(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113678
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】2つの回転部材の間に加えられるトルクを決定するためのシステム
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
G01L3/10 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017729
(22)【出願日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】FR2301225
(32)【優先日】2023-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】507018894
【氏名又は名称】エヌテエヌ ユロップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドゥル ボデュ
(72)【発明者】
【氏名】シグフリ ルラン
(57)【要約】
【課題】たわみ角に関して機械的に耐性があり信頼性がある一方で、試験体がコンパクトであるシステムを提案する。
【解決手段】本発明は、2つの回転部材間に加えられるトルクを決定するためのシステムに関し、システムは変形可能構造によって同心円状に接続された内側ブッシング(5)および外側ブッシング(6)を有する試験体と、加えられたトルクの関数であるブッシング(5、6)間の角度を決定するための装置とを備え、変形可能構造は、ブッシング(5、6)間に角度的に分散されたブランチ(19)のセットを備え、ブランチの各々は内側端と外側端との間の方向に延在し、方向は内側端を通過する直径方向と角度を形成し、ブランチの各々は内側端から前記方向に延在するフットセクタと、前記方向から外側端に延在するヘッドセクタとを有し、前記セクションはフットセクタのための凸状曲げ部(20)と、ヘッドセクタのための凹状曲げ部(21)とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの回転部材(1、2)の間に幾何学的回転軸(R)を中心とする一方向において加えられるトルクを決定するためのシステムであって、
前記システムが、
前記部材のうちの第1のもの(1)に結合するための手段で回転して固定された内側ブッシング(5)と、前記内側ブッシング(5)の周りに延在し、前記部材のうちの第2のもの(2)に結合するための手段を有する外側ブッシング(6)とを有する試験体であって、前記ブッシングが、前記部材(1、2)の間でトルクを伝達する一方で、前記部材の間に加えられる前記トルクの関数として前記ブッシングの間の角度たわみを許容するように配置された変形可能構造によって、前記軸(R)の周りに同心円状に結合されている、試験体と、
前記ブッシング(5、6)の間の角度を、加えられる前記トルクの関数として決定するための装置と、を備え、
前記変形可能構造が前記ブッシュ(5、6)の間に角度的に分布するブランチ(19)のセットを含み、
前記ブランチのそれぞれが内側端(19a)と外側端(19b)との間の方向Dに沿って延びており、
前記方向Dが前記内側端を通る直径方向Ddを有する角度INCbを形成しており、
前記ブランチのそれぞれが、前記内側端(19a)から前記方向Dに延びるフットセクタ(Sp)と、前記方向Dから前記外側端(19b)に延びるヘッドセクタ(St)とを有し、
前記セクタが、前記フットセクタ(Sp)のための凸状曲げ部(20)と、前記ヘッドセクタ(St)のための凹状曲げ部(21)とをそれぞれ形成することを特徴とする、システム。
【請求項2】
角度INCbが80°と100°との間に含まれることを特徴とする、請求項1に記載のトルク決定システム。
【請求項3】
前記ブランチ(19)のそれぞれは、前記直径方向Ddと前記外側端(19b)を通過する直径方向Dbとの間のブランチ角度セクタSECTbにわたって延在し、
前記ブランチ角度セクタは、50°と70°との間に含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載のトルク決定システム。
【請求項4】
前記曲げ部(20、21)は曲率半径RApI、RAtIを有し、前記フットセクタ(Sp)の前記曲げ部(20)の前記曲率半径RApIは、前記ヘッドセクタ(St)の前記曲げ部(21)の前記曲率半径RAtlよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載のトルク決定システム。
