入れ部分31に沿って部分的に延在している。より詳細には、フレックス部分37は、ソール要素30の先端部から数えられたときに、第2列目のスタッド36bと第3列目のスタッド36cとの間において、受け入れ部分31に沿って延在している。
【0117】
図4および図9は、ソール要素30が、クッション要素20と少なくとも部分的に重なる少なくとも1つのアパーチャー33a、33b、33c、34a、34bを含むということを図示している。とりわけ、前記図に示されているように、少なくとも1つのアパーチャー33a、33b、33c、34a、34bは、少なくとも1つの底部アパーチャー33a、33b、33cを含み、少なくとも1つの底部アパーチャー33a、33b、33cは、クッション要素20が(ソール要素30の中に配置されているときに)、通常の使用の間にアウトソール10がその上に設置されることとなる表面50に面するように適合されている。さらに、とりわけ、図4および図9にも示されているように、少なくとも1つのアパーチャー33a、33b、33c、34a、34bは、2つの側部アパーチャー34a、34bを含み、2つの側部アパーチャー34a、34bは、クッション要素20が(ソール要素30の中に配置されているときに)、アウトソール10の外側方向およびアウトソール10の内側方向に面するように適合されている。加えて、当業者が図10とともに図4および図9から理解するように、少なくとも1つの底部アパーチャー33a、33b、33cおよび少なくとも1つの側部アパーチャー34a、34bは、透明なカバー要素40によってカバーされている。
【0118】
図3は、ソール要素30が、クッション要素20と重なる少なくとも1つのスタッド35a、35bを含むということを示している。とりわけ、ソール要素30は、3列のスタッド36a、36b、36cを含み、スタッド36a、36b、36cの前記列のそれぞれの対の間に、先述のものにおいて説明されているような少なくとも1つの底部アパーチャー33a、33b、33cが配置されている。
【符号の説明】
【0119】
10 アウトソール
11 フォアフットエリア
12 中足骨脂肪パッドを支持するためのエリア
13 ミッドフットエリア
14 つま先エリア
15 かかとエリア
16 アウトソールの支持表面
17 アウトソールのランニング表面
18 かかと部分から見る方向
20 クッション要素
21 格子構造体
22 クッション要素の第1の部分
23 クッション要素の第2の部分
24 クッション要素の上部表面
25a、25b、25c 第1の部分のロッド要素
26a、26b、26c 第2の部分のロッド要素
27 ボンディングマージン
30 ソール要素
31 ソール要素の受け入れ部分
32 ソール要素の上部表面
33a、33b、33c 底部アパーチャー
34a、34b 側部アパーチャー
35a、35b スタッド
36a、36b、36c スタッドの列
37 フレックス部分
40 カバー要素
50 通常の使用の間にアウトソールがその上に設置されることとなる表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】