【請求項5】
前記フットセクタ(Sp)は、前記直径方向Ddと、前記ヘッドセクタ(St)の前記曲げ部(21)の曲率半径RAtIによって画定される前記円の前記中心を通る直径方向Dpとの間のフット角度セクタSECTApにわたって延在し、
前記ヘッドセクタは、前記直径方向Dpと、前記外側端(19b)を通る直径方向Dbとの間に延在し、
前記ヘッド角度セクタは、前記フット角度セクタよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載のトルク決定システム。
【請求項6】
前記ブランチ(19)のそれぞれの前記ブランチ長さLGbは、前記外側端(19b)を通る前記ヘッド半径RtHと前記内側端(19a)を通る前記フット半径Rpとの間の差の120%よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のトルク決定システム。
【請求項7】
前記ブランチ(19)のそれぞれは、前記内側端(19a)の周りの幅Lbpにわたって延在するフット部を有し、前記フット部は、前記回転方向においてそれぞれ上流側(22)および下流側(23)の2つのフット部表面によって前記内側ブッシング(5)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のトルク決定システム。
【請求項8】
前記ブランチ(19)のそれぞれが、前記フット部から、前記内側端(19a)に接する直径Cp1の第1の円と、直径Cp2の第2の円とを含む円の重ね合わせによって形成される包絡線内に延在し、前記直径Cp1が直径Cp2よりも大きいことを特徴とする、請求項7に記載のトルク決定システム。
【請求項9】
直径Cp1及びCp2の前記円の前記中心を通る前記方向Dcは、前記直径方向Ddに対して角度ANGpbだけ傾斜していることを特徴とする、請求項8に記載のトルク決定システム。
【請求項10】
前記ブランチ(19)のそれぞれは前記外側端(19b)の周りの幅Lbtにわたって延在するヘッド部を有し、前記ヘッドは、前記回転方向においてそれぞれ上流側(24)および下流側(25)の2つのヘッド面によって前記外側ブッシング(6)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のトルク決定システム。
【請求項11】
前記上流側ヘッド面(24)は、前記下流側ヘッド面(25)が内接される半径RtBよりも大きい半径RtHで内接されることを特徴とする、請求項10に記載のトルク決定システム。
【請求項12】
前記ブランチ(19)のそれぞれは前記外側ブッシング(6)と接続するための部分を有し、前記部分は、半径方向に延在する下流側面と、前記半径方向と角度ANGtbを形成する上流側面とを有する、請求項10または11に記載のトルク決定システム。
【請求項13】
前記外側ブッシング(6)は前記ヘッドセクタ(St)の前記曲げ部(21)の内側に延在する少なくとも1つの半径方向ローブ(11)を有し、前記ローブ(11)は、前記外側ブッシング(6)を前記第2の部材(2)に固定するための手段(11a)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のトルク決定システム。
【請求項14】
前記ローブ(11)は前記ヘッドセクタ(St)の前記曲げ部(21)の曲率半径RAtIに類似する曲率半径を有し、前記曲げ部との間に低減された間隙JApを形成することを特徴とする、請求項13に記載のトルク決定システム。
【請求項15】
前記決定装置が、
対応するブッシング(5、6)の回転変位を表す周期信号を発することができるそれぞれの内側磁気トラック(13a)および外側磁気トラック(14a)を担持するリング(13、14)を有するブッシング(5、6)のそれぞれを備えることによって生成されるエンコーダと、
内側磁気トラック(13a)及び外側磁気トラック(14a)のそれぞれから読み取り距離に配置されたセンシング素子の第1パターン(15)及び第2パターン(16)を含むセンサであって、対応するリング(13、14)の角度位置を表す信号を形成するセンサと、
前記センサによって送達される前記信号を比較するための装置であって、加えられる前記トルクの関数である前記ブッシング(5、6)間の角度を決定することができる装置と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載のトルク決定システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、幾何学的回転軸の周りの一方向に2つの回転部材の間に加えられるトルクを決定するためのシステムに関する。
【0002】
特に、これらの部材は、例えば電気モータまたはクランクセットと電気的にアシストされる自転車の機械的なトランスミッションとの間で、車両へのモータトルクのトランスミッションに一体化することができる。
【0003】
このために、試験体を部材の第1のものに結合するために回転固定された内側ブッシングと、内側ブッシングの周りに延在し、試験体を部材の第2のものに結合するための手段を有する外側ブッシングとを有する試験体を使用することが知られており、前記ブッシングは部材間に加えられるトルクに応じて前記ブッシング間の角度変位を可能にしながら、部材間にトルクを伝達するように配置された変形可能構造によって回転軸の周りに同心円状に接続される。
【0004】
そのような試験体はブッシングの各々に、対応するブッシングの回転変位を代表する周期的信号を発することができるそれぞれ内側および外側磁気トラックを担持するリングを備えることによって、エンコーダを備えることができる。特に、トラックの各々は、擬似正弦波磁気信号を送達する多磁極磁気トラックを形成するために、N磁極とS磁極とのペアの連続を有する。
【0005】
その場合、決定システムは対応するリングの角度位置を表す信号を形成するために、内側トラック又は外側トラックから読み取り距離に配置された感知素子の第1の又は第2のパターンを有するセンサを備える。
【0006】
文献FR-2 816 051、FR-2 821 931およびFR-2 862 382は、部分間の角度偏差、したがって変形可能構造をねじることによって前記角度を誘発するという点で加えられるトルクを決定することができる、そのような信号を比較するための装置の使用を記載している。
【0007】
電気的にアシストされる自転車のトランスミッションのようないくつかの適用では、試験体を実施するために利用可能な空間が著しく制限される。その結果、全体寸法が特に半径方向に縮小された試験体を設計する必要があり、これにより、変形可能な構造体の設計がさらに制約される。
【0008】
この制約は、構造の変形がトランスミッションのねじれ角度を感じることを回避するように制限されなければならないため、より重要であるが、一方で、誘起される角度偏向およびその機械的強度の両方に関して極めて信頼性が高い。特に、変形可能構造は250Nmのオーダーのトルクに抵抗しながら、数度のオーダーの角度の偏向を受けなければならない場合がある。
【0009】
本発明の目的は特に、適用されるトルクを決定するために使用されるたわみ角に関して機械的に耐性があり信頼性がある一方で、試験体がコンパクトであるシステムを提案することによって、従来技術を改善することである。
【0010】
この目的のために、本発明は幾何学的回転軸を中心とする一方向に2つの回転部材間に印加されるトルクを決定するためのシステムを提案し、前記システムは、
-機能試験体を機能部材の第1のものに結合するための手段で回転して固定された内部ブッシングと、内部ブッシングの周りに延在し、機能試験体を機能部材の第2のものに結合するための手段を有する外側ブッシングとを有する試験体であって、機能ブッシングは機能部材間に加えられるトルクに応じて機能ブッシング間の角度偏向を可能にしながら、機能部材間にトルクを伝達するように配置された変形可能構造によって、機能軸の周りに同心円状に接続されている、試験体と、
-ブッシング間の角度を加えられたトルクの関数として決定するための装置と、を含む。
【0011】
前記変形可能構造はブッシング間に角度的に分配されたブランチのセットを備え、前記ブランチの各々は内側端と外側端との間の方向Dに沿って延在し、前記方向Dは前記内側端を通過する直径方向Ddを有する角度INCbを形成し、前記ブランチの各々は前記内側端から前記方向Dに延在するフットセクタと、前記方向Dから前記外側端に延在するヘッドセクタとを有し、前記セクタは前記フットセクタに対してそれぞれ凸状曲げ部と、前記ヘッドセクタに対して凹状曲げ部とを形成する。
【0012】
本発明のさらなる目的および利点は、添付の図面を参照してなされる以下の説明から明らかになるのであろう。
【0013】
[
図1]は、本発明によるトルク決定システムを備えた電動アシスト自転車のクランクセットの部分断面斜視図である。
【0014】
[
図1a]は、特に試験体の取り付けを示す、
図1の分解拡大図である。
【0015】
【0016】
【0017】
[
図2a]は、エンコーダなしの前記試験体の正面図である。
【0018】
【0019】
[
図3]は、ナットを取り外した
図2aの斜視図である。
【0020】
【0021】
[
図4]は、
図3aの試験体における枝の正面図を示す。
【0022】
[
図5]および[
図6]は、本発明の実施形態のそれぞれの変形例による試験体の正面図である。
【0023】
これらの図に関連して、2つの回転部材1、2の間に加えられるトルクを、幾何学的回転軸Rを中心とする一方向に決定するためのシステムを以下に説明する。
【0024】
本明細書では、空間的位置決め用語が回転軸Rを参照して解釈される。特に、用語「内側」および「外側」はこの軸Rにそれぞれ接近し、この軸Rから距離を置いた配置を指し、用語「軸方向」および「半径方向」はこの軸Rにそれぞれ追従し、この軸Rから離れるかまたはこの軸に向かって移動する配置を指す。
【0025】
特に、本システムは、車両へのモータトルクの伝達に組み込まれた2つの部材1、2の間、例えば電動モータ又はクランクセットと電動アシスト自転車の機械的伝達との間に加えられるトルクの決定を可能にする。
【0026】
図1はペダル4を備えたクランク3を備える電動アシスト自転車のクランクセットを示し、前記クランクは、軸Rに沿って回転駆動されるシャフトに取り付けられ、ペダル方向にペダルトルクM+を加えるための部材1を形成する。
【0027】
システムはペダリングトルクM+が他の部材2に伝達されることを可能にする試験体を備え、これは、図ではスリーブの形態で示され、例えば、トルクMbvを発揮する、電動ギアボックスの遊星ギアトレインの衛星キャリアである。
【0028】
本出願では、EN15194:2017規格に従って考慮されるペダル4の端部におけるペダル踏力Fが1,500Nであり、クランク長さLmが165mmであり、250NmのオーダーのトルクM+を生成する。特に、試験体によって伝達されるトルクは他方の方向が自転車のフリーホイールに対応するように、一方の回転方向(図ではM+によって表される)のみである。
【0029】
試験体は、試験体を第1の部材1に連結するために手段に回動可能に固定された内側ブッシング5と、内側ブッシング5の周りに延在し、試験体を第2の部材2に連結するための手段を有する外側ブッシング6とを有する。
【0030】
図に関連して、内側ブッシング5は、例えば糸またはスプラインの形態で、シャフトに結合する手段を備えた孔7を有する。
【0031】
図1~
図5に関連して、試験体を第1の部材1と結合するためのナット8は、孔7内に固定されることによって取り付けられ、前記ナット8は例えば、糸またはスプラインを備えることによって、結合を可能にする孔8aを有する。
【0032】
図示の実施形態では、ナット8がリベット締めによって孔7内に保持される。これを行うために、ナット8は孔9aが形成される鍔部9を有し、孔7のエッジには、リベット10の手段によってナットを適所にリベット留めすることを可能にする相補的な孔7aが設けられる。
【0033】
図6に関連して、孔7は、第1の部材1のシャフトと結合するためのスプライン7bを直接備える。
【0034】
他の部材2への結合に関して、図示の実施形態は、外側ブッシング6が前記外側ブッシングをスリーブに固定する手段を備えた少なくとも1つの半径方向ローブ11を有することを提供する。特に、120°の3つのローブ11が設けられており、これらのローブの各々は、ピン12による取り付けのための孔11aを有するか、またはスリーブの相補的な孔にねじ込まれることによって取り付けられる。あるいは外側ブッシング6、特にその周囲は第2の部材2と噛み合う幾何学的手段を有することができる。
【0035】
ブッシング5、6は、部材1、2の間でトルクを伝達するように配置され、一方、前記部材の間に加えられるトルクに応じて前記ブッシングの間の角度偏向を可能にする変形可能構造によって、軸Rの周りに同心円状に接続される。
【0036】
特に、内側ブッシング5に加えられるペダルトルクM+と、スリーブによって外側ブッシング6に加えられるトルクMbvとから生じるトルクとは、ブッシング5、6の間にねじれを誘発し、したがって、前記トルクの関数であるねじれ角に従った前記ブッシングの相対的な角度変位を誘発する。
【0037】
システムは、特に変形可能構造の剛性を考慮することによって、加えられるトルクの関数でブッシング5、6の間の角度を決定するための装置を含む。
【0038】
一実施形態によれば、決定装置は、
-ブッシング5、6のそれぞれに、対応するブッシング5、6の回転変位を代表する周期的信号を発することができる内側磁気トラック13aおよび外側磁気トラック14aをそれぞれ担持するリング13、14を備えることによって生成されるエンコーダと、
-内側トラック13a又は外側トラック14aから読み取り距離をおいて配置され、対応するリング13、14の角度位置を表す信号を形成する第1のパターン15又は第2のパターン16の感知素子を備えるセンサと、
-センサによって送達される信号を比較するための装置であって、前記装置は、加えられるトルクの関数であるブッシング5、6の間の角度を決定することができる、装置と、を含む。
【0039】
図に関連して、クランクセット軸は、対応するトラック13a、14aから読み取り距離を置いてセンサがパターン15、16を埋め込まれるハウジング17内に回転可能に取り付けられる。
【0040】
一実施形態ではリング13、14の各々はそれぞれの内側フレーム13bおよび外側フレーム14bによって担持され、内側ブッシング5、外側ブッシング6はそれぞれ内側フレーム13b、外側フレーム14bを固定するための手段を有する。
【0041】
特に、ブッシュ5、6の各々は、特にねじ止めまたはリベット止めによってフレーム13b、14bを固定するための穴5a、6aを有する。図に関連して、3つの固定孔5a、6aは、互いに120°で配置されている。
【0042】
一実施形態では、一連のN磁極とS磁極のペアがそれぞれのリング13、14上で磁化されて、擬似正弦波磁気信号を放出することができる多磁極磁気トラック13a、14aを形成する。
【0043】
リング13、14は、例えばプラスチックまたはエラストマー材料から作られたリング状マトリックスを含むことができ、磁性粒子、特にフェライト粒子または希土類粒子、例えばNdFeBが分散され、前記粒子は磁化されて磁気トラック13a、14aを形成する。
【0044】
各パターン15、16は、文献FR-2 792 403、EP-2 602 593およびEP-2 602 594に記載されているように、少なくとも2つの感知素子、特に複数の整列した感知素子を含むことができる。
【0045】
感知素子は、検出されるトラック13a、14aの磁気信号に従って抵抗が変化する磁気抵抗材料、例えば、AMR、TMR、またはGMRタイプ、またはホール効果プローブに基づくことができる。
【0046】
一実施形態では、角度位置が、磁気トラック13a、14aによって放出される信号によって漸増的に決定することができる。別の実施形態では、角度位置が、リング13、14上に二次磁気トラックまたは特定のコーディングを提供することによって、絶対的に、相対基準位置に対して決定することができる。
【0047】
システムはまた、センサによって送達される信号を比較するための装置を含み、前記装置は、加えられるトルクの関数であるブッシング5、6の間の角度を決定することができる。図に関連して、センサは、感知素子のパターン15、16が電子回路に埋め込まれたカード18を備える。
【0048】
一実施形態では、センサが直角インクリメンタル方形波信号を送出し、比較装置は、特に文献FR-2 816 051、FR-2 821 931及びFR-2 862 382に記載されているように、リング13、14の各々の角度位置と、前記角度位置間の差分を計算するための減算手段とを示す計数手段を含む。
【0049】
変形可能構造は、ブッシング5、6の間に角度的に分配された一組のブランチ19を含む。特に、ブランチ19およびブッシュ5、6は、例えばワイヤマシンで切断することによって、または金属材料のブランクを打ち抜くことによって、単一片に形成される。
【0050】
ブランチ19の各々は内側端19aと外側端19bとの間の方向Dに延在し、前記方向は前記内側端を通る直径方向Ddとの角度INCbを形成し、前記ブランチの各々は内側端19aから方向Dに延在するフットセクタSpと、前記方向Dから外側端19bに延在するヘッドセクタStとを有し、前記区間は、フットセクタSpのための曲げ部20とヘッドセクタStのための凹部21とをそれぞれ形成する。
【0051】
図に示されるように、内側ブッシング5に反時計回り方向に加えられるトルクM+に対して、ブランチ19は、右に傾斜している。傾斜角INCbの選択は、伝達される最大トルクおよびブランチ19の幅に依存する。
【0052】
2つの曲げ部20、21を有するそれらのS字形の幾何学的形状と組み合わせたブランチ19の傾斜は、例えば50mm未満のREXT半径を有する外側ブッシング6に関して、試験体の半径方向空間要件を満たすことを可能にし、一方、特に曲げ部20、21の大きさを最大化することによって、それらの剛性を低減するために、ブランチ19の長さLGbを増加させる。
【0053】
特に、ブランチ19は板ばねのように機能し、最大応力を制御しながら可撓性ばねを得るためには、ブランチ19の長さが重要である。傾斜により、外側ブッシング6が回転するときにブランチ19が長くなるにつれて、ブランチ19とブッシング5、6との間の接続部における曲げに、純粋に引張りの構成要素が重畳される。
【0054】
このS字形状の形態はブランチ19が著しく傾斜することを可能にし、これは、レバーアームBLを増加させ、したがって、ブランチ19における力を減少させる。特に、3つのブランチ19を有する設計の場合、角度INCbは、有利には80°と100°との間、例えば90°のオーダーであり得る。
【0055】
さらに、S字形ブランチ19は、例えば4mm程度の大きな厚さEPbを有することができ、その座屈を制限することができ、したがって、試験体の回転の動作方向を制約しないように、低減されたストレスを受けることができる。
図5に関連して、ブランチ19はトルク下でブッシュ5、6の角度偏向を増大させるために、
図1~
図4に示す設計と比較して改良されている。
【0056】
有利には、内側端19aと外側端19bとの間で測定される分岐19の各々の分岐長さLGbは、外側端19bを通過するヘッド半径RtHと内側端19aを通過するフット半径Rpとの間の差の、より大きく、特に120%より大きくすることができる。
【0057】
さらに、ブランチ19の長さを最大にするために、外側ブッシング6の外半径REXTは、利用可能な空間内で可能な限り大きくなければならず、ヘッド半径RtHは、ブランチヘッド19と前記外半径との間の最小断面を維持しながら、前記外半径REXTに可能な限り近くなければならない。一実施形態では、試験体の半径方向のコンパクトさは1.05<REXT/RtH<1.15となるようにすることができる。
【0058】
ブランチ19の各々は直径方向Ddと、外側端19bを通過する直径方向Dbとの間のブランチ角度セクタSECTbにわたって延在し、前記ブランチ角度セクタは、50°~70°である。
【0059】
図示の実施形態によれば、曲げ部20、21は曲率半径RApI、RAtIを有し、フットセクタSpの曲げ部20の曲率半径RApIは、ヘッドセクタStの曲げ部21の曲率半径RAtlよりも小さい。
【0060】
加えて、フットセクタSpは、直径方向Ddと、ヘッドセクタStの曲げ部21の曲率半径RAtIによって画定される円の中心を通る直径方向Dpとの間のフット角度部分SECTApにわたって延在し、ヘッドセクタStは、直径方向Dpと、外側端19bを通る直径方向Dbとの間でヘッド角度部分SECTAtにわたって延在し、前記ヘッド角度部分は、前記フット角度部分よりも小さい。
【0061】
さらに、曲げ部20の頂点が刻まれる半径RApに沿ったフットセクタSpの半径方向振幅Apは、特に、前記曲げ部と外側ブッシング6との間に減少した隙間JApを提供することによって、最大化することができる。
【0062】
図に関連して、19のブランチの各々は、
-内側端19aの周りに幅Lbpで延在するフットセクタであって、回転方向の上流側22および下流側23の2つのフットセクタ表面によって内側ブッシング5に接続されているフットセクタと、
-外側端19bの周りに幅Lbtで延在するヘッドであって、前記ヘッドは、回転方向においてそれぞれ上流24および下流25の2つのヘッド面によって外側ブッシング6に接続されているヘッドと、を有する。
【0063】
ブランチ19の傾斜に加えて、ヘッドおよび/またはフットは、対応するブッシング5、6に非対称に接続することができる。特に、傾斜と同様に、トルクが伝達される回転方向が1つしかないので、非対称性が可能である。
【0064】
ブランチ19のフットセクタおよびブランチ19のヘッドセクタにおいて、本発明者らは、典型的にはブランチ19の曲げ部に起因する応力集中を有し、これは、フットセクタおよびヘッドセクタの両側の出力半径の半径方向オフセットによって生成される非対称性のおかげで平滑化することができる。
【0065】
特に、上流ヘッド面24は、下流ヘッド面25が内接される半径RtBよりも大きい半径RtH内に内接され、ブランチ19の外側端19bは上流ヘッド面24および下流ヘッド面25においてそれぞれ最小厚EPtHminおよびEPtBminを画定することによって半径RtHに沿って配置される。有利には、厚さEPtHminが、曲げ部21のトップと外側端19bとの間の振幅Atを最大にするために、厚さEPtBminよりも小さい。
【0066】
さらに、上流24および下流25のヘッド面はそれぞれ半径RStH、RStBに沿って延び、一方、上流22および下流23のフット面は、それぞれ半径RSpI、RSpEに沿って延びる。
図4に関して、半径RSpIは半径RSpEよりも大きく、半径RStHおよびRStBは同様の値である。
【0067】
有利には、ブランチ19の幅が、特にブランチ内の応力を、特にブランチが受ける曲げ応力および引張応力に関連して調和させることができるように、特に拡張可能であることによって、一定でなくてもよい。
【0068】
図4に関連して、各ブランチ19は外側ブッシング6との接続のための部分を有し、前記部分は、最小ブランチ19幅Lbminを画定することによって応力を低減するために、半径方向に延在する下流面と、前記半径方向と角度ANGtbを形成する上流面とを有する。
【0069】
さらに、ブランチ19の各々は、フットから、内側端19aに接する直径Cp1の第1の円と、直径Cp2の第2の円とを含む円の重ね合わせによって形成されるエンベロープ内に延び、前記直径Cp1は、直径Cp2よりも大きい。
【0070】
加えて、直径Cp1およびCp2の円の中心を通る方向Dcは、応力を低減するために、大きい直径Cp1の第1の円を有するブランチ19を生成することができるように、直径方向Ddに対して角度ANGpbだけ、例えば、+/5°だけ傾斜される。
【0071】
図3aに関連して、3つのブランチ19はそれぞれ、角度セクタSECTb上に配置され、前記ブランチは、角度SECTbの120°に相補的な角度セクタsectorによって2つずつ離間されている。
【0072】
図示の実施形態では、内側ブッシング5がSECTore角度セクタ内のブッシング5、6の間に延びる3つのラグ5bを有し、前記ラグの各々は締結孔5aを有し、締結孔6aもSECTore角セクタ内に配置される。
【0073】
ローブ11の各々はブランチ19の角度のあるセクターSECTbに配置され、前記ローブはヘッドセクタStの曲げ部21の内側に延在する。特に、ローブ11は曲げ部21の曲率半径RAtIに類似した曲率半径を有し、前記曲げ部との間に減少したクリアランスJApを形成する。
【0074】
この設計は空間を節約し、この位置では、荷重下での変形がごくわずかであり、その結果、クリアランスJApにおける相対移動が最小限に低減され、摩耗現象を回避する。
【0075】
図示の実施形態では外側ブッシング6とブランチ19との間のクリアランスJApがローブ11から曲げ部20まで実質的に一定であり、それにより、ブッシング6の幅LargBANminを画定し、これは前記曲げ部と反対の変形を制限するのに十分である。
【0076】
加えて、曲げ部21と内側ブッシング5との間のクリアランスJAt、すなわち、曲げ部21が外接する半径ラットと、対向する内側ブッシング5の半径Rpとの間の差も、厚さLcI、すなわち、第1の部材1の半径Rpと半径Rarbreとの間の差を維持しながら低減され、これは、前記ブッシングの強度に十分であり、特に、ブランチ19フットの埋め込みの剛性を確保することによってである。
【0077】
図3aに関連して、内側ブッシング5の孔7のエッジには、リベット10によってナット8をリベット留めするための3組の2つの相補的な孔7aが設けられ、前記組は120°で離間されている。
【0078】
内側ブッシング5は、ブランチ19と比較して比較的可撓性である限り、ナット8と内側ブッシングとの間に微動を誘起することができることによって、試験体の可撓性に寄与する。
【0079】
リベット締め領域での過度の応力を回避するために、第1のリベット10のセットは、これらの起こり得る運動が最も小さい、すなわち、ブランチ19フットに近いセクタに、特に、直径方向Ddに対して15°未満の角度セクタSECTriv1にわたって配置される。
【0080】
第2のリベット10のセットは、角度セクタSECToreに含まれる角度セクタSECTriv2内に、特に直径方向Ddに対して45°のオーダーで配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】本発明によるトルク決定システムを備えた電動アシスト自転車のクランクセットの部分断面斜視図である。
【
図1a】特に試験体の取り付けを示す、
図1の分解拡大図である。
【
図2a】エンコーダなしの前記試験体の正面図である。
【
図5】本発明の実施形態のそれぞれの変形例による試験体の正面図である。
【
図6】本発明の実施形態のそれぞれの変形例による試験体の正面図である。